JPH10306181A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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JPH10306181A
JPH10306181A JP13284097A JP13284097A JPH10306181A JP H10306181 A JPH10306181 A JP H10306181A JP 13284097 A JP13284097 A JP 13284097A JP 13284097 A JP13284097 A JP 13284097A JP H10306181 A JPH10306181 A JP H10306181A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性に優れ機械物性の良好なポリプロピレ
ン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 結晶性ポリプロピレンを主成分とし、広
角X線回折による回折ピーク強度比から求められるb軸
配向度が720以上であるポリプロピレン系樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形性に優れ
たポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、低密度でありながら
機械物性、成形性が良好であることから各種の分野に広
く利用されている。しかしながら、耐衝撃性や耐熱性に
劣るため、その改良を目的として多段重合で得られるエ
チレン−プロピレンブロック共重合体に、エチレン−プ
ロピレン共重合体ゴムやエチレン−ブテン共重合体ゴム
などのゴム成分とタルクなどの無機フィラーを添加した
種々のポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている。
【0003】例えば、特開平1−149845号は、
(a)エチレン含有量20〜60重量%の沸騰キシレン
可溶分を5〜12重量%含み、重合体全体のエチレン含
有量が1〜7重量%で、かつメルトフローレートが15
〜50g/10分のプロピレン−エチレンブロック共重
合体59〜74重量%と、(b)プロピレン含有量が2
0〜60重量%で、かつムーニー粘度ML1+4(100
℃)が100〜150のエチレン−プロピレン共重合体
ゴム35〜20重量%と、(c)比表面積が30000
cm2/g以上で、平均粒径0.5〜2.0μmである
タルク3〜6重量%を配合してなる樹脂組成物を開示し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のポリプロピレン
の耐衝撃性を改良するために、ポリプロピレン成分とし
てのエチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン
−プロピレン共重合体部分の含有量を増やしたり、また
ポリプロピレン成分に後添加するエチレン−プロピレン
共重合体ゴムやエチレン−ブテン共重合体ゴムなどのゴ
ム成分の添加量を増加させると流動性が悪化するという
問題が生じる。また、多量のゴム成分を添加することに
よって耐熱性や表面硬度が低下するという問題も生じ
る。
【0005】一方、生産効率を向上させるために成形品
の大型化や薄肉化がより一層進展し、また成形材料を高
性能化しなければならないという要望が高まってきてい
る。このような要望に対応するためには、成形材料のよ
り一層の高流動化と高性能化が必須であるが、従来のエ
チレン−プロピレンブロック共重合体とポリオレフィン
系エラストマーとの複合材では、この物性向上には限界
があった。従って、本発明の課題は、成形性に優れ良好
な機械物性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究の結果、特定の広角X線回折
による回折ピーク強度比を持つポリプロピレンを主成分
とする組成物が機械物性、射出成形性にすぐれ、かつ表
面硬度の高い機能を発揮することを見出し、本発明を完
成した。すなわち、本発明のポリプロピレン系樹脂組成
物は、結晶性ポリプロピレンを主成分とし、射出成形に
よるASTM1号ダンベルの中心付近の広角X線回折に
よる回折ピーク強度比から求められるb軸配向度が72
0以上であるポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のポリプロピレン系樹脂組
成物を、以下に詳細に説明する。 [1]ポリプロピレン系樹脂組成物の物性 本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形によ
るASTM1号ダンベルの中心付近の広角X線回折によ
る回折ピーク強度比のb軸配向が720以上である必要
がある。ここでb軸配向強度比は次式で表される。
【0008】
【数1】 (式中、I(040)は広角X線回折による2θ=1
3.93における(040)面に起因するピーク強度を
示し、また、I(110)は広角X線回折による2θ=
16.68における(110)面に起因するピーク強度
を示す。) b軸配向度が720未満では射出成形物の強度、脆化温
度、硬度が劣って好ましくない。
【0009】さらに、本発明の組成物はASTM法で測
定した機械物性が次の条件を満たすことが好ましい。 曲げ弾性率≧1800MPa 引張り降状強度≧20MPa 23℃ Izod 衝撃強度≧180J/m −30℃ Izod 衝撃強度≧30J/m ロックウェル硬度(Rスケール)≧74 熱劣化温度(HDT 18.5kg)≧73℃ 脆化温度≦−20℃ MFR=30±10g/10分 これらの値の範囲外では射出成形性に優れた成形品が得
られない。
【0010】[2]ポリプロピレン系樹脂組成物の組成
成分 本発明の組成物は、(A)特定の結晶性エチレン−プロ
ピレンブロック共重合体、(B)特定の熱可塑性エラス
トマーおよび(C)タルクを溶融混練することによって
得られる。以上各成分について説明する。
【0011】(A)エチレン−プロピレンブロック共重
合体 本発明において使用する(A)エチレン−プロピレンブ
ロック共重合体は、実質的に(a)結晶性プロピレン重
合体部分と、(b)エチレン−プロピレン共重合体部分
からなるものであるが、その他に(c)結晶性エチレン
ホモ重合体部分を少量含有するものでもよい。 (a)結晶性プロピレン重合体部分は、プロピレンのホ
モ重合体または少量(5モル%以下程度)のコモノマー
成分を含むプロピレン共重合体があげられる。コモノマ
ー成分としては、ブテン−1、オクテン−1等の他のα
−オレフィンがあげられる。(a)部分のアイソタクチ
ックペンタッド分率(IPF)は96%以上、好ましく
は98%以上である。IPFが低いと組成物全体のb軸
配向度が低くなり表面硬度が不足し、耐傷付性が問題と
なる。
【0012】ここで、アイソタクチックペンタッド分率
(IPF)とは、Macromolecules,,9
25(1973年)記載の方法、すなわち13C−NMR
を使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中の
ペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。換言
すれば、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレ
ンモノマー単位が4個連続してメソ結合した連鎖の中心
にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、
ピークの帰属に関しては、Macromolecule
s,,687(1975年)に記載の方法に基づいて行
った。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素
領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの強度分率とし
てアイソタクチックペンタッド単位を測定した。
【0013】(b)エチレン−プロピレン共重合体部分
は、結晶性の低いエチレン−プロピレンランダム共重合
体の部分である。このエチレン−プロピレン共重合体部
分のエチレン含有量は、25〜80重量%、また、前記
エチレン−プロピレン共重合体部分は、少量(5モル%
以下程度)の第3成分、例えばブテン−1、オクテン−
1等のα−オレフィン等をさらに含有していてもよい。
【0014】前述したような各部分を含有する(A)エ
チレン−プロピレンブロック共重合体の(a)結晶性プ
ロピレン重合体部分と、(b)エチレン−プロピレン共
重合体部分の含有量は、(a)+(b)の合計を100
重量%として、(a)結晶性プロピレン重合体部分が9
0〜99重量%である。一方、(b)エチレン−プロピ
レン共重合体部分は1〜10重量%である。共重合体部
分が多いと表面硬度、HDTが低下し、製品に傷が付き
やすいという問題がある。また、(A)エチレン−プロ
ピレンブロック共重合体のメルトフローレート(230
℃、荷重2.16kg、以下MFRという)は、50〜
100g/10分、好ましくは60〜90g/10分で
ある。MFRの値が50g/10分未満では組成物の流
動性が悪化し、成形性、特に射出成形性が悪化し、成形
性、耐傷付性が不足する。一方、MFRが100g/1
0分を超えると機械的強度が低下するために好ましくな
い。
【0015】なお、前記エチレン−プロピレン共重合体
部分は、前記のエチレン含有量等を満たすオレフィン系
エラストマー、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴ
ム、エチレン−ブテン共重合体ゴム等で代用してもよ
い。この場合、前記の配合割合で混合した組成物のMF
Rが50〜100g/10分となるように結晶性プロピ
レンホモ重合体を配合すればよい。このような(A)エ
チレン−プロピレンブロック共重合体は、例えば慣用の
プロピレン重合法の一段以上の工程で(a)結晶性プロ
ピレン重合体部分(プロピレンホモ重合体または少量の
コモノマー成分を含んだもの)を重合した後、引き続き
一段以上の工程で(b)エチレン−プロピレン共重合体
部分を重合する多段重合によって得ることができ、気相
法、スラリー法などの方法でも製造できる。
【0016】なお、(a)結晶性プロピレン重合体部分
(b)エチレン−プロピレン共重合体部分および(c)
結晶性エチレンホモ重合体部分は、例えば(A)エチレ
ン−プロピレンブロック共重合体を沸騰キシレンに溶解
し、冷却後に(a)結晶性プロピレン重合体部分および
(c)結晶性エチレンホモ重合体部分を不溶部として、
可溶部の(b)エチレン−プロピレン共重合体部分を分
離し、前記不溶部を100℃に再加熱して(a)結晶性
プロピレン重合体部分を不溶部として、それぞれ分離定
量することができる。
【0017】(B)熱可塑性エラストマー 本発明において使用する(B)熱可塑性エラストマーは
(1)スチレン系ブロック共重合体エラストマーまたは
(1)スチレン系ブロック共重合体エラストマーと
(2)エチレン−α−オレフィン共重合体の混合物を用
いることができる。本発明において使用する(1)スチ
レン系ブロック共重合体エラストマーは、次の構造式
(I)または構造式(II)示されるものである。
【0018】
【化1】
【化2】 (上記式中PSはポリスチレンブロックであり、PEB
はポリエチレンブテンブロックであり、m≧1である) このようなスチレン系ブロック共重合体は、モノビニル
置換芳香族炭化水素、好ましくはスチレンと共役ジエン
炭化水素、好ましくは1,3−ブタジエンとをブロック
共重合したものを水素添加したものである。
【0019】本発明では、特にスチレンの重合体ブロッ
クと1,3−ブタジエンエラストマーブロックとのブロ
ック共重合体を水素添加した水素添加ブロック共重合体
として製造したものを用いる。このような水素添加ブロ
ック共重合体は、前記のようにPSブロックとPEBブ
ロックとの2ブロック以上、好ましくはPSブロック
と、PEBブロックと、PSブロックとの3ブロック以
上のものが、本発明で使用される物性として好ましい。
【0020】また、前記水素添加されたブロック共重合
体は、スチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体エ
ラストマー(以下SEBSともいう)またはスチレン−
エチレン−ブテン共重合体エラストマー(以下SEBと
もいう)とも言われるものである。このSEBSまたは
SEBの水素添加量は、90モル%以上で、好ましくは
不飽和結合を有さないものが、耐候性、リサイクル性等
の上から好ましい。また、(1)スチレン系ブロック共
重合体エラストマーのMFRは、0.5〜15g/10
分、好ましくは1〜12g/10分である。MFRが
0.5未満では流動性が不足するために成形性が悪化
し、耐衝撃性も不足する。一方、MFRが15g/10
分を超えると、延性や耐衝撃性が不足するために好まし
くない。さらに、(1)スチレン系ブロック共重合体エ
ラストマーを構成するポリスチレン部分の含有量は、1
0〜30重量%が好ましい。ポリスチレン部分の含有量
が、10重量%未満では耐衝撃性が悪化し、一方30重
量%を超えると延伸が不足するために好ましくない。
【0021】本発明の熱可塑性エラストマー成分として
用いる(2)エチレン−α−オレフィン共重合体は、M
FRが0.5〜10g/10分、好ましくは1〜3g/
10分でエチレン含有量は50〜90重量%である。α
−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、オクテ
ン−1等のα−オレフィンがあげられる。(2)エチレ
ン−α−オレフィン共重合体成分は、全ポリプロピレン
系樹脂組成物に対して1〜10重量%用いることがで
き、10重量%を超えると表面硬度やHDTが不足し、
製品の傷付性に好ましくない。
【0022】(C)タルク 本発明において使用する(C)タルクは、レーザー回折
散乱式粒度分布測定装置により測定した平均粒径が5μ
m以下のものである。タルクの平均粒径が5μmを超え
ると、剛性や寸法安定性が不足するために好ましくな
い。また、タルクは、変性シリコーンやチタネートカッ
プリング剤等で表面処理すると、組成物の剛性や耐熱性
をより向上させることができるために好ましい。また予
め(A)成分の一部でマスターバッチ化しておいて用い
ることもできる。
【0023】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
例えば自動車の内外装材などその用途によっては、前記
の各成分(A)、(B)および(C)の合計100重量
部に対し、さらに酸化防止剤、熱安定剤および光安定剤
を各0.01〜2重量部程度添加することが好ましい。
成分の各々が0.01重量部未満では各々の効果が十分
でなく、一方2重量部を超えるとそれ以上の効果がない
ばかりでなく組成物の物性を低下させるために好ましく
ない。
【0024】その場合使用する酸化防止剤としては、フ
ェノール系、リン系等のものがあげられる。フェノール
系のものとして、例えばテトラキス−[メチレン−3
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチル−フェノール、トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート等があ
げられる。
【0025】また、リン系のものとして、例えばトリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブ
チルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシル−ホス
ファイト−5−t−ブチル)等があげられる。
【0026】熱安定剤としては、例えばジステアリルチ
オプロピオネイト、ジラウリルチオプロピオネイト等イ
オウ系のものがあげられる。
【0027】さらに、光安定剤としては、例えばビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セ
バケイト、ジメチル−1(2−ヒドロキシエチル)−4
−ヒドロキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジンとコハク酸の縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン
{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エ
チレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮
合物等があげられる。
【0028】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
その他にその改質の目的として、他の添加剤、例えば離
型剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、滑剤、銅害防止
剤、有機もしくは無機の顔料およびその分散剤等を添加
することができる。前記の各種添加剤や顔料は、各成分
の混合時に添加するのが一般的であるが、高濃度のマス
ターバッチを予め作成しておき射出成形時に後ブレンド
してもよい。
【0029】[3]配合割合 前述したような各種成分の配合割合は、(A)エチレン
−プロピレンブロック共重合体が54〜64重量%であ
り、(B)熱可塑性エラストマーが17〜24重量%で
あり、(C)タルクが15〜25重量%である。 (A)エチレン−プロピレンブロック共重合体が54重
量%未満では得られる組成物の剛性、耐熱性、硬度等が
低下しやすく、一方64重量%を超えると強度、延性等
が低下する。また、(B)熱可塑性エラストマーが17
重量%未満では脆化温度が高く、耐衝撃性が低下し、一
方24重量%を超えると強度、剛性、耐熱性、硬度等が
低下する。さらに熱可塑性エラストマー成分としてエチ
レン−α−オレフィン共重合体を併用する場合は全ポリ
プロピレン系樹脂組成物の1〜10重量%用いることが
好ましい。さらに、(C)タルクが15重量%未満では
剛性、耐熱性が低下し、一方25重量%を超えると延性
が低下する。
【0030】[4]製造方法 本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記の各種の
成分を予めドライブレンドした後、1軸押出機、2軸押
出機、バンバリーミキサー、ニーダー等に供給し、18
0〜300℃、好ましくは190〜210℃で溶融混練
することによって製造できる。
【0031】
【実施例】本発明を以下の実施例および比較例によりさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。なお、原料となる樹脂、タルクおよび添加
剤は、以下のものを使用した。
【0032】[1]エチレン−プロピレンブロック共重
合体(BPP)
【表1】 (1)MFR:ASTM D1238により230℃、
2.16kg荷重で測定(単位はg/10分)。 (2)Cv:エチレン−プロピレンブロック共重合体中
のエチレン−プロピレン共重合体部分(常温キシレン可
溶部分)の含有量(単位は重量%)。 (3)Gv:エチレン−プロピレン共重合体部分のエチ
レン含有量(単位は重量%)。 (4)IPF:13C−NMRスペクトル分析法による。
【0033】[2]熱可塑性エラストマー (1)スチレン系ブロック共重合体エラストマー
【表2】
【0034】(2)エチレン−α−オレフィン共重合体
【表3】
【0035】 [3]タルク:AT164 ;浅田製粉製 (レーザー散乱法による平均粒子径 =3.6μm) LMS200;富士タルク製(レーザー散乱法による平均粒子径 =4.7μm)
【0036】実施例1〜11、比較例1〜6 前記の各原料を表4〜表6に示す割合で配合し、スーパ
ーミキサーでドライブレンド後、2軸押出機(池貝製P
CM−45、L・D=32)に投入し200℃、200
rpmで混練し、ペレットを得た。ブレンド時には酸化
防止剤としてIr1010(チバガイギー製)とMar
k2112(旭電化製)を各0.1phrずつ添加し
た。
【0037】次に、得られた各ペレットを射出成形機
(東芝機械製 IS−280E/シリンダー温度210
℃、金型温度30℃)により射出成形して物性測定用の
試験片を得た。このようにして得られた各試験片に対し
て、次の物性測定及び各試験を行い、その結果を表4〜
表6に示す。さらに、t=3mmの自動車バンパー(フ
ロント用:幅約1.7m)の金型を用いて射出成形およ
び成形後の外観について評価を行った結果(神戸製鋼製
3500t縦型射出成型機/シリンダー温度210
℃、金型30℃の条件で成形)を表4〜表6に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】(1)MFR:ASTM D1238によ
り230℃、2.16kg荷重で測定(単位はg/10
分)。 (2)引張降状強度:ASTM D638により測定
(単位はMPa)。 (3)曲げ弾性率:ASTM D790により測定(単
位はMPa)。 (4)曲げ強度:ASTM D790により測定(単位
はMPa)。 (5)Izod衝撃強度:ASTM D256により2
3℃及び−30℃で測定(単位はJ/m)。 (6)熱変形温度(HDT):ASTM D648によ
り18.5kg/cm2で測定(単位は℃)。 (7)ロックウエル硬度:ASTM D785により測
定(スケールはR)。 (8)脆化温度:ASTM D746により測定(単位
は℃)。 (9)b軸配向:射出成形により得られたASTM1号
ダンベル試験片の中央部付近の広角X線回折を行う。そ
の散乱スペクトルの2θ=13.93に(040)面に
起因するピーク強度と2θ=16.68に(110)面
に起因するピーク強度の比から求めた。
【0042】(10)耐傷付性 射出成型品の耐傷付性の評価として鉛筆硬度試験は射出
成形後23℃にて、72時間以上放置したサンプルで行
う。サンプルを水平な台の上に固定し、約45度の角度
で鉛筆を持ち、芯が折れない程度にできる限り強く(約
3Kgf)サンプル表面に強く押しつけながら、試験者
の前方に均一速度(約1cm/s)で約1cm押し出し
てサンプル表面を引っかく。1回引っかくごとに鉛筆の
芯先端を新たに研いで、同一硬度記号の鉛筆で5回ずつ
試験を繰り返す。5回のうち2回以上傷(鉛筆の跡が明
瞭に見えるもの)がついた1段階下の硬度記号を材料の
鉛筆硬度とした。但し、試験用鉛筆はJIS S 60
06に規定するものを用い、鉛筆の硬度は硬度記号の9
Hが、最も硬く、6Bが最も軟らかいものとし、硬い方
を上位とする。また、鉛筆は削って芯を円柱状に約3m
m露出させ、次に硬い平らな面で研磨紙(最大粒子径4
6μm以下のもの)に芯を直角に当てて円を描きながら
静かに研ぎ、先端が平らで角が鋭くなるようにする。経
験的に鉛筆硬度が2B以上であれば耐傷付性は問題無い
と判断される。
【0043】(11)耐衝撃性 射出成型品の耐衝撃性の評価として−20℃での落錘衝
撃試験は重さ10Kg、直径10cmの半球状の撃芯を
1mの高さより落下させその破壊形態を確認した。
【0044】表4〜表6より明らかなように本発明の実
施例1〜11の組成物は、b軸配向が720以上となり
良好な機械物性を示し、得られた射出成形による大型薄
肉部品の成形性及び外観も良く、成形品の表面硬度及び
衝撃強度も優れていた。
【0045】これに対して比較例の組成物はb軸配向が
720未満で表面硬度、HDT、耐傷付性、衝撃強度等
が悪い。特に、比較例1ではエチレン−プロピレンブロ
ック共重合体の共重合成分が12重量%と多いと表面硬
度、HDTが低下し、また製品に傷がつきやすい(鉛筆
硬度が2B未満)という問題がある。比較例2ではエチ
レン−プロピレンブロック共重合体のMFRが低いため
組成物のMFRが低下し成形性が悪化する。このため表
面硬度も低く、成形性や耐傷付性が不足する。比較例3
ではエチレン−プロピレンブロック共重合体の立体規則
性が低いため表面硬度が不足し、製品の耐傷付性が問題
となる。比較例4は熱可塑性エラストマーの割合が多す
ぎると強度、弾性率、表面硬度、HDTに影響を及ぼし
製品に傷がつきやすいことを示している。比較例5は熱
可塑性エラストマーの中でもエチレン−α−オレフィン
共重合体の占める割合が多すぎると表面硬度やHDTが
不足し、製品の傷付性も良くないことを示している、ま
た、比較例6は熱可塑性エラストマーの割合が少ないと
脆化温度が高く、耐衝撃性が悪くなることを示してい
る。
【0046】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系脂性組成物
は、成形性に優れ、かつ、機械物性も良好なバランスを
有するものである。従って、射出成形条件の幅を広げる
ことができるために、特に薄肉大型製品の成形が容易に
なる。従って、自動車用部品の内外装材、家電部品等の
工業材料の射出成形によって得られる製品において有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 祐二 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社四日市技術センター内 (72)発明者 河村 信也 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 野村 孝夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリプロピレンを主成分とし、射
    出成形によるASTM1号ダンベルの中心付近の広角X
    線回折による回折ピーク強度比から求められるb軸配向
    度が720以上であるポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)結晶性ポリプロピレン、(B)熱
    可塑性エラストマー及び(C)タルクからなり、AST
    M法で測定した機械物性が下記の通りである請求項第1
    項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。 曲げ弾性率≧1800MPa 引張り降状強度≧20MPa 23℃ Izod 衝撃強度≧180J/m −30℃ Izod 衝撃強度≧30J/m ロックウェル硬度(Rスケール)≧74 熱変形温度(HDT 18.5kg)≧73℃ 脆化温度≦−20℃ MFR=30±10g/10分
  3. 【請求項3】 (A)MFRが50〜100g/10分
    のエチレン−プロピレンブロック共重合体であって、そ
    のホモポリプロピレン部分のアイソタクチック分率(I
    PF)が96%以上でかつエチレン−プロピレン共重合
    体部分の割合が1〜10重量%である結晶性エチレン−
    プロピレンブロック共重合体54〜64重量%と、
    (B)熱可塑性エラストマー17〜24重量%と(C)
    平均粒径が5μm以下のタルク15〜25重量%からな
    る請求項1ないし2に記載のポリプロピレン系樹脂組成
  4. 【請求項4】 前記(B)熱可塑性エラストマー成分
    が、メルトフローレートが0.5〜15g/10分およ
    びポリスチレン部分の含有量が10〜30重量%であ
    り、次式(I)または(II) 【化1】 【化2】 (上記式中PSはポリスチレンブロックであり、PEB
    はポリエチレンブテンブロックであり、m≧1である)
    で示されるスチレン系ブロック共重合体エラストマーで
    ある請求項1ないし3のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記(B)熱可塑性エラストマー成分
    が、(1)メルトフローレートが0.5〜15g/10
    分およびポリスチレン部分の含有量が10〜30重量%
    であり、次式(I)または(II) 【化1】 【化2】 (上記式中PSはポリスチレンブロックであり、PEB
    はポリエチレンブテンブロックであり、m≧1である)
    で示されるスチレン系ブロック共重合体エラストマー
    と、(2)メルトフローレートが0.5〜10g/10
    分およびエチレン含有量が50〜90重量%であるエチ
    レン−α−オレフィン共重合体からなり、かつ(2)エ
    チレン−α−オレフィン共重合体成分が全ポリプロピレ
    ン系樹脂組成物に対して10重量%以下である請求項1
    ないし3のポリプロピレン系樹脂組成物。
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