JPH10302829A - アルカリ二次電池の製造法 - Google Patents

アルカリ二次電池の製造法

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JPH10302829A
JPH10302829A JP9117579A JP11757997A JPH10302829A JP H10302829 A JPH10302829 A JP H10302829A JP 9117579 A JP9117579 A JP 9117579A JP 11757997 A JP11757997 A JP 11757997A JP H10302829 A JPH10302829 A JP H10302829A
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battery
cobalt
hydroxide
paste
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JP9117579A
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Hidetoshi Abe
英俊 阿部
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Furukawa Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニッケル極の活物質利用率を向上し、高容量
で低電池電圧保存後の容量回復性に優れたアルカリ二次
電池を提供する。 【解決手段】 水酸化コバルト(II)で被覆された水
酸化ニッケルを正極活物質とし、これを増粘剤水溶液で
混練して調製したペーストを三次元多孔基板に充填し、
乾燥、加圧して成るペースト式ニッケル極を正極として
組み込み、アルカリ電解液を注入して組み立てた電池
を、30〜80℃の範囲で放置と初充電を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ二次電池
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のニッケル−カドミウム電池、ニッ
ケル−水素化物電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−
鉄電池等のアルカリ二次電池用正極活物質として広く用
いられている従来のペースト式ニッケル極は、コバルト
や亜鉛を含有した水酸化ニッケル粉末を金属コバルトや
水酸化コバルト又は一酸化コバルト等のコバルト化合物
から成る添加剤と共に、カルボキシメチルセルロース等
の合成糊剤の水溶液で混練し、ペースト状にしたものを
発泡ニッケルやニッケルフェルト等の三次元金属多孔体
に充填し、乾燥、加圧して成るもので、これを正極と
し、アルカリ電解液を注入して電池を構成することは知
られている。このペースト式ニッケル極中のコバルト化
合物は、電池内の電解液中の水酸イオンと反応して水溶
性のコバルト錯イオンを形成して拡散し、充電により酸
化されてニッケル極活物質内に導電性のオキシ水酸化コ
バルトとして析出し、いわゆるコバルト導電マトリック
スを形成して水酸化ニッケル活物質粒子間及び活物質と
三次元多孔基板との間の導電性を高めて、活物質の利用
率を上げるために使用されている。また、近年、確実に
コバルト導電マトリックスを得る為に、水酸化コバルト
を被覆した水酸化ニッケルを高温の水酸化ナトリウムの
アルカリ水溶液中で空気酸化により処理して、化学的に
オキシ水酸化コバルトを得て、これを充填して製造した
ペースト式ニッケル極も公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、水酸化コ
バルトや一酸化コバルトなどのコバルト化合物を直接水
酸化ニッケルに添加した場合は、コバルト化合物自体に
導電性がなく、初充電前には水酸化ニッケル活物質粒子
間、及び活物質と多孔基板との間の導電性が乏しいの
で、初充電時の分極が大きくなり、ガス発生による悪影
響が懸念されるので、規定の充電量を確保する為には小
さな電流で長時間の充電時間が必要である。また、金属
コバルトを添加する場合は、その表面に酸化皮膜が容易
に形成されるので同じような問題があった。また、従来
のこのようなコバルト系化合物は、アルカリ電解液との
反応性の低さから所定のコバルト導電マトリックスを得
る為には、初充電条件を0.01〜0.05C程度の小
さな電流で穏やかに充電しなければならず、初充電の長
時間化は避けられず、生産能率が低下し、また、そのた
め高価なコバルト系化合物を多量に添加する必要があ
り、生産コストの増大をもたらすなどの問題があった。
また、コバルト系化合物は金属又は2価の化合物である
ので、空気中の酸素や活物質ペーストを調製する際に、
ペースト中の水に溶存する酸素により、その粒子の表面
が酸化されて不活性な四三酸化コバルトを形成する傾向
が強い為に、アルカリ電解液との反応性が低下し、導電
性コバルトマトリックスの生成が低下する問題があっ
た。また、コバルト系化合物の添加効果を出現するため
に多量に添加すると、これに伴い、容量を出す水酸化ニ
ッケル活物質の配合比率が減少し、容量が低下する問題
があった。水酸化コバルトを被覆した水酸化ニッケルを
アルカリ水溶液中でコバルト錯イオンを空気酸化処理す
るときは、目的とする良導体のオキシ水酸化コバルトの
みならず、不導体の四三酸化コバルトを形成する為に、
導電性が減少するので、処理中の管理を厳しくしなけれ
ばならない。また、その処理液の処理等の問題がありコ
ストが高くなる。また、ペースト式ニッケル極中の水酸
化ニッケルの被覆を最初から3価のコバルト、即ち、オ
キシ水酸化コバルトで被覆しているので、初充電時に形
成される放電リザーブが取れない等の問題があった。従
って、以上のような従来の課題を解決し、容易迅速に所
定の容量の充電を行うことができ、而も活物質利用率が
向上した而も容量回復性の優れたアルカリ二次電池の開
発が望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の課
題を解決し、上記の要望を満足したアルカリ二次電池の
製造法を提供するもので、水酸化コバルト(II)を被
覆した水酸化ニッケルと増粘剤水溶液から活物質ペース
トを三次元多孔基板に充填、乾燥、加圧して成るペース
ト式ニッケル極を正極とし、アルカリ電解液を注入して
電池を構成し、該電池を初充電を30〜80℃の温度範
囲で放置と初充電を行うことを特徴とするアルカリ二次
電池の製造法に存する。更に本発明は、上記の課題を解
決し、要望を満足し、更には、特に充電時の電池内圧を
低下したアルカリ二次電池の製造法を提供したもので、
初充電をペースト式ニッケル極に含有する水酸化ニッケ
ルを被覆した水酸化コバルト(II)が3価状態まで酸
化されるのに必要な理論電気量に対し、30%以上で3
0〜80℃の温度範囲で放置と予備充電を行った後、室
温で初充電を行うことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態例を説明す
る。コバルト塩水溶液、好ましくは硫酸、硝酸又は塩酸
などの強酸のコバルト塩水溶液に、市販のコバルト、亜
鉛などの金属を固溶した、又はしない球状又は卵状の電
池用水酸化ニッケル粉末を添加し撹拌して分散せしめた
分散液に、希アルカリ水溶液、好ましくは希アルカリ水
溶液を滴下などにより徐々に添加して、コバルト塩とア
ルカリ水溶液を反応させて水酸化コバルトを析出せしめ
る反応を行い、次で濾過、水洗して水酸化ニッケル粒子
に水酸化コバルト粒子が混在して成る正極活物質を得
る。これをそのまゝ或いは乾燥して粉末としてペースト
式ニッケル極の製造に使用する。この正極活物質は、換
言すれば、水酸化コバルト粒子で表面を被覆された水酸
化ニッケル粒子のマスである。次に、このようにして得
た水酸化コバルト(II)を被覆した水酸化ニッケルか
ら成る正極活物質にCMCなどの増粘剤水溶液を添加混
練して調製した活物質ペーストを、発泡ニッケルやニッ
ケルメッキ被覆の繊維の不織布から成る三次元多孔基板
に充填し、乾燥、加圧してペースト式ニッケル極板を製
造する。次にこのペースト式ニッケル極板を正極とし、
水素吸蔵合金電極、カドミウム電池などを負極とし、セ
パレータを介してこれら正,負極板を積層して極板群を
構成し、これをそのまゝ或いは捲回極板群とした後、角
形又は円筒形の缶容器に収容し、アルカリ電解液を注入
し、蓋を施し、封口して密閉アルカリ二次電池に構成す
る。而して、この電池をしばらく放置しておくと、ニッ
ケル極中の水酸化コバルトは電解液と反応し、コバルト
錯イオンを形成するが、周囲の温度を30〜80℃の高
温に上昇させた状態に放置すると、反応量及びニッケル
極中の水酸化ニッケルバルクへの拡散量が増大し、コバ
ルト錯イオンの生成量が増大すると共にそのコバルト錯
イオンは、ニッケル極中への侵入が促進されて水酸化ニ
ッケルの一次粒子の表面を被覆し、また、一次粒子が凝
集して成る二次粒子凝集体の表面を被覆し、その凝集体
の内部空間に侵入し、即ち、二次粒子を構成する一次粒
子の表面を被覆する。この状態でその高温下で初充電を
行うと、ニッケル極の電位上昇に伴い、コバルト錯イオ
ンは、導電性のオキシ水酸化コバルト(III)が多量
に生成し、水酸化ニッケル活物質粒子間及び活物質と多
孔基板との間に良好なオキシ水酸化コバルトマトリック
スを生成するので、活物質利用率の向上した而も電池内
圧の低いアルカリ二次電池が得られる。而してその初充
電時に分極が生ぜず、ガス発生がないので、而してま
た、規定の充電量を得るために、大きな電流で短時間で
充電することが可能となる。また、水酸化コバルトの添
加効果は向上するので、この添加量を少なくすることが
できると共に、これに伴い水酸化コバルト活物質の配合
比率を増大できるので、電池容量の向上したニッケル極
を具備したアルカリ二次電池を製造することができる。
尚、この場合、初充電をニッケル極に含まれる水酸化ニ
ッケルを被覆した水酸化コバルト(II)の全てが3価
の状態まで酸化されるのに必要な理論電気量に対し、3
0%以上の充電量で予備充電行った後、常温(25±5
℃)で初充電を行うときは、電池内圧が低下した而も容
量回復性の向上したアルカリ二次電池を製造することが
できる。
【0006】次に、本発明の更に具体的な実施例を、比
較例と共に説明する。 実施例1〜3 市販の球状又は卵状の形状を有する電池用水酸化ニッケ
ル(1.5%Co、3%Zn固溶)粉末100gを反応
容器内のイオン交換水500mlに投入し、60℃に加
熱し乍ら撹拌し、水酸化ニッケル粒子の分散液に0.1
Mの硫酸コバルト水溶液、0.2Mアンモニア水及び
0.2M水酸化ナトリウムを1ml/分の流速で夫々滴
下して反応させた。所定時間反応させた後、固形分を水
洗、濾過して分取し、得られた固形分を80℃で1時間
乾燥して水酸化コバルトてせ被覆された水酸化ニッケル
から成る正極活物質を得た。得られた正極活物質粉末を
分析した結果、反応時間の経過に伴いコバルトの含有量
が当初の原料に含有している量よりも増大することを確
認した。そこで、上記の反応時間を変えてその夫々の正
極活物質粉末をIPC(導電結合高周波プラズマ放電
管)を用いて分析した所、水酸化ニッケルに対し、Co
(OH)2 中のコバルトを3.0wt.%、5.1w
t.%及び7.2wt.%(但、固溶体中のCoを除
く)含有することを確認した。以下、その夫々の正極活
物質をA,B,Cと称する。その夫々の粉末中の水酸化
ニッケルを被覆する水酸化コバルト中のコバルトが全て
オキシ水酸化コバルトへ酸化するに必要な理論電気量は
1セル当たり夫々50mAh、80mAh及び120m
Ahであった。次に、上記の本発明活物質A,B,C1
00重量部にCMC水溶液36重量部添加混練して、活
物質ペーストA,B,Cを調製し、その夫々を、発泡ニ
ッケル基板に充填し、乾燥、プレス、裁断してペースト
式ニッケル極板A,B,Cを製造した。充填量及び裁断
寸法は同じとした。次に、このように作製したペースト
式ニッケル極板A,B,Cの夫々について、これを正極
とし、市販のAB5 系水素吸蔵合金、例えば、MmNi
3.2 Co1.0 Mn0.2 Al0.3 (Mmはミッシュメタ
ル)を用いた水素吸蔵電極板を負極とし、これら正,負
極板を親水化したポリオレフィン系不織布セパレータを
介して積層し、その積層体から成る極板群を缶容器に収
容し、更にKOHを主体とした比重1.30のアルカリ
電解液(KOH24%、NaOH5%、LiOH1%)
を1.95cc注入した後、直ちに電槽蓋を施し、封口
して公称容量1200mAh相当のAAサイズの密閉ニ
ッケル−水素電池A,B,Cを組立てた。その夫々を、
以下電池A,B,Cと略称する。次に、電池A,B,C
について、夫々恒温槽に入れ45℃で5時間放置後、そ
の45℃の高温下で0.2Cの電流で公称容量に対して
150%の電気量を充電する初充電を行った。その後、
室温で16時間放置後、0.2Cの電流で1Vまで放電
した。次に0.2Cで公称容量に対して150%の充電
と、0.2Cで電池電圧1Vまでの放電を3サイクル繰
返して初期活性化を行い、3サイクル目放電時の電池容
量と水酸化ニッケル利用率を算出した。その結果を下記
表1に示す。ニッケル極の水酸化ニッケル活物質の利用
率は、水酸化ニッケルの一電子反応時の理論容量を10
0%とした。
【0007】比較例1 上記実施例で得た本発明の正極活物質B(コバルト含有
率5.1wt.%)を、30%水酸化ナトリウム水溶液
に投入して、80℃で空気を吹き込み乍ら6時間撹拌し
た。この時、反応液は初期に濃い青色を示し、徐々に黒
変した。反応後、沈殿物を水洗濾過し、80℃で1時間
乾燥して正極活物質を得た。これを比較用活物質Dとし
た。この活物質DをX線回折装置で調査した所、不活性
の四三酸化コバルトのピークが認められた。 次に、こ
の比較用活物質D100重量部をCMC水溶液36重量
部添加、混練して上記の実施例1〜3に記載したと同じ
ようにしてペースト式ニッケル極Dを作製した。これを
正極とし、上記の実施例1〜3に記載したと同じように
して公称容量1200mA相当のAAサイズの密閉ニッ
ケル−水素電池Dを組立てた。この電池を以下電池Dと
略称する。次に、該電池Dについて、上記実施例1〜3
で行ったと同様にして放置、初充電、初放電、上記と同
様に初期活性化を行い、3サイクル目放電時の電池容量
と水酸化ニッケル利用率を算出した。その結果を下記表
1に示す。
【0008】比較例2 上記市販の水酸化ニッケルから成る活物質E100重量
部をCMC水溶液36重量部添加、混練して上記の実施
例1〜3に記載したと同じようにしてペースト式ニッケ
ル極Eを作製した。これを正極とし、上記の実施例1〜
3に記載したと同じようにして公称容量1200mA相
当のAAサイズの密閉ニッケル−水素電池Eを組立て
た。この電池を以下電池Eと略称する。次に、この電池
Eについて、上記実施例1〜3で行ったと同じようにし
て放置、初充電、初放電、初期活性化を行い、3サイク
ル目放電時の電池容量と水酸化ニッケル利用率を算出し
た。その結果を下記表1に示す。
【0009】比較例3 上記市販の水酸化ニッケル粉末90.9重量部と試薬特
級水酸化コバルト9.1重量部に、1%CMC水溶液を
全粉末重量に対して36%に相当する量を添加、混練し
て従来の活物質ペーストを調製した。このペーストを発
泡ニッケル基板に充填して、乾燥、プレス、裁断してペ
ースト式ニッケル極Fを作製した。裁断寸法及び充填量
は、前記のペースト式ニッケル極A〜Eと、ほゞ同一と
した。尚、活物質粉末に対するコバルトの比率はICP
分析の結果、7.2%であり、ペースト式ニッケル極C
と同じであった。また、該ニッケル極柱の全ての水酸化
コバルトをオキシ水酸化コバルトへ酸化するに必要な理
論電気量は120mAhであった。次に、このペースト
式ニッケル極Fを正極とし、前記実施例1〜3と同様に
して公称容量1200mA相当のAAサイズのニッケル
−水素電池を作製した。これを電池Fと略称する。この
電池Fについて、前記実施例1〜3と同様にして放置、
初充電、初放電、初期活性化を行い、3サイクル目放電
時の電池容量と水酸化ニッケル利用率を求めた。その結
果を下記表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】本発明に係る電池A〜Cは、高い利用率と
高容量が得られた。電池Aは、電池Dに比しその活物質
中のコバルト量が少ないにも拘らず、高い利用率と高容
量が得られた。電池Dは同じ水酸化ニッケル活物質を用
いた電池Bと比較して電池容量及び利用率が低くなっ
た。これは処理中に生成した不導体の四三酸化コバルト
によりニッケル極柱の集電効率が低下したためと考えら
れた。電池Eはコバルト導電マトリックスの形成がない
ので、低い利用率となった。また総コバルト比率が電池
Cと同じ電池Fは利用率が低かった。これはコバルト導
電マトリックスの形成が不十分であった為と思われる。
電池A〜C間では被覆した水酸化コバルト量が多いほど
水酸化ニッケル利用率が高い傾向を示すが、水酸化コバ
ルト量が多いと相対的な水酸化ニッケル量が減少し容量
が低下する為に、多くの試験研究の結果、被覆するコバ
ルト量の適正範囲は、活物質粉末に対し2〜10重量%
であることが判った。よって、本発明に係る方法によ
り、同じ充填量で飛躍的に高い容量の電池が得られた。
【0012】更に、電池A〜Cについて、放置並びに初
充電時の温度の影響について次のように検討した。即
ち、作製した電池A〜Cとして、その組立て時に電池内
圧を測定する為の圧力センサーを取付けたものを用意
し、その夫々の電池について、その組立て後、20、3
0、45、60、80及び90℃の各温度に5時間放置
し、同じ各温度で0.2Cの電流で公称容量に対して1
50%の電気量を充電する初充電を行った。その後、室
温25℃で16時間放置した後0.2Cで初放電を行っ
た。次に0.2Cで公称容量に対して150%の充電
と、0.2Cで電池電圧1V迄の放電を3サイクル繰返
して初期活性化を行い、3サイクル目放電時の水酸化ニ
ッケル利用率を算出した、その結果を下記表2に示す。
ニッケル極利用率は水酸化ニッケルの一電子反応時の理
論容量を100%とした。また各夫々の電池につき、5
サイクル目で電池内圧を測定する為に、20℃の雰囲気
下、1Cで450%の充電を行い、最大内圧を測定し
た。その結果を下記表3に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】表2から明らかなように、利用率は、放置
並びに初充電時の温度が30℃以上で急上昇し、60℃
以上では飽和する傾向が認められた。これは温度が高く
なるに伴い、被覆した水酸化コバルトとアルカリ電解液
の反応と生成したコバルト錯イオンの拡散がより円滑に
なり、水酸化ニッケル粒子間並びに二次粒子の内外に生
成するコバルト導電マトリックスが成長し易くなるから
であると考えられる。表3から明らかなように、電池内
圧は初充電により温度の上昇に伴い上昇し、特に90℃
で急上昇した。これは初充電前の放置時に負極の水素吸
蔵合金表面が腐食したからであると考えられる。以上の
結果、適正な放置並びに初充電時の温度は30〜80℃
の範囲であることが判明した。
【0016】次に、電池A〜Cについて、高温における
充電量の変化による利用率、電池内圧の影響について、
次のように試験した。即ち、電池A〜Cの夫々につい
て、その組立て後、80℃において5時間放置後、0.
2Cの電流で水酸化コバルトがオキシ水酸化コバルトへ
酸化するのに必要な理論電気量に対して、20、30、
100、200、300、400%に相当する電気量を
通電後、温度を室温に切り替えて1時間放置後に充電を
再開して、通電量の異なる各夫々の合計が公称容量に対
して150%になるように初充電を行った。その後、室
温で16時間放置後に、0.2Cの初放電を実施した。
次に0.2Cで公称容量に対して150%の充電と、
0.2Cで電池電圧1Vまでの放電を3サイクル繰返し
て初期活性化を行い、3サイクル目放電時の水酸化ニッ
ケル利用率を算出した。その結果を表4に示す。ニッケ
ル極利用率は水酸化ニッケルの一電子反応時の理論容量
を100%とした。また5サイクル目で電池内圧を測定
する為に、20℃の雰囲気下、1Cで450%の充電を
行い、最大内圧を測定した。その結果を下記表5に示
す。
【0017】
【表4】
【0018】
【表5】
【0019】表4から明らかなように、充電量の比率が
大きいほど利用率が増加する傾向があった。充電量が2
0%以下であると利用率が低いが、30%以上では確実
に100%を越える。200%以上では飽和するので、
200%の充電量でとゞめることが作業能率上好まし
い。また、表5から明らかなように、電池内圧は、充電
量の比率は高いほど高くなる傾向を示し、400%では
高過ぎる嫌いがある。これは負極の水素吸蔵合金が高温
のアルカリ電解液に曝される時間が長くなる為に表面の
酸化量が増加するからであると考えられる。
【0020】次に、前記の表1に示す電池A〜Fについ
て、低電池電圧保存後の容量回復性について、次のよう
に調べた。即ち、表1に示した電池A〜Fを0.2Cで
7.5時間充電し、次に0.2Cで1.0Vまで放電し
てその容量を測定した後、5Ω抵抗を接続した状態で2
4時間60℃の雰囲気に放置した。次に前サイクルと同
条件で容量を測定して、放置前の容量との比率を求めて
容量回復率とした。その結果を下記表6に示した。
【0021】
【表6】
【0022】表6から明らかなように、本発明に係る電
池A〜Cは、従来製法による電池Fと比較して高い容量
回復率を示した。これは本発明に係る電池の製造法によ
り、充分な量のコバルト導電マトリックスが形成された
ために、ニッケル極での還元雰囲気に対して耐久性を持
ったからであると推定される。電池Dは同じ水酸化ニッ
ケルの電池Bと比較して容量回復率が低くなった。これ
は処理中に生成した不導体の四三酸化コバルトにより、
相対的なオキシ水酸化コバルト量が電池Bよりも少なく
なったからであると考えられる。電池Eは100%の容
量回復率を示したが、これはコバルトが入っていないた
めに、容量が変化しなかったと思われる。
【0023】以上のことから、本発明の電池A〜Cは、
30℃〜80℃の高温で放置し、その後同温度の範囲で
予備充電を行えば、ニッケル極に充分な量のオキシ水酸
化コバルトの形成ができるので、次の初充電は、常温で
行えば足りることが判る。而して、その予備充電は、ニ
ッケル極内の2価の水酸化コバルトを3価のオキシ水酸
化コバルトに酸化する必要な理論電気量の少なくとも3
0〜200%の範囲で充電を行うことにより、電池内圧
の上昇を抑えることができ、低電池内圧のアルカリ二次
電池が得られることが判った。
【0024】
【発明の効果】水酸化コバルト(II)を被覆した水酸
化ニッケルから成る正極活物質と増粘剤水溶液から活物
質ペーストを調製し、発泡ニッケル等の三次元多孔基板
に充填し、乾燥、加圧してニッケル極板とし、これを正
極とし、セパレータを介して負極板と積層して成る極板
群をアルカリ電解液を注入して電池を組立て、これを3
0〜80℃の温度範囲で放置した後、同温度範囲で充電
を行うときは、高容量で低電池電圧保存後の容量回復性
の優れたアルカリ二次電池が得られる。また被覆した水
酸化コバルト(II)が3価状態まで酸化されるのに必
要な理論電気量に対し、30%以上の電気量を充電する
予備充電を行った後、常温で初充電を行うことにより、
電池内圧上昇を抑制した低電池内圧のアルカリ二次電池
が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化コバルト(II)を被覆した水酸
    化ニッケルと増粘剤水溶液から活物質ペーストを三次元
    多孔基板に充填、乾燥、加圧して成るペースト式ニッケ
    ル極を正極とし、アルカリ電解液を注入して電池を構成
    し、該電池を初充電を30〜80℃の温度範囲で放置と
    初充電を行うことを特徴とするアルカリ二次電池の製造
    法。
  2. 【請求項2】 初充電をペースト式ニッケル極に含有す
    る水酸化ニッケルを被覆した水酸化コバルト(II)が
    3価状態まで酸化されるのに必要な理論電気量に対し、
    30%以上で30〜80℃の温度範囲で放置と予備充電
    を行った後、室温で初充電を行うことを特徴とするアル
    カリ二次電池の製造法。
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