JPH10302709A - イオン導入装置 - Google Patents

イオン導入装置

Info

Publication number
JPH10302709A
JPH10302709A JP9111007A JP11100797A JPH10302709A JP H10302709 A JPH10302709 A JP H10302709A JP 9111007 A JP9111007 A JP 9111007A JP 11100797 A JP11100797 A JP 11100797A JP H10302709 A JPH10302709 A JP H10302709A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electric field
ions
field electrode
neutral particles
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9111007A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuyasu Iwanaga
光恭 岩永
Morio Ishihara
盛男 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jeol Ltd filed Critical Jeol Ltd
Priority to JP9111007A priority Critical patent/JPH10302709A/ja
Publication of JPH10302709A publication Critical patent/JPH10302709A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】イオンの方向およびイオンのエネルギをともに
集束させて、多量のイオンを質量分析装置に導入させる
ようにする。 【解決手段】プラズマ発生装置1のプラズマによって発
生された試料のイオンが中性粒子とともにインタフェー
ス部の筒状の偏向電場電極群16内に進入する。電荷を
持つイオンは偏向電場電極群16が形成する電場の作用
によって、偏向電場電極群16に沿って偏向されてイオ
ンの方向が集束されるとともに、種々のエネルギを持つ
イオンが集束される。したがって、方向とエネルギに広
がりのある多量のイオンが偏向電場電極群16から出射
して質量分析装置14に導入される。電荷を持たない中
性粒子は偏向電場電極群16の電場の作用を受けないの
で、扇形の偏向電場電極群16の内壁面に衝突して拡散
する。これにより、ほとんどの中性粒子が偏向電場電極
群16から出射しなく、質量分析装置には導入されな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば誘導結合プ
ラズマ質量分析装置(以下、ICP MSとも表記す
る)等で用いられ、試料のイオンを質量分析装置に導入
するためのイオン導入装置の技術分野に属し、特にプラ
ズマによって発生された試料のイオンのイオン導入装置
の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】ICP MSは、誘導結合プラズマを用
いて試料を励起させて試料からイオンを発生させ、発生
したイオンをノズル、スキマー、およびプルアウトから
なるインターフェイス部を介して質量分析計に導き、こ
の質量分析計によりイオン量を測定することにより、試
料の測定元素を分析するものである。
【0003】図5は、このようなICP MSの従来の
一例を模式的に示す図である。図中、1はプラズマ発生
装置、2はサンプリングコーン、3はサンプリングコー
ン2に形成されたオリフィス、4はスキマコーン、5は
スキマコーン4に形成されたオリフィス、6はサンプリ
ングコーン2とスキマコーン4との間に画成された第1
室、7はプルアウト、8はプルアウト7に形成されたオ
リフィス、9はスキマコーン4とプルアウト7との間に
画成された第2室、10は隔壁、11は隔壁10に形成
された主スリット、12はプルアウト7と隔壁10との
間に画成された第3室、13は第3室12に設けられた
真直の筒状のフォーカス電極、14は試料のイオンが導
入されてこのイオンを分析する質量分析部(以下、MS
分析部とも表記する)である。プラズマ発生装置1のプ
ラズマ出射口、各オリフィス3,5,8、フォーカス電極
13、および主スリット11は中心軸線15上に整列さ
れている。
【0004】このように構成された従来のICP MS
においては、分析時には、第1ないし第3室6,9,12
内は、それぞれ例えばロータリポンプ等からなる真空ポ
ンプによって排気されて減圧されている。また、MS分
析部14も高真空状態にされている。プラズマ発生装置
1によって発生したプラズマに試料(不図示)が導入さ
れると、このプラズマによって試料が励起されてイオン
を発生する。発生した試料のイオンは、サンプリングコ
ーン2のオリフィス3、第1室6、スキマコーン4のオ
リフィス5、第2室9、およびプルアウト7のオリフィ
ス8を通って飛行し、フォーカス電極13に到達する。
フォーカス電極13は到達したイオンを主スリット11
へ向けて集束させるため、試料のイオンは主スリット1
1を通してMS分析部14に導入される。MS分析部1
4は、導入された試料のイオンを分析するようになって
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来のICP MSにおいては、試料のイオンが飛行す
る際、このイオンだけではなく、多数の中性粒子もイオ
ンが飛行する軌道上を飛行するようになる。そして、中
心軸線15上でイオンの進行方向と同方向に進行する中
性粒子が、イオンとともにフォーカス電極13を通って
主スリット11からMS分析部14に導入されるように
なる。このため、高真空を要求されるMS分析部14の
真空度が劣化してしまい、MS分析部14の分析感度が
低下するという問題が生じる。
【0006】また、イオンは比較的高速で飛行するのに
対して、中性粒子は比較的低速で飛行するので、イオン
が中性粒子に衝突する度合いが高くなる。イオンが中性
粒子に衝突すると、途中でイオンの軌道が曲げられて、
主スリット11からMS分析部に導入されるイオンが少
なくなったり、あるいはイオンの電荷が失われることに
よりイオンの損失が生じたりする。このため、このイオ
ンと中性粒子との衝突によってもMS分析部14のイオ
ンの検出感度が低下してしまうという問題がある。
【0007】そこで、プラズマによって発生した試料の
イオンの軌道を偏向させて中性粒子の軌道から単に分離
させるようにした質量分析装置が、特開平7ー7859
0号公報により提案されている。この公報に開示されて
いる質量分析装置によれば、中性粒子が直接質量分析装
置に導入されないので、前述の問題はある程度解決する
ことができる。
【0008】しかしながら、イオンの軌道を偏向させる
ための電極が、4つの棒状の電極をイオンおよび中性粒
子の各経路が十字路を形成するように構成されているだ
けであるので、種々の方向を持つイオンを効果的に集束
して質量分析装置の方へ導入することができないばかり
でなく、種々のエネルギを持つイオンも効果的に集束す
ることができない。このため、試料のイオンの軌道を中
性粒子の経路から分離させることはできても、方向とエ
ネルギに広がりのある多量のイオンを質量分析装置に導
入させることは困難なものとなっており、質量分析装置
の分析感度の向上に限界を生じているという問題があ
る。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、イオンの方向およびイオン
のエネルギをともに集束させて、方向とエネルギに広が
りのある多量のイオンを質量分析装置に導入させること
ができるようにして、質量分析装置の分析感度を向上さ
せることのできるイオン導入装置を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、プラズマによって試料を励起
して試料からイオンを発生し、このイオンを質量分析部
に導入させるインターフェイス部のイオン導入装置にお
いて、前記イオンの方向を偏向させるとともに、前記イ
オンの方向を所定の方向に集束させかつ前記イオンのエ
ネルギを集束させる扇形電場を備えたことを特徴として
いる。
【0011】また請求項2の発明は、前記扇形電場を発
生するための電極に、前記イオンとともに移動する中性
粒子が偏向されることなく直進して飛び出す出口を設け
たことを特徴としている。更に請求項3の発明は、前記
扇形電場が円筒電場であることを特徴としている。 更
に請求項4の発明は、前記扇形電場が球面電場であるこ
とを特徴としている。 更に請求項5の発明は、前記扇
形電場がトロイダル電場であることを特徴としている。
【0012】
【作用】このような構成をした本発明のイオン導入装置
においては、プラズマ発生装置のプラズマによって発生
された試料のイオンが中性粒子とともにインタフェース
部の扇形電場内に進入する。電荷を持つイオンは、扇形
電場の作用によって、扇形電場の扇形状に沿って偏向さ
れる。その場合、扇形電場によって種々の方向のイオン
が1つの方向に集束されるとともに、種々のエネルギを
持つイオンが集束されて、扇形電場から飛び出すように
なる。したがって、方向とエネルギに広がりのある多量
のイオンが扇形電場を発生する偏向電場電極から出射し
て質量分析装置に導入されるようになる。
【0013】一方、電荷を持たない中性粒子は扇形電場
の作用を受けないので、扇形電場を発生する偏向電場電
極の内壁面に衝突して拡散するようになる。これによ
り、ほとんどの中性粒子が偏向電場電極から出射しな
く、きわめてわずかな量の中性粒子だけが偏向電場電極
から飛び出して質量分析装置に導入されるようになる。
したがって、中性粒子による質量分析装置の真空度の劣
化が防止されるようになる。また、中性粒子が質量分析
装置に導入される量が大幅に低減することから、質量分
析装置へのイオンの導入率が向上する。
【0014】更に、イオンが移動する軌道とほとんどの
中性粒子が移動する軌道とが異なるので、イオンと中性
粒子とが衝突する度合いがきわめて少なくなる。これに
より、イオンの損失が大幅に抑制されるようになる。
【0015】このようにして、本発明のイオン導入装置
においては、質量分析装置に方向とエネルギに広がりの
あるイオンが多量に導入されるようになるので、質量分
析装置の分析感度が大幅に向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。図1は本発明にかかるイオン導入装
置の実施の形態の一例が適用されているICP MSを
模式的に示す、図5と同様の図である。なお、前述の図
5に示す従来のICP MSと同じ構成要素には同じ符
号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0017】図1に示すように、本例のイオン導入装置
は、図5に示すICP MSのイオン導入装置における
フォーカス電極13の代わりに、偏向電場電極群16が
第3室12内に設けられている。この偏向電場電極群1
6は、3組の同心円筒電極から構成される第1ないし第
3電場電極16a,16b,16cをイオン通路に順次並
べた配置を有している。
【0018】図2に詳細に示すように、第1電場電極1
6aは、円弧状の内側電極16a1と円弧状の外側電極
16a2とからなり、これら内、外側電極16a1,16
2は、それぞれの円弧の中心が同心にかつ所定の間隔
を置いて配置されている。そして、第1電場電極16a
は、内、外側電極16a1,16a2の間隔の中心が中心
軸線15上に位置しかつオリフィス8に対向して配置さ
れた入口16dを備えているとともに、この入口16d
から円弧に沿って延びる部分の先端にある、45度斜め
下方に向いた第1出口16eと、入口16dから中心軸
線15に沿って直進して延びる部分の先端にある第2出
口16fとを備えている。
【0019】また、第2電場電極16bは円弧状の内側
電極16b1と円弧状の外側電極16b2とからなり、こ
れら内、外側電極16b1,16b2は、それぞれの円弧
の中心が同心にかつ所定の間隔を置いて配置されてい
る。そして、第2電場電極16bは、第1電場電極16
aの第1出口16eに所定間隙を設けて対向して配置さ
れ、45度斜め上方に向いた入口16gと、入口16d
から円弧に沿って延びている部分の先端に、45度斜め
上方に向いた出口16hとを備えている。
【0020】更に、第3電場電極16cは円弧状の内側
電極16c1と円弧状の外側電極16c2とからなり、同
様にしてこれら内、外側電極16c1,16c2は、それ
ぞれの円弧の中心が同心にかつ所定の間隔を置いて配置
されている。そして、第2電場電極16bの出口16h
に所定の間隙を設けて対向して配置され、45度斜め下
方に向いた入口16iと、内、外側電極16c1,16c
2の間隔の中心が中心軸線15上に位置しかつ主スリッ
ト11に対向して配置された出口16jとを備えてい
る。その場合、外側電極16c2が中心軸線15を交差
する位置に配置されて第1電場電極16aの第2出口1
6fに対向するようにされている。
【0021】このように第1ないし第3電場電極16
a,16b,16cを所定の間隙を設けて組み合わせると
ともに、これらの第1ないし第3電場電極16a,16
b,16cがそれぞれ扇形電場を形成することにより、
第1電場電極16aの入口16dに入射する種々の飛行
方向のイオンの方向を第3電場電極16cの出口16j
から中心軸線15の方向に、イオンの方向を集束させて
出射するとともに、入口16dに入射する所定幅のエネ
ルギを持つイオンを集めて第3電極16cの出口16j
から出射するという、イオンの方向とエネルギとの2重
集束の機能を有するようにしている。換言すると、この
2重集束の条件を満足するように、第1ないし第3電場
電極16a,16b,16cが組み合わされている。本例
のイオン導入装置が適用されたICP MSの他の構成
は、従来のICPMSの構成と同じである。
【0022】このように構成された本例のイオン導入装
置が適用されたICP MSにおいては、従来と同様に
プラズマによって発生された試料のイオンが中性粒子と
ともにプルアウト7のオリフィス8を通って第3室12
内に進入する。第3室12内に進入してきたイオンと中
性粒子とは偏向電場電極群16の第1電場電極16aの
入口16dから内、外側電極16a1,16a2の円筒状
の間隔内に進入する。この間隔内に進入したイオンは電
荷を持っているので、第1電極16aの扇形電場によっ
て円筒状の間隔に沿って斜め下方に偏向されて進み、第
1電場電極16aの第1出口16eから第2電場電極1
6bの入口16gを通って内、外側電極16b1,16b
2の円筒状の間隔内に進入する。この間隔内に進入した
イオンは、更に第2電場電極16bの扇形電場により円
筒状の間隔に沿って斜め下方から斜め上方に偏向されて
進み、第2電場電極16bの出口16hから第3電場電
極16cの入口16iを通って内、外側電極16c1,1
6c2の円筒状の間隔内に進入する。この間隔内に進入
したイオンは、更に第3電場電極16bの扇形電場によ
り円筒状の間隔に沿って斜め上方から中心軸線15方向
に偏向されて進み、第3電場電極16cの出口16jか
ら中心軸線15方向に出射する。この第3電場電極16
cの出口16jから出射したイオンは、従来と同様に主
スリット11を通ってMS分析部14に導入される。こ
うして、偏向電場電極群16によって、種々の方向のイ
オンが中心軸線15方向に集束されるようになる。ま
た、第3電極16cの出口16jから出射したイオンの
エネルギも、偏向電場電極群16によって、種々のエネ
ルギのイオンが集められて主スリット11を通ってMS
分析部14に導入される。こうして、偏向電場電極群1
6によって、種々のエネルギのイオンが集束されてMS
分析部14に導入されるようになる。
【0023】一方、第1電場電極16a内にイオンとと
もに進入した中性粒子は電荷を持っていないので、第1
電場電極16aの扇形電場の作用を受けない。したがっ
て、ほとんどの中性粒子が、中心軸線15方向に直進し
て第1電場電極16aの第2出口16fから飛び出し、
飛び出した中性粒子は第3電場電極16cの外側電極1
6c2の外周壁に衝突して第3室12内に拡散する。ま
た、残りのわずかな中性粒子は、第1電場電極16aの
内、外側電極16a1,16a2の各内壁、第2電場電極
16bの内、外側電極16b1,16b2の各内壁、およ
び第3電場電極16cの内、外側電極16c1,16c2
の各内壁に繰り返し衝突して拡散し、更にはその中性粒
子の一部が第1電場電極16aと第2電場電極16bと
の間隙あるいは第2電場電極16bと第3電場電極16
cの間隙から偏向電場電極群16外に方々へ拡散するよ
うになり、第3電場電極16cの出口16jから出射す
る中性粒子はきわめて微量となる。このため、主スリッ
ト11からMS分析部14に粒子ビームとして進入する
中性粒子はきわめてわずかなものとなる。
【0024】更に、このようにイオンが移動する軌道と
ほとんどの中性粒子が移動する軌道とが異なるととも
に、きわめてわずかな中性粒子のみがイオンと同じ軌道
を並進するだけであるので、イオンと中性粒子とが衝突
する度合いがきわめて少なくなる。これにより、イオン
の損失が大幅に抑制されるようになる。
【0025】この例のイオン導入装置によれば、MS分
析部14に導入される中性粒子が、従来に比べて大幅に
減少するので、MS分析部14の真空度が劣化すること
はなく、高真空度に保持することができるようになる。
また、イオンの移動する軌道とほとんどの中性粒子の移
動する軌道とが異なるため、イオンと中性粒子とが並進
する機会が少なくなり、これらの衝突する度合いが低減
する。これにより、イオンと中性粒子との衝突によるイ
オンの損失を少なくできる。更に、中性粒子が主スリッ
ト11を通過する量が大幅に低減するので、主スリット
11のイオンの通過率が向上する。
【0026】したがって、この例のイオン導入装置で
は、MS分析部14に方向とエネルギに広がりのあるイ
オンを多量に導入することができるようになるので、M
S分析部14の分析感度を大幅に向上させることができ
る。
【0027】図3(a)ないし(d)は、それぞれ本発
明のイオン導入装置の実施の形態の他の例を示す、図2
と同様の図である。なお、図2に示す例のイオン導入装
置と同じ構成要素には、同じ符号を付すことにより、そ
の詳細な説明は省略する。
【0028】図3(a)に示す例のイオン導入装置は、
偏向電場電極群16の第1電場電極16aにおける外側
電極16a1が前述の図1および図2に示す例の外側電
極16a1の第2出口16fを省略されたものとなって
いる。この例のイオン導入装置の他の構成は、図1およ
び図2に示す例と同じである。
【0029】この例のイオン導入装置においては、第1
電場電極16aの入口16dにイオンとともに進入して
きた中性粒子は、前述の例のわずかな中性粒子の場合と
同様に、第1電場電極16aの内、外側電極16a1,1
6a2の各内壁、第2電場電極16bの内、外側電極1
6b1,16b2の各内壁、および第3電場電極16cの
内、外側電極16c1,16c2の各内壁に繰り返し衝突
して拡散し、更にはその中性粒子の一部が第1電場電極
16aと第2電場電極16bとの間隙あるいは第2電場
電極16bと第3電場電極16cの間隙から偏向電場電
極群16外に方々へ拡散するようになり、第3電場電極
16cの出口16jから出射する中性粒子はきわめて微
量となる。このため、主スリット11からMS分析部1
4に進入する中性粒子はきわめてわずかなものとなる。
【0030】また、中性粒子が内、外側電極16a1,1
6a2;16b1,16b2;16c1,16c2の各内壁に衝
突すると、中性粒子の一部はこれらの内壁に付着するよ
うになる。したがって、第1ないし第3電場電極16
a,16b,16cをヒータ等で加熱することにより、内
壁に付着した中性粒子を焼き出すようにする。
【0031】この例のイオン導入装置の他の作用効果
は、図1および図2に示す例と同じである。
【0032】また、図3(a)に示す例のイオン導入装
置16では、3つの第1ないし第3電場電極16a,1
6b,16cを組み合わせているが、図3(b)に示す
例のイオン導入装置は、第2電場電極16bをその左右
中央部に間隙を設けて2つの電場電極16b′,16
b″に分割構成することにより、4つの第1、第2、第
2′、および第3電場電極16a,16b′,16b″,
16c,を組み合わせている。この例のイオン導入装置
の他の構成、および作用効果は、図3(a)に示す例と
同じである。
【0033】更に、図3(a)に示す例のイオン導入装
置16では、3つの第1ないし第3電場電極による回転
半径がともに同じに設定されているが、図3(c)に示
す例のイオン導入装置は、2つの第2および第3電場電
極16b,16cによるイオンの回転半径が第1電場電
極16aによる回転半径より小さく設定されている。こ
れにより、イオンのビーム幅が縮小されてイオンの密度
が大きくなり、偏向電場電極群16のレンズ作用の縮小
率が大きくなる。また、図示しないが、例えば2つの第
1および第2電場の回転半径を第3電場の回転半径より
小さくすることにより、偏向電場電極群16のレンズ作
用の縮小率を小さくすることもできる。このように、イ
オン回転半径の異なる電場を適宜組み合わせることによ
り、レンズ作用の縮小率を変化させることができる。こ
の例のイオン導入装置の他の構成および他の作用効果
は、図3(a)に示す例と同じである。
【0034】図3(d)に示す例のイオン導入装置は、
偏向電場電極群16が図3(b)に示す例のイオン導入
装置の左半分の第1、第2電場電極16a,16b′で
構成されている。この偏向電場電極群16では、イオン
の入射方向とイオンの出射方向とは同じであるが、イオ
ンの入射軸とイオンの出射軸とが異なる。これにより、
主スリット11の位置、すなわちMS分析部14のイオ
ン導入位置を中心軸線15から外した所望の位置に設定
することができる。この例のイオン導入装置の他の構成
および他の作用効果は、図3(b)に示す例と同じであ
る。
【0035】図4(a)および(b)は、それぞれ本発
明のイオン導入装置の実施の形態の更に他の例を示す、
図2と同様の図である。なお、図2に示す例のイオン導
入装置と同じ構成要素には、同じ符号を付すことによ
り、その詳細な説明は省略する。
【0036】図4(a)に示す例のイオン導入装置の偏
向電場電極群16は、所定間隔をおいて配置され、90
゜の偏向角を与える半径rとr′の一対の同心球面電極
からなる内、外側電極16m1,16m2により、球面電
極16mとして構成されており、これらの内、外側電極
16m1,16m2により球面電場が形成される。電荷を
持つイオンは、これらの内、外側電極16m1,16m2
の球面電場の作用により90゜曲げられて、その出射方
向が入射方向に対して直角となる。また、電荷を持たな
い中性粒子はこれらの内、外側電極16m1,16m2
球面電場の作用を受けず、内、外側電極16m1,16m
2の内壁に衝突し、この衝突を繰り返して拡散する。
【0037】これにより、内、外側電極16m1,16m
2の出口から中性粒子がほとんど出射されなくなり、イ
オンが内、外側電極16m1,16m2の2重集束作用に
より方向とエネルギとを集束されて出射するようにな
る。また、偏向電場電極群16のイオンの入射方向とイ
オンの出射方向とを90゜変えることができ、入射方向
で中心軸線15方向に対して、MS分析部154の導入
口である主スリット11の位置および方向を90゜異な
る方向に設定することができる。また、焦点距離調整用
のレンズ等を組み合わせることにより、収束点を自由に
設定することができる。 この例のイオン導入装置の他
の構成および他の作用効果は、図3(a)に示す例と同
じである。
【0038】この図4(a)に示す例のイオン導入装置
では、同心球面電極16mにより球面電場を発生させ、
イオンを90゜偏向するようにしているが、図4(b)
に示す例のイオン導入装置は、所定間隔をおいて配置さ
れ、270゜の偏向角を与える一対の同一半径rの球面
電極からなる、内、外側電極16n1,16n2によりト
ロイダル電極16nとして構成されており、これらの
内、外側電極16n1,16n2によりトロイダル電場が
形成される。この例の場合は、イオンは内、外側電極1
6n1,16n2のトロイダル電場の作用により、270
゜偏向されて出射するようになる。この例のイオン導入
装置の他の構成および他の作用効果は、図4(a)に示
す例と同じである。
【0039】なお、図3(b)ないし(d)と図4
(a)および(b)とに示す各例のイオン導入装置で
は、いずれも、図1および図2に示す例の、中心軸線1
5方向に移動する中性粒子が飛び出す出口16fが設け
られていないが、この出口16fを設けることもでき
る。
【0040】また、図1に示す例のイオン導入装置で
は、偏向電場電極群16を、プルアウト7と主スリット
11を有する隔壁10との間の第3室12に設けるよう
にしているが、偏向電場電極群16は、サンプリングコ
ーン2とスキマコーン4との間の第1室6、あるいはス
キマコーン4とプルアウト7との間の第2室9に設ける
ことができるとともに、これらの第1ないし第3室6,
9,12のうち、2室あるいは全室に設けることもでき
る。更に、図2および図3(a)ないし(d)と図4
(a)および(b)とに示す各偏向電場電極群を適宜組
み合わせて設けることもできる。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のイオン導入装置によれば、円筒電場、球面電場、およ
びトロイダル電場等の扇形電場によって、イオンの方向
とエネルギとをともに集束するようにしているので、方
向とエネルギに広がりのある多量のイオンを質量分析装
置に導入することができるようになる。
【0042】また、ほとんどの中性粒子を偏向電場電極
によって拡散させて質量分析装置に導入させないように
しているので、中性粒子による質量分析装置の真空度の
劣化を防止できるようになる。また、質量分析装置に導
入される中性粒子の量が大幅に低減することから、質量
分析装置へのイオンの導入率を向上させることができ
る。
【0043】更に、イオンが移動する軌道とほとんどの
中性粒子が移動する軌道とを異なるようにしているの
で、イオンと中性粒子とが衝突する度合いをきわめて少
なくできる。これにより、イオンの損失を大幅に抑制で
きるようになる。
【0044】このようにして、本発明のイオン導入装置
によれば、質量分析装置に方向とエネルギに広がりのあ
るイオンを多量に導入できるようになるので、質量分析
装置の分析感度を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるイオン導入装置の実施の形態
の一例を示す図である。
【図2】 図1に示す例のイオン導入装置の偏向電場電
極群を拡大して示す図である。
【図3】 本発明のイオン導入装置の偏向電場電極群の
他の例を示す、図2と同様の図である。
【図4】 本発明のイオン導入装置の偏向電場電極群の
更に他の例を示す、図2と同様の図である。
【図5】 従来のICP MSの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…プラズマ発生装置、2…サンプリングコーン、3…
オリフィス、4…スキマコーン、5……オリフィス、6
…第1室、7…プルアウト、8…オリフィス、9…第1
室、10…隔壁、11…主スリット、12…第2室、1
4…質量分析部(MS分析部)、16…偏向電場電極
群、16a…第1電場電極、16b…第2電場電極、1
6c…第3電場電極、16d…入口、16f…第2出
口、16j…出口、16m…球面電極、16n…トロイ
ダル電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマによって試料を励起して試料か
    らイオンを発生し、このイオンを質量分析部に導入させ
    るインターフェイス部のイオン導入装置において、 前記イオンの方向を偏向させるとともに、前記イオンの
    方向を所定の方向に集束させかつ前記イオンのエネルギ
    を集束させる扇形電場を備えたことを特徴とするイオン
    導入装置
  2. 【請求項2】 前記扇形電場を発生するための電極に、
    前記イオンとともに移動する中性粒子が偏向されること
    なく直進して飛び出す出口を設けたことを特徴とする請
    求項1記載のイオン導入装置。
  3. 【請求項3】 前記扇形電場は円筒電場であることを特
    徴とする請求項1または2記載のイオン導入装置。
  4. 【請求項4】 前記扇形電場は球面電場であることを特
    徴とする請求項1または2記載のイオン導入装置。
  5. 【請求項5】 前記扇形電場はトロイダル電場であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のイオン導入装
    置。
JP9111007A 1997-04-28 1997-04-28 イオン導入装置 Pending JPH10302709A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9111007A JPH10302709A (ja) 1997-04-28 1997-04-28 イオン導入装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9111007A JPH10302709A (ja) 1997-04-28 1997-04-28 イオン導入装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10302709A true JPH10302709A (ja) 1998-11-13

Family

ID=14550047

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9111007A Pending JPH10302709A (ja) 1997-04-28 1997-04-28 イオン導入装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10302709A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010123561A (ja) * 2008-11-24 2010-06-03 Varian Inc 曲線状イオンガイドおよび関連方法
CN103311087A (zh) * 2013-05-16 2013-09-18 复旦大学 一种离子偏转传输系统
CN103681204A (zh) * 2012-09-08 2014-03-26 复旦大学 电感耦合等离子体质谱离子传输系统
CN104412356A (zh) * 2012-03-20 2015-03-11 布鲁克化学分析有限公司 一种供质谱仪使用的离子偏转器
US9236235B2 (en) 2008-05-30 2016-01-12 Agilent Technologies, Inc. Curved ion guide and related methods
US9558924B2 (en) 2014-12-09 2017-01-31 Morpho Detection, Llc Systems for separating ions and neutrals and methods of operating the same
CN112863997A (zh) * 2020-12-31 2021-05-28 杭州谱育科技发展有限公司 具有粒子消除功能的icp-ms

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9236235B2 (en) 2008-05-30 2016-01-12 Agilent Technologies, Inc. Curved ion guide and related methods
JP2010123561A (ja) * 2008-11-24 2010-06-03 Varian Inc 曲線状イオンガイドおよび関連方法
CN104412356A (zh) * 2012-03-20 2015-03-11 布鲁克化学分析有限公司 一种供质谱仪使用的离子偏转器
CN104412356B (zh) * 2012-03-20 2016-11-16 布鲁克化学分析有限公司 一种供质谱仪使用的离子偏转器
CN103681204A (zh) * 2012-09-08 2014-03-26 复旦大学 电感耦合等离子体质谱离子传输系统
CN103311087A (zh) * 2013-05-16 2013-09-18 复旦大学 一种离子偏转传输系统
US9558924B2 (en) 2014-12-09 2017-01-31 Morpho Detection, Llc Systems for separating ions and neutrals and methods of operating the same
US10141173B2 (en) 2014-12-09 2018-11-27 Rapiscan Systems, Inc. Systems for separating ions and neutrals and methods of operating the same
CN112863997A (zh) * 2020-12-31 2021-05-28 杭州谱育科技发展有限公司 具有粒子消除功能的icp-ms

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5553921B2 (ja) 多重反射式飛行時間型質量分析器
US6744047B2 (en) Multipole ion guide for mass spectrometry
US6348688B1 (en) Tandem time-of-flight mass spectrometer with delayed extraction and method for use
EP1116258B1 (en) Ion optical system for a mass spectrometer
JP2004146219A (ja) 質量分析装置及び質量分析方法
US7176455B1 (en) Multipole ion guide for mass spectrometry
JPS62264546A (ja) 質量分析器
JP3570393B2 (ja) 四重極質量分析装置
JP7029494B2 (ja) 分光およびイメージングシステム、並びに、試料の特性評価の方法
JP2004515882A (ja) 四重極質量分析器構成を含む質量分析計
US11056327B2 (en) Inorganic and organic mass spectrometry systems and methods of using them
JPH10302709A (ja) イオン導入装置
JPH0352180B2 (ja)
JP2018515899A (ja) 二重曲げイオンガイド及びそれを使用する装置
JPS6340241A (ja) イオンビ−ム装置
JP2817625B2 (ja) プラズマ質量分析装置
JP3435179B2 (ja) 荷電粒子のフィルタ方法、エネルギフィルタ装置、エネルギフィルタ装置を有する分析器
US6218672B1 (en) Ion source
JP7127701B2 (ja) 質量分析装置
JP3497367B2 (ja) イオン・ニュートラルセパレータ
US9818591B2 (en) Mirror lens for directing an ion beam
JPH11288683A (ja) 大気圧イオン化質量分析計
JPS60121663A (ja) レ−ザ−励起イオン源
JPH0637563Y2 (ja) 誘導結合プラズマ質量分析装置
JP4605865B2 (ja) イオン付着質量分析装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040324