JPH10302688A - X線発生装置 - Google Patents

X線発生装置

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Publication number
JPH10302688A
JPH10302688A JP11267697A JP11267697A JPH10302688A JP H10302688 A JPH10302688 A JP H10302688A JP 11267697 A JP11267697 A JP 11267697A JP 11267697 A JP11267697 A JP 11267697A JP H10302688 A JPH10302688 A JP H10302688A
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JP
Japan
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filament
target
electron
electron flow
ray generator
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Application number
JP11267697A
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English (en)
Inventor
Naohisa Osaka
尚久 大坂
Toshikatsu Nakajima
敏勝 中島
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2235/00X-ray tubes
    • H01J2235/06Cathode assembly
    • H01J2235/068Multi-cathode assembly

Landscapes

  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンタミネーションを抑制するとともに、L
aB6フィラメント10から放出された電子流aを均一
な電子密度でしかも所望の形状にターゲット12の表面
に収束させる。 【解決手段】 ターゲット12上に設定した電子流aの
照射部分と対向する位置に、ターゲット12と同一材料
で形成したイオン受部14を配設するとともに、ターゲ
ット12上に設定した電子流照射部分pとイオン受部1
4とを結ぶ直線経路を通る任意の仮想平面xに対し、L
aB6フィラメント10をほぼ対称に配設する。そし
て、該フィラメント10から放出される電子流aをウェ
ネルト11によりほぼ対称に収束してターゲット12の
照射部分に照射させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、フィラメントか
ら放出された電子流を、ウェネルトの制御によりターゲ
ットの所定位置に収束して照射させ、該電子流の照射部
分からX線を発生するX線発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フィラメントから放出した電子流aを銅
(Cu),モリブデン(Mo),タングステン(W)等
の材料からなるターゲット(対陰極)に衝突させると、
ターゲットの表面からX線が発生する。この原理を利用
して所望のX線を取り出すようにしたのがX線発生装置
である。
【0003】図6は従来のX線発生装置の内部構造を概
略的に示す模式図である。同図に示すように、フィラメ
ント1の対向位置にはターゲット2が配設してあり、ま
たフィラメント1の周囲にはウェネルト3が配置してあ
る。フィラメント1は負の高電圧の印加により加熱さ
れ、電子流aを放出する。また、ウェネルト3にも負の
高電圧が印加されており、フィラメント1から放出され
た電子流aを負の電位をもって収束させる。収束された
電子流aは、フィラメント1と対向するターゲット2の
表面に照射され、その照射部分pからは、ターゲット2
の材料に応じた所定波長のX線bが発生する。このX線
bを所定の方向に取り出すことにより、X線回折装置等
のX線源として利用することができる。
【0004】さて、上述したX線発生装置において、フ
ィラメントの損耗、およびターゲットへのフィラメント
材料の付着(コンタミネーション)が問題となってい
る。かかる問題の発生原因は未だ明確にされていない点
もあるが、概ね次のような現象によるものと考えられ
る。
【0005】すなわち、X線発生装置の内部は、真空ポ
ンプ4により真空吸引されて真空雰囲気を形成している
ものの、僅かではあるが装置内にガス分子が残留するこ
とは避けられない。そして、ターゲット2の電子流照射
部分pは電子流aが収束するため電子密度が最も高く、
したがって該部分pの周辺で残留ガス分子を最も多くイ
オン化する。このようにして電子流照射部分pの近辺で
発生したイオンcの内、陽イオンは電子流の軌道に沿っ
て進行しフィラメント1に衝突するため、フィラメント
1がイオン衝撃を受けて蒸発する現象が生じる。このた
め、フィラメントの寿命が短くなる。
【0006】イオン衝撃により蒸発したフィラメントの
構成原子は、電子流とともにターゲット2の方向へ進行
し、ターゲット2の表面に付着する。その結果、ターゲ
ット2の表面にフィラメント材料の層が形成される現
象、すなわちコンタミネーションが発生すると考えられ
る。コンタミネーションが発生すると、ターゲット2の
表面に形成されたフィラメント材料の層に電子が衝突す
ることとなり、その結果、ターゲット2からフィラメン
ト材料の特性X線が発生するという問題が生じる。
【0007】そこで、フィラメントの延命対策およびコ
ンタミネーションの抑制対策として、X線発生装置内の
真空度を上げ、残留ガス分子をできる限り減少させる手
段が考えられる。しかし、X線発生装置内の真空度を上
げるには、高出力の真空ポンプを必要とするとともに、
装置本体の細部にわたり、放出ガスの発生が少なくしか
も高い真空圧に耐えられる構造にしなければならないた
め、設備コストが高価格化する。
【0008】また、フィラメントの延命対策およびコン
タミネーションの抑制対策として、図5に示すような手
段も提案されている。すなわち、第1のウェネルト3a
の中心軸に対し、第2のウェネルト3bをずらして配置
することにより、フィラメント1から放出された電子流
aの軌道を曲げてターゲット2に照射する。電子流aの
照射部分p付近で発生したイオンは、質量が大きいため
湾曲した電子流aの軌道を外れ直進する。その結果、フ
ィラメント1へのイオン衝撃が減少し、フィラメント1
の延命とコンタミネーションの抑制を図ることができ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5に
示す従来の手段では、フィラメント1から放出された電
子流aの軌道を偏向していることから、電子流aの密度
に部分的な濃淡が生じたり、焦点形状に歪が生じたりす
る欠点があった。特に、X線発生装置をX線回折装置な
どの分析機器のX線源として利用する場合、電子密度の
均一な所望の形状をしたX線焦点の形成が要求される。
そのためには、ターゲット2上に照射される電子流aの
電子密度が均一で、しかも所望の形状に収束されなけれ
ばならない。
【0010】この発明は、上述した事情に鑑みてなされ
たもので、その目的はフィラメントの長寿命化とコンタ
ミネーションの抑制を図ることを目的とする。またこの
発明は、フィラメントから放出された電子流を均一な電
子密度でしかも所望の形状にターゲットの表面に収束さ
せることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、加熱により電子放出領域から電子を放出
するフィラメントと、該フィラメントから放出された電
子流を収束させるウェネルトと、フィラメントから放出
された電子流の照射により該照射部分からX線を発生す
るターゲットとを備えたX線発生装置において、ターゲ
ット上に設定した電子流の照射部分と対向する位置に、
ターゲットと同一材料で形成したイオン受部を配設した
構成としてある。
【0012】このような構成とすることにより、コンタ
ミネーションによるフィラメント材料のターゲット表面
への付着を抑制するとともに、イオン衝撃によるフィラ
メントの損傷を回避して長寿命化を図ることができた。
すなわち、フィラメントから放出された電子流は、ウェ
ネルトにより収束されてターゲットの照射部分に衝突す
る。このとき、ターゲットの表面からX線が発生すると
ともに、電子流の照射部分付近で多くのイオンが発生す
る。このイオンのうち、主に陽イオンはマイナス電位の
方向に引き付けられる。結果としてターゲットにおける
電子流の照射部分と対向する方向へ直進していく。その
方向にはイオン受部が配設してあり、イオンはこのイオ
ン受部に衝突する。その結果、イオン受部がイオン衝撃
を受け蒸発する。蒸発したイオン受部の材料は、電子流
に沿って進行しターゲットの表面に付着する。
【0013】しかし、イオン受部はターゲットと同一材
料で形成してあるので、ターゲットの表面に異なる材料
からなる層が形成されることはなく、ターゲットの表面
からは所望の特性X線を継続して発生させることができ
る。このようにして、コンタミネーションを抑制するこ
とができる。また、フィラメントへのイオン衝撃を回避
できる結果、フィラメントの寿命を延ばすことができ
る。
【0014】またこの発明は、ターゲット上に設定した
電子流の照射部分とイオン受部とを結ぶ直線経路を通る
任意の仮想平面に対し、フィラメントの少なくとも電子
放出領域をほぼ対称に配設し、該フィラメントから放出
される電子流をウェネルトによりほぼ対称に収束して前
記ターゲットの照射部分に照射させる構成としてもよ
い。
【0015】このような対称位置に配設されたフィラメ
ントの電子放出領域から放出された電子流は、ウェネル
トによりほぼ対称に収束され、均一な電子密度で歪のな
い焦点をターゲットの表面に形成する。したがって、電
子密度の均一な所望の形状をしたX線焦点をターゲット
上に形成し、高品質のX線を発生させることができる。
【0016】この発明は、フィラメントの背面に、ウェ
ネルトとほぼ同電位の電子反射板を設置するとともに、
該反射板にイオン受部を突出して設けてもよい。このよ
うに構成すれば、フィラメントの背面方向に飛び出して
きた電子の軌道を、電子反射板によりターゲット方向に
修正でき、ターゲットにより多くの電子流を照射するこ
とができ、X線の発生効率を向上させることができる。
【0017】またこの発明は、フィラメントを、LaB
6(六硼化ランタン)材料からなる板状または棒状のフ
ィラメントで形成するとともに、ターゲット上に設定し
た電子流の照射部分とイオン受部とを結ぶ直線経路を通
る任意の仮想平面に対し、同フィラメントの電子放出領
域をほぼ対称に配設した構成とすることができる。一
方、フィラメントを、タングステン材料からなる少なく
とも一対のコイルフィラメントで形成するとともに、タ
ーゲット上に設定した電子流の照射部分とイオン受部と
を結ぶ直線経路を通る任意の仮想平面に対し、対の関係
にあるコイルフィラメントの少なくとも電子放出領域を
ほぼ対称に配設した構成としてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の
第1実施形態に係るX線発生装置を模式的に示す側面断
面図、図2は図1におけるA−A線断面図である。同図
に示すX線発生装置は、フィラメント10から放出され
た電子流aをウェネルト11で収束してターゲット12
の表面に照射することにより、該電子流照射部分pから
X線bを発生させる。
【0019】この実施形態では、フィラメントとしてL
aB6材料からなる板状のフィラメント(以下、LaB6
フィラメントと称する)10を用いている。このLaB
6フィラメント10は、比較的低い加熱温度で大きな電
子放出密度を得ることができるという特徴がある。図2
に示したLaB6フィラメント10は、両端部10a,
10bに電極を形成するとともに、中央領域(図2に破
線のハッチングで示した領域)を電子放出領域10cと
してある。この電子放出領域10cは、両端部10a,
10bの電極に負の高電圧を印加すると、ほぼ均一に加
熱されて側面から電子を放出する。このLaB6フィラ
メント10の電子放出領域10cは、水平の仮想平面x
に対し上下にほぼ対称な形状としてある。なお、電子放
出領域10cの下辺部分には隙間10dが存在している
が、この隙間10dは全体からみて僅かな寸法であるた
め、電子放出領域10cの対称性に影響を与えるもので
はない。
【0020】ターゲット12は、LaB6フィラメント
10から放出された電子の衝突によりX線を発生する金
属材料(例えば、モリブデン、クロム、タングステン、
金、銀)で表面を形成してある。ターゲット12には、
回転式のもの(ロータリーターゲット)と固定式のもの
(固定ターゲット)とがある。このターゲット12の表
面所定位置(電子流照射部分p)に、LaB6フィラメ
ント10から放出した電子流aが照射される。
【0021】ウェネルト11は、LaB6フィラメント
10の電子放出領域10cを包囲するように設けてあ
り、前面中央部が電子流aをほぼ対称に収束して導き出
す透過窓11aとなっている。このウェネルト11に
は、LaB6フィラメント10に印加された電圧よりも
やや小さな負の電圧が印加され、透過窓11a部分に電
場を形成する。この電場によりLaB6フィラメント1
0から放出された電子流aをほぼ対称に収束して、ター
ゲット12の電子流照射部分pに歪のない焦点を形成す
る構造となっている。
【0022】また、LaB6フィラメント10の背面に
は、金属材料からなる電子反射板13が設けてある。こ
の電子反射板13にはウェネルト11とほぼ同電位の電
圧が印加され、LaB6フィラメント10の背面部に電
場を形成する。LaB6フィラメント10の電子放出領
域10cからは、前方のみならず背面方向にも電子が放
出される。電子反射板13は、このように後方へ放出さ
れた電子の軌道を前方に向かうように修正する機能を有
している。これによりターゲット12に照射される電子
流aの密度を向上することができる。
【0023】この電子反射板13の正面所定位置には、
イオン受部14が突出して形成してある。このイオン受
部14は、ターゲット12の電子流照射部分pに対向し
て設けてあり、ターゲット12と同一の金属材料で形成
してある。イオン受部の端面形状は、ターゲット12の
表面における電子流aの収束(焦点)形状とほぼ同一に
することが好ましい。イオン受部14は、電子反射板1
3と一体成形してもよく、また別体に形成した後、電子
反射板13に固定してもよい。なお、一体成形した場合
には、電子反射板13もターゲット12と同一の金属材
料となる。
【0024】上述したLaB6フィラメント10は、電
子放出領域10cをほぼ対称に分断する仮想平面xが、
ターゲット12の電子流照射部分pとイオン受部14と
を結ぶ直線経路を通るように配設してある。以上説明し
た各構成要素は、図示しない装置本体内に設けられてい
る。装置本体内は真空ポンプ(図示せず)により真空吸
引されて、真空雰囲気を形成する。
【0025】次に、本実施形態に係るX線発生装置の作
用を説明する。LaB6フィラメント10から放出され
た電子流aは、ウェネルト11によりほぼ対称に収束さ
れてターゲット12に照射される。ここで、LaB6
ィラメント10は、ターゲット12の電子流照射部分p
とイオン受部14とを結ぶ直線経路を通る仮想平面xに
対し対称性を有しているため、対称位置から放出された
電子流aはクロスオーバーして、均一な電子密度で焦点
の歪もなくターゲット12の表面に収束する。したがっ
て、電子密度の均一な所望の形状をしたX線焦点をター
ゲット12上に形成し、高品質のX線bを発生させるこ
とができる。
【0026】また、ターゲット12に電子流aが照射さ
れると、電子流照射部分pの近傍で多くのイオンが発生
する。このイオンのうち、主に陽イオンはマイナス電位
の方向に引き付けられる。結果としてターゲット12に
おける電子流照射部分pと対向する方向へ直進してい
く。その方向にはイオン受部14が配設してあり、イオ
ンはこのイオン受部14に衝突する。その結果、イオン
受部14がイオン衝撃により蒸発する。蒸発したイオン
受部14の材料は、電子流に沿って進行しターゲット1
2の表面に付着する。
【0027】しかし、イオン受部14はターゲット12
と同一の材料で形成してあるので、ターゲット12の表
面に異なる材料の層が形成されることはない。したがっ
て、ターゲット12の表面からは所望の特性X線を継続
して発生させることができる。また、LaB6フィラメ
ント10の背面方向に放出された電子は、電子反射板1
3によってターゲット12のある方向へ軌道修正され
る。したがって、ターゲット12に照射される電子流a
の密度が向上し、X線bの発生効率を上げることができ
る。
【0028】次に、この発明の第2実施形態を説明す
る。図3はこの発明の第2実施形態に係るX線発生装置
を模式的に示す側面断面図、図4は図3におけるB−B
線断面図である。なお、これらの図において、先に示し
た図1,図2と同一部分には同一符号を付してある。こ
の第2実施形態では、フィラメントとしてタングステン
材料からなる一対のコイルフィラメント20を用いてい
る。これらのコイルフィラメント20は、中央のコイル
部分が電子放出領域20aとなっており、両端に負の高
電圧を印加すると、該電子放出領域20aがほぼ均一に
加熱されて同領域20aから電子を放出する。コイルフ
ィラメント20から放出された電子流aは、ウェネルト
11により収束されて、ターゲット12の表面に照射さ
れる。
【0029】この実施形態でも、コイルフィラメント2
0の背面側には電子反射板13が配設してあり、コイル
フィラメント20から後方に放出された電子の軌道を前
方に向かうように修正し、ターゲット12に照射される
電子流aの密度を向上させている。そして、電子反射板
13の正面所定位置には、イオン受部14が突出して形
成してある。このイオン受部14は、ターゲット12の
電子流照射部分pに対向して設けてあり、ターゲット1
2と同一の金属材料で形成してある。
【0030】上述した一対のコイルフィラメント20
は、ターゲット12の電子流照射部分pとイオン受部1
4とを結ぶ直線経路を通る仮想平面yに対してほぼ対称
に配設してある。以上説明した各構成要素は、図示しな
い装置本体内に設けられている。装置本体内は真空ポン
プ(図示せず)により真空吸引されて、真空雰囲気を形
成する。
【0031】次に、本実施形態に係るX線発生装置の作
用を説明する。コイルフィラメント20から放出された
電子流aは、ウェネルト11によりほぼ対称に収束され
てターゲット12に照射される。ここで、一対のコイル
フィラメント20は、ターゲット12の電子流照射部分
pとイオン受部14とを結ぶ直線経路を通る仮想平面y
に対し対称性を有しているため、対称位置から放出され
た電子流aはクロスオーバーして、均一な電子密度で焦
点の歪もなくターゲット12の表面に収束する。したが
って、電子密度の均一な所望の形状をしたX線焦点をタ
ーゲット12上に形成し、高品質のX線を発生させるこ
とができる。
【0032】また、ターゲット12に電子流aが照射さ
れると、電子流照射部分aの近傍で多くのイオンが発生
する。このイオンのうち、主に陽イオンはマイナス電位
の方向に引き付けられる。結果としてターゲット12に
おける電子流照射部分pと対向する方向へ直進してい
く。その方向にはイオン受部14が配設してあり、イオ
ンはこのイオン受部14に衝突する。その結果、イオン
受部14がイオン衝撃により蒸発する。蒸発したイオン
受部14の材料は、電子流に沿って進行しターゲット1
2の表面に付着する。
【0033】しかし、イオン受部14はターゲット12
と同一の材料で形成してあるので、ターゲット12の表
面に異なる材料の層が形成されることはない。したがっ
て、ターゲット12の表面からは所望の特性X線を継続
して発生させることができる。また、コイルフィラメン
ト20の背面方向に放出された電子は、電子反射板13
によってターゲット12のある方向へ軌道修正される。
したがって、ターゲット12に照射される電子流aの密
度が向上し、X線の発生効率を上げることができる。
【0034】なお、この発明は上述した実施形態に限定
されるものではなく、請求の範囲に記載された発明の技
術的範囲内で種々の変形または応用が可能であることは
勿論である。例えば、LaB6フィラメントは、図1,
図2に示したような形状に限らず、任意の仮想平面に対
して対称性を有する種々の形状に成形することができ
る。また図1に示したLaB6フィラメントは、薄肉の
板状に形成してあったが、同フィラメントを肉厚のある
棒状に形成することもできる。さらに、電子放出領域に
発生する熱の均一性を保つため、同領域の周囲を囲むよ
うにLaB6フィラメントを延在させてもよい。
【0035】またLaB6フィラメントは、両端部に電
圧を印加して加熱する方式に代えて、同フィラメントの
近傍に設けた発熱体により電子放出領域を加熱する、い
わゆる傍熱形の加熱方式を採用することもできる。上述
した第2実施形態では、一対のコイルフィラメントをほ
ぼ対称に配設したが、同フィラメントを二対以上用意
し、それぞれ対の関係にあるコイルフィラメントを、タ
ーゲット上に設定した電子流の照射部分と前記イオン受
部とを結ぶ直線経路を通る任意の仮想平面に対してほぼ
対称に配設してもよい。ターゲット上に設定した電子流
の照射部分と前記イオン受部とを結ぶ直線経路を通る仮
想平面に対するフィラメントの対称性は、少なくとも電
子流を放出する電子放出領域においてほぼ保たれていれ
ばよい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のX線発
生装置によれば、ターゲット上に設定した電子流の照射
部分と対向する位置に、ターゲットと同一材料で形成し
たイオン受部を配設したので、コンタミネーションによ
るフィラメント材料のターゲット表面への付着を抑制す
るとともに、イオン衝撃によるフィラメントの損傷を回
避して長寿命化を図ることができる。またこの発明は、
ターゲット上に設定した電子流の照射部分とイオン受部
とを結ぶ直線経路を通る任意の仮想平面に対し、フィラ
メントの少なくとも電子放出領域をほぼ対称に配設し、
該フィラメントから放出される電子流をウェネルトによ
りほぼ対称に収束してターゲットの照射部分に照射させ
るので、フィラメントから放出された電子流を、均一な
電子密度でしかも所望の形状にターゲットの表面に収束
させて高品質なX線を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るX線発生装置を
模式的に示す側面断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】この発明の第2実施形態に係るX線発生装置を
模式的に示す側面断面図である。
【図4】図3におけるB−B線断面図である。
【図5】従来のX線発生装置におけるコンタミネーショ
ン抑制手段を示す模式図である。
【図6】従来のX線発生装置の内部構造を概略的に示す
模式図である。
【符号の説明】
10:LaB6フィラメント 11:ウェネルト 12:ターゲット 13:電子反射板 14:イオン受部 20:コイルフィラメント

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱により電子放出領域から電子を放出
    するフィラメントと、該フィラメントから放出された電
    子流を収束させるウェネルトと、前記フィラメントから
    放出された電子流の照射により該照射部分からX線を発
    生するターゲットとを備えたX線発生装置において、 前記ターゲット上に設定した電子流の照射部分と対向す
    る位置に、前記ターゲットと同一材料で形成したイオン
    受部を配設したことを特徴とするX線発生装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のX線発生装置において、 前記ターゲット上に設定した電子流の照射部分と前記イ
    オン受部とを結ぶ直線経路を通る任意の仮想平面に対
    し、前記フィラメントの少なくとも電子放出領域をほぼ
    対称に配設し、該フィラメントから放出される電子流を
    前記ウェネルトによりほぼ対称に収束して前記ターゲッ
    トの照射部分に照射させることを特徴とするX線発生装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のX線発生装置に
    おいて、 前記フィラメントの背面に、前記ウェネルトとほぼ同電
    位の電子反射板を設置するとともに、該反射板に前記イ
    オン受部を突出して設けたことを特徴とするX線発生装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    X線発生装置において、 前記フィラメントを、LaB6材料からなる板状または
    棒状のフィラメントで形成するとともに、前記ターゲッ
    ト上に設定した電子流の照射部分と前記イオン受部とを
    結ぶ直線経路を通る任意の仮想平面に対し、前記フィラ
    メントの少なくとも電子放出領域をほぼ対称に配設した
    ことを特徴とするX線発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    X線発生装置において、 前記フィラメントを、タングステン材料からなる少なく
    とも一対のコイルフィラメントで形成するとともに、前
    記ターゲット上に設定した電子流の照射部分と前記イオ
    ン受部とを結ぶ直線経路を通る任意の仮想平面に対し、
    前記対の関係にあるコイルフィラメントの少なくとも電
    子放出領域をほぼ対称に配設したことを特徴とするX線
    発生装置。
JP11267697A 1997-04-30 1997-04-30 X線発生装置 Pending JPH10302688A (ja)

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