JPH10301066A - 多焦点眼鏡レンズ - Google Patents

多焦点眼鏡レンズ

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JPH10301066A
JPH10301066A JP9127799A JP12779997A JPH10301066A JP H10301066 A JPH10301066 A JP H10301066A JP 9127799 A JP9127799 A JP 9127799A JP 12779997 A JP12779997 A JP 12779997A JP H10301066 A JPH10301066 A JP H10301066A
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JP
Japan
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lens
curvature
axis
ball
symmetry
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JP9127799A
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Yasunori Ueno
保典 上野
Masami Suzuki
賢美 鈴木
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学性能が優れ、かつ中心厚も薄い、台玉が
正の屈折力を有する多焦点眼鏡レンズを提供すること。 【解決手段】 本発明の多焦点眼鏡レンズは、前方屈折
面及び後方屈折面の一対の屈折面を有する多焦点眼鏡レ
ンズであって、前方屈折面が、主として遠方視のための
台玉と、近方視のための小玉とにより構成され、台玉の
屈折力は、0ディオプター以上、かつ+8ディオプター
未満の正の屈折力を有し、台玉及び小玉の少なくともど
ちらか一方が非球面であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目の調節力を補助
するため、特に老視矯正用に使用する多焦点眼鏡レンズ
に関する。
【0002】
【従来技術】眼の屈折異常を矯正するために用いられる
眼鏡レンズの第1面の屈折面は加工の容易性を考慮して
球面レンズが採用されている。一方、第2面の屈折面は
球面のほかに、乱視等の矯正のためにトーリック面が採
用されいる。以下、本発明においては、球面レンズ、ト
ーリック面レンズを総称して球面レンズと呼ぶことにす
る。
【0003】レンズの屈折力はディオプター(以下、
「D」という)と呼ばれる単位で表される。また、レン
ズの表面における屈折力(面屈折力)はその面の曲率ρ
(単位はm-1、曲率半径R=1/ρ)とレンズの硝材の
屈折率nにより次式、 のように定義される。レンズの第1面の屈折力は特にベ
ースカーブと呼ばれ、ベースカーブに対応する曲率をベ
ースカーブ曲率という。
【0004】レンズの度数は主に第1面及び第2面の二
つの屈折力により決定されるため、一定のレンズの度数
を得るのに必要なベースカーブは、屈折力の組合せによ
っていろいろな値をとることができる。しかし、実際は
光学性能、特にレンズの光軸から離れた側方部を通して
見たとき眼に作用する非点収差を小さくするために、ベ
ースカーブはレンズの度数に対して特定の範囲内に限定
される。一般に眼鏡レンズにおいてこの非点収差を最小
にする値を求めるために使用されるのがチェルニングの
楕円と言われるものである。チェルニングの楕円を用い
て得られる値は、薄肉レンズにおける非点収差の最小解
であり、実際のレンズは中心厚を有するので、チェルニ
ングの楕円ではなく光線追跡を行って実用解を求めてい
る。チェルニングの楕円により求めた解と光線追跡によ
る実用解は多少異なってはいるが、実用解はそれほど大
きくチェルニングの楕円からはずれるようなことはな
い。
【0005】チェルニングの楕円によると、非点収差が
最小となる最適のベースカーブは遠方視と近方視とで異
なっている。つまり、光学系を設計するときに遠方視を
重視するか、近方視を重視するかによって最適のベース
カーブが異なってくることとなる。そのため、遠方視及
び近方視において収差を同等に補正するためには、遠方
視用ベースカーブと近方視用ベースカーブの中間付近の
ベースカーブが一般に採用される。
【0006】このように、レンズ設計上の思想として、
(1)遠方視において収差が少なくなるようにする場
合、(2)近方視において収差が少なくなるようにする
場合、(3)遠方視と近方視の両方において収差が最も
少なくなるようにする場合の3通りの設計目標が考えら
れる。
【0007】次に、多焦点レンズについて説明する。一
枚のレンズを遠方視部(遠用部)と近方視部(近用部)
とに分け、2つの異なる度数を持たせたものを2重焦点
レンズといい、遠用、近用及び中間の3種類の度数の部
分を持たせたものを3重焦点レンズという。また遠用部
から近用部にかけて屈折力を連続的に変化させたレンズ
を累進焦点レンズと呼ぶ。
【0008】現在使用されている2重焦点レンズの種類
は、融着型とワンピース型に大別することができる。融
着型レンズの構成を図5(a)、(b)に示す。融着型
レンズでは、クラウンガラスの台玉となるレンズの前面
に、屈折率の高いバリウムフリント等のガラスの小玉を
埋め込み融着している。融着型レンズは、レンズの境界
線に段差がなく、台玉と小玉の境目が目立ちにくいとい
う特徴がある。
【0009】また、代表的なワンピースレンズは、プラ
スチック材料を用いてワンピース型としたものがある。
ワンピースレンズの例を図6(a)、(b)に示す。ワ
ンピースプラスチックレンズでは重量が軽減され、また
小玉が台玉よりつきだしており、境界部分に段差が存在
している。ここで、一般に遠用部と近用部の屈折力の差
を加入度という。
【0010】ところで、主として遠視や老眼に用いる正
(プラス)の度数を持つレンズの度数の欠点として、レ
ンズの中心厚が度数が強度になるにつれて厚くなるこ
と、また曲率の大きいものを使わなければならないこと
による凸面の出っ張りが強くなり、外観的に見苦しくな
ることが挙げられる。またレンズのカーブが強くなり、
度数が強くなるにしたがって眼の網膜上の像拡大率が大
きくなる。
【0011】一般的に眼鏡レンズによる像拡大Mは次
式、 M=1/(1−dL)・1/(1−(t/n)L1) (1) で表される。ここで、d(単位:m)はレンズ後頂点と
入射瞳までの距離、L(単位:D)はレンズの後頂点屈
折力、t(単位:m)はレンズの厚さ、nはレンズのd
線(λ=587.56nm)に対する屈折率、L1(単
位:D)はレンズの前面屈折力をそれぞれ表している。
この式(1)で第一項をディオプトリック・ファクタ
ー、第二項をシェイプ・ファクターと各々呼んでいる。
なお、以下屈折率はすべてd線(λ=587.56n
m)に対するものをいう。
【0012】また、老視の矯正には単焦点レンズや2重
焦点(バイフォーカル)レンズ、累進多焦点レンズ等が
用いられている。これらの中でも累進多焦点レンズは、
遠方視時と近方視時で眼鏡の掛け替えや掛けはずしがい
らず、また外観も2重焦点レンズのようなレンズの境目
がないので、その需要はかなり高まってきている。しか
し、累進多焦点レンズは、依然としていわゆる揺れ歪み
が存在し、光学性能もそれほど優れたものとはいえず慣
れるのに時間を要するばかりでなく、慣れない人も存在
する。
【0013】それに対して2重焦点レンズをはじめとし
た多焦点レンズは累進多焦点レンズのような焦点距離の
中間部が存在しないが、累進多焦点レンズに比較すると
光学的に優れているばかりでなく、視野も広いため比較
的使いやすい。ただし、外観上レンズの境目が存在して
いる。
【0014】従来種々の多焦点レンズが製造、販売され
ているが、上述したように2重焦点レンズ等は累進多焦
点レンズに比ベて光学的性能は優れているが、それでも
未だ十分な光学性能を有しているとはいえない。例え
ば、遠用部の光学性能が優れていても、近用部の光学性
能が十分でなかったり、またその逆の場合もある。
【0015】ところで、主として遠用部が遠視矯正(台
玉の屈折力が正)に用いられるプラスの度数を持つレン
ズの短所として、レンズの度数が強度になるにつれてレ
ンズの中心厚が厚くなることが挙げられる。レンズの中
心厚が厚くなると、レンズ自体、ひいては眼鏡全体の重
量が重くなるという問題がある。
【0016】遠方視(無限遠)矯正設計のレンズの従来
例を図7に示す。かかるレンズの度数は+4.0D、レ
ンズ径は70mmである。このレンズは一般に使用され
ている屈折率1.50のプラスチックレンズで、ベース
カーブは8.5D、中心厚tは6.5mmである。本従
来例の場合、レンズの縁厚EDは1.0mm、また出っ
張り量Hは12.5mmである。図7から明らかなよう
に、眼鏡レンズにしたときにぶ厚く、外観が見苦しく
(見栄えが悪く)なる。
【0017】また、このときの網膜上での像拡大率を上
記式(1)に基づいて計算するとM=1.154とな
り、像拡大率は15.4%となる。
【0018】外観上の見栄えの問題を解決する方法とし
てベースカーブを小さくすることが考えられる。図8に
示すレンズは、図7と同じ条件のレンズでベースカーブ
を5.0Dとしたものである。このレンズの中心厚tは
6.0mmとなり図7のレンズに比較して0.5mm薄
くなり、出っ張り量Hも7.3mmであり、同様に5.
2mm減少できている。また、このときの網膜上での像
拡大率は式(1)に基づいて計算するとM=1.134
となり、像拡大率は13.4%となる。したがって、図
7に示すレンズに比較して網膜上での像拡大率は軽減さ
れてる。これは、ベースカーブを小さくすることによっ
てシェイプ・ファクターが小さくなることによるもので
ある。ベースカーブを小さくすることによってシェイプ
・ファクターが小さくなり像拡大率を減少させる効果
は、度数が強くなればなるほど効果が顕著になるのは言
うまでもない。
【0019】一方、前述したように本来ベースカーブ自
体は光学性能上から決定されるものであるので、5.0
Dのべースカーブにすると8.5Dのベースカーブのレ
ンズに比較して光学性能が著しく低下する。ベースカー
ブ8.5D及び5.0Dのレンズの装用状態での視野に
おける非点収差をそれぞれ図9及び図10に示す。縦軸
は視野の角度(単位:度)、横軸は光軸上の屈折力を基
準とした非点収差(単位はDであり、メリジオナル(m
eridional)方向(m)とサジタル(sagi
tal)方向(s)の差分(m−s)を表している。)
である。図9及び図10から明らかなように、ベースカ
ーブが8.5Dの場合に比較して5.0Dの場合は、著
しく非点収差が大きくなっている。ベースカーブの選択
が如何に光学性能を左右するかがわかる。
【0020】以下の表1に上記各従来例の球面レンズの
諸元値を掲げる。R1,R2は観察物体側からのレンズ
面の曲率半径である。
【0021】
【表1】 遠方視重視設計・ベースカーブ8.5Dの場合(図7) R1=58.824 ED= 6.5 R2=103.682 H=12.5 遠方視重視設計・ベースカーブ5.0Dの場合(図8) R1=100.000 ED= 6.0 R2= 453.918 H= 7.3
【0022】また、チェルニングの楕円より明らかなよ
うに、遠方視において最適なべースカーブは、近方視に
おいて最適なベースカーブより大きい。2重焦点レンズ
をはじめとした多焦点レンズにおいては、被検眼の調節
力を補うためレンズ内に加入度を与えることによって、
被検眼の調節力不足を補っている。この場合、近用部の
カーブは遠用部のカーブに加入度分だけ付加したカーブ
になっており、遠用部のカーブは近用部のカーブより小
さくなっている。例えば、遠用部のベースカーブが5D
の時、加入度を2Dとすると近用部のベースカーブは7
Dとなる。したがって、いくら遠方視の光学性能的を向
上させても、近方視では最適にならないばかりか、かえ
って悪化してしまう。逆に、近方視の光学的性能を向上
させても、遠方視における光学的性能は悪くなってしま
う。
【0023】
【発明が解決すべき課題】かかるレンズの外観上の見栄
えの問題と光学性能の低下を解決するものとして、単焦
点レンズか多焦点レンズかに関わらず、第1面の屈折面
を非球面にしたものが、例えば、特開昭52−1366
44号公報、特公昭60−15248号公報、特開昭5
8−24112号公報などにいくつか提案されている。
【0024】特開昭52−136644号公報に開示さ
れているのは、楕円、放物線、双曲線といった二次曲線
を子午線としてもち、それを回転してできる非球面を第
一面の屈折面としたもので、このタイプのものは従来よ
り多くみられる。また、特公昭60−15248号公報
と特開昭58−24112号公報には、無水晶体眼のた
めの強い正の度数を有するレンズが開示されており、前
者では半径rに関する10次関数の回転非球面を、後者
では二次曲線を基本としそれに修正項を付加した回転非
球面を採用している。
【0025】これらの従来の非球面レンズに共通して言
えることは、子午線の曲率が回転軸(一般にレンズの幾
何中心)から周辺に向かってほぼ単調にかつ加速度的に
減少することである。この結果、周辺部分におけるレン
ズの度数が中心部に比べ大幅に低下し、装用者の眼の処
方にあった有効視野範囲が狭くなるという欠点があり問
題である。
【0026】特に、無水晶体眼用のレンズにおいては、
レンズの薄形化を図るため強い非球面を採用している。
このため有効視野の範囲がレンズ上で直径30mmから
せいぜい40mmぐらいに制限されてしまうという問題
点があった。
【0027】また、特開平8−5967号公報では、レ
ンズの薄型化と光学性能をある程度向上させているが、
多焦点レンズに適応するものではなかった。
【0028】本発明は、上述したような目の調節力の補
助として、特に老視矯正用に使用する多焦点眼鏡レンズ
において、台玉の度数が正の屈折カを有する多焦点レン
ズにおける問題点を解決し、光学性能的に優れ、かつ中
心厚も薄く、軽量な多焦点眼鏡レンズを提供することを
目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の多焦点眼鏡レン
ズは、前方屈折面及び後方屈折面の一対の屈折面を有す
る多焦点眼鏡レンズにおいて、前記前方屈折面が、主と
して遠方視のための台玉と、近方視のための小玉とによ
り構成され、前記台玉の屈折力は、0ディオプター以
上、かつ+8ディオプター未満の正の屈折力を有し、前
記台玉及び小玉の少なくともどちらか一方が非球面であ
ることを特徴としている。
【0030】前述したように、一般に球面レンズにおい
て最適なベースカーブはチェルニングの楕円から求めら
れるものに近いカーブである。このカーブを採用すると
光学性能的には十分満足なものが得られるが、欠点とし
て、度数が強くなるにつれてレンズの中心厚が厚くなる
こと、また曲率の大きいものを使わなければならないこ
とによる凸面の出っ張りが強くなり、外観的に見苦しく
なることが挙げられる。さらに、レンズのカーブが強く
なり、度数が強くなるにしたがって眼の網膜上の像拡大
率が大きくなる。
【0031】台玉に球面形状を用いている限り、光学性
能上最適なベースカーブは一意に決まってしまい、眼鏡
レンズにしたとき中心厚が厚くなったり、凸面の出っ張
りが強くなり外観的に見苦しいものとなる。逆に、この
中心厚が厚くなったり、凸面の出っ張りが強くなり外観
的に見苦しくなるという欠点を解消するためには光学性
能上の最適なベースカーブより鈍いベースカーブを採用
しなければならない。このとき光学性能が劣化するのは
上述した通りである。
【0032】本発明の構成では、非球面を採用すること
により、光学性能上の最適なベースカーブより鈍いベー
スカーブを採用し、外見上の欠点を解消しつつ、優れた
光学性能を実現できる。
【0033】また、本発明の多焦点眼鏡レンズは、前記
台玉または小玉の前方屈折面は回転軸対称な非球面形状
であり、該前方屈折面の子午面の曲率をβm(m-1)、
前記子午面と直交する球欠面の曲率をβs(m-1)、 前記両曲率の差をZ=βm−βs、 としたときに、前記回転軸対称の対称軸から前記台玉ま
たは小玉の外周方向に向かって少なくとも20mm以内
の範囲において前記曲率差Zの値は単調に減少すること
を特徴としている。
【0034】台玉のベースカーブを鈍くすると、小玉の
ベースカーブも鈍くなるが、近方視用として加入度が付
加されているので、最適なカーブにまで至っていない。
ただ小玉のベースカーブが鈍くなっているため、小玉の
出っ張り量が少なくなるので見栄えがよい。この場合で
も、未だに光学性能的には不十分である。
【0035】眼鏡レンズにおいては、非点収差が最小で
あることが必要である。光学性能上の最適なベースカー
ブより鈍いベースカーブを採用することによって非点収
差が増大するが、かかる非点収差を最小にするような非
球面が望ましいのは言うまでもない。非点収差を最小に
するためには、メリジオナル方向(m)の曲率とサジタ
ル方向(s)の曲率が異なるような非球面にすれば良
い。その量は発生した非点収差に応じて、またレンズ面
上の高さによって異なる。したがって、前方屈折面の子
午面の曲率をβm(m-1)、前記子午面と直交する球欠
面の曲率をβs(m-1)とするときに中心から外周にか
けてのZ=βm−βsの値とその変化が重要となる。こ
のことは、遠用部、近用部のいずれについても言えるこ
とである。
【0036】本発明では、レンズの台玉の第1面の屈折
面のカーブを鈍くしつつ、そのカーブを鈍くすることに
よって発生する非点収差を補正するために、その面に非
球面形状を採用している。また、Zの値も、従来のよう
レンズの外周へ向かって加速度的に減少するのではな
く、対称軸から20mmの範囲で単調に減少している。
さらに、本発明では、小玉の第1面の屈折面も鈍くしつ
つ、非球面を採用している。これらの特徴により、外観
的にも薄く、かつ光学性能の優れた多焦点レンズを実現
している。
【0037】また、本発明では、前記台玉または小玉の
前方屈折面が回転軸対称非球面形状であり、該前方屈折
面の子午面の曲率をβm(m-1)、前記子午面と直交す
る球欠面の曲率をβs(m-1)、 前記両曲率の差をZ=βm−βs、 前記台玉または小玉の回転軸対称の対称軸上の曲率をρ
(m-1)、前記台玉または小玉のd線(λ=587.5
6nm)に対する屈折率をn、前記回転軸対称の対称軸
から前記台玉または小玉の外周方向に向かっての距離を
h(m)としたとき、前記回転軸対称の対称軸からレン
ズの外周方向に向かって少なくとも20mm以内の範囲
において、 (n−1)×ρ×h<|Z|<(n−1)×ρ×h×l
000 の条件を満足することが望ましい。
【0038】本発明では、レンズの第1面の台玉の屈折
面のカーブを鈍くしつつ、そのカーブを鈍くすることに
よって発生する非点収差を補正するためにその面に非球
面を採用している。また、かかる条件を満足することに
より、レンズの中心厚が度数が強くなってもあまり厚く
ならず、外見的に見苦しくない形状を有する軽量なレン
ズを実現したばかりでなく、光学性能の優れたものを提
供できるものである。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、添付図
面に基づいて説明する。
【0040】図1は台玉部分のレンズ構成を示す図であ
る。図1において、小玉の部分は省略してある。
【0041】本実施例は、前述の図8に示した度数が+
4.0D、ベースカーブが5.0Dの無限遠設計の球面
レンズに対して本発明の非球面を施したものである。図
1において、lは第1屈折面、2は第2屈折面、3はレ
ンズの対称軸である。破線4は従来の球面レンズを示
し、ベースカーブに対応する曲率を持つ円弧である。本
実施例によるレンズの第1面の屈折面断面(子午面)1
は、回転軸の近傍においては4と同じベースカーブの曲
率を有しているが、外周に行くにしたがって曲率が小さ
くなり(曲率半径が大きくなり)、その結果外周におい
てベースカーブの円弧よりも前方(観察側)に位置して
いる。
【0042】図2(a)、(b)は、前方屈折面の子午
面の曲率をβm(m-1)、前記子午面と直交する球欠面
の曲率をβs(m-1)とするときに、中心から外周にか
けての両曲率の差Z=βm−βsの変化、及び本発明に
かかる眼鏡を装用した状態での非点収差を各々示してい
る。横軸は対称軸3からの距離h、縦軸はZの値を示
す。具体的なZの値を表2に掲げる。
【0043】
【表2】 h(mm) Z 0.0 0.0 5.0 −0.135 10.0 −0.503 15.0 −1.003 20.0 −1.508 25.0 −1.897 30.0 −2.072 35.0 −1.961
【0044】図2(a)に示されるように、曲率の差Z
の値は対称軸から遠ざかるに従って徐々に減少し、20
〜25mmの間で減少の度合が落ち始める。かかるZ値
の変化を与えることにより第一面の屈折面の形状は図1
のようになり、従来のものより中心厚を減少させること
ができる。また、同時にレンズの第一面の屈折面の出っ
張りも減少させることができる。本実施例の場合は、中
心厚tが5.3mm、出っ張り量Hは6.6mmとな
り、図7で示す従来の球面レンズに比べて中心厚で1.
2mm、出っ張り量は5.9mmもの大幅な薄形化、フ
ラット化が達成できている。さらに、非点収差において
も、ベースカーブが5.0Dの球面レンズ(図8)で
は、図10のように大きな非点収差が発生していた。し
かし、本実施例の非点収差は、図2(b)に示すよう
に、ベースカーブが5.0Dでありながら、大幅に改善
されていることがわかる。また、網膜上の像拡大率につ
いても、M=1.134となり像拡大率は13.4%と
なる。したがって、網膜上での像拡大率は軽減される。
【0045】このように、本実施例では、レンズの第1
面の屈折面のカーブを鈍くしつつ、そのカーブを鈍くす
ることによって発生する非点収差を補正するために、そ
の面に非球面を採用している。これにより、レンズの薄
肉化、外観上の見栄えの向上および優れた光学性能を有
するレンズを実現している。なお、本実施例では、図2
(b)の非点収差図から明らかなように、遠方視(無限
遠)の距離の物体を見た場合の非点収差を零にする設計
をしている。
【0046】このような遠用部の遠方視矯正設計とは別
に、近用部の近方視の距離(およそ30cm)のものを
見るときの非点収差を零にすることを目標とする設計も
可能である。以下、近用部の近方視矯正設計に基づく他
の実施例を説明する。
【0047】図3は、眼鏡レンズの小玉部分に非球面を
用いた他の実施例のレンズ構成図である。小玉の屈折力
は上述した遠用部に対して加入度として+2ディオプタ
ーを付加したものであり、近用部の屈折力は+6Dであ
り、近用部の前面べースカーブは7.0Dであり、近方
視(30cm)重視設計に本発明を実施したものであ
る。
【0048】図3において、1は第一屈折面、2は第二
屈折面、3は小玉部分のレンズの対称軸である。破線4
は従来の球面レンズにおけるベースカーブに対応する曲
率を持つ円弧である。本発明によるレンズの第1面の屈
折面断面(子午面)1は、ベースカーブをのろくすると
ともに台玉と小玉を非球面化することによって、外周に
おいて従来の球面レンズにおけるベースカーブの円弧よ
りも台玉部分は前方に小玉部分は後方に位置している。
【0049】図4(a)は前方屈折面の子午面の曲率を
βm(m-1)、前記子午面と直交する球欠面の曲率をβ
s(m-1)とするときに、中心から外周にかけての両曲
率の差Z=βm−βsの変化を示した図であり、縦軸は
Zの値、横軸は対称軸3からの距離hを示している。
【0050】具体的なZの値を表3に掲げる。
【0051】
【表3】 h(mm) Z 0.0 0.0 0.5 −0.101 10.0 −0.375 15.0 −0.754 20.0 −1.144 25.0 −1.475 30.0 −1.754 35.0 −2.138
【0052】図4(a)に示すように、曲率差Zの値は
対称軸から離れるに従って徐々に減少し、20〜25m
mの間で減少の度合が落ち始める。このようなZ値の変
化を与えることにより、本実施例のレンズの第一面の屈
折面の形状は図3に示すようになる。図3から明らかな
ように、非球面の効果および遠用部のベースカーブの低
下に伴う近用部のベースカーブの低下により小玉の出っ
張り量が少なくなっている。また、図4(b)は、本実
施例のレンズを装用した状態での近方視の非点収差を示
している。
【0053】本発明の各実施例の諸元値を表4に掲げ
る。符号は表1の場合と同様である。
【0054】
【表4】 遠用部設計の場合(図1) R1=100.000(5.0D) ED= 5.3 R2=458.748 H= 6.5 近用部設計の場合(図3) R1= 71.429(7.0D) R2=453.918
【0055】このように、各実施例では、レンズの第一
面の屈折面のカーブを鈍くしつつ、そのカーブを鈍くす
ることによって発生する非点収差を補正するために非球
面を遠用部及び近用部に採用することにより、レンズの
中心厚が薄く、軽量化を図ることが出来るとともに、光
学性能の優れたものを実現している。
【0056】上記各実施例は前方及び後方の一対の屈折
面を有する眼鏡レンズにおいて、前記2つの屈折面のう
ち少なくとも一方の屈折面が、主として遠方視に用いる
台玉部分と、近方視のための小玉部分とにより構成さ
れ、台玉の屈折力が正の屈折力を有し、前記台玉部分及
び小玉部分が非球面である多焦点レンズである。この他
に、レンズの中心厚が度数が強くなるにつれて多少厚く
なり、かつレンズの出っ張り量が多くなるという、外見
的な見栄えを多少犠牲にすれば、台玉の屈折面を最適な
ベースカーブの球面形状とし、小玉の部分を非球面形状
としてもよい。
【0057】また、小玉部分の領域が小さい場合には視
野が狭くなるので小玉部分の面形状は球面形状であって
もよい。
【0058】また、各実施例は2重焦点レンズについて
行ったものであるが、3重焦点レンズにも適用できるの
は言うまでもない。
【0059】さらに、各実施例においては、台玉部分の
設計において遠方視を重視する場合の設計を取り上げた
が、遠方視と近方視の中間視を重視するような設計も本
発明に含まれるのは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、レンズの中心厚の薄形
化、第一屈折面の出っ張りの減少(フラツト化)が図れ
ると同時に光学性能が改善される。さらに、遠方視から
近方視まで任意の特定距離における非点収差をそれぞれ
の目的に応じてレンズ全範にわたって良好な状態にコン
トロールできるばかりでなく、低いベースカーブと組み
合わせることにより、光学性能的にも優れかつ中心厚も
薄くフラットで外観の良い眼鏡レンズを実現できる。更
に高屈折率の素材と組み合わせた場合にはより大きな効
果が得られるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる眼鏡レンズのレンズ形
状を示す図である。
【図2】(a)および(b)は、図1に示した多焦点眼
鏡レンズの曲率差Zおよび非点収差を各々示す図であ
る。
【図3】本発明の他の実施例にかかる眼鏡レンズのレン
ズ形状を示す図である。
【図4】(a)および(b)は、図3に示した多焦点眼
鏡レンズの曲率差Zおよび非点収差を各々示す図であ
る。
【図5】(a)および(b)は、従来の融着型2重焦点
レンズの正面および断面を各々示す図である。
【図6】(a)および(b)は、従来のワンピース型2
重焦点レンズの正面および断面を各々示す図である。
【図7】遠方視を重視して設計した従来の球面眼鏡レン
ズ(ベースカーブ8.5D)のレンズ面形状を示す図で
ある。
【図8】図7と同じ度数でベースカーブを5.0Dとし
た場合のレンズ面形状を示す図である。
【図9】ベースカーブが8.5Dの図7に示すレンズの
装用状態における非点収差を示す図である。
【図10】ベースカーブが5.0Dの図8に示すレンズ
の装用状態における非点収差を示す図である。
【符号の説明】
1 第1屈折面 2 第2屈折面 3 対称軸 4 従来の球面レンズ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前方屈折面及び後方屈折面の一対の屈折
    面を有する多焦点眼鏡レンズにおいて、 前記前方屈折面が、主として遠方視のための台玉と、近
    方視のための小玉とにより構成され、 前記台玉の屈折力は、0ディオプター以上、かつ+8デ
    ィオプター未満の正の屈折力を有し、 前記台玉及び前記小玉の少なくともどちらか一方が非球
    面であることを特徴とする多焦点眼鏡レンズ。
  2. 【請求項2】 前記台玉の前方屈折面は回転軸対称な非
    球面形状であり、 該前方屈折面の子午面の曲率をβm(m-1)、 前記子午面と直交する球欠面の曲率をβs(m-1)、 前記両曲率の差をZ=βm−βs、 としたときに、前記回転軸対称の対称軸から前記台玉の
    外周方向に向かって少なくとも20mm以内の範囲にお
    いて前記曲率差Zの値は単調に減少することを特徴とす
    る請求項1記載の多焦点眼鏡レンズ。
  3. 【請求項3】 前記台玉の前方屈折面が回転軸対称な非
    球面形状であり、 該前方屈折面の子午面の曲率をβm(m-1)、 前記子午面と直交する球欠面の曲率をβs(m-1)、 前記両曲率の差をZ=βm−βs、 前記台玉の回転軸対称の対称軸上の曲率をρ(m-1)、 前記台玉のd線(λ=587.56nm)に対する屈折
    率をn、 前記回転軸対称の対称軸からの距離をh(m)、とした
    とき、前記回転軸対称の前記対称軸から前記台玉の外周
    方向に向かって少なくとも20mm以内の範囲におい
    て、 (n−1)×ρ×h<|Z|<(n−l)×ρ×h×1
    000 の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に
    記載の多焦点眼鏡レンズ。
  4. 【請求項4】 前記小玉の前方屈折面が球面形状である
    ことを特徴とする請求項2または3記載の多焦点眼鏡レ
    ンズ。
  5. 【請求項5】 前記小玉の前方屈折面は回転軸対称な非
    球面形状であり、 該前方屈折面の子午面の曲率をβm(m-1)、 前記子午面と直交する球欠面の曲率をβs(m-1)、 前記両曲率の差をZ=βm−βs、 としたときに、前記回転軸対称の対称軸から前記小玉の
    外周方向に向かって少なくとも20mm以内の範囲にお
    いて前記曲率差Zの値は単調に減少することを特徴とす
    る請求項1記載の多焦点眼鏡レンズ。
  6. 【請求項6】 前記小玉の前方屈折面が回転軸対称な非
    球面形状であり、 該前方屈折面の子午面の曲率をβm(m-1)、 前記子午面と直交する球欠面の曲率をβs(m-1)、 前記両曲率の差をZ=βm−βs、 前記小玉の回転軸対称の対称軸上の曲率をρ(m-1)、 前記小玉のd線(λ=587.56nm)に対する屈折
    率をn、 前記回転軸対称の対称軸からの距離をh(m)としたと
    き、 前記回転軸対称の前記対称軸から前記小玉の外周方向に
    向かって少なくとも20mm以内の範囲において、 (n−1)×ρ×h<|Z|<(n−l)×ρ×h×1
    000 の条件を満足することを特徴とする請求項1または5に
    記載の多焦点眼鏡レンズ。
  7. 【請求項7】 前記台玉の前方屈折面が球面形状である
    ことを特徴とする請求項5または6記載の多焦点眼鏡レ
    ンズ。
JP9127799A 1997-05-02 1997-05-02 多焦点眼鏡レンズ Withdrawn JPH10301066A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002023116A (ja) * 2000-07-05 2002-01-23 Asahi Optical Co Ltd 眼鏡レンズの製造方法および供給方法
JP2016024456A (ja) * 2014-07-22 2016-02-08 ビジョン開発株式会社 ダイヤモンド微粒子を有する眼鏡用レンズの製造方法

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