JP2859055B2 - 眼鏡用のマルチフォーカルレンズ - Google Patents
眼鏡用のマルチフォーカルレンズInfo
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Description
マルチフォーカルレンズ、それも遠隔視用の第1視区域
と、近接視用の第2視区域と、これらの区域の間の、度
の進行の主経線に沿って漸進的に曲率が変化する中間距
離用の第3視区域とが設けられており、前記主経線がレ
ンズの頂縁から底縁まで延び、かつ非球面の3つの視区
域すべてを順次通過しており、しかもそのさい所定の3
つの点、すなわち第1視区域に位置、かつ非球面が第1
の所定平均球面値を有する遠隔視・度測定点と呼ばれる
第1点と、取付け中心と呼ばれ、第1点と非球面の幾何
的中心との間に位置する第2点と、第2視区域に位置
し、非球面が第2の所定平均球面値を有する近接視・度
測定点と呼ばれる第3点と通過するようにされており、
前記第1と第2の所定平均球面値の差が、レンズの度の
付加値Aに等しく、前記主経線が度の付加値に応じた形
状を有しており、更に非球面を前面図で見た場合、レン
ズの頂縁から第2点まで垂直に延びる第1部分と、第2
点からレンズの鼻側へ斜めに延びる第2部分が備えられ
ている形式のものに関する。
在、よく知られている。この種のレンズは、老眼の修正
用に一般に用いられており、広範囲の距離にわたって対
象物を見ることができるため、遠距離にものを見る場合
にも眼鏡を外す必要はない。この種のレンズのメーカー
は、通例、一組の半仕上げのレンズを製造する。すなわ
ち、先ず、前述の3つの視区域を有する1組のレンズの
表面だけを研摩しておき、その後でこれらのレンズの他
方の面を、眼科の処方箋に従って、眼鏡の各使用者に適
合する曲率を有する球形又はトロイド形に研摩する。所
与の組のレンズのなかで、1つのレンズから他のレンズ
まで、最小付加値と最大付加値との間で度の付加値が次
第に変化するようにされる。最小と最大の付加値は、通
常、それぞれ0.5ジオプトリーと3.5ジオプトリー
である。この付加値は、当該の組のレンズからレンズへ
各0.25ジオプトリーの段階で変化する。こうした事
情のもとで、1組には13個のレンズが含まれるように
されている。
は、2種類の主なレンズの組が存在する。第1の組のレ
ンズは、漸進的な主経線の前記第1点と第3点との間の
距離が一定で、レンズの度の変化度が、当該組のなかで
1つのレンズから他のレンズへ変化する(フランス特許
第2058499号及びその2つの追加証明書第207
9663号、第2193989号)。
たレンズの度の変化度は一定で、レンズの度の付加値と
無関係に、当該の組のすべてのレンズの場合に同一であ
る(日本特許第54−85743号)。
ーカルレンズは、不可避的に光学収差が生じる(非点収
差、ひずみ、像面のそり等々)。この光学収差により静
的、動的いずれの場合にも、ものを視るさいに不快が感
じられる。加えて、老眼の度が進んで、度の付加値の大
きいレンズの使用が必要になり、より度の進んだレンズ
に換える場合、通常、使用者の側に生理的に適応する努
力が要求される。これに適応するには、使用者によって
1日から数日の時間がかかる。
ーの努力は、主として見やすさの改良に向けられてい
た。最近数年間、本出願人は、第3の種類の組の眼鏡用
レンズを提案してきた。この種のレンズは、第1の度の
付加値をもつレンズ対から第2のより大きい度の付加値
をもつレンズ対へ換えた場合の、生理的な適応の努力及
び適応時間の問題を解決しようとするものである(フラ
ンス特許第2617989号)。
ものを見る要求を、特に、かれらの姿勢や癖を考慮に入
れ、かつまた加齢につれて見られるようになる、作業面
からの距離の短縮(近接視距離の減少)をも考慮に入れ
ることにより、よりよく満足させることである。
がって、次のような眼鏡用マルチフォーカルレンズ、よ
り精確にいえば次のような1組のレンズを提供すること
にある。すなわち、眼窩内での好ましい眼の上下位置
や、加齢とともに生じる近接視距離の変化(減少)を考
慮に入れたマルチフォーカルレンズ又は1組のレンズで
ある。前記の位置自体は、その場合、視距離と球欠平面
(両眼の2つの旋回中心を結ぶ線分の中央を通り、線分
に対して直角方向の垂直平面)の傾斜とによって決ま
る。
た種類のレンズを次のように構成することにより、前記
課題を解決した。すなわち、第一に、主経線の第2部分
が第1と第2の区分を有するようにし、第1区分が、主
経線の垂直な第1部分に対して所定第1角度αだけ、ほ
ぼ第1方向で取付け中心から第3点の上方に位置する第
4点まで延び、前記所定第1角度が、増加関数α=f
〔A〕に従って度の付加値Aに依存するようにし、横軸
が、前面から見た場合に円形のレンズの水平方向直径に
対応し、かつまた縦軸が、前記レンズの垂直方向直径に
対応する座標系において、第4点の縦座標Ycが、増加
関数h〔A〕に従って度の付加値Aに従属するようにす
ることによって、更に第二には、非球形面が第4点で所
定平均球面値Scを有し、この値がSc=SL +k・A
となるようにし、この式において、SL は第1点での前
記第1所定平均球面値であり、Aは度の付加値、kは
0.8<k<0.92の値の係数であるように構成する
のである。
した点は、本発明によるレンズの使用者は、極めて明ら
かにこれらのレンズを優先して選択するという点であっ
た。
し、この第2区分が第4点から第3点まで、主径線の垂
直な第1部分に対し第2の角度ωをなす第2方向へ全体
として延びている。そのさい前記第2角度ωはO<ω<
αの所定値を有している。第2角度ωの所定値は、増加
関数ω=g〔A〕に従って度の付加値Aに従属するよう
にするのが好ましい。同じように、係数kも、減少関数
k=i〔A〕に従って度の付加値Aに従属する値を有し
ている。最後に、前記座標系において、前記第4点の横
座標と前記第3点の横座標とは、後述するように、それ
ぞれ付加値Aの増加関数に従って度の付加値Aに従属す
る所定値を有している。
面に示した特定の複数実施例についての説明により、更
に明らかとなろう。
ている。この非球面は凹面又は凸面であり、かつ好まし
くは連続的である。従来の形式では、非球面Sの頂部は
第1視区域を有し、この視区域VLが球面又は非球面を
有し、この視区域の曲率が遠隔視に適合せしめられてい
る。非球面Sは、その底部に第2視区域VPを有してい
る。この視区域は球面又は非球面であり、その曲率は近
接視に合わされている。従来の形式では、視区域VLと
VPとの間には、第3の視区域VIが設けられている。
この区域の曲率は中間の視距離向きにされ、漸進的な主
経線MM′に沿って変化するようにされている。使用時
には、前記経線MM′は、レンズGの頂縁から底縁まで
延び、3つの視区域VL,VI,VPすべてほぼ中央部
を順次通過する。面Sが凸状の場合、主経線MM′の曲
率は頂縁から底縁まで前記主経線MM′に沿って増大す
る(すなわち曲率半径が減少する)。これに対し、面S
が凹面の場合は、その曲率は頂縁から底縁へ前記主経線
MM′に沿って減少する(すなわちその曲率半径が増大
する)。
示している。面Sは、前方から見ると、円形の輪郭を有
している。符号Lは、遠隔視の場合の度の測定点を示し
ている。符号Pは、近接視の場合の度の測定点を示して
いる。また符号Dはレンズの取付け中心を示している。
主経線MM′は、非球面Sの所定点である3つの点L,
D,Pを通過している。これら3つの点L,D,Pは、
通常、レンズの非球面上にメーカーが付した適当なマー
クによって確認できる。
された第1の所定平均球面値を有している。また、点P
のところには、近接視に合わされた第2の所定平均球面
値を有している。
任意の点での平均球面値Smeanは次式で与えられ
る:
スの屈折率であり、R1 とR2 は、非球面の当該の点で
の、この面Sの主曲率半径である。点Pでの平均球面値
Spと点Lでの平均球面値SL との差は眼鏡用レンズの
度の付加値を表わしている。点LとPとはDIN582
08により定められる。
Gの水平直径に相応し、縦軸Y′Yが前記レンズの垂直
直径に相応する座標系において、点Lは、遠隔視区域V
L内に、それも垂直軸Y′Y上の、面Sの幾何中心Oか
らYL の距離のところに位置している。この距離は、通
例、+8mmに等しい。点Pは近接視区域VPに位置す
る。公知のレンズにおいては、座標XpとYpは、同じ
組のレンズすべての場合に一定の値を有しており、通常
は、それぞれ+2.5mmと−14mmである。これら
の値には度の付加値Aは含まれていない。これに対し
て、本発明のレンズの場合、点Pの縦座標Ypは一定で
あり、公知のレンズ同様、たとえば−14mmである
が、点Pの横座標Xpは、後述のように度の付加値Aに
応じて変化する。
に定められる。この図でも、符号Gは非球面Sを有する
レンズを示している。符号PMLはレンズGの中心平面
を示し、この平面は、使用時には、眼鏡使用者の眼の2
つの旋回中心を結ぶ線を含む垂直平面と12°の角度を
なしている。符号ARは、視線又は、ものを見るさい眼
がたどる軸線を示す。また符号PFはフランコート平面
である。平面PFは、耳珠Tと、眼窩OOの底縁とを含
む平面である。取付け中心Dは、眼鏡使用者が、離れた
1点を直視した場合に、視線と非球面Sとが交わる点で
ある。視線ARとフランクフォート平面PFとは、とも
に水平である。点Dは、通例、点Oと点Lとの中間に位
置する。換言すると、点Dの縦座標YD は、通常、約+
4mmに等しい。
VIとは、曲線B1 のところで境界づけられている。曲
線B1 は、主経線MM′と点Dで交差しており、かつま
た曲線B1 に沿って、視区域VLとVIとが、好ましく
は連続的に移行し合っている。同じように、2つの視区
域VIとVPとは、第2の曲線B2 のところで接してお
り、曲線B2 は主経線MM′と点C(後述する)ところ
で交差し、かつまた曲線B2 に沿って2つの視区域VI
とVPとが、好ましくは連続的に移行し合っている。本
発明は、図1に示したような曲線B1 とB2 の形状及び
配置に限定されるものではない。これらの2つの曲線B
1 ,B2 は、点D,Cとは別の点で主経線MM′と交差
しても差支えない。
知の形式で第1部分MDと第2部分DP又はDM′とを
有している。第1部分MDは、レンズGの頂縁から取付
け中心Dまで垂直に延び、前から見ると、垂直軸Y′Y
の対応部分と重なっている。また、第2部分DP又はD
M′は、取付け中心Dから斜めにレンズGの鼻側(図1
のレンズは、眼鏡使用者の右眼に用いられるレンズであ
る)へ向って延びている。
2部分DM′自体は、第1区分DCと第2区分CP又は
CM′とに分けられている。第1区分DCは取付け中心
Dから点Pの上方に位置する所定の第4点Cまで延びて
おり、第2区分CP又はCM′は、第4点Cから少なく
とも点Pまで延びている。どんな場合にも、第1区分D
Cは、全体が垂直軸Y′Yと、したがってまた主経線M
M′とも、所定角度αをなす方向へ延びている。角度α
の値は、度の付加値Aに従属し、付加値Aの増加関数を
なしている。
る:
度で表わされている。点Cでは非球面Sは平均球面値S
cを有している。
均球面値、Aは、面Sの点Lと点Pとの間の度の付加値
(平均球面付加値)、kは、0.8〜0.92の範囲の
値の係数である。係数kの値は、好ましくは付加値Aに
従属するようにし、付加値Aの減少関数となるようにす
るのが好ましい。たとえば、係数kの
る:
されている。
好ましくは角度ωを有するようにする。角度ωは、0か
ら角度αまでの範囲の所定値を有している。角度ωの値
は、一定であり、好ましくは付加値Aに従属し、かつ付
加値Aの増加関数をなしている。
る:
ーで、角度ωは度で表わされている。
標Ycが有する所定値は、度の付加値Aに従属し、付加
値Aの増加関数をなしている。たとえば、縦座標Yc
れる:
はmmで表わされている。点Cの横座標Xcの値は一定
であり、言いかえると、度の付加値Aとは無関係である
(図4)。横座標Xcは、好ましくは度の付加値の増加
関数でもある値を有している。
れる:
はmmで表わされている。
付加値とは無関係である)、公知のマルチフォーカルレ
ンズ同様、たとえば−14mmに等しい。点Pの横座標
の値は、付加値Aに従属し、付加値Aの増加関数であ
る。
れる:
pはmmで表わされている。
とる場合、たとえば、それぞれA=1ジオプトリー、A
=2ジオプトリー、A=3ジオプトリーの値の場合につ
いて、主経線MM′の形状を示したものである。角度
α、ω、座標Xc、Ycの値は、付加値Aの増加関数を
なしている。図3では、点C,P,M′の角度αとωに
は、各1,2,3ジオプトリーの値に対応して各1,
2,3の数字を付加してある。図3の場合、角度α,ω
の寸法は、図面を見やすくするため誇張して示してあ
り、実寸に対応してはいない(図4の場合も同様である
が、図4は図3とは異なり、横座標Xcが定数に等し
い)。いずれの場合(図3、図4)も主経線MM′の第
1部分MDは、付加値Aとは無関係で、形状は変らな
い。
線MM′上の点L,D,C,Pの位置を決めることから
始めねばならない。これらの点の位置を決めることによ
って、主経線MM′の形状が決まる。たとえば、公知レ
ンズのようにXL =XD =0、YL =+8mm、YD =
+4mm、YP =−14mmとすれば、角度α,ω、座
標Yc,Xc,Xpの値は、それぞれ既述の式(2)、
(5)、(6)、(7)、(8)によって得ることがで
きる。
に、その主経線MM′に沿った面Sの曲率の変化原則又
は漸進原則が選定される。主経線MM′は、面Sのせい
点曲線、すなわち面Sの2つの主曲率半径が曲線の各点
で等しくなるような線とすることができる。しかしなが
ら、本発明の実施に当っては、主経線MM′がせい点曲
線である必要はなく、面Sの2つの主曲率半径が、曲線
の各点で異なる値であってもよい。主経線MM′に沿っ
た曲率の変化原則を定める場合、点Cにおける平均球面
値Scが式(3)を満足させるようにする。その場合の
係数kの、前記式(3)内での値は0.8〜0.92の
範囲とする。たとえば、係数kの値は既出の式(4)に
よって与えられる。主経線MM′に沿った曲率の変化原
則は、平均球面勾配が主経線MM′の区分DCのところ
では、区分CPのところより大となるようにするのが好
ましい。
D,1.5D,2D,2.5D,3D,3.5Dの公称
付加値を有する、本発明の1組のレンズの主経線MM′
に沿った平均球面値の変化原則の例が、曲線a〜gによ
って示されている。図5の図表では、主経線MM′に沿
った当該の点の縦軸Yが横軸に沿って区分され、点Lで
の平均球面値に対する、主経線MM′の問題の点での平
均球面付加値が縦軸に沿って区分されている。曲線a〜
gにおいて、主経線MM′の点Cと点Pにそれぞれ対応
する点が、対応する符号C又はPで示され、これらの符
号に曲線a〜gそれぞれの公称付加値に対応する下付き
数字を付してある。
きい場合、つまり主経線MM′の部分MDの値の場合、
平均球面値は一定又は実質的に一定であり、かつ付加値
Aの値とは関係なく点Lの平均球面値SL に等しい。同
じように、横軸の値YがYp(−14mm)以下の場
合、つまり主経線MM′の区分PM′の値の場合、平均
球面値は、一定か、もしくは実質的に一定であり、かつ
点Lでの平均球面値SLに、その組の各レンズの公称付
加値Aを加えた値に等しい。縦軸の値Yが+4mm〜−
14mmの範囲にある場合、言いかえると、主経線M
M′の部分DPに沿った値の場合、平均球面値は、点D
から点Pへ向って、区分CPに沿ってより区分DCに沿
ってのほうが大である勾配をもって増加している。図5
の破線で示した曲線hは、関数Yc=h〔A〕を表わす
曲線であり、この例は既出の式(6)により与えられ
る。
Aのすべての値の場合、平均球面値は、主経線MM′の
点Dから増大し始め、主経線MM′の点Pを過ぎると増
大が止まる。本発明を実施する場合に、図5に示したよ
うな平均球面値の変化原則を必ず採用しなければならな
いわけではなく、主経線MM′に沿った曲率の変化原則
を選択することも可能である。主経線MM′に沿った曲
率の変化原則を選択する場合、点Dとは別の点から曲率
を変化させ(凸レンズの場合は、曲率を増加させ)始め
ることができる。この別の点は、点Lから離れた位置に
在り、その縦軸Yの値は、本出願人のフランス特許第2
617989号の思想に従い、付加値Aの値に従属す
る。同じように、また、平均球面値又は曲率が主経線M
M′の点Pを超えて、同じく主経線MM′の部分PM′
上のどこか別の点まで変化(凸レンズの場合は増大)を
続けるようにすることも可能である。そのさい、前記別
の点の縦軸の値、及び点Pに対する、この別の点での曲
率又は平均球面値の付加値は、同じく、本出願人のフラ
ンス特許第2617989号に従って、付加値Aの値に
従属する値である。
ンズGの面Sの残りの部分は、従来の形式で決めること
ができる。たとえば、本出願人のフランス特許第205
8494号とその2つの付加証明書第2079663
号、第2193989号の記載に従って行なう。
間視区域VI内での主経線MM′は、2つの区分DCと
CPに分けられる。この区分けは、付加値Aの値によ
り、角度αの値に関して、また、好ましくは点Cの縦座
標Ycの値に関して、更に任意には、角度ωの値、及び
点Cと点Pとの横座標XcとXpとの値に関して変化す
る。この区分けによって、老眼の人びとの癖や自然の姿
勢に適応させることにより両眼視を改善することができ
る。加えて、主経線MM′に沿った度又は平均球面値の
配分は、公称付加値Aにより変化し、点Cでの所定平均
球面値を考慮に入れてなされるが(この平均球面値自体
は公称付加値Aに従属する)、この配分によって、残さ
れていた個々人の適応に対する負担を軽減することがで
きる。それによって、眼の疲れを少なくし、快適さを得
ることができる。この点で、本発明は、多数の人々につ
いて行なった実験にもとづいており、それらの実験が示
すところによれば、眼窩OO(図2)内での眼の好まし
い高さ、すなわち軸ARと平面PFとの間の角度は頭部
の傾き、すなわち平面PFと垂直平面との間の角度に左
右され、かつまた視距離、すなわち見られる対象までの
距離に左右され、更に眼鏡使用者の加齢とともに近接視
距離が短くなる。
球面Sの定義では、レンズの他の面の曲率は考慮されて
いない。他の面の曲率は、眼鏡の使用者ごとに、必要と
あれば、眼科医の処方により、使用者の非正視修正のた
めに選定される。
面が、眼鏡使用者の眼からの何らかの光線と交差する点
での双方のレンズ面の曲率差により、垂直方向及び水平
方向の各成分を有するプリズム又はプリズム効果を誘発
する。
垂直方向成分は、少なくとも部分的に、比較的簡単に眼
窩内での眼の傾きを変えるか、又は頭部の垂直位置を変
える(図2のフランクフォート平面PFを水平平面に対
して変える)か、又はこの2つの措置を組合せるかする
ことで補償される。
水平方向成分は、主経線MM′に対する位置の相違を生
じさせる水平方向の眼の動き(収斂)によって補償され
るだけである。
1.5ジオプトリーまでの付加値Aの場合には、主経線
MM′のプロファイルは非正視や、プリズムの補償が行
なわれる仕方(頭又は眼を動かしたり、頭と眼の両方を
同時に動かす)では、ほとんど変化しないと仮定でき
る。1.5ジオプトリーを超える付加値の場合には、点
Cの位置だけが、垂直方向のプリズム成分の補償の仕方
に依存すると思われる。特に遠視や大きい値の付加値の
場合が、そうである。更に、仮定されてよい点は、主経
線のプロファィルは、非正視やプリズム補償の仕方とは
無関係に、視区域VPでは変化しないという点である。
垂直方向成分の補償の仕方には、ほとんど左右されな
い。位置の相違は、主に水平方向のプリズム成分に依存
しているからである。付加値Aの各値及びレンズの組の
各レンズにとって、遠隔視区域VLでの種々の値の度に
対する曲線MM′の位置の差を小さくする1つの解決策
は、曲線MM′に沿ってプリズムの水平方向成分の値を
最小化することにある。このことは、従来のやり方で行
なうことができよう。更に、この解決策が不十分、もし
くは実施不可能な場合、特に付加値が大であったり度が
高い値の場合には、本出願人の研究が示すところによれ
ば、取付け中心Dを中心としてレンズG全体を回転させ
て、非正視修正により誘発されるプリズムの水平方向成
分を補償することができる。主経線MM′の部分DC
を、角度αに対して正又は負の方向に角度α′にわたり
回転させるこの量は、既に説明した。
ンズの度(ジオプトリーで表わす)の関数として角度
α′(度で示す)が、どのように変化するかが、図6に
示されている。曲線k,l,m,n,pは、それぞれ
3.00D,2.75D,2.5D,2.00D,0.
75Dの各付加値Aに相当する。前記の曲線k〜pは、
レンズと眼の旋回中心との距離が27mmに設定され、
眼鏡フレームの傾斜が12°(図2)の場合について示
したものである。
水平プリズム成分を補償するさい、本発明によるレンズ
組の各レンズの角度αは次式により決定できる:
述の意味を有し、PVLは遠隔視用レンズの度であり、a
とbとは、付加値Aの値に従属する係数の値である。図
6に示したように、曲線k〜pは放物線状である。この
ことは、式(10)で示されているように、角度α′が
PVLの2次関数として表わすことができる理由を説明し
ている。係数aとbとは、曲線k〜pにより決定するこ
とができる。既述のように、これらの値は、付加値Aの
関数であり、一般的に言って次の関係式で表わされる:
た実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、
本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変化形が可
能である。
られるかを示した図。
で示した拡大前面図。
線で示した変化形の拡大前面図。
合に主経線に沿って、どのように変化するかを示した
図。
して、図1の角度αに対する正負の修正角度α′を示し
た図。
Claims (15)
- 【請求項1】 非球面(S)を有する眼鏡用マルチフォ
ーカルレンズであって、遠隔視用の第1視区域(VL)
と、近接視用の第2視区域(VP)と、これらの区域の
間の、度の進行の主経線(MM′)に沿って漸進的に曲
率が変化する中間距離用の第3視区域(VI)とが設け
られており、前記主経線(MM′)が、レンズの頂縁か
ら底縁まで延び、かつ非球面の3つの視区域すべてを順
次通過しており、しかもそのさい所定の3つの点、すな
わち、第1視区域(VL)に位置し、かつ非球面が第1
の所定平均球面値を有する遠隔視・度測定点と呼ばれる
第1点(L)と、取付け中心と呼ばれ、第1点(L)と
非球面の幾何的中心(O)との間に位置する第2点
(D)と、第2視区域(VP)に位置し、非球面が第2
の所定平均球面値を有する近接視・度測定点と呼ばれる
第3点(P)とを通過するようにされており、前記第1
と第2の所定平均球面値の差が、レベルの度の付加値A
に等しく、前記主経線(MM′)が度の付加値に応じた
形状を有しており、更に非球面(S)を前面図で見た場
合、レンズの頂縁から第2点(D)まで垂直に延びる第
1部分(MLD)と、第2点からレンズの鼻側へ斜めに
延びる第2部分(DPM′)が備えられている形式のも
のにおいて、 主経線(MM′)の第2部分(DPM′)が第1区分
(DC)を有しており、この第1区分が、取付け中心
(D)から第3点(P)の上方に位置する第4点(C)
へ、ほぼ主経線(MM′)の垂直第1部分(MLD)に
対して所定の第1角度α方向に延びており、この所定角
度が、増加関数α=f〔A〕に従った度の付加値Aによ
り決定され、更に、第2部分(DPM′)が第2区分
(CP)を有しており、横軸(X′X)が、前面から見
た場合に円形のレンズの水平方向直径に対応し、かつま
た縦軸(Y′Y)が前記レンズの垂直方向直径に対応す
る座標系において、前記第4点(C)の縦座標(Yc)
が、増加関数h〔A〕に従って度の付加値Aに従属する
所定値を有しており、更にまた、非球面(S)が、第4
点(C)では所定球形値Scを有し、しかもSc=SL
+k・Aであり、この式においてSLは第1点(L)で
の前記第1所定平均球面値であり、Aは度の付加値、k
は0.8<k<0.92の値である係数であることを特
徴とする、眼鏡用マルチフォーカルレンズ。 - 【請求項2】 前記増加関数f〔A〕が式α=f〔A〕
=1.574A2−3.097A+12.293によっ
て与えられ、この式においてAはジオプトリーで、αは
度で表わされることを特徴とする、請求項1記載のマル
チフォーカルレンズ。 - 【請求項3】 前記増加関数h〔A〕が、式Yc=h
〔A〕=0.340A 2 −0.425A−6.422に
よって与えられ、この式においてAはジオプトリーによ
り、Ycはmmによって表わされていることを特徴とす
る、請求項1又は2記載のマルチフォーカルレンズ。 - 【請求項4】 主径線(MM′)の第2部分(DP
M′)が第2区分(CP)を有しており、この第2区分
が、第4点(C)から第3点(P)まで、主径線(M
M′)の垂直第1部分(MLD)に対し第2の角度ωを
なす第2の方向で全体として延びており、前記第2角度
ωがO<ω<αの所定値を有することを特徴とする、請
求項1から3までのいずれか1項に記載のマルチフォー
カルレンズ。 - 【請求項5】 第2の角度ωの所定値が増加関数g
〔A〕に従って、度の付加値Aに従属することを特徴と
する、請求項4記載のマルチフォーカルレンズ。 - 【請求項6】 増加関数g〔A〕が、式ω=g〔A〕=
0.266A2−0.473A+2.967により与え
られ、この式においてAはジオプトリーにより、ωは度
で表わされることを特徴とする、請求項5記載のマルチ
フォーカルレンズ。 - 【請求項7】 係数kの有する値が、減少関数i〔A〕
に従って、度の付加値Aに従属することを特徴とする、
請求項1から6までのいずれか1項に記載のマルチフォ
ーカルレンズ。 - 【請求項8】 減少関数i〔A〕が、式k=i〔A〕=
−0.00836A2+0.00381A+0.897
7により与えられ、この式においてAはジオプトリーに
て表わされることを特徴とする、請求項7記載のマルチ
フォーカルレンズ。 - 【請求項9】 非球面(S)の平均球面勾配が、主経線
(MM′)の第2区分(CP)にわたってよりも、第1
区分(DC)にわたってのほうが大であることを特徴と
する、請求項1から7のいずれか1項に記載のマルチフ
ォーカルレンズ。 - 【請求項10】 第4点(C)の横座標Xcが、増加関
数j〔A〕に従って度の付加値Aに従属することを特徴
とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のマルチ
フォーカルレンズ。 - 【請求項11】 前記増加関数j〔A〕が式Xc=j
〔A〕=0.152A2−0.293A+2.157に
よって与えられ、この式においてAはジオプトリーによ
り、Xcはmmにより表わされていることを特徴とす
る、請求項10記載のマルチフォーカルレンズ。 - 【請求項12】 第3点(P)の縦座標Xpが、増加関
数m〔A〕に従って、度の付加値Aに従属することを特
徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載のマ
ルチフォーカルレンズ。 - 【請求項13】 前記増加関数m〔A〕が、式Xp=m
〔A〕=0.222A2−0.438A+2.491に
より与えられ、この式においてAがジオプトリーによ
り、Xpがmmによって表わされていることを特徴とす
る、請求項12記載のマルチフォーカルレンズ。 - 【請求項14】 第1の角度αが、式α=f〔A〕+
α′により与えられ、この式においてα′=a・PVL
・b・〔PVL〕2であり、これらの式においてAはジ
オプトリーで、α及びα′は度により、遠隔視用のレン
ズの度PVLはジオプトリーで表わされており、更にa
及びbは付加値Aの値に従属する係数の値であることを
特徴とする、請求項1又は2記載のマルチフォーカルレ
ンズ。 - 【請求項15】 係数a及びbが、0.2<a<0.
4、6x10−3<b<1.2x10−2の関係を満足
させることを特徴とする、請求項14記載のマルチフォ
ーカルレンズ。
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