JP2016024456A - ダイヤモンド微粒子を有する眼鏡用レンズの製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド微粒子を有する眼鏡用レンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な加工作業を行うことなしに、簡便な方法により、レンズ基材の物体側の屈折面及び眼球側の屈折面が、適切な光学性能が得られるように加工された眼鏡用レンズ、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】レンズ基材10と、レンズ基材の少なくとも1つの面10bに設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜11とを有する眼鏡用レンズを製造する方法であって、レンズ基材を三次元プリンターで造形する工程、及び得られたレンズ基材の少なくとも1つの面にダイヤモンド微粒子を含有する分散液を塗布する工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイヤモンド微粒子を有する眼鏡用レンズの製造方法に関し、詳しくは三次元プリンターを利用して作製したレンズ基材にダイヤモンド微粒子を有する膜を形成することにより前記レンズ基材の光学性能を向上させた眼鏡用レンズの製造方法に関する。
眼科用レンズは、一般に、ユーザーごとに処方された視力矯正の情報を基に、レンズ基材の正面及び背面の形状を、適切な屈折率となるように研削及び研磨することによって得られる。前記レンズ基材としては、一方の面には光学面が形成されており、他方の面は非光学面であるセミフィニッシュレンズ(半完成品)が使用され、このセミフィニッシュレンズの前記非光学面を研削及び研磨することによって完成品の眼鏡用レンズとする。
眼鏡用レンズ100は、図7に示すように物体側の屈折面100aと、眼球側の屈折面100bとの2つの面を有し、これらの面によって眼鏡レンズに要求される全ての性能、例えば、ユーザーの度数に合った頂点屈折力、乱視を矯正するための円柱屈折力、老視を補正するための加入屈折力、さらには斜位を矯正するためのプリズム屈折力を付与する必要がある。
累進屈折力レンズ200は、図8に示すように、遠くを見るための屈折力を有する遠用部領域201と、近くの物体を見るための屈折力を有する近用部領域202と、それらの間に配置され屈折力が累進的に変化する、遠距離と近距離との中間距離の物体を見るための累進部領域203とを有する。遠用部領域201と近用部領域202との屈折力の差を加入屈折力と呼び、眼鏡装用者の調節力の減少に応じて適切な値が設定される。累進部領域203から近用部領域202にかけての側方部は収差領域204という光学的使用に適さない部分であり、遠用部領域201と近用部領域202との屈折力の差を滑らかに繋げるために生じる、累進屈折力レンズ200では避けられない部分である。
累進屈折力レンズ200においては、一般に、物体側の屈折面200aの曲率を変えて面屈折力を調整し、遠用部領域201、近用部領域202、及び累進部領域203を構成している。さらに必要に応じて、眼球側の屈折面200bには乱視矯正用のトーリック面が設けられている。
累進屈折力レンズ200等の多焦点レンズにおいては、視力の補正対象となる度数が大きいほど像の揺れや歪みが発生しやすい。さらに、遠用部と近用部との屈折力の差を示す加入屈折力が大きくなると、遠用部と近用部との曲率差が大きくなるので像の揺れや歪みがさらに大きくなる。累進多焦点レンズにおいては、累進屈折面の非球面化が進むのでレンズに現れる非点収差も大きくなり、明視域が狭くなる。また、非点収差の大きく変動する領域では、視線の移動によって像が歪んだり揺れたりするので、快適な視野が得られない。このため、非点収差が大きく現れる領域を通常使用するレンズの領域から外れるように設計し、急激な非点収差の変動がなくユーザーに快適な視野を提供できるように累進屈折面の改良が行われている。
さらに、多焦点レンズにおいては、遠用部領域201と近用部領域202との間に設けられた累進部領域203においては、遠用部領域201から近用部領域202にかけてその倍率が徐々に変動するので、眼鏡を装着したときに得られる像が揺れたり歪んだりする原因となっている。
国際公開第97/19383号(特許文献1)は、レンズの物体側の屈折面の遠用部の平均面屈折力と近用部の平均面屈折力の差を加入屈折力より数学的に小さくし、さらに、眼球側の屈折面の遠用部の平均面屈折力及び近用部の平均面屈折力を調整することにより所定の加入屈折力とした眼鏡用の多焦点レンズを開示しており、このような設計により、倍率差による像の揺れや歪みが少なく、さらに非点収差の改善された明視域が広く像の揺れなどの少ない快適な視野を有する多焦点レンズを提供できると記載している。
しかしながら、特許文献1に記載されたような方法は、レンズの物体側の屈折面及び眼球側の屈折面をそれぞれ研削及び研磨する必要があり、加工作業の複雑化や加工時間の延長等により製造コストの上昇を招くという問題がある。
特開2004−264365号(特許文献2)、特開2009−244600号(特許文献3)等も、累進屈折力レンズの薄型化、高性能化についての技術を開示しているが、特許文献1と同様に、加工作業の複雑化や加工時間の延長等により製造コストの上昇を招くという問題がある。
特表2008−537177号(特許文献4)は、レンズ基材の表面に感光性材料からなる層を形成し、光学的な書き込みにより屈折率が前記レンズ基材の面方向に変化させることにより、屈折率変化を有する層を備える眼鏡用レンズを開示している。このような技術により、眼科用レンズの光学的屈折力及び/又は非点収差の調節が可能であり、その結果、レンズ基材の種類を減らすことができ、特に累進屈折力レンズの設計の自由度が高まると記載している。特許文献4に記載の感光性材料からなる層に光学的な書き込みを行い、前記レンズ基材の面方向に屈折率を変化させる方法は、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピル・メタクリレート、ジルコニウムn−プロポキシド、及びメタクリル酸が共存する膜を前記レンズ基材の面に形成し、光照射によって、部分的に3−(トリメトキシシリル)プロピル・メタクリレートとメタクリル酸との光重合樹脂を形成させた後、残存するジルコニウムn−プロポキシドとメタクリル酸とによって、無機重合物を形成することにより、光照射した部分は低屈折率の有機ポリマー層、光照射しなかった部分は高屈折率の無機ポリマー層とするものである。
しかしながら、特許文献4に記載の前記レンズ基材の面方向に屈折率を変化させる方法は、活性物質を使用していることから、厳密なコントロールが必要であり、前記レンズ基材に形成する膜の経時での安定性が十分でないため、所望の屈折率変化を有する層を再現良く形成することは実用上困難である。
一方、3Dプリンターの発展により、ユーザーの顔の形や寸法に合わせてカスタマイズした眼鏡フレームを3Dプリンターで作製し提供するサービスが普及してきている。これらのサービスは、ユーザーの顔の形を3Dスキャナーで数値化し、そのデータを基に眼鏡フレームを3Dプリンターでプリントするものである。フレームの材質としては、プラスチックだけでなくチタン等の金属、及びテンプル(眼鏡)等の腕(アーム)は形状記憶合金等も使用することが可能である。
さらに、国際公開第2013/149891号(特許文献5)は、人の顔の形状を測定する3Dスキャナーと、そのデータを基にレンズ及び/又はフレームをプリントする3Dプリンターとからなるカスタムメイドのメガネを作製するシステムを開示しており、透明インクを使用してレンズを作製し、着色したインクを使用してフレームを作製することができると記載している。特許文献5に記載のシステムは、インクジェット法による3Dプリントを提案しているが、このような方法では光学レンズに要求されるような高精度のレンズ形状を造形することが難しく、実用的にはさらなる技術革新が必要である。
国際公開第97/19383号パンフレット 特開2004−264365号公報 特開2009−244600号公報 特表2008−537177号公報 国際公開第2013/149891号
従って、本発明の目的は、複雑な加工作業を行うことなしに、3Dプリンターによって、レンズ基材の物体側の屈折面及び眼球側の屈折面が、適切な光学性能が得られるように加工された眼鏡用レンズ、及びその製造方法を提供することにある。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、3D(三次元)プリンターで作製したレンズ基材の少なくとも1つの面に、ダイヤモンド微粒子を含有する高屈折率膜を形成することにより、実用的な精度にまで前記レンズ基材を改善できること、さらには前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜を、面方向に厚み及び/又は屈折率が変化させたものとすることにより、球面レンズの非点収差を簡便に改善できること、さらに遠近両用眼鏡レンズに中間距離用の領域を簡便に設けることができることを見出し、更に軽量化することが出来ることから、ペーパーガラス用途にも展開出来ることに思い至り、本発明に想到した。
すなわち、レンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズを製造する本発明の方法は、レンズ基材を三次元プリンターで造形する工程、及び得られたレンズ基材の少なくとも1つの面にダイヤモンド微粒子を含有する分散液を塗布する工程を有することを特徴とする。
レンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズを製造する本発明の他の方法は、レンズ基材を三次元プリンターで造形する工程、及び得られたレンズ基材の表面にダイヤモンド微粒子を含有する膜を三次元プリンターで造形する工程を有することを特徴とする。
レンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズを製造する本発明のさらに他の方法は、レンズ基材及びダイヤモンド微粒子を含有する膜を三次元プリンターで一体的に造形する工程を有することを特徴とする。
前記塗布は、ディップコート法、インクジェット法、スピンコート法、スプレーコート法、又はフローコート法により行うのが好ましい。
前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚みは、前記レンズ基材の前記面に沿って変化していてもよい。
前記レンズ基材は、複数の部分に分割して造形し、前記複数の部分を融着させることによって作製してもよい。
前記複数の部分は、近用部を含む部分と遠用部を含む部分とからなるのが好ましい。
前記レンズ基材は光硬化性樹脂からなるのが好ましい。
前記レンズ基材の造形は光学造形方式の三次元プリンターで行うのが好ましい。
前記ダイヤモンド微粒子は、爆射法で得られたダイヤモンド微粒子であるのが好ましい。
前記ダイヤモンド微粒子は、フッ素及び/又はケイ素を有するダイヤモンド微粒子であるのが好ましい。
前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、紫外線吸収剤を含有してもよい。
本発明の眼鏡レンズは、前記眼鏡用レンズの製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明の眼鏡は、3Dプリンターによって造形されたレンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズと、3Dプリンターによって造形されたフレームとからなることを特徴とする。
前記フレームはチタン製であるのが好ましい。
本発明のもう一つの眼鏡は、3Dプリンターによって一体に造形されたレンズ基材及びリムと、3Dプリンターによって造形されたテンプルとからなることを特徴とする。眼鏡テンプルとは眼鏡の腕(アーム)を言うが、形状記憶合金を用いることが好ましい。
本発明のさらにもう一つの眼鏡は、3Dプリンターによって一体に造形されたレンズ基材、リム、及びテンプルからなることを特徴とする。
前記眼鏡を製造する本発明の方法は、ユーザーの顔面の立体形状を測定し、眼の位置、フレームパット位置、テンプル位置を求め、それらの位置をもとに、ユーザーの顔面形状に最適な形に加工することを特徴とする。
ダイヤモンド微粒子を含有する高屈折率膜を、3D(三次元)プリンターで作製したレンズ基材の少なくとも1つの面に形成することにより、レンズ基材の光学性能を高めることができ、眼鏡レンズとして十分実用に耐えることができるようになるため、ユーザーの顔の形にカスタマイズされた眼鏡を3Dプリンターで全て作製することが可能となり、簡便で安価にオーダーメイドの眼鏡を提供することができる。
また3D(三次元)プリンターによるレンズ基材の作製とダイヤモンド微粒子を含有する高屈折率膜の形成とを組み合わせることにより、これまで複雑な加工作業が必要であった遠近両用眼鏡用レンズにおける中間距離用の領域の形成、非球面レンズの製造等を簡便な方法で行うことができるので、レンズ基材の種類を減らすことができ、レンズの設計の自由度が高まる。
さらに、ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、可視光は通すが、近赤外線を反射する効果が大きいので、眼鏡用レンズに前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜を形成することにより、近赤外線を遮断し、眼球の温度を下げる効果を発揮し、テレビ等を鑑賞するときの目の疲れを低減する。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜に、紫外線吸収剤を含有させることにより、目に有害な網膜の機能低下を引き起こす比較的短波長な青色光、及び紫外線を遮断し、目の機能低下を防止する。特にLED発光の青色光(波長380〜495nm)の強度を緩和し、網膜の機能低下を防止することができる。
本発明の眼鏡用レンズの一例を模式的に示す(a)正面図、及び(b)断面図である。 図1(b)のA部分を拡大して示す模式図である。 本発明の眼鏡用レンズの他の一例を示す模式断面図である。 本発明の眼鏡用レンズのさらに他の一例を示す模式断面図である。 非球面レンズの構成を示す模式図である。 本発明の眼鏡用レンズのさらに他の一例を示す模式図である。 従来の眼鏡用レンズの一例を模式的に示す断面図である。 従来の累進屈折力レンズの一例を模式的に示す(a)正面図、及び(b)断面図である。
[1]眼鏡用レンズ
本発明の眼鏡用レンズは、三次元プリンター(以下、3Dプリンターと言う)で造形されたレンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する。
3Dプリンターは立体形状をレイヤー(層)に分解して得られた断面形状データを基にして、プラスチック等の材料でその断面形状を描き、積み重ねていくことによって立体物を造形する装置であり、立体形状のデータから直接立体物を造形することができる。このため眼鏡レンズやフレーム等のように、ユーザーごとに最適化した形状のものをオーダーメイドするのに適した方法と言える。しかしながら、3Dプリンターで造形された立体物の表面は積層したレイヤー同士の段差に起因する微細な凹凸を有しているため、高い表面精度が要求される眼鏡レンズを3Dプリンターで造形した場合、十分な光学性能が得られない場合がある。
これらのレンズ表面の凹凸を滑らかにし光学性能を向上させる方法としては、表面の研磨、研削、溶剤等による溶解、熱による融解等の方法が考えられるが、レンズ製造の効率化を考えた場合、これらの方法を採用した場合新たな工程が追加されることとなり、3Dプリンターを使用して効率化を図るメリットが低減する。このため本発明では、これらの表面の研磨、研削、溶剤等による溶解、熱による融解等の方法の代わりに、3Dプリンターで造形されたレンズ基材の表面に高屈折率のダイヤモンド微粒子を含有する膜を形成し、レンズ表面の凹凸を平滑化させる。このように、レンズ基材の表面に高屈折率のダイヤモンド微粒子を含有する膜を形成しレンズ表面の凹凸を平滑化させることにより、レンズ基材の表面に有する微細な凹凸による光学性能の劣化が緩和されて光学性能を飛躍的に向上させることができる。ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、レンズ基材の少なくとも一方の面に形成すればよいが、両面に形成するのが好ましい。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、レンズ基材の屈折率と同じ程度の屈折率を有するのが好ましい。ダイヤモンド微粒子を含有する膜の屈折率と、レンズ基材の屈折率との差は、0.1以下であるのが好ましく、0.05以下であるのがより好ましく、0.01以下であるのがさらに好ましく、同じであるのが最も好ましい。ダイヤモンド微粒子を含有する膜の屈折率をレンズ基材の屈折率と近い値にすることにより、3Dプリンターに起因する凹凸を有するレンズ基材の表面とダイヤモンド微粒子を含有する膜との境界面での反射を防止することができる。このため、レンズ基材表面の凹凸が光学的に打ち消され平滑化される。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、バインダー及びダイヤモンド微粒子とからなるのが好ましい。バインダー中のダイヤモンド微粒子の量は、ダイヤモンド微粒子を含有する膜の屈折率がレンズ基材の屈折率と同じになるように設定するのが好ましい。ダイヤモンド微粒子を含有する層は、1層だけでなく、2層以上設けても良い。その場合、2層目以降は、その厚さ及び/又は膜中のダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が他の層に対して変化しているのが好ましい。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、ダイヤモンド微粒子を含有する分散液をインクジェット等の方法によって塗布することによって形成したものでも良いし、三次元プリンターで造形したものでも良い。特にインクジェット等の方法によって塗布するのが好ましい。また前記レンズ基材と前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜とを三次元プリンターで一体的に造形しても良い。例えば、ダイヤモンド微粒子を含有する膜をインクジェット法により形成する場合、3Dプリンターでレンズ基材を造形した後、連続してダイヤモンド微粒子を含有する分散液をインクジェット法により塗布することが可能であるため、レンズ製造の効率化を図ることが可能である。
さらに、前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、その厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が均一であってもよいが、その厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、前記レンズ基材の面に沿って変化していてもよい。以下、ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が均一である第一の実施態様、及びダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量がレンズ基材の面に沿って変化していている第二〜第四の実施態様について説明する。
(A)第一の実施態様
眼鏡用レンズ1の第一の実施態様は、図1に示すように、3Dプリンターで造形したレンズ基材10の少なくとも1つの面(図では、内表面10b)にダイヤモンド微粒子12を含有する均一な膜11を設けたものである。第一の実施態様において、前記ダイヤモンド微粒子12を含有する膜11は、前記レンズ基材10の一部にのみ設けても良いが全面に設けるのが好ましい。前記ダイヤモンド微粒子12を含有する膜11は、図2に示すように、ダイヤモンド微粒子12及びバインダー13を含有してなるものが好ましい。前記ダイヤモンド微粒子12を含有する膜を設けた眼鏡用レンズ1は、ダイヤモンド微粒子12を含有する分散液を前記レンズ基材10の前記面に塗布することによって作製するのが好ましい。
(1)レンズ基材
レンズ基材10としては、曲率半径が25〜150mmの球面レンズ又は非球面レンズからなるものが好ましい。前記レンズ基材10は、3Dプリンターで造形したものである。
3Dプリンターは、基本的には前述したように、立体形状を複数のレイヤーに細かく分解したデータを基に、レイヤーを積層していくことによって立体物を造形するものであるが、その積層の方法によって、熱溶解積層方式、インクジェット方式、粉末焼結方式、光造形方式等の方式に分類される。熱溶解積層方式は、溶解させた樹脂(ABSなど)をプリンターヘッドで押し出しながら少しずつ積み上げて立体物をつくる方法であり、比較的簡単な装置で立体物を造形することができる。インクジェット方式は、インクジェットヘッドで紫外線硬化樹脂の粉末を塗布し、紫外線照射で硬化しながら、樹脂を何層にも重ねて立体物をつくる方法である。粉末焼結方式は、テーブル上に敷き詰めた粉末素材の表面にレーザー光を照射することで粉末素材を焼結及び積層し立体物を造形する方式である。光造形方式は、バット等の容器に満たした紫外線硬化樹脂に紫外線レーザーを照射しながら前記樹脂を硬化及び積層し立体物を造形する方式である。
これらの方式のうち、レンズ基材10を造形する方法としては、比較的高い精度で立体物を造形することができる、インクジェット方式又は光造形方式が好ましい。特に表面の滑らかさに優れている光造形方式が好ましい。従って、レンズ基材10を構成する樹脂は、紫外線硬化樹脂であるのが好ましい。
レンズ基材10は、必要に応じて複数の部分に分割して造形し、それらの複数の部分を融着させることによって作製してもよい。例えば、近用部を含む部分と遠用部を含む部分とをそれぞれ造形し、ユーザーの視力に併せて適切な形状の2種のレンズ部分(近用部及び遠用部)を選択し、それらを中間部で融着して1枚の遠近両用眼鏡レンズを作製することも可能である。
また眼鏡用樹脂層と、後述するナノダイヤモンド微粒子を含有する膜とを交互に複数層積層した構成のレンズとしても良い。このような構成とすることで、積層方向に屈折率を段階的に変化させた傾斜層を有する傾斜材料とすることが出来る。
(2)ダイヤモンド微粒子を含有する膜
ダイヤモンド微粒子を含有する膜11は、図2に示すように、ダイヤモンド微粒子12及びバインダー13からなるのが好ましい。ダイヤモンド微粒子を含有する膜11は、レンズ基材10の表面に有する3Dプリンターによる造形に起因する凹凸14をレベリング(平滑化)するといった効果を有しているとともに、ダイヤモンドの有する高い屈折率によりレンズの屈折率を調節する効果や、ダイヤモンドの有する高い硬度によりハードコートとして働き耐傷性を高めるといった効果も有している。前記ダイヤモンド微粒子12は、天然ダイヤモンドもしくは人造ダイヤモンドを粉砕して得られたもの、又は爆射法によって得られたナノダイヤモンドであるのが好ましい。前記バインダー13は、特に限定されないが、前記レンズ基材を構成する樹脂と近い屈折率を有するものが好ましく、前記レンズ基材を構成する樹脂を用いるのがより好ましい。
ダイヤモンド微粒子及びバインダーからなる膜は、レンズ基材の表面に密着して形成されるので、それらの界面における反射ができるだけ小さくなるように、前記レンズ基材と屈折率の差が小さいことが好ましい。ダイヤモンドは高い屈折率を有するので、バインダーにダイヤモンド微粒子を分散させることにより得られる複合膜の屈折率はバインダーの屈折率に対して高くなる。従って、レンズ基材に比べて屈折率が同程度かそれ以下の屈折率を有するバインダーにダイヤモンド微粒子を添加して、ダイヤモンド微粒子を含有する膜の屈折率をレンズ基材の屈折率と同等となるように調節し、ダイヤモンド微粒子を含有する膜とレンズ基材との界面での反射が発生しないようにするのが好ましい。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜11中のダイヤモンド微粒子12の含有量は、前記レンズ基材10に接する第1層として形成する場合は、前述の様に、ダイヤモンド微粒子を含有する膜11の屈折率が前記レンズ基材の屈折率と同じになるように調節するのが好ましい。
ダイヤモンド微粒子をバインダー中に均一に分散させてなる膜の屈折率は、加成性が成り立つので、ダイヤモンドの屈折率とバインダーの屈折率との加重平均で表すことができる。例えば、屈折率が1.60のバインダー(95質量部)に対して5質量部のダイヤモンド微粒子(屈折率2.42)を分散させて用いた場合、その複合材料の屈折率は1.64となる。このように、ダイヤモンド微粒子をバインダー中に分散させることにより、簡便に材料の屈折率を調節することができ、ダイヤモンド微粒子を含有する膜とレンズ基材との界面での反射が発生しないようにすることができる。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜を2層以上設ける場合は、例えば図3に示すように、少なくとも、レンズ基材10と接する第1層のダイヤモンド微粒子を含有する膜11aの屈折率をレンズ基材10と同じにすれば、第2層目のダイヤモンド微粒子を含有する膜11b及びそれ以降の膜11c・・・膜11gの屈折率を、目的に応じて変化させてもかまわない。なお図3では7層構成のダイヤモンド微粒子を含有する膜11を示したが、層構成は目的に応じて適宜設計することができる。
これらの第2層以上のダイヤモンド微粒子を含有する膜11中のダイヤモンド微粒子12の含有量は、ダイヤモンド微粒子を含有する膜11を形成するバインダー材料に対して、0.001〜30質量%であるのが好ましく、0.005〜10質量%であるのがより好ましく、0.01〜5質量%であるのが最も好ましい。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚みは、特に限定されないが、前記レンズ基材の中心部の厚みの1/5以下の厚みであるのが好ましく、具体的には1〜200μm程度であるのが好ましく、2〜150μmであるのがより好ましい。ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚みが、前記レンズ基材の中心部の厚みの1/5(200μm)より大きい場合、強い衝撃を受けたときにひびや割れが生じる場合がある。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜の前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量は、0.1〜60g/mであるのが好ましく、0.5〜45g/mであるのがより好ましい。ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、バインダー中に均一に分散されたダイヤモンド微粒子により高い屈折率を有するので、レンズ基材の屈折力を効率よく高めることができる。
(a)ダイヤモンド微粒子
ダイヤモンド微粒子は、可視光により散乱(ミー散乱)が起こらない程度のサイズ、すなわち400nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下のサイズのものを用いる。ダイヤモンド微粒子としては、ダイヤモンド微粒子を含有する膜中に均一に分散させるためバインダー及び膜を製造する際の溶剤との親和性に優れたものが好ましい。すなわち親水的なバインダー及び溶剤を使用する場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の官能基が粒子表面に比較的多く存在するものが好ましく、疎水的なバインダー及び溶剤を使用する場合、これらの表面をケイ素、フッ素等を含む疎水性の官能基で修飾して使用するのが好ましい。これらのダイヤモンド微粒子としては、天然ダイヤモンドもしくは人造ダイヤモンドを粉砕して得られたもの、又は爆射法によって得られたナノダイヤモンドが挙げられる。
天然ダイヤモンド又は人造ダイヤモンドを粉砕して得られたものとしては、機械的な方法によって80〜100nmに粉砕したものを使用するのが好ましい。粉砕して得られたダイヤモンド微粒子は、必要に応じてその表面を官能基で修飾して、溶剤等との親和性を高めた状態で使用するのが好ましい。
爆射法で得られたナノダイヤモンドは、ナノサイズのダイヤモンド微粒子の表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、グラファイト系炭素が存在するため黒く着色している。このまま使用することも可能であるが、酸化処理によって粒子表面のグラファイト系炭素を一部除去し透明度を高めるとともに、その表面をカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の官能基、又はケイ素、フッ素等を含有する官能基で修飾して使用することもできる。
未精製のナノダイヤモンドは、約2.55g/cmの比重を有し、200〜250nm程度のメジアン径(動的光散乱法)を有する。この未精製のナノダイヤモンドを酸化処理等の方法で精製したダイヤモンド微粒子は2〜10nm程度のダイヤモンドの一次粒子からなるメジアン径150〜250nm程度の二次粒子である。ダイヤモンド微粒子は、分散度を高め散乱を低減させるためさらにメディア分散等の方法によりできるだけ凝集を解いて使用するのが好ましく、そのメジアン径は10〜200nmであるのが好ましく、20〜150nmであるのがより好ましい。
ダイヤモンド微粒子は、2.55〜3.48g/cmの比重を有するのが好ましい。ダイヤモンド微粒子の比重は、ナノダイヤモンドの精製度(グラファイト系炭素の除去率)に伴って増加するので、比重から粒子中のダイヤモンド含率(粒子表面に存在するグラファイト系炭素の量)を求めることができる。すなわち、比重が2.55g/cmの場合のダイヤモンド含率は24体積%、比重が3.48g/cmの場合のダイヤモンド含率は98体積%である。
ダイヤモンド微粒子の比重が2.55g/cm未満、すなわち酸化処理を行わない場合であっても、その表面にカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の官能基を有しているが、さらに酸化処理を施すことによって、それらの数を増加させることができる。また過剰に酸化処理を施した場合、ナノダイヤモンドのシェル部分のグラファイト系炭素がほとんど除去されるため、逆にカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の官能基が少なくなり、親水性溶剤への分散性が低下することがあるので、比重は3.48g/cmを越えない程度であるのが好ましい。また必要に応じて溶剤への分散性を高める効果を有する、ケイ素、フッ素等を含有する官能基で表面修飾を行うのが好ましい。前記比重は、3.0g/cm(ダイヤモンド84体積%)以上3.46g/cm(ダイヤモンド97体積%)以下であるのがより好ましく、3.38g/cm(ダイヤモンド90体積%)以上3.45g/cm(ダイヤモンド96体積%)以下であるのが最も好ましい。なおナノダイヤモンド中のダイヤモンドの体積%は、ダイヤモンドの比重3.50g/cm及びグラファイトの比重2.25g/cmを用いて、ナノダイヤモンドの比重から算出した値である。
ケイ素、フッ素等を含有する官能基で表面修飾を行ったダイヤモンド微粒子として、例えば、ケイ素を有するダイヤモンド微粒子、及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子が挙げられる。ケイ素を有するダイヤモンド微粒子は、10〜500nm程度のダイヤモンド微粒子の表面に、ケイ素原子又はケイ素原子を含有する基を結合させることによって得られたケイ素修飾ダイヤモンド粒子であり、同様に、フッ素を有するダイヤモンド微粒子は、フッ素原子又はフッ素原子を含有する基を結合させたフッ素修飾ダイヤモンド粒子である。ケイ素原子、ケイ素原子を含有する基、フッ素原子、及びフッ素原子を含有する基は、ダイヤモンド微粒子の表面に存在するsp炭素、sp炭素、−COOH、−OH等の親水性官能基等に共有結合により結合するため、容易にダイヤモンド微粒子から分離することはない。フッ素及び/又はケイ素を有するダイヤモンド微粒子は、前記ケイ素のみ又はフッ素のみを有するダイヤモンド微粒子であってもよいし、ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子であってもよい。
ケイ素を有するダイヤモンド微粒子、又はケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子中のケイ素原子の量は、特に限定されないが、ダイヤモンド微粒子に対して、0.1〜25質量%であるのが好ましく、0.2〜20質量%であるのがより好ましい。フッ素を有するダイヤモンド微粒子、又はケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子中のフッ素原子の量は特に限定されないが、ダイヤモンド微粒子に対して、0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.2〜15質量%であるのがより好ましい。
(b)バインダー
ダイヤモンド微粒子を含有する膜を構成するバインダーは、レンズ基材を構成する材料と同じもの、又は眼鏡用レンズのハードコートとして使用されている材料を用いるのが好ましい。これらの材料を用いることにより、レンズ基材とダイヤモンド微粒子を含有する膜との界面、及び/又はダイヤモンド微粒子を含有する膜とハードコート層との界面における屈折率の大きな変化を低減し、それらの界面における可視光の反射を低減することができる。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜を形成するバインダー材料としては、前述のレンズ基材を構成する材料を使用するのが好ましい。
眼鏡用レンズのハードコート用の材料としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤等が挙げられる。特に爆射法によって得られたナノダイヤモンドは、水、アルコール等の親水的な溶剤に対する分散性が良好なので、このような親水的な溶剤に溶解又は分散されたハードコート剤、もしくは親水的なハードコート剤を用いるのが好ましい。
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合を持った硬化樹脂層を形成するものであり、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物等)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくはさらに4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物等)を含む部分加水分解縮合物、さらにこれらにコロイダルシリカ等の金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物等が挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤はさらに2官能性のシロキサン単位及び1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)等が含まれるが、さらに必要に応じて任意の有機溶剤、水、又はこれらの混合物に溶解又は分散させてもよい。前記有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類等が挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るためシロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤等の各種界面活性剤を添加してもよい。
有機樹脂系ハードコート剤としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型材料、電子線硬化型材料、二液混合型硬化型樹脂等が挙げられる。
熱硬化型樹脂とは、熱の作用を受けて分子間架橋による硬化反応を起し、不溶不融性の三次元網目構造をとる樹脂であり、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。
紫外線硬化型材料及び電子線硬化型材料としては、光重合性の官能基を2個以上、特に3〜6個有するモノマー又はオリゴマーが挙げられる。前記モノマー又はオリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリレートモノマー、シリコンアクリレート等が挙げられる。紫外線硬化型材料とは、前記モノマー又はオリゴマーのうち、紫外線照射により重合や架橋を起すものであり、電子線硬化型材料とは、前記モノマー又はオリゴマーのうち、電子線照射により重合や架橋を起すものである。前記モノマーやオリゴマーは一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
二液混合型硬化型樹脂としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
これらハードコート剤のうち長期間の耐久性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤、又は処理が比較的簡便でかつ良好なハードコート層が形成される紫外線硬化型のアクリル樹脂等が好ましい。
シリコーン樹脂系ハードコート剤はプライマー層とトップ層から構成されるいわゆる2コートタイプ、又は1層のみから形成されるいわゆる1コートタイプのいずれも選択できる。プライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分及びポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレート等の各種多官能アクリル樹脂等を挙げることができ、これらは単独でも2種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは50重量%以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂及びウレタンアクリレートからなるものが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、並びに反応後の樹脂を直接塗布し硬化樹脂層を形成することのいずれも適用可能である。後者は通常樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布されその後溶媒が除去される。また前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
ハードコート層には、さらに必要に応じて、アニオン、カチオン性やノニオン性界面活性剤、光安定剤や紫外線吸収剤、触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤、添加助剤等を含むことができる。
(c)その他の添加剤
ダイヤモンド微粒子を含有する膜に、紫外線吸収剤を添加することにより、紫外光から目を保護する効果を眼鏡レンズに付与することができる。さらに、ダイヤモンド微粒子を含有する膜を染色することにより、眼鏡製造時の染色を行わずに着色した眼鏡レンズを得ることができる。
(d)製造方法
ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、ダイヤモンド微粒子、及びバインダー又はその前駆体を含む塗布液を塗布する方法により前記レンズ基材の表面に形成することができる。前記塗布液には必要に応じて、溶剤、各種添加剤を有していても良い。
前記バインダー前駆体は、前述のレンズ基材を構成するバインダーを形成するためのモノマー、又は前述のハードコート剤である。この前駆体を含む塗布液には、重合開始剤、溶剤、触媒、増粘剤、界面活性剤等を含有させても良い。
塗布方法としては、ディップコート法、インクジェット法、スピンコート法、スプレーコート法、フローコート法等の方法から目的に応じて適宜選択することができる。中でも複雑な成形品形状に対応しやすいディップコート法、フローコート法、及びスプレーコート法、高い精度で塗布が可能なジェット法が好ましい。
(3)その他の表面コート層
通常、眼鏡用レンズは研削及び研磨した後、その表面に反射防止膜及びハードコートを形成する。本発明の眼鏡用レンズの場合は、ダイヤモンド微粒子及びバインダーからなる膜の上に反射防止膜及びハードコート層を形成するのが好ましい。つまり、従来のメガネ用レンズにおいて、レンズ基材の表面に形成されていた反射防止膜は、本発明においてはダイヤモンド微粒子及びバインダーからなる膜の表面に形成されることになる。反射防止膜が十分に機能を発揮するためには、反射防止膜が形成される基材の屈折率が所定の範囲である必要がある。この所定の屈折率範囲は、従来から用いられているレンズ基材の屈折率が含まれるように設計されているので、本発明においてもダイヤモンド微粒子及びバインダーからなる膜の表面付近の屈折率をレンズ基材の屈折率に合わせるのが好ましい。
(B)第二の実施態様
眼鏡用レンズの第二の実施態様は、3Dプリンターで造形したレンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有し、前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、前記レンズ基材の前記面に沿って変化していることを特徴とするものである。前記第一の実施態様で説明したダイヤモンド微粒子を含有する膜が均一な厚み及び均一なダイヤモンド微粒子密度を有するものであるのに対し、前記膜の厚み及び前記ダイヤモンド微粒子密度のいずれか又は両方をレンズ基材の面に沿った方向に変化させることにより、屈折力の変化させた眼鏡用レンズを得ることができる。さらに例えば、遠用部、近用部、及び中間部を有する眼鏡レンズにおいて、特に中間部に生ずる歪みを、ナノダイヤモンド微粒子を含有する膜を適切に設けることにより、緩和することができる。
第二の実施態様におけるレンズ基材及びダイヤモンド微粒子を含有する膜は、ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、レンズ基材の面に沿って変化している以外、前記第一の実施態様と同様の材料を用いて、同様の方法により形成することができる。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、レンズ基材の面に沿って変化してなる第二の実施態様の眼鏡用レンズは、(a)前記レンズ基材の少なくとも1つの面に、ダイヤモンド微粒子を含有する分散液を、付着量を変化させながら塗布する方法、(b)前記レンズ基材の少なくとも1つの面に、ダイヤモンド微粒子及びバインダー又はその前駆体を含有し、ダイヤモンド微粒子の含有量の異なる少なくとも2種類の分散液を、インクジェット法により互いの吐出量を変化させながら塗布する方法、(c)前記レンズ基材の少なくとも1つの面にダイヤモンド微粒子及びバインダーを含有する形状の異なる複数の膜を積層して貼り付ける方法、(d)前記レンズ基材の少なくとも1つの面に均一に形成したダイヤモンド微粒子を含有する膜を研削及び研磨する方法等によって製造することができる。本発明においては、上記の(a)又は(b)の方法によって形成するのが好ましい。
(a)付着量を変えながら塗布する方法
前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜を、厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、前記レンズ基材の前記面に沿って変化するように設けられた眼鏡用レンズは、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に、ダイヤモンド微粒子を含有する分散液を、付着量を変えながら塗布することによって作製する。付着量を変えながら塗布する方法としては、インクジェット法より吐出量を変化させながら塗布する方法、又は部分的に重ねて塗布する方法が挙げられる。
原理的には、ダイヤモンド微粒子を含有する分散液は1種類で、前記レンズ基材の前記面に沿って付着量を変えながら塗布することが可能であるが、より高い精度で付着量を調節するためには2種以上のダイヤモンド微粒子の含有量の異なる塗布液を準備しておき、それらを用いて塗布するのが好ましい。ただし、前記レンズ基材表面に接する層(第1層)を前記ダイヤモンド微粒子の含有量の異なる2種以上の塗布液で形成する場合、前記レンズ基材との屈折率を揃える必要があるため、前記ダイヤモンド微粒子の含有量の異なる2種以上の塗布液は、バインダーに対するダイヤモンド微粒子の量を同じにする必要がある。つまり、分散媒の量を調節することにより前記ダイヤモンド微粒子の含有量の異なる塗布液を作製するのが好ましい。
インクジェット法としては公知の装置を使用して、公知の方法で実施することができる。本発明においては、重合性のバインダーを使用するため、インクジェットのノズルが詰まりやすい。このためノズルは使い捨てのタイプのものが好ましい。
(b)2種類の分散液を吐出量を変化させながら塗布する方法
前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜を、厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、前記レンズ基材の前記面に沿って変化するように設けられた眼鏡用レンズは、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に、ダイヤモンド微粒子及びバインダー又はその前駆体を含有し、ダイヤモンド微粒子の含有量の異なる少なくとも2種類の分散液を、インクジェット法により互いの吐出量を変化させながら塗布する方法によって製造することができる。それらの各分散液のバインダー濃度及び吐出量は、バインダーの付着量が一定となるように設定するのが好ましい。インクジェット法については前述したように公知の装置及び方法を採用するのが好ましい。
ただし、前述したように、前記レンズ基材表面に接する膜(第1層)は、前記レンズ基材と屈折率を揃えた膜にする必要があるため、第1層として均一な膜を形成し、第2層以降のダイヤモンド微粒子含有膜の厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量をレンズ基材の面に沿って変化させるように設計するのが好ましい。
(c)ダイヤモンド微粒子を含有する形状の異なる複数の膜を積層して貼り付ける方法
前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜を、厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、前記レンズ基材の前記面に沿って変化するように設けられた眼鏡用レンズは、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に、前記ダイヤモンド微粒子を含有する形状の異なる複数の膜を積層して貼り付けることによって作製する。前記レンズ基材の少なくとも1つの面に貼り付けるための前記ダイヤモンド微粒子がバインダーに分散した膜は、公知の成膜方法によって作製することができる。
この場合も、前記レンズ基材表面に接する膜(第1層)は、前記レンズ基材と屈折率を揃えた膜にする必要があるため、第1層として均一な膜を形成し、第2層以降のダイヤモンド微粒子含有膜の厚み、及び/又はダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量をレンズ基材の面に沿って変化させるように設計するのが好ましい。
複数の膜の各厚みは、目的に応じて適宜設計することができるが、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。複数の膜の合計の厚みは、前述したように、前記レンズ基材の中心部の厚みの1/5以下の厚みであるのが好ましく、具体的には1〜200μm程度であるのが好ましく、2〜150μmであるのがより好ましい。
(d)均一に形成したダイヤモンド微粒子を含有する膜を研削及び研磨する方法
前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜を、厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、前記レンズ基材の前記面に沿って変化するように設けられた眼鏡用レンズは、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に均一に形成したダイヤモンド微粒子を含有する膜を、研削及び研磨することによって得ることができる。前記研削及び研磨は公知の方法によって行う。
前記レンズ基材の少なくとも1つの面に均一に形成したダイヤモンド微粒子を含有する膜は、第一の実施態様と同様にして、前記ダイヤモンド微粒子とバインダー又はその前駆体とを含有する分散液を前記レンズ基材の少なくとも1つの面に塗布する方法によって得ることができる。
前記レンズ基材の表面にダイヤモンド微粒子を含有する膜を均一に形成した後、前記膜を研削及び研磨することによって、所望の屈折力を有する眼鏡用レンズとする。前記研削及び研磨は、通常の眼鏡製造において行うのと同様にして行うことができる。ダイヤモンド微粒子を含有する高屈折率膜を用いることにより、従来の研削及び研磨では取り切れなかった光学的な歪をとることが可能となり、さらに複雑な形状に加工することが可能となる。
(C)第三の実施態様
眼鏡用レンズ2の第三の実施態様は、第二の実施態様をさらに具体化したものである。すなわち、第三の実施態様は、図4に示すように、レンズ基材20と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜21とを有する眼鏡用レンズであって、前記レンズ基材が球面レンズであり、前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、前記レンズ基材の中心から縁部に向かって、コマ収差及び/又は非点収差が改良されるように同心円状に変化していることを特徴とするものである。
球面レンズは、加工が容易であるため安価に大量に生産できるが、コマ収差及び非点収差の問題がある。このコマ収差及び非点収差の問題は、非球面レンズとすることにより解決できるが、加工に手間がかかるため、コスト高となりユーザーに負担がかかっている。前述のダイヤモンド微粒子を含有する膜を、前記球面レンズ基材の少なくとも1つの面に、膜の厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量を同心円状に変化させて形成することにより、簡便な方法でコマ収差及び/又は非点収差が改良された、非球面レンズと同等の眼鏡用レンズとすることができる。
非球面レンズは、レンズの光軸に対して回転対称な局面を有しており、レンズ中心から光軸に垂直な距離hにおける光軸方向の位置zは以下の式(1)で表すことができる(図5を参照)。
Figure 2016024456
ここで、rは基礎となる球面の半径(近軸曲率半径)であり、kは円錐定数であり、k=0のとき半径rの球面、k>rのとき楕円面、k=−1のとき放物面、k<−1のとき双曲面となる。右辺第二項が非球面パラメータである。
コマ収差及び/又は非点収差の小さな、非球面レンズ構成とするためには、前記式(1)において非球面パラメータで表される部分を、ダイヤモンド微粒子を含有する膜を設けることにより構成することで達成できる。すなわち、図4に示すように、前記レンズ基材の少なくとも1つの面にダイヤモンド微粒子を含有する膜を、その厚みがレンズ中心部で薄く、レンズ周辺部にゆくに従って厚くなるように、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、レンズ中心部で低く、レンズ周辺部にゆくに従って高くなるように設け、非球面レンズと同等の屈折力を球面レンズに付与することによって達成できる。
ダイヤモンド微粒子を含有する膜はレンズ基材よりも高い屈折率を有しているため、前述のようにダイヤモンド微粒子を含有する膜を設けることにより非球面レンズと同等の屈折力を球面レンズに付与する場合、レンズ基材の局面を非球面レンズ化するよりも、前記非球面パラメータで表される部分の厚みを小さくすることが可能である。従って、レンズを非球面化する場合よりも、レンズ周辺部の厚みの小さい眼鏡用レンズを提供することができる。
レンズ基材及びダイヤモンド微粒子を含有する膜は、前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜が厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量を同心円状に変化している以外、前記第一の実施態様と同様のものを用いることができ、同様の方法により形成することができる。前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、1層で形成しても良いが、2層以上で形成してもよい。
(D)第四の実施態様
眼鏡用レンズ3の第四の実施態様は、第一又は第二の実施態様をさらに具体化したものである。即ち第四の実施態様は、図6に示すように、前記レンズ基材30が、遠用部領域31と、前記レンズ基材の下部に設けられた近用部領域32とを有し、ダイヤモンド微粒子を含有する膜が、前記レンズ基材の中心と前記近用部領域との間に設けられることにより中間距離用の領域33を形成していることを特徴とするものである。前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、その厚み、及び/又は前記ダイヤモンド微粒子の単位面積当たりの量が、均一であっても良いし、前記レンズ基材の前記面に沿って変化しているものであってもよい。
領域33を形成する前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、中間距離用の屈折力を形成するように構成され、遠用部領域31と近用部領域32とをなだらかに接続するように設けるのが好ましい。
レンズ基材及びダイヤモンド微粒子を含有する膜は、前記第一の実施態様と同様のものを用いることができ、同様の方法により形成することができる。前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜は、1層で形成しても良いが、2層以上で形成してもよい。
[2]眼鏡
本発明の眼鏡は、3Dプリンターによって造形したレンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズと、3Dプリンターによって造形したフレームとからなることを特徴とする。前記フレームはチタン製であるのが好ましい。
本発明のもう一つの眼鏡は、3Dプリンターによって一体に造形したレンズ基材及びリムと、3Dプリンターによって造形したテンプルとからなることを特徴とする。
本発明のさらにもう一つの眼鏡は、3Dプリンターによって一体に造形したレンズ基材、リム、及びテンプルからなることを特徴とする。
本発明のこれらの眼鏡は、ユーザーの顔面の立体形状を測定し、眼の位置、フレームパット位置、テンプル位置を求め、それらの位置をもとに、ユーザーの顔面形状に最適な形に加工することによって得られるのが好ましい。
1,2,3・・・眼鏡用レンズ
10,20,30・・・レンズ基材
10a・・・外表面
10b・・・内表面
11,21・・・ダイヤモンド微粒子を含有する膜
12・・・ダイヤモンド微粒子
13・・・バインダー
31・・・遠用部領域
32・・・近用部領域
33・・・中間距離用の領域

Claims (18)

  1. レンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズを製造する方法であって、レンズ基材を三次元プリンターで造形する工程、及び得られたレンズ基材の少なくとも1つの面にダイヤモンド微粒子を含有する分散液を塗布する工程を有することを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  2. レンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズを製造する方法であって、レンズ基材を三次元プリンターで造形する工程、及び得られたレンズ基材の表面にダイヤモンド微粒子を含有する膜を三次元プリンターで造形する工程を有することを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  3. レンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズを製造する方法であって、レンズ基材及びダイヤモンド微粒子を含有する膜を三次元プリンターで一体的に造形する工程を有することを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  4. 請求項1に記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記塗布を、ディップコート法、インクジェット法、スピンコート法、スプレーコート法、又はフローコート法により行うことを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜の厚みが、前記レンズ基材の前記面に沿って変化していることを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記レンズ基材を、複数の部分に分割して造形し、前記複数の部分を融着させることによって作製することを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  7. 請求項6に記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記複数の部分が、近用部を含む部分と遠用部を含む部分とからなることを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記レンズ基材が光硬化性樹脂からなることを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  9. 請求項8に記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記レンズ基材の造形を光学造形方式の三次元プリンターで行うことを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたダイヤモンド微粒子であることを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記ダイヤモンド微粒子が、フッ素及び/又はケイ素を有するダイヤモンド微粒子であることを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の眼鏡用レンズの製造方法において、前記ダイヤモンド微粒子を含有する膜が、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする眼鏡用レンズの製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の眼鏡用レンズの製造方法によって製造された眼鏡レンズ。
  14. 3Dプリンターによって造形されたレンズ基材と、前記レンズ基材の少なくとも1つの面に設けられたダイヤモンド微粒子を含有する膜とを有する眼鏡用レンズと、3Dプリンターによって造形されたフレームとからなることを特徴とする眼鏡。
  15. 請求項14に記載の眼鏡において、前記フレームがチタン製であることを特徴とする。
  16. 3Dプリンターによって一体に造形されたレンズ基材及びリムと、3Dプリンターによって造形されたテンプルとからなることを特徴とする眼鏡。
  17. 3Dプリンターによって一体に造形されたレンズ基材、リム、及びテンプルからなることを特徴とする眼鏡。
  18. 請求項14〜17のいずれかに記載の眼鏡を製造する方法であって、ユーザーの顔面の立体形状を測定し、眼の位置、プレームパット位置、テンプル位置を求め、それらの位置をもとに、ユーザーの顔面形状に最適な形に加工することを特徴とする製造方法。
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