JP2012215642A - 眼鏡レンズ - Google Patents

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【課題】快適な装用感を有する眼鏡レンズを提供する。
【解決手段】両面光学面であるフィニッシュドレンズであって、物体側表面および眼球側表面の両表面に加工がなされた領域と未加工領域との境界を含む領域は一次微分可能な表面形状を有するスラブオフ加工がなされており、物体側表面および眼球側表面の少なくとも一方は、球面を除く自由曲面である。
【選択図】なし

Description

本発明は、眼鏡レンズに関するものであり、詳しくは、プリズム作用の調整がなされ装用感が改善された眼鏡レンズに関するものである。
多焦点眼鏡レンズには、遠方視のための遠用屈折力を有する遠用部と近方視のための近用屈折力を有する近用部が存在する。この多焦点眼鏡レンズの中で屈折力が上部から下部へ向かって連続的に変化する累進面を有する累進屈折力レンズは、上記遠用部と近用部の間に屈折力が連続的に変化する中間部を有する。また、累進屈折力レンズの中で近年開発された両面非球面型累進屈折力レンズは、レンズ両面に振り分けられた累進要素により遠近両用レンズとしての機能を発揮する眼鏡レンズである。
一般に、眼鏡レンズの処方の中には、上記の遠用部屈折力や近用部屈折力といった焦点作用に関係した屈折力の他に、視線の方向を変化させる作用を有するプリズム屈折力が存在する。多焦点眼鏡レンズを製造する場合は遠用部のプリズム屈折力を決めると、近用部のプリズム屈折力は累進面の形状や遠用部屈折力および加入屈折力によって定まり、また同様の理由から、近用部のプリズム屈折力を決めると遠用部のプリズム屈折力が決まってしまう。したがって遠用部および近用部のプリズム屈折力をそれぞれ自由に選択することは困難である。
しかし、特許文献1等に記載されているように、ほとんどの眼鏡装用者は左右同じ視力ではない。したがって、遠用部または近用部の一方で左右レンズのプリズム量を一致させると他方では左右のレンズのプリズム量に違いが生じることになる。これをプリズム誤差といい、左右の度数に大きな差がある、いわゆる不同視の装用者用の眼鏡レンズではプリズム誤差が極めて大きくなってしまい眼精疲労や頭痛の原因となり、プリズム誤差による左右の眼に入射される光のずれが人間の脳が有像できる限界を超えてしまうと二重像を生じて複視という症状を起こしてしまう。
WO2009/072528
そこで本発明の目的は、快適な装用感を有する眼鏡レンズを提供することにある。
本発明の上記目的は、
両面光学面であるフィニッシュドレンズであって、物体側表面および眼球側表面の両表面にスラブオフ加工がなされていることを特徴とする眼鏡レンズ
により達成された。
以下に、従来のスラブオフ加工について説明する。
スラブオフ加工とは、レンズのプリズム作用を調整するためにレンズ表面の一部を切除する加工であり、切除することでプリズム量を低減することができる。以下、図10に基づき、一般的なスラブオフ加工の工程について説明する。
図10は、バイフォーカルレンズ(セミフィニッシュドレンズ)の光学面にスラブオフ加工を行う工程の説明図である。図10(a)に示す被加工レンズは、台玉レンズに小玉レンズが埋め込まれたバイフォーカルレンズであって、小玉レンズによって近用部が形成されている。このような構成のバイフォーカルレンズでは、近方視する場合、台玉レンズの光学中心よりも8〜10mm程度下方の領域を使用することとなり、レンズ度数の強弱によって近用部にプリズムが発生する。左右レンズの度数差が1.00D以下であればプリズムも1△以内であり両眼視時に装用感を損なうことはないが、1.5D以上も差がつくとプリズムによる左右のアンバランスが顕著となる。この場合、少なくとも左右どちらかのレンズの一部を切除すること(スラブオフ加工)で左右レンズのプリズム作用を調整し両眼視時の装用感を改善することができる。具体的には、図10(b)に示すように被加工面の形状を転写した面形状を有するダミーレンズを被加工面に貼り合わせる。次いで、図10(c)に示すように、切除すべき領域(スラブオフ加工領域)をダミーレンズごと研削等の機械加工により除去する。図10ではセミフィニッシュドレンズを加工する例を示しているが、セミフィニッシュドレンズの非光学面(図10では凹面)に光学面を創成する機械加工(研削または切削、およびその後の研磨加工)は、通常スラブオフ加工後に残ったダミーレンズを除去する前に行われる。こうして光学面が創成されたレンズは図10(d)に示す状態となり、この状態のレンズからダミーレンズを除去することでスラブオフ加工がなされた眼鏡レンズ(図10(e))が得られる。
以上説明した従来のスラブオフ加工では、例えば被加工面が凸面である場合には、該凸面形状を転写した面形状の凹面を有するダミーレンズを作製し、このダミーレンズの凹面を被加工面(凸面)と嵌合させる。被加工面が球面であれば、これを転写した面形状(即ち球面)をダミーレンズに形成することは容易である。しかし累進屈折力レンズのように面内で曲率の異なる複雑な形状の光学面を有する眼鏡レンズについて、該光学面を転写した面形状を有するダミーレンズを作製することは困難であるため、従来の方法ではスラブオフ加工を施す面は球面に限定されていた。なお特許文献1には、累進屈折力レンズに対してスラブオフ加工を施すことが可能であると記載されているが、これは物体側に累進面を配置した外面屈折力レンズの眼球側の球面や、眼球側に累進面を配置した内面屈折力レンズの物体側の球面にスラブオフ加工を施すことを意味するものである。また、多焦点眼鏡レンズの中でもプラスチック製のバイフォーカルレンズは凸面側(物体側)に小玉を突出させることで近用部と遠用部を持たせているため、小玉が突出した凸面側にスラブオフ加工を行うことは従来行われず、球面である凹面側にスラブオフ加工を行うことでプリズム作用の調整がなされていた。
しかし現在市場に出回っている視力矯正用の眼鏡レンズの中で、物体側、眼球側の光学面がいずれも球面である眼鏡レンズはわずかであり、多くの眼鏡レンズは少なくとも物体側、眼球側のどちらかの面は球面ではない。一方で、上記の通り従来のスラブオフ加工は球面に対して行われるものであり、球面を除く自由曲面に対してスラブオフ加工を行う手段は知られていなかった。また、図10に示すようにセミフィニッシュドレンズの光学面に対してスラブオフ加工を施した後に非光学面を光学面に創成し、その後創成された光学面に対応するダミーレンズを作製し再度スラブオフ加工を施すことは、工程が煩雑となる。
以上の理由から、従来、スラブオフ加工を眼鏡レンズ両面に施すという技術思想は存在しなかった。
これに対し本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、外面または内面屈折力レンズの累進面や両面非球面型累進屈折力レンズの累進要素を含む面、更には上記のプラスチック製のバイフォーカルレンズの凸面等の、従来の方法ではスラブオフ加工を施すことが困難であった球面を除く自由曲面形状に対してスラブオフ加工を行うことを可能とする手段を見出し、これにより一方が球面ではない眼鏡レンズに対しても両面にスラブオフ加工を行うことが可能となった。また、かかる方法は、後述するようにダミーレンズによる従来の方法と比べて簡便であるため、両光学面両面にスラブオフ加工を施すことは容易である。これにより本発明によって、両面光学面であるフィニッシュドレンズであって、物体側表面および眼球側表面の両表面にスラブオフ加工がなされていることを特徴とする眼鏡レンズが提供されることとなった。即ち、物体側、眼球側の両光学面にスラブオフ加工を施した眼鏡レンズは、本発明により初めて提供されたものである。
本発明によれば、きわめて快適な装用感を有する眼鏡レンズを提供することができる。
累進屈折力プラスチックレンズの断面を表す図である。 中心対称な非球面屈折力プラスチックレンズの断面を表す図である。 累進屈折力ガラスレンズの断面を表す図である。 累進多焦点レンズのS度数(平均度数)分布図である。 累進多焦点レンズのC度数(円柱度数)分布図である。 図2のS度数分布に対応する鳥瞰図である。 図3のC度数分布に対応する鳥瞰図である。 スラブオフ加工領域の説明図である。 プラスチック製のバイフォーカルレンズの断面形状の具体例を示す。 図7(a)〜(c)に示すバイフォーカルレンズの近用部の光学中心の位置を示す図である。 スラブオフ加工領域の配置例を示す。 従来のスラブオフ加工工程の説明図である。
本発明の眼鏡レンズは、両面光学面であるフィニッシュドレンズであって、物体側表面および眼球側表面の両表面にスラブオフ加工がなされていることを特徴とするものである。ここでスラブオフ加工とは、前記したように、眼鏡レンズの表面の一部を機械加工により切除しプリズム作用を調整することをいう。スラブオフ加工が施されていることは、スラブオフ加工領域と未加工領域との境界線(以下、「スラブオフライン」という)の存在により、またはプリズム屈折力の測定により、容易に確認することができる。
本発明の眼鏡レンズは、物体側、眼球側の両面が光学面であるフィニッシュドレンズである。ここで光学面とは、そのままで眼鏡レンズとしての光学的機能を発揮できるように精緻に形成された面であり、一方で、非光学面とは、そのままでは眼鏡レンズとしての光学的機能を発揮できず、眼鏡レンズとしての光学的機能を果たすためにはさらに加工が必要な面である。
本発明の眼鏡レンズにおいてスラブオフ加工が施された表面の形状は、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。眼鏡レンズの素材は、特に限定されるものではなく、プラスチック、無機ガラス等の通常眼鏡レンズの素材として使用される各種材料を挙げることができる。
本発明の眼鏡レンズは、両光学面とも球面であることもできるが、光学面として球面を除く曲面を有する眼鏡レンズは付加価値が高いため、少なくとも一方の面が球面を除く自由曲面であることが好ましい。球面を除く自由曲面とは、光学面上の遠用部測定位置における曲率とその他の位置における曲率が異なる面によって構成される面形状を有する面のことであり、例えば軸対称非球面屈折力レンズ、累進屈折力レンズ、両面非球面型累進屈折力レンズなどの光学面が該当する。また、前述のプラスチック製のバイフォーカルレンズの突出部を有する凸面も含まれる。
これに対し球面とは遠用測定部とレンズ光学面上のその他の位置において曲率が一定となる面形状を有する面のことである。一方軸対称非球面形状とは、例えば幾何中心に配置された遠用部測定位置の曲率とレンズ光学面上のその他の位置における曲率が異なる形状のことである。一般に軸対称非球面レンズは幾何中心に遠用測定部を配置し、中心からレンズ周縁部に至る主経線上で、レンズ中心から離れるにしたがって連続的に曲率が増大、または減少する形状である。中心対称非球面レンズは、例えば図1bの断面を有する。また、累進屈折力レンズは、老視用累進屈折力レンズとして用いられるレンズである。累進屈折力レンズは老視用眼鏡レンズでありながら外見上は容易に老眼鏡と察知されない利点や、遠距離から近距離まで切れ目なく連続的に明視し得る利点などの理由から、一般に広く利用されている。限られたレンズ面積の中に境界線を介入させることなく、遠方を見るための視野と近方を見るための視野、更にはそれらの中間的な距離を見るための視野といった複数の視野が配置されている。本発明により加工可能な累進屈折力レンズとしては、例えば、第一には物体側表面である第1の屈折表面と眼球側表面である第2の屈折表面の何れかに累進面を有する片面(外面または内面)累進屈折力レンズ、第2には物体側表面である第1の屈折表面と眼球側表面である第2の屈折表面とに累進要素が分割配分されることで累進屈折力作用を備え、前記第1の表面と前記第2の表面とを合わせて処方値に基づいた遠用度数と加入度数を与える構成となっている両面非球面型累進屈折力レンズを挙げることができる。累進屈折力レンズは、例えば図2〜図5の度数分布、または図1aおよび図1cの断面を有する。
先に説明したダミーレンズを使用する方法は、本発明においても球面に対してスラブオフ加工を行うために使用することができる。一方で、先に説明したように上記方法では球面以外の自由曲面に対してスラブオフ加工を行うことは困難である。これに対し本発明者らは、ダミーレンズによらずスラブオフ加工を行うことで、球面を除く自由曲面に対してスラブオフ加工を行うことを可能とした。以下に、本発明の眼鏡レンズを製造する際に、球面を除く自由曲面に対して好適なスラブオフ加工について、図面を参照し説明する。以下の方法は、ダミーレンズの作製が不要であり従来のスラブオフ加工と比べて簡便であるため、本発明において球面のスラブオフ加工に適用することも、もちろん可能である。
図6左図は、物体側が凸面、眼球側が凹面の累進屈折力レンズ(フィニッシュドレンズ)の断面図であり、光学中心の下方に近用部が配置されている。図6右図は上記凹面の平面図である。この凹面において、近用部より上の領域(実線より上の領域)を機械加工により所定量切除することで遠方視の縦方向のプリズム差を低減することができる。この場合、図6右図の斜線部が未切除領域とすべき領域となるため、当該領域を被膜により被覆する。被膜は、無機材料や金属材料を蒸着、スパッタ等の公知の成膜法によって堆積させることにより形成してもよく、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法等の公知の塗布法によって被膜形成用塗布液を塗布することにより形成してもよい。例えば、未被覆とすべき領域をマスキングテープで保護した状態でレンズ全面に被膜形成処理を施し、該処理後にマスキングテープを除去することで、所望領域に被膜を形成することができる。被膜形成の容易性の観点からは、塗布法を用いることが好ましい。塗布液としては、熱硬化性成分または光硬化性成分を含む組成物(硬化性組成物)を用いることができ、塗布後に所定の硬化処理(加熱または光照射)を行うことでレンズ表面の所望の位置に硬化被膜を形成することができる。短時間での硬化処理が可能である点で、紫外線硬化性組成物等の光硬化性組成物を用いることが好ましい。このような硬化性組成物は、公知の方法で調製可能であり、また一般に眼鏡レンズのハードコート用塗料として市販されているものを何ら制限なく用いることができる。または、マスキングテープを被膜として用いることも可能である。マスキングテープとしては、支持体フィルムの一方または両方の面に接着層または粘着層を有する市販の保護テープ等を使用することができる。被膜の厚さは特に限定されるものではなく、例えば10〜50μm程度とすることができる。被膜の厚さは、成膜条件や塗布条件によって制御することができる。また、上記のマスキングテープを用いる態様では、総厚が所望の厚さとなるよう必要に応じて複数枚のマスキングテープを積層してもよい。
一方、プラスチック製のバイフォーカルレンズは、上記の通り通常、少なくとも一方の面の一部に突出部(近用部)を設けることにより、遠用部と近用部とを持たせている。このようなバイフォーカルレンズの断面形状の具体例を、図7に示す。図7(a)は、遠用部、近用部共に+の屈折力、図7(b)は遠用部が−の屈折力、近用部が+の屈折力、図7(c)は、遠用部、近用部共に−の屈折力のレンズである。図7中、Aは遠用部の光学中心、Bは近用部の幾何中心であり、それぞれの場合の近用部の光学中心は、それぞれ図8(a)〜(c)に示すように、AとBの間、Bより下側、Aより上側の位置で、遠用部と近用部の屈折力差(加入度数)に応じて移動する。
このように一部に突出部を有する凸面に対して従来の方法でスラブオフ加工を施す場合には、ダミーレンズの凹面に上記突出部と嵌合する凹部を形成することとなるが、このような面形状のダミーレンズを作製することは困難であるため、従来はスラブオフ加工を行う面は凹面とせざるを得なかった。これに対し本発明によれば、例えば図7(a)〜(c)に示す断面形状を有するバイフォーカルレンズにおいて、凸面の突出部を含む下方領域(図8(a)〜(c)中、点線以下の領域)を被膜で覆い、突出部より上の領域を未被覆とした状態でスラブオフ加工を行うことで、凸面の突出部より上の領域においてプリズム作用を調整することができる。
上記のように、ダミーレンズによらず、被加工表面において切除すべき領域を未被覆とし、未切除とすべき領域を被膜により被覆した状態で機械加工を行うことで、複雑な形状の表面においてスラブオフ加工を行うことが可能となる。
上記被膜を形成した後に未被覆領域を切除するための機械加工は、通常のスラブオフ加工と同様に、研削加工、切削加工等により行うことができる。ここで機械加工に使用する治具は、被膜に接触してもかまわない。被膜によって保護されているため、被膜下の領域は未切除領域となる。また、ダミーレンズを使用するスラブオフ加工を行った後には、図10(c)に示すように、切除すべき領域(スラブオフ加工領域)をダミーレンズごと機械加工により除去する。
一般的なスラブオフ加工では、カーブジェネレーターにより被切除領域を球面研削または研削する。その後、機械加工面を鏡面研磨することで、プリズム作用の調整がなされた光学面を有する眼鏡レンズを得ることができる。研磨加工はスラブオフ加工が施された切除領域の機械加工による粗さを解消するための工程であるため、少なくとも切除領域に対して行われる。ただし、研磨治具は切除領域以外の部分に接触してもかまわない。上記研磨加工は、被膜またはダミーレンズをつけた状態で行ってもよく、除去した後に行ってもよい。また、被膜またはダミーレンズをつけた状態での研磨を行った後、被膜またはダミーレンズを除去して表面全体に研磨を行うことも可能である。被膜の除去は、溶剤による拭き取り等の公知の方法で行うことができる。また、マスキングテープを被膜として用いた場合には、レンズ上からテープを剥離すればよい。その後、洗浄工程等の後工程を任意に行うことで、一方の光学面がスラブオフ加工された眼鏡レンズが得られる。引き続き、同様の加工を他方の光学面に施すことで、物体側光学面、眼球側光学面ともスラブオフ加工された眼鏡レンズを得ることができる。
以上説明した本発明の眼鏡レンズは、両光学面にスラブオフ加工が施されている。プリズム作用の調整機能を両面に分散させることができるため、片面のみにスラブオフ加工を行う場合と比べて一方の面での切除量を低減することができる。スラブオフ加工による切除量が多いほど、切除領域と未切除領域との高低差(段差)が多くなり、両領域の境界(一般に「スラブオフライン」と呼ばれる。)が鮮明に視認されるようになるが、これは特に、累進屈折力レンズは遠用部と近用部との間でなだらかに度数を変えることで遠用部と近用部の境目を目立たないようにしている累進屈折力レンズでは、外観上、好ましくない。また、多焦点レンズにおいても、遠用部と近用部との境界線の他にスラブオフラインが生じることで外観が損なわれてしまう。これに対し本発明の眼鏡レンズは、上記の通り一方の面での切除量を低減することができるため、スラブオフラインの視認性を低くすることができる。スラブオフ加工において、例えば物体側と眼球側での切除量を50:50に配分することができ、または眼球側の切除量を多く、物体側の切除量を少なく配分することも、その逆に配分することもできる。装用時に他者と向かい合った際に他者からスラブオフラインが容易に視認されない眼鏡レンズとするためには、物体側の配分を少なくする(例えば物体側:眼球側を30:70に配分する)ことが好ましい。
また、装用時の使用者の視線の向きに応じて異なるプリズム作用を与えるために、物体側と眼球側でスラブオフ加工を施す領域の配置を変えることや、同一面上の複数の領域にスラブオフ加工を施すことも可能である。更にユーザーの嗜好や眼球回転の傾向に応じてスラブオフ加工を施す領域を決定することもできる。図9にスラブオフ加工領域の配置例(眼鏡レンズの概略断面図;斜線部がスラブオフ加工により切除される領域)を示すが、例えば、眼鏡レンズの下方領域を主に使用する傾向がある装用者用の眼鏡レンズについては、下方領域をスラブオフ加工領域とする図9(a)の配置が好ましく、逆に上方領域を主に使用する傾向のある装用者用の眼鏡レンズについては、上方領域をスラブオフ加工領域とする図9(b)の配置が好ましい。また、上方領域、下方領域ともほぼ平等に使用する傾向のある装用者用の眼鏡レンズについては、上方領域、下方領域にスラブオフ加工を施す図9(c)の配置が好ましい。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
物体側が凸面、眼球側が凹面の両面非球面型累進屈折力レンズ(フィニッシュドレンズ)の凹面、凸面に以下の手順でスラブオフ加工を施した。
上記凹面の光学中心から3mm下方の領域の全面に、図1右図に示すように市販の保護テープ(厚さ20μm)を粘着層を介して貼り付けた後、3次元NC制御を行うカーブジェネレータによって切削加工を施した。これにより保護テープによって被覆されていない遠用部側の領域が球面切削された。保護テープを貼り付けた状態で切削加工に引き続き鏡面研磨加工を行った後、保護テープを剥離した。
その後、凸面の光学中心から3mm下方の領域の全面に、上記市販の保護テープを貼り付け、以降、上記と同様の操作を行った。凹面側と凸面側の切除量は50:50に配分した。
これにより、凹凸両面の上方領域にスラブオフ加工が施された両面非球面型累進屈折力レンズが得られた。
[実施例2]
以下の方法で被膜を形成した点を除き実施例1と同様の操作を行いスラブオフ加工済眼鏡レンズを得た。
眼鏡レンズの凹面の光学中心から3mm下方の領域を除く領域に、実施例1で使用した保護テープを貼り付けた。次いで、上記凹面全面にスピンコート法により硬化後の厚さが10μm程度となる塗布量で市販のアクリル系UV硬化型樹脂を塗布した後、UV硬化処理を施し硬化膜を形成した。その後、マスキングテープを該テープ上に形成された硬化膜とともに除去した。これにより、光学中心から3mm下方の領域を厚さ約10μmの硬化膜により被覆することができた。凹面の加工後、凸面についても同様に被膜を形成した。
[実施例3]
図7(a)に示す断面形状を有するプラスチック製のバイフォーカルレンズの凸面の突出部を含む下方領域(図8(a)中の点線以下の領域)に実施例1で使用した保護テープを貼り付け、以降実施例1と同様の操作を行った。
その後、凹面側にも同様に下方領域に保護テープを貼り付け、以降実施例1と同様の操作を行った。
これにより、凹凸両面の上方領域にスラブオフ加工が施されたバイフォーカルレンズが得られた。
[実施例4]
物体側表面(凸面)が球面であり眼球側表面(凹面)が累進面である内面累進屈折力レンズの凹面および凸面に対して実施例1と同様の操作を行った。
これにより、凹凸両面の上方領域にスラブオフ加工が施された内面累進屈折力レンズが得られた。
[比較例1]
凸面側にスラブオフ加工を施さず、凹面側の切除量を2倍とした点以外、実施例1と同様の操作を行った。これにより、凹面のみ上方領域にスラブオフ加工が施された両面非球面型累進屈折力レンズが得られた。
実施例1〜4、比較例1について、スラブオフ加工前後の遠用部測定基準点におけるプリズム屈折力をレンズメーターにより測定し、スラブオフ加工によりプリズム屈折力が低下したことを確認した。
実施例1〜4および比較例1で得られた眼鏡レンズをそれぞれ蛍光灯下で装用したところ、比較例1で得られた眼鏡レンズでは他者からスラブオフラインの存在が確認されたが、実施例1〜4の眼鏡レンズでは、装用時に他者からスラブオフラインの存在が確認できないほどスラブオフラインの視認性は低かった。比較例1は凹面のみにプリズム調整作用を担わせるために凹面の切除量を実施例1の2倍としているため、凹面での切除領域と未切除領域の高低差が多いことが、スラブオフラインの視認性が高い理由である。
以上の結果から、両面にスラブオフ加工を行いプリズム作用の調整を両面で分散することで、スラブオフラインの視認性の低い、外観の良好な眼鏡レンズを提供できることが示された。
実施例1〜3、比較例1の眼鏡レンズについて、スラブオフ加工を施した面の表面形状を触針式(プローブを用いる非接触式)の表面形状計測機(パナソニック社製商品名UA−3P)を使用して計測した。なお、ここでは上記表面形状計測機を使用したが、原子間力顕微鏡等の手法を用いて表面形状を計測することもできる。実施例1〜3については、得られた計測データに基づいて両面とも一次微分可能な関数で近似することができたが、実施例3ではスラブオフ加工を施した凹面では曲線近似となり直線近似することはできなかった。
以上の結果から、スラブオフラインを含む領域が一次微分可能な表面形状を有する眼鏡レンズは、スラブオフラインが容易に視認されないレンズであると言える。
本発明は、眼鏡レンズの製造分野に有用である。

Claims (5)

  1. 両面光学面であるフィニッシュドレンズであって、物体側表面および眼球側表面の両表面にスラブオフ加工がなされていることを特徴とする眼鏡レンズ。
  2. 物体側表面および眼球側表面の少なくとも一方は、球面を除く自由曲面である請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記自由曲面は、累進面または累進要素を含む非球面である請求項2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記スラブオフ加工がなされた領域と未加工領域との境界を含む領域は一次微分可能な表面形状を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記自由曲面は、バイフォーカルレンズの突出部を有する凸面である請求項2に記載の眼鏡レンズ。
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