JPH10298151A - C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤 - Google Patents

C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤

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JPH10298151A
JPH10298151A JP12646297A JP12646297A JPH10298151A JP H10298151 A JPH10298151 A JP H10298151A JP 12646297 A JP12646297 A JP 12646297A JP 12646297 A JP12646297 A JP 12646297A JP H10298151 A JPH10298151 A JP H10298151A
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acyclic hydrocarbon
carbon atoms
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JP12646297A
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Tadashi Yokota
忠史 横田
Yoichi Oba
洋一 大場
Atsushi Makita
淳 牧田
Hisafumi Saeki
尚史 佐伯
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 C型肝炎ウイルス由来セリンプロテアーゼ
(HCVプロテアーゼ)に対する新規な酵素活性阻害剤
の提供、並びに、当該HCVプロテアーゼ阻害物質を有
効成分とするC型肝炎治療薬の提供。 【解決手段】 Serine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)-, b
imol. Ester, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕
-2-propenoate]又はSerine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)
-, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕-2-propeno
ate]で代表される、2−置換−2−(ジヒドロキシベン
ゾイル) アミノエタノイル構造に類する部分骨格を含む
ことを特徴とするN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体あ
るいはその薬学的に許容される塩を有効成分とするC型
肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤、並びに、C型肝炎プ
ロテアーゼ阻害作用を示す有効成分として、前記の化合
物を含有することを特徴とするC型肝炎治療薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、C型肝炎ウイルス
由来のセリンプロテアーゼの酵素活性阻害剤に関するも
のである。また、本発明は、前記するC型肝炎ウイルス
由来セリンプロテアーゼの酵素活性を阻害する物質を有
効成分とする医薬組成物、即ち、C型肝炎治療薬に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】非A非B型慢性肝炎の発症に関与するウ
イルスは、種々の医療機関、研究機関で探索され、その
主なウイルスがC型肝炎ウイルスと類別されるものであ
ることが明らかになっている。血液伝播性非A非B型肝
炎の原因ウイルスであるC型肝炎ウイルス(以降、HC
Vと略称する。)は、高頻度に肝炎の慢性化を引き起こ
し、また肝癌に進行させると報告されており(M. Sakam
oto et al., Cancer Res.,48, 7294-7297 (1988)等を参
照)、既に、該HCVの遺伝情報は、約10 kbの+鎖
のRNAであり、フラビウイルスやペスチウイルス等の
近縁性を示すことが明らかになっている(Q.-L. Choo e
t al., Science, 244, 359-362 (1989) 、或いは R.H.
Miller & R.H. Purcell, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
87, 2057-2061 (1990)等を参照)。種々の機関による、
多数の非A非B型肝炎患者に由来するHCVウイルスゲ
ノムの単離と、その塩基配列の解析結果を比較すると、
地域的な局在を示す幾つかのグループに分別できること
が判明している。例えば、先に米国 Chiron 社が公表し
た米国患者に由来するHCVのウイルスゲノム(WO 89/
046699等を参照)と、日本の患者に由来するHCVのウ
イルスゲノムとでは、幾つかの違いが、塩基配列並びに
対応するアミノ酸配列に存在することが報告され(N. Ka
to et al., Mol. Biol. Med., 7, 495-501 (1990) 或い
は N. Kato etal., Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 9
524-9528 (1990)等参照)、米国患者に由来するHCV-
US型と日本の患者に由来するHCV- J型と識別さ
れている。
【0003】HCVウイルスゲノムの解析から、該ゲノ
ムから産出されるポリプロテインは、宿主細胞性のシグ
ナルペプチタ−ゼ及びHCVウイルスゲノムにコ−ドさ
れているプロテア−ゼによりプロセスされ、遺伝子産物
のタンパク質となると報告されている。特に、HCVウ
イルスの宿主細胞内での構成に必要と予測される、該H
CVウイルスゲノムの非構造遺伝子領域にコ−ドされる
RNAポリメラ−ゼ、RNAヘリカ−ゼ、プロテア−ゼ
等は、HCVウイルス由来のプロテア−ゼにより切断を
受けて、個々の酵素タンパク質となると報告されている
(下遠野ら、蛋白質核酸酵素,36, 1679-1691 (1991)等
を参照)。なお、HCVウイルスゲノムの翻訳産物とし
て、非構造遺伝子領域には2種類のプロテア−ゼが存在
し、一つはメタロプロテア−ゼ型の Cpro-1 と称される
ものであり、他の一つはセリンプロテア−ゼ型の Cpro-
2 と称されるものである。後者のセリンプロテア−ゼ型
のCpro-2 が前記する酵素タンパク質のプロセスに関与
し、前者のメタロプロテア−ゼ型の Cpro-1 は、 Cpro-
2 の存在する非構造遺伝子領域の p70域とそのN末端に
存在する p20域との間の切断に関与することが報告され
ている(M. Hijikataet al., J. Virol., 67, 4665-4675
(1993)、或いは M.R. Eckart et al., Biochem. Res.
Commun., 192, 399-406 (1993) 等を参照) 。なお、p70
蛋白質に含まれる前記の Cpro-2 部分に相当するアミ
ノ酸配列は、HCVの個々の株間での相同性は極めて高
く、その切断するアミノ酸配列は同じであると報告され
ている(A. Takamizawa et al., J. Virol., 65, 1105-1
113 (1991)等を参照) 。
【0004】なお、HCV由来のプロテアーゼ Cpro-2
は、フラビウイルス科のウイルスゲノムのNS3領域か
ら産生されるキモトリプシン様セリンプロテア−ゼに特
徴的なアミノ酸配列(ウイルスポリプロテインのN末端
から 1075 〜 1185 番目まで: Val1074〜 Thr1186)、
より具体的には His1083-X22-Val1104-X-X-Asp1107-X55
-Gly1163-X-Ser1165-Gly1166-X-Pro1168-X9-Gly1178
配列を酵素活性点の部分構造に必須な部分として内在し
ている。なお、このアミノ酸配列中に存在するHi
s1083、Asp1107、Ser1165が、セリンプロテアーゼの酵
素活性点;His-Asp-Serの部分構造を形成していると考
えられる。また、HCV由来のプロテアーゼ Cpro-2
は、Cys …Ser 及びCys …Ala の間を選択的に切断する
ものであり、切断アミノ酸配列の特異性を有している。
【0005】該セリンプロテア−ゼ型の Cpro-2 と称さ
れるC型肝炎ウイルスプロテア−ゼ(以降、HCVプロ
テア−ゼと略称する。)は、宿主細胞内におけるHCV
の複製増殖に不可欠なRNAポリメラ−ゼ、RNAヘリ
カ−ゼ等の酵素タンパク質の酵素活性発現に必要である
ので、この Cpro-2 のプロテア−ゼ活性を阻害すること
により、HCVのウイルス粒子複製増殖を抑制すること
ができる。即ち、HCVのウイルス粒子複製増殖を抑制
することに伴い、C型肝炎の慢性化を防止することが可
能と予測されている。かかるC型肝炎の慢性化を防止
し、薬物治療に用いる目的で、該セリンプロテア−ゼ型
の Cpro-2 のプロテア−ゼ活性を阻害する物質、即ちC
型肝炎ウイルスプロテア−ゼ阻害剤の開発が待望されて
いる。
【0006】特に、HCVは肝臓に局在して、宿主細胞
内でウイルス粒子複製増殖するものであるので、C型肝
炎ウイルスプロテア−ゼ阻害剤の開発に際しては、血液
中から肝臓組織に蓄積し、宿主細胞内への移行が容易に
起こる、比較的に低分子量であり、水溶性を有する阻害
物質が待望されている。即ち、比較的に低分子量の水溶
性分子であるのみならず、患部である肝臓への局在を促
進するに利する脂溶性をも併せ持つ化合物であり、同時
にHCVプロテア−ゼ Cpro-2 に対して、特異的にその
プロテア−ゼ活性を阻害する物質の提案が望まれてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の課題
を解決するものであり、本発明の目的は、分子量の比較
的低い、特定の水溶性化合物を用いて、C型肝炎ウイル
ス由来セリンプロテアーゼ(HCVプロテアーゼ)の酵
素活性を阻害する新規な方法、即ち、特定の化合物の新
たな用途として、当該化合物を有効成分とするHCVプ
ロテアーゼ阻害剤を提供することにある。加えて、この
HCVプロテアーゼ阻害能を有する化合物を有効成分と
するC型肝炎治療用途の医薬組成物、即ち、C型肝炎治
療薬を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的に沿い、種々の微生物が産生する化合物多数に対し
て、HCVプロテアーゼ阻害能を有するか否かの検討を
加えたところ、複数種の微生物由来化合物が優れたHC
Vプロテアーゼ阻害能を示すことを見出した。これらH
CVプロテアーゼ阻害能を示す微生物由来の化合物複数
種に対して、分子量が比較的小さく医薬に適する範囲に
あることをも選択条件として更なる検討を加えた。その
結果、放線菌が産出するN-(ジヒドロキシベンゾイル)
セリン残基をその骨格に含む水溶性代謝産物が、これら
の条件をも満足する化合物であることを見出した。加え
て、これらの化合物において、HCVプロテアーゼ阻害
能を発揮するに必須な部分構造を特定すべく、ジヒドロ
キシベンゾイル構造あるいはその置換異性化構造等を有
する種々の類似化合物のHCVプロテアーゼ阻害能を評
価・対比した。この対比の結果、部分構造として、2,3-
ジヒドロキシベンゾイル構造、2,5-ジヒドロキシベンゾ
イル構造、3,4-ジヒドロキシベンゾイル構造、或いはこ
れらに類する構造を有する化合物が、HCVプロテアー
ゼ阻害能を示すことを見出し、本発明を完成するに到っ
た。即ち、本発明のC型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害
剤は、下記の式(I):
【0009】
【化10】
【0010】の1-(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)アミ
ノ-2- オキソ- エチレン構造を部分骨格として含むこと
を特徴とする、下記式(II):
【0011】
【化11】
【0012】のSerine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)-, 3
-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino〕-2-propenoat
e]、又は式 (III):
【0013】
【化12】
【0014】のSerine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)-, b
imol. Ester, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕
-2-propenoate]あるいはそれらの薬学的に許容される
塩、ないしは、下記の一般式(IV):
【0015】
【化13】
【0016】(式中、R12、R13は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6の非環式炭化水素基を表し、R14、R
16は、それぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メルカプト
基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の
非環式炭化水素基で置換されたオキシ基、又は炭素数1
〜6の非環式炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R2、R3は、水素原子、炭素数1〜6の非環式炭化水素
基、炭素鎖中にチオ基又はオキシ基としてイオウ又は酸
素が置き換わった非環式炭化水素基、前記の炭素数1〜
6の非環式炭化水素基上に、カルボキシル基、カルバモ
イル基、アルコキシカルボニル基、アルキルイミノカル
ボニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキル置
換アミノ基、アミノ基又はグアニジノ基の何れかが置換
されている置換非環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又
は複素芳香族環基で置換された非環式炭化水素基、ヒド
ロキシ置換芳香族炭化水素基で置換された非環式炭化水
素基、あるいは、当該R2、R3が、前記の一価の基から誘
導されるアルキリデン型の二価の基として存在するかの
何れかを表し、R4は、水素原子、又は、ヒドロキシル
基、メルカプト基、アミノ基、置換されていてもよい炭
化水素基、置換されていてもよい炭化水素基と結合した
オキシ基、置換されていてもよい炭化水素基と結合した
チオ基、あるいは、置換されていてもよい炭化水素基と
結合したイミノ基又はニトリロ基の何れかの一価の原子
団を表す。)、一般式(V):
【0017】
【化14】
【0018】(式中、R22、R25は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6の非環式炭化水素基を表し、R23、R
24は、それぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メルカプト
基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の
非環式炭化水素基で置換されたオキシ基、又は炭素数1
〜6の非環式炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R2、R3は、それぞれ前記の一般式(IV)のR2、R3と同義
の基を表し、R4は、前記の一般式(IV)の R4 と同義で
ある。)、又は、一般式(VI):
【0019】
【化15】
【0020】(式中、R33、R34は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6の非環式炭化水素基を表し、R32、R
35は、それぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メルカプト
基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の
非環式炭化水素基で置換されたオキシ基、又は炭素数1
〜6の非環式炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R2、R3は、それぞれ前記の一般式(IV)のR2、R3と同義
の基を表し、R4は、前記の一般式(IV)の R4 と同義で
ある。)の何れかで示されるジヒドロキシベンゾイル基
又は置換ジヒドロキシベンゾイル基をアミノ基上に置換
基として有するN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体ある
いはそれらの薬学的に許容される塩の何れかを有効成分
とするプロテアーゼ阻害剤である。
【0021】加えて、上述のC型肝炎ウイルスプロテア
ーゼ阻害剤においてその有効成分として利用される、本
発明のN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体は、下記の一
般式(IV):
【0022】
【化16】
【0023】(式中、R12、R13は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6の非環式炭化水素基を表し、R14、R
16は、それぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メルカプト
基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の
非環式炭化水素基で置換されたオキシ基、又は炭素数1
〜6の非環式炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R2、R3は、水素原子、炭素数1〜6の非環式炭化水素
基、炭素鎖中にチオ基又はオキシ基としてイオウ又は酸
素が置き換わった非環式炭化水素基、前記の炭素数1〜
6の非環式炭化水素基上に、カルボキシル基、カルバモ
イル基、アルコキシカルボニル基、アルキルイミノカル
ボニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキル置
換アミノ基、アミノ基又はグアニジノ基の何れかが置換
されている置換非環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又
は複素芳香族環基で置換された非環式炭化水素基、ヒド
ロキシ置換芳香族炭化水素基で置換された非環式炭化水
素基、あるいは、当該R2、R3が、前記の一価の基から誘
導されるアルキリデン型の二価の基として存在するかの
何れかを表し、R4は、水素原子、又は、ヒドロキシル
基、メルカプト基、アミノ基、置換されていてもよい炭
化水素基、置換されていてもよい炭化水素基と結合した
オキシ基、置換されていてもよい炭化水素基と結合した
チオ基、あるいは、置換されていてもよい炭化水素基と
結合したイミノ基又はニトリロ基の何れかの一価の原子
団を表す。)、一般式(V):
【0024】
【化17】
【0025】(式中、R22、R25は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6の非環式炭化水素基を表し、R23、R
24は、それぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メルカプト
基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の
非環式炭化水素基で置換されたオキシ基、又は炭素数1
〜6の非環式炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R2、R3は、それぞれ前記の一般式(IV)のR2、R3と同義
の基を表し、R4は、前記の一般式(IV)の R4 と同義で
ある。)、又は、一般式(VI):
【0026】
【化18】
【0027】(式中、R33、R34は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6の非環式炭化水素基を表し、R32、R
35は、それぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メルカプト
基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の
非環式炭化水素基で置換されたオキシ基、又は炭素数1
〜6の非環式炭化水素基で置換されたチオ基を表し、
R2、R3は、それぞれ前記の一般式(IV)のR2、R3と同義
の基を表し、R4は、前記の一般式(IV)の R4 と同義で
ある。)の何れかで示されるジヒドロキシベンゾイル基
又は置換ジヒドロキシベンゾイル基をアミノ基上に置換
基として有するN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体であ
る。
【0028】また、本発明のC型肝炎治療薬の一つの態
様は、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害作用を示す有
効成分として、前記の一般式(IV)、(V)あるいは
(VI)で示されるN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体又
はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物であ
る。更には、本発明のC型肝炎治療薬の他の態様は、C
型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害作用を示す有効成分と
して、前記の式(II)のSerine, N-(2,3-dihydroxybenz
oyl)-, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕-2-pro
penoate]又は式 (III)のSerine, N-(2,3-dihydroxybenz
oyl)-, bimol. Ester, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)
amino 〕-2-propenoate]あるいはそれらの薬学的に許容
される塩を含有する医薬組成物である。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明のC型肝炎ウイルスプロテ
アーゼ阻害剤に利用される、一般式(IV)、(V)ある
いは(VI)で示されるN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導
体化合物類は、前記の式(II)あるいは式 (III)で示さ
れる二種の化合物中に内在される特徴的な部分構造、即
ちジヒドロキシベンゾイル基をアミノ基上に置換基とし
て有するN−置換ベンゾイルアミノ酸骨格と類似する部
分構造を有する化合物多数から、優れたHCVプロテア
ーゼ阻害能を発揮するに好適な共通の部分構造を抽出・
特定して、創製し見いだされたものである。
【0030】具体的には、上述の一般式(IV)で表され
る化合物は、式(II)あるいは式 (III)で示される二種
の化合物中に内在される特徴的な部分構造である、式
(I)の1-(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)アミノ-2-
オキソエチレン構造又はそのヒドロキシル基をアルキル
基等の非環式炭化水素基で保護した構造を保持する類縁
化合物群である。即ち、R12−O −、R13−O −は、当該
化合物のベンゾイル基上の2位及び3位に存在するヒド
ロキシル基、又は、非環式炭化水素基で保護されたヒド
ロキシル基であり、このR12、R13において選択される非
環式炭化水素基は、炭素数1〜6の範囲から選択され、
飽和炭化水素基のアルキル基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基)あるいは対応する不飽和炭化水素基
のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブ
テニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基)、アルカジエ
ニル基(例えばブタジエニル基)等を用いることができ
る。なお、R12−O −、R13−O −が互いに立体障害を生
ずることのないもの、例えば、ヒドロキシル基、メトキ
シ基がより好ましく、少なくとも、R12−O −がヒドロ
キシル基を選択すると更に好ましく、共にヒドロキシル
基であると一層好ましい。
【0031】一方、該ベンゾイル基の4位に存在する基
R14と6位に存在する基R16は、水素原子、ヒドロキシル
基、メルカプト基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、
炭素数1〜6の非環式炭化水素基で置換されたオキシ
基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基で置換されたチオ
基から選択するものである。なお、基R14においては、
隣接する原子団R13−O −と互いに立体障害を生ずるこ
とのないもの、具体的には、水素原子、ヒドロキシル基
又はメルカプト基が更に好ましく、同じく、基R16にお
いても、立体障害を生ずることのないもの、具体的に
は、水素原子、ヒドロキシル基又はメルカプト基が更に
好ましい。
【0032】また、1 −アミノ−2 −オキソ−エチレン
構造上に存在する基R2、R3は、水素原子、炭素数1〜6
の非環式炭化水素基、炭素鎖中にチオ基又はオキシ基と
してイオウ又は酸素が置き換わった非環式炭化水素基、
前記の炭素数1〜6の非環式炭化水素基上に、カルボキ
シル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ア
ルキルイミノカルボニル基、ヒドロキシル基、メルカプ
ト基、アルキル置換アミノ基、アミノ基又はグアニジノ
基の何れかが置換されている置換非環式炭化水素基、芳
香族炭化水素基又は複素芳香族環基で置換された非環式
炭化水素基、ヒドロキシ置換芳香族炭化水素基で置換さ
れた非環式炭化水素基から選択されるか、あるいは、基
R2、R3が、前記の一価の基から誘導されるアルキリデン
型の二価の基として存在するかの何れかである。即ち、
1 −アミノ−2 −オキソ−エチレン構造が、天然のα−
アミノ酸残基、あるいはそれと類似した人工のα−アミ
ノ酸残基を形成するものである。加えて、基R2、R3の何
れかが水素原子であるか、アルキリデン型の二価の基と
して存在するか、この何れかの選択が好ましい。
【0033】具体的には、前記の炭素数1〜6の非環式
炭化水素基としては、飽和のアルキル基(例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec-ブチル基、t−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基)、対応する不飽和のアルケニル基
(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペン
テニル基、ヘキセニル基)等がより好ましく、炭素鎖中
にチオ基又はオキシ基としてイオウ又は酸素が置き換わ
った非環式炭化水素基もより好ましい。また、これら非
環式炭化水素基に置換するカルボキシル基、カルバモイ
ル基、アルコキシカルボニル基、アルキルイミノカルボ
ニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキル置換
アミノ基、アミノ基又はグアニジノ基の数は、一つのも
のがより好ましい。同じく、非環式炭化水素基に置換す
る芳香族炭化水素基又は複素芳香族環基、あるいは、ヒ
ドロキシ置換芳香族炭化水素基としては、縮合二環式又
は単環式のものがより好ましく、例えば、フェニルアラ
ニンに見られるフェニル基、チロシンに見られるp−ヒ
ドロキシフェニル基、トリプトファンに見られるインド
リル基、ヒスチジンに見られるイミダゾリル基、あるい
は、これに類する構造のものがより好ましいものとな
る。更に、この基R2、R3は、隣接するアミノ基上の置換
ベンゾイル基と互いに立体障害を生ずるか、あるいは、
互いの置換基間で分子間結合、例えば、水素結合を形成
するか、これらの要因により置換ベンゾイル基の配向に
制限が加わる可能性のないものが更に好ましい。
【0034】従って、天然のα−アミノ酸中、疎水性ア
ミノ酸に分類される、グリシン、アラニン、バリン、ロ
イシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニ
ン、トリプトファンの側鎖の如く、疎水性に満ちたのも
の、具体的には、飽和のアルキル基、対応する不飽和の
アルケニル基、チアアルキル基、オキサアルキル基、対
応するチアアルケニル基、オキサアルケニル基、フェニ
ル置換アルキル基、フェニル置換アルケニル基等;中性
アミノ酸に分類される、セリン、トレオニン、システイ
ン、チロシン、アスパラギン、グルタミンの側鎖の如
く、親水性ではあるが酸又は塩基としての働きを示さな
い官能基のみを有するもの、具体的には、ヒドロキシア
ルキル基、対応するヒドロキシアルケニル基、メルカプ
トアルキル基、メルカプトアルケニル基、p−ヒドロキ
シフェニル置換アルキル基、p−ヒドロキシフェニル置
換アルケニル基、あるいは、カルバモイルアルキル基、
カルバモイルアルケニル基、アルコキシカルボニルアル
キル基、アルコキシカルボニルアルケニル基、アルキル
イミノカルボニルアルキル基、アルキルイミノカルボニ
ルアルケニル基等を更に好ましいものの一例として挙げ
ることができる。なお、基R2、R3の一方を水素原子に、
他方を前記の疎水性又は中性アミノ酸の側鎖、あるいは
それに類する基とすると更に好ましいものであるが、そ
の立体配置は、天然のα−アミノ酸と同じく、L−体と
なると一層好ましい。
【0035】次いで、R4は、α−アミノ酸カルボキシル
末端に相当するものである。元来、HCV由来のプロテ
アーゼ Cpro-2 は、HCV由来のポリペプチド中に存在
するCys …Ser 及びCys …Ala の間を選択的に切断する
ものであり、前記のSer 、Ala のカルボキシル末端には
相当に長いペプチド鎖が存在するものである。R4が付加
されている1 −アミノ−2 −オキソ−エチレン構造部分
は、このSer 、Ala のα−アミノ酸残基に相当するもの
と見なせ、基質ペプチドに見られる如く、アミド結合で
連結される相当に長大な原子団であってもよい。あるい
は、前記する式(II)あるいは式 (III)で示される化合
物の如く、エステル結合で連結される相当に長大な原子
団であってもよい。また、チオエステル結合で連結され
る構造であっても、直接炭素鎖と連結された構造であっ
てもよい。
【0036】即ち、R4は、水素原子、又は、ヒドロキシ
ル基、メルカプト基、アミノ基、置換されていてもよい
炭化水素基、置換されていてもよい炭化水素基と結合し
たオキシ基、置換されていてもよい炭化水素基と結合し
たチオ基、あるいは、置換されていてもよい炭化水素基
と結合したイミノ基又はニトリロ基の何れかの一価の原
子団の何れかから選択することができる。例えば、R
4が、二価の基−X −と一価の原子団R5から構成される
原子団と表現できる場合は、−X −R5を構成する二価の
基−X −は、イミノ基(−NH−)、オキシ基(−O
−)、チオ基(−S−)又はメチレン基(−CH2 −)の
何れかから選択することができる。なお、イミノ基(−
NH−)に換え、例えば、環状のα−アミノ酸であるプロ
リンの如く、更に窒素−炭素結合が存在して、ニトリロ
基となるもの、例えば、ピロリジノ基(1−ピロリジル
基)、ピペリジノ基(1−ピペリジル基)等の如く、二
置換アミノ基が環構造内に存在するもの、あるいは、ジ
アルキルアミノ基等の如く、二つの炭化水素基で置換さ
れたアミノ基であってもよい。同じく、メチレン基に代
えて、更に炭素−炭素結合が存在して、メチリジン基と
なるもの、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基等の如く、このメチリジン基が環式炭化水素基等の環
構造内に存在するもの、あるいは、イソプロピル基等の
1位に分枝のある非環式炭化水素基や1−プロペニル基
等の1位と2位の間に炭素−炭素二重結合が存在する非
環式炭化水素基であってもよい。更には、R4が水素原子
である、即ち、この部分がホルミル基となるものであっ
てもよい。
【0037】このR4が結合する1 −(置換ベンゾイル)
アミノ−2 −オキソエチレン構造自体は、基質切断部位
のジペプチド断片に相当するものであり、このR4を含め
て全体の分子サイズがトリペプチドと同じ程度の分子サ
イズとなるものが好ましい。言い換えるならば、生体中
で細胞内への物質輸送経路であるジペプチド輸送系又は
トリペプチド輸送系を利用できる分子サイズが好まし
い。従って、R4は、それを構成する骨格原子数の総和
が、天然のアミノ酸と同じ程度、例えば、環状構造を含
むトリプトファンの14、あるいは、環状構造を有しな
いアルギニンの12、これらの骨格原子数を大きく超え
ない範囲とするのが好ましい。従って、R4は、水素原
子、又は、R4が−X−R5の形式で表現できる場合、R5
水素原子である場合に相当する、アミノ基(−NH2 )、
ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)又はメ
チル基(−CH3 )、更には、R5が水素原子以外の炭化水
素基等である場合に相当する、次に述べる原子団が好ま
しい。R5が水素原子以外の炭化水素基等であるものにお
いては、遊離原子価の存在するXを除いて最大鎖の炭素
数が7以下の範囲であり、その側鎖の炭素数を含め12
を超えない非環式炭化水素基、あるいは、縮合二環を超
えない環を含み、その総炭素数がXを含めて14を超え
ない環構造を有する炭化水素基、更には、前記の非環式
炭化水素基又は環構造を有する炭化水素基から窒素原
子、酸素原子、イオウ原子のヘテロ原子置換で誘導され
る基が好ましい。
【0038】一般式(V)で表される化合物並びに一般
式(VI)で表される化合物は、前述した一般式(IV)で
表される化合物の置換ベンゾイル基部分をそれぞれ他の
置換ベンゾイル基で置き換えたものであり、当該置換ベ
ンゾイル基を除く部分の構造、即ち、基R2、R3、R4は、
一般式(IV)中のものと同義のものである。また、基
R2、R3、R4のそれぞれにおいて、より好ましい範囲も一
般式(IV)において説明した範囲と同じものとなる。
【0039】一般式(V)で表される化合物における置
換ベンゾイル基は、2,5-ジヒドロキシベンゾイル構造又
はそのヒドロキシル基をアルキル基等の非環式炭化水素
基で保護した構造を保持するものである。即ち、R22−O
−、R25−O −は、当該化合物のベンゾイル基上の2位
及び5位に存在するヒドロキシル基、又は、非環式炭化
水素基で保護されたヒドロキシル基であり、このR22、R
25において選択される非環式炭化水素基は、炭素数1〜
6の範囲から選択され、飽和炭化水素基のアルキル基あ
るいは対応する不飽和炭化水素基のアルケニル基、アル
カジエニル基等を用いることができる。なお、R22−O
−とベンゾイル基の3位に存在するR23が互いに立体障
害を生ずることのないもの、例えば、R22−O −として
は、ヒドロキシル基、メトキシ基がより好ましく、ヒド
ロキシル基を選択すると更に好ましい。
【0040】一方、該置換ベンゾイル基の5位に存在す
る基R25−O −もベンゾイル基の4位に存在するR24と互
いに立体障害を生ずることのないもの、例えば、R25−O
−としては、ヒドロキシル基、メトキシ基がより好ま
しく、ヒドロキシル基を選択すると更に好ましい。残
る、3 位に存在する基R23と4位に存在する基R24は、水
素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6の非環式炭化水
素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基で置換されたオ
キシ基、メルカプト基、炭素数1〜6の非環式炭化水素
基で置換されたチオ基から選択するものである。なお、
基R23とR24においても、隣接する置換基と互いに立体障
害を生ずることのないもの、具体的には、水素原子、ヒ
ドロキシル基、メルカプト基、メチル基が更に好まし
く、基R23とR24の少なくとも何れかを、水素原子とする
と一層好ましい。
【0041】一般式(VI)で表される化合物における置
換ベンゾイル基は、3,4-ジヒドロキシベンゾイル構造又
はそのヒドロキシル基をアルキル基等の非環式炭化水素
基で保護した構造を保持するものである。即ち、R33−O
−、R34−O −は、当該化合物のベンゾイル基上の3位
及び4位に存在するヒドロキシル基、又は、非環式炭化
水素基で保護されたヒドロキシル基であり、このR33、R
34において選択される非環式炭化水素基は、炭素数1〜
6の範囲から選択され、飽和炭化水素基のアルキル基あ
るいは対応する不飽和炭化水素基のアルケニル基、アル
カジエニル基等を用いることができる。なお、R33−O
−、R34−O −は、互いに立体障害を生ずることのない
もの、例えば、ヒドロキシル基、メトキシ基がより好ま
しく、少なくとも何れかにヒドロキシル基を選択すると
更に好ましい。
【0042】一方、該置換ベンゾイル基の残る、2位に
存在する基R32と5位に存在する基R35は、水素原子、ヒ
ドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6の非環式炭
化水素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基で置換され
たオキシ基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基で置換さ
れたチオ基から選択するものである。なお、基R32とR35
においても、隣接する置換基と互いに立体障害を生ずる
ことのないもの、具体的には、水素原子、ヒドロキシル
基、メルカプト基、メチル基が更に好ましく、基R33とR
35の少なくとも何れかを、水素原子とすると一層好まし
い。
【0043】一般式(IV)、(V)あるいは(VI)で示
されるN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体化合物類のう
ち、それぞれ2,3 −ジヒドロキシベンゾイル基、2,5 −
ジヒドロキシベンゾイル基、3,4 −ジヒドロキシベンゾ
イル基のヒドロキシル基上にアルキル基等の非環式炭化
水素基が置換するものは、それ自体は酵素阻害活性は必
ずしも高くはないが、体内代謝に伴い、非環式炭化水素
基が脱落してヒドロキシル基に変換されて薬理作用を発
揮するものとなる。即ち、ヒドロキシル基を保護し、プ
ロドラック化した化合物に相当する。一般式(IV)、
(V)あるいは(VI)で示されるN−置換ベンゾイルア
ミノ酸誘導体化合物類は、何れも下記の一般式 (VII):
【0044】
【化19】
【0045】(式中、R2、R3及び R4 は、前記と同義で
ある。)で示されるα−アミノ酸誘導体を中間原料とし
て、そのアミノ基上に、N−ベンゾイル化反応により、
それぞれ対応する置換ベンゾイル基を導入することで製
造することができる。また、中間原料の一般式 (VII)で
示されるα−アミノ酸誘導体自体は、ペプチド合成等に
おいて汎用される手法を用いて、当該α−アミノ酸のカ
ルボキシル末端にR4を付加することで容易に調製され
る。なお、これらの縮合反応において、副反応が起こる
官能基が存在するものでは、予め当該官能基を保護して
目的の反応を行った後、脱保護することは勿論のことで
ある。例えば、R4が置換アミノ基の場合、α−アミノ酸
のアミノ基を保護した上で、アミド結合を形成した後、
脱保護して中間原料のα−アミノ酸誘導体を得ることが
できる。
【0046】なお、これら化学合成で調製されるN−置
換ベンゾイルアミノ酸誘導体化合物類は、それらを特徴
付ける置換基は、出発原料に由来するものであるので、
その同定は分光学的手段、例えば、NMR 法、IR法を用
い、出発原料を参照しつつ、これらの測定結果を解析す
ることで容易に行うことができる。
【0047】本発明のC型肝炎治療薬に利用される、H
CVプロテアーゼ阻害能を示す化合物のうち、前記の式
(II)のSerine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)-, 3-[2-
〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕-2-propenoate]又は
式 (III)のSerine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)-, bimo
l. Ester, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕-2-
propenoate]は何れも微生物、Streptomyces longisporo
us JCM4261 株由来の化合物であるが、既に他の微生物
から単離・報告された既知の化合物である。なお、前記
のStreptomyces longisporous JCM4261 株は、(財)理
化学研究所微生物系統保存施設において保存されている
菌株であり、当該施設より分譲を受けることが可能であ
る。
【0048】なお、既知化合物を収録するChemical Abs
tracts Registry File中、式(II)のSerine, N-(2,3-d
ihydroxybenzoyl)-, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)am
ino〕-2-propenoate]のL−体は、レジストリー番号734
10-35-2の化合物として、式(III)のSerine, N-(2,3-dih
ydroxybenzoyl)-, bimol. Ester, 3-[2-〔(2,3-dihydro
xybenzoyl)amino 〕-2-propenoate]のL,L−体は、レ
ジストリー番号30567-78-2の化合物として、それぞれ収
録されている。
【0049】これらStreptomyces longisporous JCM426
1 株が産生する二種の天然化合物は、α−アミノ酸残基
のα−アミノ基に、2,3 −ジヒドロキシベンゾイル基が
置換する点で共通点を持っている。既に文献の報告され
ている方法(Biochim. Biophys. Acta (1970),215(2),
393-402、又は欧州特許EP5346号公報を参照)で採
取することもできるが、前記の放線菌Streptomyces lon
gisporous JCM4261 株を培養して、下記する手順に従い
その培養液から単離することもできる。
【0050】Streptomyces longisporous JCM4261 株の
培養液からの単離方法 1.培養 該放線菌 JCM4261株をYMプレート(酵母エキス0.4%、
麦芽エキス1.0%、グルコース0.4%、寒天2.0%、pH 7.3)
上で培養した菌体1白金耳量を、下記する組成の培養液
5ml(24φ試験管)に接種する。30℃、2日間振とう
培養して、前培養液を得る。この前培養液5mlを、同じ
組成の培養液100ml(500ml坂口フラスコ)に加
え、30℃、5日間振とう培養する。
【0051】
【表1】
【0052】2.分離 前記の培養液を遠心分離(6000 rpm, 30 min)し、上清
に6N HClを添加しpH2.0に調整する。等量の酢酸エチ
ルで3回溶媒抽出を行う。採取した酢酸エチル層から等
量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で再抽出を行う。得
られる水層にHCl を添加しpH 2.0に調整し、再び等量の
酢酸エチルで抽出を行う。その後、この酢酸エチル層を
無水硫酸ナトリウムで脱水し、乾固し酸性抽出画分を得
る。
【0053】酸性抽出画分をメタノールに溶解し、シリ
カゲル216 mgを添加し良く攪拌する。エバポレータでメ
タノールを除去し、酸性抽出画分をシリカゲルに吸着さ
せる。シリカゲル6.48 gを詰めたオープンカラムの塔頂
に、前記の酸性抽出画分を吸着したシリカゲルを乗せ、
クロロホルム−酢酸エチル−メタノールのステップグラ
ジエントにより溶出させ、各画分を分離採取する。目的
とする前記二種の化合物は、酢酸エチル−メタノール
(9:1)溶液により溶出される画分に含まれる。この
分画された9:1の酢酸エチル−メタノール溶出画分か
ら、下記するHPLC条件により、例えば、図1のHPLC分析
結果において、溶出時間25.3 minと29.7 minのピークと
して分離される。
【0054】HPLC分析条件 カラム:YMC −Pack、ODS −AM、150 ×4.6 mm(YMC C
o., Ltd) 溶媒:10%アセトニトリル(0.1% TFA)−50%アセトニト
リル(0.1% TFA)/40分リニアグラジエント 即ち、図1中において、分子量のより小さい、式(II)
の化合物は、溶出時間25.3 minのピークであり、分子量
のより大きい、式 (III)の化合物は、溶出時間29.7 min
のピークである。なお、式(II)の化合物は、式 (III)
の化合物から構成単位のN −(2,3 −ジヒドロキシベン
ゾイル)セリン1分子が除かれたものに相当するが、例
えば、培養液上清自体をHPLC分析すると、例えば、図2
に示すとおり、この二種の化合物に相当するピークが見
いだされる。即ち、単離課程において、加水分解で生じ
たものでなく、当該放線菌自体が生産することが確認さ
れる。なお、図2以降、各図中において、これらの2種
の化合物を、式(II)のSerine, N-(2,3-dihydroxybenz
oyl)-, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕-2-pro
penoate]は4261-Iと、式 (III)のSerine, N-(2,3-dihyd
roxybenzoyl)-, bimol. Ester, 3-[2-〔(2,3-dihydroxy
benzoyl)amino 〕-2-propenoate]は4261-IIとそれぞれ
略記する。
【0055】前記の微生物由来の化合物2種は、以下の
試験例に示すとおり、 in vitro の試験系で組み換え型
HCVプロテアーゼを用いて、その阻害能を評価したと
ころ、いずれも添加濃度10μM において、酵素活性を
50%以下に低下させるものである。加えて、ヒトが産
生し、体内に存在する種々のプロテアーゼに対しては、
その酵素活性を阻害しないので、これら体内プロテアー
ゼの阻害により引き起こされる好ましからざる副作用も
なく、医薬用途に適する特異性を有するものである。即
ち、ヒト由来の種々のセリンプロテアーゼに対しする阻
害能は極めて低く、HCVプロテアーゼに対しては特異
的に優れた阻害能を有し、加えて、何れも比較的低分子
量の化合物であり、また水溶性を有するので、体内にお
いても治療効果が認められる血中濃度を達成でき、医薬
組成物、即ち抗C型肝炎ウイルス剤、C型肝炎治療薬の
有効成分として利用が可能である。
【0056】本発明のC型肝炎治療薬の一つの態様で
は、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害作用を示す有効
成分として、前記の一般式(IV)、(V)あるいは(V
I)で示されるN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体又は
その薬学的に許容される塩を用いるものであるが、その
剤形は投与方法に応じて適宜選択するものである。薬学
的に許容されるキャリアに溶解して、血管内に投与する
注射剤、点滴剤等の液剤とすることもでき、或いは、経
口投与に用いられる種々の剤形とすることもできる。例
えば、既にその他のウイルス由来のプロテアーゼ阻害剤
において、ペプチド様化合物を有効成分とする経口投与
剤に利用される剤形と類似する添加剤組成・形態を利用
することができる。
【0057】前記の薬学的に許容される塩としては、例
えば、当該化合物に存在するカルボキシル基を対応する
アルカリ金属塩としたナトリウム塩、カリウム塩等、あ
るいは、アンモニウム塩やアルギニン塩等の有機塩基と
の塩、更には、当該化合物に塩基性のアミノ基、グアニ
ジノ基等が存在する場合には、これらの塩酸塩等の無機
酸との塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸との塩が挙げ
られる。
【0058】本発明C型肝炎治療薬の他の態様では、式
(II)の化合物又は式 (III)の化合物あるいはそれらの
薬学的に許容される塩を有効成分とするものであるが、
その剤形は投与方法に応じて適宜選択するものである。
薬学的に許容されるキャリアに溶解して、血管内に投与
する注射剤、点滴剤等の液剤とすることもでき、或い
は、経口投与に用いられる種々の剤形とすることもでき
る。
【0059】C型肝炎治療薬中に含有せしめる、前記化
合物の用量は、投与の目的、投与経路に応じて、また、
患者の年齢、性別、体重等をも勘案して適宜定めるもの
である。例えば、血管内投与又は経口投与による場合に
は、少なくとも血中濃度が、当該化合物がHCVプロテ
アーゼの酵素活性を半減させるに必要とする濃度を超え
るべく、適宜用量と投与間隔等を定めるのが通常であ
る。一般には、成人男子において、1日当たり、前記化
合物の用量を 1.0〜500 mg/kg の範囲から選択すればよ
く、通常、この全用量を単回あるいは複数回に分けて投
与する。なお、薬物代謝の過程において、これら芳香族
化合物は血液中から肝臓に取り込まれ、濃縮・蓄積され
るものであるので、血液中では比較的低濃度であって
も、患部の肝臓組織での実効的な濃度は高い水準に維持
することができる。
【0060】本発明の新規化合物は、ジペプチド様化合
物(N−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体)、あるいはト
リペプチド様化合物(N−置換ベンゾイルジペプチド誘
導体類)として作用するものであり、ペプチド輸送系に
より、患部の肝臓細胞内への移行が可能である。なお、
C末にペプチド鎖を長く有するものであっても、ペプチ
ダーゼによる消化を受け、この酵素消化の産物として、
それぞれ上述のジペプチド様化合物(N−置換ベンゾイ
ルアミノ酸誘導体)、あるいはトリペプチド様化合物
(N−置換ベンゾイルジペプチド誘導体類)として利用
される。
【0061】
【実施例】以下に、具体例を挙げて、本発明を詳しく説
明する。なお、下記の実施例1〜12に記述する化合物
は、それぞれそれを構成するアミノ酸残基及び置換ベン
ゾイル基は、原料とするアミノ酸、置換安息香酸誘導体
に由来するものであり、これら原料化合物のNMR、I
R等のスペクトルを参照して、その構造の確認を行え
る。また、質量分析においても、当該化合物分子に相当
するピークに加えて、これらの部分構造に由来するフラ
グメントのピークも観測される。この二種の結果を基
に、目的とする化合物であることの確認を行った。
【0062】(実施例1)一般式(IV)、(V)並びに
(VI)で示される化合物のうち、代表的なものに関し
て、その合成方法を以下に説明する。N −(2,3 −ジヒドロキシベンゾイル)L −セリン の合
成 〔2,3 −ジヒドロキシベンズアルデヒドのヒドロキシル
基への保護基導入〕2,3 −ジヒドロキシベンズアルデヒ
ド 6.90 g (50 mmol),塩化ベンジル 13.8ml (120 mmo
l), K2CO3 8.29 g (60 mmol),無水エタノール65 ml を
仕込み、10時間環流させた。反応液を冷やし、濃縮し
た。酢酸エチル125 mlに溶かし、水125 mlと飽和食塩水
125 mlで洗った。無水硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮
し、黄色い固体として15.12gの2,3 −ジヒドロキシベン
ズアルデヒドのジベンジル化誘導体、2,3 −ジベンジル
オキシベンズアルデヒドを得た。
【0063】〔酸化によるアルデヒドのカルボン酸への
変換〕2,3 −ジベンジルオキシベンズアルデヒド 14.33
g (45 mmol)にアセトン60 ml,水60 ml,アミド硫酸 6.1
2 g (63 mmol) を加えたところに、亜塩素酸ナトリウム
5.41 g (47.3 mmol) を少しずつ添加した。添加後約1
時間撹拌を続けた。反応液を冷やし、アセトンを濃縮し
てから、濾過し、黄色い固体を得た。これを無水エタノ
ール50 ml ですすぎ、乾燥させて、黄色い固体として1
2.63gの2,3 −ジヒドロキシ安息香酸のジベンジル化誘
導体である2,3 −ジベンジルオキシ安息香酸を得た。
【0064】〔酸塩化物の調製〕2,3 −ジベンジルオキ
シ安息香酸 3.34 g (10 mmol) にトルエン 20 ml, DMF3
滴を加え、氷冷したところに、塩化オキサリル 3.5 ml
(40 mmol) を少しずつ滴下した。氷冷下で30分、室温
で1 時間反応させた。溶媒を留去し、黄色のオイルを得
た。ヘキサン−酢酸エチルから結晶化させ微かに黄色い
結晶として2.98 gの2,3 −ジヒドロキシベンゾイルクロ
リドのジベンジル化誘導体である2,3 −ジベンジルオキ
シベンゾイルクロリドを得た。
【0065】〔N −ベンゾイル化反応〕O −ベンジル L
−セリン:Ser(Bzl)-OH 0.10 g (0.51 mmol), NaOH 0.0
4 g (1.02 mmol),水1 mlを加え、氷冷したところに、2,
3 −ジベンジルオキシベンゾイルクロリド 0.20g (0.56
mmol)を0.3 mlのTHF に溶かしたものを滴下した。氷冷
下で1 時間、室温で2 時間反応させた。希塩酸をゆっく
り加えてpHを2 に調整し10 ml の酢酸エチルで3回抽出
した。無水硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮し、0.25 g
の微かに黄色いオイル、N−(2,3 −ジベンジルオキシ
ベンゾイル)−O−ベンジルセリンを得た。
【0066】ここで得たベンジル保護された化合物をエ
タノール−酢酸エチル=20/1 中でPd/Cによって水素化分
解して脱保護し、標記のN −(2,3 −ジヒドロキシベン
ゾイル)セリンを得た。なお、原料のセリンとして、こ
の例ではL−体を用いたので、生成物もその立体配置は
保持するもの、即ちN −(2,3 −ジヒドロキシベンゾイ
ル)L−セリンであった。
【0067】(実施例2〜11)前記実施例1の合成法
に準じて、下記の表2に示す一連のN −(置換ベンゾイ
ル)α−アミノ酸類を合成した。なお、当該置換ベンゾ
イル基上にフェノール性のヒドロキシル基が存在するも
の、実施例2〜7の化合物は、上述の通り、対応する置
換ベンズアルデヒドをO −ベンジル化反応で保護した
後、目的の置換ベンゾイルクロリドに誘導した。他方、
置換ベンゾイル基上にヒドロキシル基が保存されず、変
わりにメトキシ基として存在するもの、実施例8〜11
の化合物では、対応するカルボン酸の置換安息香酸を原
料として、酸塩化物に調製した。質量分析により示され
た分子量は表2に示すとおりであった。
【0068】
【表2】
【0069】(実施例12)N −2,3 −ジヒドロキシベ
ンゾイル−O −(3 −tert−ブチルオキシ−2 −(2,3
−ジヒドロキシベンゾイルアミノ)プロパノイル)セリ
ンの合成 上述の式(II)の化合物と極めて類似する、下記の式
(VIII):
【0070】
【化20】
【0071】で示される標記の化合物を合成した。
【0072】〔O −(2 −アミノ−3 −tert−ブチルオ
キシプロパノイル)セリン骨格の調製〕Z-Ser-OBzl 0.3
29 g (1 mmol), Z-Ser(t-Bu)-OH 0.443 g (1.5 mmol),
HOBt 0.230 g (1.7 mmol), THF 5mlを加え、氷冷したと
ころに、1−エチル−3−(3−N,N−ジメチルアミ
ノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩 (EDC・HCl) 0.326
gを加えた。氷冷下で1 時間、室温で2 時間撹拌した。
そこへN−メチルモルホリン 172μl (1.5 mmol)を加
え、室温で約20時間撹拌した。酢酸エチル20 ml と酢酸
0.02 ml を加え、室温で0.5 時間撹拌した。この反応液
に1Mのクエン酸水溶液20 ml を加えた後に、20 ml の酢
酸エチルで3 回抽出した。有機相をNaHCO3飽和水溶液20
ml と飽和食塩水20 ml で洗った。無水硫酸マグネシウ
ムで脱水後、濃縮し、黄色いオイル0.92 gを得た。これ
をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノ
ール = 100:1)で精製し、0.92 gの黄色いオイルを得
た。
【0073】このうちの0.60 gをエタノール−酢酸エチ
ル=20/1 中でPd/Cによって水素化分解して、保護基のベ
ンジルオキシカルボニル基を脱保護し、0.17 gの反応生
成物、O −(3 −tert−ブチルオキシ−2 −アミノプロ
パノイル)セリンベンジルエーテルを得た。
【0074】〔N −ベンゾイル化反応〕得られた反応生
成物と NaOH 0.08 g (2.0 mmol),水2 mlを加え、氷冷し
たところに、2,3 −ジベンジルオキシベンゾイルクロリ
ド 0.78 g (2.2 mmol)を0.6 mlのTHF に溶かしたものを
滴下した。氷冷下で1 時間、室温で2 時間反応させた。
希塩酸をゆっくり加えてpHを2 に調整し20 ml の酢酸エ
チルで3 回抽出した。無水硫酸マグネシウムで脱水後、
濃縮し、0.70 gの黄色いオイルを得た。カラムクロマト
グラフィー(ジクロロメタン)で精製し、0.41 gの薄い
黄色のオイルを得た。得られたベンジル保護化合物をエ
タノール−酢酸エチル=20/1 中でPd/Cによって水素化分
解して脱保護し、標記の化合物を得た。なお、質量分析
の結果、分子量は、520.5 であることを確認した。
【0075】(実施例13)本発明のHCVプロテアー
ゼ阻害剤に利用される前記式(II)及び (III)の化合物
二種は何れも低い濃度において、充分な阻害を達成でき
ることを以下の試験例に示す。なお、天然のHCVプロ
テアーゼ Cpro-2 は、宿主細胞内で前記のポリペプチド
p70として産出されるものであり大量に入手することが
困難であるので、該HCVプロテアーゼ Cpro-2 と等価
なプロテアーゼ活性を有する組換え型C型肝炎ウイルス
プロテアーゼを遺伝子工学的な手法により、形質転換微
生物を用いて生産し、それを用いた。同様に、基質蛋白
質(ペプチド)として、天然のHCVプロテアーゼが切
断する特異的なアミノ酸配列を有する合成ペプチドを利
用した。
【0076】試験法 本例では、HCVプロテアーゼとして、組換え型HCV
プロテアーゼを用い、天然のHCVプロテアーゼが切断
する特異的なアミノ酸配列を有する合成ペプチド、ある
いは組換え基質蛋白質を基質として、酵素活性に対する
阻害能を評価した。
【0077】組換え型HCVプロテアーゼは、以下の手
順に従い、該組換え型HCVプロテアーゼをコ−ドする
DNAを含んでなる環状プラスミドベクタ−を構築し、
その環状プラスミドベクタ−を導入して形質転換してな
る該組換え型HCVプロテアーゼの生産能を有する形質
転換微生物を作製し、該形質転換微生物を培養して、そ
の培養物より該組換え型HCVプロテアーゼを単離・採
取して調製する(特開平9−9961号公報等を参
照)。なお、HCVプロテアーゼ等のHCV由来の蛋白
質をコ−ドする cDNA は、HCVのウイルスゲノム(+
鎖のRNA)から逆転写して採取され、その核酸配列及び対
応するアミノ酸残基配列は、既に文献に報告されている
(A. Takamizawa et al., J. Virol.,65, 1105-1113 (1
991)、N. Kato et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
87, 9524-9528 (1990)等を参照)。本発明者らは、HC
V- J型のゲノム核酸配列(N. Kato et al., Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 87, 9524-9528 (1990)等を参照)
を参照した。
【0078】〔組換え型HCVプロテアーゼをコードす
るDNAを含んでなる環状プラスミドベクタ−の構築、
及び該プラスミドベクタ−を導入した形質転換微生物の
調製〕先ず、HCVプロテアーゼ Cpro-2 のプロテアー
ゼ活性を発揮するアミノ酸配列部分の特定を目指す予備
的な研究がなされ、得られた知見が幾つか報告されてい
る。HCVウイルスゲノムのゲノムから翻訳されるポリ
プロテインのN末より表記するアミノ酸配列上、非構造
遺伝子領域のNS3( P70)部分のN末領域、具体的に
は Ala1027〜 Ser1207部分(J. Viorogy, 68, 8147-815
7 (1994)を参照)、或いは Gly1049〜 Ser1215部分(Gen
e,145, 215-219 (1994)、特開平6−315377号公
報を参照) のみでプロテアーゼ活性があることが報告さ
れている。これらの知見に基づき、非構造遺伝子領域の
NS3部分、即ちP70 と称される領域をコードするcD
NA断片を採取した。このp70 ; Ala1027〜 Thr1658
コードするDNA断片の5' 側に、図3(上側)に示す
リンカー断片1で置き換えを行い、 Ala1027の直前に開
始コドン ATG (Met)を付加するとともに、制限酵素 Eco
R I 切断部位を導入した。同時に、3' 側を図3(下
側)に示すリンカー断片2で置き換えを行い、 Thr1658
の直後に終止コドンTAA を導入するとともに、3' 側下
流の非翻訳域に制限酵素 Hind III 切断部位をも導入し
た。得られたDNA断片は、末端に制限酵素 EcoR I と
Hind III の切断端がそれぞれ形成されたものとなる。
【0079】組換え型HCVプロテアーゼは、大腸菌由
来のマルトース結合蛋白(MBP;maltose-binding pr
otein )のC末にHCVプロテアーゼを連結した融合蛋
白質を用いた。市販されているMBP発現プラスミドベ
クター(NEW ENGLAND BIOLABS (NEB) 製)pMAL-c2 を制
限酵素 EcoR I と Hind III で切断し(C.-d. Guan eta
l., Gene, 67, 21-30 (1988)、 C. V. Maina et al., G
ene,74, 365-373 (1988)等を参照) 、得られるMBPを
コードするDNA(mal E )を含むベクター断片を精製
する。このベクター断片と、前記のp70 ; Ala1027〜 T
hr1658をコードするDNA断片を、 T4 DNAリガーゼ
により連結し、プラスミドベクター pMAL-CPを得る。得
られるプラスミドベクターは、前記の MBP-p70融合蛋白
質をコードするDNAを pMAL-c2に由来する tacプロモ
−ター(Ptac )の下流に有し、またマーカー遺伝子と
してアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)を有するものとな
る。この MBP-p70融合蛋白質発現ベクター pMAL-CPを用
い、大腸菌 HB101株に導入し形質転換する。マーカー遺
伝子によるアンピシリン耐性、並びにウサギ抗MBP抗
体を用いるウエスタンブロット法によるスクリーニング
を行ない、該発現ベクター pMAL-CPを有する組換え菌を
得た。
【0080】〔MBP-p70 融合蛋白質型の組換え型HCV
プロテアーゼの調製〕組換え菌による融合蛋白質の培養
生産と培養物からの活性な組換え型HCV プロテアーゼの
分離・精製は、以下の手順で行う。組換え菌を、アンピ
シリンを添加した500 mlの2×YTを培地に用いて、5
L容三角フラスコ中で30℃、一晩(約14時間)振とう
培養する。この間、対数増殖期に、MBP-p70 融合蛋白質
の発現を誘導するため、培地にイソプロピル- β-D-
チオガラクトピラノシド(IPTG)を終濃度1 mMとなる量
添加する。引き続き、30℃、14時間振とう培養を行
い、得られる培養液を遠心分離して集菌する。集菌後、
超音波によって菌体を破砕し、その後、遠心分離によっ
て、不溶性画分を分離し、可溶性蛋白質を含有する上清
を得る。
【0081】培養液2Lから採取された、前記の上清13
7.5ml を、バッファー液(20mM Tris-HCl, pH7.4, 0.2M
NaCl, 1 mM EDTA)で平衡化したアミロースカラム(32
×63mm;アミロースレンジ NEW ENGLAND BIOLABS社製)
にアプライし、同バッファー液で洗浄した後、カラム上
に吸着しているMBP-p70 融合蛋白質を10mMマルトースを
添加した同バッファー液で溶出した。この吸着画分を限
外濾過(YM30メンブレン膜)により濃縮する。この濃縮
液を、0.2 M NaCl, 0.1 M リン酸ナトリウム,pH 7.2バ
ッファー液によって平衡化されたセファクリル S-300 H
R カラム(Pharmacia 社製)に負荷し、ゲル濾過クロマ
トグラフィーを行う。流速を400ml /hとし、分画を各2
0mlとした。目的のMBP-p70 融合蛋白質を含む画分を採
取する。
【0082】このゲル濾過を施したMBP-p70 融合蛋白質
を含有する画分を、再び限外濾過膜で濃縮する。これ
を、20 mM リン酸ナトリウム緩衝液, pH 7.2(以降、バ
ッファー液B と称する)で平衡化されたセファデックス
G-25 カラムに負荷して、溶媒をバッファー液B に置き
換え、精製ずみのMBP-p70 融合蛋白質溶液を得る。最後
に、精製ずみのMBP-p70融合蛋白質溶液を、終濃度 5
0 %になるようにグリセロールを添加し、また、蛋白質
濃度を1mg /mlに調整した後、-80 ℃にて保存する。
【0083】〔組換え基質蛋白質の調製方法〕天然のH
CVプロテアーゼが切断する基質蛋白質は、HCVウイ
ルスの遺伝子産物であるので、該基質蛋白質に換え、H
CVプロテアーゼの切断するアミノ酸配列を含む組換え
基質蛋白質を用いる。具体的には、該HCVプロテアー
ゼ切断配列(NS5A/NS5B )に対応する図4に示す部分配
列(切断配列;Cleavage Sequence CS)を、MBPのC
末とアデニレ−トキナ−ゼ(以降、ADKと略称す
る。)のN末の間に挿入し、このMBPとADKの融合
蛋白質(以降、MBP-NS5A/5B-ADK と略称する。)を組換
え基質蛋白質として用いる。
【0084】該 MBP-NS5A/5B-ADK融合蛋白質の発現に用
いる組換え大腸菌は、次の方法で得た。市販されている
MBP発現プラスミドベクター(NEW ENGLAND BIOLABS
(NEB) 製)pMAL-c2 を制限酵素 Xmn Iと Hind III で切
断し( C.-d. Guan et al., Gene,67, 21-30 (1988)、
C. V. Maina et al., Gene,74, 365-373 (1988)等を参
照) 、得られるMBPをコードするDNA(mal E )を
含むベクター断片を精製する。一方、ADKをコードす
るDNA断片を、クロ−ンされた該ADK遺伝子(T. H
ibino et al., J. Biotechnol., 32, 139-148 等を参
照)を含むADK発現ベクター pMKAK3 等(特開平 1-5
1087号公報、特開平 1-51088号公報等を参照)より制限
酵素 EcoR I と Hind III で切断し、精製する。前記M
BPをコードするDNA(mal E )を含むベクター断片
とADKをコードするDNA断片を、図4に示す合成リ
ンカーを介して、 T4 DNAリガーゼにより連結する。
得られるプラスミドベクターは、前記の MBP-NS5A/5B-A
DK融合蛋白質をコードするDNAを pMAL-c2に由来する
tacプロモ−タ(Ptac )の下流に有し、またマーカー
遺伝子としてアンピシリン耐性遺伝子(Ampr)を有するも
のとなる。この MBP-NS5A/5B-ADK融合蛋白質発現ベクタ
ー pMAL-AK2 を用い、大腸菌 HB101株に導入し形質転換
する。マーカー遺伝子によるアンピシリン耐性、並びに
ウサギ抗MBP抗体を用いるウエスタンブロット法によ
るスクリーニングを行ない、該 MBP-NS5A/5B-ADK融合蛋
白質発現ベクター pMAL-AK2 を有する組換え菌を得た。
なお、該合成リンカー部分により、基質となるアミノ酸
配列部分はコードされる。
【0085】このベクター pMAL-AK2 を有する組換え菌
を、500 mlの 2×YTを含有する培地を用いて、5 L容三
角フラスコで 30 ℃、一晩( 約 14 時間) 振とう培養す
る。その間、対数増殖期に、終濃度 1 mM となる量の I
PTG を添加して、該MBP−CS−ADK融合蛋白質の
発現を誘導する。その後、培養物から集菌し、菌体を破
菌、超遠心し、sonic sup 44 ml を得た。この可溶性画
分を、20 mM トリス塩酸バッファ−(pH 7.4、0.2 M Na
Cl、1 mM EDTA )で平衡化したアミロ−スカラムにの
せ、同バッファ−で洗浄した後、10 mM マルト−スを含
む同バッファ−で吸着画分を溶出する。この吸着画分
を、Sephadex G-25 を用いて、20 mM トリス塩酸バッフ
ァ−(pH 7.6、60 nM NaCl)に溶媒置換した後、限外濾
過(YM30メンブレン)で濃縮する。濃縮された該 M
BP-NS5A/5B-ADK融合蛋白質の溶液に、等体積のグリセロ
−ルと 1/500体積の 1 M DTTを加えて、 -20℃で保存す
る。なお、この組換え基質液は、タンパク濃度 2.81 mg
/ml に調整した。なお、前記MBP-p70 融合蛋白質発現ベ
クター pMAL-CPと該 MBP-NS5A/5B-ADK融合蛋白質発現ベ
クター pMAL-AK2 の模式図、並びに両融合蛋白質のSDS-
PAGE分析結果を図5に参考として示す。
【0086】〔合成基質〕HCVプロテアーゼ切断配列
(NS5A/NS5B )に対応するアミノ酸配列を有するペプチ
ドである、下記する合成基質を作成した。合成基質(S3) Abz-Glu-Asp-Val-Val-Glu-Cys-Ser-Met-Ser-Tyr-NH2 (Abz: 2−アミノベンゾイル)この合成基質は、 HCVプ
ロテアーゼで切断されると、Cys-Ser の間で切断され
た、下記する二種のペプチド断片が得られる。ペプチド断片 Abz-Glu-Asp-Val-Val-Glu-Cys-OH Ser-Met-Ser-Tyr-
NH2
【0087】〔組換え基質蛋白質を用いたin vitroのH
CVプロテアーゼ活性アッセイ〕前記の方法で調製され
るHCVプロテアーゼ融合蛋白質MBP-p70 及び組換え基
質蛋白質 MBP-NS5A/5B-ADKを用いて、in vitroのHCV
プロテアーゼ活性アッセイを行なった。アッセイ手順の
一例を、次に述べる。
【0088】酵素溶液は、上述の保存酵素液、蛋白質濃
度1mg /mlのものを希釈用緩衝液(10 mM NaH2PO4, 50
%グリセロール, pH7.2 )で5倍に希釈したものを用い
る。被験物質の所定量を一旦DMF に溶解し、サンプル液
とした。このサンプル液1 μl にTSC 緩衝液(50 mM Tr
is-HCl, 30 mM NaCl, 5 mM CaCl2, pH8.5 )34μl を加
えて、攪拌混合する。次いで、 MBP-NS5A/5B-ADK組換え
基質(タンパク濃度 2.81 mg/ml ) 10 μl 、酵素溶液
5μl を順次添加して、37℃で1時間反応を行う。その
後、反応液に、SDS-PAGE用のサンプル溶液 50 μl を加
えて反応を停止させる。
【0089】この液に、2-メルカプトエタノ−ル 3.3μ
l を加える。この混合液から、 10μl を採取して、S
DS- PAGEし、銀染色する。該組換え基質及びその
プロテアーゼ消化で生成する ADKが与えるバンドの強度
を、デンシトメーターで測定する。即ち、組換え基質 M
BP-NS5A/5B-ADKの残存量と、新たに生成する ADKの量
を、測定されたそれぞれのバンド強度を基に、酵素活性
を算定する。
【0090】他方、被験物質のサンプル液に換えて、D
MFを用いて、同じ操作をしたものを参照群として、被
験物質のサンプル液を添加した際の残余する酵素活性と
の比を算定する。因みに、各被験物質のプロテアーゼ阻
害能は、残余する酵素活性が参照群と同じ時、阻害率0
%、残余する酵素活性が零の時、阻害率100%とす
る。
【0091】〔合成基質を用いた in vitro におけるHC
V プロテアーゼ活性アッセイ〕酵素溶液は、上述の保存
酵素液、蛋白質濃度1mg /mlのものを希釈用緩衝液(10
mM NaH2PO4, 50 %グリセロール, pH7.2 )で40倍に
希釈したものを用いる。被験物質の所定量を一旦DMF に
溶解し、サンプル液とした。このサンプル液2μl にTSC
G緩衝液(50 mM Tris-HCl, 30 mM NaCl, 5 mM CaCl2, 5
0 %グリセロール, pH8.5 )10μl 、 TSC緩衝液(50 mM
Tris-HCl, 30 mM NaCl, 5 mM CaCl2,pH8.5 )58μl を
加えて、攪拌混合する。次いで、酵素溶液10μl を添加
し、室温で10分間プレインキュベート処理を施した
後、125 μM の合成基質溶液を20μl 添加して、37℃で
1時間反応を行う。反応液に、0.5 % TFA 100 μl を加
えて反応を停止させる。反応停止後、その反応液中に残
る合成基質、及び合成基質の酵素反応で切断された断片
を、それぞれ逆相 HPLC により分析を行う。逆相HPLCの
条件は、逆相C4 カラム(4.6 mm内径× 5.0 cm , VyDa
c 社)を用い、溶出は14%アセトニトリル添加 0.1%
TFA(2分間)の条件とした。なお、被験物質のサンプ
ル液2μl に換えて、DMF2μl を用いて、前記と同
様の操作を行い、これを参照群として、阻害率を算定し
た。
【0092】反応液中、被験化合物の終濃度10μM とし
たときの、各被験物質の阻害活性を表3に示す。なお、
評価は組換え基質を用いる方法を用いた。式(II)、式
(III)の化合物に加え、2,3 −ジヒドロキシ安息香酸、
1,2 −ジヒドロキシベンゼン(カテコール)の結果も併
せて示す。
【0093】
【表3】
【0094】表3に結果を示すとおり、これら式(II)
又は式 (III)に示す二種の化合物は共に、HCVプロテ
アーゼに対して、優れた阻害剤であることが判る。具体
的には、前記の結果で阻害率は約80%に達している。
一方、式(I)の部分構造に特徴的な2,3 −ジヒドロキ
シ安息香酸自体は、阻害活性は見られるものの、格段に
劣るものであることが判る。1,2 −ジヒドロキシベンゼ
ン(カテコール)は、これらの化合物と同じ程度の阻害
率を示すことから、そのベンゼン環上の置換基として存
在するヒドロキシル基の酸素原子を利用して、HCVプ
ロテアーゼの活性中心のアミノ酸残基と水素結合を形成
すると推察できる。即ち、式(I)の部分構造を利用し
て、HCVプロテアーゼの活性中心に配位すると考えら
れる。
【0095】この二種の阻害物質はどのような機構によ
り、HCVプロテアーゼの酵素活性を阻害するかを考察
する目的で、阻害物質の添加濃度を種々に変えて、合成
基質濃度に対する依存性を測定し、その添加濃度並びに
合成基質濃度に対する依存性を、Lineweaver-Burk plot
した結果から、阻害は競争阻害と判断され、HCVプロ
テアーゼに対して、その酵素活性点に配位することで基
質との反応を阻害すると推定される。また、図6に示す
結果を基に、合成基質を用いた系において、HCVプロ
テアーゼの酵素活性を50%に阻害する濃度を算定した
ところ、式(II)の化合物のIC50値は約6.5 μM、式
(III)の化合物のIC50値は約4.0 μMとそれぞれ求まっ
た。
【0096】その他、前記の化合物は、HCVプロテア
ーゼに対して極めて優れた阻害活性を示すが、それ以外
のヒト固有の種々セリンプロテアーゼに対しては、僅か
に阻害活性を示すのみであることを検証した。具体的に
は、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、プラ
スミン、トロンビン、カリクレイン、ファクターXaの7
種に対する酵素活性阻害能を測定した。なお、トロンビ
ンとファクターXaの評価系では、牛血清アルブミンが反
応系に添加されている。加えて、単純ヘルペスウイルス
1型(HSV-1 )由来のセリンプロテアーゼに関しても、
同様な評価を行った。図7、図8に評価結果の一例を示
す通り、各阻害物質は、反応液中で終濃度100μM 添
加した際に、僅かに酵素活性が抑えられる傾向があるも
のの、HCVプロテアーゼに対する阻害能と比較すると
格段に低いと判断される。即ち、HCVプロテアーゼに
対して特異的に酵素活性を阻害するものであることが判
る。参考として、反応液中に終濃度10μM 添加した際
の阻害率と、各酵素の添加濃度を表4に併せて示す。
【0097】
【表4】
【0098】より具体的には、HCVプロテアーゼは、
His1083-X22-Val1104-X-X-Asp1107-X55-Gly1163-X-Ser
1165-Gly1166-X-Pro1168-X9 -Gly1178の配列を酵素活性
点の部分構造に必須な部分として内在しており、このア
ミノ酸配列中に存在するHis1083、Asp1107、Ser
1165が、セリンプロテアーゼの酵素活性点;His-Asp-Se
r の部分構造を形成していると考えられる。基質のペプ
チド結合切断時には、恐らく、前記のHis1083の側鎖イ
ミダゾール環から、プロトンが供与されると推定でき
る。トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、プラ
スミン、トロンビン、カリクレイン、ファクターXaの7
種のプロテアーゼもその酵素活性中心には、 His-Asp-S
erの部分構造に類似する活性点が形成されているため、
前記の表3に示すとおり若干の阻害能を示す。しかしな
がら、切断配列の特異性から予測されるように、その周
囲のアミノ酸残基側鎖の立体配置が異なるため、阻害活
性は大きく異なる結果となっていると判断される。但
し、HCVの種々の株間では、この酵素活性点近傍の構
造は極めてよく保存されており、HCV−J株以外のH
CVに由来するHCVプロテアーゼに対しても、遜色の
ない阻害活性を示すことになる。
【0099】加えて、本発明のHCVプロテアーゼ阻害
剤に利用される、前記の式 (VIII)に示す化合物、並び
に一般式(IV)、(V)及び(VI)で示される化合物に
関しても、何れも低い濃度において、充分な阻害を達成
できることを上述の試験法に従い検証した。なお、参考
のため、L −セリン、D −セリン、種々のジヒドロキシ
安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸類、L −セリン、D
−セリン、3,4 −ジヒドロキシフェニル基を有するフラ
ボノイド類などについて、そのプロテアーゼ阻害能を評
価した。表5に、反応液中に終濃度10μM 添加した際
の阻害率に加えて、高い阻害能を示す化合物の一部につ
いては、終濃度1μM 添加した際の結果を対比のため併
せて示す。
【0100】
【表5】
【0101】前記の結果から、本発明の置換ベンゾイル
アミノ酸誘導体類の示すC型肝炎ウイルスプロテアーゼ
阻害活性は、それを構成するアミノ酸残基の構造も関与
するが、主には、置換ベンゾイル基の構造に由来するも
のであることが判る。即ち、置換ベンゾイルアミノ酸誘
導体において、そのカルボキシル末端の構造は、阻害能
に本質的なものでなく、酵素との相互作用において、立
体障害とならない限り、如何なる構造であってもよいと
判断される。同じく、アミノ酸残基の側鎖に関しても、
著しい立体障害とならない限り、如何なる構造であって
もよいと判断される。但し、このアミノ酸残基の側鎖に
関しては、疎水性に富む炭化水素基がより適していると
推察される結果となっている。
【0102】
【発明の効果】本発明のC型肝炎ウイルスプロテアーゼ
阻害剤は、その阻害能の高さに加えて、水溶性を有し、
また比較的分子量も低いので、医薬組成物に適するもの
である。即ち、疎水性を示す芳香環を有し、尚かつ水溶
性を有するので、多種の投与形態においても体内へ薬物
を吸収させることができる利点をもつ。特に、比較的低
分子量であることに加えて、疎水性と親水性の性質を併
せ持つので、ウイルスが感染する肝臓の宿主細胞内への
移行も容易になされ、その阻害活性を発揮することがで
きる。これらの利点から、本発明のC型肝炎治療薬は、
高い治療効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放線菌Streptomyces longisporous JCM4261 株
の培養上清中の酸性抽出画分のHPLC分析結果を示す図。
【図2】放線菌Streptomyces longisporous JCM4261 株
の培養上清のHPLC分析結果を示す図。
【図3】組換えHCVプロテアーゼをコードするDNA 断
片の作成に用いるリンカー断片1、及び断片2の塩基配
列を示す図。
【図4】組換え基質中の切断配列をコードするリンカー
断片の塩基配列を示す図。
【図5】組換えHCVプロテアーゼ並びに組換え基質の
発現ベクターを模式的に示す図。
【図6】式(II)の化合物並びに式 (III)の化合物のH
CVプロテアーゼに対する酵素阻害能における、当該化
合物添加濃度に対する依存性を示す図。
【図7】式(II)の化合物並びに式 (III)の化合物のト
リプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、HSV-1 由来
セリンプロテアーゼに対する酵素阻害能を比較する図。
【図8】式(II)の化合物並びに式 (III)の化合物のプ
ラスミン、トロンビン、カリクレイン、ファクターXaに
対する酵素阻害能を比較する図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐伯 尚史 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(I): 【化1】 の1-(2,3-ジヒドロキシベンゾイル)アミノ-2- オキソ
    - エチレン構造を部分骨格として含むことを特徴とす
    る、下記式(II): 【化2】 のSerine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)-, 3-[2-〔(2,3-d
    ihydroxybenzoyl)amino〕-2-propenoate]、又は式 (II
    I): 【化3】 のSerine, N-(2,3-dihydroxybenzoyl)-, bimol. Ester,
    3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)amino 〕-2-propenoat
    e]あるいはそれらの薬学的に許容される塩、ないしは、
    下記の一般式(IV): 【化4】 (式中、R12、R13は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜
    6の非環式炭化水素基を表し、R1 4、R16は、それぞれ水
    素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6
    の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基
    で置換されたオキシ基、又は炭素数1〜6の非環式炭化
    水素基で置換されたチオ基を表し、R2、R3は、水素原
    子、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素鎖中にチオ
    基又はオキシ基としてイオウ又は酸素が置き換わった非
    環式炭化水素基、前記の炭素数1〜6の非環式炭化水素
    基上に、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシ
    カルボニル基、アルキルイミノカルボニル基、ヒドロキ
    シル基、メルカプト基、アルキル置換アミノ基、アミノ
    基又はグアニジノ基の何れかが置換されている置換非環
    式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素芳香族環基で
    置換された非環式炭化水素基、ヒドロキシ置換芳香族炭
    化水素基で置換された非環式炭化水素基、あるいは、当
    該R2、R3が、前記の一価の基から誘導されるアルキリデ
    ン型の二価の基として存在するかの何れかを表し、R
    4は、水素原子、又は、ヒドロキシル基、メルカプト
    基、アミノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換
    されていてもよい炭化水素基と結合したオキシ基、置換
    されていてもよい炭化水素基と結合したチオ基、あるい
    は、置換されていてもよい炭化水素基と結合したイミノ
    基又はニトリロ基の何れかの一価の原子団を表す。)、
    一般式(V): 【化5】 (式中、R22、R25は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜
    6の非環式炭化水素基を表し、R2 3、R24は、それぞれ水
    素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6
    の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基
    で置換されたオキシ基、又は炭素数1〜6の非環式炭化
    水素基で置換されたチオ基を表し、R2、R3は、それぞれ
    前記の一般式(IV)のR2、R3と同義の基を表し、R4は、
    前記の一般式(IV)の R4 と同義である。)、又は、一
    般式(VI): 【化6】 (式中、R33、R34は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜
    6の非環式炭化水素基を表し、R32、R35は、それぞれ水
    素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6
    の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基
    で置換されたオキシ基、又は炭素数1〜6の非環式炭化
    水素基で置換されたチオ基を表し、R2、R3は、それぞれ
    前記の一般式(IV)のR2、R3と同義の基を表し、R4は、
    前記の一般式(IV)の R4 と同義である。)の何れかで
    示されるジヒドロキシベンゾイル基又は置換ジヒドロキ
    シベンゾイル基をアミノ基上に置換基として有するN−
    置換ベンゾイルアミノ酸誘導体あるいはその薬学的に許
    容される塩の何れかを有効成分とするC型肝炎ウイルス
    プロテアーゼ阻害剤。
  2. 【請求項2】 下記の一般式(IV): 【化7】 (式中、R12、R13は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜
    6の非環式炭化水素基を表し、R14、R16は、それぞれ水
    素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6
    の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基
    で置換されたオキシ基、又は炭素数1〜6の非環式炭化
    水素基で置換されたチオ基を表し、R2、R3は、水素原
    子、炭素数1〜6の非環式炭化水素基、炭素鎖中にチオ
    基又はオキシ基としてイオウ又は酸素が置き換わった非
    環式炭化水素基、前記の炭素数1〜6の非環式炭化水素
    基上に、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシ
    カルボニル基、アルキルイミノカルボニル基、ヒドロキ
    シル基、メルカプト基、アルキル置換アミノ基、アミノ
    基又はグアニジノ基の何れかが置換されている置換非環
    式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素芳香族環基で
    置換された非環式炭化水素基、ヒドロキシ置換芳香族炭
    化水素基で置換された非環式炭化水素基、あるいは、当
    該R2、R3が、前記の一価の基から誘導されるアルキリデ
    ン型の二価の基として存在するかの何れかを表し、R
    4は、水素原子、又は、ヒドロキシル基、メルカプト
    基、アミノ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換
    されていてもよい炭化水素基と結合したオキシ基、置換
    されていてもよい炭化水素基と結合したチオ基、あるい
    は、置換されていてもよい炭化水素基と結合したイミノ
    基又はニトリロ基の何れかの一価の原子団を表す。)、
    一般式(V): 【化8】 (式中、R22、R25は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜
    6の非環式炭化水素基を表し、R23、R24は、それぞれ水
    素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6
    の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基
    で置換されたオキシ基、又は炭素数1〜6の非環式炭化
    水素基で置換されたチオ基を表し、R2、R3は、それぞれ
    前記の一般式(IV)のR2、R3と同義の基を表し、R4は、
    前記の一般式(IV)の R4 と同義である。)、又は、一
    般式(VI): 【化9】 (式中、R33、R34は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜
    6の非環式炭化水素基を表し、R32、R35は、それぞれ水
    素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6
    の非環式炭化水素基、炭素数1〜6の非環式炭化水素基
    で置換されたオキシ基、又は炭素数1〜6の非環式炭化
    水素基で置換されたチオ基を表し、R2、R3は、それぞれ
    前記の一般式(IV)のR2、R3と同義の基を表し、R4は、
    前記の一般式(IV)の R4 と同義である。)の何れかで
    示されるジヒドロキシベンゾイル基又は置換ジヒドロキ
    シベンゾイル基をアミノ基上に置換基として有すること
    を特徴とするN−置換ベンゾイルアミノ酸誘導体あるい
    はその薬学的に許容される塩。
  3. 【請求項3】 C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害作用
    を示す有効成分として、前記式(II)のSerine, N-(2,3
    -dihydroxybenzoyl)-, 3-[2-〔(2,3-dihydroxybenzoyl)
    amino 〕-2-propenoate]又は前記式 (III)のSerine, N-
    (2,3-dihydroxybenzoyl)-, bimol. Ester, 3-[2-〔(2,3
    -dihydroxybenzoyl)amino 〕-2-propenoate]あるいはそ
    れらの薬学的に許容される塩を含有することを特徴とす
    るC型肝炎治療薬。
  4. 【請求項4】 C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害作用
    を示す有効成分として、請求項2に記載のN−置換ベン
    ゾイルアミノ酸誘導体あるいはその薬学的に許容される
    塩を含有することを特徴とするC型肝炎治療薬。
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