JPH10297973A - 窒化珪素焼結体 - Google Patents

窒化珪素焼結体

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JPH10297973A
JPH10297973A JP9106053A JP10605397A JPH10297973A JP H10297973 A JPH10297973 A JP H10297973A JP 9106053 A JP9106053 A JP 9106053A JP 10605397 A JP10605397 A JP 10605397A JP H10297973 A JPH10297973 A JP H10297973A
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JP
Japan
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oxide
silicon nitride
sintered body
nitride sintered
lanthanoid
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Application number
JP9106053A
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English (en)
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Takeshi Mitsuoka
健 光岡
Mikiko Aida
美紀子 会田
Kazuhiro Urashima
和浩 浦島
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厳しい酸性環境下での使用に好適な窒化珪素
焼結体を提供する。 【解決手段】 焼結助剤として、a)イオン電界強度が
0.8以上の金属酸化物(例えばAl23、TiO2
ZrO2、Ta23、SiO2 )と、b)ランタノイド
酸化物(例えばYb23、CeO2、Er23、La2
3及びPr611)を含み、c)イオン電界強度が0.8
未満の金属酸化物(ランタノイド酸化物を除く)を含ま
ない窒化珪素焼結体であって、前記焼結助剤の総重量に
対する前記ランタノイド酸化物の重量比が0.3以下で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化珪素焼結体に
関し、例えば、酸性環境下で使用されるボールベアリン
グやメカニカルシールなどで代表される部材として用い
られる窒化珪素焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素はその優れた機械的特性、耐食
性を利用して、腐食環境下で使用されるボールベアリン
グ等に用いられている。しかし、窒化珪素単独では焼結
が困難であるため、従来、Mg、Al、Y、Sc、L
a、Ceなどの酸化物等を焼結助剤として添加して焼結
を行っている。
【0003】優れた耐食性を有する窒化珪素焼結体及び
その製造方法として、特開昭61−72685、特開平
3−60467、特開平5−117034、特開平5−
208871、特開平6−227863等に開示された
ものが挙げられる。特開昭61−72685には、焼結
助剤として酸化ランタンと酸化アルミニウムを混合させ
た窒化珪素焼結体が開示されている。この公報には、焼
結助剤全体に対する酸化ランタンの重量比が0.75の
窒化珪素焼結体が例示されている。
【0004】特開平3−60467には、焼結助剤とし
て酸化イットリウムと酸化アルミニウム、酸化チタンを
混合させた窒化珪素焼結体が開示されている。この公報
には、焼結助剤全体に対する酸化イットリウムの重量比
が0.25以上の窒化珪素焼結体が例示されている。
【0005】特開平5−117034には、焼結助剤と
して酸化イットリウムと酸化アルミニウムと所定の群か
らなる金属化合物を混合させた窒化珪素焼結体が開示さ
れている。この公報には、焼結助剤全体に対する酸化イ
ットリウムの重量比が0.3の窒化珪素焼結体が例示さ
れている。
【0006】特開平5−208871には、焼結助剤と
して酸化マグネシウムと酸化アルミニウムなどとを所定
割合で混合させた窒化珪素焼結体が開示されている。こ
の公報には、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、
酸化セシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムを
混合させ、焼結助剤全体に対する酸化セシウムの重量比
が0.3の窒化珪素焼結体が例示されている。
【0007】特開平6−227863には、焼結助剤と
して希土類元素酸化物と酸化シリコン等とを混合させた
窒化珪素焼結体が開示されている。この公報には、焼結
助剤全体に対する希土類元素酸化物の重量比が約0.6
以上の窒化珪素焼結体が例示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、窒化珪素焼
結体の腐食は主に粒界相の腐食により生じるが、粒界相
の組成は製品、焼結体により様々である。従って、窒化
珪素焼結体の耐酸性も製品により大きく異なっている。
【0009】上述した各公報に記載された窒化珪素焼結
体は、いずれも耐酸性を有しているものの、より厳しい
酸性環境下、若しくは、僅かな腐食が問題となるような
場合に耐え得るだけの優れた耐酸性を有するものではな
かった。本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、
その目的は、厳しい酸性環境下での使用に好適な窒化珪
素焼結体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態及び発
明の効果】窒化珪素の酸による腐食は、主に粒界相の溶
出であり、窒化珪素粒子自身はほとんど腐食されないこ
とが知られている。従って、優れた耐酸性を有する窒化
珪素を得るためには、窒化珪素粒子ではなく、焼結助剤
成分から構成される粒界相の酸に対する安定性を向上さ
せることが重要である。このような観点から種々検討し
た結果、本発明者らは本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明の窒化珪素焼結体は、焼結助
剤として、 a)イオン電界強度が0.8以上の金属酸化物と、 b)ランタノイド酸化物とを含み、 c)イオン電界強度が0.8未満の金属酸化物(ランタ
ノイド酸化物を除く)を含まない窒化珪素焼結体であっ
て、前記焼結助剤の総重量に対する前記ランタノイド酸
化物の重量比が0.3以下であることを特徴とする。な
お、焼結助剤の総重量は、金属酸化物として換算した値
を用いるものとする。
【0012】以下に、上記a成分として、イオン電解強
度が0.8以上の金属酸化物に限定した理由を説明す
る。一般に、焼結助剤成分が溶液中に溶解するためには
イオンになる必要がある。例えば、焼結助剤として一般
的に用いられる酸化マグネシウムと酸との反応による溶
解反応は下記式(数1)に示される。
【0013】
【数1】
【0014】具体的に例えば酸として硫酸または塩酸を
用いた場合には下記式(数2、3)の反応が起こる。
【0015】
【数2】
【0016】
【数3】
【0017】この反応では、酸化マグネシウムと酸が反
応し、塩(硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム)と水
が生成する。酸との反応により塩と水が生じる反応は、
中和反応と定義されている。従って、酸化マグネシウム
は塩基として働き、酸と中和反応を起こすことにより溶
解すると結論づけられる。
【0018】このように、窒化珪素焼結体の酸による腐
食は、焼結助剤成分と酸との中和反応によるものであ
る。従って、酸との中和反応を抑制するためには、中性
〜酸性の焼結助剤成分を用いることが好ましい。ここ
で、焼結助剤成分の酸性度、塩基性度を規定する必要が
あるが、金属酸化物の酸性度を規定する手法にイオン電
界強度(FS)を用いることができる。イオン電界強度
は下記式(数4)により定義される。
【0019】
【数4】
【0020】ここで、Zは酸化物中の金属元素の価数で
あり、ra は金属元素のイオン半径(Å)、ro は酸素
のイオン半径(Å)である。FS算出の基本となるイオ
ン半径は種々の値が提唱されているが、ここでは、Shan
non、Prewitが実測値に基づいて整理した値(化学便覧
基礎編II、第1407頁、編者/日本化学会、発行所
/丸善株式会社、発行日/昭和50年6月20日)を用
いた。この数値が小さいほど塩基性であり、また大きい
ほど酸性である。
【0021】種々検討した結果、イオン電界強度の小さ
な(つまり塩基性度の高い)酸化マグネシウム等を含ん
でいる場合や、焼結助剤全体に対するランタノイド酸化
物の重量比が大きな場合には、窒化珪素焼結体は過酷な
酸性環境下における耐酸性が十分でないことが分かっ
た。これに対して、イオン電界強度が大きな金属酸化
物、具体的にはイオン電解強度が0.8以上の金属酸化
物を主成分とする焼結助剤系の窒化珪素焼結体は、過酷
な酸性環境下においても優れた耐酸性を示すことが分か
った。
【0022】本発明で用いるイオン電界強度が0.8以
上の金属酸化物としては特に限定するものではないが、
Al23、TiO2、Ta25、SiO2、ZrO2 を用
いたとき、特に優れた耐酸性が得られたことから、これ
らの金属酸化物を用いることが好ましい。また、これら
の金属酸化物は2種以上組み合わせて用いてもよい。ま
た、添加する際の形態は、酸化物の粉末の他に、焼成に
より酸化物となり得る各種の化合物を用いてもよい。
【0023】ここで、イオン電界強度0.8以上の代表
的な金属酸化物を表1に示す。また図1に各種金属酸化
物のイオン電界強度を示す。
【0024】
【表1】
【0025】続いて、ランタノイド酸化物を焼結助剤成
分として選んだ理由について説明する。希土類元素酸化
物は窒化珪素焼結体の緻密化に有効な添加物として一般
的に用いられるが、塩基性度が比較的高いため、耐酸性
の観点からは添加しないか添加量を少量に留めることが
好ましい。この点につき、本発明者らが検討したとこ
ろ、例えば希土類元素酸化物を添加せず、焼結助剤とし
てSiO2、TiO2、ZrO2を適宜組み合わせて添加
しただけでは、得られた窒化珪素焼結体の相対密度は概
ね50〜60%程度であり、緻密性に欠けていた。これ
に対して、希土類元素酸化物のうちランタノイド酸化物
を用いた場合、具体的には例えばYb23を組成物全体
の1重量%(焼結助剤の総重量に対する重量比では0.
2)用いたとき、得られた窒化珪素焼結体の相対密度が
約99%であり、十分な緻密性を有していた。なお、相
対密度は、アルキメデス法で測定した焼結体密度を理論
密度で除することにより求めた。但し、ここで用いた理
論密度は、窒化珪素及び各焼結助剤成分のそれぞれの密
度と添加量とから算出したものであり、各焼結助剤成分
同士もしくは窒化珪素との相間反応等は考慮していな
い。更に、上記のYb23に代えて、希土類元素酸化物
ではあるがランタノイド酸化物ではないY23を焼結助
剤として用いた場合は、十分な緻密性は有していたが、
酸による耐食試験ではYb23を添加した場合に比べて
2倍以上の重量減少及び大幅な硬度低下が認められた。
従って耐食性窒化珪素焼結体の焼結助剤としては、ラン
タノイド酸化物を用いることが有効である。
【0026】続いて、焼結助剤の総重量に対するランタ
ノイド酸化物の重量比が0.3以下とした理由は、過酷
な酸性環境下で耐食試験を行ったとき、この重量比が
0.3を超える場合には重量減少が大きくなるため本発
明の目的を達成できないが、0.3以下であれば重量減
少を小さく抑えることができ本発明の目的を達成できる
からである。また、ランタノイド酸化物の重量比が大き
くなるに従って耐酸性が低下する傾向にあることが確認
され、前記重量比は小さくする方が好ましいが、焼結体
を十分に緻密化できる程度の少量に留めるのが望まし
い。この場合、好ましい緻密化の度合いとして、焼結体
の相対密度を例えば98%以上とすることができる。
【0027】本発明で用いるランタノイド酸化物として
は特に限定するものではないが、Yb23、CeO2
Er23、La23及びPr611を上記重量比が0.
3以下となるように用いた場合には、いずれも少量で焼
結時の緻密性が十分に得られたうえ、特に優れた耐酸性
が得られたことから、これらのランタノイド酸化物を用
いることが好ましい。また、ランタノイド酸化物は2種
以上のものを組み合わせて用いてもよい。また、添加す
る際の形態は酸化物粉末の他に、焼成により酸化物とな
り得る各種の化合物を用いてもよい。
【0028】なお、酸化イットリウム等のように希土類
元素酸化物であってもランタノイド酸化物ではない焼結
助剤を用いた場合には、十分な焼結性(緻密性)が得ら
れるものの、焼結助剤の総重量に対する重量比が0.3
以下とした場合であってもランタノイド酸化物に比べる
と過酷な酸性環境下における耐酸性が劣るため、本発明
の目的を達成できない。
【0029】以上のような本発明に係る窒化珪素焼結体
は、例えばJIS R1614に規定される酸による耐
食試験の前後における重量減少を1.5g/m2 以下に
抑えることができるため、酸性環境下で長期使用される
ボールベアリングなどの部材として好適である。
【0030】前記重量比が0.2以下である場合には、
同重量減少を1.0g/m2 以下に抑えることができ、
一層耐酸性に優れるため好ましい。また、本発明に係る
窒化珪素焼結体は、例えばJIS R1614に規定さ
れる酸による耐食試験の前後におけるビッカース硬度
(HV30)の変化を50以内に抑えることができる。な
お、この硬度変化50以内というのは測定誤差の範囲内
とされるレベルのものであり、硬度に対する実質的な影
響はほとんどないと考えられる。
【0031】本発明において、窒化珪素焼結体全体に対
する焼結助剤の含有量は特に限定するものではないが、
焼結性(緻密性)や耐酸性などを考慮すれば、3〜15
重量%、特に5〜10重量%の範囲で設定することが好
ましい。以上詳述した本発明の窒化珪素焼結体によれ
ば、例えばJIS R1614に規定される過酷な酸性
環境下で耐食試験を行ったとしても、重量減少や硬度変
化を僅かに抑えることができるため、厳しい酸性環境下
での実使用に十分耐えることができるという効果が得ら
れる。このため、例えば、酸性環境下で使用されるボー
ルベアリングやメカニカルシールなどに好適に用いるこ
とができる。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の好適な実施例及び比較例に
ついて説明する。尚、本発明は、以下の実施例に何ら限
定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限
り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0033】[窒化珪素焼結体試料の作成方法]窒化珪
素粉末(比表面積10m2/g 、粒径0.6μm)と焼
結助剤を下記表2に示す各実施例1〜13、各比較例1
〜9の組成となるように所定量秤り取り、窒化珪素ボー
ル、窒化珪素ポットを用いて70rpmで40時間湿式
粉砕混合を行った。得られたスラリーを500メッシュ
の篩いを通し、夾雑物を取り除いた。溶媒を除去し粉末
を回収した後、60メッシュの篩いを用い、造粒粉を得
た。これを一軸加圧成形した後、2t/cm2 でCIP
(コールド・アイソスタティック・プレス、冷間静水圧
プレス)処理を行い、成形体を得た。
【0034】続いて、1800〜1900℃で4時間、
2 圧力10kg/cm2 で予備焼成を行い、次いで1
600℃で2時間、N2 圧力1000kg/cm2 でH
IP(ホット・アイソスタティック・プレス、熱間静水
圧プレス)処理を行った。得られた焼結体は200番ダ
イヤモンドホイールを用いて約4mm×8mm×20m
mに全面切削加工した。
【0035】各実施例1〜13、各比較例1〜9の焼成
後の相対密度を測定したところ、いずれも97%以上で
あり、良好な緻密性を示した。これらの窒化珪素焼結体
試料を、以下の耐食試験に供した。
【0036】
【表2】
【0037】[耐食試験(耐酸性試験)]耐食試験は、
JIS R1614 ファインセラミックスの酸及びア
ルカリ腐食試験方法に準じて行った。すなわち、還流管
を取り付けた1L三角フラスコに、純水及び特級硫酸か
ら調製した6N硫酸(3mol/L)500mlを入
れ、これをマントルヒータで加熱し、静かな沸騰状態と
した。そして、予め重量及び寸法を測定しておいた試料
を静かな沸騰状態となった硫酸溶液中に24時間浸漬し
た。
【0038】その後、試料を純水で十分に洗浄した。試
料乾燥後、秤量し、試験前後の重量変化を試料表面積で
除し、単位表面積あたりの重量変化(g/m2 )を求め
た。また、試験前の試料重量に対する試験前後の重量変
化の割合(wt%)を求めた。その結果を表3に示す。
尚、試料の秤量には感度0.01mgの精密化学天秤を
用いた。
【0039】ところで、酸による重量減少は試料の表面
積に依存するため、上記wt%の値では試料重量が大き
いほどwt%の値は小さく算出されてしまい、相対的な
比較が不正確になるおそれがある。これに対して、上記
g/m2 の値は相対的な比較が正確に行うことができる
ため好ましい。このため、酸による重量変化はg/m 2
の値を用いることとした。
【0040】また、上記JIS R1614の腐食試験
を行う前後でビッカース硬度を測定した。尚、押し込み
荷重は30kgで行った。その結果を同じく表3に示
す。
【0041】
【表3】
【0042】[耐食試験の結果]上記表3の実施例1〜
13、即ち、焼結助剤としてイオン電界強度(FS)が
0.8以上の金属酸化物Al23、TiO2、ZrO2
Ta23、SiO2 を主成分とし、少量のランタノイド
酸化物Yb23を含み、焼結助剤総重量に対するランタ
ノイド酸化物の重量比(以下、単に重量比ともいう)が
0.3以下、具体的には0.1〜0.3の場合には、酸
による重量減少が1.5g/m2 以下(1.33g/m
2 以下)であり、優れた耐酸性を示すことが分かった。
【0043】また、上記表3の実施例1〜4に示すよう
に、ビッカース硬度の変化量はいずれも±50以内であ
り、過酷な酸性環境下においても表面硬度がほとんど変
化しないことが分かった。なお、上記重量比が0.1以
下であっても同等の耐酸性が得られたが、この重量比が
ゼロつまりランタノイド酸化物の含有量がゼロの場合に
は、[課題を解決するための手段、発明の実施の形態及
び発明の効果]に記載したとおり、焼結時の緻密性に欠
ける(相対密度約60%)結果となったため、ランタノ
イド酸化物は必ず含まれている必要がある。
【0044】一方、上記表3の比較例1〜7に示すよう
に、前記重量比が0.3を超えた場合、具体的には0.
4、0.5の場合には、酸による重量減少は1.6g/
2以上であり、十分な耐酸性が得られなかった。この
場合、ビッカース硬度の変化量は±50を超えるものも
あった。
【0045】また、比較例8、9に示すように、ランタ
ノイド酸化物以外の金属酸化物としてイオン電界強度
(FS)が0.8未満の金属酸化物であるMgOを含む
場合では、重量比が0.2であっても酸による重量減少
が大きく(比較例8)、またその重量比が0.73のと
きには著しく大きくなった(比較例9)。
【0046】以上の実施例1〜13、比較例1〜9より
明らかなように、上記重量比が小さくなるに従って、つ
まりランタノイド酸化物の含有割合が低くなるに従っ
て、耐酸性が向上する傾向が見られた。また、ZrO2
とYb23 の比が一定であり、焼結助剤の総重量%が
異なる試料(実施例3、9、10)を比較すると、酸に
よる重量減少はすべて0.3g/m2 未満であり、いず
れの試料も優れた耐酸性を有していることがわかった。
これらのことより、焼結助剤の総重量に対するランタノ
イド酸化物の重量比が、窒化珪素焼結体の耐酸性に関し
て重要な要因になっていることが判明した。ここで、優
れた耐酸性を得るためには、重量比が0.3以下である
ことが必須であり、特に重量比が0.2以下であること
が酸による重量減少が1g/m2 以下となる点で好まし
いことが分かった。
【0047】なお、本実施例ではランタノイド酸化物と
してYb23のみを用いたが、前述の他のランタノイド
酸化物を用いた場合においても同様に優れた耐酸性を示
すことが確認された。また、比較例3に示すようにラン
タノイド酸化物の代わりにY23を用いた場合には、比
較例2及び比較例4〜7に示す種々のランタノイド酸化
物(Yb23、CeO2、Er23、La23及びPr6
11)を用いた場合に比べて、酸による重量減少の値
(g/m2 )が大きいうえ、ビッカース硬度の変化量も
著しく大きくなった。このことから、Y23を用いた場
合にはランタノイド酸化物を用いた場合に比べて耐酸性
が劣ることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各種金属酸化物のイオン電界強度を示す説明
図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結助剤として、 a)イオン電界強度が0.8以上の金属酸化物と、 b)ランタノイド酸化物とを含み、 c)イオン電界強度が0.8未満の金属酸化物(ランタ
    ノイド酸化物を除く)を含まない窒化珪素焼結体であっ
    て、 前記焼結助剤の総重量に対する前記ランタノイド酸化物
    の重量比が0.3以下であることを特徴とする窒化珪素
    焼結体。
  2. 【請求項2】 前記重量比が0.2以下であることを特
    徴とする請求項1記載の窒化珪素焼結体。
  3. 【請求項3】 前記a成分が、Ti、Al、Ta,Si
    及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属元素の
    酸化物であることを特徴とする請求項1又は2記載の窒
    化珪素焼結体。
  4. 【請求項4】 前記b成分が、Yb、Ce、Er、La
    及びPrからなる群より選ばれる1種以上のランタノイ
    ドの酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の窒化珪素焼結体。
  5. 【請求項5】 JIS R1614に規定される酸によ
    る耐食試験の前後における重量減少が1.5g/m2
    下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の窒化珪素焼結体。
  6. 【請求項6】 JIS R1614に規定される酸によ
    る耐食試験の前後におけるビッカース硬度(HV30)の
    変化が50以内であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の窒化珪素焼結体。
JP9106053A 1997-04-23 1997-04-23 窒化珪素焼結体 Pending JPH10297973A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002326875A (ja) * 2001-01-12 2002-11-12 Toshiba Corp 窒化けい素製耐摩耗性部材およびその製造方法

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JP2002326875A (ja) * 2001-01-12 2002-11-12 Toshiba Corp 窒化けい素製耐摩耗性部材およびその製造方法

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