JPH10296486A - 9%Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

9%Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤ

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JPH10296486A
JPH10296486A JP12786997A JP12786997A JPH10296486A JP H10296486 A JPH10296486 A JP H10296486A JP 12786997 A JP12786997 A JP 12786997A JP 12786997 A JP12786997 A JP 12786997A JP H10296486 A JPH10296486 A JP H10296486A
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flux
wire
cao
welding
tio2
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Tatsuo Enomoto
達夫 榎本
Manabu Mizumoto
学 水本
Satoyuki Miyake
聰之 三宅
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ni基合金製外皮のフラックス入りワイヤに
おいて、その溶接部が良好な耐高温割れ性や高強度・高
靱性を確保でき、スラグの被包性、スラグの剥離性等の
溶接作業性向上及び生産性向上を目的とする。 【構成】 Ni基合金製外皮内に、炭酸塩を含まないフ
ラックスを10〜30%充填し、フラックス成分の弗化
物、TiO2 、CaO、SiO2 、その他の金属酸化
物、金属粉末、CaO/TiO2 比、外皮及びフラック
スのMoをそれぞれ適量としたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はLNGタンク等、極
低温用圧力容器等の構造物に用いる9%Ni鋼のガスシ
ールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに係わり、さ
らに詳しくは80%Ar+20%CO2 の混合ガスを用
いたガスシールドアーク溶接において、その溶接部が耐
高温割れ性に優れると共に、高強度・高靱性が得られ、
下向及び水平すみ肉姿勢においてスラグの被包性やスラ
グの剥離性等の溶接作業性が良好で、品質が均一な9%
Ni鋼用フラックス入りワイヤとその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、9%Ni鋼のような極低温用鋼の
溶接においても、被覆アーク溶接棒等に比べて溶接作業
能率が良いインコネル系等のNi基合金系フラックス入
りワイヤが開発され、実用化されつつあるものの、耐高
温割れ性等に課題が残されており、実施工程では拘束が
比較的小さい箇所に採用されているのが現状である。
【0003】この種の既存ワイヤとしては、TiO2
フラックスの特開平6−198488号公報やフラック
ス中のTiO2 /(炭酸塩+弗化物)比等を制御した特
開平7−116891号公報があるものの、これら既存
ワイヤのフラックス組成では、良好な耐高温割れ性及び
極低温靱性が得られない。また、前記のようなNi基合
金を外皮とし、合金成分を多量に添加したフラックス入
りワイヤは、ワイヤを製造する際の成形や心線工程で外
皮が加工硬化し易いこともあって、溶接性能にムラのな
い均一な品質のワイヤを生産することが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、9%Ni鋼
の溶接に用いるNi基合金製外皮のフラックス入りワイ
ヤにおいて、その溶接部が良好な耐高温割れ性や高強度
・高靱性を確保でき、スラグの被包性、スラグの剥離性
等の溶接作業性向上及び生産性の向上を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記特開平6
−198488号公報や特開平7−116891号公報
に記載されているような既存のNi基合金フラックス入
りワイヤの課題である、9%Ni鋼の溶接における、耐
高温割れ性・強度・靱性等の溶接金属性能やスラグの被
包性とスラグの剥離性等の溶接作業性を向上させ、ワイ
ヤの生産性も向上させるため、主としてフラックスの成
分上から解決策を検討し、この検討結果によって得られ
た知見を基にしてなされたものである。
【0006】即ち、先ず、合金成分の検討結果では、フ
ラックス中からMoを適量添加すれば溶着金属の高強度
化が図れる反面、極低温の靱性は低下することが認めら
れた。このMo添加に伴う極低温の靱性低下を防ぐため
には、溶着金属の炭素量や酸素量を極力抑制する必要が
あり、そのためにはスラグ形成剤やシールドガス発生剤
として添加する炭酸塩や各種金属酸化物の含有量は、で
きる限り抑制することが望ましいとの結論を得た。
【0007】しかしながら、Moの適量添加や炭素源の
炭酸塩含有量の制限及び酸素源の各種金属酸化物含有量
を抑制する方法のみでは、溶着金属の高強度化や高靱性
化は達成できるものの、耐高温割れ性を十分満足させる
ことが困難であり、しかも、炭酸塩や各種金属酸化物添
加量の抑制はスラグの被包性やスラグの剥離性等の溶接
作業性を損なうことになるので、これら「高強度及び高
靱性化、耐高温割れ性向上、スラグの被包性やスラグの
剥離性等の溶接作業性確保」の諸問題を同時に解決し得
る新たなスラグ剤成分系を探索する必要にせまられた。
【0008】その結果、フラックス組成は「炭酸塩を含
ませなない」で、「金属弗化物、TiO2 、CaO、S
iO2 」をそれぞれ適量添加して、かつ「CaO/Ti
2比」も適正範囲に制御すると共に、外皮とフラック
ス中の「Mo添加量」も適正範囲に制御することによっ
て、前記課題は解決できるとの知見を見いだすに至っ
た。図1は外皮やフラックスから添加するMo量とフラ
ックス中のCaO/TiO2 比が及ぼす耐高温割れ性、
強度、靱性、ビード形状との関係を示したものであり、
本発明の成分探索で試作した各種フラックス入りワイヤ
の試験結果をまとめたものである。
【0009】次に、本発明によって見いだした前記組成
の、外皮とフラックスの組合わせからなるフラックスワ
イヤ製造する際に、フラックス全体を造粒して、粒径を
所定の適正範囲になるように制御すれば、ワイヤの品質
が均一で、安定した溶接諸性能を確保でき、またワイヤ
を製造する際の縮径工程において、外皮の温度が100
0〜1200℃になるような焼鈍を、ワイヤの減面率が
35〜65%の範囲内の時に実施することによって断線
等の心線トラブルを防止できることも確認した。ここで
いうワイヤの減面率とは、「ワイヤの減面率=縮径前の
ワイヤ断面積/縮径後のワイヤ断面積×100」を指
す。
【0010】本発明は、以上ような新たな知見を基にし
てなされてものであり、その要旨とするところは、[請
求項1] Ni基合金製外皮内に、炭酸塩を含まないフ
ラックスをワイヤ全重量に対して10〜30%充填し、
フラックス成分が、ワイヤ全重量に対して、金属弗化物
を2〜6%、TiO2 を0.5〜3%、CaOを0.2
〜1%、SiO2 を0.2〜1%、TiO2 とCaOと
SiO2 を除く金属酸化物を0.1〜0.8%、金属粉
末を0.2〜28%含有し、かつCaO/TiO2 比が
0.2〜0.8となるように規制し、外皮及びフラック
スの一方又は両方に含有するMoをワイヤ全重量に対し
て、10〜22%にすることを特徴とする9%Ni鋼溶
接用フラックス入りワイヤ。 [請求項2] フラックスの粒径の最大値が500μm
以下であって、かつ粒径が74μm未満のフラックスを
フラックス全重量の20%以下になるように造粒してフ
ラックスを充填することを特徴とする請求項1記載の9
%Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤ。 [請求項3] 伸線工程においてワイヤの減面率が35
〜65%時に、ワイヤ外皮温度が1000〜1200℃
となる焼鈍を実施することを特徴とする請求項1又は2
記載の9%Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤの製造方
法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の9%Ni鋼溶接用フラッ
クス入りワイヤにおける各種成分等の特定理由及び数値
限定理由を以下に説明する。先ず、Ni基合金製外皮は
例えば、組成がC:0.005〜0.05%、Si:
0.3%以下、Mn:0.2〜4.0%、P:0.01
0%以下、S:0.010%以下、Ni:60〜80
%、Cr:25%以下、Ti及びAlの一方又は両方の
合計:0.3〜0.8%、Nb及びTaの一方又は両方
の合計:5%以下、Mo:22%以下、W:5%以下、
Fe:5%以下、Co:5%以下、B:0.005%以
下、N:0.02%以下、残部は不可避不純物であるも
のを指し、この種の外皮に特定した理由は、本発明が目
標とする良好な耐高温割れ性と共に、極低温靱性・強度
等の溶接性能を得易くするためのものであるが、その他
に、ワイヤ製造時の加工硬化をできるだけ抑制し、良好
なワイヤ生産性を確保するためのものである。
【0012】次に、ワイヤ外皮内に充填するフラックス
中の炭酸塩は、ワイヤ製造工程の外皮の軟化を目的とす
る熱処理工程でCO2 を分解し、外皮やフラックス中の
Cと親和力の強い合金成分と結合して外皮やフラックス
を硬化させるため伸線性を劣化すせる。また溶接金属中
のC源となつて、延性や靱性を損なう。この延性や靱性
の劣化はMo含有量の高い溶接金属において得に顕著に
現れるので、不純物としてもたらされる微量な炭酸塩を
除き、意図的に添加することができない。
【0013】炭酸塩を含まないフラックスが10%未満
の場合、本発明が特定したスラグ形成剤及び金属粉末双
方の適正含有量を満たすことができず、このことからス
ラグの剥離性等の溶接作業性が不良となったり、耐高温
割れ性等の溶接金属性能が不良となったりする。一方、
ワイヤ外皮内に充填するフラックスが30%を超える場
合には、フラックスの充填量過多からワイヤ伸線時に断
線が発生し易くなったり、外皮に割れがでたりする。よ
って、炭酸塩を含まないフラックスの充填率は10〜3
0%とする。
【0014】フラックスに添加する金属弗化物はCaF
2 、BaF2 、MgF2 、AlF3、NaF、LiF、
2 ZrF6 、K2 SiF6 等がある。これらの合計量
を2%以上とすることによりスラグの被包性・剥離性が
良くなり、かつ溶接金属の酸素量を低くし、低温靱性が
高い溶接金属を得るためには不可欠な成分であるが、6
%を超えるとスラグの粘性が著しく低下し過ぎるため
に、ビード形状が著しく劣化する。よって、金属弗化物
は2〜6%とする。
【0015】TiO2 はルチール、チタンスラグ、ホワ
イトチタン、チタン酸カリ、チタン酸ソーダ、チタン酸
カルシウム、チタン酸バリウム等で添加できる。TiO
2 の合計量が0.5%以上にすると、表面張力の高いス
ラグ形成に寄与し、水平すみ肉や下向等のビード形状が
良好になるが、3%を超えると耐高温割れ性や低温靱性
等の溶接金属性能が損なわれる。よって、TiO2 は2
〜6%とする。
【0016】CaOは珪灰石やチタン酸カルシウム等の
各種酸化物との化合物から添加できる。その結果、スラ
グの流動性が良くなり、スラグの巻き込み等の欠陥が生
じにくくなるが、過量になるとビード形状が劣化するの
で0.2〜1%に規制する必要がある。
【0017】SiO2 は珪砂、カリ長石、珪酸ソーダや
珪酸カリ等の各種酸化物との化合物から添加できる。そ
の結果、スラグの剥離性やビード形状が良好となり、ビ
ード表面の光沢を増すのでビード外観も良好になる。ま
た、アーク直下のプール形状が安定するのでムラのない
形状が均一のビードが得られる。しかし、過量になると
溶接金属のSiが高くなり過ぎて耐高温割れ性が劣化す
るので0.2〜1%に規制する必要がある。
【0018】前記のTiO2 とCaOとSiO2 を除く
金属酸化物としはAl23 、BaO、MgO、Na2
O、K2 O、MnO、FeO、Fe23 等があり、こ
れらの金属酸化物をアーク状態、スラグの流動性、スラ
グの剥離性等の溶接作業性を調整する目的で0.1%以
上添加できるが、0.8%を超えるとスラグの流動状態
が不均一になり、ビード形状が劣化する。よって、Ti
2 、CaO、SiO2 を除く金属酸化物は0.1〜
0.8%になる。
【0019】金属粉末は、Mo、Ti、Zr、Al、M
n、Si、Fe、Cr、Mg、Nb、Ta、W、Co、
B、Ni、Ca等を機械的性質や耐高温割れ性等の溶着
金属諸性能確保を目的に合金剤や脱酸剤として添加で
き、またスラグ剥離性やビード形状等の溶接作業性向上
を目的に添加することもできる。これらの効果は金属粉
末の合計が0.2%以上で現れるが28%を超えるとフ
ラックスの充填率が過多となりワイヤ伸線時に断線が発
生し易くなったり、外皮に割れがでたりする。よつて、
金属粉末は0.2〜28%になる。
【0020】CaO/TiO2 比を0.2以上にする
と、スラグの流動性が良くなって、ビードはやや凸形に
なるものの、溶接金属の耐高温割れ性は向上する。しか
し、0.8を超えるとビードは凸形になり過ぎて、良好
なビード形状が得られなくなる。よつて、CaO/Ti
2 比は0.2〜0.8になる。
【0021】さらに、Moについてはフラックス及び外
皮の一方又は両方から添加でき、耐高温割れ性の向上や
高強度の確保に有効であるが、過多になると延性や靱性
が低下するので10〜22%に規制する必要がある。
【0022】前記組成のフラックスの粒径最大値が50
0μmを超えると、ワイヤ製造工程の伸線時に断線等の
トラブルが発生し易くなる。また、粒径が74μm未満
のフラックスがフラックス全重量の20%を超えると、
充填時のフラックス流動性が悪くなり、フラックス成分
の偏析やフラックス充填率のムラを生じて製品ワイヤの
均一な品質確保による安定した溶接諸性能を得ることが
困難になる。
【0023】またワイヤを製造する際の縮径工程におい
て、焼鈍の実施はワイヤ生産性向上及びコスト低減の観
点から好ましくないが、加工硬化による伸線トラブルを
防止する目的で、外皮の温度が1000〜1200℃に
なるような焼鈍を、ワイヤの減面率が35〜65%の範
囲内で実施する必要がある。
【0024】
【実施例】以下に実施例によって本発明の効果を具体的
に説明する。本発明のフラックス入りワイヤとは図2
(a)〜(d)に示すような断面形状のワイヤで、フー
プあるいはパイプからなる外皮1に充填フラックス2を
内包せしめ、同図(b)〜(d)のごとく継ぎ目を有す
るもの、あるいは同図(a)のごとく継ぎ目のないもの
でも良い。
【0025】表1に供試外皮の化学成分を示し、表2に
は供試鋼板の化学成分を示す。また表3ないし表5に供
試外皮と充填フラックスの組み合わせによるフラックス
入りワイヤの組成を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】溶接試験は下向及び水平すみ肉溶接を行っ
た。条件はワイヤ径:1.2mm、シールドガス:80
%Ar+20%CO2 (流量:25リットル/mi
n)、溶接電流:200A(DC電極+)、溶接電圧:
27〜30V、溶接速度:25〜40cm/minで図
3及び図4の試験板を用いて実施した。
【0032】高温割れ試験は、図3のT字継手の試験板
を用いて、その両側を水平すみ肉溶接し、1st側を拘
束ビード、2nd側を試験ビードとし、2nd側の試験
ビードを対象に、クレータを除くビード表面及び表面か
ら1mm下と2mm下をグラインダーで順次研削した
後、浸透探傷試験により割れの有無を調べた。図3にお
いて、iは母材、tは板厚で12mmである。
【0033】溶接作業性試験は、図3のT字継手の試験
板を用いた水平すみ肉溶接及び図4の突合わせ継手を用
いた下向溶接で実施した。図3、図4のiは母材、tは
板厚で12mm、gはルート間隔で6mm、θは開先角
度で45゜である。溶着金属の引張試験片は、図4の試
験板に下向溶接した後、図5の要領でJIS Z311
1 A2号を採取した。また衝撃試験片は、図6の要領
でJIS Z31114号を採取した。溶着金属の分析
試料は図5、6の溶着金属Wから採取した。
【0034】なお、ワイヤは表1に示す化学成分のパイ
プ及びフープを外皮材とし、外径2.6〜9mm、肉厚
0.8〜1.4mmの管内部にフラックスを所定量充填
してから、1.2mmの製品径に至る伸線工程の途中
で、ワイヤの減面率が35〜65%の範囲内の時に加工
硬化した外皮の軟化させるために焼鈍(1100℃×1
〜4回)した。
【0035】試験結果を示す表6及び表8のフラックス
入りワイヤ記号W1〜W6は本発明であり、W7〜W1
8は比較例である。
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】比較例W7はフラックス中に炭酸塩を添加
しているため、伸線工程の途中で断線が頻繁に発生して
ワイヤ製造不能のため、溶接諸性能試験が実施できなか
った。W8はフラックスの充填率が低すぎるため、金属
弗化物、TiO2 のスラグ形成剤含有量が不足して、ス
ラグの被包性が悪く、Mo含有量も不足しているため高
温割れが発生した。
【0040】W9は金属粉末含有量が多く、フラックス
の充填率が高すぎるため、伸線工程の途中で断線や外皮
の割れが多発したため、1.2mmの製品径に仕上げら
れず、溶接諸性能試験を実施できなかった。W10は金
属弗化物含有量が多すぎるため、スパッタが多発した。
W11はTiO2 含有量が多すぎて、CaO含有量が少
なく、かつ、CaO/TiO2 比が0.2未満のため高
温割れが発生した。
【0041】W12はCaO含有量が多すぎて、しかも
CaO/TiO2 比が0.8を超えているため凸ビード
となり、ビード形状が不良であった。W13はSiO2
含有量が少なすぎるためスラグの剥離性が不良であっ
た。W14はSiO2 含有量が多すぎるために高温割れ
が発生した。W15はTiO2 、CaO、SiO2 を除
く金属酸化物含有量が少なすぎるために、アーク状態が
不安定になった。
【0042】W16はTiO2 、CaO、SiO2 を除
く金属酸化物含有量が多すぎて、金属粉末含有量が少な
すぎるため、溶着金属の延性や靱性の機械的性質が劣化
した。W17は粒径が500μm以上のフラックスが含
まれているため伸線工程の途中で断線が発生した。W1
8は粒径が74μm未満のフラックスがフラックス全重
量の20%を超えているため溶接作業性にムラがあっ
た。
【0043】これに対して本発明のW1〜W6はワイヤ
伸線時の断線がなく、溶接諸性能も良好であった。な
お、表6ないし表8の溶接作業性評価記号は、良好:
○、不良:×、*:試験できず、を意味する。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明の9%Ni鋼用フラ
ックス入りワイヤは、本発明の構成要件を満たすことに
より、ワイヤの生産性向上やスラグ被包性や剥離性等溶
接作業性向上と共に、強度、靱性、耐高温割れ性等溶接
金属性能の向上も可能としたものである。本発明によ
り、9%Ni鋼の溶接において作業能率向上と溶接部の
品質向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワイヤ中のMo量及びフラツクスのCaO/T
iO2 比と高温割れの関係を示す図。
【図2】(a)、(b)、(c)、(d)はフラックス
入りワイヤの各種断面形状を示す模式図
【図3】実施例で用いたT字継手の試験板形状模式図
【図4】実施例で用いた突合わせ継手の試験板形状模式
【図5】実施例で用いた引張試験片採取位置を示す模式
【図6】実施例で用いた衝撃試験片採取位置を示す模式
【符号の説明】
1 外皮 2 フラックス i 母材 t 板厚 g ルート間隔 θ 開先角度

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni基合金製外皮内に、炭酸塩を含まな
    いフラックスをワイヤ全重量に対して10〜30%充填
    し、フラックス成分が、ワイヤ全重量に対して、金属弗
    化物を2〜6%、TiO2 を0.5〜3%、CaOを
    0.2〜1%、SiO2 を0.2〜1%、TiO2 とC
    aOとSiO2 を除く金属酸化物を0.1〜0.8%、
    金属粉末を0.2〜28%含有し、かつCaO/TiO
    2 比が0.2〜0.8となるように規制し、外皮及びフ
    ラックスの一方又は両方に含有するMoをワイヤ全重量
    に対して、10〜22%にすることを特徴とする9%N
    i鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 フラックスの粒径の最大値が500μm
    以下であって、かつ粒径が74μm未満のフラックスを
    フラックス全重量の20%以下になるように造粒してフ
    ラックスを充填することを特徴とする請求項1記載の9
    %Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 伸線工程においてワイヤの減面率が35
    〜65%時に、ワイヤ外皮温度が1000〜1200℃
    となる焼鈍を実施することを特徴とする請求項1又は2
    記載の9%Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤの製造方
    法。
JP12786997A 1997-05-02 1997-05-02 9%Ni鋼溶接用フラックス入りワイヤ Withdrawn JPH10296486A (ja)

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