JPH10295264A - 冷凍用青果物及びこれを含む冷凍食品 - Google Patents

冷凍用青果物及びこれを含む冷凍食品

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JPH10295264A
JPH10295264A JP10589897A JP10589897A JPH10295264A JP H10295264 A JPH10295264 A JP H10295264A JP 10589897 A JP10589897 A JP 10589897A JP 10589897 A JP10589897 A JP 10589897A JP H10295264 A JPH10295264 A JP H10295264A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷凍解凍後も未冷凍青果物に近い品質を維持
する青果物に関するものである。 【解決手段】 青果物にエリスリトールを0.5重量%
以上含浸させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍解凍後も未冷
凍青果物に近い品質を維持する青果物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】冷凍食品は、消費者及び製造者両方の立
場でメリットのあるものとして、加工食品のなかでもま
すます重要な位置を占めている。消費者側からすれば、
長期間の保存が可能で、必要なときに簡単に調理できる
という利便性があり、製造者側からすれば、原料の収穫
期に合わせた一次あるいは最終製品の加工が可能で、製
造計画およびコスト面での安定性が確保できる。
【0003】これに対し、製造者は配合面及び工程面に
おいて様々な技術を駆使し、冷凍に耐えうる食品に改良
を進めてきた。例えば、リン酸架橋デンプンは冷凍耐性
のあるデンプンとして用いられ、製品を急速に冷凍し、
氷結晶の生長を極力抑えることなどは良く知られている
ことである。しかし、大部分の青果物に関しては、冷凍
変性の問題が克服されていないというのは製造者、消費
者共通の認識で、そのニーズに甘んじてやむを得ず製
造、消費しているのが現状である。例えば、多くの冷凍
解凍した人参は大量のドリップが生じ、食感は歯ごたえ
が全くなく、すじっぽいものとなってしまう。これは、
人参組織を構成している細胞壁が、細胞内の水分から氷
への体積増加に伴い破壊され、組織全体が崩れてしまう
ことが大きな要因となっている。
【0004】上記事実を解決するために、次のようない
くつかの技術が既に知られているが、それらの方法は以
下のような問題点も抱えている。 (1)冷凍前に野菜に減圧、遠心、温風処理などを施
し、脱水することにより、凍結過程で細胞中の体積が増
加しても細胞が壊れにくい様にする方法がある(特公平
08−089854号公報他)。しかし、処理量が大き
くなるとバッチ、野菜片によりバラツキが生じ、脱水率
が低い場合は冷凍耐性効果がなく、脱水率が高い場合は
吸水後も復元性が悪く、漬物様の食感になる。 (2)短時間油で揚げる(ブランチングする)ことによ
り、表面を脱水し、油脂の被膜を作り、内部からの水分
流失を抑える方法が知られている(特開昭59−118
039号公報他)。実際、冷凍ナスでは色調の維持にも
効果があり実用化されている。しかし、人参など有効油
溶性成分の多い野菜では、ブランチング中にβ−カロチ
ンが流失するためやや萎縮し、乱切りなど厚くカットす
るもの関しては、被膜で物理的な水分の流出は軽減され
ても、中心部での水分体積増加による細胞壁破壊は避け
られず、種類・カット形状による制約もある。 (3)カルシウム塩を含む水溶液で浸漬処理することに
より、組織を強化する方法は特開昭60−237957
号公報、特開平3−285651号公報に記載の方法な
どが挙げられるが、これらは冷凍野菜を対象にした物で
ない。
【0005】また、冷凍野菜を対象にした特開平8−1
40570号公報では、野菜類を高温で処理する第1工
程、カルシウムを含む水溶液中で加熱処理する第2工程
を必須とし、必要に応じて、さらに再度高温処理する第
3工程を行う方法をとっている。この特許では、丸のま
まあるいは大まかにカットされた野菜を対象にし、長時
間加熱やレトルト加熱で軟化・煮崩れしないことをに主
旨を置いているが、カルシウムのみを使用する方法で
は、硬さは維持できても、噛んだ時のドリップが多く、
スジっぽい食感となる。また、細切りカット野菜や、薄
い葉物野菜では、処理工程で軟化が起きてしまう。 (4)冷凍前に青果物を多価アルコール、糖類、アミノ
酸、乳化剤または食塩など浸透性置換剤の溶液に浸漬
し、野菜の水分をこれらの置換剤に5〜15(重量)%
脱水置換して熱処理にてブランチングした後冷凍する方
法(特開昭49−093558号公報)に代表される技
術がある。細胞内の水分を脱水置換することにより、細
胞内水分の体積増加を少なくし、凍結中細胞内での氷結
晶の肥大化を抑え細胞が壊れにくい様にする。確かに、
それなりの効果は認められ、実用化もされている冷凍耐
性技術である。
【0006】しかし、置換剤として主な糖を使用した場
合、次のような問題がある。例えば、単糖類で主要なブ
ドウ糖、果糖は比較的甘味度が高い上に、甘味を後に強
く感じる傾向があるため、使用濃度がかなり制限され
る。二糖類であるショ糖やそれ以上の分子量を有するオ
リゴ糖では、カット形状が厚い青果物や、レンコン、タ
ケノコなど非常に硬い野菜においては、効果を付与しう
るまで浸漬時間を長く要し、半日〜数日のオーダーにな
る。
【0007】また、糖処理液の濃度を高くすれば浸漬時
間は多少短くはなるが、青果物に付着しただけで、青果
物の中に取り込まれていない糖液は非常に甘い。そのた
め、遠心脱水などの強度の水切り工程、あるいは水洗工
程を行わないと、最終食品への甘味に影響を残してしま
う。あえて、前述の工程を1つ増やすと、いずれの工程
においてもせっかく置換した糖分の一部が再び溶出して
しまう効率の悪い工程になってしまう。ラインスケール
での時間管理もシビアになり、時間を超過すると過脱水
状態になり、復元性が悪く、漬け物様の硬いが歯切れの
悪い食感を残し、最終製品への味覚的な影響も無視でき
なくなる。
【0008】つまり、これまで利用されてきた糖類は、
実験スケールではそれなりのレベルの冷凍耐性青果物を
試作できるが、実製造での効率性、様々な形状・物性の
青果物への応用性を考慮した場合、必ずしも最良の糖と
はいえない。より実製造の事情に適した糖の選択が必要
とされてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡易的・効
率的な工程で、大部分の青果物、カット形状に処理効果
が付与でき、味にも影響しにくい冷凍耐性青果物および
それを含む冷凍食品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前期課題
を解決するため、多種の糖類で検討を進めた結果、青果
物をエリスリトールの溶液に浸漬し、水分と置換するこ
とが他の糖類の浸透性置換剤に比し、有意に優れている
ことを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明
は、エリスリトールを含有する冷凍用青果物である。
【0011】本発明が適用可能な青果物は、ニンジン、
大根、ゴボウ、タケノコなどの根菜類、キャベツ、白菜
などの葉菜類、その他玉ねぎなどあらゆる野菜に適用可
能で、リンゴ、黄桃、洋なしなどの果物でも適用可能で
ある。エリスリトールは、保水性に優れた糖アルコール
の一種で、炭素数4で分子量122の低分子の糖であ
る。非常に低分子であるため、ショ糖、ブドウ糖などに
比べ、同じ濃度での浸透圧が高く、厚切り青果物の中心
部へも浸透しやすい性質を持つ。また、甘味度はショ糖
100に対し65〜75と言われているが、甘味が後に
残らない感じ方であるため、同じ甘味度を持つ他の糖よ
り不快な甘味を残さず、あらゆる食品の糖と非常に置き
換えやすい。例えば以前から、吸熱性があるため非常に
さわやかな冷涼感を与えるキャンディーに、最近では、
ノンカロリーでほんのりした甘さを呈する低甘味紅茶飲
料に使用されている実績がある。また、エリスリトール
pHや熱にも非常に安定であるため、加工処理した青果
物を様々な工程の食品原料として用いても分解・変性は
起きにくく、その効果は残存しやすい。
【0012】青果物に含まれるエリスリトールの濃度
は、処理する青果物の種類、部位、また、最終利用食品
の製造工程、配合などに応じて適宜調整するため、一般
的に限定することは難しいが次の通りである。例えば、
キャベツなどの葉物類では、好ましくはエリスリトール
が0.5〜15重量%、さらに好ましくは0.8〜10
重量%、最も好ましくは1.0〜5.0重量%である。
エリスリトールが0.5重量%も含まれれば、未処理の
葉物類に比べ冷凍耐性効果の差を感じることができる。
一方、15%を超えるような高糖濃度でも冷凍耐性の効
果は表れるが、官能的には(他の糖を用いても生じるこ
とであるが)必要以上の甘さが出てしまい、漬け物用の
歯切れを感じる場合も出てくる。
【0013】ニンジンなどの根菜類では、含まれるエリ
スリトールの濃度は、好ましくは0.5〜20重量%、
さらに好ましくは1.0〜15重量%、最も好ましくは
1.5〜10重量%である。また、リンゴなどの果物類
では、元来持つブドウ糖、果糖などの糖類との複合的な
味覚・効果への影響もあるが、野菜類よりは多く含まれ
ても良く、好ましくはエリスリトールが0.5〜35重
量%、さらに好ましくは1.0〜25重量%、最も好ま
しくは2.0〜15重量%である。
【0014】以下、本発明の青果物について説明する。
エリスリトールを青果物に含浸させる方法は、公知の方
法を適宜選択することが可能である。例えば、エリス
リトールを添加した水溶液で、ブランチングしながら含
浸させる方法、ブランチング後、エリスリトールの水
溶液に浸漬し含浸させる方法、生でエリスリトールの
水溶液に浸漬し、必要に応じてお湯または同じ組成の水
溶液でブランチングする方法、ブランチング後、直接
エリスリトールをまぶし浸み込ませる方法、などがあげ
られる。中でも、最も簡易的な工程であるが好まし
い。
【0015】青果物に含浸させるエリスリトール水溶液
の濃度は、青果物の種類、青果物と浸漬水溶液の重量比
率、浸漬液の温度などにもよるが、好ましくは1.0〜
35重量%、さらに好ましくは5.0〜25重量%、最
も好ましくは、10〜20重量%である。エリスリトー
ル液濃度が高くなる程、浸透圧が増すため、含浸作用は
早く、浸漬時間は短くなる傾向にあるが、35重量%を
超えるようなエリスリトール濃度は、常温では溶解に時
間がかかったり、完全に溶解しない、あるいは浸漬中に
一部結晶化するなどの問題が生じる可能性があるので、
適宜加減する。また、含浸せず青果物表面に付着してい
る液が、食品に混合され甘味を与えること、およびエリ
スリトールは分子量が小さく浸透性に優れていることな
どから、むやみに高濃度の液を作る必要はない。
【0016】エリスリトールの含浸によって、解冷凍後
の破断強度が未処理品の70%以上保持されたものとな
る。また、必要に応じて食用可能なカルシウム塩類と併
用してもよい。エリスリトールにカルシウム塩類を併用
することにより、青果物がもつペクチン質とカルシウム
が架橋構造を形成することで、食品製造中の加熱等によ
る軟化を起こしにくくする効果があり、ペクチン質を比
較的多く含む、リンゴ、ニンジンなどでは特に有効であ
る。カルシウム塩は、水への溶解のしやすさ、味への影
響の少なさから乳酸カルシウムが最も好ましい。また、
使用量は、青果物のペクチン含有量や処理時間にもよる
が、乳酸カルシウムベースで0.1〜2.0重量%程度
が好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、実施例及び比較例によって
本発明をさらに詳細に説明する。なお、これらの実施例
は本発明を限定するものではない。
【0018】
【実施例1】エリスリトール浸漬処理した冷凍ニンジン
の物性・評価ニンジンを3mmのイチョウ切りにカット
し、生のまま200gを1000gの表1に示すエリス
リトール水溶液に浸漬した。12時間後、同じ組成の各
溶液で4分間ブランチングを行い、直ちに1分間氷冷し
た。各処理区のサンプルは、ビニール小袋に約100g
ずつ脱気しながらパックし、いずれも−40℃の急速冷
凍機で1時間凍結させた後、−18℃の冷凍庫で2日保
存した。
【0019】2日後、冷凍品はパックごと15℃の流水
中で解凍し、25℃に調温された測定室に移し、品温が
一致したところで、各サンプルの平均破断強度を山電
(株)製のレオメーターRE−33005システムで測
定した。すなわち、くさび形のプランジャーで野菜片を
測定速度1mm/秒で破断し、そのときかかっていた強
度と歪率(=全体の厚みを100としたときにプランジ
ャーがくい込んでいた割合)を測定し、各5枚の平均を
算出した。また、ニンジンを16人のパネラーに試食し
て官能評価も行い、未冷凍の完全品と比較し5段階で表
現し、平均値を算出した。
【0020】さらに、処理後のニンジンに含まれるエリ
スリトールをはじめとする糖の濃度を高速液体クロマト
グラフィーで分析した。示唆屈折法を用い、カラムは昭
和電工(株)製SC−1211で80℃に加温し、移動
相はイオン交換水を用い、流速1.0ml/分の条件で
行った。分析サンプルの調製は、野菜を40〜50g計
り取り、野菜重量の9倍のイオン交換水を加え、ミキサ
ーで付着物かき落としながら、合計1分間破砕した。1
時間静置後、破砕液を遠心管にとり、10000rpm
で10分間遠心分離を行い、上清を孔径0.45マイク
ロメートルのメンブランフィルターでろ過した。これら
の結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】エリスリトールが含まれているニンジン
は、含まれるエリスリトールの濃度が約0.8%で歯切
れは少し弱くなるが、いずれも十分賞味できる品質であ
った。
【0023】
【比較例1】実施例1と同じロットのニンジンを用い、
約90℃に保ちお湯で4分間ブランチングを行ったのみ
のニンジンの測定・官能評価を行った。エリスリトール
水溶液で浸漬処理を行わなかった以外は、すべて実施例
1と同じ方法であった。その結果を表1に示す。エリス
リトール水溶液で浸漬処理を行わなかった、未処理区の
ニンジンは、多量のドリップが生じ、軟化し、歯切れも
悪く、ひどい状態であった。
【0024】
【実施例2】実施例1と同じロットのニンジンを用い、
エリスリトールと乳酸カルシウムの水溶液に浸漬処理し
たニンジンの測定・官能評価を行った。水溶液の組成以
外は、すべて実施例1と同じ方法であった。その結果を
表2に示す。エリスリトールと乳酸カルシウムの水溶液
で浸漬処理を行なったニンジンは、ドリップもほとんど
なく、しっかりした歯ごたえを維持し、十分賞味できる
品質であった。
【0025】
【表2】
【0026】
【比較例2】実施例1と同じロットのニンジンを用い、
ソルビトールの水溶液に浸漬処理したニンジンの測定・
官能評価を行った。水溶液の組成以外は、すべて実施例
1と同じ方法であった。その結果を表3に示す。ソルビ
トールの水溶液で浸漬処理を行なったニンジンは、ドリ
ップが多く、柔らかく、歯切れが悪い品質であった。
【0027】
【表3】
【0028】
【比較例3】実施例1と同じロットのニンジンを用い、
ソルビトールと乳酸カルシウムの水溶液に浸漬処理した
ニンジンの測定・官能評価を行った。水溶液の組成以外
は、すべて実施例1と同じ方法であった。その結果を表
4に示す。ソルビトールと乳酸カルシウムの水溶液で浸
漬処理を行なったニンジンは、ドリップが多く、柔らか
く、歯切れが悪い品質であった。ソルビトール10%添
加区でようやくまずまずの品質を維持できが、エリスリ
トール使用区にはまだ劣っていた。
【0029】
【表4】
【0030】
【実施例3】エリスリトール浸漬処理した冷凍玉ねぎの
物性・評価玉ねぎを5mm幅の千切りにカットし、実施
例1のニンジンと同じ方法で2日後の保存状態を比較し
た。ただし、玉ねぎのブランチング時間は1分とし、エ
リスリトール浸漬区はすべて乳酸カルシウムも1重量%
併用した。破断強度の測定は、実施例1と同じくさび型
のプランジャーであるが、測定速度は5mm/秒で行っ
た。結果を表5に示した。エリスリトールと乳酸カルシ
ウム水溶液に浸漬処理した玉ねぎは比較的高い破断強度
を維持し、歯切れを感じる良好な食感であった。特に、
エリスリトール5%と乳酸カルシウム1%浸漬区は未冷
凍の完全品と比較しても差のない品質であった。
【0031】
【表5】
【0032】
【比較例4】実施例3と同じロットを用い、実施例1の
ニンジンと同じ方法でソルビトールと乳酸カルシウムの
水溶液に浸漬処理、またお湯でブランチングを行っただ
けの玉ねぎの測定・官能評価を行った。水溶液の組成以
外は、すべて実施例1と同じ方法であった。その結果を
表5及び表6に示す。ソルビトールと乳酸カルシウムの
水溶液で浸漬処理を行なった玉ねぎは、ドリップが多
く、柔らかく、歯切れが悪い品質であった。同様に、糖
の浸漬処理を行わない未処理区の玉ねぎも、歯ごたえが
かなり弱く、ドリップも多く、好ましい品質ではなかっ
た。ソルビトール10重量%区は糖濃度が高すぎる為
か、5重量%区よりかえって強度が低下し、より好まし
くない食感になった。これまでは、冷凍青果物原料の加
工について、実施例、比較例を記載してきたが、以下
は、エリスリトールを含んだ青果物を用いた冷凍食品に
関する実施例、比較例を記載する。なお、これらの例も
本発明を限定するものではない。
【0033】
【表6】
【0034】
【実施例4】エリスリトールを含浸させた冷凍ふろふき
用ダイコンの品質評価 青首ダイコンをかつらむきにし、2cmの輪切りにし
た。この材料700gを5重量%エリスリトール、1重
量%乳酸カルシウムの水溶液に12時間浸漬した。液切
り後、3000ccのだし汁と共に弱火で1時間煮込み
続けた。煮上がったダイコンを3個ずつ脱気パックし
て、−40℃の急速冷凍1時間後、−18℃の冷凍庫で
3日保存した。パックごと75℃で10分間ボイルし、
再加熱したダイコンを室温に冷ました。16人で官能評
価を行い、歯ごたえ、歯切れ、ドリップの少なさを各5
段階で評価し、平均を算出した。また、ダイコン各2枚
を直径8mmのプランジャーで破断し、破断強度、歪み
率を分析した。また、ダイコン中に含まれるエリスリト
ール濃度を液体クロマトグラフィーで分析した。その結
果を、表7に示した。エリスリトールを平均で約0.9
%含むダイコンは、非常にしっかりした歯ごたえで、歯
切れも良く、噛む時のドリップも少なかった。
【0035】
【比較例5】普通に調理した冷凍ふろふき用ダイコンの
品質評価 実施例4と同じダイコンを用い、エリスリトール浸漬処
理行わずに、実施例4と同じ方法でダイコンを煮込み、
保存し、官能評価・測定を行った。結果を表7に示し
た。エリスリトール含浸させたダイコンに比べ、食感が
弱く、特にドリップが非常に多い好ましくない品質であ
った。
【0036】
【表7】
【0037】
【実施例5】エリスリトール短時間含浸処理キャベツを
用いた冷凍生餃子の製造例 キャベツをサイレントカッターにて平均5mm角のみじ
ん切りにし、約90℃のお湯で1分間ブランチング後、
エリスリトール30重量%、乳酸カルシウム1重量%を
含む処理液に3分浸漬した。取り出した後、浸漬前のキ
ャベツ重量から30%減量されるまで、穏やかに水切
り、脱水を行い処理原料とした。
【0038】生餃子の配合は、よりキャベツの野菜感が
はっきりする様にキャベツ(3〜5mm角みじん切り)
70.3%、植蛋6.5%を主原料とし、肉類無添加
で、調味料と混ぜ合わせ具材を作った。具材15gを、
市販の餃子の皮6gで包み、緩慢凍結した。さらに、−
18℃の冷凍庫で3日保存した後、冷凍のまま、電気式
の餃子焼き機で200℃12分蒸し焼きにした。キャベ
ツ中の糖濃度は、調理前の餃子を5℃で解凍し、具材を
取り出し、キャベツのみを集めて、実施例1と同じのサ
ンプル処理、分析を行った。結果を表8に示した。エリ
スリトールで処理したキャベツを用いた餃子は、野菜感
がよく残って、良好であった。
【0039】
【表8】
【0040】
【比較例6】実施例5と同じロットのキャベツを用い、
同じ方法で生餃子を製造、保存し、評価を行った。ただ
し、キャベツの浸漬糖は同じ糖アルコールのソルビトー
ルを用い、さらにブランチングのみで糖含浸を行わない
未処理区も作製した。結果を表8に示した。ソルビトー
ルと乳酸カルシウムに浸漬したキャベツを用いた餃子
は、水っぽく、野菜の食感が低下していた。糖未処理区
は、全く野菜の存在感がなく、さらにおいしくなかっ
た。キャベツ中に添加糖の濃度。また、キャベツ中糖濃
度は、ソルビトールよりエリスリトールの方が1.4%
高く、分子量の小さいエリスリトールの方が、浸透性が
優れていることが示された。
【0041】
【実施例6・比較例7】エリスリトール含浸処理キャベ
ツを用いた冷凍蒸し餃子の製造例 実施例5と同じ方法でみじん切りにしたキャベツを約9
0℃で1分間ブランチングし、短時間水冷し、水切りし
た後、5重量%または10重量%のエリスリトールと1
重量%の乳酸カルシウム液に1時間浸漬したキャベツを
用いた。
【0042】餃子の具材は、キャベツ39.0%、ニラ
10.0%、豚肉・鳥すり身・豚脂各10.0%を主原
料とし作製した。具材15gを市販の餃子の皮6gで包
み、6分間蒸した後、1時間−40℃で急速冷凍し密封
パックして、4日及び2週間保存した。評価は冷凍のま
ま、電気式の餃子焼き機で200℃7分蒸し焼きにし
た。16人のパネラーに、キャベツ糖未処理(ブランチ
ングのみ)の餃子に比べ、差がないか、いずれかが有意
に優れているか2点比較法で判断してもらった。キャベ
ツ中糖濃度は、実施例5と同じ方法で処理、分析した。
その結果を表9に示した。いずれのエリスリトール濃度
でも、冷凍4日後は16人中11人以上、冷凍2週後で
は14人以上がエリスリトール処理餃子はキャベツの存
在感がはっきりしており、優れていると判断した(5%
で有意差有り)。冷凍2週後の方が差がはっきりしたの
は、2週間経過して未処理区がさらに劣化し、品質の差
がさらに広がった為である。
【0043】
【表9】
【0044】
【実施例7】エリスリトールを含浸させた冷凍筑前煮の
製造例 とりムネ肉13%、コンニャク13%、ニンジン(5m
m厚イチョウ切り)17.4%、ゴボウ(10mm厚輪
切り)17.4%、レンコン(10mm厚イチョウ切
り)17.4%、しいたけ2%、カツオ風だし0.4
%、砂糖3.3%、薄口醤油6.2、日本酒1.6%、
みりん4.8%、水3.5%の配合で製造する(配合は
すべて加工中のロスを含まない)。
【0045】上記材料のうち、ニンジン、レンコン、ゴ
ボウの3野菜について以下に記載する冷凍耐性処理を行
った。なお、処理液の配合はいずれもエリスリトール3
0重量%、乳酸カルシウム1.0重量%の水溶液で、エ
リスリトールが溶けきるように、40℃前後まで加熱し
溶解しておいた。ブランチングは処理法に関わらず90
℃で、ゴボウ15分、レンコン10分、ニンジン5分と
した。 (1)ブランチング時浸漬処理:必要サイズにカットし
たそれぞれの野菜を浸漬処理液と同じ液を用いてブラン
チングした。その後、水中で1分間冷却し、水を切り、
筑前煮の材料として用いた。 (2)ブランチング後浸漬処理:必要サイズにカットし
たそれぞれの野菜をお湯をでブランチングした。その
後、水中で1分間冷却し水をきり、処理液に5時間浸漬
させた後、液をよくきり、筑前煮の材料として用いた。
【0046】材料は所定の時間ブランチング処理を行
い、予め混合し80℃に加熱しておいた調味料と混ぜ合
わせ、蓋をし20分間80℃で煮込んだ。200gずつ
袋にパックし、十分な水冷後、−40℃1時間の急速冷
凍を行ない、−18℃の冷凍庫で保存した。冷凍2日後
に、各区をパックごと流水解凍し、16人のパネラーに
実際の食感を評価してもらった。また、ゴボウ、レンコ
ン、ニンジンの破断強度を測定した。ニンジンは、実施
例1と同じ方法で測定し、ゴボウとレンコンはニンジン
に比べ破断しにくい為、カッター刃の反対側で破断し、
測定速度は5mm/秒に変更した。その結果を表10に
まとめた。ニンジンをプランジャーで破断した時の波形
の一例を図1に示した。いずれの方法でエリスリトール
の含浸を行っても、ゴボウ、レンコン、ニンジンはしっ
かりした食感を維持し、軟化やドリップの少ない良好な
品質であった。
【0047】
【表10】
【0048】
【比較例8】実施例7と同じロットのゴボウ、レンコ
ン、ニンジンを用い、お湯を用いて90℃でブランチン
グのみを行った。水中で1分間冷却し、水を切り、実施
例7と同じ方法で筑前煮を作製した。その結果を表10
及び図1にまとめた。レンコン、ニンジンはいずれも軟
化し、水っぽい食感になった。また、ゴボウは、特に軟
化がひどく麩のような食感となった。比較的差の少なか
ったニンジンに於いても、波形の高さ・パターンは、処
理の有無で、図1の様に明らかに異っていた。波形上×
印の破断点の位置は未処理品の方が後ろにあり、歯切れ
の悪い事を示した。
【0049】
【実施例8】各濃度のエリスリトール含浸野菜を含む冷
凍筑前煮の製造例 ゴボウ、レンコン、ニンジンを実施例7と同じ方法でカ
ットし、普通のお湯を用いて90℃でブランチングし
た。その後、水中で1分間冷却し、水をきり、5倍重量
の溶液に12時間浸漬した。浸漬液はエリスリトール濃
度を6段階(1.2、3.6、6.0、12.0、2
4.0、36.0重量%)変更し、乳酸カルシウムは
1.0重量%一定とした。液をよくきり、実施例7と同
じ手順で筑前煮を作製した。野菜中のエリスリトール濃
度の分析は、それぞれ筑前煮から分けて取り出し、実施
例1と同じ方法で分析した。その結果を表11に示し
た。後に示す比較例9の未処理区の野菜に比べ、エリス
リトール濃度が、ゴボウで約2重量%以上、ニンジンで
約1重量%以上、レンコンで約2.2重量%以上で、は
っきり差がみられた。
【0050】
【表11】
【0051】
【比較例9】実施例8と同じ方法で、野菜をエリスリト
ール液に浸漬を行わない区も設定し比較をおこなった。
その結果を表11に示した。ゴボウ、レンコン、ニンジ
ンとも軟化が生じ、ドリップも多く見られ、品質は明ら
かに低下していた。
【0052】
【実施例9】エリスリトール漬け込みリンゴを用いたア
ップルパイの食感、耐熱性 生のリンゴを洗浄後、皮を剥き、約5mm厚のスライス
にカットし、表12に示す糖漬け配合で、12時間浸漬
した。翌日、浸漬液をよく切り、この処理リンゴ720
g、上白糖200g、その他増粘多糖類、香料、調整水
とともに歩留まり85%まで弱火でじっくり煮詰め、袋
充填後、氷水冷却し、アップルプレザーブを調製した。
【0053】このプレザーブ15gを約25gの生地に
包み、フィリング充填部のすぐ外側を切り落とし正方形
のパイを作製した。1時間の急速凍結後、−18℃の冷
凍庫に移し、3日後冷凍のままコンベクションオーブン
200℃で12分間焼成し、各10個のプレザーブの焼
き流れを4段階分類し、リンゴの食感を5人に評価して
もらった。結果を表12に示した。エリスリトールを含
浸させた区は、シャキッとした歯切れのよい食感を示
し、冷凍変性によるドリップも抑える為、パイのカット
側面からのフィリングの焼き流れも少なかった。甘さも
程良く、しつこくない甘さを呈した。
【0054】
【表12】
【0055】
【比較例10】実施例9と同じロットのリンゴを用い、
同じ方法でアップルプレザーブを調製した。ただし、含
浸させる糖は代表的なショ糖に変え、糖で漬け込まない
未処理区も設定した。結果を表12に示した。ショ糖漬
け込み処理した区も、エリスリトール同様、プレザーブ
の焼き流れが減少したが、リンゴのシャキッとした歯ご
たえは、エリスリトール漬け込み区に対し弱く、甘さは
ややきつかった。未処理区は、フィリングの焼き流れの
割合、程度とも大きく、食感も歯ごたえのない柔らかな
食感になった。
【0056】
【発明の効果】本発明による冷凍青果物及びそれを含む
冷凍食品は、風味への影響なく、未冷凍の青果物・食品
に劣らないテクスチャーを維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における青果物の破断強度を示
す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エリスリトールを含有する冷凍用青果
    物。
  2. 【請求項2】 エリスリトールの含有量が0.5重量%
    以上である請求項1の冷凍用青果物。
  3. 【請求項3】 請求項1の青果物を含有する冷凍食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019195306A (ja) * 2018-05-11 2019-11-14 長谷川香料株式会社 バラ科果実の冷凍品の製造方法

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