JPH10292115A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JPH10292115A
JPH10292115A JP11357897A JP11357897A JPH10292115A JP H10292115 A JPH10292115 A JP H10292115A JP 11357897 A JP11357897 A JP 11357897A JP 11357897 A JP11357897 A JP 11357897A JP H10292115 A JPH10292115 A JP H10292115A
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JP
Japan
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mol
acid
resin composition
pas
polyarylene sulfide
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Application number
JP11357897A
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English (en)
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Masaru Miyoshi
勝 三好
Satoshi Inoue
井上  敏
Osamu Komiyama
治 小味山
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張強度に優れたPAS樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させて得たポリアリー
レンスルフィドスラリーに、そのpHが7.0〜11.
0となるような量で酸又は水素塩を添加して酸処理する
ことにより製造したポリアリーレンスルフィド100重
量部、カップリング剤0.01〜5重量部、及び無機充
填材0〜400重量部を含む樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィド(以下ではPASと略すことがある)樹脂組成
物に関し、更に詳しくは引張強度に優れたポリアリーレ
ンスルフィド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PASに酸処理を施してその結晶
化速度を高める方法が知られている。例えば、特開昭6
2‐48728号公報には、重合終了後の重合反応混合
液から、生成したPASポリマーを分離した後に、該ポ
リマーをpH2未満の強酸溶液中で処理する方法が開示
されている。特開平7‐118389号公報には、有機
溶剤:水の重量比が4:1〜1:10の範囲内にあり、
濃度0.1〜5.0重量%の有機酸を含有する有機溶剤
/水の混合液中で、PASを酸処理する方法が開示され
ている。しかし、これらの方法はいずれも低いpHの酸
溶液中でPASを処理するものであり、酸処理後にPA
Sの溶融粘度が著しく低くなるという欠点があった。P
ASの白色度も十分なものではなく、更には、その引張
強度も低いものであった。
【0003】特公平6‐68025号公報には、重合終
了後のPASスラリーに無機酸又は有機酸を加え、pH
6以下で攪拌洗浄し、濾過、水洗、乾燥する方法が開示
されている。該方法は、PAS中のアルカリ金属イオン
等の不純物を除去する精製方法に関するものである。し
かし、該方法により得られたPASも、上記と同様に処
理後のPASの溶融粘度は著しく低くなり、PASの白
色度も十分ではなかった。また、その引張強度も低かっ
た。
【0004】本出願人は、特開平7‐70320号公報
において、極性非プロトン溶媒中でアルカリ金属硫化物
とジハロ芳香族化合物を反応させてPASを製造する方
法において、ジハロ芳香族化合物の転化率が30%の時
点から重合スラリーの後処理工程までの任意の時点にお
いてアルカリ金属硫化物1モル当り0.001〜0.1
モルの亜鉛化合物を重合系又は後処理系に加える方法を
開示した。該方法は白色度が高く、かつ溶融粘度の大き
いPASを提供するものである。
【0005】一方、PASにエポキシアルコキシシラ
ン、メルカプトアルコキシシラン、ビニルアルコキシシ
ラン、アミノアルコキシシラン等のシランカップリング
剤を添加することが知られている(特公平6‐3911
3号公報、特公平6‐51311号公報及び特開昭64
‐89208号公報)。これらはいずれもシランカップ
リング剤を添加することにより、ウェルド部の強度が高
い成形品例えばコネクター等の製造に適したPASを得
るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、引張強度に
優れたPAS樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)(A‐
1)有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ
芳香族化合物とを反応させて得たポリアリーレンスルフ
ィドスラリーに、そのpHが7.0〜11.0となるよ
うな量で酸又は水素塩を添加して酸処理することにより
製造したポリアリーレンスルフィド 100重量部、
(B)カップリング剤 0.01〜5重量部、及び
(C)無機充填材 0〜400重量部を含む樹脂組成
物、及び(2)(A‐2)有機アミド系溶媒中でアルカ
リ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させて得た
ポリアリーレンスルフィドスラリーに、仕込アルカリ金
属硫化物1モルに対して0.1〜1.5モル%の亜鉛化
合物を添加して処理し、次いで更に、酸又は水素塩を仕
込アルカリ金属硫化物1モルに対して0.2モル%以上
の量で添加して酸処理することにより製造したポリアリ
ーレンスルフィド100重量部、(B)カップリング剤
0.01〜5重量部、及び(C)無機充填材 0〜4
00重量部を含む樹脂組成物である。
【0008】本発明の樹脂組成物は、上記の特定の方法
で製造されたPASとカップリング剤を組合せることに
特徴を有するものである。上記以外のPASとカップリ
ング剤を組合せた場合、または上記のPASを用いるが
カップリング剤を用いない場合に比べて、本発明の樹脂
組成物の引張強度は著しく高い。
【0009】好ましい態様として、(3)カップリング
剤が、シランカップリング剤である上記(1)又は
(2)記載の樹脂組成物、(4)シランカップリング剤
が、エポキシアルコキシシランである上記(3)記載の
樹脂組成物、(5)カップリング剤を0.01〜5重量
部含む上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の樹脂
組成物、(6)無機充填材を0〜400重量部含む上記
(1)〜(5)のいずれか一つに記載の樹脂組成物、
(7)ポリアリーレンスルフィドスラリーが、有機アミ
ド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物
とを反応させる際に、更に、反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめて製造したものである上記(1)〜
(6)のいずれか一つに記載の樹脂組成物を挙げること
ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において使用する(A‐
1)ポリアリーレンスルフィドは、有機アミド系溶媒中
でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応さ
せてポリアリーレンスルフィドを製造する方法におい
て、反応後のポリアリーレンスルフィドのスラリーに酸
又は水素塩を、該スラリーのpHが7.0〜11.0と
なるような量で添加して酸処理することにより製造する
ことができる。
【0011】該方法において、反応後のPASスラリー
に添加される酸又は水素塩の量は、酸又は水素塩添加後
のPASスラリーのpHが7.0〜11.0となるよう
な量である。好ましくは該スラリーのpHが7.5〜1
0.0となるように添加される。該スラリーのpHが
7.0未満では、得られたPASの分子量の低下を生
じ、樹脂組成物の引張強度を高めることができない。p
Hが11.0を超えては、樹脂組成物の引張強度が低
い。該酸又は水素塩の添加量は、上記のようにPASス
ラリーのpHが7.0〜11.0となるような量であれ
ばよく、用いられる酸又は水素塩の種類、若しくは反応
後のPASスラリーのpH等に依存するが、仕込みアル
カリ金属硫化物1モルに対して、上限が好ましくは10
モル%、特に好ましくは6.0モル%であり、下限が好
ましくは0.2モル%、特に好ましくは0.5モル%で
ある。
【0012】また、(A‐2)ポリアリーレンスルフィ
ドは、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハ
ロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィ
ドを製造する方法において、反応後のポリアリーレンス
ルフィドスラリーに、仕込アルカリ金属硫化物1モルに
対して0.1〜1.5モル%の亜鉛化合物を添加して処
理し、次いで更に、酸又は水素塩を仕込アルカリ金属硫
化物1モルに対して0.2モル%以上の量で添加して酸
処理することにより製造することができる。
【0013】該方法において、反応後のPASスラリー
に添加される亜鉛化合物の量は、仕込みアルカリ金属硫
化物1モルに対して、上限が1.5モル%、好ましくは
1.0モル%、下限が0.1モル%、好ましくは0.5
モル%である。該添加量が、上記上限を超えては、続い
て実施する酸又は水素塩の添加による効果が小さく、樹
脂組成物の引張強度を高めることができない。上記下限
未満では、亜鉛化合物の添加効果が得られず、樹脂組成
物の引張強度が低くなる。ここで使用する亜鉛化合物
は、好ましくは反応後のPASスラリーに可溶性のもの
であり、例えば塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜
鉛である。これらのうち塩化亜鉛が好ましく使用され
る。
【0014】該方法において、PASスラリーを亜鉛化
合物で処理する方法は、好ましくは下記に示す通りであ
る。
【0015】まず、PAS製造工程で生成したPASス
ラリーに亜鉛化合物を添加する。好ましくは亜鉛化合物
は少量の水又は水/PAS重合時に使用する有機アミド
系溶媒(例えばN‐メチルピロリドン)混合物中の溶液
の形で添加される。
【0016】亜鉛化合物による処理温度は、好ましくは
常温からPASの重合反応温度までの任意の温度を採る
ことができるが、特に好ましくは常温〜220℃であ
る。処理温度が、上記下限未満では、本発明の効果を十
分に達成できない。亜鉛化合物による処理時間は、処理
温度及び処理されるPASの性質等により異なるが、好
ましくは5分間〜24時間、特に好ましくは20分間〜
3時間である。処理時間が、上記下限未満では、上記と
同様に本発明の効果を十分に達成できない。また、圧力
については特に制限はなく、該処理は、好ましくは、反
応終了後の反応缶中に亜鉛化合物を圧入することにより
行われる。
【0017】該方法においては、次いで更に、酸又は水
素塩を上記の亜鉛化合物添加後のPASスラリーに添加
する。
【0018】添加される酸又は水素塩の量は、仕込みア
ルカリ金属硫化物1モルに対して、上限が好ましくは1
0モル%、更に好ましくは6.0モル%であり、下限が
0.2モル%、好ましくは0.5モル%である。酸又は
水素塩の添加量が、上記下限未満では、樹脂組成物の引
張強度を高めることができない。
【0019】上記のいずれのPAS(A‐1及びA‐
2)の製造法においても、使用する酸は、有機酸とし
て、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、カプロン酸、モノクロロ酢酸等の飽和脂肪酸、アク
リル酸、クロトン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、安
息香酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、
蓚酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、あるい
はメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスル
ホン酸等が挙げられ、無機酸として、例えば、塩酸、硫
酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸又はリン酸等が挙げられ、こ
れらの2種類以上の混合物でもよい。また、水素塩とし
ては、例えば、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム等から1種類以上を使用し
得る。実機での使用においては、金属部材への腐食が少
ない有機酸が好ましい。
【0020】PASスラリーを酸又は水素塩で処理する
方法は、好ましくは下記に示す通りである。
【0021】まず、PAS重合工程で生成したPASス
ラリー(A‐1の場合)又は亜鉛化合物添加後のPAS
スラリー(A‐2の場合)に酸又は水素塩を添加する。
この際、酸又は水素塩が液体であるときは、そのまま又
は他の溶媒、好ましくは下記において述べるPAS重合
時に使用する有機アミド系溶媒(例えばN‐メチルピロ
リドン)で希釈して添加し、また、酸又は水素塩が固体
であるときは、適切な媒体例えば水、上記有機アミド系
溶媒等に酸を溶解して添加する。
【0022】酸処理の温度は、好ましくは常温からPA
Sの重合反応温度までの任意の温度を採ることができる
が、特に好ましくは常温〜250℃である。処理温度
が、上記下限未満では、本発明の効果を十分に達成でき
ない。酸処理の時間は、処理温度及び処理されるPAS
の性質等により異なるが、好ましくは5分間〜24時
間、特に好ましくは20分間〜3時間である。処理時間
が、上記下限未満では、上記と同様に本発明の効果を十
分に達成できない。また、圧力については特に制限はな
く、該処理は、好ましくは、反応終了後の反応缶中に酸
又は水素塩を圧入することにより行われる。
【0023】また、酸又は水素塩を添加する前又は同時
に酸の解離を促進する目的でPASスラリーに水を添加
することもできる。水の添加量は、仕込みアルカリ金属
硫化物1モルに対して、上限が好ましくは100モル
%、特に好ましくは60モル%であり、下限が好ましく
は1.0モル%、特に好ましくは5モル%である。該水
の添加に際しては、PAS重合時に使用する有機アミド
系溶媒(例えばN‐メチルピロリドン)に水を混合して
添加することができる。
【0024】上記酸又は水素塩で処理して得られたPA
Sスラリーを濾過した後、得られた含溶媒濾過ケーキを
非酸化性雰囲気下に加熱して溶媒を除去することが好ま
しい。
【0025】例えば、上記のようにして処理されたPA
Sスラリーを濾過し、溶媒を含むPASケーキを得る。
次いで、該PASケーキは、ヘリウム、アルゴン、水
素、窒素等の非酸化性ガス気流中、好ましくは窒素ガス
気流中、好ましくは150〜250℃、特に好ましくは
180〜230℃の温度で、好ましくは10分間〜24
時間、特に好ましくは1〜10時間加熱される。該加熱
は、好ましくは200mmHg〜3気圧、より好ましく
は400mmHg〜3気圧、特に好ましくは常圧下で行
われる。上記の加熱による溶媒除去を行うことにより、
従来の水洗浄により溶媒を除去する方法に比べて、水洗
浄等の工程を簡略化でき、かつ溶媒の回収率を著しく向
上せしめることができるため、生産性が高くコスト的に
有利である。
【0026】このようにして溶媒が除去されたPASに
好ましくは、次いで水洗浄を施す。水洗浄は、好ましく
は上記加熱後の濾過ケーキを水に分散させることにより
行われる。例えば、上記のようにして得られた加熱後の
PASケーキを、重量で好ましくは1〜5倍の水中に投
入して、好ましくは常温〜90℃で、好ましくは5分間
〜10時間攪拌混合した後、濾過する。該攪拌混合及び
濾過操作を好ましくは2〜10回繰り返すことにより、
PASに付着した溶媒及び副生塩の除去を行って水洗浄
を終了する。上記のようにして水洗浄を行うことによ
り、フィルターケーキに水を注ぐ洗浄方法に比べて少な
い水量で効率的な洗浄が可能となる。また、副生塩の除
去を容易にするため密閉系で水の沸点以上にまで加熱し
て水洗を行う加圧水洗を実施することもできる。
【0027】上記のいずれの方法においても、有機アミ
ド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物
とを反応させてPASを製造する方法は特に制限されな
い。例えば、特公昭45‐3368号公報に記載の有機
アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化
合物とを反応させてPASを製造する方法、特公昭52
‐12240号公報記載のアルカリ金属カルボン酸塩を
使用する方法、米国特許第4038263号明細書に記
載のハロゲン化リチウム等の重合助剤を使用する方法、
特公昭54‐8719号公報に記載のポリハロ芳香族化
合物等の架橋剤を使用する方法、特公昭63‐3377
5号公報に記載の異なる水の存在量下、多段階反応を使
用する方法等が挙げられる。
【0028】好ましくは、特開平5‐222196号公
報に記載された、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫
化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造
する方法において、反応中に反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめる方法を使用することができる。該方
法を使用することにより、比較的溶融粘度V6 の高いP
ASを製造することができ、従って、引張強度、衝撃強
度等の機械的強度の高いPASを得ることができるため
好ましい。
【0029】該方法において、還流される液体は、水と
アミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに比較して
水含有率が高い。この水含有率の高い還流液は、反応溶
液上部に水含有率の高い層を形成する。その結果、残存
のアルカリ金属硫化物(例えばNa2 S)、ハロゲン化
アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマー等が、そ
の層に多く含有されるようになる。従来法においては2
30℃以上の高温下で、生成したPASとNa2 S等の
原料及び副生成物とが均一に混じりあった状態では、高
分子量のPASが得られないばかりでなく、せっかく生
成したPASの解重合も生じ、チオフェノールの副生成
が認められる。しかし、該方法では、反応缶の気相部分
を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多量に液相上
部に戻してやることによって上記の不都合な現象が回避
でき、反応を阻害するような因子を真に効率良く除外で
き、高分子量PASを得ることができるものと思われ
る。但し、該方法は上記現象による効果のみにより限定
されるものではなく、気相部分を冷却することによって
生じる種々の影響によって、高分子量のPASが得られ
るのである。
【0030】該方法においては、従来法のように反応の
途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加
することを全く排除するものではない。但し、水を添加
する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失われ
る。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反
応の間中一定である。
【0031】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相の上層に
入る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜
り、そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合に
は、冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は
反応缶壁を伝わって液相中に入る。
【0032】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を超えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0033】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、重合系の水分量が所定の量となるよう、必要に
応じて脱水または水添加する。水分量は、好ましくは、
アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2.5モル、特
に0.8〜1.2モルとする。2.5モルを超えている
と、反応速度が小さくなり、しかも反応終了後の濾液中
にフェノール等の副生成物量が増大し、重合度も上がら
ない。また、pH調節の際に加えられる水と合計すると
アルカリ金属硫化物1モルに対し1.4モルを超えるた
め、亜鉛化合物を添加する際に系内水を予めフラッシュ
して調節する等の操作が発生し、操作が煩雑化する。
0.5モル未満では、反応速度が速すぎ、十分な高分子
量の物を得ることができないと共に、副反応等の好まし
くない反応が生ずる。
【0034】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0035】該方法において使用する有機アミド系溶媒
は、PAS重合のために知られており、たとえばN‐メ
チルピロリドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムア
ミド、N,N‐ジメチル(又はジエチル)アセトアミ
ド、N‐メチル(又はエチル)カプロラクタム、1,3
‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、ホルムアミド、ア
セトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチ
ルウレア、N,N´‐エチレン‐2‐ピロリドン、2‐
ピロリドン、ε‐カプロラクタム、ジフェニルスルホン
等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好まし
い。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0036】アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえ
ば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫
化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物であ
る。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、こ
れらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞ
れに対応する水酸化物で中和して用いることができる。
安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0037】ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭4
5‐3368号公報記載のものから選ぶことができる
が、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量
(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニル
スルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ
物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例
えば、o‐ジクロロベンゼン、p,p´‐ジクロロジフ
ェニルエーテル、m,p´‐ジクロロジフェニルエーテ
ル、m,m´‐ジクロロジフェニルエーテル、p,p´
‐ジクロロジフェニルスルホン、m,p´‐ジクロロジ
フェニルスルホン、m,m´‐ジクロロジフェニルスル
ホン、p,p´‐ジクロロビフェニル、m,p´‐ジク
ロロビフェニル、m,m´‐ジクロロビフェニルであ
る。
【0038】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物をアルカリ金属
硫化物1モルに対して好ましくは0.005〜1.5モ
ル%、特に好ましくは0.02〜0.75モル%の量で
使用することもできる。
【0039】本発明において使用する(B)カップリン
グ剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネ
ートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジ
ルコアルミニウムカップリング剤等を使用することがで
きる。。このなかでもシランカップリング剤が好ましく
使用される。例えば、エポキシアルコキシシラン、ビニ
ルアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカ
プトアルコキシシラン、メタクリロキシアルコキシシラ
ン、ウレイドアルコキシシランから選ばれる一つ又は二
つ以上のものを使用することができる。特に好ましくは
エポキシアルコキシシランが使用される。エポキシアル
コキシシランとしては、例えば、γ‐グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ‐グリシド
キシプロピルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン等が挙げられ、ビニルアル
コキシシランとしては、例えば、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β‐
メトキシエトキシ)シラン等が挙げられ、アミノアルコ
キシシランとしては、例えば、γ‐アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N‐(β‐ア
ミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシ
ラン等が挙げられ、メルカプトアルコキシシランとして
は、例えば、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙
げられ、メタクリロキシアルコキシシランとしては、例
えば、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
γ‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ‐メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等
が挙げられ、ウレイドアルコキシシランとしては、例え
ば、γ‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ‐ウ
レイドプロピルトリメトキシシラン、γ‐(2‐ウレイ
ドエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げ
られる。
【0040】(B)カップリング剤は、PAS(A‐1
又はA‐2)100重量部に対して、上限が5重量部、
好ましくは3重量部、特に好ましくは1重量部であり、
下限が0.01重量部、好ましくは0.05重量部、特
に好ましくは0.1重量部である。上限を超えては、増
粘が著しく、成形が困難となり、下限未満では、引張強
度を高めることができない。
【0041】(C)無機充填材としては、好ましくはシ
リカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、クレー、
シリカアルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ酸
カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウ
ム、窒化ケイ素、ガラス、ハイドロタルサイト、酸化ジ
ルコニウム等の粒状、粉末状あるいは鱗片状のもの、又
はガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維、マイ
カセラミック繊維等の繊維状のものを配合することがで
きる。これら無機充填材は、夫々単独で、あるいは二種
以上組合わせて用いることができる。充填材の配合割合
は、上記機械的強度及び成形性の観点等から、PAS1
00重量部に対して、上限が400重量部、好ましくは
200重量部であり、下限が好ましくは0.01重量
部、特に好ましくは1重量部である。
【0042】更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定
剤、滑剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することも
できる。
【0043】以上のような各成分を混合する方法は、特
に限定されるものではない。一般に広く使用されている
方法、例えば各成分をヘンシェルミキサー等の混合機で
混合する等の方法を用いることができる。
【0044】本発明のPAS樹脂組成物は引張強度に優
れるため、例えば、従来、金属で作られていた製品例え
ば電気電子部品骨格等の用途に適している。
【0045】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0046】
【実施例】合成例1〜7は(A‐1)のポリフェニレン
スルフィド(以下ではPPSと略すことがある)の製造
に関し、比較合成例1〜3は(A‐1)PPSの比較に
用いたPPSの製造に関する。
【0047】合成例8〜14は(A‐2)のPPSの製
造に関し、比較合成例4〜6は(A‐2)PPSの比較
に用いたPPSの製造に関する。
【0048】合成例1 150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソー
ダ(60.81重量%Na2 S)15.400kgと、
N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下、NMPと略すこと
がある)38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しな
がら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出さ
せた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで
冷却し、パラジクロロベンゼン(以下、p‐DCBと略
すことがある)17.640kg及びNMP16.0k
gを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg
/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。液温260℃ま
で4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点で
オートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時
間保持して反応を行った。反応終了後冷却し、液温が1
50℃になった時点で、酢酸0.432kg(硫化ソー
ダ1モルに対して6.0モル%)を加圧注入ポンプでオ
ートクレーブ中に圧入し、次に150℃で30分間攪拌
して酸処理した後、冷却した。該処理時のスラリーのp
Hは、9.4であった。
【0049】得られたスラリーを濾過して溶媒を除去
し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約
6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS粉
末に常法により水洗浄、濾過を7回繰り返した後、12
0℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥し、白色粉末状
のポリマー(A1 ‐1)を得た。
【0050】合成例2 酢酸に代えて、蓚酸二水和物0.151kg(硫化ソー
ダ1モルに対して1.0モル%)をNMP0.856k
gに溶かした溶液を加えたことを除き、合成例1と同一
に実施し、白色粉末状のポリマー(A1 ‐2)を得た。
【0051】合成例3 酢酸に代えて、蟻酸0.331kg(硫化ソーダ1モル
に対して6.0モル%)をNMP0.331kgに溶か
した溶液を加えたことを除き、合成例1と同一に実施
し、白色粉末状のポリマー(A1 ‐3)を得た。
【0052】合成例4 酢酸に代えて、モノクロロ酢酸0.113kg(硫化ソ
ーダ1モルに対して1.0モル%)をNMP0.113
kgに溶かした溶液を加えたことを除き、合成例1と同
一に実施し、白色粉末状のポリマー(A1 ‐4)を得
た。
【0053】合成例5 酢酸に代えて、35%塩酸0.125kg(硫化ソーダ
1モルに対して1.0モル%)を加えたことを除き、合
成例1と同一にして実施し、白色粉末状のポリマー(A
1 ‐5)を得た。
【0054】合成例6 酢酸に代えて、硫酸水素ナトリウム一水和物0.166
kg(硫化ソーダ1モルに対して1.0モル%)を水
0.166kgに溶かした溶液を加えたことを除き、合
成例1と同一に実施し、白色粉末状のポリマー(A1
6)を得た。
【0055】合成例7 酢酸に代えて、蓚酸二水和物0.091kg(硫化ソー
ダ1モルに対して0.6モル%)をNMP0.516k
gに溶かした溶液を加えたことを除き、合成例1と同一
に実施し、白色粉末状のポリマー(A1 ‐7)を得た。
【0056】比較合成例1 酢酸を添加しなかった以外は、合成例1と同一に実施
し、白色粉末状のポリマー(A1 C‐1)を得た。
【0057】比較合成例2 酢酸に代えて、蓚酸二水和物0.015kg(硫化ソー
ダ1モルに対して0.1モル%)をNMP0.085k
gに溶かした溶液を加えたことを除き、合成例1と同一
に実施し、白色粉末状のポリマー(A1 C‐2)を得
た。
【0058】比較合成例3 酢酸に代えて、蓚酸二水和物1.815kg(硫化ソー
ダ1モルに対して12.0モル%)をNMP10.28
5kgに溶かした溶液を加えたことを除き、合成例1と
同一に実施し、白色粉末状のポリマー(A1 C‐3)を
得た。
【0059】合成例8 150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソー
ダ(60.81重量%Na2 S)15.400kgと、
N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下、NMPと略すこと
がある)38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しな
がら216℃まで昇温して、水3.843kgを留出さ
せた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで
冷却し、パラジクロロベンゼン(以下、p‐DCBと略
すことがある)17.640kg及びNMP16.0k
gを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg
/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。液温260℃ま
で4時間かけて昇温し、液温が260℃になった時点で
オートクレーブ上部への散水を開始した。該温度で2時
間保持して反応を行った。反応終了後冷却し、液温が1
70℃になった時点で、塩化亜鉛0.163kg(硫化
ソーダ1モルに対して1.0モル%)を水0.163k
gに溶かした溶液を加圧注入ポンプでオートクレーブ中
に圧入し、170℃で30分間攪拌処理した。次いで更
に同温度で、蓚酸二水和物0.151kg(硫化ソーダ
1モルに対して1.0モル%)をNMP0.856kg
に溶かした溶液を加圧注入ポンプでオートクレーブ中に
圧入し、170℃で30分間攪拌し酸処理した後、冷却
した。
【0060】得られたスラリーを濾過して溶媒を除去
し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約
6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS粉
末に常法により水洗浄、濾過を7回繰り返した後、12
0℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥し、白色粉末状
のポリマー(A2 ‐1)を得た。
【0061】合成例9 蓚酸二水和物0.091kg(硫化ソーダ1モルに対し
て0.6モル%)をNMP0.516kgに溶かした溶
液を加えたことを除き、合成例8と同一に実施し、白色
粉末状のポリマー(A2 ‐2)を得た。
【0062】合成例10 蓚酸二水和物0.227kg(硫化ソーダ1モルに対し
て1.5モル%)をNMP1.236kgに溶かした溶
液を加えたことを除き、合成例8と同一に実施し、白色
粉末状のポリマー(A2 ‐3)を得た。
【0063】合成例11 塩化亜鉛0.082kg(硫化ソーダ1モルに対して
0.5モル%)を水0.082kgに溶かした溶液を加
えたことを除き、合成例8と同一に実施し、白色粉末状
のポリマー(A2 ‐4)を得た。
【0064】合成例12 蓚酸二水和物0.454kg(硫化ソーダ1モルに対し
て3.0モル%)をNMP6.667kgに溶かした溶
液を加えたことを除き、合成例11と同一に実施し、白
色粉末状のポリマー(A2 ‐5)を得た。
【0065】合成例13 蓚酸二水和物に代えて、酢酸0.432kg(硫化ソー
ダ1モルに対して6.0モル%)を加え、かつ含溶媒濾
過ケーキを50torrの圧力下に190℃で約7時間
加熱し溶媒を除去したことを除き、合成例8と同一に実
施し、白色粉末状のポリマー(A2 ‐6)を得た。
【0066】合成例14 塩化亜鉛及び蓚酸二水和物による攪拌処理を30℃で実
施したことを除き、合成例8と同一に実施し、白色粉末
状のポリマー(A2 ‐7)を得た。
【0067】合成比較例4 塩化亜鉛及び蓚酸二水和物を添加しなかった以外は、合
成例8と同一に実施し、白色粉末状のポリマー(A2
‐1)を得た。
【0068】合成比較例5 蓚酸二水和物を添加しなかった以外は、合成例8と同一
に実施し、白色粉末状のポリマー(A2 C‐2)を得
た。
【0069】合成比較例6 塩化亜鉛の添加量を2.5モル%とした以外は、合成例
8と同一に実施し、白色粉末状のポリマー(A2 C‐
3)を得た。
【0070】合成比較例7 蓚酸二水和物を添加せず、塩化亜鉛の添加量を2.5モ
ル%とした以外は、合成例8と同一に実施し、白色粉末
状のポリマー(A2 C‐4)を得た。
【0071】以上の合成例及び合成比較例における製造
条件を表1及び7に示した。
【0072】
【実施例1〜34及び比較例1〜38】以下の実施例及
び比較例においては、下記の物質を使用した。 <(B)カップリング剤> エポキシアルコキシシラン:γ‐グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン (γ-GPTMS) (A187、商標、日
本ユニカー株式会社製) ビニルアルコキシシラン:ビニルトリエトキシシラン(V
TES)(A‐151、商標、日本ユニカー株式会社製) アミノアルコキシシラン:γ‐アミノプロピルトリエト
キシシラン (γ-APTES) (A‐1100、商標、日本ユ
ニカー株式会社製) メルカプトアルコキシシラン:γ‐メルカプトプロピル
トリメトキシシラン (γ-MPTMS) (A‐189、商標、
日本ユニカー株式会社製) <(C)無機充填材>チョップドストランドガラス繊維
(CS 3E‐471S、商標、日東紡績株式会社製) 引張強度は以下の要領で測定した。
【0073】表2〜6及び表8〜12に示す量(重量
部)のPPS、カップリング剤及びガラス繊維をヘンシ
ェルミキサーで10分間予備混合して均一にした後、4
0mmφの二軸異方向回転押出機を用い、バレル設定温
度320℃、回転数300rpmで溶融混練してペレッ
トを作成した。得られたペレットからシリンダー温度3
20℃、金型温度130℃の条件にて射出成形してダン
ベル片を作成し、引張強度の測定に供した。引張強度
は、ASTM D638に準拠して行った。結果は表2
〜6及び表8〜12に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】 *:表3中の引張強度の欄の‐印は、樹脂組成物の粘度
が著しく高くなり成形不能となり、引張強度の測定がで
きなかったものである。
【0080】合成例1〜7のPPSは、各種の酸を使用
して種々のpHで処理して製造した本発明のPPS(A
1 ‐1〜7)である。合成比較例1〜3のPPSは、本
発明の範囲外のpHで処理して製造した比較用のPPS
(A1 C‐1〜3)である。
【0081】実施例1〜8は、上記の本発明の各種のP
PS及び(B)カップリング剤としてγ‐グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランを使用した樹脂組成物につ
いての結果である。いずれも良好な引張強度を有してい
た。一方、比較例1〜3は、比較用のPPSを使用した
ものであるが、いずれも樹脂組成物の引張強度は著しく
低かった。比較例4〜6は、夫々実施例1〜3と同一の
PPSを使用して(B)を配合しなかったものである。
いずれも引張強度は著しく低かった。比較例7〜9は、
夫々実施例1〜3と同一のPPSを使用して(B)の配
合量が本発明の範囲を超えたものである。樹脂組成物の
粘度が著しく高くなり成形不能であり引張強度は測定で
きなかった。(C)ガラス繊維を配合しなかった実施例
8は、比較用のPPSを使用し、かつ(C)を配合しな
かった比較例10に比べて著しく高い引張強度を示し
た。比較例11は、(C)の配合量が本発明の範囲を超
えたものである。樹脂組成物の粘度が著しく高くなり成
形不能であり引張強度は測定できなかった。
【0082】実施例9〜11は、本発明のPPS及び
(B)カップリング剤としてビニルトリエトキシシラン
を使用した樹脂組成物についての結果である。比較例1
2〜14は、夫々比較用のPPSを使用したものであ
る。実施例9〜11の本発明の樹脂組成物は著しく高い
引張強度を有していた。
【0083】実施例12〜14は、本発明のPPS及び
(B)カップリング剤としてγ‐アミノプロピルトリエ
トキシシランを使用した樹脂組成物についての結果であ
る。比較例15〜17は、夫々比較用のPPSを使用し
たものである。実施例12〜14の本発明の樹脂組成物
は同様に著しく高い引張強度を有していた。
【0084】実施例15〜17は、本発明のPPS及び
(B)カップリング剤としてγ‐メルカプトプロピルト
リメトキシシランを使用した樹脂組成物についての結果
である。比較例18〜20は、夫々比較用のPPSを使
用したものである。実施例15〜17の本発明の樹脂組
成物は同様に著しく高い引張強度を有していた。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】 *:表9中の引張強度の欄の‐印は、樹脂組成物の粘度
が著しく高くなり成形不能となり、引張強度の測定がで
きなかったものである。
【0091】合成例8〜14のPPSは、塩化亜鉛及び
酸の添加量を種々変えて製造した本発明のPPS(A2
‐1〜7)である。合成比較例4〜7のPPSは、夫
々、塩化亜鉛及び酸での処理を全く行わずに製造したP
PS(A2 C‐1)、酸での処理を行わずに製造したP
PS(A2 C‐2)、塩化亜鉛添加量が本発明の範囲を
超えるものとして製造したPPS(A2 C‐3)、及び
酸での処理を行わずかつ塩化亜鉛添加量が本発明の範囲
を超えるものとして製造したPPSである(A2C‐
4)。
【0092】実施例18〜25は、上記の本発明の各種
のPPS及び(B)カップリング剤としてγ‐グリシド
キシプロピルトリメトキシシランを使用した樹脂組成物
についての結果である。いずれも良好な引張強度を有し
ていた。一方、比較例21〜24は、比較用のPPSを
使用したものであるが、いずれも樹脂組成物の引張強度
は著しく低かった。比較例25〜27は、夫々実施例1
8〜20と同一のPPSを使用して(B)を配合しなか
ったものである。いずれも引張強度は著しく低かった。
比較例28〜30は、夫々実施例18〜20と同一のP
PSを使用して(B)の配合量が本発明の範囲を超えた
ものである。樹脂組成物の粘度が著しく高くなり成形不
能であり引張強度は測定できなかった。(C)ガラス繊
維を配合しなかった実施例25は、比較用のPPSを使
用し、かつ(C)を配合しなかった比較例31に比べて
著しく高い引張強度を示した。比較例32は、(C)の
配合量が本発明の範囲を超えたものである。樹脂組成物
の粘度が著しく高くなり成形不能であり引張強度は測定
できなかった。
【0093】実施例26〜28は、本発明のPPS及び
(B)カップリング剤としてビニルトリエトキシシラン
を使用した樹脂組成物についての結果である。比較例3
3〜34は、夫々比較用のPPSを使用したものであ
る。実施例26〜28の本発明の樹脂組成物は著しく高
い引張強度を有していた。
【0094】実施例29〜31は、本発明のPPS及び
(B)カップリング剤としてγ‐アミノプロピルトリエ
トキシシランを使用した樹脂組成物についての結果であ
る。比較例35〜36は、夫々比較用のPPSを使用し
たものである。実施例29〜31の本発明の樹脂組成物
はやはり著しく高い引張強度を有していた。
【0095】実施例32〜34は、本発明のPPS及び
(B)カップリング剤としてγ‐メルカプトプロピルト
リメトキシシランを使用した樹脂組成物についての結果
である。比較例37〜38は、夫々比較用のPPSを使
用したものである。実施例32〜34の本発明の樹脂組
成物はやはり著しく高い引張強度を有していた。
【0096】
【発明の効果】本発明は、引張強度に優れたPAS樹脂
組成物を提供する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A‐1)有機アミド系溶媒中でアルカリ
    金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させて得たポ
    リアリーレンスルフィドスラリーに、そのpHが7.0
    〜11.0となるような量で酸又は水素塩を添加して酸
    処理することにより製造したポリアリーレンスルフィド
    100重量部、(B)カップリング剤 0.01〜5
    重量部、及び(C)無機充填材 0〜400重量部を含
    む樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A‐2)有機アミド系溶媒中でアルカリ
    金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させて得たポ
    リアリーレンスルフィドスラリーに、仕込アルカリ金属
    硫化物1モルに対して0.1〜1.5モル%の亜鉛化合
    物を添加して処理し、次いで更に、酸又は水素塩を仕込
    アルカリ金属硫化物1モルに対して0.2モル%以上の
    量で添加して酸処理することにより製造したポリアリー
    レンスルフィド 100重量部、(B)カップリング剤
    0.01〜5重量部、及び(C)無機充填材 0〜4
    00重量部を含む樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 カップリング剤が、シランカップリング
    剤である請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアリーレンスルフィドスラリーが、
    有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香
    族化合物とを反応させる際に、更に、反応缶の気相部分
    を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮さ
    せ、これを液相に還流せしめて製造したものである請求
    項1〜3のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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