JPH10291436A - 車両用可倒式アームレスト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性を満足させて、かつ簡単に物を吊り下
げておくことができる構造にした車両用可倒式アームレ
ストを提供する。 【解決手段】 枢軸５を支点として回動可能に配置され
ていると共に、背面側に容器８を入れるカップホルダー
７を有し、起立状態でシートバック３と略同一面をなす
不使用位置と、前側に転倒されて略水平をなす使用位置
とに切換可能な車両用可倒式アームレスト４において、
カップホルダー７は、アームレスト４の使用位置で容器
８を内部に挿入可能な凹所９と、凹所９内の側面より突
出した状態に設けられて、凹所内に入れられた容器８を
一方から他方面側に押圧して凹所内での容器８の遊びを
吸収する押圧部材１２とを有し、押圧部材１２が、アー
ムレスト４の不使用位置で凹所９の底面９ａとの間に隙
間を保ち、かつ上向きに突出されていると共に物を吊り
下げ可能なフック状に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用アームレス
トのうち、特にベンチシートの一部を構成するよう設け
られるタイプに好適な可倒式アームレストに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】例えば、自動車に装備されるベンチシー
トには、シートバック側の中間部に組み込まれた可倒式
アームレストを備え、このアームレストが枢軸を支点と
して回動されて、シートバックと略面一となる不使用位
置と、シートクッション上に転倒されて略水平状態とな
る使用位置とに切り換えられる構成のものが多い。ま
た、この種のアームレストには、背面（腕を保持する）
側に容器類を入れるカップホルダーを設け、前記使用位
置にした状態にて腕を保持する以外に、容器類をそのカ
ップホルダーに保持できるようにしたものもあり、便利
性が工夫されている。なお、車室内には、各種の収納部
が設けられ、室内に持ち込んだ物を適宜に収納できるよ
うになっているが、車室スペース上、収納部箇所に制約
がある。しかも、車室内に持ち込んだ物のうち、買い物
袋等のような物はシートクッション上や床の上に載せて
おくことも多いが、その中には、シートクッション上や
床の上に載せずに吊り下げておかなくてはならない物も
ある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって、吊り下げ
ておかなくてはならない物では、どこかに吊り下げてお
く場所を探す必要がある。しかし、車室設計上は、車両
が衝突したときに乗員がそれにぶつかってけがをするの
を極力避ける必要から、車室内に突設されるフック状を
した部材の設置は嫌われ、一般に物を吊り下げておくフ
ック等は設けられていない。このため、吊り下げておく
場所を探すのに苦労をしているのが現状である。

【０００４】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、第１の目的は安全性を損ねることなく物を吊
り下げておくことができる構造にした可倒式アームレス
トを提供することにある。第２の目的は構成部材を増大
することなく適用可能にし、重量およびコスト増になら
ずに実現することにある。さらに、他の目的は、以下に
説明する内容の中で順次明らかにして行く。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、図面に例示する如く枢軸６を支点として回動
可能に配置されていると共に、背面側に設けられた容器
８を入れるカップホルダー７を有し、起立状態でシート
バック３と略同一面をなす不使用位置と、前側に転倒さ
れて略水平をなす使用位置とに切換可能な車両用可倒式
アームレスト４において、前記カップホルダー７は、ア
ームレスト４の使用位置で容器８を内部に挿入可能な凹
所９と、凹所９内の側面より突出した状態に設けられ
て、凹所内に入れられた容器８を一方から他方面側に押
圧して凹所内での容器８の遊びを吸収する押圧部材１２
とを有し、押圧部材１２が、アームレスト４の不使用位
置で凹所９の底面９ａとの間に隙間を保ち、かつ上向き
に突出されていると共に物を吊り下げ可能なフック状に
形成されている、よう構成したものである。以上の構造
において、押圧部材１２は、凹所９内に突出している前
端１２Ａ側に吊り下げ用の径小首部１５を形成している
ことが好ましい。また、押圧部材１２は、凹所９の外側
に配置されたコイルスプリング１７により、凹所９内に
突出する方向へ退避可能に付勢されていると共に、押圧
部材１２に設けられたストッパー部１２Ｂと凹所９を形
成しているハウジング１０側との当接によりその凹所内
への突出量を規制されている構成にすることが好まし
い。

【０００６】この構造によれば、アームレストを使用位
置に転倒させた状態では肘掛けとして使用可能になると
同時に、凹所内に容器を挿入して保持することが可能に
なる。容器を保持する場合は押圧部材が容器の側面に突
き当てられて容器と凹所との間に存在する隙間を吸収
し、凹所内で容器が動くのを防止する。逆に、アームレ
ストを不使用位置に配置させた状態では、カップホルダ
ーの凹所内に突出されている押圧部材をフックとし、こ
の押圧部材に物を吊り下げておくことが可能となる。し
かも、この押圧部材はカップホルダー内に突出されてい
て、車室内には突出されていないことから安全である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な形態を添付
図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる形
態は、本発明の好適な具体例であるから技術的に好まし
い種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下
の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限
り、これらの形態に限られるものではない。

【０００８】図２及び図３は本発明を適用した車両用シ
ートの全体構成を示している。この車両用シート１は、
シートクッション２とシートバック３とからなると共
に、シートバック３が左右２つに分けられたセパレート
タイプのもので、その２つのシートバック３の間にアー
ムレスト４を配設している。このアームレスト４は、基
端側が枢軸６を介して各シートバック３側に回動可能に
取り付けられており、起立状態で各シートバック３の間
の空間５を埋めて各シートバック３と略同一面を形成す
る不使用位置（図１，２参照）と、各シートバック３の
間より引き出されてシートクッション２上に略水平状態
に横たえられて配置される使用位置（図３参照）とに切
換可能に設けられている。なお、このような、可倒式ア
ームレスト４は、車体側に専用ブラケットを介して回動
可能に取り付けられたり、不使用位置を所定の係止力に
て保持するための簡易なロック機構が設けられることも
ある。

【０００９】また、アームレスト４には、アームレスト
４が使用位置に配置されたときに、その上側に位置する
アームレスト面（背面に相当する面）４ａの一部に、カ
ップホルダー７がアームレスト肉厚内に埋め込まれた状
態で設けられている。このカップホルダー７は、アーム
レスト４が起立されて不使用位置に配置されときには、
図１，図２に示す如くシートバック３の背面側にあって
上下方向に露出される。

【００１０】次に、以上のカップホルダー７についてそ
の細部構造を説明する。このカップホルダー７は、図
１，２に示す如くコップや飲料水缶等の容器８（図３参
照）が挿入されて位置決めされる凹所９を前後（アーム
レスト４が使用位置に配置された場合であり、不使用位
置に配置された場合では上下になる）に形成しているホ
ルダーハウジング１０と、各凹所９の側面に突出してい
る押圧部材１２，２４とを有している。ホルダーハウジ
ング１０は樹脂成形体からなり、両側部分に略円筒状で
所定の深さをなした凹所９，９を形成し、略中間部分に
形成された通路１１により両凹所９内を互いに連通して
いる。また、各凹所９には、この凹所９内に容器８が入
れられるときに、その容器８の側面に水平方向より突き
当てられて、この容器８を凹所９の対応する内面に押し
付け、凹所９と容器８との間に存在する隙間を吸収して
保持する押圧部材１２，２４が設けられている。なお、
押圧部材１２，２４は、凹所９の底面９ａとの間に指が
入り込む間隔を保った状態で、互いに前後方向（アーム
レスト４が使用位置に配置された場合であり、不使用位
置に配置された場合では上下方向になる）から各凹所中
心に向かって、かつ底面９ａに略平行移動するよう設け
られている。

【００１１】次に、押圧部材１２，２４の細部構造につ
いて図４を用いて説明する。なお、押圧部材１２，２４
は共に樹脂成形体であり、押圧部材１２が突出端側に径
小首部１５を形成している点で押圧部材２４と異なって
いるが、他の構成および周辺構成は同じくしているの
で、以下の説明では押圧部材１２の例にて述べる。押圧
部材１２は、凹所９の側面に設けられいる開口１３を貫
通して、ホルダーハウジング１０の外側から先端側１２
Ａを凹所９の内部に摺動可能に突出配置されていると共
に、付勢機構１４により常に凹所９内に向かって突出付
勢された状態になっている。すなわち、押圧部材１２
は、開口１３を貫通して凹所９の内部に挿入される突出
部１２Ａと、略中間部分に形成された径大のストッパー
部１２Ｂと、突出部１２Ａと反対側の後端部分１２Ｃと
からなっている。突出部１２Ａには、径小首部１５が先
端から所定の隙間を保った周囲を一段径小に切り欠いた
状態で設けられている。後端部分１２Ｃには、スプリン
グ受用凹部１６が後端面から所定の深さを切り欠いた状
態で設けられている。付勢機構１４は、コイルスプリン
グ１７とケージング１８とで構成されている。このう
ち、ケーシング１８は、樹脂製で、一端開口した有底の
筒状をなしており、ストッパー部１２Ｂおよび後端部分
１２Ｃを開口より摺動自在に収納している。その開口部
分の周縁には取付用フランジ１９が形成されていると共
に、その内部に底面側にはスプリング受用凹部２２が形
成されている。そして、このケーシング１８は、フラン
ジ１９をホルダーハウジング１０側の取付部１０ａにビ
ス２０等にて固定することによりホルダーハウジング１
０に取り付けられる。

【００１２】この取り付けに際しては、まず、凹部１６
内に一端側を位置決めさせてコイルスプリング１７をケ
ーシング１８内に配置し、この後からコイルスプリング
１７の他端側を凹部２２内に挿入させ、この状態でコイ
ルスプリング１７を圧縮させながら押圧部材１２のスト
ッパー部１２Ｂおよび後端部分１２Ｃをケーシング１８
内に摺動しつつ挿入させる。続いて、押圧部材１２の突
出部１２Ａを開口１３に挿入させると共に、取付用フラ
ンジ９をホルダーハウジング１０の取付部１０ａに位置
決め配置し、ビス２０にて固定操作する。

【００１３】また、このようにして組み付けられた押圧
部材１２は、通常はコイルスプリング１７の反発力でス
トッパー部１２Ｂが開口１３の周縁に当接規制された状
態で保持されており、突出部１２Ａが凹所９内に比較的
大きく突出している。そして、凹所９内から外側（ケー
シング１８の凹部２２側）に押し戻す力を加えると、コ
イルスプリング１７を圧縮しつつ外側に退避し、凹所９
内に突出している突出部１２Ａの全寸を小さくすること
ができる。したがって、アームレスト４が使用位置に配
置されている状態において、容器８は押圧部材１２を退
避させて凹所９内のスペースを大きく確保しつつ凹所９
内に収納され、その後、押圧部材１２の退避を解くと押
圧部材１２がコイルスプリング１７の力で容器８の側面
に水平方向より略直角に当接し、この容器８が凹所９の
対応する内面に押し付けられる。これにより、凹所９内
には、凹所９と容器８との間に存在する隙間を吸収し、
容器８の径の大きさに係わらず確実に保持することがで
きる。

【００１４】次に、このように構成された可倒式アーム
レスト４の動作を概説する。まず、アームレスト４を使
用位置に倒すと、アームレスト面４ａを肘掛け（アーム
レスト）として使用することができる。また、この使用
位置に配置させた状態で、上述したようにして凹所９内
に容器８を挿入すると容器８を保持させることができ
る。このとき押圧部材１２の突出部１２Ａが容器８の側
面に水平方向より直角に突き当って容器８と凹所９との
間に存在する隙間を吸収し、凹所９内で容器８が動くの
を防止する。

【００１５】一方、アームレスト４を不使用位置に配置
させる。すると、シートバック３の背面側にあって、ア
ームレスト面４ａに露出されているカップホルダー７
は、２つの凹所９内のうちの一方（下側）の押圧部材１
２は下側から上側に向かって凹所９内に突出され、他方
（上側）の押圧部材２４は上側から下側に向かって凹所
９内に突出された状態におかれる。そして、この状態に
おいて、下側から上側に向かって突き出されている押圧
部材１２の突出部１２Ａをフックとして、これに買い物
袋３０等の手掛け部分３０ａを引っかけると、図２に一
点鎖線で示すようにしてシートバック３の背面側に買い
物袋３０を吊すことができる。この場合、手掛け部分３
０ａは、突出部１２Ａの径小首部１５の周囲に引っかけ
られて、確実に係止され、車体振動を受けたとしても外
れるという虞がない。したがって、この構造では、フッ
ク部材を特別に設けることなく、カップホルダー７を構
成している押圧部材１２の突出部１２Ａをフックとして
利用することができる。しかも、このフックとなる部分
（径小首部１５付きの突出部１２Ａ）は凹所９内に配置
された状態で設けられているので、例えば、専用のフッ
クを車室内壁等に取り付ける場合に対し車室内に突出す
ることがなく安全であり、しかも不使用時に邪魔になる
ことがない。

【００１６】なお、本発明の可倒式アームレストは、上
記形態の如く自動車のベンチシートタイプを構成する場
合に限ることなく、各種のシート構成に組み込まれるア
ームレストに適用することができるものである。また、
カップホルダー７としては容器８を挿入する凹所９と、
凹所９の内側に突出される押圧部材１２とを有し、アー
ムレスト４が不使用位置（起立位置）に配置された状態
で、押圧部材１２の突出部１２Ａが凹所９にあって上向
きに配置されるものであれば良い。したがって、上記形
態では各凹所９に設けられる押圧部材１２，２４を形状
的に異なるようにしたが、例えば、同じ形状の押圧部材
にて形成するようにしても良い。また、具体的な凹所９
の形状、押圧部材の付勢機構や径小首部１５等について
は上記形態例をベースにして種々変形することが可能で
ある。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
アームレストを使用位置に転倒させると肘掛けやカップ
ホルダーとして使用できると共に、不使用位置に起立さ
せると背面側で押圧部材をフックとして物を吊り下げて
おくことができるので、簡単な構造でアームレスト機能
およびカップホルダー機能に加え、吊り下げ機能を有し
た車両用可倒式アームレストが得られる。また、この吊
り下げ構造では、簡易構成であると共に、押圧部材がカ
ップホルダー内に突出されていて、車室内には突出され
ていないので、安全性の点から問題がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２における可倒式アームレストの要部拡大斜
視図である。

【図２】本発明を適用した可倒式アームレストを不使用
位置で示す概略斜視図である。

【図３】前記可倒式アームレストを使用位置で示す概略
斜視図である。

【図４】前記可倒式アームレストにおけるカップホルダ
ーの要部構造を示す図である。

【符号の説明】

１ 車両用シート ４ 可倒式アームレスト ６ 枢軸 ７ カップホルダー ８ 容器 ９ 凹所 ９ａ 凹所の底面 １０ ホルダーハウジング １２ 押圧部材 １２Ａ 突出部 １２Ｂ ストッパー部 １５ 径小首部 １７ コイルスプリング

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 枢軸を支点として回動可能に配置されて
   いると共に、背面側に設けられた容器類を入れるカップ
   ホルダーを有し、起立状態でシートバックと略同一面を
   なす不使用位置と、前側に転倒されて略水平をなす使用
   位置とに切換可能な車両用可倒式アームレストにおい
   て、 前記カップホルダーは、前記アームレストの使用位置で
   容器類を内部に挿入可能な凹所と、前記凹所内の側面よ
   り突出した状態に設けられて、前記凹所内に入れられた
   容器類を一方から他方側に押圧して凹所内での容器類の
   遊びを吸収する押圧部材とを有し、 前記押圧部材が、前記凹所の底面との間に隙間を保ち、
   かつ前記アームレストの不使用位置で上向きに突出され
   ていると共に物を吊り下げ可能なフック状に形成されて
   いる、ことを特徴とする車両用可倒式アームレスト。
2. 【請求項２】 前記押圧部材が、前記凹所内に突出して
   いる前端側に吊り下げ用の径小首部を形成している請求
   項１に記載の車両用可倒式アームレスト。
3. 【請求項３】 前記押圧部材が、前記凹所の外側に配置
   されたコイルスプリングにより、前記凹所内に突出する
   方向へ退避可能に付勢されていると共に、押圧部材に設
   けられたストッパー部と前記凹所を形成しているハウジ
   ング側との当接によりその凹所内への突出量が規制され
   ている請求項１又は２に記載の車両用可倒式アームレス
   ト。