JPH10290915A - ラベル型脱酸素剤 - Google Patents

ラベル型脱酸素剤

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JPH10290915A
JPH10290915A JP10031466A JP3146698A JPH10290915A JP H10290915 A JPH10290915 A JP H10290915A JP 10031466 A JP10031466 A JP 10031466A JP 3146698 A JP3146698 A JP 3146698A JP H10290915 A JPH10290915 A JP H10290915A
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Masateru Osada
昌輝 長田
Hidetoshi Hatakeyama
秀利 畠山
Futoshi Nakatani
太 中谷
Hiromitsu Fujimura
浩光 藤村
Masazumi Motomura
正純 本村
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のラベル型脱酸素剤における柔軟性並び
に臭気対策に関する問題を解決して、自動貼着包装に適
したラベル型脱酸素剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 一つには、熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成
物を分散した脱酸素樹脂層からなるシート状脱酸素体の
少なくともどちらか一方の面より反対の面に向け切れ込
みを入れることを特徴とする。また一つには、前記脱酸
素樹脂層に脱臭層が接着されたシート状脱酸素体にあっ
ては、脱酸素樹脂層との接着層を貫通する通気孔を設け
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱酸素剤組成物配合
の樹脂組成物からなるシート状脱酸素体を用いた貼着固
定用のラベル型脱酸素剤に関する。詳しくは柔軟性及び
消臭性を改良したラベル型脱酸素剤に関する。
【0002】
【従来の技術】酸素による変質や微生物の繁殖による腐
敗を防いで品質保持するために、食品、医薬品等、酸素
の影響をうけ易い物品の脱酸素包装に脱酸素剤を利用す
る、所謂、脱酸素剤包装が広く普及している。この脱酸
素剤包装には、通常、粒状または粉末状脱酸素剤を通気
性を備えた小袋に充填した脱酸素剤袋が使用されている
が、最近は、例えば鉄粉系脱酸素剤のような粉粒状の脱
酸素剤を熱可塑性樹脂に配合して成形した脱酸素性樹脂
シートを脱酸素体とする脱酸素性能に優れたシート状脱
酸素剤が開発されている(特開平2−72851)。
【0003】上記シート状脱酸素剤は脱酸素剤を熱可塑
性樹脂に固定したシート状脱酸素体をフィルムやシート
の被覆材料で被覆した多層体として製造することがで
き、シート状脱酸素剤は、単に脱酸素剤袋のように破袋
して脱酸素剤の粉粒体が漏れる恐れがないだけでなく、
均一に偏平で薄く取り扱い易く、自動貼着に適する。こ
のようなシート状脱酸素剤の形態や多層構成の特性に着
目してシート状脱酸素剤の片面に粘着層を設け、ラベル
機能を付与した貼着固定用の脱酸素剤としてラベル型脱
酸素剤が特開平7−219430に提案されている。
【0004】今日では、食品等の包装体内への脱酸素剤
の貼着は被包装物の自動包装工程に組み込まれ、脱酸素
剤の貼着も自動的に行われることが多い。しかしなが
ら、従来のラベル型脱酸素剤は、シート状脱酸素体が必
ずしもフィルムのように薄いものでないために柔軟性に
限界があり、自動貼着包装への適応性が十分でなかっ
た。例えば、包装体が一見容易に貼着できそうな柔軟な
フィルム袋の場合でも、自動貼着包装しようとすると種
々問題が生じる。フィルム袋の場合、ラベル型脱酸素剤
を貼着した包装フィルムをもって袋を形成しながら、被
包装物を充填包装することが多いが、例えば、横ピロー
シール袋を形成する場合、フィルムの反転折り曲げの過
程で、貼着したラベル型脱酸素剤がフィルムの曲がりに
追随して柔軟に変形しないために、フィルムの曲がりの
支障になったり、貼着したラベル型脱酸素剤が剥がれた
り脱落したりする。また、袋以外にも包装体には様々な
形態の容器が使用されるが、容器内面は必ずしも一様な
平面とは限らず、このような容器内面にラベル型脱酸素
剤を確実に自動的に貼着しようとすると、内面形状に十
分追従して密着する柔軟性が従来のラベル型脱酸素剤に
は欠けていた。
【0005】また、例えば上記のラベル型脱酸素剤のよ
うに、熱可塑性樹脂に脱酸素剤を配合した樹脂シートを
脱酸素体に用いたシート状脱酸素剤は、使用条件によっ
ては臭気を発生する場合があり、汎用的な用途には臭気
対策を講じる必要がある。消臭のために、脱酸素樹脂層
に活性炭等の脱臭剤を含む脱臭層を配する方法が知られ
ているが(例えば、特開平7−227258)、粘着層
を備えた片面吸収タイプのラベル型脱酸素剤において
は、脱酸素性能を優先すると脱臭層の配置構造が問題に
なって、脱臭層の脱臭効果が必ずしも十分に発揮されな
いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のラベ
ル型脱酸素剤における柔軟性並びに臭気対策に関する上
記した問題を解決し、自動貼着包装に適したラベル型脱
酸素剤を提供することを目的とする。すなわち、本発明
は、一つにはラベル型脱酸素剤の柔軟性の改良を目的と
し、また一つにはラベル型脱酸素剤の消臭性の改良を目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の目的で
あるラベル型脱酸素剤の柔軟性に関する上記課題を解決
するための手段として、セパレーター層、セパレーター
層側に粘着面を備えたベース層、熱可塑性樹脂に脱酸素
剤組成物を分散した脱酸素樹脂層からなるシート状脱酸
素体及び通気性層がこの順に積層され、かつ周辺部では
ベース層と通気性層とが間にシート状脱酸素体が存する
ことなく接着されてなるラベル型脱酸素剤において、前
記シート状脱酸素体が、該シート状脱酸素体の少なくと
もどちらか一方の面より反対の面に向けて切れ込みを入
れたものであることを特徴とするラベル型脱酸素剤を提
供する。
【0008】本発明においては、少なくともどちらか一
方の面より反対面へ向けて切れ込み(ハーフカット)を
入れたシート状脱酸素体を用いることにより、ラベル型
脱酸素剤に自動貼着包装に十分適応できる柔軟性を付与
することができる。
【0009】本発明に係る上記ラベル型脱酸素剤が十分
に柔軟であるためには、シート状脱酸素体に入れた切れ
込みのシート表面における切れ込みの長さの総和が、シ
ートの大きさ(投影面積)に対して0.02mm/mm2
上であることが好ましい。またシート状脱酸素体に入れ
た切れ込みは、切れ込みを入れて残った部分のシートの
厚みが0.01mm〜0.5mmになる深さに入れられた切
れ込みであることが好ましい。さらに上記切れ込みがシ
ート表面に描く文様(パターン)は必ずしも限定され
ず、目的を達成することができるものであればよい。
【0010】また本発明は、第2の目的であるラベル型
脱酸素剤の臭気対策に関する上記課題を解決するための
手段として、セパレーター層、セパレーター層側に粘着
面を備えたベース層、熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成物を
分散した脱酸素樹脂層からなるシート状脱酸素体及び通
気性層がこの順に積層され、かつ周辺部ではベース層と
通気性層とが間にシート状脱酸素体が存することなく接
着されてなるラベル型脱酸素剤において、前記シート状
脱酸素体が、脱酸素樹脂層のベース層側の面に脱臭層が
接着層を介して配され、かつ該接着層を貫通する通気孔
が設けられてなるものであることを特徴とするラベル型
脱酸素剤を提供する。
【0011】本発明によれば、ラベル型脱酸素剤に用い
られた脱臭層がベース層側の脱酸素樹脂層面に接着層を
介して接着されたシート状脱酸素体において、該接着層
を貫通する通気孔を設けることによって脱酸素樹脂層か
ら脱臭層への通気が容易となり、脱臭層は脱臭性能を十
分に発揮することができる。
【0012】本発明に係る上記ラベル型脱酸素剤におい
ては、脱臭層が脱臭性能を十分に発揮するためには、シ
ート状脱酸素体の接着層を貫通する通気孔1個の大きさ
(投影面積)が少なくとも0.01mm2 以上であり、か
つ通気孔の数が接着層の面積(投影面積)1cm2 当たり
1〜5000個であることが好ましい。また前記通気孔
がシート状脱酸素体の脱臭層側表面から接着層を貫通し
て脱酸素樹脂層に通じていることが好ましい。
【0013】また本発明は、柔軟性と消臭性を同時に改
良したラベル型脱酸素剤に関する。即ち、セパレーター
層、セパレーター層側に粘着面を備えたベース層、熱可
塑性樹脂に脱酸素剤組成物を分散した脱酸素樹脂層から
なるシート状脱酸素体及び通気性層がこの順に積層さ
れ、かつ周辺部ではベース層と通気性層とが間にシート
状脱酸素体が存することなく接着されてなるラベル型脱
酸素剤において、前記シート状脱酸素体が、該シート状
脱酸素体の少なくともどちらか一方の面より反対の面に
向けて切れ込みを入れたものであり、かつ脱酸素樹脂層
のベース層側の面に脱臭層が接着層を介して配され該接
着層を貫通する通気孔が設けられてなるものであること
を特徴とするラベル型脱酸素剤を提供する。
【0014】さらに本発明は、帯状のセパレーター層
に、粘着面を有するベース層、脱酸素樹脂層および通気
性層からなる積層体(ラベル型脱酸素剤)が断続的に連
なって粘着されてなるラベル型脱酸素剤を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明を図面に沿って説明する。
本発明のラベル型脱酸素剤の構成例を図1及び図2に示
す。図1は、セパレーター層40、基材32に接着層3
1と粘着層33が配されたベース層30、シート状脱酸
素体20及び通気性層10がこの順に積層され、かつシ
ート状脱酸素体20の周辺外縁部では通気性層とベース
層とが直接接着されて脱酸素樹脂層の露出がないように
した脱酸素剤であり、また、図2は、上記のベース層3
0(3層よりなる)の代わりに基材に粘着物質が含浸さ
れたベース層34(1層よりなる)を使用した例であ
り、一層シンプルな構成のラベル型脱酸素剤である。ま
た図3及び図4には、図1及び図2に示したラベル型脱
酸素剤を連続体にした例を示す。即ち、帯状のセパレー
ター層上に、粘着層を有するベース層30またはベース
層34、シート状脱酸素体20および通気性層10から
なる積層体(ラベル型脱酸素剤)が断続的に連なって粘
着されたラベル型脱酸素剤の連続体である。食品の自動
包装適用時には、この連続体の商品形態で使用される。
【0016】本発明では、ラベル型脱酸素剤に柔軟性を
付与するために、図1乃至図4のラベル型脱酸素剤のシ
ート状脱酸素体(脱酸素樹脂層)20には少なくともど
ちらか一方の面より反対面へ向けて切れ込み(ハーフカ
ット)が入れられる。図5は切れ込み24を入れたシー
ト状脱酸素体(脱酸素樹脂層)20の例の断面を示し、
図6は切れ込み24がシート状脱酸素体(脱酸素樹脂
層)20の表面に刻む文様(パターン)の例を示す。例
えば、図5−1はシート状脱酸素体(脱酸素樹脂層)の
一面から入れた切れ込みを示し、図5−3は交互に両面
から入れた切れ込みを示す。切れ込みは必ずしも図5の
例に限らず、同じ断面の両側から切れ込みを入れて中央
部分を残したものであってもよい。またシート状脱酸素
体が脱酸素樹脂層21に脱臭層等の層を積層した多層体
の場合、図5−2に示すように、切れ込み24が脱酸素
樹脂層21を突き抜けることがあってもよい。
【0017】シート状脱酸素体(脱酸素樹脂層)表面の
切れ込み線の長さの総和は、十分な柔軟性を付与するた
めには、シート状脱酸素体の大きさ(投影面積)に対し
て0.02mm/mm2 以上であることが好ましい。また切
れ込みの深さは、シート状脱酸素体の厚みに対してシー
トが全ての部分で切り離されることがない範囲で、切れ
込みを入れた部分が0.01〜0.5mmの厚みで残るよ
うな深さに適当に選ぶことが好ましい。切れ込みが浅く
て残る厚みが0.5mmをこえるようだと効果はあまり期
待できない。切れ込みは深いほど製品の柔軟性が増す
が、深くなりすぎて残った部分の厚みが0.01mm未満
になると強度が弱くなり、製造過程で切れたり脱落した
りし易く、取り扱い難くなるために好ましくない。切れ
込みの深さは必ずしも一様である必要はなく、また、シ
ートが切り離されることがない限り、部分的に突き抜け
る部分があってもよい。
【0018】シート状脱酸素体に入れた切れ込みがシー
ト表面に描く線は、直線でも曲線でもよく、その線は必
ずしも連続線でなくてもよく、例えば、ミシン目のよう
な点線や断続した線であってもよい。要するに、描いた
線の長さの総和が投影面積に対して好ましくは0.02
mm/mm2 以上であり、線の描く形状も、目的に合致した
柔軟性が得られれば必ずしも制限されない。
【0019】切れ込み線は表面に均一に分布させるのが
好ましく、縦横に曲がる柔軟性を与えるパターンが汎用
的で好ましい。パターンの例が図6に示される。切れ込
み線の方向はシートの所望の曲げ方向に応じて入れるの
が好ましく、例えば、図6−1の格子状や図6−2の菱
形状パターンを選ぶと二方向に柔軟性をもたせることが
できる。斜め方向の柔軟性が求められる場合には、例え
ば、菱形状(図6−2)、ストライプ状(図6−3)等
の斜めのパターンにより、目的を達成することができ
る。ただし、所望の曲げ方向が一方向でよい場合、極端
には、シート表面に直線1本の切れ込みで事足りる場合
もあり、このような場合には切れ込みが必ずしもシート
全面に分布する必要はない。
【0020】さらに切れ込みの間隔を密にすることによ
っても、より多方向に自在な柔軟性をもたせることがで
きる。なお、切れ込みの間隔があまり狭くなりすぎる
と、例えば、シート中に保持されている鉄粉等の粒状の
脱酸素成分が脱落し易くなるので、注意する必要があ
る。複雑な曲面等の形態に自在に追随する柔軟性が求め
られる場合があるが、用途に応じてパターンを選び、切
れ込みの深さ、方向を適宜工夫することによって、所望
の柔軟性を付与することができる。
【0021】次に、本発明のラベル型脱酸素剤の脱臭性
能を促進するためには、図1乃至図4のラベル型脱酸素
剤に用いられるシート状脱酸素体20は脱酸素樹脂層の
セパレーター層40側に脱臭層が積層接着されたシート
状脱酸素体であって、シート状脱酸素体20には脱臭層
を接着する接着層を貫通する通気孔が設けられる。図7
は接着層22に通気孔25の設けられたシート状脱酸素
体20の例を示す。図8は接着層に分布する通気孔25
のパターンの例を示す。
【0022】通気孔を設ける手段としては、シート状脱
酸素体に開孔処理を施す方法、シート状脱酸素体の製造
過程で通気性の接着層を用いる方法等が挙げられる。例
えば、多孔性の加熱融着材や通気性接着剤を用いる方
法、接着剤をパターンコートして通気孔を形成する方法
であってもよい。図7−1は接着層22に設けられ通気
孔25の例を示すが、通気孔25は接着層22以外の他
の層を貫くものであってもよい。開孔処理を施す方法と
して、例えば、図7−2は切れ込み24と通気孔25と
を設けたシート状脱酸素体20の例を示す。また図5−
2に示すように、切れ込み24が接着層22を貫通する
場合、切れ込みに本発明の通気孔層の役割を合わせもた
せることができる。特に脱酸素樹脂層に接着層を介して
脱臭層を接着したシート状脱酸素体に脱臭層面から開孔
処理する方法は、通気孔が脱臭層を貫通するために脱臭
効果がきわめて良く、製造のし易さやコストの観点から
も、この方法が最も好ましい。なお、図7−3はシート
状脱酸素体20の脱臭層面から穿孔した通気孔25を示
し、通気孔25は接着層22を貫通して脱酸素樹脂層2
1に通じていればよく、脱酸素樹脂層21を突き抜けて
いても突き抜けていなくてもよい。
【0023】シート状脱酸素体に設けた脱臭層に十分脱
臭性能を発揮させるためには、接着層を貫通する通気孔
1個の大きさ(投影面積)は少なくとも0.01mm2
上であり、かつ通気孔の数が接着層の面積(投影面積)
1cm2 当たり1〜5000個の範囲に適宜選ぶことがで
きる。通気孔が大きなものであっても、また通気孔の数
が多くても一部に偏っていると十分機能しないので好ま
しくない。一般に通気孔は均一に広く分布しているのが
好ましいが、必ずしもシート全面に分布する必要はな
く、用途や目的に応じて、分布パターンを適宜工夫する
ことによって目的を達成することができる。
【0024】以下にラベル型脱酸素剤の構成をさらに具
体的に説明する。 (1)シート状脱酸素体 シート状脱酸素体は熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成物を分
散した脱酸素樹脂層からなる。脱酸素樹脂層は、目的に
合致するものであれば、含まれる脱酸素剤組成物、製法
等は必ずしも限定されず、本発明では、従来提案されて
いる各種の熱可塑性樹脂を用いた脱酸素性シートをシー
ト状脱酸素体として切れ込み処理あるいは開孔処理を施
して用いることができる。
【0025】例えば、還元性の無機物や有機物を主剤と
する脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂に分散させシート化
したもの、またポリオレフィン、ポリアミド等の熱可塑
性樹脂中にコバルト、鉄等の遷移金属触媒を分散したも
の等をシート化したものが挙げられる。中でも脱酸素性
能の点から、鉄粉主剤の脱酸素剤組成物を含む樹脂シー
トが好ましく、特に、熱可塑性樹脂に鉄粉主剤の脱酸素
組成物を分散した樹脂シートを延伸して微多孔質化した
シートが好適に用いられる。
【0026】脱酸素樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂と
しては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポ
リメチルペンテン等のオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0027】脱酸素剤組成物としては、例えば、鉄粉等
に代表される金属成分を主剤とする金属系組成物、また
アスコルビン酸類、多価アルコール類、多価フェノール
類等の有機成分を主剤とする有機系組成物等を挙げるこ
とができるが、前記のように、鉄粉系脱酸素剤組成物が
好ましい。鉄粉系脱酸素剤組成物は鉄粉及びハロゲン化
金属塩を含み、さらに必要に応じて、活性炭、水難溶性
フィラー等の成分を添加することができ、特に鉄粉の表
面にハロゲン化金属塩を被覆又は分散付着させたものが
好適に用いられる。鉄粉系脱酸素剤組成物に用いられる
鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉
等が好ましく、鉄粉粒子は細かい方が好ましく、平均粒
径100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ま
しい。ハロゲン化金属としては、例えば、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩
化マグネシウム等が用いられる。ハロゲン化金属は、鉄
粉100重量部に対し、0.1〜15重量部、好ましく
は0.1〜5重量部の範囲で用いられる。
【0028】シート状脱酸素体として、前記の熱可塑性
樹脂15〜75重量%に対し鉄粉系脱酸素剤組成物を8
5〜25重量%の割合で混練、溶融してシート化し、少
なくとも1軸方向に延伸される。延伸倍率は1.5〜1
0倍が好ましく、3〜10倍がさらに好ましい。シート
は延伸によって微多孔質化される。シート状脱酸素体の
厚さは0.05〜2.9mmの範囲に目的や用途に応じ
適宜選ぶのが好ましい。本発明のラベル型脱酸素剤が片
面吸収タイプのシート状脱酸素剤として実用レベルの脱
酸素性能を有するためには、シート状脱酸素体の酸素吸
収速度は好ましくは100ml/m2・Hr(25℃)以上、
より好ましくは200ml/m2・Hr(25℃)以上が必要
であり、前記延伸微多孔質化した樹脂シートは最も目的
に適うものである。
【0029】酸素吸収反応に水分を必要とする上記シー
ト状脱酸素体は、水分依存型、自力反応型何れの脱酸素
剤としても使用できるが、保存対象物から蒸散する水分
を利用する水分依存型脱酸素剤として使用する方が製造
上また取扱上からも好ましい。また、吸湿、保水、酸素
以外のガス吸着、ガス発生、脱臭等の目的で別に層を積
層することができる。この場合、脱酸素樹脂層の酸素吸
収性能を阻害しないように、別に設ける層は、通常、脱
酸素樹脂層の通気性層に面する側とは反対の面に積層接
着される。このため、脱酸素樹脂層と別に設けた層間の
通気を促進するためには、接着層に通気孔を設けるのが
好ましく、特に脱臭層の場合には、前記接着層の開孔処
理により脱臭効果が著しく改善される。
【0030】脱臭層は活性炭素材を含有する層が好まし
く、活性炭素材を含有する層としては、粉末活性炭とパ
ルプ等を主成分とするバインダーとを混合し抄紙した層
(活性炭紙と略称)、または繊維状活性炭素と樹脂繊維
とを不織布状とした層が挙げられるが、コスト、取扱い
性などの点から活性炭紙が好ましい。活性炭紙の活性炭
含有量は通常5%以上が好ましい。また活性炭は粒径が
200メッシュふるいを通過する200メッシュアンダ
ーが好ましく、350メッシュアンダーの粉末活性炭が
より好ましい。脱臭層の接着方法としては、通常用いら
れる押出しラミネート法、ドライラミネート法、ホット
メルト接着法が挙げられるが、特に押出しラミネート法
が好ましい。
【0031】(2)通気性層 通気性層は、上記シート状脱酸素体を被覆して被保存物
との接触を防止すると共に、脱酸素樹脂層が酸素を吸収
するために、酸素更には水分の透過を適切に調節する機
能を有する層である。
【0032】通気性層としては、脱酸素剤包装体の包材
として一般に使用されている通気性材料が使用できる。
例えば、紙の片面または両面に有孔フィルムを積層した
包材、耐水性不織布、ポリオレフィン微多孔フィルム、
合成紙などの単層包材またはこれら単層包材と他の通気
性フィルムとの複合材等が挙げられる。さらに、表面の
通気性は小さく断面の通気性を利用する、各種の断面通
気性積層包材の使用も可能である。なお、通気性層とベ
ース層との接着が粘着剤または接着剤による場合には通
気性層として、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリメチル
ペンテンの単層フィルム、またはファブリック、紙の単
層等、ヒートシール性に優れない材料も使用できる。ま
た、保存対象物が液体をはじめ高水分のものである場
合、耐液性の通気性材料を選ぶことにより、シート状脱
酸素体からの鉄錆等の溶出を防止することができる。ま
た、通気性層の表面に文字、記号等を表示するには、最
外層が有孔または無孔の透明フィルムの通気性積層材料
が望ましく、透明フィルムの内面にインキ層を位置させ
ることにより、インキが被保存物に接触転写することを
防止できる。
【0033】通気性層は、シート状脱酸素体より寸法の
大きい通気性層を用い、シート状脱酸素体断面の露出を
防ぐために、図1のごとく、シート状脱酸素体の外周部
でベース層の接着層を介して通気性層をベース層と接着
するのが好ましい。なお、通気性層は下層の脱酸素樹脂
層に接着固定していてもしていなくてよいが、接着固定
する場合には、通気性層の通気性を妨げないよう配慮す
る必要がある。
【0034】(3)ベース層 ベース層は、少なくとも片面が粘着性の基材からなり、
例えば、図1に示すように基材の片面に粘着層を配し他
面に接着層を配したものでもよいし、図2に示すように
基材に粘着性物質が含浸された両面が粘着性の基材でも
よい。また基材の片面に粘着層を配し他面はシール層と
して通気性層と熱圧着が可能にした基材であってもよ
い。また通気性層が接着性を有する場合には、基材の片
面に粘着面を設けるのみでも差し支えない。
【0035】ベース層の粘着面は、ベース層とセパレー
ター層とを粘着する役割を果たすと共に、ラベル型脱酸
素剤の使用時には、セパレーター層を剥がした後、露出
した粘着面を介してラベル型脱酸素剤を容器に貼着固定
化する役割を果たす。粘着面あるいは粘着層を構成する
物質としては、主成分として、例えば、アクリルタイ
プ、スチレン−イソプレン−スチレンタイプ、スチレン
−ブタジエンタイプ、スチレン−ブタジエン−スチレン
タイプ、スチレン−エチレン/ ブチレン−スチレンタイ
プからなるコポリマーまたはブロックコポリマーの中の
一種類またはそれらの組み合わせを用いるのがよい。ま
た、粘着力の調整のために、これらの主成分の他にタッ
キファイヤーなどの添加剤を適宜加えたものでもよい。
【0036】ベース層の基材としては、プラスチックフ
ィルム、不織布、紙等が用いられる。基材としてプラス
チックフィルムを用いて片面に粘着層を設け他面に接着
層を設けてもよいし、片面に粘着層を設け他面に熱可塑
性樹脂フィルムをラミネートしシール層を設けてもよ
い。また、基材として不織布を用いて粘着性物質が含浸
された状態にし両面を粘着性にしてもよい。
【0037】ベース層に用いた基材の粘着面側に各種の
表示を印刷し、印刷面を透明にすることにより、表示ラ
ベルの機能をもたせることができる。この場合、商品
名、注意書き等の印刷表示は、ラベル型脱酸素剤を内側
に貼着した透明な包装体の外側から容易に確認できる。
また、印刷に隠蔽性をもたせたり、あるいは不透明な基
材を用いたりすることは、ラベル型脱酸素剤の内部を隠
蔽して美観を保ち、商品価値を高める意味で好ましい。
【0038】(4)セパレーター層 セパレーター層は、ベース層の粘着面を保護する役割を
果たすと共に、ラベル型脱酸素剤の連なった連続ラベル
形成の支持材として機能する層であり、ラベル型脱酸素
剤の使用時には剥離される。セパレーター層としては、
シリコン樹脂、パラフィンワックス等の離型剤をコート
した紙、フィルム、金属箔等が使用できる。離型剤の種
類は、ベース層に設けられた粘着性物質の特性に応じて
適度な剥離性が得られるように選ばれる。
【0039】セパレーター層の材料は、ラベル型脱酸素
剤または連続ラベル型脱酸素剤の製造および使用の際に
要求される機械的強度を満たすものであればよく、加工
条件によって他の層との間に寸法差が生じ、反り、剥離
等が発生しないよう、剛性、収縮率、吸湿性等を考慮し
て適宜選択される。一般的には紙が用いられるが、近年
の食品製造環境無塵化の動きに対応するには、加工時に
紙粉の発生しない、フィルムまたは金属箔を用いること
が好ましい。
【0040】本発明のラベル型脱酸素剤においては、上
記セパレーター層、粘着面を有するベース層、脱酸素樹
脂層からなるシート状脱酸素体及び通気性層が順に積層
される。また、帯状のセパレーター層に、粘着面を有す
るベース層、脱酸素樹脂層および通気性層の積層された
ラベル型脱酸素剤が断続的に連なって粘着されることに
より、ラベル型脱酸素剤の連続体が形成される。
【0041】上記の構成からなる本発明のラベル型脱酸
素剤は、平板状で表面は平滑で薄く、十分な柔軟性を備
え、貼着固定性がよく、また違物感もない。その厚さは
0.1〜5mmの範囲、好ましくは0.2〜3mmの範
囲に選ばれるが、連続体の巻き取り、貼着機での取扱い
に支障を来さないためには薄い方がよい。また、形状
も、使用目的に応じて、例えば、方形、長方形、円形、
楕円形等、自在に選択することができる。
【0042】本発明のラベル型脱酸素剤を製造するに
は、例えば次の方法が採用される。 (1)片面にセパレーター層を粘着させ他面に粘着面を
有するセパレーター層付ベース層を準備する。この粘着
面に、シート状脱酸素体を粘着固定し、その上から通気
性層をベース層を完全に覆うように重ね合わせ、押圧し
て通気性層をベース層に完全に粘着させる。次いで、抜
き型にてシート状脱酸素体周縁より外側を上からベース
層まで型抜き(半抜き)し、最後に、余分となった外側
のベース層及び通気性層をセパレーター層から剥がし去
ることによって、ラベル型脱酸素剤が製造される。
【0043】(2)片面にセパレーター層を粘着させ他
面にヒートシール材面を有するセパレーター層付ベース
層を準備する。通気性層の下にシート状脱酸素体を保持
し、セパレーター層付ベース層のヒートシール材面上に
重ね合わせる。この上から、所定の形状の加熱用治具を
押し当ててシート状脱酸素体の外周部でベース層と通気
性とを加熱接着する。最後に、抜き型で加熱接着部の外
縁をセパレーター層を残して半抜きし、半抜きして余分
な外側のベース層及び通気性層をセパレーター層から剥
がし去ることによって、ラベル型脱酸素剤が製造され
る。
【0044】(3)通気性接着面を設けた通気性層の通
気性接着面にシート状脱酸素体を接着する。この上に、
片面にセパレーター層を粘着させたベース層を重ね、シ
ート状脱酸素体の外周部でベース層と通気性層とを通気
性接着面を介し接着する。最後に、抜き型で接着部の外
縁を半抜きし、半抜きした外側の余分な部分をセパレー
ター層から剥がし去ることにより、ラベル型脱酸素剤が
製造される。
【0045】上記の何れの方法でも、帯状のセパレータ
ー層の上にラベル型脱酸素剤が間欠的に連なってなるラ
ベル型脱酸素剤の連続体を容易に製造することができ、
製造工程を連続化することも可能である。勿論、上記の
方法で、半抜きせず、抜き型をセパレーター層まで貫通
させて抜き切れば、個別品を得ることができる。また連
続体を切断することによっても、個別品の製造ができ
る。尚、本発明のラベル型脱酸素剤の製造方法は、本発
明の要件を満たすものであればよく、上記方法に必ずし
も制限されない。
【0046】
【実施例】実施例により本発明を説明する。尚、本発明
は実施例に限定されない。 〔実施例1〕〔比較例1〕〔比較例2〕 シート状脱酸素体の製造:鉄粉100重量部に対して塩
化ナトリウム3重量部の割合で塩化ナトリウムを被覆し
た鉄粉(平均粒径70μm)100重量部とポリエチレ
ン100重量部とを190℃で混練押出ししてシート状
とした後、縦方向4倍に延伸して微多孔質化してシート
状脱酸素体の原反となる脱酸素樹脂シート(厚さ1m
m)を製造した。この脱酸素樹脂シートの酸素吸収速度
は200ml/m2・Hr(25℃)以上であった。
【0047】得られた原反の脱酸素樹脂シートを、刃幅
0.15mm、刃角度40度の刃を格子間隔4mm、斜
め45度、平行格子状に備えるロ−ルを通して切れ込み
深さがシート残部の厚み0.06mmとなるように押圧
し、原反シートに斜め45度平行格子状切れ込み(格子
間隔4mm、シート残部の厚み0.06mm)を入れ
た。続いて切れ込み処理した原反シートを長方形(長辺
40mm×短辺18mm)に型抜きし、長方形シート状
脱酸素体を準備した。また原反の脱酸素樹脂シートをそ
のまま同じ形状に型抜きし、比較のための長方形シート
状脱酸素体を作製した。
【0048】別に、両面に合成ゴムエラストマー系粘着
剤を塗工した乳白色ポリプロピレンフィルム(厚さ40
μm、幅100mm)の一面にシリコンコート紙(離型
紙)を貼着したものをセパレーター層付きベース層とし
て、また、高密度ポリエチレンスパンボンド不織布(商
品名;タイベック、デュポン社製)を通気性層として準
備した。
【0049】ラベル型脱酸素剤の製造:まず第1工程
で、帯状長尺のセパレーター層付きベース層(巾36m
m)の粘着面上に、切れ込み面を上にした長方形シート
状脱酸素体(長辺40mm×短辺18mm、厚さ1m
m)を長方形の短辺を直角方向にして57mm間隔で断
続的に貼着し、第2工程で、前工程からのシートの上に
通気性層を通気性粘着シート面を下にして重ね押圧し、
長方形シート状脱酸素体の周縁外部では通気性層とベー
ス層とを固着し、第3工程で、間に挟まれた長方形シー
ト状脱酸素体に照準を合わせて上から抜き型(長方形;
長辺54mm×短辺30mm)を前工程からのシートに
下ろし、一番下のセパレーター層を残して上から通気性
層とベース層まで長方形に打ち抜き、最後の第4工程で
は、型抜きした長方形のシート状酸素体の部分を残して
通気性層とベース層を剥ぎ取り、最後に、帯状のセパレ
ーター層(離型紙)上に長方形ラベル型脱酸素剤(長辺
54mm×短辺30mm)が貼着されたラベル型脱酸素
剤連続体をロール(紙管、外径90mm)に巻き取っ
た。ここでは、斜め45度平行格子状切れ込みを入れた
シート状脱酸素体および切れ込みなしのシート状脱酸素
体を用いてラベル型脱酸素剤の製造を行い、得られたラ
ベル型脱酸素剤を、それぞれ、ラベル型脱酸素剤Aおよ
びラベル型脱酸素剤Xとした。
【0050】ラベル型脱酸素剤を自動貼着する3方ピロ
ーシール包装:横ピロー型包装機(ポリスター社製)に
自動ラベラー(EDM社製)を付設した自動包装装置に
より、次のごとく、ラベル型脱酸素剤A及びラベル型脱
酸素剤Xのロール巻き連続体を用い、背貼り(ピロー)
側にラベル型脱酸素剤を貼着した3方ピローシール包装
袋にドラ焼き(餡入り焼きまんじゅう)を封入したドラ
焼き包装体を製造した。それぞれ、ラベル型脱酸素剤A
を用いた場合を実施例1、ラベル型脱酸素剤Xを用いた
場合を比較例1とした。また比較例2として、ラベル型
脱酸素剤を貼着することなくドラ焼き包装体の製造を行
なった。
【0051】まず横ピロー型包装機に連続的に繰り出さ
れる透明ガスバリアー性フィルム(構成;KON(15
μm)/PE(20μm)/LLDPE(60μm)、
巾285mm)の袋の内面になるLLDPE面に、自動
ラベラーにより、ラベル型脱酸素剤が袋の背貼り側にく
るようにフィルムの片端から32mmの位置を中心位置
にして130mm間隔で、セパレーター層を剥がしたラ
ベル型脱酸素剤を貼り付けた。続く工程で、ラベル型脱
酸素剤を貼着したフィルムをフォーマーで反転させ、背
貼り部を形成しながらヒートシールを行うとともに、ラ
ベル型脱酸素剤1個単位で貼着した袋部に自動的にドラ
焼き1個を投入し、次に袋口部(次の袋底シール部にも
なる)のヒートシールを行い、最後に、このヒートシー
ル部を切断し、次々と連続的に、3方ピローシール包装
袋(寸法;130mm×120mm)に円形のドラ焼き
(外径約80mm、厚み約30mm)を密封包装したド
ラ焼き包装体を製造した。
【0052】それぞれ、包装工程の状況を比較すると、
ラベル型脱酸素剤A(斜め45度格子状切れ込み)を用
いた実施例1の場合、フォーマーでラベル型脱酸素剤は
フィルムに良く追随して、ラベル型脱酸素剤を貼着しな
かった比較例2の場合と変わりなく、フィルムが蛇行す
ることもなく、背貼りも正常で袋の所定位置にラベル型
脱酸素剤が貼着され、ヒートシールにも異常なく包装状
態は良好であった。これに対してラベル型脱酸素剤X
(切れ込みなし)を用いた比較例1の場合、ラベル型脱
酸素剤を貼着したフィルムをフォーマーで反転させた際
に、ラベル型脱酸素剤に十分な柔軟性がないために、ラ
ベル型脱酸素剤がフィルムの曲がりに十分追随せず、フ
ィルムに異常な張力がかかり、時にはラベル型脱酸素剤
が脱離したり接着不良となったり、その上、フィルムが
蛇行して、背貼りの位置がズレたりシール不良を起こし
たりして、種々トラブルが起こり、結局、ラベル型脱酸
素剤を適正に貼着した包装体は円滑に製造できなかっ
た。この結果、本発明のラベル型脱酸素剤の自動貼着包
装への適応性の良好なことが確認された。
【0053】また、切れ込みなしのラベル型脱酸素剤X
のロール巻き連続体を保管しておくと巻き癖がつき易
く、これを使用した比較例1の場合、自動ラベラーでラ
ベル型脱酸素剤をフィルムに貼着する際に巻き癖がとれ
ず、ラベル型脱酸素剤の接着強度にバラつきが生じ、貼
着不良のトラブルがより激しく起こった。しかし、切れ
込み入りのラベル型脱酸素剤Bのロール巻き連続体は長
期保存しても巻き癖がつき難く、また巻き癖がついても
使用時には簡単にとれて、貼着不良を起こすことはなか
った。次の実施例2と比較例3の自動ラベラーによるフ
ィルムへの貼着においても、同様に巻き癖に対する切れ
込みの効果が顕著に認められた。
【0054】ドラ焼きの保存試験:実施例1(ラベル型
脱酸素剤貼着あり)及び比較例2(ラベル型脱酸素剤貼
着なし)の2種のドラ焼き包装体各4個を25℃の室内
に保存し、10日後、袋内の酸素濃度をガスクロマトグ
ラフにて測定した後、開封してドラ焼きの性状を検査し
た。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】〔実施例2〕〔比較例3〕〔比較例4〕 ラベル型脱酸素剤の製造:実施例1で製造した原反の脱
酸素樹脂シート(厚み1mm)を縦横平行格子状の切れ
込み刃を備えたロールを通して縦横平行格子状切れ込み
(格子間隔4mm、シート残部の厚み0.06mm)を
入れたのち、このシートを型抜きして長方形シート状脱
酸素体(長辺40mm×短辺18mm)を準備した。切
れ込み処理した長方形シート状脱酸素体を用い、実施例
1と同様に、ラベル型脱酸素剤Bのロール巻き連続体を
製造した。
【0057】トップフィルムにラベル型脱酸素剤を自動
貼着するトレー包装:深絞り包装機(ムルチバッグ社
製)に多列式自動ラベラー(MR社製)を備えた多列自
動包装装置により、次に説明するように、それぞれ、ラ
ベル型脱酸素剤B(縦横平行格子状切れ込み)及び前記
ラベル型脱酸素剤X(切れ込みなし)のロール巻き連続
体を用い、ラベル型脱酸素剤を貼着したスライスハム包
装体の製造を行なった。それぞれ、ラベル型脱酸素剤B
を用いた場合を実施例2、ラベル型脱酸素剤Xを用いた
場合を比較例3とする。また比較例4として、ラベル型
脱酸素剤を貼着しないスライスハム包装体の製造を行な
った。
【0058】深絞り包装機において、シートをトレー
(寸法;縦180mm×横200mm×深さ10mm)
に成形して円形スライスハム(外径約130mm)3枚
約100gを投入したスライスハム入りトレーの3列の
流れに対して、このトレーのトップフィルムとして連続
的に繰り出される前記実施例1と同じ透明ガスバリアー
性フィルムのLLDPE面に、多列式自動ラベラーによ
りラベル型脱酸素剤を3列平行に所定間隔で断続的に貼
着し、続けてラベル型脱酸素剤を貼着したフィルムをタ
ーンロールで反転させ、ラベル型脱酸素剤を貼着した面
を内面にして前記スライスハム入りトレーの上に重ね、
酸素濃度約5%となる様に窒素置換を行いながらトレー
の外周縁部でフィルムとトレーとをヒートシールして、
3列自動貼着包装方式で、連続的にスライスハム包装体
を製造した。
【0059】それぞれ、自動貼着包装工程の状況を比較
すると、ラベル型脱酸素剤X(切れ込みなし)を用いた
比較例3の場合、ラベル型脱酸素剤を貼着したフィルム
をターンロールで反転させた際に、ラベル型脱酸素剤の
柔軟性が十分でないために、ターンロールの形状に十分
追随することができず、一旦貼着したラベル型脱酸素剤
が脱離したり、脱離しなくても接着不良となり、結果と
して、スライスハム包装体内にラベル型脱酸素剤の同封
されないもの、貼着されていても工程中で包装体内で脱
離するもの等、ラベル型脱酸素剤の貼着にバラつきが起
こることが判明した。またロール巻きラベル型脱酸素剤
連続体の巻き癖に伴うトラブルも頻発した。これに対し
ラベル型脱酸素剤B(縦横平行格子状切れ込み)を用い
た実施例2の場合は、巻き癖トラブルもなく、フィルム
に貼着したラベル型脱酸素剤はターンロールで反転させ
ても何ら問題はなく、スライスハム包装体の自動貼着包
装は良好に行われた。
【0060】スライスハムの保存試験:実施例2及び比
較例4の2種のスライスハム包装体各4個を、5℃で暗
所に3日間置いた後、5℃で蛍光灯の照射下に24日間
保存した。その後袋内の酸素濃度をガスクロマトグラフ
にて測定した後、開封してスライスハムの性状を検査し
た。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】〔実施例3〕〔比較例5〕 脱臭層付きラベル型脱酸素剤の製造:実施例1と同じよ
うに塩化ナトリウムを被覆した鉄粉(平均粒径70μ
m)とポリエチレンとを190℃で混練押出ししてシー
ト化した後、縦方向6倍に延伸し微多孔質化した厚さ8
00μmの脱酸素樹脂シートを準備した。さらにこの脱
酸素樹脂シートに、押出しラミネートによる低密度ポリ
エチレンの接着層(厚さ30μm)を介して、パルプ8
7重量部に粒径が325メッシュふるい通過のの粉末活
性炭13重量部の割合で混合、抄紙した活性炭紙(厚さ
70μm)を積層し、脱臭層付きシート状脱酸素体(厚
さ900μm)の原反シートを製造した。
【0063】上記の脱臭層付きシート状脱酸素体の原反
シートを、ロ─ル表面に幅方向2mm間隔、長手方向2
mm間隔で金属針(径0.7mm、長さ1mm、針先角
度35度)を多数備えた針付きロールに脱臭層面から押
圧し、シートに脱臭層面からポリエチレンの接着層を貫
通して脱酸素樹脂層に通じる通気孔を開けた(接着層の
通気孔1個の大きさ0.02〜0.04mm2 )。次い
で開孔処理した脱臭層付きシート状脱酸素体を長方形
(長辺40mm×短辺18mm)に型抜きし、得られた
長方形シート状脱酸素体の脱酸素樹脂層側を上にして、
実施例1と同じように、ラベル型脱酸素剤Cを製造し
た。比較のために、開孔処理しない脱臭層付シート状脱
酸素体の原反シートを用い同様に、ラベル型脱酸素剤Y
を製造した。
【0064】パイ菓子の保存試験:まず、セパレータ層
を剥がして前記ラベル型脱酸素剤1個を透明ガスバリア
ー性フィルムの3方ピローシール包装袋(寸法;130
mm×120mm)の内面に貼着し、パイ菓子(餡をパ
イでくるんだ菓子)1個を入れた後、ヒートシールして
パイ菓子包装体を製造した。それぞれ、ラベル型脱酸素
剤C及びラベル型脱酸素剤Yを貼着したパイ菓子包装体
を各複数個25℃の室内に保存して保存試験を行った。
所定期間経過したパイ菓子包装体を、袋内の酸素濃度を
分析した後、開封してパイ菓子の性状を検査すると共に
臭気について官能検査を行った。臭気検査の結果を表3
に示す。
【0065】
【表3】
【0066】表3に明らかなように、開孔処理しないラ
ベル型脱酸素剤Yを用いた比較例5のパイ菓子に臭いに
異常が認められた。比較例5の場合、ラベル型脱酸素剤
Cを用いた実施例3の場合と同様、密封包装体内の酸素
濃度は0.01%以下に保たれ、臭気異常の点を除け
ば、パイ菓子の性状は実施例3と変わりなかった。
【0067】〔実施例4〕〔実施例5〕〔実施例6〕 実施例3で開孔処理した脱臭層付シート状脱酸素体(厚
み0.9mm)の原反シートおよび未開孔処理の原反シ
ート(厚み0.9mm)に、実施例1と同様、斜め45
度平行格子状切れ込み刃(格子間隔4mm)を備えたロ
ールを用い、シート残部の厚みが0.12mm残るよう
に脱酸素樹脂層側から切れ込みを入れた後、シートを型
抜きして長方形シート状脱酸素体(長辺40mm×短辺
18mm)を得た。それぞれ、得られた長方形シート状
脱酸素体を用い、脱酸素樹脂層側を上にして、実施例1
と同じように、ラベル型脱酸素剤Dおよびラベル型脱酸
素剤Eを製造した。前記未開孔処理の脱臭層付シート状
脱酸素体を用いたラベル型脱酸素剤Eではシート状脱酸
素体の脱酸素樹脂層に入れた切れ込みが接着層に達して
いないが、別に未開孔処理の脱臭層付シート状脱酸素体
に接着層を貫通して脱臭層に達しシート残部の厚みの
0.06mmとなる切れ込みを入れたラベル型脱酸素剤
Fを作製した。
【0068】格子間隔4mmの斜め平行格子状切れ込み
を入れた上記3種のラベル型脱酸素剤のロール巻き連続
体を用い、自動ラベラーを備えた横ピロー型自動包装装
置により、実施例1と同様にして、内部の背貼り側にラ
ベル型脱酸素剤1個を貼着した透明ガスバリアー性3方
ピローシール包装袋(寸法;130mm×120mm)
にパイ菓子を封入したパイ菓子包装体の製造を行った。
ラベル型脱酸素剤D、ラベル型脱酸素剤Eおよびラベル
型脱酸素剤Fを用いた場合を、それぞれ、実施例4、実
施例5および実施例6とする。いずれの場合も、ラベル
型脱酸素剤の自動貼着は適正に行われ、パイ菓子包装体
の自動包装作業は正常に進行した。
【0069】ラベル型脱酸素剤を貼着、密封包装したパ
イ菓子包装体を各複数個25℃の室内に保存した。所定
期間経過したパイ菓子包装体内の酸素濃度を分析した後
開封してパイ菓子の性状を検査すると共に臭気について
官能検査を行った。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】表4に明らかなように、シート状脱酸素体
の切れ込みが接着層に達せず脱臭層に通気孔の形成され
なかったラベル型脱酸素剤Eを用いた実施例5の場合、
食品の自動包装は順調であり、パイ菓子の性状保持も良
好であったが、保存後に金属臭が認められた。一方、脱
臭層に通気孔を形成させたラベル型脱酸素剤D又はFを
用いた実施例4と実施例6の場合には、食品の自動包装
が順調な上に、保存後に金属臭もなくパイ菓子の保存は
極めて良好であった。保存する食品の種類によっては、
柔軟性と消臭性を共に改良したラベル型脱酸素剤の適用
が必要である。
【0072】
【発明の効果】本発明のラベル型脱酸素剤は、シート状
脱酸素体に切れ込みを入れたをことにより、十分な柔軟
性を備え、被貼着物の複雑な形態に追随し、密着して貼
着が可能であるだけでなく、一旦貼着した後も被貼着物
の形態変化にも柔軟に追随することでき、接着不全や脱
離を起こすようなことがない。殊にラベル型脱酸素剤を
自動貼着したフィルムをもって包装袋を形成しながら被
包装物を自動包装するような場合にも、ラベル型脱酸素
剤の貼着不良のみならず、貼着したラベル型脱酸素剤の
柔軟性欠如に起因するフィルムの蛇行やシール不良など
による、包装袋の形成不良トラブルを招くこともない。
本発明のラベル型脱酸素剤は、表面は平滑で薄く、厚
み、量感がないので違和感を感じさせず、取り扱いが容
易であり、確実に固定でき、手動は勿論、自動ラベラー
の導入により、セパレーター層の剥離から貼着まで機械
的に行うことができ、食品などの自動包装工程に自在に
組み込むことが可能となり、脱酸素剤包装作業の省力化
に寄与することができる。
【0073】また本発明のラベル型脱酸素剤が脱臭層を
備えたものにあっては、脱酸素樹脂層との接着層に通気
孔を設けたことによって脱臭性能が大幅に向上し、従来
品に比べて脱臭性能に非常に優れる。このため、使用中
に脱酸素樹脂層から生じる臭気、食品の臭気が変質した
異臭などの臭気が生じることがない。本発明のラベル型
脱酸素剤は、従来の脱酸素剤袋のように破袋して脱酸素
剤がこぼ出す恐れが全くなく、シート状脱酸素体の端面
露出がなく、脱酸素剤組成物の染み出しがなく、このた
め安全衛生性に極めて優れ、その優れた脱酸素性能と脱
臭性能とが相まって、特に微妙な香りや食味の微妙な食
品の品質保持にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラベル型脱酸素剤の断面図の一例
【図2】 ラベル型脱酸素剤の断面図の一例
【図3】 ラベル型脱酸素剤連続体の断面図の一例
【図4】 ラベル型脱酸素剤連続体の断面図の一例
【図5】 切れ込みを入れたシート状酸素体の態様例の
断面図
【図6】 シート状酸素体の表面に刻まれた切れ込みの
文様(パターン)例
【図7】 脱臭層に通気孔を設けたシート状酸素体の態
様例の断面図
【図8】 シート状酸素体の脱臭層面に穿たれた通気孔
の分布の例
【符号の説明】
1 ラベル型脱酸素剤 10 通気性層 20 シート状酸素体 21 脱酸素樹脂層 22 接着層 23 脱臭層 24 切れ込み 25 通気孔 30 ベース層 31 接着層 32 基材 33 粘着層(接着層) 34 ベース層 40 セパレーター層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G09F 3/00 G09F 3/00 Q // A23L 3/3436 A23L 3/3436 (72)発明者 藤村 浩光 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京工場内 (72)発明者 本村 正純 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セパレーター層、セパレーター層側に粘
    着面を備えたベース層、熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成物
    を分散した脱酸素樹脂層からなるシート状脱酸素体及び
    通気性層がこの順に積層され、かつ周辺部ではベース層
    と通気性層とが間にシート状脱酸素体が存することなく
    接着されてなるラベル型脱酸素剤において、前記シート
    状脱酸素体が、該シート状脱酸素体の少なくともどちら
    か一方の面より反対の面に向けて切れ込みを入れたもの
    であることを特徴とするラベル型脱酸素剤。
  2. 【請求項2】 シート状脱酸素体の表面における切れ込
    みの長さの総和がシート状脱酸素体の大きさ(投影面
    積)に対し0.02mm/mm2 以上である請求項1記載の
    ラベル型脱酸素剤。
  3. 【請求項3】 シート状脱酸素体に入れた切れ込みが、
    切れ込みを入れて残る部分の厚みが0.01〜0.5mm
    となる深さに入れられた切れ込みである請求項1乃至請
    求項2記載のラベル型脱酸素剤。
  4. 【請求項4】 前記シート状脱酸素体が、脱酸素樹脂層
    のベース層側の面に脱臭層が接着されてなるシート状脱
    酸素体である請求項1乃至請求項3記載のラベル型脱酸
    素剤。
  5. 【請求項5】 セパレーター層、セパレーター層側に粘
    着面を備えたベース層、熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成物
    を分散した脱酸素樹脂層からなるシート状脱酸素体及び
    通気性層がこの順に積層され、かつ周辺部ではベース層
    と通気性層とが間にシート状脱酸素体が存することなく
    接着されてなるラベル型脱酸素剤において、前記シート
    状脱酸素体が、脱酸素樹脂層のベース層側の面に脱臭層
    が接着層を介して配され、かつ該接着層を貫通する通気
    孔が設けられてなるものであることを特徴とするラベル
    型脱酸素剤。
  6. 【請求項6】 前記接着層を貫通する通気孔1個の大き
    さ(投影面積)が少なくとも0.01mm2 以上であり、
    かつ通気孔の数が接着層の面積(投影面積)1cm2 当た
    り1〜5000個である請求項5記載のラベル型脱酸素
    剤。
  7. 【請求項7】 前記通気孔がシート状脱酸素体の脱臭層
    側表面から接着層を貫通して脱酸素樹脂層に通じている
    請求項5乃至請求項6記載のラベル型脱酸素剤。
  8. 【請求項8】 前記シート状脱酸素体に接着された脱臭
    層がベース層に接着固定されている請求項5乃至請求項
    7記載のラベル型脱酸素剤。
  9. 【請求項9】 セパレーター層、セパレーター層側に粘
    着面を備えたベース層、熱可塑性樹脂に脱酸素剤組成物
    を分散した脱酸素樹脂層からなるシート状脱酸素体及び
    通気性層がこの順に積層され、かつ周辺部ではベース層
    と通気性層とが間にシート状脱酸素体が存することなく
    接着されてなるラベル型脱酸素剤において、前記シート
    状脱酸素体が、該シート状脱酸素体の少なくともどちら
    か一方の面より反対の面に向けて切れ込みを入れたもの
    であり、かつ脱酸素樹脂層のベース層側の面に脱臭層が
    接着層を介して配され該接着層を貫通する通気孔が設け
    られてなるものであることを特徴とするラベル型脱酸素
    剤。
  10. 【請求項10】 脱酸素樹脂層が熱可塑性樹脂に鉄粉主
    剤の脱酸素組成物を分散した樹脂シートを延伸して微多
    孔質化した樹脂層である請求項1乃至請求項9記載のラ
    ベル型脱酸素剤。
  11. 【請求項11】 帯状のセパレーター層に、粘着面を有
    するベース層、脱酸素樹脂層及び通気性層からなる積層
    体が断続的に連なって粘着されてなる請求項1乃至請求
    項10記載のラベル型脱酸素剤。
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