JPH1029076A - 圧延型クラッド鋼板およびその製造方法 - Google Patents

圧延型クラッド鋼板およびその製造方法

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JPH1029076A
JPH1029076A JP18340896A JP18340896A JPH1029076A JP H1029076 A JPH1029076 A JP H1029076A JP 18340896 A JP18340896 A JP 18340896A JP 18340896 A JP18340896 A JP 18340896A JP H1029076 A JPH1029076 A JP H1029076A
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JP
Japan
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slab
base material
steel sheet
inclination
clad steel
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JP18340896A
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English (en)
Inventor
Hideaki Fukai
英明 深井
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】端面での耐食性に優れた圧延型クラッド鋼板お
よびその製造方法を提供すること。 【解決手段】クラッドスラブの組立に際し、板面方向に
対しての鋭角側の角度が45°以下である傾斜を母材ス
ラブの側面に付与し、該母材スラブ側面の傾きに対応す
る傾斜を有する側面合せ材を前記母材スラブの側面に配
置し、合せ材スラブと組合せてクロス圧延する。これに
より、母鋼板と、その側面および上面または上下面に圧
延により接合された合せ材とを有する圧延型クラッド鋼
板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、端面の耐食性に優
れたクラッド鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】厳しい腐食環境下での構造物用材料とし
て、あるいは腐食に起因する欠陥のメンテナンスを長期
にわたり不要にするため、構造物へクラッド鋼板を適用
することが現在頻繁に行われている。
【0003】ところで、このようなクラッド鋼板の適用
に際しては、クラッド鋼板端面において母材がむき出し
になっているために、その端面で腐食しやすいという問
題がある。そこで端面部分の耐食性改善のため、例えば
チタンクラッド鋼板においては、特開昭54−1248
58号公報や、特開昭54−124859号公報に記載
されているように、端面部分にあて板をしたり、あるい
は母材を削除後突き出た合せ材を折り曲げて端面を被覆
する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上面あるいは上下面が
クラッド化された鋼板においては、従来技術で指摘した
ように、合せ材の表面では極めて優れた耐食性を有する
ものの、合せ材が存在しない端面では耐食性が劣るの
で、クラッド鋼板表面において被覆やあて板をするなど
のクラッド鋼板の使用時に複雑な処置が必要となる。さ
らに、チタンクラッド鋼板のように合せ材のチタンと母
材の炭素鋼とが直接溶接することが不可能である場合に
は、従来技術での提案に従って、あて板を使用する方法
や母材を削除後突き出た合せ材を折り曲げ端面を被覆す
る方法を採用した際には、あて板あるいは折り曲げた合
せ材と母材である炭素鋼とを接合しなければならず、そ
の際にはチタンと炭素鋼との直接の接合となるため、不
都合が生じる。
【0005】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、上記不都合を生じることなく、端面での耐食
性に優れた圧延型クラッド鋼板およびその製造方法を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、クラッド
鋼板を実際に使用するにあたり、端面の耐食性を改善す
る方法について鋭意検討した結果、クラッド鋼板製造の
ための圧延時にクラッド鋼板上面あるいは上下面のみで
はなく、側面もクラッド化することによって端面の耐食
性が充分に向上することを見出した。
【0007】すなわち、本発明は、母鋼板と、その側面
および上面または上下面に圧延により接合された合せ材
とを有することを特徴とする圧延型クラッド鋼板を提供
するものである。
【0008】また、本発明は、クラッドスラブの組立に
際し、板面方向に対しての鋭角側の角度が45°以下で
ある傾斜を母材スラブの側面に付与し、該母材スラブ側
面の傾きに対応する傾斜を有する合せ材の部材を前記母
材スラブの側面に配置し、合せ材スラブと組合せてクロ
ス圧延することを特徴とする圧延型クラッド鋼板の製造
方法を提供するものである。
【0009】さらに、本発明は、クラッドスラブの組立
に際し、板面方向に対しての鋭角側の角度が45°以下
である傾斜を母材スラブの側面に付与し、該母材スラブ
側面の傾きに対応する傾斜を有する合せ材の部材を前記
母材スラブの側面に配置し、合せ材スラブと組合せ、さ
らにこのようにして形成された積層金属体の側面に炭素
鋼からなるスペーサーを配置して、該積層金属体を包む
ようにカバー材としての炭素鋼部材と組合せた後、クロ
ス圧延することを特徴とする圧延型クラッド鋼板の製造
方法を提供するものである。
【0010】さらにまた、本発明は、クラッドスラブの
組立に際し、板面方向に対しての鋭角側の角度が45°
以下である傾斜を母材スラブの側面に付与し、該母材ス
ラブ側面の傾きに対応する傾斜を有する合せ材の部材を
前記母材スラブの側面に配置し、外面側に犠牲材を備え
た合せ材スラブと組合せてクロス圧延することを特徴と
する圧延型クラッド鋼板の製造方法を提供するものであ
る。
【0011】さらにまた、本発明は、クラッドスラブの
組立に際し、板面方向に対しての鋭角側の角度が45°
以下である傾斜を母材スラブの側面に付与し、該母材ス
ラブ側面の傾きに対応する傾斜を有する合せ材の部材を
前記母材スラブの側面に配置し、合せ材スラブと組合せ
て金属積層体を形成し、2つの金属積層体の間に剥離剤
を介在させてこれら金属積層体を組合わせ、クロス圧延
することを特徴とする圧延型クラッド鋼板の製造方法を
提供するものである。
【0012】さらにまた、本発明は、母材が炭素鋼であ
り、合せ材および側面合せ材が純チタンまたはチタン合
金である場合に、クラッドスラブの組立に際し、板面方
向に対しての鋭角側の角度が45°以下である傾斜を母
材スラブの側面に付与し、該母材スラブ側面の傾きに対
応する傾斜を有する純チタンまたはチタン合金からなる
部材を前記母材スラブの側面に配置し、合せ材と母材の
界面および前記部材と母材の界面に、炭素含有量が0.
001〜0.05重量%の低炭素鋼からなる中間材を介
在させ、これらを合せ材スラブと組合せてクロス圧延す
ることを特徴とする圧延型クラッド鋼板の製造方法を提
供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、母鋼板と、その側面
および上面または上下面に圧延により接合された合せ材
とにより圧延型クラッド鋼板を構成する。このような熱
間圧延による上面あるいは上下面、および側面(好まし
くは4周側面)に合せ材が接合されたクラッド鋼板の製
造に際しては、クラッドスラブ組立時に鋭角部での板面
方向に対しての角度が45゜以下である傾斜を母材スラ
ブの側面に付与し、該母材スラブの側面の傾きに対向す
る傾斜を有する側面合せ材を、母材スラブの側面、好ま
しくは4周側面に配置してクロス圧延することが望まし
い。
【0014】鋭角部における板面方向に対する角度が4
5°以下である傾斜を母材スラブの側面に付与すること
は、圧延時に母材スラブとその側面に位置する側面合せ
材との間に剪断応力を作用させる効果がある。この剪断
応力の作用によって側面合せ材の接合を達成することが
可能となる。
【0015】また、圧延時にクロス圧延することは、母
材スラブと側面合せ材とを圧着するための圧下をクラッ
ドスラブの各側面に加える効果がある。このような効果
によって、側面、好ましくは4周側面を含めてクラッド
化することが可能となり、かつ高い接合強度を得ること
ができる。
【0016】さらに、合せ材と母材とを直接溶接するこ
とが不可能なクラッド鋼板の場合、あるいは合せ材がク
ラッド圧延時に極度に酸化されることなどを防ぐ場合に
は、クラッドスラブの組み立てにおいて、鋭角部での板
面方向に対しての角度が45°以下である傾斜を母材ス
ラブの側面、好ましくは4周側面に付与し、母材スラブ
側面の傾きに対応する傾斜を有する側面合せ材を、母材
スラブの側面、好ましくは4周側面に配置し、合せ材ス
ラブと組合せ、さらにこのようにして形成された積層金
属体の側面に炭素鋼からなるスペーサーを配置して、該
積層金属体を包むようにカバー材としての炭素鋼部材と
組合せた後、クロス圧延することが望ましい。
【0017】また、合せ材が極度に酸化することを防止
することに関しては、犠牲材を合せ材表面に設置するこ
とも望ましい。そして、クラッド鋼板2枚分のクラッド
スラブを間に中間材を設けて圧延するにより製造性を向
上させることができる。
【0018】クラッドスラブ組立において、スペーサー
とカバー材、側面合せ材同士、側面合せ材とカバー材、
側面合せ材と合せ材、スペーサー同士、あるいは側面合
せ材と母材との接合等には、電子ビーム溶接を用いるこ
とが望ましい。電子ビーム溶接を用いる場合には、クラ
ッドスラブ全体をチャンバー内に装入して真空引きを行
うため、スラブ間の空隙を短時間に真空化することが可
能であり、また溶接部の溶け込み深さも大きいので、溶
接部において高い接合強度を容易に得ることができ、ク
ラッド圧延時にスラブの溶接部が破損することを防止す
ることができる。
【0019】本発明の圧延型クラッド鋼板において、母
材として炭素鋼を用い、合せ材および側面合せ材として
チタン(純チタンまたはチタン合金)を用いた場合に
は、合せ材と母材の界面および側面合せ材と母材の界面
に、炭素含有量が0.001〜0.05重量%の低炭素
鋼を中間材として介在させることが好ましい。このよう
にすることにより、母材である炭素鋼から合せ材や側面
合せ材のチタンへ炭素が拡散して接合界面にて脆化層が
形成されることを抑制することができ、したがって、脆
化層が形成されることによる接合強度低下を回避するこ
とができる。この際に、炭素含有量が0.001重量%
未満ではTi−Fe系の金属間化合物が形成され界面で
の接合強度が低下し、また炭素含有量が0.05重量%
を超えるとTiCが形成されやはり界面での接合強度が
低下する。したがって、このような中間材において、炭
素量は0.001〜0.05重量%であることが望まし
い。
【0020】また、この場合において、スラブ加熱温度
を合せ材および側面合せ材を構成するチタン材のβ変態
点以下とすることが好ましい。このようにすることによ
り、スラブ加熱時に合せ材および側面合せ材が炭素の拡
散の速いbcc相に変態することを抑制することができ
る。つまり、炭素の拡散の速いbcc相に変態すると、
接合界面に厚い脆化層が形成されて接合強度が低下する
が、スラブ加熱温度を合せ材および側面合せ材を構成す
るチタン材のβ変態点以下とすることによりこのような
ことを回避することができる。
【0021】さらに、この場合において、クロス圧延で
の各方向の圧下比を5以上とすることが好ましい。これ
により側面合せ材と母材の炭素鋼とを十分に圧着するこ
とができる。この圧下比が5未満の場合には、母材の炭
素鋼と側面合せ材との接合性が悪くなるおそれがある。
【0022】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。 (実施例1)合せ材と母材とが直接可能な実施例とし
て、合せ材にステンレス鋼(SUS304L)、母材に
炭素鋼を採用した場合について説明する。図1は本実施
例に係るクラッド鋼板を分解して示す斜視図、図2はそ
の母材スラブと側面合せ材との接合部を拡大して示す
図、図3はその側面図である。これらの図において、参
照符号1はステンレス鋼(SUS304L)製の合せ
材、2は同じくステンレス鋼(SUS304L)製の側
面合せ材、3は炭素鋼からなる母材、4は溶接部であ
る。板面に対しての鋭角側での角度θが45°の傾斜を
母材3の4周側面に付与し、この母材3の側面の傾斜に
対応する傾斜を有する側面合せ材2を母材3の4周側面
に配置し、母材3の下に合せ材1を配置した。その後、
側面合せ材2同士、側面合せ材2と合せ材1、および側
面合せ材2と母材3を電子ビーム溶接にて接合して、ク
ラッドスラブを組み立てた。この際に、1150℃で加
熱して、L方向およびC方向の圧下比が3のクロス圧延
を行い、10+2mm厚のステンレス鋼(SUS304
L)クラッド鋼板を作製した。
【0023】このようにして製造したクラッド鋼板およ
び側面が何ら処理されていない従来のクラッド鋼板をそ
れぞれ図4の(a),(b)に示すようなボックス柱の
構造体を作製して暴露試験による耐候性の評価、図5の
ように採取した曲げ試験片5での合せ材および4周側面
合せ材の接合性評価試験を行った。なお、図4の(a)
は本発明のクラッド鋼板の場合、(b)は従来のクラッ
ド鋼板の場合を示すものであり、(a)においては図1
と同様の参照符号を付し、(b)においては合せ材を1
´、母材を3´で示した。
【0024】暴露試験においては、図4(a)に示す本
発明のクラッド鋼板では表面および側面ともに何の変化
も生じなかったが、従来のクラッド鋼板においては側面
の母材部分で発錆した。また、曲げ半径比(曲げ試験で
のポンチ先端の半径/試験片の板厚)が2の曲げ試験に
おいて、本発明のクラッド鋼板では合せ材および4周側
面の側面合せ材の剥離は生じなかった。
【0025】(実施例2)クラッドスラブの組み立てに
おいて電子ビーム溶接の代わりにアーク溶接を用いたこ
と、および母材スラブ角部の角度を変化させたこと以外
は実施例1と同様にしてクラッドスラブの組立を行っ
た。すなわち、母材角部における板面に対しての鋭角側
での角度θを30°、45°および60°として、L方
向およびC方向の圧下比が3のクロス圧延を行い、4周
側面にステンレス鋼(SUS304L)製の側面合せ材
がクラッドされた10+2mm厚のクラッド鋼板を作製
した。これらのクラッド鋼板に対して、実施例1と同様
の曲げ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示すように、母材角部における板面
に対しての鋭角側での角度θが45°より大きい60°
の場合には、母材3の4周を覆う側面合せ材2と母材3
との間で剥離が生じた。これに対して、角度θが45°
以下の場合には、曲げ試験において合せ材1および側面
合せ材2の剥離は生じなかった。
【0028】(実施例3)この実施例では、合せ材が極
度に酸化されることなどを抑制するためにカバー材を用
いたクラッドスラブ組立方法について説明する。図6は
その際のクラッドスラブ組立方法を示す図である。板面
に対しての鋭角側での角度θが45°の傾斜を炭素鋼か
らなる母材3の4周側面に付与し、合せ材1と同様にス
テンレス鋼(SUS304L)からなる側面合せ材2を
母材3の4周側面に配置し、母材3の下に合せ材1を配
置した。さらに、その上下を剥離剤7を介して炭素鋼か
らなるカバー材6で被覆し、カバー材6と側面合せ材2
と合せ材1、合せ材1と側面合せ材2、および側面合せ
材2同士の各スラブを電子ビーム溶接にて接合して、ク
ラッドスラブを組み立てた。この際に、1150℃で加
熱して、L方向およびC方向の圧下比が3のクロス圧延
を行い、10+2mm厚のステンレス鋼(SUS304
L)クラッド鋼板を作製した。
【0029】このようにして製造したクラッド鋼板に対
して実施例1と同様に暴露試験による耐候性の評価を行
ったが、その表面および側面ともに何の変化も生じなか
った。また、図5のように採取した曲げ試験片5での接
合性の評価においても、本実施例のクラッド鋼板では、
合せ材および4周側面の側面合せ材の剥離は生じなかっ
た。
【0030】(実施例4)合せ材と母材とが直接溶接す
ることが不可能な実施例として、合せ材に純チタン、母
材に炭素鋼を採用した場合について説明する。図7はそ
の際のクラッドスラブ組立方法を示す図である。板面に
対しての鋭角側での角度θが45°の傾斜を炭素鋼から
なる母材3の4周側面に付与し、純チタンからなる側面
合せ材12を母材3の4周側面に配置し、母材3の下に
純チタンからなる合せ材11を配置した。さらに、その
上下を剥離剤7を介して炭素鋼からなるカバー材6で被
覆し、その4周側面を炭素鋼からなるスペーサー8で被
覆した。その後、カバー材6とスペーサー8を電子ビー
ム溶接にて接合して、クラッドスラブを組み立てた。こ
の際に、850℃で加熱して、L方向およびC方向の圧
下比が5のクロス圧延を行い、6+1mm厚の純チタン
クラッド鋼板を作製した。
【0031】このようにして製造したクラッド鋼板およ
び側面が何ら処理されていない従来のクラッド鋼板につ
いて暴露試験による耐候性の評価を行った。その結果、
本実施例のクラッド鋼板では表面および側面とも何の変
化も生じなかったが、従来のクラッド鋼板においては側
面の母材部分で発錆した。
【0032】(実施例5)1回の圧延において2枚のク
ラッド鋼板を製造可能なサンドイッチ型のスラブ組立方
式を採用して組立を行った場合について説明する。図8
は合せ材と母材とを直接溶接することが可能な場合のク
ラッドスラブ組立方法を示す図、図9は合せ材と母材と
を直接溶接することが不可能な場合のクラッドスラブ組
立方法を示す図である。図8ではステンレス鋼(SUS
304L)からなる合せ材1および側面合せ材2を用
い、図9では純チタンからなる合せ材11および側面合
せ材12を用いている。また、母材についてはいずれも
炭素鋼からなる母材3を用いている。
【0033】図8の組立方法においては、剥離剤7を介
して2つのクラッド鋼板を同じ方向で重ねた。また、図
9の組立方法においては、剥離剤7を介して2つのクラ
ッドスラブを母材3を内側にして重ね、その上下に剥離
剤7を介して炭素鋼からなるカバー剤6を被覆し、その
4周面を炭素鋼からなるスペーサー8で被覆した。クラ
ッドスラブ組立においては、いずれも実施例1と同様に
板面に対しての鋭角側での角度θが45°の傾斜を炭素
鋼からなる母材3の4周側面に付与した。
【0034】図8のクラッド鋼板の組立においては、1
150℃で加熱して、L方向およびC方向の圧下比が3
のクロス圧延を行い、10+2mm厚のステンレス鋼
(SUS304L)クラッド鋼板を2枚同時に作製し
た。また、図9のクラッド鋼板の組立においては、85
0℃で加熱して、L方向およびC方向の圧下比が5のク
ロス圧延を行い、6+1mm厚の純チタンクラッド鋼板
を2枚同時に作製した。
【0035】サンドイッチ型スラブにて製造されたこれ
らクラッド鋼板および側面が何ら処理されていない従来
のクラッド鋼板について暴露試験による耐候性の評価を
行った。その結果、本実施例のクラッド鋼板ではいずれ
も表面および側面とも何の変化も生じなかったが、従来
のクラッド鋼板においてはいずれも側面の母材部分で発
錆した。
【0036】(実施例6)ここでは、合せ材および側面
合せ材としてチタン材を用い、母材として炭素鋼を用
い、合せ材と母材との間および側面合せ材と母材との間
に極低炭素鋼からなる中間材を用いて、1回の圧延にお
いて2枚のクラッド鋼板を製造可能なサンドイッチ型の
スラブ組立方式を採用して組立を行った場合について説
明する。図10はその際のクラッドスラブ組立方法を示
す図である。板面に対しての鋭角側での角度θが45°
の傾斜を炭素鋼からなる母材3の4周側面に付与し、純
チタンからなる側面合せ材12を母材3の4周側面に配
置し、母材3の下に純チタンからなる合せ材11を配置
し、そして母材3と合せ材11との間および母材3と側
面合せ材12との間に、極低炭素鋼からなる中間材9を
配置した。このようにして組み立てた2つのクラッドス
ラブを、剥離剤7を介して母材3を内側にして重ねた。
なお、中間材9を構成する極低炭素鋼としては炭素濃度
が0.042重量%のものを用いた。この組立に際して
は、880℃で加熱して、L方向およびC方向の圧下比
が5のクロス圧延を行い、6+1mm厚のチタンクラッ
ド鋼板を作製した。
【0037】このようにして製造したクラッド鋼板およ
び側面が何ら処理されていない従来のクラッド鋼板につ
いて暴露試験による耐候性の評価を行い、さらに図11
に示すように採取した曲げ試験片について、端面のTI
G溶接による突き合せ部での接合性評価試験を行った。
なお、図11の(a)は本実施例のクラッド鋼板の突き
合せ部から採取した試験片を示し、(b)は従来のクラ
ッド鋼板の突き合せ部から採取した試験片を示し、参照
符号10、10´はTIG溶接部、1´は従来のクラッ
ド鋼板における合せ材、3´は従来のクラッド鋼板にお
ける母材である。
【0038】暴露試験においては、本実施例のクラッド
鋼板では表面および側面とも何の変化も生じなかった
が、従来のクラッド鋼板においては側面の母材部分で発
錆した。また、曲げ半径比(曲げ試験でのポンチ先端の
半径/試験片の板厚)が2の曲げ試験において、本実施
例のチタンクラッド鋼の突き合せ溶接部近傍では合せ材
および側面合せ材の剥離は生じなかったが、従来のチタ
ンクラッド鋼の突き合せ溶接部近傍では合せ材の剥離が
生じた。
【0039】(実施例7)中間材9として表2に示す炭
素含有量が0.0004重量%以上、0.0537重量
%以下の種々の炭素量の低炭素鋼を用い、他は実施例6
と同様にしてクラッドスラブを組立て、実施例6と同様
880℃で加熱して、L方向およびC方向の圧下比が5
のクロス圧延を行い、6+1mm厚のチタンクラッド鋼
板を作製した。これらのチタンクラッド鋼板の突き合せ
溶接部について曲げ試験を行った。その結果を表2に示
す。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示すように、中間材の炭素含有量が
0.001重量%以上かつ0.05重量%以下の場合
に、曲げ試験において合せ材および側面合せ材の剥離は
生じなかったが、この範囲を外れる炭素量の中間材の場
合には合せ材と母材との界面、または母材と側面合せ材
との界面において割れが生じた。
【0042】(実施例8)この実施例ではクロス圧延の
圧下比の影響を把握するために、L方向およびC方向の
圧下比を3および5に設定してクロス圧延を行い、他の
条件は実施例6と同様にして6+1mm厚のクラッド鋼
板を作製した。
【0043】これらのチタンクラッド鋼板の突き合せ溶
接部について曲げ試験を行った。その結果、圧下比が3
と低い場合には、曲げ試験において、合せ材と母材との
間、または母材と側面合せ材との間において剥離が生じ
た。これに対して、圧下比が5と高い場合には、溶接部
において何の剥離も生じなかった。
【0044】(実施例9)この実施例ではスラブ加熱温
度の影響を把握するために、スラブ加熱温度を880
℃、および合せ材や側面合せ材を構成するチタン材の変
態点より高温の950℃とし、他の条件は実施例6と同
様にして6+1mm厚のクラッド鋼板を作製した。
【0045】これらのチタンクラッド鋼板の突き合せ溶
接部について曲げ試験を行った。その結果、スラブ加熱
温度が950℃の場合には、曲げ試験において、合せ材
と母材との間、または母材と側面合せ材との間において
剥離が生じた。これに対して、スラブ加熱温度が880
℃の場合には、溶接部において何の剥離も生じなかっ
た。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
端面での耐食性が優れた圧延型クラッド鋼板およびその
製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るクラッド鋼板を分解し
て示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係るクラッド鋼板の母材ス
ラブと側面合せ材との接合部を拡大して示す図。
【図3】本発明の実施例1に係るクラッド鋼板を示す側
面図。
【図4】実施例および従来例のクラッド鋼板について暴
露試験による耐候性評価を行うためのボックス柱の構造
体を示す斜視図。
【図5】接合性評価試験を行うための曲げ試験片を示す
図。
【図6】本発明の実施例3に係るクラッド鋼板の組立方
法を説明するための側面図。
【図7】本発明の実施例4に係るクラッド鋼板の組立方
法を説明するための側面図。
【図8】本発明の実施例5に係るクラッド鋼板の組立方
法を説明するための側面図。
【図9】本発明の実施例5に係るクラッド鋼板の組立方
法を説明するための側面図。
【図10】本発明の実施例6に係るクラッド鋼板の組立
方法を説明するための側面図。
【図11】実施例および従来例のクラッド鋼板について
端面のTIG溶接による突き合せ部での接合性評価試験
を行うための試験片を示す図。
【符号の説明】
1,11……合せ材、2,12……側面合せ材、3……
母材、4,10……溶接部、5……曲げ試験片、6……
カバー材、7……剥離剤、8……スペーサー、9……中
間材。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母鋼板と、その側面および上面または上
    下面に圧延により接合された合せ材とを有することを特
    徴とする圧延型クラッド鋼板。
  2. 【請求項2】 クラッドスラブの組立に際し、板面方向
    に対しての鋭角側の角度が45°以下である傾斜を母材
    スラブの側面に付与し、該母材スラブ側面の傾きに対応
    する傾斜を有する合せ材の部材を前記母材スラブの側面
    に配置し、合せ材スラブと組合せてクロス圧延すること
    を特徴とする圧延型クラッド鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 クラッドスラブの組立に際し、板面方向
    に対しての鋭角側の角度が45°以下である傾斜を母材
    スラブの側面に付与し、該母材スラブ側面の傾きに対応
    する傾斜を有する合せ材の部材を前記母材スラブの側面
    に配置し、合せ材スラブと組合せ、さらにこのようにし
    て形成された積層金属体の側面に炭素鋼からなるスペー
    サーを配置して、該積層金属体を包むようにカバー材と
    しての炭素鋼部材と組合せた後、クロス圧延することを
    特徴とする圧延型クラッド鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 クラッドスラブの組立に際し、板面方向
    に対しての鋭角側の角度が45°以下である傾斜を母材
    スラブの側面に付与し、該母材スラブ側面の傾きに対応
    する傾斜を有する合せ材の部材を前記母材スラブの側面
    に配置し、外面側に犠牲材を備えた合せ材スラブと組合
    せてクロス圧延することを特徴とする圧延型クラッド鋼
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】 クラッドスラブの組立に際し、板面方向
    に対しての鋭角側の角度が45°以下である傾斜を母材
    スラブの側面に付与し、該母材スラブ側面の傾きに対応
    する傾斜を有する合せ材の部材を前記母材スラブの側面
    に配置し、合せ材スラブと組合せて金属積層体を形成
    し、2つの金属積層体の間に剥離剤を介在させてこれら
    金属積層体を組合わせ、クロス圧延することを特徴とす
    る圧延型クラッド鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記側面の部材同士、前記側面の部材と
    合せ材スラブ、および前記側面の部材と母材スラブを電
    子ビーム溶接により接合することを特徴とする請求項3
    ないし請求項5のいずれか1項に記載の圧延型クラッド
    鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記スペーサー同士、前記スペーサーと
    カバー材、前記側面の部材とカバー材を電子ビーム溶接
    により接合することを特徴とする請求項3に記載の圧延
    型クラッド鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 母材が炭素鋼であり、合せ材および側面
    合せ材が純チタンまたはチタン合金である場合に、クラ
    ッドスラブの組立に際し、板面方向に対しての鋭角側の
    角度が45°以下である傾斜を母材スラブの側面に付与
    し、該母材スラブ側面の傾きに対応する傾斜を有する純
    チタンまたはチタン合金からなる部材を前記母材スラブ
    の側面に配置し、合せ材と母材の界面および前記部材と
    母材の界面に、炭素含有量が0.001〜0.05重量
    %の低炭素鋼からなる中間材を介在させ、これらを合せ
    材スラブと組合せてクロス圧延することを特徴とする圧
    延型クラッド鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 スラブ加熱温度を合せ材および前記部材
    を構成するチタン材のβ変態点以下とすることを特徴と
    する請求項8に記載の圧延型クラッド鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】 クロス圧延での各方向の圧下比を5以
    上とすることを特徴とする請求項8または請求項9に記
    載の圧延型クラッド鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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