JP2000153355A - 構造施工性に優れたチタンクラッド鋼板 - Google Patents

構造施工性に優れたチタンクラッド鋼板

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JP2000153355A
JP2000153355A JP32922998A JP32922998A JP2000153355A JP 2000153355 A JP2000153355 A JP 2000153355A JP 32922998 A JP32922998 A JP 32922998A JP 32922998 A JP32922998 A JP 32922998A JP 2000153355 A JP2000153355 A JP 2000153355A
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titanium
clad steel
welding
steel sheet
plate
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JP32922998A
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Hideto Kimura
秀途 木村
Yasuo Kobayashi
泰男 小林
Taikan Horikoshi
大寛 堀越
Arata Sakui
新 作井
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接時に発生する合せ材と母材との界面にお
ける接合性の劣化原因を排除し、カットバックや装入板
溶接等の工程をして簡便且つ効率的に溶接することがで
きるチタンクラッド鋼板を提供する。 【解決手段】 チタンまたはチタン合金からなる合せ材
2が母材1の表面に接合された圧延ままのチタンクラッ
ド鋼板において、その合わせ材2面側は複数の長方形の
合せ材2と、合せ材2が存在しない帯状領域7とから構
成されており、前記クラッド鋼板の製品幅W、長さL、
前記複数の合せ材部分の各々の幅の合計値ΣWc および
各々の長さの合計値ΣLc は、W≧ΣWc またはL≧Σ
Lc またはW≧ΣWc で且つL≧ΣLc を満足してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、突き合わせ溶接
時およびT字型溶接時に合せ材のカットバックが不要
な、構造施工性に優れたチタンクラッド鋼板に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、クラッド鋼板の利用技術の進歩に
伴い、最も一般的なクラッド鋼板であるステンレスクラ
ッド鋼板では対応できない用途、例えば、海水用途や製
紙プラット等における高耐食性を要する部位には、チタ
ンクラッド鋼板の利用が増えつつある。チタンクラッド
鋼板は、特に、高耐食性と構造材料としての機能とを兼
ね備えていることから、橋梁、建造物、海洋構造物等の
大型構造物に対する適用が期待されており、施工やメン
テナンス性を含むチタンクラッド鋼板のトータル利用技
術の向上が必要とされている。
【0003】図2は、従来使用されているチタンクラッ
ド鋼板を模式的に示す斜視図である。鋼板である母材1
の表面前面に、チタンまたはチタン合金からなる合せ材
2が張り合わされた形態で接合されている。
【0004】上記利用技術の中でも、チタンクラッド鋼
板の溶接施工は、橋梁や構造物の建設コストに大きく影
響するので、その溶接施工方法の改善は重要な課題であ
り、種々検討されている。一般に、クラッド鋼板の溶接
では、溶接部の耐食性維持のために、少なくとも溶接部
の最表層を合せ材と同一溶接材料またはこれに準ずる溶
接材料で盛り付けるが、チタンクラッド鋼板を溶接する
場合、母材である鋼片スラブと合せ材であるチタンとの
直接溶接は、合金層の形成により著しく機械的特性を害
する。従って、直接チタン又はチタン合金を母材である
鋼片スラブに盛り付けることができない。
【0005】そのために、チタンクラッド鋼板の突き合
わせ溶接は、従来、図7に示すような方法によって行わ
れている。即ち、図7(a)に示すように、チタンクラ
ッド鋼板A,A′の合せ材2のうち、開先加工部3近傍
の合せ材2aを特定の幅で除去(以下、この作業を「カ
ットバック」という)した後、図7(b)に示すよう
に、母材1同士を溶接する。
【0006】次いで、図7(c)に示すように、溶接部
4に合せ材2と同等のチタン板5を装入し、装入された
チタン板5を溶接して、チタンクラッド鋼板の表面と同
じ高さになるように表面レベルを揃えたのち、図7
(d)に示すように、その上を合せ材と同等のカバーチ
タン板6で覆う。そして、このカバーチタン板6と、合
せ材2であるチタン板とを、低入熱で溶接する。なお、
上記において、合せ材2としてのチタン板、装入チタン
板5およびカバーチタン板6は、いずれも純チタン以外
にチタン合金の場合もある。
【0007】図8に、水平構造部材であるチタンクラッ
ド鋼板Aに垂直構造部材であるチタンクラッド鋼板Cを
溶接する従来のT字状溶接を示す。図8(a)に示すよ
うに、水平構造部材チタンクラッド鋼板Aの合せ材2お
よび垂直構造部材チタンクラッド鋼板Cの合せ材2′の
T字状溶接部近傍の合せ材を特定の幅でカットバックし
た後、図8(b)に示すように、垂直構造部材チタンク
ラッド鋼板Cの母材1′を開先加工し、水平構造部材チ
タンクラッド鋼板Aの母材1と垂直構造部材チタンクラ
ッド鋼板Cの母材1′とを溶接する。
【0008】次いで、図8(c)に示すように、T字状
溶接部4′に合せ材2′と同等の屈曲したチタン板5′
を装入し、装入されたチタン板5′を溶接して、チタン
クラッド鋼板の表面と同じ高さになるように表面レベル
を揃えたのち、図8(d)に示すように、その上を合せ
材と同等の屈曲したカバーチタン板6′で覆う。そし
て、このカバーチタン板6′と、合せ材2′であるチタ
ン板とを低入熱で溶接する。
【0009】上述したように、従来のチタンクラッド鋼
板の溶接工程は、突き合わせ溶接の場合もT字状溶接の
場合も、合せ材のカットバック、母材開先加工、母材溶
接、装入板溶接、および、カバー板溶接の5工程で行な
われているために、施工性が劣る問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような技術によ
るチタンクラッド鋼板の溶接は、異種金属がクラッドさ
れていない通常の鋼板、所謂ムク材の鋼板同士の溶接は
もとより一般のクラッド鋼板に比べても格段に工程数が
多く、特に、チタン合せ材面に垂直な構造部材を直接接
合することはできず、H構造、I構造、II構造等の構成
に重要なT字状継手作成時には困難な問題が多く、溶接
時には必ず該当箇所の合せ材をカットバックする工程が
付随し、また、複雑な形状の装入板や覆板を準備しなけ
ればならないために、構造部材の組立に大きな制約をも
たらしていた。
【0011】従って、大面積のチタンクラッド鋼板を溶
接して使用することが検討されている現状においては、
溶接施工の簡便化及び工程省略化が強く望まれている。
チタン板を装入することなく、直接カバーチタン板を溶
接する方法も、工程簡略化を目的として施工現場で行な
われる場合があるが、この方法では溶接部の機械的特性
が一般部位より著しく劣る等の問題があり、簡略化され
た施工方法として一般に認められるには程遠い。
【0012】カットバック工程の主な目的は、チタン合
せ材と母材との界面の接合性劣化を防止することにあ
る。即ち、チタンクラッド鋼板の溶接時には、熱影響部
においてC等が熱拡散し、合せ材のチタンと結合する。
従って、溶接部近傍で合せ材のチタンと母材の鋼板との
接合界面にTiC等の脆い化合物が析出し、これがチタ
ン板と鋼板との接合性劣化の原因となる。そこで、上記
TiC等が析出しない状態をつくるために、クラッド鋼
板の溶接前に溶接熱影響部近傍から合せ材であるチタン
を予め除去するのである。
【0013】このように、T字状継手や十字状継手によ
ってチタン合せ材面に垂直な構造部材を直接接合する工
程の煩雑さは著しいものがあり、溶接工程が簡単で容易
となるような構造を有するチタンクラッド鋼板の開発が
強く求められている。
【0014】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、溶接時に発生する合せ材と母材との界面にお
ける接合性の劣化原因を排除し、カットバックや挿入板
溶接等の工程を省略することができる、構造施工性に優
れたチタンクラッド鋼板を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明者等は、チタンクラッド鋼板の溶接における
カットバック工程等を省略することができ、構造施工性
に優れたチタンクラッド鋼板を開発すべく鋭意研究を重
ねた。その結果、次の知見を得た。
【0016】即ち、チタンクラッド鋼板の溶接におい
て、母材同士の溶接後に当該溶接部の上部に従来挿入し
ているチタン装入板を、必ずしも合せ材と接合しなくて
もよいこと、また、装入板の材質は、合せ材であるチタ
ンと同等である必要もないこと、即ち装入板の材質が少
なくとも母材と同等であればよく、また、装入板は合せ
材と接合するのでなく母材と接合してもよく、そして、
装入板の材質として母材の材質と同等である鋼を使用
し、且つ、装入板を母材の鋼と接合すれば、溶接の簡便
性が向上するばかりか、溶接部の機械的特性においても
格段に有利となることがわかった。
【0017】上記より、本発明者等は、チタンクラッド
鋼板を、その溶接用開先部近傍には合せ材であるチタン
が初めから存在せず、溶接部近傍では装入板と母材とを
一体となした構造とすれば、上述した問題が解決される
ことを知見した。
【0018】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、チタンまたはチタン合金からなる合せ材
が表面に接合された圧延ままのチタンクラッド鋼板にお
いて、前記チタンクラッド鋼板の合せ材面側は、複数の
長方形の合せ材と、前記合せ材が存在しない帯状領域と
から構成されており、そして、前記クラッド鋼板の製品
幅W、長さL、前記複数の合せ材部分の各々の幅の合計
値ΣWc および各々の長さの合計値ΣLc が、下記
(1)、(2)または(3)式の関係を満たしているこ
とに特徴を有するものである。
【0019】 W≧ΣWc ---------------------------(1) L≧ΣLc ---------------------------(2) W≧ΣWc 、且つ、L≧ΣLc ----------(3)
【0020】
【発明の実施の形態】この発明によるチタンクラッド鋼
板の構成、及びその溶接方法を従来法と比較しながら説
明する。図1に、この発明によるクラッド鋼板の実施態
様(a)〜(d)を模式的斜視図で示す。図1(a)に
示すタイプaのチタンクラッド鋼板は、鋼片スラブの母
材1とチタン合せ材2とからなる直方体形状であり、合
せ材2側の板表面全周辺部および中央部に、所定幅にわ
たり、母材1が露出した合せ材2のない帯状領域7が形
成されており、この部分は、母材1がクラッド鋼板の全
厚となっている。
【0021】図1(b)に示すタイプbのチタンクラッ
ド鋼板は、所謂台形クラッド鋼板であって、上記タイプ
aのクラッド鋼板と同様に、その全周辺部および中央部
に、所定幅にわたり、母材1が露出した合せ材2のない
帯状領域7が形成され、額縁状に母材1中に合せ材2が
嵌め込まれた形状になっている。
【0022】図1(c)に示すタイプcのチタンクラッ
ド鋼板は、条切断を想定し、その全周辺部のほか、中間
部に複数条(図示の例では2条)の、所定幅にわたる母
材1が露出した合せ材2のない帯状領域7が形成された
形状になっている。
【0023】また、図1(d)に示すタイプdのチタン
クラッド鋼板は、合せ材2のない帯状領域7が周辺の幅
方向2辺と中央部に設けられた例であって、このような
帯状領域7は周辺の3辺であってもよい。
【0024】図1(a)に代表例として示すように、合
せ材面側が複数の長方形の合せ材2と、合せ材2が存在
しない帯状領域7とから構成されたクラッド鋼板の製品
幅W、長さL、複数の合せ材部分の各々の幅の合計値Σ
Wc および各々の長さの合計値ΣLc は、下記(1)、
(2)または(3)式の関係を満たしていることが必要
である。
【0025】 W≧ΣWc ---------------------------(1) L≧ΣLc ---------------------------(2) W≧ΣWc 、且つ、L≧ΣLc ----------(3) 製造には、製品と相似形のスラブを使用することを基本
とする。例えば、台形クラッド鋼板を製造する場合に
は、合せ材2が存在しない帯状領域7を含む台形底面の
スラブを組立て、これを圧延して目標形状のクラッド鋼
板となし、その幅内に所定幅wの帯状領域7を付与す
る。
【0026】合せ材2が存在しない帯状領域7部分は、
溶接部予定位置であり、溶接組立の設計の多様さに応じ
て、相似のスラブ形状を設定することにより、図1のよ
うな種々の形状を付与することができる。帯状領域7の
幅は、界面の接合強度および接合特性の劣化を防止する
ために、基本的に条切断・突き合わせ予定位置またはJ
字状溶接位置で、クラッド鋼板の合せ材/母材界面が溶
接熱影響範囲から外れるに十分な幅であることを要す
る。
【0027】図3に、このようなチタンクラッド鋼板の
製造工程を示す。図3(a)に示すように、幅Wsの母
材1と合計値Wcsの合せ材2とからなる組合せ体Cおよ
びDを、合せ材2の表面が重ね合わせ面側にくるように
上下に重ね合わせて重ね合わせ体とする。このとき上下
2枚に重なった状態で熱間圧延が終了したクラッド鋼板
の剥離および分離を容易にし、滑らかな剥離面を得るた
めに、組合せ体CおよびDの重合せ面間の所定範囲にわ
たり、通常のクラッド鋼板製造において使用されている
剥離材を塗布する。そして、重ね合せ体の周縁シーム部
を溶接し、重ね合わせられた界面の空間内空気を真空引
き装置で減圧し真空引きした後に引き口を封じることに
より熱間圧延素片(サンドイッチ型)を調製する。
【0028】このようにいて調製された熱間圧延用素片
を加熱した後、これを熱間圧延することによって、図3
(b)に示すチタンクラッド鋼板が製造される。熱間圧
延終了後のクラッド鋼板は、両側部(耳)及び両端部
(クロップ)を所定量切断して製品クラッド鋼板とす
る。
【0029】図4は、熱間圧延用素片を、1枚の組合せ
体Cと1枚の表面性状を整えた鋼片スラブEとを、組合
せ体Cの合せ材2が重合せ面側にくるように重ね合わせ
て構成した例(犠牲材型)である。このように構成され
た熱間圧延用素片でも、上述した製造方法に準じて、所
望のクラッド鋼板を製造することができる。図5は、タ
イプaのチタンクラッド鋼板A、A′を、端面突き合わ
せ溶接をする場合の施工工程別の溶接部の概略縦断面図
である。先ず、端面の母材を開先加工する。図5(a)
に示すように、チタンクラッド鋼板の端面部表面の所定
幅(w)の領域には、合せ材のチタンはなく、母材1が
占めており、その開先部近傍露出母材1aの表面高さ
は、合せ材2のチタン表面の高さと同じになっている。
【0030】図5(b)に示すように、上記構造のチタ
ンクラッド鋼板の母材1同士を溶接する。次いで図5
(c)に示すように、溶接部4を合せ材と同等の材質の
カバーチタン板6で覆い、これを合せ材2に溶接する。
【0031】図6は、水平構造部材であるチタンクラッ
ド鋼板Aに垂直構造部材であるチタンクラッド鋼板Bを
溶接する場合の施工工程別の溶接部の概略縦断面図であ
る。図6(a)に示すように、水平構造部材チタンクラ
ッド鋼板Aの溶接部表面および垂直構造部材チタンクラ
ッド鋼板Bの溶接端面部表面の所定幅の領域には、合せ
材のチタンはなく母材1、1′が占めており、このよう
な垂直構造部材チタンクラッド鋼板Bの溶接端面部母材
1′を開先加工する。
【0032】次いで、図6(b)に示すように、上記構
造の水平構造部材チタンクラッド鋼板Aの母材1と垂直
構造部材チタンクラッド鋼板Bの母材1′とを溶接した
後、図6(c)に示すように、溶接部4′を合せ材と同
等の材質の屈曲したカバーチタン板6′で覆い、これを
水平構造部材チタンクラッド鋼板Aおよび垂直構造部材
チタンクラッド鋼板Bの各合せ材2、2′に溶接する。
【0033】このように、本発明によるチタンクラッド
鋼板を使用すれば、合せ材2、2′のカットバック工
程、及び溶接部上面への装入板溶接工程が省略され、溶
接施工は母材開先加工、母材溶接およびカバー板溶接の
3工程に簡略化される。この場合、溶接部近傍にはチタ
ン合せ材が存在しないので、溶接熱影響によるチタン合
せ材と鋼母材との接合界面におけるTiC等の析出もな
く、接合劣化要因は発生しなくなる。
【0034】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって比較例と
共に更に詳細に説明する。本発明の範囲内のチタンクラ
ッド鋼板の供試体(以下、本発明供試体という)No. 1
〜8、および、本発明の範囲外の比較用チタンクラッド
鋼板の供試体(以下、比較用供試体という)No. 9〜1
2を調製し、これを突き合わせ溶接した。
【0035】表1に、本発明供試体No. 1〜8および比
較用供試体No. 9〜12の形状、タイプ、突き合わせ溶
接条件、カットバック量および溶接部至近位置でのクラ
ッド接合部剪断試験結果を示す。なお、形状欄の数字
は、クラッド鋼板の母材および合せ材の厚さを表してい
る。
【0036】
【表1】
【0037】本発明供試体No. 1〜6およびNo. 8は、
表裏面の形状が長方形(即ち全体形状は直方体)であ
り、No. 7は異形の台形である。また、比較用供試体N
o. 9〜12は長方形である。本発明供試体No. 1〜8
は、母材スラブの中央凹部に合せ材が嵌め込まれたスラ
ブから製造した、いわゆる額縁状のクラッド鋼であり、
本発明供試体No. 1〜7は板面内に1本の合せ材のない
帯状領域を有し、本発明供試体No. 8は板面内に2本の
合せ材のない帯状領域を有している。
【0038】突き合わせ溶接線は、基本として合せ材の
ない辺であるが、比較用供試体No.9、10は、合せ材
のある面にカットバックを施して溶接した。開先加工形
状は、本発明供試体No. 1〜3、No. 7、8および比較
用供試体No. 9、11についてはX状、本発明供試体N
o. 4についてはU状、本発明供試体No. 5については
K状、本発明供試体No. 6および比較用供試体No. 1
0、12についてはI型とした。開先の開口幅は、表1
中に示す通りである。
【0039】溶接には、母材共金系の溶接材料を使用
し、溶接方法は、本発明供試体No. 4、6および比較用
供試体No. 10、12については、ナローギャップSA
W法(N.G.SAW)を適用し、それ以外は、サブマ
ージアーク溶接法(SAW法)を適用した。入熱は、通
常型SAW法では17〜24kJ/cmの一般的な量と
し、ナローギャップSAW法では12〜15kJ/cm
を基本とした。
【0040】溶接部近傍のクラッド接合部剪断試験は、
合せ材の溶接部最近接端から試験片を、長手方向が溶接
線と平行になるように切り出し、日本工業規格JIS
G0601に定める剪断試験方法によって剪断強度の測
定を行なった。
【0041】上記試験の結果、本発明供試体No. 1〜8
および比較用供試体No. 9、10については、いずれ
も、上記規格の規格値である140MPa以上を満足す
る良好なクラッド接合性が確保されていた。
【0042】これに対し、カットバックを実施せずに溶
接した比較用供試体No. 11は、溶接熱影響による剪断
強度の劣化が著しかった。この部分の金属組織を観察し
た結果、接合界面にTiCなどの脆化相が発達してお
り、溶接熱影響を大きく受けたために、接合性の劣化が
生じたものと判断された。従来のクラッド鋼で剪断強度
を通常レベルに保つためには、溶接部近傍における合せ
材のカットバックが必要であり、比較用供試体No. 12
の例を見ればわかるように、180MPa以上の良好な
剪断強度を得るためには、6mmのカットバックが必要で
あった。
【0043】表2に、本発明供試体No. 1〜8および比
較用供試体No. 9〜12を原板としてビルトアップH構
造を製作したときのT字状継手溶接条件および接合部剪
断試験結果を示す。溶接の相手材は、本発明供試体No.
1、2、5、6、8および比較用供試体No. 12は、母
材と同等の炭素鋼、本発明供試体No. 3、4、7および
比較用供試体No. 9〜11は、両面チタンクラッド鋼で
ある。
【0044】
【表2】
【0045】上記試験の結果、本発明供試体No. 1〜8
は、いづれもカットバックなしで母材まで十分の溶け込
んだ溶接が可能であり、T字型溶接近傍においても良好
な剪断強度が得られた。
【0046】これに対し、従来の形状のチタンクラッド
鋼板を使用した比較用供試体No. 9、11においては、
T字状継手部に24〜33mmのカットバックを必要とし
た。比較用供試体No. 12は、合せ材のない帯状領域を
有するタイプであり、T字型溶接部分については、カッ
トバックなしで正常な剪断強度が得られた。比較用供試
体No. 10は、従来形状のチタンクラッド鋼で、そのま
まT字型溶接を施したが、接合界面の劣化が認められ剪
断強度が低下していた。
【0047】以上の結果より、この発明の目的とする溶
接時の施工性に優れ、且つ溶接部において高水準のクラ
ッド接合性を維持するクラッド鋼板を得るためには、本
発明が特徴とする母材/合せ材スラブ形状の構成要件を
満足する形状としなければならない。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
溶接時に発生する合せ材と母材との界面における接合性
の劣化原因を排除し、カットバックや挿入板溶接等の工
程を省略することができる、構造施工性に優れたチタン
クラッド鋼板を得ることができ、工業上有用な効果がも
たらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のチタンクラッド鋼板の実施態様を説
明する模式的斜視図である。
【図2】従来のチタンクラッド鋼板の模式的斜視図であ
る。
【図3】この発明のチタンクラッド鋼板の製造工程の一
例を示す断面図である。
【図4】この発明のチタンクラッド鋼板の製造工程の他
の例を示す断面図である。
【図5】この発明のチタンクラッド鋼板の、端面突き合
わせ溶接工程を示す溶接部概略縦断面図である。
【図6】この発明のチタンクラッド鋼板の、T字状溶接
工程を示す溶接部概略縦断面図である。
【図7】従来のチタンクラッド鋼板の、端面突き合わせ
溶接工程を示す溶接部概略縦断面図である。
【図8】従来のチタンクラッド鋼板の、T字状溶接工程
を示す溶接部概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 母材 2 合せ材 3 開先加工部 4 溶接部 5 チタン板 6 カバーチタン板 7 帯状領域 A チタンクラッド鋼板 B 垂直構造部材チタンクラッド鋼板 C 組合せ体 D 組合せ体 E 鋼片スラブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀越 大寛 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 作井 新 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB05 CC01 CC04 DA01 DA05 DF02 DF06 4E081 AA02 AA14 BA12 BA34 BA37 BA40 CA05 DA02 DA05 DA10 DA11 DA12 DA18 DA37 FA09

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンまたはチタン合金からなる合せ材
    が表面に接合された圧延ままのチタンクラッド鋼板にお
    いて、前記チタンクラッド鋼板の合せ材面側は、複数の
    長方形の合せ材と、前記合せ材が存在しない帯状領域と
    から構成されており、そして、前記クラッド鋼板の製品
    幅W、長さL、前記複数の合せ材部分の各々の幅の合計
    値ΣWc および各々の長さの合計値ΣLc が、下記
    (1)、(2)または(3)式の関係を満たしているこ
    とを特徴とする、構造施工性に優れたチタンクラッド鋼
    板。 W≧ΣWc ---------------------------(1) L≧ΣLc ---------------------------(2) W≧ΣWc 、且つ、L≧ΣLc ----------(3)
JP32922998A 1998-11-19 1998-11-19 構造施工性に優れたチタンクラッド鋼板 Pending JP2000153355A (ja)

Priority Applications (1)

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