JPH10289412A - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

薄膜磁気ヘッド

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JPH10289412A
JPH10289412A JP4938697A JP4938697A JPH10289412A JP H10289412 A JPH10289412 A JP H10289412A JP 4938697 A JP4938697 A JP 4938697A JP 4938697 A JP4938697 A JP 4938697A JP H10289412 A JPH10289412 A JP H10289412A
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Keiichi Kuramoto
慶一 蔵本
Hitoshi Hirano
均 平野
Yoichi Domoto
洋一 堂本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MR素子層が絶縁層、及び絶縁層によって挟
持されている薄膜磁気ヘッドにあっては、リード層、及
びMR素子層は、絶縁層によって挟持されているため、
MR素子層は絶縁層の圧縮応力によって変形されて、所
望の電気的特性を得ることができなくなってしまい、信
頼性の上で問題があった。 【解決手段】 磁気記録媒体上を相対的に移動して情報
を書き込む磁気抵抗効果素子部(56)を備える薄膜磁気ヘ
ッドであって、該素子部(56)は水素を含む被膜から構成
された、下部ギャップ絶縁層(55)、及び上部ギャップ絶
縁層(59)にて挟持され、前記上部ギャップ絶縁層(59)の
膜中水素濃度が、前記下部ギャップ絶縁層(55)の膜中水
素濃度より高いことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナルコンピ
ュータ、或るいはワークステーション等の情報処理装置
に用いられるハ−ドディスク、或るいはフロッピーディ
スク等の磁気記録媒体(以下「記録媒体」と称する。)
上を相対的に移動して情報を読み出したり、或るいは書
き込んだりする磁気抵抗効果素子部を有する薄膜磁気ヘ
ッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、薄膜磁気ヘッドは記録媒体へ
の情報の高密度記録に際して用いられている。斯かる薄
膜磁気ヘッドとしては、特開平6−223331号公報
に開示されたものがあり、図7はそのヘッドの概略断面
図である。
【0003】従来の薄膜磁気ヘッドは、図7に示すよう
に、基板1の上部にダイヤモンドライクカーボン(以下
「DLC」と称する。)からなる絶縁層20、シールド
層3、DLCからなる絶縁層21、磁気抵抗効果素子部
(以下「MR素子層」と称する。)5、リード層6−
A、6−B、DLCからなる絶縁層22、及びシールド
層8を順次積層した構成となっている。
【0004】更に、図8は、MR素子層5、リード層6
−A及びリード層6−Bの部分拡大図である。
【0005】図8によれば、短冊状のMR素子層5の両
端にリード層6−A、及びリード層6−Bが接続されて
いる。MR素子層5は基板1側から、軟磁性体層10、
非磁性の中間層11、及び磁性抵抗層12が順次積層形
成されており、軟磁性体層10は磁気抵抗層12にバイ
アス磁界を印加するための膜であり、また非磁性の中間
層11は軟磁性体層10と磁気抵抗層12を磁気的に分
離するための膜であり、更に磁気抵抗層12は磁束の変
化を信号に変換するための膜である。
【0006】ここで、上述の薄膜磁気ヘッドを用いて記
録媒体に情報を記録するに際しては、MRヘッドのリー
ド層6−A、6−Bに定格電流を流すことによって、電
流はリード層6−A、MR素子層5、及びリード層6−
Bを順次流れた後、電源に戻る。このときMR素子層5
に流れる電流により、電流方向とは直角方向に磁界が発
生し、磁気抵抗層12と軟磁性体層10に磁界が誘起さ
れ、カップリングの効果により磁気抵抗層12が通電方
向とは直角方向にバイアスされる。
【0007】このバイアスされた状態で、外部から磁界
を受けると、磁気抵抗層12の抵抗が磁界の変化に伴っ
て変化し、この抵抗の変化を信号として処理することに
より出力を得ることが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、一般的にD
LCは内部応力、特に圧縮応力が大きく、この圧縮応力
の作用によりDLCに密着している物体には、引張力が
作用する。
【0009】従って、上述のような薄膜磁気ヘッドにあ
っては、リード層6−A、リード層6−B、及びMR素
子層5は、特に絶縁層22によって挟持されているた
め、MR素子層5は絶縁層21、絶縁層22の圧縮応力
によって変形されて、所望の電気的特性を得ることがで
きなくなってしまい、信頼性の上で問題があった。
【0010】更に、上述のように高い圧縮応力を持つ絶
縁層をシールド層上に直接形成したのでは、絶縁層の圧
縮応力の作用より、経年変化して当該絶縁層を含むその
上層部が基板から剥離する可能性があった。
【0011】そこで、本発明は、MR素子層が水素を含
む被膜、特に水素化非晶質炭素系被膜からなる絶縁層で
挟持されていても、そのMR素子層の変形を伴うことな
く、所望の電気的特性を得ることが可能であるととも
に、絶縁層を含むその上層部が基板から剥離することが
なく、信頼性が高い薄膜磁気ヘッドを提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜磁気ヘッド
は、磁気記録媒体上を相対的に移動して情報を書き込む
磁気抵抗効果素子部を備える薄膜磁気ヘッドであって、
該素子部は水素を含む被膜から構成された、下部ギャッ
プ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層にて挟持され、前記
上部ギャップ絶縁層と、前記下部ギャップ絶縁層との膜
中水素濃度が異なることを特徴とする。
【0013】本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体
上を相対的に移動して情報を書き込む磁気抵抗効果素子
部を備える薄膜磁気ヘッドであって、該素子部は基板上
に形成された、下部ギャップ絶縁層、及び上部ギャップ
絶縁層にて挟持され、前記上部ギャップ絶縁層と、前記
下部ギャップ絶縁層との内部応力が異なることを特徴と
する。
【0014】本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体
上を相対的に移動して情報を書き込む磁気抵抗効果素子
部を備える薄膜磁気ヘッドであって、該素子部は水素を
含む被膜から構成された、下部ギャップ絶縁層、及び上
部ギャップ絶縁層にて挟持され、前記上部ギャップ絶縁
層の膜中水素濃度が、前記下部ギャップ絶縁層の膜中水
素濃度より高いことを特徴とする。
【0015】本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体
上を相対的に移動して情報を書き込む磁気抵抗効果素子
部を備える薄膜磁気ヘッドであって、該素子部は基板上
に形成された、下部ギャップ絶縁層、及び上部ギャップ
絶縁層にて挟持され、前記上部ギャップ絶縁層の内部応
力が、前記下部ギャップ絶縁層の内部応力より低いこと
を特徴とする。
【0016】また、前記下部ギャップ絶縁層、及び上部
ギャップ絶縁層は、水素化非晶質炭素系被膜であること
を特徴とする。
【0017】また、前記下部ギャップ絶縁層は、中間体
を介して前記基板上に形成されることを特徴とする。
【0018】更に、前記上部ギャップ絶縁層は、中間体
を介して前記下部ギャップ絶縁層上に形成されることを
特徴とする。
【0019】また、前記中間体の膜厚が200Å以下、
又は前記下部ギャップ絶縁層、或るいは上部ギャップ絶
縁層の膜厚の1/5以下であることを特徴とする。
【0020】前記上部ギャップ絶縁層は、前記磁気抵抗
効果素子部上に直接形成された、前記中間体を介して形
成されることを特徴とする。
【0021】また、前記中間体は、Si、Ru、Mo、
C、Ge、Zr、或るいはTi、又はこれらの元素と窒
素、酸素のうち少なくとも1種の元素との混合物である
ことを特徴とする。
【0022】前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギャッ
プ絶縁層は、C、H又はこれらの元素とSi、B、N、
Oのうち少なくとも1種の元素からなることを特徴とす
る。
【0023】前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギャッ
プ絶縁層の水素濃度が5〜65原子%であることを特徴
とする。
【0024】また、前記下部ギャップ絶縁層、又は上部
ギャップ絶縁層の炭素原子間の結合のうち、25%以上
がsp3結合であることを特徴とする。
【0025】前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギャッ
プ絶縁層を形成する被膜の内部応力が、0.5〜9.0
GPaであること特徴とする。
【0026】更に、前記下部ギャップ絶縁層、又は上部
ギャップ絶縁層を形成する被膜の比抵抗が、109〜1
12Ωcmであること特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1〜図6
を用いて説明する。
【0028】本発明の薄膜磁気ヘッドは、次に示す第1
ステップ〜第9ステップに従って作成される。図1を参
照し乍ら、そのステップを説明すると、 (1)Al23−TiC基板51上に絶縁層52(例え
ばAl23)、及びシールド層53(例えばパーマロイ
等のNi系合金)を形成したウエハ(以下、単に「ウエ
ハ」という。)を基板ホルダーに設置する。
【0029】(2)スパッタリング法によって、例えば
Siからなる第1中間体54をウエハ上に形成する。
【0030】(3)高応力膜からなる下部ギャップ絶縁
層55を第1中間体54上に形成する。
【0031】(4)スパッタリング法によって、例えば
Ni系合金からなるMR素子層56を下部ギャップ絶縁
層55上の所定個所に形成する。
【0032】(5)スパッタリング法によって、例えば
Auからなる電極層57をMR素子層56の所定個所に
形成する。
【0033】(6)スパッタリング法によって、例えば
Siからなる第2中間体58を、少なくとも電極層5
7、及びMR素子層56上に形成する。
【0034】(7)低応力膜からなる上部ギャップ絶縁
層59を、少なくとも第2中間体58上に形成する。
【0035】(8)スパッタリング法によって、上部ギ
ャップ絶縁層59上に、例えばパーマロイ等のNi系合
金からなるシールド層60を形成する。
【0036】(9)シールド層60上に誘電型磁気ヘッ
ド部61を形成する。
【0037】上述のステップのうち、第2ステップ、第
3ステップ、第6ステップ、及び第7ステップは図5に
示すECRプラズマ発生装置によって形成される。従っ
て、図5に示すECRプラズマ発生装置において第2ス
テップ、及び第3ステップの処理工程が終了すると、一
旦別のスパッタリング等の成膜手段において第4ステッ
プ、及び第5ステップを処理した後、再びウエハは図5
に示すプラズマ発生装置に戻され、その後の工程処理を
行うことになる。
【0038】図5は、本発明の薄膜磁気ヘッドの上に、
第1中間体(第2ステップで形成)、第2中間層(第3
ステップで形成)、下部ギャップ絶縁層(第6ステップ
で形成)、及び上部ギャップ絶縁層(第7ステップで形
成)を形成するための装置の一例を示す概略断面図であ
る。
【0039】図5において、真空チャンバ28には、プ
ラズマ発生室24が設けられている。プラズマ発生室2
4には、導波管22の一端が取り付けられている。導波
管22の他方端には、マイクロ波供給手段21が設けら
れている。マイクロ波供給手段21で発生したマイクロ
波は、導波管22、及びマイクロ波導入窓23を通って
プラズマ発生室24に導かれる。
【0040】プラズマ発生室24には、プラズマ発生室
24内にアルゴン(Ar)ガスなどの放電ガスを導入さ
せるための放電ガス導入管25が設けられている。プラ
ズマ発生室24の周囲には、プラズマ磁界発生装置26
が設けられている。マイクロ波による高周波磁界と、プ
ラズマ磁界発生装置26からの磁界を作用させることに
より、プラズマ発生室24内に高密度のプラズマが形成
される。
【0041】真空チャンバ28内には筒状の基板ホルダ
ー32が設けられている。この基板ホルダー32は、真
空チャンバ28の壁面に対し垂直に設けられた軸(軸は
図面に対して垂直方向に配されている。)の周りに回転
自在に設けられている。
【0042】基板ホルダー32の周面には、複数のウエ
ハ33が等しい間隔で装着されており、その基板ホルダ
ー32には、高周波電源30が接続されている。
【0043】基板ホルダー32の周囲には、金属製の筒
状のシールドカバー34が所定の距離隔てて設けられて
おり、このシールドカバー34は、接地電極に接続され
ている。このシールドカバー34は、被膜を形成すると
きに、基板ホルダー32に印加されるRF電圧によって
被膜形成箇所以外の基板ホルダー32と真空チャンバ2
8との間で放電が発生するのを防止するため設けられて
いる。
【0044】シールドカバー34には、第1の開口部3
5が形成されている。この第1の開口部35を通って、
プラズマ発生室24から引き出されたプラズマが基板ホ
ルダー32に装着されたウエハ33に放射される。真空
チャンバ28内には、反応ガス導入管36が設けられて
いる。この反応ガス導入管36の先端は、第1の開口部
35の上方に位置する。
【0045】図6は、この反応ガス導入管36の先端部
分近傍を示す平面図である。
【0046】図6において、反応ガス導入管36は、外
部から真空チャンバ内にCH4ガスなどの原料ガスを導
入するためのガス導入部36aと、このガス導入部36
aと垂直に接続されたガス放出部36bとから構成され
ている。
【0047】ガス放出部36bは、基板ホルダー32の
回転方向Aに対して垂直方向に配置され、第1の開口部
35の上方の回転方向の上流側に位置するように設けら
れている。ガス放出部36bには、下方に向けて約45
度の方向に複数の孔41が形成されている。本実施例で
は、8個の孔41が形成されている。
【0048】図5を再び参照して、第1の開口部35の
反対側には、第2の開口部43が形成されている。第2
の開口部43の下方には、第1中間体54、第2中間体
58を構成する材料原子からなるターゲット46が設け
られている。ターゲット46の近傍には、ターゲット4
6をスパッタするため、不活性ガスのイオンをターゲッ
ト46に放射するイオンガン47が設けられている。
【0049】本実施の形態では、不活性ガスとしてAr
ガスを用いている。ターゲット46及びイオンガン47
により、第2の開口部43を通り、ウエハ33上に第1
中間体54、或るいは第2中間体58を構成する材料原
子を放射することができる。 <実施例1、実施例2>図5に示す装置を用いて、ウエ
ハ上に第1中間体54、第2中間体58としてのSi層
と下部ギャップ絶縁層55、及び上部ギャップ絶縁層5
9からなる水素化非晶質炭素系被膜を形成する。
【0050】まず、真空チャンバ28内を10-5〜10
-7Torrに排気して、基板ホルダー32を約10rp
mの速度で回転させる。次に、イオンガン47にArガ
スを供給して、Arイオンを取り出し、これをSiから
なるターゲット46の表面に放射する。このときのAr
イオンの加速電圧は900eV、イオン電流密度は0.
4mA/cm2に設定した。
【0051】以上の工程を約1分間行い、シールド層5
3の表面に膜厚20ÅのSiからなる第1中間体54を
形成する。
【0052】次に、イオンガン47からのArイオンの
放射を止めたのち、ECRプラズマ発生装置の放電ガス
導入管25からArガスを5.7×10-4Torrで供
給するとともに、マイクロ波供給手段21から2.45
GHz、200Wのマイクロ波を供給して、プラズマ発
生室24内にArプラズマを形成し、形成されたArプ
ラズマを第1の開口部35を通して、第1中間体54の
表面に放射する。
【0053】これと同時に、ウエハ33に自己バイアス
を発生させるために高周波電源30から13.56MH
zのRF電圧を基板ホルダー32に印加し、反応ガス導
入管36からCH4ガスを1.0×10-3Torrで供
給する。
【0054】以上の工程により、第1中間体54上に膜
厚1000Åの下部ギャップ絶縁層55を形成し、更に
第2中間体58上に膜厚1000Åの上部ギャップ絶縁
層59を形成したもの(実施例1)を作製し、更に第1
中間体54上に膜厚400Åの下部ギャップ絶縁層55
を形成し、更に第2中間体58上に膜厚400Åの上部
ギャップ絶縁層59を形成したもの(実施例2)を作製
した。
【0055】次に、図2は、図1の薄膜磁気ヘッドの変
形例であり、図1の薄膜磁気ヘッドとの相違点は、第2
中間体58を、MR素子層56、及び電極層57にのみ
形成したことである。
【0056】斯かる薄膜磁気ヘッドは、第2中間体58
を下部ギャップ絶縁層55を含むMR素子層56、及び
電極層57上に形成した後、エッチング処理工程によ
り、下部ギャップ絶縁層55上に形成された第2中間体
58を除去することにより、図1の薄膜磁気ヘッドと同
様な工程処理によって作製することができる。
【0057】図3は、自己バイアス電圧と、下部ギャッ
プ絶縁層55、及び上部ギャップ絶縁層59の膜厚10
00Åにおける水素化非晶質炭素系被膜の膜中水素濃
度、内部応力との関係図を示したものである。
【0058】図3によると、自己バイアス電圧を変化さ
せることにより、水素化非晶質炭素系被膜の膜中水素濃
度、内部応力が制御されることが分かる。即ち、自己バ
イアス電圧を大きくすることにより、水素化非晶質炭素
系被膜の膜中水素濃度は減少し、これと共に内部応力は
増大し、膜中水素濃度を測定することにより、内部応力
を推定することが可能となる。
【0059】図4は自己バイアス電圧と、水素化非晶質
炭素系被膜の膜内炭素原子間のsp3結合との関係図を
示したものである。
【0060】図4によると、自己バイアス電圧を変化さ
せることにより、膜内炭素原子間のsp3結合の割合が
変化することが分かる。即ち、自己バイアス電圧を変化
させることにより、sp3結合の割合を制御することが
可能である。また、図4に示した条件で形成した非晶質
炭素系被膜の比抵抗測定を行った結果、109〜101 2
Ωcmであることを確認した。
【0061】ここで、上述の実施例1、実施例2、及び
比較例3(Al23膜)として、下部ギャップ絶縁層5
5、及び上部ギャップ絶縁層59を高応力膜、低応力
膜、及びAl23膜から構成した場合のそれらの各膜を
形成する際の自己バイアス電圧、膜の内部応力、及び硬
度を比較したものを表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】この表1より、高応力膜、及び低応力膜の
硬度、及び内部応力は、比較例3(Al23膜)のそれ
より大きいことが分かる。
【0064】尚、被膜の内部応力は、一般に基板の変形
量から測定することができる。具体的には、薄い基板の
上に応力の掛かった状態で被膜を形成すると、基板はそ
の形と弾性定数によって決まるたわみを示すので、この
たわみ量を検出することによって内部応力を評価するこ
とができる。この手法は「たわみ法」と呼ばれており
(応力物理,第66巻,第7号(1987),第923頁〜
第924頁)、表1に示す被膜の内部応力はたわみ法で
測定したものである。
【0065】次に、表2では、本発明に係かる実施例
1、実施例2、及び比較例3、比較例4で作製した薄膜
磁気ヘッドにおいて、MR素子層56からシールド層5
3へリークする電流の相対比較を行った結果を示したも
のである。
【0066】
【表2】
【0067】この表2によると、比較例3との相対比較
をすると、実施例1、実施例2のリーク電流割合は、極
端に減少しているのに対して、比較例4のリーク電流割
合は膜厚を400Åと薄膜化することにより、3.74
倍に増加している。
【0068】即ち、このことから、下部ギャップ絶縁層
55、及び上部ギャップ絶縁層59に水素化非晶質炭素
系被膜を用いることで、リーク電流を増加させることな
く、薄膜化が可能となることが分かる。
【0069】次に、下部ギャップ絶縁層55、上部ギャ
ップ絶縁層59について、内部応力の異なる被膜を種々
形成して、実施例1、実施例2、及び比較例1〜比較例
3の5種類の薄膜磁気ヘッドを作製し、通電寿命試験を
行うと共に、記録媒体との一定時間の摺動試験後のMR
素子層56の摩耗量を測定し、その結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】尚、通電寿命試験は、MR素子層56に所
定電流を通電し、その電流値が規定値以下に減少するま
での寿命を測定した。
【0072】表3によると、比較例1の通電寿命は、比
較例3に比較して劣るが、実施例1、実施例2、及び比
較例2は比較例3に比較して同等以上の結果となった。
【0073】この原因は、比較例1では、上部ギャップ
絶縁層59の高い内部応力が、MR素子層56に悪影響
を及ぼしたものと考えられる。
【0074】次に、実施例1、2の摺動試験によるMR
素子層56の摩耗量は、比較例3に比較して1/4以下
に減少しており、また比較例2よりも少なくなってい
る。
【0075】この原因は、下部ギャップ絶縁層55が高
硬度であるため、耐摩耗性が高く、この結果、非常に薄
いMR素子層56を保護しているものと考えられる。
【0076】尚、上述の実施の形態では、下部ギャップ
絶縁層55、及び上部ギャップ絶縁層59の組成は、特
に限定されるものではなく、摺動特性改善等の点で、不
純物、例えばSi、B、Oが適量添加されたものも含ま
れる。
【0077】また、第1中間体54、第2中間体58
は、下地材料と下部ギャップ絶縁層55、及び上部ギャ
ップ絶縁層59との密着性を改善するものであれば、S
iに限定されるものではない。
【0078】また、上述の実施の形態では、第1中間体
54、及び第2中間体58として、Siを用いたが、こ
れには限られず、Ru、Mo、C、Ge、Zr、或るい
はTi、又はこれらの元素と窒素、酸素のうち少なくと
も1種の元素との混合物を用いても、Siと同様な結果
となることを実験により確認した。
【0079】また、上述の形成条件における下部ギャッ
プ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層を形成する被膜の形
成温度は100℃以下であることを実験により確認し
た。
【0080】更に、上述の実施の形態では、内部応力を
制御する手法として、自己バイアス電圧を変化させてい
るが、これに限られるものではなく、例えば膜中に窒素
を添加することによって内部応力を制御してもよい。
【0081】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、MR素子層を下部ギャップ絶縁層、及び上部
ギャップ絶縁層にて挟持した構成の薄膜磁気ヘッドにお
いて、上部ギャップ絶縁層の内部応力が、下部ギャップ
絶縁層の内部応力より小さく形成しているため、MR素
子層に対して悪影響を及ぼすことがなくなり、薄膜磁気
ヘッドの素子寿命と共に、耐摩耗性が向上する結果、信
頼性が増す効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜磁気ヘッドの断面図である。
【図2】本発明の薄膜磁気ヘッドの断面図である。
【図3】本発明において、自己バイアス電圧と、下部ギ
ャップ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層の膜厚1000
Åにおける水素化非晶質炭素系被膜の膜中水素濃度、内
部応力との関係図を示したものである。
【図4】本発明において、自己バイアス電圧と、水素化
非晶質炭素系被膜の膜内炭素原子間のsp3結合比との
関係図を示したものである。
【図5】本発明の実施の形態において第1中間体、第2
中間層、下部ギャップ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層
を形成する装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】図5に示す装置の第1の開口部近傍を示す平面
図である。
【図7】従来の薄膜磁気ヘッドの概略断面図である。
【図8】従来の薄膜磁気ヘッドにおけるMR素子層5、
リード層6−A及びリード層6−Bの部分拡大図であ
る。
【符号の説明】
51・・・基板 52・・・絶縁層 53、60・・・シールド層 54・・・第1中間体 55・・・下部ギャップ絶縁層 56・・・MR素子層 57・・・電極層 58・・・第2中間体 59・・・上部ギャップ絶縁層

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体上を相対的に移動して情報
    を書き込む磁気抵抗効果素子部を備える薄膜磁気ヘッド
    であって、該素子部は水素を含む被膜から構成された、
    下部ギャップ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層にて挟持
    され、前記上部ギャップ絶縁層と、前記下部ギャップ絶
    縁層との膜中水素濃度が異なることを特徴とする薄膜磁
    気ヘッド。
  2. 【請求項2】 磁気記録媒体上を相対的に移動して情報
    を書き込む磁気抵抗効果素子部を備える薄膜磁気ヘッド
    であって、該素子部は基板上に形成された、下部ギャッ
    プ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層にて挟持され、前記
    上部ギャップ絶縁層と、前記下部ギャップ絶縁層との内
    部応力が異なることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 磁気記録媒体上を相対的に移動して情報
    を書き込む磁気抵抗効果素子部を備える薄膜磁気ヘッド
    であって、該素子部は水素を含む被膜から構成された、
    下部ギャップ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層にて挟持
    され、前記上部ギャップ絶縁層の膜中水素濃度が、前記
    下部ギャップ絶縁層の膜中水素濃度より高いことを特徴
    とする薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 磁気記録媒体上を相対的に移動して情報
    を書き込む磁気抵抗効果素子部を備える薄膜磁気ヘッド
    であって、該素子部は基板上に形成された、下部ギャッ
    プ絶縁層、及び上部ギャップ絶縁層にて挟持され、前記
    上部ギャップ絶縁層の内部応力が、前記下部ギャップ絶
    縁層の内部応力より低いことを特徴とする薄膜磁気ヘッ
    ド。
  5. 【請求項5】 前記下部ギャップ絶縁層、及び上部ギャ
    ップ絶縁層は、水素化非晶質炭素系被膜であることを特
    徴とする、請求項1〜4のうちいずれかに記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記下部ギャップ絶縁層は、中間体を介
    して前記基板上に形成されることを特徴とする、請求項
    1〜5のうちいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記上部ギャップ絶縁層は、中間体を介
    して前記下部ギャップ絶縁層上に形成されることを特徴
    とする、請求項1〜6のうちいずれかに記載の薄膜磁気
    ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記中間体の膜厚が200Å以下、又は
    前記下部ギャップ絶縁層、或るいは上部ギャップ絶縁層
    の膜厚の1/5以下であることを特徴とする、請求項1
    〜7のうちいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記上部ギャップ絶縁層は、前記磁気抵
    抗効果素子部上に直接形成された、前記中間体を介して
    形成されることを特徴とする、請求項1〜8のうちいず
    れかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記中間体は、Si、Ru、Mo、
    C、Ge、Zr、或るいはTi、又はこれらの元素と窒
    素、酸素のうち少なくとも1種の元素との混合物である
    ことを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれかに記載
    の薄膜磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギ
    ャップ絶縁層は、C、H又はこれらの元素とSi、B、
    N、Oのうち少なくとも1種の元素からなることを特徴
    とする、請求項1〜10のうちいずれかに記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギ
    ャップ絶縁層の水素濃度が5〜65原子%であることを
    特徴とする、請求項1〜11のうちいずれかに記載の薄
    膜磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギ
    ャップ絶縁層の炭素原子間の結合のうち、25%以上が
    sp3結合であることを特徴とする、請求項1〜12の
    うちいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギ
    ャップ絶縁層を形成する被膜の内部応力が、0.5〜
    9.0GPaであること特徴とする、請求項1〜13の
    うちいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記下部ギャップ絶縁層、又は上部ギ
    ャップ絶縁層を形成する被膜の比抵抗が、109〜10
    12Ωcmであること特徴とする、請求項1〜14のうち
    いずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
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JP2016090974A (ja) * 2014-11-11 2016-05-23 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置用摺擦部材、クリーニング装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
KR20220160970A (ko) * 2021-05-28 2022-12-06 주식회사 현대케피코 연료 인젝터용 부품과 그 코팅 방법

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