JPH10287481A - セメント系陶磁器製品の製造方法 - Google Patents
セメント系陶磁器製品の製造方法Info
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Abstract
じれが少なく白華の発生も少ないセメント系陶磁器製品
を製造する。 【解決手段】 セメント、粘土鉱物、骨材、ガラス質成
分を含む原料混合物に水を加えて混練した後プレス成形
し、得られた成形体を養生後焼成する。成形体の養生に
当り、成形体を気中に放置して外力を加えても流動しな
い凝結状態となるまで気中養生した後、成形体の水分の
減少を抑えた条件下で加湿養生する。
Description
品の製造方法に係り、特に、高強度で、ねじれ及び白華
の少ない、高品質のセメント系陶磁器製品を製造する方
法に関する。
土鉱物や骨材等を配合し、水で混練して成形、養生、焼
成することにより製造されている。
生温度が高い程強度発現が良いとされていることから、
ボイラから養生室に高温の蒸気を送り、高温高湿条件下
での養生が行われている。
温度で長い時間養生を行った方が高いとされており、養
生条件については、強度発現のためには高温養生が、最
終強度のためには低温長時間養生が良いという相反する
条件が挙げられている。
の如く、セメント系陶磁器製品の製造に当り、強度発現
及び最終強度を共に満足する養生条件の設定が難しく、
高強度品が効率的に得られていないのが現状である。
り商品価値の高いセメント系陶磁器製品を製造するのが
難しいという問題もある。
発現性に優れ最終強度が高く、しかもねじれが少なく白
華の発生も少ないセメント系陶磁器製品を製造する方法
を提供することを目的とする。
器製品の製造方法は、セメント、粘土鉱物、骨材及びガ
ラス質成分を含む原料混合物に水を加えて混練した後プ
レス成形し、得られた成形体を養生後焼成するセメント
系陶磁器製品の製造方法において、該成形体の養生に当
り、該成形体を気中に放置して外力を加えても流動しな
い凝結状態となるまで気中養生した後、該成形体の水分
の減少を抑えた条件下で加湿養生することを特徴とす
る。
かではないが、次のように推定される。即ち、成形体の
水分の減少を抑えた条件下で加湿養生すると、成形体の
セメント粒子間が密に充填された状態で養生が進行し、
このことがセメントの水和硬化における強度向上をもた
らす。また、このようにセメント粒子間が密に充填され
た水和硬化体を焼成すると、焼成後の強度が向上し、焼
成時のねじれも抑制される。更に、成形体中の水分が表
面に移動しないため、水和硬化にともなって生じるセメ
ントアルカリ分の表面への移動が殆どない。このため、
セメントアルカリ分が空気中の炭酸ガスと反応して生じ
る白華物の析出が防止される。
10〜25重量部、粘土鉱物2〜25重量部、骨材35
〜65重量部、ガラス質成分10〜25重量部、繊維状
物質0〜5重量部、及び酸化鉄粉末0〜7重量部を含む
ものが好ましく、水は、この原料混合物100重量部に
対して5〜10重量部を加えるのが好ましい。
囲とし、温度5〜50℃,湿度40〜100%で0.5
〜12時間気中養生した後、20〜60℃の飽和蒸気圧
下12〜150時間加湿養生を行うのが好ましい。
の水分の減少を抑えた条件下とは、例えば、下記式で算
出される加湿養生後の成形体の水分減少率Wが2%以下
となるような条件である。
た後焼成しても良く、これにより表面に施釉を施した美
麗な施釉セメント系陶磁器製品を製造することができ
る。
く、これにより、表面に美麗でかつ光沢のある炭素の薄
膜が形成されたセメント系陶磁器製品を製造することが
できる。
製品の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
明する。
限はなく、ポルトランドセメント、アルミナセメント、
フライアッシュセメント、高炉スラグセメント、石灰−
スラグ系セメント等の混合セメントなど、水和反応によ
り硬化を示す全ての物質が挙げられる。
クロライト、コーディエライト、エンスタタイル、パイ
ロフィライト、スピネル、タルク等が挙げられ、これら
は1種を単独で用いても2種以上を混合して用いても良
い。
シャモットなど耐熱性のあるものが、焼成後の強度の点
でより望ましいが、セメント中のアルカリ成分とSiO
2 の反応で強度に寄与すると共に、白華成分を低減でき
る点で硬質砂岩、川砂、海砂、珪砂なども好適である。
あって、具体的には各種ガラス瓶、窓ガラスの粉砕物、
フリット、火山灰、釉薬混合物などが挙げられる。
ボンファイバー、チタン酸カリウムウィスカー、スチー
ルファイバー等の繊維状物質を配合してもよく、これに
より曲げ強度の向上及びねじれの減少という効果が奏さ
れる。また更に酸化鉄粉末を配合しても良くこれによ
り、組織の緻密化及び燻化処理に際し良好な光沢面が得
られるという効果が奏される。
りである。
重量部とする。) セメント:10〜25 粘土鉱物:2〜25 骨材:35〜65 ガラス質成分:10〜25 繊維状物質:0〜5 酸化鉄粉末:0〜7 本発明に係る原料配合において、セメントが10重量部
未満では得られる製品の強度が不足し、25重量部を超
えると原料調合物中のセメントアルカリ量が多くなり、
白華の発生量が多くなる。
れる成形品の可塑性がなく、圧力が付与された部分で固
まる性質があり、密度の均一な成形体を得にくい。粘土
鉱物が25重量部を超えると、プレス成形時に金型に付
着し易くなり脱型が困難となる。これに対して、粘土鉱
物を2〜25重量部加えると、調合物が可塑性を持ち、
プレスした時に圧力が全体に行き渡り、均一な密度の成
形体を得ることができるようになる。このため、これを
本発明に従って養生、焼成して得られる製品であれば、
より一層強度が向上し、ねじれも防止される。
強度が不足し、65重量部を超えると焼結性が悪くなる
ため骨材の配合量は35〜65重量部とするのが好まし
い。
焼結性が悪くなり、25重量部を超えるとガラス層が増
えて、ねじれが大きくなるため、ガラス質成分は10〜
25重量部とする。
ることで曲げ強度の向上及びねじれの減少という効果が
得られるが、この配合量が多過ぎると成形性が悪くな
り、曲げ強度の減少やねじれの増大を引き起こすため、
繊維状物質は5重量部以下とする。
緻密化及び燻化処理の際に良好な光沢面が得られるが、
この配合量が多過ぎるとプレス成形時に金型に付着しや
すくなるため、酸化鉄粉末は7重量部以下とする。
えて混練する。この水の添加量は成形原料100重量部
に対して5〜10重量部とするのが好ましい。水の添加
量がこの範囲よりも少ないと混練性が悪く、逆に多いと
成形性が悪くなる。
要に応じて粘結剤、減水剤、可塑剤等の混和剤や顔料等
を適宜選択添加しても良い。
法に従って成形する。この成形方法としては、プレス成
形法、加圧脱水成形法、振動プレス成形法等を採用する
ことができ、成形条件等には特に制限はない。
湿養生する。
度40〜100%で気中に放置して、外力を加えても流
動しないような凝結状態にまで水和硬化させる。このよ
うな気中養生に要する時間は、原料に用いたセメントの
種類や養生温度等によっても異なるが、ポルトランドセ
メントの場合には一般に30分〜5時間程度である。な
お、この気中養生中においても、極力成形体の水分の減
少を抑えるようにするのが望ましい。
き、湯気・超音波型加湿器又は加熱型加湿器等で湿度を
飽和状態にして養生することをいう。即ち、従来、一般
的な養生としては、ボイラーで蒸気を発生させ、養生室
内にその蒸気を吹き込んで行う蒸気養生が行われてい
る。そのメカニズムは未だ十分に解明されてはいない
が、本発明による加湿養生に比べ、得られる製品の強度
が低い。この蒸気養生後の成形体の重量が養生前と比べ
減少していることから、発明者らは、養生室内から蒸気
が漏れ、それと共に成形体の水分が逃げていくことが強
度低下の原因と考えた。
は、プレス成形で得られた成形体の重量と比べ重量の減
少は見られない。そして、このことが、セメント粒子間
が密に埋まって、水和硬化強度の向上につながり、ま
た、この密になった水和硬化体を焼成した時に、焼成し
た後の焼成体の強度向上、ねじれの減少にもつながって
いると考えられる。
は、20〜60℃の飽和蒸気圧下12〜150時間、特
に15〜72時間の条件で行うのが好ましい。
より成形体の水分の減少は殆どみられず、その水分減少
率は前記式で算出されるWの値で2%以下である。
200℃で4〜10時間程度行われる。
の表面に施釉を行って焼成工程において釉薬を表面に融
着させることにより、施釉セメント系陶磁器製品を製造
することもできる。
燻化剤を燻焼させることにより、燻化剤中に含まれる炭
化水素が熱分解することによって生じる微粒状炭素を表
面に沈着させるようにすることで燻化処理セメント系陶
磁器製品を製造することもできる。
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
度は榎木精工(株)社製の曲げ強度試験機によりスパン
20cmで測定した。また、20cmの間隔で4本の同
じ長さの支柱を立て、瓦面をそのうちの3本に密着させ
たとき、残りの1本の支柱の先端と瓦面との距離を測定
し、ねじれの目安とした。
3mm厚さの施釉瓦を製造した。
部、安山岩36重量部、瓶ガラス粉砕物18重量部、瓦
廃釉薬2重量部、蛇紋岩4重量部、硬質砂岩20重量部
をよく混合したものに、水を8重量部加え、よく混練し
た後、(株)江東工業所社製の成形機械で4.9MPa
の圧力で加圧脱水成形をした。この成形体を受け板にと
り、湿度70%、温度20℃で1時間気中に放置する気
中養生を行った後、水分が減少しないように密閉した加
湿養生室にて50℃の飽和蒸気圧下48時間加湿養生し
た。
った。この成形体表面は白華の発生で白く変色すること
はなかった。
量部、蛇紋岩5重量部、硬質砂岩25重量部及び水40
重量部からなる調合物をミルに入れ、磨砕して泥状に
し、これを、上記成形体に700g/m2 の塗布量で塗
布し、乾燥後、最高温度1070℃まで5時間で昇温
し、その後1070℃で1時間保持して焼成した後、自
然放冷した。
が得られた。
を調べ、結果を表1に示した。
湿度100%、温度50℃で4時間加温して養生した
後、通常の蒸気養生室に入れ50℃の飽和蒸気圧下48
時間蒸気養生を行ったこと以外は同様にして瓦を製造し
た。
形体の重量は蒸気養生前の成形体の重量よりも75g減
少しており、水分減少率Wは2.9%であった。
を調べ、結果を表1に示した。
3mm厚さの燻瓦を製造した。
部、安山岩34重量部、瓶ガラス20重量部、蛇紋岩6
重量部及び硬質砂岩20重量部をよく混合したものに、
水10重量部加え、よく混練した後、(株)江東工業所
社製の成形機械で4.9MPaの圧力で加圧脱水成形を
した。この成形体を受け板にとり、湿度75%、温度1
5℃で2時間気中に放置する気中養生を行った後、水分
が減少しないように密閉した加湿養生室にて50℃の飽
和蒸気圧下48時間加湿養生した。
った。この成形体表面は白華の発生で白く変色すること
はなかった。
まで5時間かけて昇温し、その後1050℃で1時間保
持して焼成した後、窯内でそのまま温度を下げて、90
0℃になった所で燻化ガス(LPGの未処理ガス)を窯
内に入れ、燻化処理を行った。
薄膜が形成された燻瓦が得られた。
を調べ、結果を表1に示した。
湿度100%、温度50℃で4時間加温して養生した
後、通常の蒸気養生室に入れ50℃の飽和蒸気圧下48
時間蒸気養生を行ったこと以外は同様にして瓦を製造し
た。
形体の重量は蒸気養生前の成形体の重量よりも80g減
少しており、水分減少率Wは3.1%であった。
を調べ、結果を表1に示した。
く、ねじれの少ない瓦を製造できることがわかる。
陶磁器製品の製造方法によれば、高強でねじれ及び白華
の少ない、著しく商品価値の高いセメント系陶磁器製品
を高い歩留りで効率的に製造することができる。
陶磁器製品は、建築用内外装パネル、舗石など幅広い用
途に供し得るが、本発明は、とりわけ瓦の製造に極めて
好適である。
Claims (10)
- 【請求項1】 セメント、粘土鉱物、骨材及びガラス質
成分を含む原料混合物に水を加えて混練した後プレス成
形し、得られた成形体を養生後焼成するセメント系陶磁
器製品の製造方法において、 該成形体の養生に当り、該成形体を気中に放置して外力
を加えても流動しない凝結状態となるまで気中養生した
後、該成形体の水分の減少を抑えた条件下で加湿養生す
ることを特徴とするセメント系陶磁器製品の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、該原料混合物が、セ
メント10〜25重量部、粘土鉱物2〜25重量部、骨
材35〜65重量部及びガラス質成分10〜25重量部
を含むことを特徴とするセメント系陶磁器製品の製造方
法。 - 【請求項3】 請求項2において、該原料混合物が更に
繊維状物質5重量部以下及び/又は酸化鉄粉末7重量部
以下を含むことを特徴とするセメント系陶磁器製品の製
造方法。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
て、原料混合物100重量部に対して水5〜10重量部
を加えて混練することを特徴とするセメント系陶磁器製
品の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
て、焼成温度が900〜1200℃の範囲であることを
特徴とするセメント系陶磁器製品の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
て、気中養生を温度5〜50℃,湿度40〜100%で
0.5〜12時間行うことを特徴とするセメント系陶磁
器製品の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項におい
て、加湿養生を、20〜60℃の飽和蒸気圧下12〜1
50時間行うことを特徴とするセメント系陶磁器製品の
製造方法。 - 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項におい
て、下記式で算出される加湿養生後の成形体の水分減少
率Wが2%以下であることを特徴とするセメント系陶磁
器製品の製造方法。 【数1】 - 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項におい
て、養生後成形体に施釉した後焼成することを特徴とす
るセメント系陶磁器製品の製造方法。 - 【請求項10】 請求項1ないし8のいずれか1項にお
いて、焼成に当り、燻化処理を行うことを特徴とするセ
メント系陶磁器製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09092089A JP3090085B2 (ja) | 1997-04-10 | 1997-04-10 | セメント系陶磁器製品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09092089A JP3090085B2 (ja) | 1997-04-10 | 1997-04-10 | セメント系陶磁器製品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10287481A true JPH10287481A (ja) | 1998-10-27 |
JP3090085B2 JP3090085B2 (ja) | 2000-09-18 |
Family
ID=14044726
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09092089A Expired - Lifetime JP3090085B2 (ja) | 1997-04-10 | 1997-04-10 | セメント系陶磁器製品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3090085B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001012571A1 (fr) * | 1999-08-17 | 2001-02-22 | Philippe Dubois | Composition pour moulage |
FR2797869A1 (fr) * | 1999-08-17 | 2001-03-02 | Philippe Dubois | Composition pour moulage |
JP2007022882A (ja) * | 2005-07-20 | 2007-02-01 | Jitsuo Korogi | 釉薬、それを使用した焼物の製法及び焼物 |
-
1997
- 1997-04-10 JP JP09092089A patent/JP3090085B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001012571A1 (fr) * | 1999-08-17 | 2001-02-22 | Philippe Dubois | Composition pour moulage |
FR2797869A1 (fr) * | 1999-08-17 | 2001-03-02 | Philippe Dubois | Composition pour moulage |
FR2798378A1 (fr) * | 1999-08-17 | 2001-03-16 | Philippe Dubois | Composition pour moulage |
JP2007022882A (ja) * | 2005-07-20 | 2007-02-01 | Jitsuo Korogi | 釉薬、それを使用した焼物の製法及び焼物 |
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JP3090085B2 (ja) | 2000-09-18 |
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