JPH10284103A - 燃料電池及び燃料電池の運転方法 - Google Patents

燃料電池及び燃料電池の運転方法

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JPH10284103A
JPH10284103A JP9090883A JP9088397A JPH10284103A JP H10284103 A JPH10284103 A JP H10284103A JP 9090883 A JP9090883 A JP 9090883A JP 9088397 A JP9088397 A JP 9088397A JP H10284103 A JPH10284103 A JP H10284103A
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邦弘 中藤
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秀雄 萩野
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恵吾 宮井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 りん酸形の燃料電池において、りん酸を補充
する機構等を設けなくても、電解質マトリックスに保持
されるりん酸の量を長期にわたって維持することを可能
とし、電池の長寿命化を実現する。 【解決手段】 制御器4は、テーブル43を参照するこ
とによって、電流計42の検出値(負荷)に相当する負
荷の値に対応する制御温度を算出しする。そして、電池
の運転温度(温度センサ50で検出する温度)を、算出
した制御温度に一致させるように、空気ファン3の出力
をコントロールし、このような制御により、燃料電池本
体1の運転温度は、負荷に応じて燃料電池本体1の運転
中の重量変化が小さくなるように調整される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池に関し、
特にりん酸形の燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】りん酸形の燃料電池は、一般的に、りん
酸を含浸させた電解質マトリックスの両面に多孔性のア
ノード及びカソードを配してなるセルを、ガスチャネル
が形成された一対のプレートで挟持した構成であって、
その運転時においては、アノード側のガスチャネルに燃
料ガス(例えば水素あるいは水素リッチな改質ガス)
を、カソード側のガスチャネルに酸化剤ガス(例えば空
気)を供給することにより、セルにおいて水素と酸素と
が電気化学的に反応して水を生成しながら発電するよう
になっている。
【0003】ところで、燃料電池は発電に伴って熱も発
生するため、空気や水等の冷却媒体で燃料電池を冷却し
ており、燃料電池の運転温度が所定の設定温度に保たれ
るように冷却力を制御しながら運転しているものが多
い。りん酸形の燃料電池の場合、運転温度は100℃〜
200℃程度の範囲内で設定されることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにしてりん酸形の燃料電池を運転すると、運転サイク
ルの進行に伴って、セルに保持されているりん酸の量が
低下することによってセル電圧が低下し電池寿命に到る
という現象が生じやすい。このような問題に対して、例
えば、りん酸保持量が低下したときに電解質マトリック
スに対して外部からりん酸を補充することによって燃料
電池の長寿命化を図ることも考案されているが、この場
合、電解質マトリックスに対して外部からりん酸を補充
する機構を設ける必要がある。
【0005】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであって、りん酸形の燃料電池において、運転時
にりん酸の体積変化を極力抑えることを可能とし、電解
質マトリックスに保持されるりん酸の量を長期にわたっ
て維持することを可能する運転方法を提供することによ
り、りん酸を補充する機構等を設けなくても電池の長寿
命化を実現することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、りん酸形の燃料電池の運転時におい
て、燃料電池にかかる負荷を測定し、測定した負荷に応
じた制御温度を所定の関数に基づいて算出し、算出した
制御温度に合わせて燃料電池の運転温度を調整するよう
にした。
【0007】本発明者等は、りん酸形の燃料電池におい
て、サイクル運転に伴って電池電圧が低下する原因につ
いて調べたところ、燃料電池のサイクル運転に伴って、
電解質マトリックスの細孔内に保持されているりん酸の
濃度が変動し、それに伴ってりん酸の体積が変動するこ
とが、その主な原因の1つとなっていることが分かっ
た。
【0008】また、りん酸形の燃料電池を従来のように
一定の運転温度で運転した場合には、燃料電池にかかる
負荷の変動に伴って、電池内においてりん酸の飛散速度
が高くなる状況が生じ易いのに対して、上記のように燃
料電池にかかる負荷に応じて燃料電池の運転温度を調整
すれば、いずれの負荷に対してもりん酸の飛散を極力抑
えることができ、その結果、りん酸の保持量を長期にわ
たって維持できることを見い出した。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明を適用した燃料電池につい
て、図面を参照しながら具体的に説明する。 〔本実施形態ポータブル燃料電池の構成についての説
明〕図1は、本発明の一実施形態に係るポータブル燃料
電池の斜視図である。このポータブル燃料電池は、燃料
電池本体1と、これに水素を供給する水素吸蔵合金タン
ク2及び空気を供給する空気ファン3と、燃料電池本体
1の運転温度や出力を制御するための制御器4等から構
成されている。
【0010】図2は、燃料電池本体1の構成を示す斜視
図、図3は、その主要部分の構成を示す分解斜視図であ
る。燃料電池本体1は、電解質マトリックス11にアノ
ード12とカソード13とを配してなるセル10と、セ
パレータ板21の両面にりん酸を含む多孔性基板22及
び多孔性基板23が積層された複合セパレータ20とが
交互に積層され、一対の端板30によって両端が締め付
けられてなる積層体に、水素供給マニホールド31及び
水素回収マニホールド32が取付けられて構成されてい
る。
【0011】なお、燃料電池本体1に用いるセル10の
枚数は、燃料電池本体1で出力させようとする電圧に応
じて設定される。電解質マトリックス11は、シリコン
カーバイトをフッ素樹脂で結着した長方形状シートの細
孔内にりん酸が含浸されたものである。アノード12及
びカソード13は共に、白金あるいは白金合金触媒が担
持されたカーボン粒子をフッ素樹脂で結着して作製した
シートを、炭素繊維からなり溌水処理を施したカーボン
ペーパに圧着したものである。
【0012】セパレータ板21は、電解質マトリックス
11と同等の大きさを有する平板に対して、その片面側
に一対の対向する辺に沿って帯板状のエッジシール部2
1aが設けられ、背面側にこれと直交する一対の対向す
る辺に沿って帯板状のエッジシール部21bが設けられ
ており、全体が緻密なグラッシーカーボンで形成されて
いる。
【0013】多孔性基板22は、アノード12と同等の
大きさの長方形板の表面に多数のガスチャネル22a及
びリブ22bが形成されたものであって、一対のエッジ
シール部21aの間にはめ込まれている。また、多孔性
基板23は、カソード13と同等の大きさの長方形板の
表面に多数のガスチャネル23a及びリブ23bが形成
されたものであって、一対のエッジシール部21bの間
にはめ込まれている。
【0014】この多孔性基板22,23は、いずれも多
孔性カーボンからなり、その孔中にはりん酸が保持され
ている。 〔本実施形態のホータブル燃料電池の運転ついての説
明〕図4は、制御器4の構成図である。制御器4には、
燃料電池本体1からのDC出力をAC出力に変換するた
めのインバータ41が備えられている。
【0015】燃料電池本体1の運転時には、水素吸蔵合
金タンク2から水素供給マニホールド31に供給される
水素がガスチャネル22aに供給されると共に、空気フ
ァン3から送られる空気がガスチャネル23aに供給さ
れて、セル10で発電がなされる。そして、各セル10
での電力は合わされて燃料電池本体1からDC出力さ
れ、インバータ41で交流に変換されて外部負荷(例え
ばテレビ)にAC出力される。
【0016】燃料電池本体1の温度制御を行うために、
制御器4には、燃料電池本体1にかかる負荷を測定する
ための電流計42が備えられ、燃料電池本体1の制御温
度を算出するためのテーブル43も記憶されており、燃
料電池本体1には、電池温度を測定するための温度セン
サ50が取り付けられている。このテーブル43は、負
荷(ポータブル燃料電池からの出力)と電池の制御温度
とが対応づけられているものであって、予め実験的に、
燃料電池本体1を様々な負荷と制御温度の組合せのもと
で運転し、その中から燃料電池本体1の運転中の重量変
化が小さくなるような組合せを選択して求めたものであ
る(具体的には実施例で後述する)。
【0017】制御器4は、テーブル43を参照すること
によって、電流計42の検出値(負荷)に相当する負荷
の値に対応する制御温度を算出する。そして、電池の運
転温度(温度センサ50で検出する温度)を、算出した
制御温度に一致させるように、空気ファン3の出力をコ
ントロールし、このような制御により、燃料電池本体1
の運転温度は、負荷に応じて燃料電池本体1の運転中の
重量変化が小さくなるように調整される。
【0018】ところで、燃料電池本体1の運転中の重量
変化を小さく抑えるのに適した運転温度は、空気ファン
3が送り込む空気の湿度によっても多少変化する。即
ち、湿度が高いほど水分が飛散しにくいので、重量変化
を小さく抑えるのに適する運転温度は高くなる。従っ
て、このポータブル燃料電池に湿度センサを設けて、周
囲から取り込む空気の湿度を測定し、測定した湿度に基
づいて、テーブル43から導き出された制御温度に対し
て補正を加えるようにすれば、湿度の変化に対応してよ
り的確に運転中の重量変化を抑えることが可能となる。
【0019】〔本実施形態のホータブル燃料電池の効果
についての説明〕先ず、りん酸形の燃料電池を運転する
ときに、一般的に電解質マトリックスの細孔内のりん酸
がどのように挙動するかについて考察する。運転温度が
低く負荷が大きい場合には、発生する生成水の量は大き
く、反応ガス中に飛散する水分量は小さいので、水分が
細孔に吸収され細孔内のりん酸の体積は大きくなる(り
ん酸の膨張)傾向がある。一方、運転温度が高く負荷が
小さい場合には、生成水量は小さく、反応ガス中に飛散
する水分量は大きいので、水分が細孔から放出され細孔
内のりん酸の体積は小さくなる(りん酸の収縮)傾向が
ある。従って、負荷変動並びに運転温度の変化に伴っ
て、細孔内のりん酸が体積変動することになる。細孔内
でのりん酸の体積変動は、セルの性能と安定性に影響を
及ぼす。また、りん酸そのものの蒸気圧も大きくなるた
め、りん酸の飛散速度が大きくなり、電池内のりん酸保
持量が低下し、寿命特性に影響を及ぼす。
【0020】本実施形態のポータブル燃料電池において
は、上述のように、負荷が大きいときには電池温度が高
く、負荷が小さいときには電池温度が低くなるようにコ
ントロールされるので、生成水の発生量が大きいときに
は水分が多く飛散し、生成水の発生量が小さいときには
水分が少なく飛散するように調整される。即ち、負荷が
変動しても生成水の発生量と水分の飛散量とのバランス
が保たれ、りん酸の濃度がほぼ一定に保たれる。従っ
て、サイクル運転時におけるりん酸の体積変化の度合は
小さい。また、電池内においてりん酸の飛散速度が高く
なるような状況も抑えられるので、長期にわたって電解
質マトリックスにりん酸が保持されることになる。
【0021】なお、本実施の形態のように、りん酸を含
む多孔性基板とセパレータ板からなる複合セパレータを
用いた燃料電池の場合には、電解質マトリックスに保持
されたりん酸だけではなく多孔性基板に保持されたりん
酸も同様の挙動を示すので、本発明を適用することによ
って多孔性基板のりん酸に対する保持効果も向上すると
考えられる。一方、本発明は、全体が緻密なカーボンか
らなるセパレータを用いる場合においても同様に実施す
ることができ、その場合も電解質マトリックスにおける
りん酸保持に対して同様の効果を得ることができる。
【0022】
【実施例】上記実施の形態のポータブル燃料電池におい
て、定格出力を250W、燃料電池本体1における1セ
ルの電極面積を190cm2,セルの積層枚数を30枚
とした。また、温度センサ50の取付位置(即ち温度制
御位置)は、燃料電池本体1の中で最も高温となる位
置、すなわち中央部のセル(順に並んだNo.1〜N
o.30のセルの中でNo.16のセル)の空気出口側
で水素入口側の位置(図2においてPで示す位置)とし
た。
【0023】図5は、本実施例のポータブル燃料電池に
おいて制御器に記憶されているテーブルである。このテ
ーブルによれば、負荷100%(出力250Wに相当)
では制御温度120℃、負荷75%では制御温度は11
0℃、負荷50%以下では制御温度105℃が算出され
ることになる。このテーブルは、以下に示すように、燃
料電池本体1を負荷と制御温度の様々な条件の組合せの
もとで運転しながら、燃料電池本体1の運転中の重量変
化を測定する実験を行い、その実験結果に基づいて設定
したものである。
【0024】図6は、燃料電池本体の重量変化の測定方
法を説明する図である。本図に示すように、燃料電池本
体1への水素の供給は、水素吸蔵合金タンク2は用いず
に外部から作動圧力1ata(常圧)で行い、ポータブ
ル燃料電池の重量変化を電池天秤で測定し、その測定値
をもって燃料電池本体1の重量変化とみなした。
【0025】図7は、上記テーブルを作成するための実
験の結果であって、電池の制御温度と燃料電池本体の重
量変化との関係を示す特性図である。なお、図7におけ
る燃料電池本体の重量変化の値は、運転初期の燃料電池
本体の重量を基準値とし、燃料電池本体の重量が平衡に
達したときの重量値が基準値に対してどれだけ変化した
かを示すものである。
【0026】本図において、負荷100%のときには、
制御温度120℃で重量変化0を示している。また、負
荷75%のときには、制御温度110℃で正の重量変
化、制御温度105℃では重量変化0、制御温度120
℃で負の重量変化を示している。また、負荷50%のと
きには、制御温度105℃で正の重量変化、制御温度1
00℃では重量変化0、制御温度115℃,120℃で
負の重量変化を示している。
【0027】上記図5のテーブルの負荷50%以上の範
囲については、この結果に基づいて設定した。また、負
荷50%未満の範囲においては、重量変化0とするため
には、制御温度を105℃未満にする必要があると考え
られる。図7においても、負荷25%及び0%のときに
は、制御温度105℃,110℃,115℃ではいずれ
も負の重量変化を示しており、図中点線で示すように外
挿して重量変化0に対応する制御温度を求めると100
℃より低い温度となってしまう。
【0028】しかし、運転温度100℃以下で運転する
と燃料電池内に水分が蓄積する可能性があるため、制御
温度の最低値は105℃とし、図5のテーブルの負荷5
0%以下の範囲では制御温度が105℃としている。従
って、本実施例のポータブル燃料電池は、負荷50%〜
100%の範囲で運転する時には、ほとんど重量変化は
生じないが、負荷50%未満で運転する場合について
も、ある程度の重量の増加が生じるものと推測される。
【0029】〔実験の部〕本実施例のポータブル燃料電
池の効果を確かめるために、以下の実験を行った。 (実験1) 燃料電池本体の重量変化の比較 実施例のポータブル燃料電池において、負荷を100%
→75%→50%と変化させて運転を行いながら、燃料
電池本体1の重量の変化を測定した。
【0030】比較例として、実施例と同じポータブル燃
料電池を用いて、制御温度を負荷にかかわらず115℃
に固定した以外は同様に運転を行いながら、燃料電池本
体の重量変化を測定した。図8は、この実験結果を示す
特性図であって、Aは実施例に関するもの,Bは比較例
に関するものである。曲線a1,b1は燃料電池の温度
(℃)を示し、曲線a2,b2は負荷(A)を示し、曲線
a3,b3は燃料電池本体の重量変化(g)を示してい
る。
【0031】特性図Aの曲線a3から、実施例の運転方
法によれば、燃料電池本体の重量変化がほとんどないこ
とがわかる。一方、特性図Bの曲線b3から、比較例の
運転方法によれば、負荷100%のときには燃料電池本
体の重量変化がほとんどないが、負荷75%のときには
燃料電池本体の重量が低下し、負荷50%のときには燃
料電池本体の重量の低下が更に大きいことがわかる。
【0032】これは、実施例の運転方法によれば、負荷
100%〜50%の範囲のいずれの負荷においても、燃
料電池本体1に保持されているりん酸の体積変動がほと
んどないのに対して、比較例の運転方法によれば、負荷
が75%や50%のときに、燃料電池本体1に保持され
ているりん酸の体積収縮が生じることを裏付けている。
【0033】(実験2) サイクル試験 上記実施例のポータブル燃料電池を用いて、起動→運転
→停止→保存を1サイクルとするサイクル運転を行いな
がらセル電圧の測定を行った。150サイクルまでは、
負荷100%(電流密度:100mA/cm2),制御
温度120℃で運転を行い、その後250サイクルまで
は、負荷50%,制御温度120℃で運転を行い、その
後、負荷50%,制御温度105℃で運転を行った。
【0034】1サイクル当りの運転時間は1〜8時間と
し、運転時の作動圧力は1ata、保存時には保温や不
活性ガスパージは行わずそのまま室温で放置した。図9
は、この実験結果を示す特性図である。このグラフよ
り、0〜150サイクル並びに250サイクル以降で
は、セル電圧の低下速度が約0.1mV/cycleと
小さく、150〜250サイクルでは、セル電圧の低下
速度が約0.3mV/cycleと大きいことがわか
る。
【0035】これは、負荷が100%の場合には、制御
温度120℃程度で運転するとりん酸の保持状態が比較
的良好であるが、負荷50%の場合には、制御温度12
0℃程度で運転するとりん酸が失われやすく、制御温度
105℃程度で運転するとりん酸の保持状態が比較的良
好であることを示している。 (実験3) 負荷の変動に伴う燃料電池内の温度変動の
測定 上記実施例のポータブル燃料電池を用いて、負荷100
%,75%,50%,25%,0%で運転を行い、各負
荷ごとに燃料電池本体1の温度分布を測定した。
【0036】図10は、燃料電池本体1の温度測定点を
示す図である。No.1セルについては測定点(1)〜
(9),No.16セルについては測定点(11)〜
(19),No.30セルについては測定点(21)〜
(29)の温度を測定した。この温度測定は、ガスチャ
ネル23aの中の各測定点に対応する位置に温度センサ
を挿入して行った。なお、測定点(13)は、温度セン
サ50の温度測定位置Pと同じ位置である。
【0037】比較例として、実施例と同じポータブル燃
料電池を用いて、制御温度を負荷にかかわらず115℃
に固定した以外は同様に運転を行いながら、同様に燃料
電池本体の温度分布を測定した。図11は、この実験結
果を示す特性図であって、Aは実施例,Bは比較例につ
いて、負荷ごとの各測定点の温度を示している。
【0038】測定点ごとに負荷変動に伴う温度変動を比
較すると、特性図A,Bのいずれにおいても、測定点
(1)〜(28)の中では測定点(17)で変動が最も
大きいが、特性図Bよりも特性図Aの方が、温度変動の
幅が全般的に小さいことがわかる。特に、特性図Aでは
測定点(17)での最大温度差が20℃であるのに対し
て、特性図Bでは測定点(17)での最大温度差が36
℃である。
【0039】温度変動の大きい場所では、負荷の変動に
伴うりん酸の体積変動も大きくなりりん酸の飛散が生じ
ると考えられるが、上記の結果から比較例の運転方法よ
りも実施例の運転方法の方が温度変動の大きい場所が少
ないので、りん酸の飛散が少ないことが予想される。な
お、このような負荷変動に伴う燃料電池内の温度変動を
小さくする効果は、上記実施例のように反応用空気と冷
却用空気を兼ねている燃料電池では顕著に現れるが、冷
却空気や冷却水用のプレートが介挿された燃料電池にお
いても、このような効果はある程度生じるものと考えら
れる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、りん酸
形の燃料電池の運転時において、燃料電池にかかる負荷
を測定し、測定した負荷に応じた制御温度を所定の関数
に基づいて算出し、算出した制御温度に合わせて燃料電
池の運転温度を調整するようにすることによって、りん
酸の体積変動を抑えることができ、その結果、りん酸の
保持量を長期にわたって維持することができる。
【0041】更に、カソード側のガスチャネルに供給さ
れる空気の湿度を測定し、その測定結果に基づいて制御
温度に補正を加え、補正された制御温度に合わせて燃料
電池本体の運転温度を調整するようにすれば、湿度の変
化にも対応してより的確に運転中のりん酸の体積変動を
抑えることができる。また、燃料電池本体が複数枚のセ
ルがセパレータを介して積層された構造であって、カソ
ード側のガスチャネルに空気を供給する量を制御するこ
とにより燃料電池本体の運転温度を調整するようなタイ
プのものに適用すると、負荷変動に伴う燃料電池内の温
度変動を小さくする効果が大きく、電池の顕著な長寿命
化を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るポータブル燃料電池
の斜視図である。
【図2】上記ポータブル燃料電池の燃料電池本体の構成
を示す斜視図である。
【図3】図2の燃料電池本体の主要部分の構成を示す分
解斜視図である。
【図4】上記ポータブル燃料電池の制御器の構成図であ
る。
【図5】実施例にかかるポータブル燃料電池の制御器に
記憶されているテーブルである。
【図6】燃料電池本体の重量変化の測定方法を説明する
図である。
【図7】テーブルを作成するための実験結果を示す特性
図である。
【図8】実験1の結果を示す特性図である。
【図9】実験2の結果を示す特性図である。
【図10】実験3における燃料電池本体の温度測定点を
示す図である。
【図11】実験3の結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1 燃料電池本体 2 水素吸蔵合金タンク 3 空気ファン 4 制御器 10 セル 11 電解質マトリックス 12 アノード 13 カソード 20 複合セパレータ 22a ガスチャネル 23a ガスチャネル 42 電流計 43 テーブル 50 温度センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 りん酸を含浸させた電解質マトリックス
    にアノード及びカソードを配してなるセルが、基板によ
    って挟持され、前記アノードと基板との間並びに前記カ
    ソードと基板との間に反応ガスが通過するガスチャネル
    が形成されたりん酸形の燃料電池本体と、前記燃料電池
    本体の運転温度を制御する温度制御部とを備える燃料電
    池であって、 前記温度制御部は、 前記燃料電池本体にかかる負荷を測定する負荷測定手段
    と、 前記負荷測定手段で測定した負荷に応じた制御温度を、
    所定の関数に基づいて算出する温度算出手段と、 前記温度算出手段で算出した制御温度に合わせて前記燃
    料電池本体の運転温度を調整する温度調整手段とを備え
    ることを特徴とする燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記温度制御部は、更に、 カソード側のガスチャネルに供給される空気の湿度を測
    定する湿度測定手段と、 前記湿度測定手段での測定結果に基づいて、前記温度算
    出手段で算出する制御温度に補正を加える温度補正手段
    とを備え、 前記温度調整手段は、 補正された制御温度に合わせて前記燃料電池本体の運転
    温度を調整することを特徴とする請求項1記載の燃料電
    池。
  3. 【請求項3】 前記燃料電池本体は、 複数枚のセルがセパレータを介して積層された構造であ
    って、 前記温度調整手段は、 カソード側のガスチャネルに空気を供給する量を制御す
    ることにより燃料電池本体の運転温度を調整することを
    特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  4. 【請求項4】 りん酸を含浸させた電解質マトリックス
    にアノード及びカソードを配してなるセルが、基板によ
    って挟持され、前記アノードと基板との間並びに前記カ
    ソードと基板との間に反応ガスが通過するガスチャネル
    が形成されたりん酸形の燃料電池の運転方法であって、 前記燃料電池にかかる負荷を測定する負荷測定ステップ
    と、 前記負荷測定ステップにより測定した負荷に応じた制御
    温度を所定の関数に基づいて算出する温度算出ステップ
    と、 前記温度算出ステップで算出した制御温度に合わせて燃
    料電池の運転温度を調整する温度調整ステップとを備え
    ることを特徴とする燃料電池の運転方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012048928A (ja) * 2010-08-26 2012-03-08 Fujikura Ltd 燃料電池の温度制御装置
US8343674B2 (en) 2007-01-17 2013-01-01 Samsung Sdi Co., Ltd. Fuel cell system and control method of the same

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