JPH10281992A - 光学材料の成分濃度分布測定方法および光透過率分布測定方法 - Google Patents

光学材料の成分濃度分布測定方法および光透過率分布測定方法

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JPH10281992A
JPH10281992A JP9083508A JP8350897A JPH10281992A JP H10281992 A JPH10281992 A JP H10281992A JP 9083508 A JP9083508 A JP 9083508A JP 8350897 A JP8350897 A JP 8350897A JP H10281992 A JPH10281992 A JP H10281992A
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test piece
measurement
optical material
wavelength
distribution
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JP9083508A
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Norio Komine
典男 小峯
Masashi Fujiwara
誠志 藤原
Hiroki Jinbo
宏樹 神保
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学材料の成分濃度分布測定を高効率且つ高
精度で行う。 【解決手段】 まず、光学部材用インゴット1から濃度
分布を測定したい方向に連続した、長尺状の試験片2を
切り出し、その試験片2の厚さD方向の向かい合う2面
2a,2bを光学研磨する。この試験片2の一方の研磨
面2aを測定光5に対して垂直になるように配置したの
ち、この試験片1を試験片の長さLの方向に走査する。
このとき、測定光5の波長は、インゴット1において測
定しようとする成分の固有吸収帯波長域に合わせてお
く。これにより、従来の測定方法に比較して効率的に、
かつ高精度で、連続した成分濃度分布を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石英ガラス、蛍石
(フッ化カルシウム結晶)などの光学部材中の各種の不
純物、構造欠陥の成分濃度分布および光透過率分布を測
定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリコン等のウエハ上に集積回路の微細
パターンを露光・転写する光リソグラフィー技術(その
典型的なものに、集積回路パターンを、例えば五分の一
に縮小投影してウエハ上に転写する装置であるステッパ
がある)は従来から良く知られている。近年において
は、超LSIなど高集積化が進んでおり、これに伴い、
より解像力の高い投影露光装置(光リソグラフィ装置)
が必要となりつつある。
【0003】このような投影露光装置の光源は、解像力
を高めるため、g線(436nm)からi線(365nm)、さら
にはKrF(248nm)やArF(193nm)エキシマレーザ
へと短波長化が進められている。特に、64、256メ
ガビットあるいは1、4ギガビット以上の記憶容量をもつ
DRAMなどの超LSIを製造するための投影露光装置
では、その解像度の指標であるラインアンドスペースを
0.3μm以下にする必要があることから、光源にはエ
キシマレーザなどの250nm以下の紫外、真空紫外線が
用いられるようになってきている。
【0004】ここで、i線より長波長の光源を用いた投
影露光装置の照明光学系あるいは投影光学系のレンズ等
の光学部材の材料として現在用いられている光学ガラス
材料は、i線よりも短い波長領域では光透過率が急激に
低下し、特に250nm以下の波長領域ではほとんどの光
学ガラスでは光が透過しなくなってしまう。そのため、
エキシマレーザ等を光源とした投影露光装置の光学系の
レンズ材料は、このような短波長の光の透過が可能であ
る合成石英ガラスや一部の結晶材料、特に蛍石(フッ化
カルシウム結晶)に限られる。
【0005】このようにエキシマレーザ等の光源を用い
た投影露光装置の結像光学系に使用される合成石英ガラ
ス、蛍石には、さらに、集積回路パターンを大きな面積
で高解像度で露光する上で、非常に高い品質が要求され
る。例えば、光学部材の屈折率分布が直径200mm程度
の非常に大きな口径内で10-6オーダー以下であること
や、内部残留歪を極力小さくすることが要求される。
【0006】さらに、同時に、透過率が非常に優れてい
る必要がある。例えば投影露光装置では収差補正のため
に非常に多くの曲率を有するレンズが必要になり、投影
光学系全体の総光路長が1000mmにも及ぶ場合があ
る。この場合、投影光学系のスループット(光学系全体
としての光透過率)を80%以上に保つためには、光学
部材の1cm当たりの内部透過率が99.8%以上(内部
損失係数に換算すると0.002cm-1以下)という高透
過率が必要になる。さらに、そのような高透過率は部材
の中心部だけでなく、レンズの口径全体にわたって保た
れている必要がある。
【0007】このような高品質の石英ガラス、蛍石を開
発するためには、均質性・歪み・透過率を支配している
成分因子(例えば、不純物や構造欠陥)を定量し、さら
にその成分濃度分布を測定する技術を確立し、それらの
因子を制御することが是非とも必要である。
【0008】石英ガラス、蛍石中の成分濃度を測定する
方法に光吸収分光法がある。この方法は、測定したい成
分の固有吸収帯の吸収量を測定することにより、成分濃
度を算出する方法である。測定したい成分の固有吸収帯
波長域の波長を有する強度Ioの光が厚さx(cm)の試料
に入射したとき、透過率Tは次の式(1)で与えられ
る。
【0009】
【数1】 T=I/Io =(1−R)2・exp(−α・x) ・・・(1)
【0010】このとき、Iは透過光強度、Rは試料表面
1面当たりの反射率、α(cm-1)は吸収係数である。そし
て、材料中の吸収物質である多数の原子・分子がそれぞ
れ独立の吸収中心で、かつ、材料中に均一に分布してい
ると仮定できる場合には、吸収係数α(cm-1)は次の式
(2)のようになる。
【0011】
【数2】 α・x=ρ・ng・σ・x =n・σ・x =ε・c・x・ln(10) ・・・(2) 但し、各記号は以下のような物性値を表す。 α (cm-1) :吸収係数 ρ (g・cm-3):材料の密度 σ (cm2) :吸収原子・分子一個あたりの吸収断面
積 ng (g-1) :材料1g中の吸収原子・分子数 n (cm-3) :材料1cm3中の吸収原子・分子数 ε (l・mol-1・cm-1):吸収原子・分子のモル吸光度 c (l-1・mol) :吸収原子・分子のモル濃度
【0012】このように吸収係数αが吸収原子・分子の
濃度に比例するので、測定したい原子・分子成分の固有
吸収帯波長域での光学部材の透過率を測定することによ
り、その濃度を算出することができる。
【0013】なお、固有吸収帯としては、例えば、石英
ガラス中の各種の不純物、構造欠陥の成分では、 OH
基:基本伸縮振動の倍音振動に起因するピーク波長1.
38μm 吸収帯、 塩素分子:ピーク波長325nm吸
収帯、 Naなどのアルカリ金属不純物:ピーク波長1
85nm吸収帯、 酸素欠乏欠陥(≡Si−Si≡、ただ
し≡は3つの酸素原子に結合していることを表す。):
ピーク波長163nm吸収帯、のようにそれぞれ固有吸収
帯を持つことが知られている。
【0014】また、蛍石(フッ化カルシウム結晶)にお
いては、 O2-:ピーク波長230nm吸収帯、 O2-
ピーク波長143nm吸収帯、 Pb原子:ピーク波長2
04nm吸収帯、 Na不純物による(F2 +)Aカラーセン
ター:ピーク波長325,385,600nm吸収帯、の
ようにそれぞれ固有吸収帯を持つことが知られている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】このように光吸収分光
法を用いて光学材料の成分濃度分布の測定が可能である
が、これまでの光吸収分光法による石英ガラス、蛍石の
各種成分濃度分布の測定においては、成分濃度分布を測
定したい材料から光吸収測定用の試験片を多数切り出
し、各試験片に光学研磨を施したのち、それぞれの試験
片の透過率を測定し、その値から成分濃度を算出し、そ
の数値を、それぞれの試験片を切り出した位置との関係
から成分濃度分布を得るという方法を採ってきた。しか
しながら、この方法は、以下の問題点を有し、煩雑且つ
効率の良くない方法であった。
【0016】1.成分濃度分布の空間的な分解能は試験
片の大きさ、形状に制約される。このため、詳細な成分
濃度分布を得るには多数の試験片の測定を行わねばなら
ず、時間的に非効率である。また、多数の試験片を切り
出すには、各試験片の大きさが必然的に小さくなってし
まい、その取り扱いが煩雑化しやすく、測定効率が低下
しやすいという問題にも繋がる。
【0017】2.試験片それぞれについて、別々に光吸
収測定を行うため、測定誤差が大きくなりやすく、成分
濃度分布精度が低下しやすい。例えば、石英ガラス中の
OH基の濃度分布測定では、OH基濃度が、屈折率の均
質性に大きな影響を与えることから、±5ppmといった測
定精度が必要となる。従来の方法ではこの測定精度を達
成することはできなかった。
【0018】本発明は、このような時間的に非効率で、
測定精度が低いという従来方法の欠点を解消し、効率的
で、かつ高精度で測定が可能な、光学材料の成分濃度分
布測定方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来の測定方
法の欠点を解決するものであり、まず、図2に示したよ
うに、光学部材を切り出すためのインゴット1から濃度
分布を測定したい方向に連続した、長さL、幅W、厚さ
Dを持つ試験片2を切り出し、その試験片2の厚さD方
向の向かい合う2面2a,2bを光学研磨する試験片2
の一方の研磨面2aを測定光5に対して垂直になるよう
に、図1に示す分光高度測定装置に配置したのち、この
試験片2を試験片の長さLの方向に走査しながら吸光度
を測定する。このとき、測定光の波長は、測定しようと
する成分の固有吸収帯波長域に合わせておく。これによ
り、従来の測定方法に比較して効率的に、かつ高精度
で、連続した成分濃度分布を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の方法によればなぜ高精度
な測定が可能かという点について、以下に詳しく説明す
る。
【0021】まず、光学部材の成分濃度分布測定におけ
る測定精度は(1)試験片研磨面の状態、(2)繰り返し測定
再現性、(3)セッティングの再現性で決定される。
【0022】従来方法では、(1)の項目に対しては、多
数の試験片3aをそれぞれ研磨するため、たとえ同一ロ
ットで試験片を研磨したとしても、試験片3aごとの表
面状態がある程度異なることが避けられない。このと
き、表面状態というのは研磨面二面の平行度、平面度、
表面粗さ、研磨剤の残留状態、表面汚染などのことを指
す。このうち、測定誤差に大きく影響するのは表面汚染
である。表面の汚染状態は良く管理された環境下におい
ても試験片ごとにばらつきが生じ、最終的に測定誤差に
寄与してしまう。しかしながら、本発明の方法のよう
に、成分濃度分布を測定したい部分の連続した1個の試
験片2を用意することにより、表面状態のばらつきを解
消することができる。
【0023】次に、(2)の項目については、従来方法で
は試験片ごとに表面状態のばらつきがないと仮定して
も、試験片ごとに何度も繰り返して測定することが必要
になり、繰り返しの測定誤差が生じる。具体的には、測
定毎に試験片を分光光度測定装置10の試料室内に出し
入れするために、その都度試料室内の空気あるいは窒素
の揺らぎ、また湿度の変動などの影響を受ける。また検
出器の前に設置されているシャッタも測定ごとに動作
し、それにより検出器への測定光の入射、遮光が繰り返
されるために検出器出力が安定しにくいなどの影響が生
じる。このため測定値にばらつきが生じる。それに対し
て、本発明の方法によれば、試験片2を基本的に1回試
料室内にセットするだけで全ての測定を行うことができ
るため、繰り返し測定の誤差は生じないという利点があ
る。
【0024】さらに、(3)の項目については、従来方法
では各試験片3aを試料室内の保持治具にセットするた
びに測定光軸に対する試験片研磨面の角度や、研磨面に
測定光が入射する位置などが微妙にずれる。このずれが
測定誤差の要因となる。それに対して、本発明の方法に
よれば、試験片2を一度保持治具にセットすれば測定光
軸に対する試験片の位置や角度は固定されるので、分布
測定をしている間にずれてしまうことはない。このた
め、セッティングごとの誤差を排除することができる。
【0025】以上のように、本発明の方法によれば、効
率的でかつ高精度で光学部材中の成分濃度分布を得るこ
とが可能になる。
【0026】本発明の方法は、波長200nm以下の真空
紫外域での透過率分布測定にも有効である。この波長領
域での透過率測定においては、試料表面の汚染の影響が
200nm以上の波長領域に比較して顕著に大きくなる。こ
れは汚染の原因が有機物に起因しており、その有機物が
波長200nm付近の真空紫外光を非常によく吸収する性
質を有するためである。また、分光光度計の測定精度も
波長200nm以下になると急激に悪化するのが一般的であ
り、通常、分光光度計の光学系をドライ窒素でパージ
し、光学系内の残留酸素を排除して測定精度を上げる操
作がなされる。しかし、このような窒素パージを行った
場合、従来の方法のように試験片を測定ごとに分光光度
計の試料室に出し入れすると、試料室内の残留酸素濃度
や窒素ガスの流れなどの状態が安定せず、測定再現性が
非常に悪化してしまう。本発明の測定方法によれば、こ
のような試料表面汚染状態のばらつきや試料室内の状態
不安定の影響を受けずに高精度でかつ効率的に透過率分
布の測定が可能になる。
【0027】
【実施例1】実施例1では、本発明の測定方法により、
石英ガラス中のOH基濃度分布測定を行う例を説明す
る。まず、本発明の実施例の試験片の作製手順を以下に
記す。
【0028】石英ガラスインゴット1は、石英ガラス製
バーナにて酸素ガス及び水素ガスを混合、燃焼させ、原
料として高純度(純度99.99%以上で、金属不純物
Fe濃度が10ppb以下、Ni、Cr濃度が2ppb以
下。)の四塩化ケイ素ガスをキャリアガス(酸素ガス:
流量1.8slm)で希釈して、バーナの中心管から原料流量
30g/minで噴出させ、火炎中で加水分解により石英ガラ
ス微粒子(スート)を発生させる。これを、1分間に7
回転の速度で回転し、80mmの移動距離、90秒周期で
揺動し、1時間当たり2.40mmの速度で引き下げを行
っているφ250の石英ガラス製ターゲット板上に噴出さ
せ、石英ガラス微粒子をこの上に堆積、溶融させて合成
し、石英ガラスインゴット1を得た。
【0029】なお、このときの総水素ガス流量は約50
0slmで、総酸素ガス流量と水素ガス流量との比率をO2
/H2=0.4と設定した。また、この合成では、合成
炉の耐火物から積層点までの距離を最短で210mmとな
るようにして合成した。積層点とはバーナから噴出され
るスートがインゴットヘッドに到達する場所のことであ
る。また、バ−ナ先端から積層点までの距離は260mm
とした。また、石英ガラスインゴットの周りに縦450
mm×横600mm×高さ800mmの内面形状になるよう
に、純度99%のアルミナ(Al23 )製耐火物を配
置した。耐火物の厚さは120mmである。さらに、この
耐火物の周りにステンレス製の合成炉枠を設置し、合成
炉枠内部の排気設備に接合した。
【0030】この方法により、図2に示したような、直
径300mm、長さ300mmの石英ガラスインゴットを得
た。得られた石英ガラスインゴットのヘッドから200
mmのところから、図2に示したように、長さL=250
mm、幅W=30mm、厚さD=10mmの形状を持つ試験片
2を1個切り出した。この試験片の厚さD方向の向かい
合う二面2a,2bに、平行度が10秒以内、片面ごと
の平坦度がニュートンリング3本以内、片面ごとの表面
粗さがrms=10オングストローム以下になるように
精密研磨を施し、さらに、表面吸収の原因となる研磨剤
が表面に残留しないように、高純度SiO2粉による仕
上げ研磨加工を施した。最終的には試験片の厚さDが1
0±0.1mmとなるように研磨した。
【0031】石英ガラス中のOH基の濃度は、OH基の
基本伸縮振動の倍音振動吸収帯のピーク波長1.38μ
mでの透過率測定値から次式(3)で求めることができ
る。
【0032】
【数3】 OH濃度(ppm)=log10(To/T)・7724/(ε・D) ・・・(3) 但し、各記号は次のような物性値を表している。 T: 波長1.38μmでの透過率 T0: 波長1.30μmでの透過率 D: 試験片の厚さ ε: 波長1.38μmでのOH基のモル吸光度 =0.529( l・mol-1・cm-1
【0033】なお、εの値は文献 J.P.Williams et.a
l.;Am.Ceram.Soc.Bull.,vol.55,524-527 (1976) に記
されているOH基の基本伸縮振動の吸収帯ピーク波長
2.73μmでのモル吸光度ε=86から、倍音振動吸
収帯のピーク波長1.38μmでのモル吸光度に換算し
たものである。
【0034】次に、OH基濃度分布測定で使用した分光
光度計の設定条件を記す。透過率測定では市販のダブル
ビーム方式の近赤外・可視・紫外域分光光度計(バリア
ン製:Cary5型)を用いた。光源11は50ワット
のタングステンハロゲンランプである。分光器を通過し
た測定光の波長は1380nmと1300nmに設定し、ス
ペクトル幅(半値全幅)は2.0nmとした。また、測定
光の試験片入射面での形状は4.5mm角とした。さらに
検出器12にはペルチェ冷却機付きのPbS赤外検出器
を用いた。
【0035】分光光度測定装置10は図1に示したよう
に構成し、この装置10内において試験片2の研磨面2
aが測定光5の光軸に対して垂直になるように試験片2
を配置した。試験片2は、図1に示したような試験片走
査装置によって長手方向に移動させることができるよう
になっている。
【0036】この試験片走査装置は次のように構成され
る。まず試験片2は、研磨面2aが測定光5の光軸に対
して垂直となるようにして試験片保持治具13に固定保
持される。この試験片保持治具13はボールネジ軸15
の上に取り付けられるとともに、水平方向(図における
破線矢印B方向)のみに移動可能となっている。ボール
ネジ軸15は左右の軸受け14a,14bにより回転自
在に支持されるとともにステッピングモータ(オリエン
タルモータ製:UPX534M-A )16により回転駆動可能と
なっている。このため、モータ16によりボールねじ1
5を回転駆動することにより、保持治具13とともに試
験片2を水平方向に移動させ、測定光5を研磨面2a上
で走査させることができる。なお、この走査に際して、
ボールねじの振れによる試験片の振れを防ぐために、試
験片保持治具13をボールねじ15に平行に配置した直
動案内軸受け(たとえば、THK製:LMガイドなど)
上に設置することが望ましい。
【0037】実施例1でのOH基濃度分布測定は以下の
手順で行った。(1)光源11の波長を1380nmに合わ
せて固定した。(2)試験片2をスキャンスピード1.0m
m/secで走査し、検出器12により測定された変化する
透過率測定値を順次コンピュータへ取り込んだ。(3)試
験片2に測定光が入射している位置に対する透過率測定
値の変化を波長1380nmでの透過率分布とした。(4)
波長を1300nmに合わせた。(5)(2)と同様に試験片を
走査し(3)と同様な、1300nmでの透過率分布を得た
(1300nmはOH基による吸収が発生しない波長なの
で、透過率は測定誤差範囲内で変動しなかった。(6)(3)
と(5)のデータから試験片の各位置におけるOH基濃度
を数式(3)に従って算出し、OH基濃度分布を得た。
このようにして得られたOH基濃度分布を図3において
実線で示した。
【0038】次に、従来の測定方法によるOH基濃度分
布測定例を比較例1として述べる。図2に示したよう
に、実施例1の試験片切り出し位置の隣接部から、D=1
0mm、W=30mm、L=18.5mmとなるような試験片を13個切
り出した。これを比較例1の試験片とした。そして、各
試験片を厚さD方向の向かい合う2面を、実施例1と同
様の仕様で光学研磨した。それぞれの試験片について1
380nmと1300nmの透過率をそれぞれ10回づつ測
定し、数式3に従ってOH基濃度を算出した。各試験片
の10回の測定による繰り返し測定誤差は3σ=15pp
mであった。この結果も図3中に示した。
【0039】図3に示したように、従来の測定方法によ
るOH基濃度分布は各試験片での測定誤差が大きく、分
布形状が不明確であった。一方で本発明の測定方法によ
って、OH基濃度の測定精度が向上し、分布形状が明確
に得られるようになった。
【0040】
【実施例2】実施例2では石英ガラスの波長193nm透
過率分布測定において、本発明の方法を実施した例を記
す。また、比較例2では波長193nm透過率測定分布を
従来の方法で測定した例を記す。
【0041】実施例2の試験片、試験片走査治具には実
施例1と全く同一のものを用い、測定手順も実施例1と
全く同様にして行った。また、比較例2の試験片も比較
例1と全く同一のものを用い、測定方法も比較例1と全
く同様にして行った。
【0042】波長193nm透過率分布測定は実施例1、
比較例1と同様に、市販の近赤外・可視・紫外域分光光
度計(バリアン製:Cary5型)を用いて行った。た
だし、分光光度計の光軸は特開平7−63680に従っ
て調整されており、試験片の厚さが増加したときに発生
する光路ずれによる透過率測定値のずれを補正してあ
る。また、測定条件を以下のように設定した。光源には
30ワットの重水素ランプを用いた。分光器を通過した
測定光の波長は193.4nmに設定し、スペクトル幅
(半値全幅)は3.0nmとした。また、測定光の試験片
入射面での形状は4.5mm角とした。さらに検出器には
サイドオン型の光電子増倍管(浜松ホトニクス製:R92
8)を用いた。
【0043】また、波長193nmは真空紫外域になるの
で空気中の酸素の吸収が測定精度に影響する。このた
め、分光光度計内の分光器、試料室、検出器部には露点
マイナス60℃以下に保たれたドライ窒素を流量20slm
で流し、各部屋内の酸素を排除した。
【0044】このようにして得られた、石英ガラスの波
長193nmの透過率分布を図4に示す。図4のように、
従来の方法では石英ガラスの波長193nmの透過率分布
を明確に得ることができなかったが、本発明の方法によ
り石英ガラスの波長193nmの透過率分布を高精度で、
かつ明確に得ることができるようになった。
【0045】なお、図4内に示した点線は、試験片の内
部損失係数(式1のα)がゼロのときの透過率、すなわ
ち試験片表面の反射損失のみで決まる理論透過率を表し
ている。したがって、点線の数値と測定値との差分が内
部損失量を表している。
【0046】また、この試験片の内部散乱損失量は約
0.1%であるので、図4に示した内部損失量の主要な
部分は内部吸収損失である。この波長193nmにおける
内部吸収量は試験片中のアルカリ(特にナトリウム)不
純物濃度に依存していることから、図4に示した分布は
試験片中のアルカリ不純物濃度分布と見なすことができ
る。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、濃度分布測定方向に沿
って切り出された試験片に測定光を照射しながら、これ
を走査して濃度分布を測定するため、一つの試験片につ
いての一回の連続した測定により濃度分布測定が可能で
ある。このため、均質性・歪み・透過率において高品質
の石英ガラス、蛍石を開発する上で是非とも必要である
成分因子(例えば、不純物や構造欠陥)の成分濃度分布
を、時間的に非効率で、測定精度が悪いという従来方法
の欠点を解消し、効率的で、かつ高精度で、さらに連続
的な成分濃度分布として得ることが可能になった。本発
明は石英ガラス、蛍石に限らず、あらゆる光学材料の成
分濃度分布を得る手段として有効である。また、本発明
により従来困難とされてきた、波長200nm以下の真空
紫外光領域での光学部材の透過率分布を得ることが可能
になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試験片走査治具、方法を示したもので
ある。
【図2】石英ガラスインゴットからの試験片切り出し方
法を示したものである。
【図3】本発明の方法による石英ガラス中のOH基濃度
分布の測定結果と従来の方法による測定結果を示したも
のである。
【図4】本発明の方法による石英ガラスの波長193nm透
過率分布の測定結果と従来の方法による測定結果を示し
たものである。
【符号の説明】
1 インゴット 2,3 試験片 5 測定光 15 ポールネジ 16 ステッピングモータ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学材料から、光学研磨された平行な二
    面を持つ試験片を切り出し、前記光学材料中の特定成分
    に起因する吸収波長を有する測定光を、前記試験片の前
    記二面の一方の面に垂直に照射し、前記二面の他方の面
    から出射する前記測定光を検出して得られた光透過率か
    ら前記特定成分の濃度を測定する方法において、 前記測定光を前記一方の面に垂直に照射したまま、前記
    一方の面状を走査するように前記測定光及び/または前
    記試験片を移動させる工程を有することを特徴とする光
    学材料中の特定成分の濃度分布測定方法。
  2. 【請求項2】 前記光学材料がが石英ガラスであること
    を特徴とする請求項1に記載の光学材料中の特定成分の
    成分濃度分布測定方法。
  3. 【請求項3】 前記光学材料が蛍石であることを特徴と
    する請求項1に記載の光学材料中の特定成分の成分濃度
    分布測定方法。
  4. 【請求項4】 前記特定成分がOH基であることを特徴
    とする請求項1もしくは2に記載の光学材料中の特定成
    分の成分濃度分布測定方法。
  5. 【請求項5】 前記特定成分がアルカリ金属であること
    を特徴とする請求項1もしくは2に記載の光学材料中の
    特定成分の成分濃度分布測定方法。
  6. 【請求項6】 光学材料から、光学研磨された平行な二
    面を持つ試験片を切り出し、特定波長を有する測定光
    を、前記試験片の前記二面の一方の面に垂直に照射し、
    前記二面の他方の面から出射する前記測定光を検出して
    前記特定波長に対する光透過率を測定する方法におい
    て、 前記測定光を前記一方の面に垂直に照射したまま、前記
    一方の面状を走査するように前記測定光及び/または前
    記試験片を移動させる工程を有することを特徴とする光
    学材料の特定波長における光透過率分布測定方法。
  7. 【請求項7】 前記特定波長の測定光が193nmのA
    rFエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項6
    に記載の光学材料の特定波長における光透過率分布測定
    方法。
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