JPH10279917A - 発色剤および発色組成物 - Google Patents

発色剤および発色組成物

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JPH10279917A
JPH10279917A JP9093097A JP9093097A JPH10279917A JP H10279917 A JPH10279917 A JP H10279917A JP 9093097 A JP9093097 A JP 9093097A JP 9093097 A JP9093097 A JP 9093097A JP H10279917 A JPH10279917 A JP H10279917A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全で、審美性、安定性、汎用性に優れ、し
かも原料が入手しやすく経済的に有利な発色剤および発
色組成物の提供。 【解決手段】 ショ糖脂肪酸エステルとイオン性界面活
性剤を含有する発色剤およびそれを水に分散した発色組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安全性および審美
性に優れた発色剤およびこれを用いた発色組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種商品に対する嗜好が多様化している
現在、色彩は中でも大きな意味を持ち、消費者がその商
品購入を決める際の重要なポイントとなっている。特に
アクセサリーや化粧品等のファッション性の求められる
商品においては、色彩に対しても、画一的でない、微妙
なニュアンスが必要とされる。
【0003】これらの商品の発色剤は、通常色素や顔料
によるものであるが、一方、それ自体は発色基を持たな
い界面活性剤および水を層状構造にすることによって、
照射光の干渉を生じさせ発色させる方法が近年いくつか
報告されている(特開平7−331225、特開平5−
112431、特開平4−15289、特開平2−70
762、特開昭57−26611等)。
【0004】この現象は、層状構造の界面で反射する光
が互いに干渉しあうことによるもので、色は層の厚さお
よび観察する方向によって連続的に変化し、虹やシャボ
ン玉表面の色彩と同様に、一義的ではない神秘的な発色
を呈し、商品に高い付加価値を与えることができる。
【0005】これらのうち、特開平2−70762およ
び特開平5−112431には、安全性が高く人体や環
境に穏やかな食品用界面活性剤を主成分とする発色剤が
開示されている。しかし、前者では、発色温度が常温付
近のみに限られており、又、後者では、発色の温度範囲
は広い反面、高純度のショ糖脂肪酸ジエステルを用いる
必要があり、必要な純度を確保するためには、多量の有
機溶媒を用いた数回にわたる溶媒分別、あるいはカラム
分離が必要であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、安全で、審美性、安定性、汎用性に優
れ、しかも原料が入手しやすく経済的に有利な発色剤お
よび発色組成物を提供することを目的としてなされたも
のである。本発明において、発色剤とは、水溶性染料に
よらない着色作用を有する物質、具体的には、光の干渉
作用により発色する物質をさす。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、通常の製造法
で得られるショ糖脂肪酸エステルとイオン性界面活性剤
とを併用してなる、安全で美しく、安定性、耐熱性に優
れ、しかも経済的にも有利な発色剤およびそれを含有す
る発色組成物に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸種は、炭素数
8〜24、好ましくは10〜20、より好ましくは12
〜18のものが用いられる。脂肪酸の炭素数がこの範囲
よりも短すぎると、界面活性剤は層状構造を形成しにく
くなるので発色しにくくなる。また、脂肪酸の炭素数が
この範囲より長いと疎水性が高くなり、界面活性剤の二
分子膜の間に、発色が生じるための充分な水を保持する
ことができにくくなる。
【0009】上記の炭素数の範囲であれば、ショ糖脂肪
酸エステルにおける脂肪酸は飽和でも不飽和でもよく、
また直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また場合によっては
水酸基を有するヒドロキシルカルボン酸でもよい。これ
らの脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、テト
ラデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸(オレイ
ン酸、エライジン酸等)、オクタデカジエン酸(リノー
ル酸等)、エイコセン酸、エイコサテトラエン酸(アラ
キドン酸)、ドコセン酸(エルカ酸)、オクタデカトリ
エン酸(リノレン酸等)、イソステアリン酸等が挙げら
れる。これらのなかでもラウリン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸等が発色機能が優れておりしかも入手しやす
いので特に好ましい。また、これらの脂肪酸は任意の割
合の混合物として用いることもできる。
【0010】ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖および脂
肪酸またはその誘導体との反応により製造されるが、通
常の工業的製法では、エステル化度は単一に制御できる
ものではなく、ある程度の分布幅を持ち、反応物はモノ
エステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル
等、ペンタエステル等の混合物として得られ、本発明に
おいてはこれらの混合物を分離精製することなくそのま
ま用いることができる。従って、現在市販されているジ
エステル含有率が50%未満のものが好ましい。また、
モノエステル含有率は10〜80%のものが好ましい。
更に本発明においては、平均エステル化度(ショ糖脂肪
酸エステルにおいて、ショ糖一分子に結合している脂肪
酸数の平均)が、1.3〜4.0、好ましくは1.4〜
3.0、より好ましくは1.6〜2.5であれば、エス
テル化度に分布のある、常法で製造された界面活性剤そ
のままを用いて差し支えない。
【0011】平均エステル化度がこの範囲より高いと疎
水性が高くなりすぎ、水と分離し、また平均エステル化
度がこの範囲より低いと親水性が高くなり、水相におい
て球状ミセルを形成しがちであり、発色に必須な層状構
造を形成できにくくなる。ショ糖脂肪酸エステルと併用
するイオン性界面活性剤としては、長鎖脂肪族カルボン
酸乳酸エステル塩、脂肪酸金属塩(石鹸)、アルカンス
ルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アル
コール脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、有機酸
モノグリセリド塩、アルキルアミン塩、アルキルアンモ
ニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。
【0012】これらのイオン性界面活性剤を構成する脂
肪酸としては、非イオン性界面活性剤と混合して二分子
膜を形成しやすく、しかも入手が容易なことから、炭素
数8〜24、好ましくは10〜20、より好ましくは1
2〜18のものが用いられる。脂肪酸は飽和でも不飽和
でもよく、また直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また場合
によっては水酸基を有するヒドロキシルカルボン酸でも
よい。これらの脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘ
ン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン
酸(オレイン酸、エライジン酸等)、オクタデカジエン
酸(リノール酸等)、エイコセン酸、エイコサテトラエ
ン酸(アラキドン酸)、ドコセン酸(エルカ酸)、オク
タデカトリエン酸(リノレン酸等)、イソステアリン酸
等が挙げられる。これらのなかでもラウリン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が入手しやすいの
で特に好ましい。また、これらの脂肪酸は任意の割合の
混合物として用いることもできる。
【0013】イオン性界面活性剤の中で好ましいのは、
食品用界面活性剤としても認められている、安全性の高
い、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩、およびコハ
ク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセ
チル酒石酸モノグリセリド等の有機酸モノグリセリドの
塩である。
【0014】これらの中でも特に好ましいのは、脂肪酸
部分の炭素数が12〜18の長鎖脂肪族カルボン酸乳酸
エステル塩である。中でも、純度が80モル%以上の長
鎖カルボン酸乳酸エステル塩が、色、臭いが無いばかり
でなく、ショ糖脂肪酸エステルとともに安定な二分子膜
を形成し、水を間に含んで、発色に好適な層状構造を形
成する点で好ましい。またこのとき界面活性能も良好で
あるため、洗浄剤、化粧料等として用いる場合にも好適
である。
【0015】通常、長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル
塩は、長鎖脂肪族カルボン酸またはその誘導体と、乳酸
またはその誘導体とをエステル化反応させて製造するた
め、不純物として未反応原料、ポリ乳酸あるいはポリ乳
酸塩を含む。これらの不純物を20%未満に低減して用
いることが望ましい。その方法は特には限定されず、い
かなる手法でも良い。例としては特開平8−34758
に開示されているような製造方法が挙げられる。純度が
80モル%未満の場合は、不純物である乳酸あるいは乳
酸塩、ポリ乳酸あるいはポリ乳酸塩の存在のために、界
面活性能に劣るばかりでなく、二分子膜の形成が妨害さ
れ、層状構造が得られず、美麗な発色が得られない恐れ
がある。
【0016】長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステル塩にお
ける長鎖脂肪族カルボン酸は、任意の割合からなる2種
以上の混合物として用いることもできる。工業的にはヤ
シ油、パーム油、牛脂等から得られる混合脂肪酸を製造
原料とするのが好適である。また乳酸としては、発酵法
または合成法のいずれで製造されたものでもよく、D体
L体の区別を問わない。塩基性物質としては、アルカリ
金属もしくは、アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸
塩、アンモニア、エタノールアミン等のアルカノールア
ミン、トリブチルアミン等の低級アルカリアミンが挙げ
られる。中でもカルシウム、カリウム、ナトリウム等の
水酸化物や炭酸塩などが安全性が高いので好ましい。配
合する長鎖脂肪族カルボン酸乳酸エステルエンとショ糖
脂肪酸エステルの脂肪酸鎖長は同じでも、また異なって
いてもよい。
【0017】発色剤としては、前述のショ糖脂肪酸エス
テルと、イオン性界面活性剤とを、重量比が99.9/
0.1〜80/20、好ましくは99.5/0.5〜9
0/10、より好ましくは99/1〜94/6になるよ
うに配合する。この範囲を外れて両者を配合した場合
は、イオン性界面活性剤に起因する、界面活性剤二分子
膜間の静電的反発および二分子膜の水和力のバランスに
より、発色を起こすのに適した、水をはさんだ安定な層
状構造をとることができにくくなる。
【0018】発色剤の配合方法は特には限定されず、任
意の方法を用いることができる。ただしそれぞれ固体で
あるショ糖脂肪酸エステルとイオン性界面活性剤を混合
する場合は、均一性を向上させる観点から、これらをよ
く溶解する有機溶剤等に一度溶解し、充分混合してから
必要に応じて溶剤を留去し、その上で水等の他材を加え
る方法、あるいはショ糖脂肪酸エステルとイオン性界面
活性剤を両者の融点以上で融解した上で充分混合し、そ
の上で水等の他材を加える方法等が推奨される。
【0019】本発明の発色剤を0.5〜10重量%、好
ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1.0〜3
重量%、水に均一分散させ、ショ糖脂肪酸エステルの融
点以上の温度で加熱溶解させることによって、虹色の光
彩を示す発色組成物を得ることができる。具体的には、
見る方向によって、赤〜緑、ないしは紫〜黄色等、一義
的ではない神秘的で美麗な発色を示す組成物である。こ
れを外れた濃度であると、界面活性剤の形成する層状構
造の繰り返し距離が長くあるいは短くなり、光の干渉に
よる発色は見られなくなる。
【0020】さらに水の一部を、アルコール等の水溶性
溶媒に置き換えることもできる。水溶性溶媒としては、
メチルアルコール、エチルアルコール、プロピレングリ
コール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げ
られる。
【0021】この他にも、本発明発色剤組成物には、本
発明の目的が損なわれない範囲で、通常の乳化系に慣用
される添加成分の中から任意のものを選択して添加して
よい。このような添加成分としては、例えばポリグリセ
リン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、脂肪酸アルカノールアミド、あるいはカルボキシベ
タイン型、イミダゾリニウム型、スルホベタイン型、ア
ミノ酸系界面活性剤などの安全性の高い界面活性剤、脂
肪酸、ステロール類等の両親媒性物質、およびカラギー
ナン、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガ
ム、アラビアガム、キサンタンガム、ペクチン、プルラ
ン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、大豆
タンパク質、グルテンなどの天然増粘安定剤、メチルセ
ルロース、カゼインナトリウム、ポリアクリル酸などの
合成増粘安定剤、さらには香料、甘味料、調味料、着色
剤、保湿剤、殺菌剤、酵素、抗炎症剤、ビタミン等が挙
げられる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。
【0023】実施例1〜10、比較例1 表に示す組成の発色剤および発色組成物を次に述べる方
法で調製した。所定量のショ糖脂肪酸エステルとイオン
性界面活性剤を計り取り、固形分濃度が5重量%になる
ようにエタノールを加え、約60℃で加熱溶解させた。
充分攪拌した上で、減圧蒸留によりエタノールを除去
し、同表に示す発色剤濃度となるように水を加え充分混
合した。この組成物の発色を下記基準により評価した。
さらにこれらの発色組成物を25℃で保存したときの安
定性を下記基準により評価した。
【0024】(発色) ○;発色がある。 ×;無色透明または白濁している。 (安定性) ○;色および組成物の均一性が1週間以上変わらない。 △;色および組成物の均一性が1日以上変わらない。 ×;調製直後あるいは1日以内に沈殿や分離が生じる。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発色剤は、化粧品、アクセサリー、食
品等のための発色剤として用いることができる。本発明
の発色剤および発色組成物を用いることにより、安全性
が高く、人体への刺激がなく、安定性、耐熱性、審美性
に優れた製品を提供することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノエステルを含むショ糖脂肪酸エステ
    ルとイオン性界面活性剤を含むことを特徴とする発色
    剤。
  2. 【請求項2】 ショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化
    度が1.3〜4.0である請求項1記載の発色剤。
  3. 【請求項3】 ショ糖脂肪酸エステルのジエステル含有
    率が50%未満である請求項1または2のいずれかに記
    載の発色剤。
  4. 【請求項4】 ショ糖脂肪酸エステルとイオン性界面活
    性剤の重量比が、99.9/0.1〜80/20である
    請求項1から3のいずれかに記載の発色剤。
  5. 【請求項5】 イオン性界面活性剤が、長鎖脂肪族カル
    ボン酸乳酸エステル塩である請求項1乃至4の発色剤。
  6. 【請求項6】 ショ糖脂肪酸エステルとイオン性界面活
    性剤とを、これらの有機溶剤溶解液として混合し、均一
    化して得たものであることを特徴とする請求項1記載の
    発色剤。
  7. 【請求項7】 融点以上で融解したショ糖脂肪酸エステ
    ルとイオン性界面活性剤とを混合し、均一化して得たも
    のである、請求項1記載の発色剤。
  8. 【請求項8】 請求項4記載の発色剤を0.5〜10重
    量%含有する発色組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010106044A (ja) * 2010-02-04 2010-05-13 Mitsubishi Chemicals Corp 乳化組成物
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