JPH10279428A

JPH10279428A - 化粧料

Info

Publication number: JPH10279428A
Application number: JP9099831A
Authority: JP
Inventors: Kenichi Kuriyama; 健一栗山; Noriyasu Kuno; 憲康久野; Yoichi Watanabe; 洋一渡辺; Mikimasa Takisada; 幹正滝貞; Masami Senoo; 正巳妹尾; Hisami Kameyama; 久美亀山
Original assignee: Nisshin Oil Mills Ltd
Current assignee: Nisshin Oil Mills Ltd
Priority date: 1997-04-01
Filing date: 1997-04-01
Publication date: 1998-10-20

Abstract

(57)【要約】【課題】チロシナーゼ活性阻害効果に優れ、安全性の高
い化粧料を提供する。【解決手段】ゴマ（ＳｅｓａｍｕｍＩｎｄｉｃｕｍ
Ｌ．）から得られる水溶性抽出成分を含有する化粧料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゴマ（Ｓｅｓａｍ
ｕｍＩｎｄｉｃｕｍＬ．）を原料として抽出される
水溶性成分を含有する化粧料に関し、詳しくは、チロシ
ナーゼ活性阻害効果に優れた安全性の高い美白剤とし
て、ゴマ（ＳｅｓａｍｕｍＩｎｄｉｃｕｍＬ．）の水
溶性抽出成分を含有する化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】日焼け等による皮膚の色黒やシミ、ソバ
カスを改善あるいは防止することを目的として、Ｌ−ア
スコルビン酸もしくはその誘導体、ハイドロキノン誘導
体、コウジ酸もしくはその誘導体、グルタチオンやコロ
イドイオウ等の美白剤の開発がこれまでなされてきた。
しかしながら、これらの美白剤には微弱なメラニン抑制
効果しかないものや、酸化されやすく不安定なもの、さ
らに特有の異臭や沈殿が生じるものがあるといった問題
があり、それぞれ単独で化粧料に配合した場合の美白効
果が必ずしも十分とはいえなかった。従って、効果が高
く、安全でかつ安定な美白効果を有する美白剤の開発が
現在求められている。

【０００３】一方、ゴマはこれまで広く食用に、古くは
薬用として供されており、比較的安定して入手が可能
で、人体に対して安全な植物性天然原料である。ゴマに
特有に含まれる生理活性成分については、これまでいく
つかの研究がなされており、抗酸化活性を有するリグナ
ン類等が含まれることが明らかにされている（並木満
夫、小林貞作編、「ゴマの科学」、第６０〜６２頁、朝
倉書店、１９８９年）。

【０００４】ゴマに含まれる美白成分としては、ゴマ油
から得られるセサモールとトコフェロールを、０．１〜
１０：１０〜０．１の重量比で混合したチロシナーゼ活
性阻害剤を配合してなる美白用皮膚外用剤が既に開示さ
れている（特開平８−１５７３４７）。このチロシナー
ゼ活性阻害効果を有するとされるセサモールやトコフェ
ロールは油溶性で、通常の搾油工程で油脂中に全量抽出
されることが分かっているが、元々極微量しか存在しな
い成分であり（前記「ゴマの科学」）、コストの面か
ら、工業的に製造することが困難であると予想される。
さらに、一般の化粧料用原料としては、セサモールとト
コフェロールのような油溶性の成分よりも、水溶性の成
分である方が圧倒的に用途範囲が広い。従って、肌に対
し優れた効果、特に美白効果を有し、安全かつ安定な水
溶性成分の開発が望まれている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た美白効果を有し、安定で安全性が高く、用途の広い水
溶性成分を用いた化粧料を提供する事にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本研究者らは鋭意検討した結果、ゴマを原料として
抽出される水溶性の抽出成分が肌に対し優れた効果、特
に美白効果を有する事を見い出し、本発明を完成するに
至った。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に必須である抽出物は水溶性成分であり、これら
を製造するには、原料として、天然植物であるゴマ（Ｓ
ｅｓａｍｕｍＩｎｄｉｃｕｍＬ．）の根、葉、茎、
芽、花、発芽物または種子、あるいはそれらの乾燥物、
粉砕物が利用できる。またこれらに含まれる脂質成分を
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、酢酸エチ
ルエステル等の低級脂肪酸アルキルエステル、ジエチル
エーテル等の公知の非水溶性の有機溶媒の１種又は２種
以上で抽出除去し、更に必要に応じてこの洗浄処理を繰
り返した脱脂物も利用できる。

【０００８】これらを原料とし、水もしくは含水及び／
又は無水低級アルコールで抽出し水溶性抽出物を得る。
ここで抽出に使用される溶媒としては特に限定されず、
水もしくは、メチルアルコール、エチルアルコール等の
１級アルコール、プロピレングリコール、１,３−ブチ
レングリコール等の液状多価アルコール等の公知の溶媒
が挙げられ、これらの溶媒は１種又は２種以上を組み合
わせて使用することができる。

【０００９】このようにして得られた水溶性抽出物は、
トリグリセライドやステロール、セサモールやトコフェ
ロール等の油溶性成分は全く含有していない。この水溶
性抽出物はそのまま用いても良いが、必要によりさらに
濃縮精製、濾過等の処理をしたものを用いることができ
る。また、これらは単独でも、2種類以上組み合わせて
も使用することもできる。

【００１０】かかる水溶性抽出成分の化粧料への配合量
は、原料の違いや、各々の水溶性成分の違いにより一律
に規定しがたいが、例えば水溶性抽出物を配合する場合
は０．０１〜２０．０重量％、好ましくは０．０５〜１
０．０重量％である。これらの範囲を外れて少ないと本
発明の所望の効果を奏する事ができず、逆に多すぎると
最終製品に置いて処方や色調等の品質安定性を損なった
り、また、臭いの点で懸念を生じる場合がある。

【００１１】さらに、本発明の化粧料には、本発明の効
果を損なわない範囲で前記必須成分（ゴマ水溶性抽出
物）の他、通常の化粧料に用いられる水性成分、粉体、
界面活性剤、油剤、保湿剤、アルコール類、ｐＨ調整
剤、防腐剤、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘
剤、香料、美容成分等を必要に応じて適宜配合すること
ができる。

【００１２】本発明の化粧料は、常法に従って製造する
ことができ、乳液、クリーム、化粧水、美容液、クレン
ジング、パック、洗浄料、ファンデーション等や、その
他分散状、顆粒状、軟膏状等、種々の剤型の化粧料とす
ることができる。

【００１３】

【実施例】次に、実施例を挙げ、本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。

【００１４】製造例ゴマ脱脂物の水溶性抽出物の製造ゴマ（ＳｅｓａｍｕｍＩｎｄｉｃｕｍＬ．）の根、
葉、茎、芽、花、発芽物、種子、の各乾燥粉砕物１キロ
グラムに、３ｌのヘキサンを加え３時間、70℃で抽出し
た。これを３度繰り返して、完全に脂溶性成分を除去し
て各脱脂物を得た。これらの各脱脂物に５０（ｖ／ｖ）
％エタノール水溶液１０ｌを加え、室温で攪拌しながら
１晩抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して各水
溶性抽出物を得た。以下の実施例において、各原料の水
溶性抽出物を、それぞれ「根抽出物」、「葉抽出物」、
「茎抽出物」、「芽抽出物」、「花抽出物」、「発芽物
抽出物」、「種子抽出物」と称することがある。得られ
た各水溶性抽出物量は以下の通りであった。根抽出物３
２０ｇ、葉抽出物２００ｇ、茎抽出物１５０ｇ、芽抽出
物３００ｇ、花抽出物１５０ｇ、発芽物抽出物３５０
ｇ、種子抽出物２８０ｇ。

【００１５】試験例１チロシナーゼ活性阻害試験下記方法により、製造例で得た各水溶性抽出物につい
て、単独またはそれらを組み合わせた試料のチロシナー
ゼ活性阻害率を調べた。すなわち、各試料に酵素溶液
［シグマ社製、２８，０００単位のチロシナーゼ１０ｍ
ｇを０．１Ｍリン酸緩衝液（ｐＨ６．８）２０ｍｌに溶
解したもの］０．１ｍｌを加え、さらに０．１Ｍリン酸
緩衝液（ｐＨ６．８）を加え４．０ｍｌとし、これを２
５℃にて１０分間インキュベートした。

【００１６】次いで、これにあらかじめ２５℃に保って
おいた基質溶液［Ｌ−ＤＯＰＡ（東京化成製）１９８．
０ｍｇを０．１Ｍリン酸緩衝液（ｐＨ６．８）１００ｍ
ｌに溶解したもの］１．０ｍｌを加え、１０分間反応せ
しめた。反応後、４７５ｎｍにおける吸光度（ＯＤ_S）
を測定した。同様に、加熱失活させた前記酵素を用いて
反応させた時の吸光度（ＯＤ_HE）及び試料無添加のとき
の吸光度（ＯＤ_B）を測定し、次式よりチロシナーゼ活
性の活性阻害率を算出した。

【００１７】

【数１】ＯＤ_S：試料吸光度ＯＤ_B：試料無添加時の吸光度ＯＤ_HE：酵素不活性時の吸光度

【００１８】

【表１】

【００１９】表１の結果から明らかなごとく、ゴマの
根、葉、発芽物、種子、茎、花、芽の各水溶性抽出物、
とりわけ根、葉、発芽物、種子を原料とした水溶性抽出
物は、極めて優れたチロシナーゼ活性阻害作用を発揮す
ることが判明した。

【００２０】実施例１クリーム：製造例で得た水溶性
抽出物を用いて表２に示す組成及び下記製法でクリーム
を調製し、その美肌効果を調べた。この結果も併せて表
２に示す。

【００２１】

【表２】

【００２２】（製法）Ａ．成分（１）〜（６）及び（１５）を混合し、加熱し
て７０℃に保つ。Ｂ．成分（７）〜（１４）及び（１７）を混合し、加熱
して７０℃に保つ。Ｃ．ＡにＢを加え、混合する。Ｄ．冷却しながら（１６）を加えてクリームを得た。

【００２３】（試験方法）被験クリーム１品につき２７
〜５４才の女性１５名をパネルとし、毎日朝と夜の２
回、１２週間にわたって洗顔後に被験クリームの適量を
顔面に塗布した。塗布による美肌効果を以下の基準によ
って評価した。

【００２４】（評価基準）＜評価＞＜内容＞有効肌のくすみが目立たなくなった。やや有効肌のくすみがあまり目立たなくなった。無効使用前と変化なし。

【００２５】表２の結果に示される如く、本発明品１〜
７のクリームは、これらを皮膚に適用することにより、
肌の「くすみ」等の発生の防止、改善することができ、
美しい肌とすることが明らかとなった。

【００２６】実施例２化粧水：次に示す処方及び下記
製法で化粧水を調製した。（処方）（％）（１）グリセリン５．０（２）１，３−ブチレングリコール６．５（３）ポリオキシエチレン（２０Ｅ．Ｏ．）ソルビタン１．２モノラウリン酸エステル（４）エタノール８．０（５）根抽出物＊１１０．０（６）防腐剤適量（７）香料適量（８）精製水残量＊１製造例で製造したもの

【００２７】（製法）Ａ．成分（３）、（４）、（６）及び（７）を混合溶解
する。Ｂ．成分（１）、（２）、（５）及び（８）を混合溶解
する。Ｃ．ＡとＢを混合して均一にし、化粧水を得た。

【００２８】実施例３乳液：次に示す処方及び下記製
法で乳液を調製した。（処方）（％）（１）ポリオキシエチレン（１０Ｅ．Ｏ．）ソルビタン１．０モノステアレート（２）ポリオキシエチレン（６０Ｅ．Ｏ．）ソルビット０．５テトラオレエート（３）グリセリルモノステアレート１．０（４）ステアリン酸０．５（５）ベヘニルアルコール０．５（６）スクワラン８．０（７）葉抽出物＊１０．１（８）防腐剤０．１（９）カルボキシビニルポリマー０．１（１０）水酸化ナトリウム０．０５（１１）エチルアルコール５．０（１２）精製水残量（１３）香料適量＊１製造例で製造したもの

【００２９】（製法）Ａ．成分（８）〜（１２）を加熱混合し、７０℃に保
つ。Ｂ．成分（１）〜（６）を加熱混合し、７０℃に保つ。Ｃ．ＢにＡを加えて混合し、均一に乳化する。Ｄ．Ｃを冷却後（７）、（１３）を加え、均一に混合し
て乳液を得た。

【００３０】実施例４クリーム：次に示す処方及び下
記製法でクリームを調製した。（処方）（％）（１）ポリオキシエチレン（４０Ｅ．Ｏ．）モノステアレート２．０（２）グリセリンモノステアレート（自己乳化型）５．０（３）ステアリン酸５．０（４）ベヘニルアルコール０．５（５）スクワラン１５．０（６）イソオクタン酸セチル５．０（７）ブチルパラベン０．１（８）メチルパラベン０．１（９）１，３−ブチレングリコール５．０（１０）発芽物抽出物＊１０．２（１１）精製水残量（１２）香料適量＊１製造例で製造したもの

【００３１】（製法）Ａ．成分（１）〜（７）を７０℃にて加熱溶解する。Ｂ．成分（８）〜（１１）を７０℃に加熱する。Ｃ．ＡをＢに加え、冷却しながら成分（１２）を加え、
クリームを得る。

【００３２】実施例３の乳液、実施例４の乳液及び実施
例５のクリームはいずれも経時安定性に優れ、皮膚に適
用することにより、肌の「くすみ」等の発生を防止する
とともに、シミ等の色素沈着も改善することができ、透
明感のある美しい肌にするものであった。

【００３３】実施例５パック：次に示す処方及び下記
製法でパックを調製した。（処方）（％）（１）ポリビニルアルコール２０．０（２）エタノール２０．０（３）グリセリン５．０（４）カオリン６．０（５）種子抽出物＊１１．０（６）防腐剤適量（７）香料適量（８）精製水残量＊１製造例で製造したもの

【００３４】（製法）Ａ．成分（１）、（３）、（４）及び（８）を混合し、
７０℃に加熱し、撹拌する。Ｂ．成分（２）、（６）及び（７）を混合する。Ｃ．上記Ｂを先のＡに加え、混合した後、冷却して
（５）を均一に分散してパックを得た。

【００３５】実施例５のパックは、経時安定性に優れ、
皮膚に適用することにより、皮膚のきめを整え、肌の
「くすみ」を防止するとともに、シミ等の色素沈着も改
善することができ、透明感のある美しい肌にするもので
あった。

【００３６】実施例６リキッドファンデーション：次
に示す処方及び下記製法でリキッドファンデーションを
調製した。（処方）（％）（１）ラノリン７．０（２）流動パラフィン５．０（３）ステアリン酸２．０（４）セタノール１．０（５）グリセリン５．０（６）トリエタノールアミン１．０（７）カルボキシメチルセルロース０．７（８）精製水残量（９）マイカ１５．０（１０）タルク６．０（１１）酸化チタン３．０（１２）着色顔料６．０（１３）発芽物抽出物＊１０．０５（１４）紫外線吸収剤適量（１５）香料適量＊１製造例で製造したもの

【００３７】（製法）Ａ．成分（１）〜（４）を混合溶解する。Ｂ．Ａに成分（９）〜（１２）を加え、均一に混合す
る。Ｃ．成分（５）〜（８）を均一に溶解し、７０℃に保
つ。Ｄ．ＢにＣを添加して、均一に乳化する。Ｅ．Ｄを冷却後、成分（１３）〜（１５）を添加してリ
キッドファンデーションを得た。

【００３８】実施例７日焼け止め用乳液：次に示す処
方及び下記製法で日焼け止め用乳液を調製した。（処方）（％）（１）ステアリン酸２．０（２）セタノール１．０（３）モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン（２０Ｅ．Ｏ）０．５（４）セスキオレイン酸ソルビタン０．５（５）パラメトキシケイ皮酸−２−エチルヘキシル８．０（６）２−エチルヘキサン酸セチル１２．０（７）１，３−ブチレングリコール１０．０（８）カルボキシビニルポリマー０．２（９）トリエタノールアミン０．５（１０）種子抽出物＊１０．５（１１）精製水残量（１２）防腐剤適量（１３）酸化チタン３．０（１４）香料適量＊１製造例で製造したもの

【００３９】（製法）Ａ．成分（１）〜（６）を加熱混合し、７５℃に保つ。Ｂ．成分（７）〜（１２）を加熱混合し、７５℃に保
つ。Ｃ．ＡをＢに徐々に加える。Ｄ．Ｃを冷却しながら（１３）〜（１４）を加え、日焼
け止め用乳液を得た。

【００４０】実施例６のリキッドファンデーション及び
実施例７の日焼け止め用乳液は、いずれも経時安定性に
優れ、皮膚に適用することにより、日焼け等による肌の
黒化やシミを防止するものであった。

【００４１】実施例８ゲル軟膏：次に示す処方及び下
記製法でゲル軟膏を調製した。（処方）（％）（１）カルボキシビニルポリマー１．０（２）トリエタノールアミン１．０（３）１，３−ブチレングリコール１０．０（４）発芽物抽出物＊１０．０１（５）精製水残量＊１製造例で製造したもの

【００４２】（製法）Ａ．成分（１）及び（３）〜（５）を混合溶解する。Ｂ．Ａに成分（２）を加え、混合して均一にし、ゲル軟
膏を得た。

【００４３】実施例８のゲル軟膏は、経時安定性に優
れ、皮膚に適用することにより、皮膚のきめを整え、肌
の「くすみ」を防止するとともに、シミ等の色素沈着も
改善することができ、透明感のある美しい肌にするもの
であった。

【００４４】

【発明の効果】本発明の化粧料は、用途の広い水溶性の
成分を配合してなるものであり、優れた美白効果を有
し、且つ安定で高い安全性を持つ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者亀山久美東京都豊島区上池袋４−11−９−512

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ゴマ（ＳｅｓａｍｕｍＩｎｄｉｃｕｍ
Ｌ．）の水溶性抽出成分を含有することを特徴とする
化粧料。
【請求項２】水溶性抽出物がゴマ（Ｓｅｓａｍｕｍ
ＩｎｄｉｃｕｍＬ．）の根、葉、茎、芽、花、発芽物
または種子、あるいはそれらの乾燥物、粉砕物の１種又
は２種以上から得られたものである請求項１記載の化粧
料。
【請求項３】水溶性抽出物が脱脂工程を経て得られる
ものである請求項１または２記載の化粧料。
【請求項４】水溶性抽出物を水もしくは含水及び／ま
たは無水低級アルコールで抽出することを特徴とする請
求項１、２または３記載の化粧料。
【請求項５】水溶性抽出物を美白剤として含有する請
求項１、２、３または４記載の化粧料。
【請求項６】水溶性抽出物をチロシナーゼ活性阻害剤
として含有する請求項１、２、３、４または５記載の化
粧料。
【請求項７】水溶性抽出物を０．０１〜２０．０重量
％含有する請求項１、２、３、４、５または６記載の化
粧料。