JPH10273444A - イチョウエキスの製造方法 - Google Patents

イチョウエキスの製造方法

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JPH10273444A
JPH10273444A JP9078164A JP7816497A JPH10273444A JP H10273444 A JPH10273444 A JP H10273444A JP 9078164 A JP9078164 A JP 9078164A JP 7816497 A JP7816497 A JP 7816497A JP H10273444 A JPH10273444 A JP H10273444A
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JP
Japan
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ginkgo
extract
solvent
adsorbent
treating
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JP9078164A
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Inventor
Kikuo Sugimoto
規矩夫 杉本
Hitoshi Urano
仁 浦野
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Tama Biochemical Co Ltd
Original Assignee
Tama Biochemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 イチョウ葉を溶媒抽出し、得られる抽出
液を、イオン交換樹脂と疎水性樹脂とを含む複数の吸着
剤を用いて、アルキルフェノール化合物を除去する。 【効果】 アルキルフェノール化合物の一種であるギン
コー酸などの有害成分の含有量が大きく低減され、イチ
ョウフラボン配糖体およびテルペンラクトン類などの有
用成分を多く含むイチョウエキスを、簡単な操作で効率
よく製造することができる。また、このイチョウエキス
は有害成分の含有量が少ないので安全性が高く、食品添
加物の他、医薬用組成物として使用する上でも好適であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬、化粧料、健康食
品などとして有用なイチョウエキスの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】イチョウ葉抽出物は、古くから民間薬と
して用いられている。イチョウ葉から抽出したエキス
は、血管拡張、血流増大、血管系の老化防止など、血管
障害を示す病気に用いられ、特に、内耳の神経、知覚異
常、老人性網膜症および糖尿病性網膜症による視力低下
の改善、脳動脈硬化、老人性痴呆症の治療を目的として
用いられている。
【0003】近年、アメリカ合衆国でもその効果が認め
られ、脚光を浴びている。また、日本においては、健康
食品として広汎に利用されている。さらに、イチョウエ
キスは、皮膚の末梢血流の循環を正常化し、またはこれ
を促進することから、化粧料や浴用剤の成分としても利
用されている。
【0004】イチョウ葉の薬理学的研究より、イチョウ
葉に含まれるいくつかの成分については、その化学構造
と薬理作用とが解明されている。例えば、イチョウ葉抽
出物中のフラボン配糖体は、血管拡張作用と血流増大作
用(H. Peter et al., Arzneim Forsch., 16(6)719(196
6))や血圧降下作用(日本薬学会、第107年会講演要旨
集、第345頁)を示し、ビフラボン類は抗発癌プロモー
ター作用のあることが認められている(日本薬学会、第
108年会講演要旨集、第331頁)。また、皮膚栄養素の不
足している女性にクリームに配合して塗布すると、皮脂
値、水分値、およびシワ指数の改善が図られることが報
告されている(Paolo, Rovesti, Aromi.Saponi., Cosme
tici. Aerosol, 56(1)138(1974))。
【0005】しかし、一方では、イチョウ成分の有害性
も知られており、アルキルフェノール化合物の一種であ
るギンコー酸は、アレルギー性皮膚炎を起こすという有
害な作用も知られている(刈米達雄「最新植物化学」第
2版、廣川書店、昭和54年)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらイチョウ葉に含
まれる有害性物質を除去する方法として、特公昭第46-2
8091号公報および特公昭第49-27323号公報において液−
液分配法が報告されている。これらの公報に開示された
方法は、毒性の高い四塩化炭素や鉛化合物を用いるた
め、医薬品、健康食品、または化粧品などに使用するた
めのイチョウエキスの製造方法としては好ましくない。
【0007】また、特開平第2-121998号公報、特開平第
3-264533号公報、特開平第3-279331号公報、特開平第3-
279332号公報で開示されている方法は複数の有機溶媒を
用いるものであるため、操作が煩雑になったり、アルキ
ルフェノール化合物の除去が不十分であるという問題が
ある。
【0008】特開平第2-73079号公報では、吸着剤を利
用したイチョウエキスの製造方法が開示されている。こ
こでは、活性炭に吸着させたイチョウ葉成分をアルカリ
溶液で溶出させるため、吸着成分の幾つかが分解されて
しまい、特に、テルペンラクトン類の分解が生じるとい
う問題点がある。
【0009】特開平第3-275629号公報および特開平第4-
182434号公報では、吸着したイチョウ葉の成分を40〜80
重量%の含水アルコールで溶出するため、アルキルフェ
ノール化合物も溶出され、これらの含有量を低濃度に抑
えることが難しい。特開平第4-288019号公報では、液−
液抽出と吸着剤とを組み合わせた方法を開示している
が、ここで使用されている吸着剤はプロアントシアニジ
ンのみを除去するものであり、効率のよい方法とは言い
がたい。
【0010】特開平第7-138171号公報では、イチョウ葉
抽出液を疎水性の合成樹脂に吸着させた後、溶出アルコ
ール濃度とpHとを変化させてイチョウ葉中の有害成分
を分離する方法が開示されているが、有用成分であるフ
ラボン配糖体およびテルペンラクトン類の回収率が低く
なることを押さえることが難しい。
【0011】本発明の目的は、アルキルフェノール化合
物の一種であるギンコー酸を含まない、より安全性の高
いイチョウエキスの製造方法を提供することにある。本
発明のもう1つの目的は、極めて簡単な方法で、高濃度
のフラボン配糖体およびテルペンラクトン類を含み、し
かも前述のようなより安全性の高いイチョウエキスを高
収率で得ることができるイチョウエキスの製造方法を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、以
上のような課題を解決し、本発明目的を達成すべく鋭意
研究を重ねた結果、イチョウ葉抽出液に含まれる色素な
どの不純物を塩基性樹脂に吸着させて除去する工程と、
イチョウフラボン配糖体およびテルペンラクトン類を高
含量となるように濃縮するために疎水性樹脂に吸着させ
る工程と、イチョウ葉抽出物に含まれるアルキルフェノ
ール化合物の1種であるギンコー酸を除去し、イチョウ
フラボン配糖体およびテルペンラクトン類を損失するこ
となく疎水性樹脂を用いて回収する工程とからなる製造
方法と、ここで用いられる吸着樹脂の選択およびこれら
の工程に好適な操作条件を見出した。また、本発明者ら
は、高含量に濃縮・精製したイチョウフラボン配糖体お
よびテルペンラクトン類を含む溶液をさらに濃縮する際
に、減圧下において60℃以下とすることにより、イチョ
ウフラボン配糖体およびテルペンラクトン類の分解が著
しく抑制されるという知見を得て、より安全性の高いイ
チョウエキスを高収率で得ることができるという本発明
を完成したものである。
【0013】すなわち、本発明は、イチョウ葉を溶媒抽
出し、得られる抽出液を複数の吸着剤で処理することに
よりイチョウエキスを製造する方法において、イオン交
換樹脂と疎水性樹脂とを吸着剤として用いてアルキルフ
ェノール化合物を除去することを特徴とするイチョウエ
キスの製造方法である。上記溶媒としては、C1〜C4
アルコールおよびC3もしくはC4のケトン系溶媒からな
る群から選ばれる溶媒、またはそれらと水との混合溶媒
が挙げられる。
【0014】上記イオン交換樹脂としては、イチョウ葉
の抽出液からプロアントシアニジンおよび/または色素
成分を吸着する塩基性イオン交換樹脂が挙げられる。ま
た、上記疎水性樹脂の1つとしては、イチョウフラボン
配糖体およびテルペンラクトン類を吸着させる樹脂が、
さらに上述の疎水性樹脂の1つとしては、前記溶出液に
含まれるアルキルフェノール化合物を吸着し、イチョウ
フラボン配糖体および/またはテルペンラクトン類を吸
着しない樹脂がそれぞれ挙げられる。さらに、上記の疎
水性樹脂でイチョウ葉抽出液を吸着処理するにあたって
は、溶出溶媒としては、C1〜C4のアルコールおよびC
3もしくはC4のケトン系溶媒からなる群から選ばれる溶
媒、またはそれらと水との混合溶媒を用いて、イチョウ
フラボン配糖体および/またはテルペンラクトン類を含
む吸着成分を溶出させて溶出液を調製する。そしてこの
溶出液は有機溶媒を10〜20重量%含む水溶液となるま
で、濃縮することができる。
【0015】さらに、本発明は、(a)イチョウ葉を溶媒
で抽出して抽出液を得る工程と、(b)上記得られた抽出
液を、第一の吸着剤で処理してプロアントシアニジンお
よび/または色素を吸着除去して第一の吸着剤処理液を
得る工程と、(c)上記第一の吸着剤処理液を蒸留により
濃縮して有機溶媒の大部分を除き、濃縮した吸着剤処理
液を得る工程と、(d)上記濃縮した吸着剤処理液を第二
の吸着剤で処理して、イチョウフラボン配糖体および/
またはテルペンラクトン類を吸着させる工程と、(e)前
記吸着したイチョウフラボン配糖体および/またはテル
ペンラクトン類を第二の吸着剤から、C1〜C4のアルコ
ールおよびC3もしくはC4のケトン系溶媒からなる群か
ら選ばれる溶媒、またはそれらと水との混合溶媒で吸着
成分として溶出させ、(f)上記第二の吸着剤から溶出さ
れた吸着成分を含む溶出液を有機溶媒の濃度が10〜20重
量%になるまで濃縮して濃縮液を得る工程と、(g)上記
濃縮液を第三の吸着剤で処理してアルキルフェノール化
合物を吸着除去して第三の吸着剤処理液を得る工程と、
(h)上記第三の吸着剤処理液を固形分が30〜50重量%と
なるまで濃縮した後に乾燥する工程と、を含むことを特
徴とするイチョウエキスの製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において原料として使用す
るイチョウ葉は、生葉、乾燥葉のいずれでもよいが、保
存や輸送などの面で乾燥葉を用いることが好適である。
このイチョウ葉の抽出に用いる抽出溶媒は、イチョウ葉
に含まれるフラボン配糖体などの薬理活性を有する成分
を抽出できるものであればよく特に限定されない。しか
し、後処理の関係上、親水性のものを使用することが好
ましく、C1〜C4のアルコール系溶媒およびC3もしく
はC4のケトン系溶媒からなる群から選ばれる溶媒を使
用することがさらに好ましい。C1〜C4のアルコール系
溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブ
タノールなどの一価のアルコール;または1,3-ブタンジ
オール、1,4-ブタンジオールその他の多価アルコールが
含まれる。C3またはC4のケトン系溶媒としては、脂肪
族ケトンを使用することが好ましく、具体的には、アセ
トン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。
これらのうち、メタノール、エタノール、アセトンを使
用すると、イチョウフラボン配糖体およびテルペンラク
トンの抽出効率が高くなる。
【0017】上記のような親水性の有機溶媒は、これら
の溶媒を単独でイチョウ葉の抽出に使用してもよく、こ
れらを水と混合して混合溶媒として抽出に使用してもよ
い。これらの有機溶媒に水を加える場合、含水量を10〜
60重量%とすると、抽出効率をさらに高める上で好まし
い。含水量が10重量%未満では、混合溶媒の組成比を一
定に保つことが難しく、また抽出効率も悪い。逆に、含
水量が60重量%を超えると、フラボンおよびテルペンラ
クトン類の抽出が不充分になる。
【0018】抽出溶媒による抽出は、静置または攪拌し
つつ、冷浸、温浸、還流、超音波処理などのいかなる方
法を用いて行ってもよいが、抽出効率を高めるため、容
器内を循環させて抽出を行うことが好ましい。抽出温度
は、特に限定されないが、室温とするとイチョウフラボ
ン配糖体およびテルペンラクトン類を分解させずに抽出
する上で好適である。抽出溶媒の使用量は抽出溶媒の含
水量によって異なるが、乾燥イチョウ葉を使用する場合
には、乾燥葉全体を抽出溶媒に浸すために、乾燥イチョ
ウ葉100重量部に対して7容程度の量とすることが好適
である。
【0019】イチョウ葉から上記のフラボン配糖体など
の抽出は、具体的には、以下のように行う。まず、カラ
ムなどの抽出容器に粉砕機などでほぼ一定の大きさに粉
砕した乾燥イチョウ葉を充填し、ここに上記の抽出溶媒
を加える。室温で0.5〜数時間、好ましくは1〜3時間
程度、攪拌・循環しながら抽出を行う。この抽出操作は
複数回行ってもよい。
【0020】上記の溶媒を用いた抽出液には、目的成分
であるイチョウフラボン配糖体およびテルペンラクトン
類の他に、プロアントシアニジンなどの遊離フラボノー
ルその他の色素、およびアルキルフェノール化合物など
の夾雑化合物も含まれている。
【0021】ここで、イチョウフラボン配糖体とは、イ
チョウ葉に含まれるフラボン配糖体の総称である。具体
的には、ルチン、イソクエルシトリン、クエルセチン−
3−O−α−(6−p−クマロイルグルコシル−β−
1,2−ラムノシド)などのクエルセチングリコシド;
イソクエルセチングリコシド;ケンフェロール−3−ル
チノシド、ケンフェロール−3−ラムノグルコシド、ケ
ンフェロール−3−O−α−(6−p−クマロイルグル
コシル−β−1,2−ラムノシド)などのケンフェロー
ルグリコシド;などが含まれる。これらの化合物を含む
抽出物は末梢および脳動脈血循環障害の治療に使用され
る。
【0022】テルペンラクトン類とはラクトン構造を有
するテルペノイドをいい、例えば、ギンコライドやビロ
バライドなどを挙げることができる。これらは、血小板
活性化因子(PAF)によって誘発される疾患などの治療
に使用される。遊離フラボノールとは、C6−C3−C6
炭素骨格を有する配糖体を形成していない化合物群をい
い、例えば、ケンフェロールやクエルセチンなどを挙げ
ることができる。
【0023】その他の色素としては、アントシアニジン
やその前駆体であるプロアントシアニジンなどを挙げる
ことができる。アルキルフェノール化合物とは、0〜3
個の二重結合を有するn-C13〜n-C19−アルキル基を含
むフェノール化合物をいい、ギンコー酸、ビロボールな
どを挙げることができる。これらはアレルギー反応や接
触皮膚炎を惹起することが知られている。遊離フラボノ
ール、その他の色素やアルキルフェノール化合物といっ
た夾雑化合物は、本発明で使用する複数の吸着剤に吸着
させて除去する。
【0024】イチョウ葉の抽出物に含まれる化合物のう
ち、プロアントシアニジンおよびその他の色素は、第一
の吸着剤に吸着させて除去する。第一の吸着剤として
は、塩基性イオン交換樹脂が好適であり、特に、2級ま
たは3級アミン系の弱塩基性イオン交換樹脂を使用する
ことが、目的成分の回収率を向上させる上で好適であ
る。このような樹脂としては、ダイヤイオンWA20、WA2
1、WA30、PA-306、PA-308、PA-406、およびPA-408など
(いずれも三菱化成(株)製);デュオライトA-377、A
-378、A-374、A-561、およびA-7など(いずれもダイヤ
モンド・シャムロック社製);ダウエックス66、MSA-
1、MSA-2(いずれもダウ・ケミカル社製)などを挙げる
ことができる。これらの塩基性イオン交換樹脂を吸着処
理に先立って前処理し、pH4程度に調製すると夾雑物を
より効率的に吸着させることができる。
【0025】次に、上記のような樹脂を用いて夾雑化合
物を除いたイチョウ葉抽出物から、フラボン配糖体およ
び/またはテルペンラクトン類を疎水性樹脂に吸着させ
る。ここで用いる疎水性樹脂としては、デュオライトS-
761、S-861、S-862、S-865、ES-861、ES-863、ES-865、
およびES-866(いずれもダイヤモンド・シャムロック社
製);アンバーライトXAD-2000、XAD-2、XAD-4、XAD-7
およびXAD-26(いずれもロームアンドハース社製);ダ
イヤイオンSP-825、SP-865、SP-206、SP-207、HP-10、H
P-20、HP-21、HP-30、HP-40およびHP-50(いずれも三菱
化成(株)製)などが挙げられる。疎水性樹脂を用いる
ことが好適なのは、この樹脂が目的成分を選択的に吸着
することによる。
【0026】疎水性吸着剤に吸着されたイチョウフラボ
ン配糖体および/またはテルペンラクトン類は、溶出溶
媒により溶出させる。溶出溶媒には、有機溶媒と水との
混合溶媒を用いることが好ましく、例えば、溶出力の高
いメタノール−水(80−20)などを用いると効果が高
い。
【0027】ついで、溶出された溶液を濃縮して有機溶
媒を除去し、この濃縮液からアルキルフェノール化合物
などの有害成分を除くために、疎水性樹脂を用いてこれ
らの成分の吸着処理を行う。ここで使用する樹脂は、イ
チョウフラボン配糖体および/またはテルペンラクトン
類を吸着せずアルキルフェノール化合物を吸着する疎水
性樹脂であり、ダイヤイオンHP-20、HP-40およびダイヤ
イオンHP-50などを好適に使用することができる。
【0028】上述したイオン交換樹脂または疎水性樹脂
からなる吸着剤による処理は、バッチ法またはカラム法
のいずれで行ってもよいが、比較的少量の吸着剤で処理
が行えるため、カラム法によることが好ましい。
【0029】以上のようにして、抽出と樹脂への吸着に
よる精製とを行ったイチョウ葉抽出エキスを、減圧下に
60℃以下の温度で、固形分が30〜50重量%になるまで濃
縮する。濃縮温度を60℃以下とすると、濃縮処理中にフ
ラボン配糖体やテルペンラクトン類が分解することを抑
えることができるとともに、イチョウフラボン配糖体の
加水分解によるクエルセチンなどの遊離フラボノールの
生成をも抑制することができるためである。
【0030】濃縮の後に得られるイチョウエキスは、エ
キス濃縮液または粉末エキスのいずれであってもよい
が、保存性の面から粉末エキスとすることが好ましい。
濃縮後に粉末エキスを得るためには、ドラム乾燥、CD
ドライヤー乾燥、噴霧乾燥、およびベルト乾燥などの方
法を用いることができる。
【0031】以上のようにして、イチョウ葉に含まれる
フラボン配糖体およびテルペンラクトン類のほとんどを
含み、アルキルフェノール化合物その他の有害成分をほ
とんど含まない、安全性の高いイチョウエキスを得るこ
とができる。
【0032】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実
施例に何ら限定されるものではない。 (実施例1)乾燥イチョウ葉500gを粉砕機で5〜10mm
に粉砕し、5Lのカラムに充填した。含水率40重量%の
メタノール3.5Lを添加し、マグネットポンプを用い
て、1.5時間、室温にて循環させた。その後抽出液を抜
き出し、2.7Lの抽出液を得た。次いで、同じ含水率の
メタノール3Lで2回、同様な操作を行い、合計8.7L
の抽出液を得た。
【0033】次に、抽出液中に存在する色素および不要
成分を除くために、pH4に調整した塩基性樹脂デュオラ
イトA−7を200mL充填したカラムに通液した。得られ
た処理液を蒸留してメタノールを除いた。
【0034】この処理液を、疎水性合成樹脂であるダイ
ヤイオンHP-20を500mL充填したカラムに通液し、この処
理液中に含まれるほとんどすべてのフラボン配糖体およ
びテルペンラクトン類をこの樹脂に吸着濃縮させた。次
いで、80重量%のメタノール1500mLで樹脂に吸着したフ
ラボン配糖体およびテルペンラクトン類を溶出させ、蒸
留によってメタノールを除去した。
【0035】次に、この濃縮液を疎水性合成樹脂である
ダイヤイオンHP-20を10mL充填したカラムに通液し、得
られた処理液を減圧下に60℃で固形分を40重量%になる
まで濃縮した後、噴霧乾燥法で乾燥して、フラボン配糖
体30.1重量%、ギンコライド6.9重量%、ビロバライド
4.6重量%を含み、アルキルフェノール化合物の含有量
が1ppm未満(検出限界以下)である粉末イチョウエキス
15.6gを得た。イチョウ葉エキス中の上記各成分の含有
量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用い
て定量した。
【0036】(実施例2)乾燥イチョウ葉500gを粉砕
機で5〜10mmに粉砕して5Lのカラムに充填し、含水率
20重量%のエタノールを用いて実施例1と同様の操作を
行い、抽出液8Lを得た。
【0037】ついで、実施例1と同様に前処理した塩基
性樹脂デュオライトA-378を200mL充填したカラム、疎水
性樹脂ダイヤイオンHP-20を500mL充填したカラム、およ
び疎水性樹脂HP-50を10mL充填したカラムを作製し、上
記の抽出液をこれらのカラムに順番に通液し、実施例1
と同様の操作を行った。
【0038】以上のようにして、フラボン配糖体30.5重
量%、ギンコライド6.1重量%、ビロバライド4.3重量%
を含み、アルキルフェノール化合物の含有量が1ppm未満
(検出限界以下)である粉末イチョウエキス15.0gを得
た。
【0039】(実施例3)乾燥イチョウ葉500gを粉砕
機で5〜10mmに粉砕して5Lのカラムに充填し、含水率
20重量%のアセトンを用いて実施例1と同様の操作を行
い、抽出液8Lを得た。
【0040】ついで、実施例1と同様に前処理した塩基
性樹脂ダイヤイオンWA-30を200mL充填したカラム、疎水
性樹脂デュオライトS-862を500mL充填したカラム、およ
び疎水性樹脂ダイヤイオンHP-40を10mL充填したカラム
を作製し、上記の抽出液をこれらのカラムに順番に通液
し、実施例1と同様の操作を行った。
【0041】以上のようにして、フラボン配糖体29.7重
量%、ギンコライド6.3重量%、ビロバライド4.0重量%
を含み、アルキルフェノール化合物の含有量が1ppm未満
(検出限界以下)である粉末イチョウエキス16.0gを得
た。
【0042】(実施例4)乾燥イチョウ葉500gを粉砕
機で5〜10mmに粉砕して5Lのカラムに充填し、含水率
20重量%のアセトンを用いて実施例1と同様の操作を行
い、抽出液8Lを得た。
【0043】ついで、実施例1と同様に前処理した塩基
性樹脂ダウエックスMSA-1を200mL充填したカラム、疎水
性樹脂ダイタイオンSP-825を500mL充填したカラム、お
よび疎水性樹脂ダイヤイオンHP-50を10mL充填したカラ
ムを作製し、上記の抽出液をこれらのカラムに順番に通
液し、実施例1と同様の操作を行った。
【0044】以上のようにして、フラボン配糖体30.7重
量%、ギンコライド6.3重量%、ビロバライド4.5重量%
を含み、アルキルフェノール化合物の含有量が1ppm未満
(検出限界以下)である粉末イチョウエキス16.0gを得
た。
【0045】(比較例1)ダイヤイオンHP-50 を使用し
ない点を除いて、実施例1と同様に処理を行い、イチョ
ウ葉エキスを得た。このエキス中には、フラボン配糖体
28.5重量%、ギンコライド6.0 重量%、ビロバライド4.
2 重量%を含み、アルキルフェノール化合物の含有量は
50ppmを超えていた。
【0046】(比較例2)塩基性樹脂を使用しない点を
除いて、実施例2と同様に処理を行い、イチョウ葉エキ
スを得た。このエキス中には、フラボン配糖体26.0重量
%、ギンコライド5.2 重量%、ビロバライド3.5 重量%
を含み、アルキルフェノール化合物の含有量は1 〜5pp
mであった。実施例1〜4および比較例1、2の結果を
合わせて表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示すように、アルキルフェノール化
合物の含有量は、比較例1では50ppm 、比較例2では1
〜5ppm といずれも高い値を示した。一方、本発明例1
〜4では、アルキルフェノール化合物の含量はいずれも
1重量%未満と低い値を示し、アルキルフェノール化合
物が十分に除去されたことが示された。また、フラボン
配糖体、ギンコライドおよびビロバライドの含有量も高
かった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、アルキルフェノール化
合物の一種であるギンコー酸およびクエルセチンなどの
遊離フラボノールの含有量が著しく低減され、フラボン
配糖体およびテルペンラクトン類などの有用成分を多く
含むイチョウエキスを、簡単な操作で効率よく製造する
ことができる。本発明の製造方法によって製造されたイ
チョウエキスは、上記のようにアレルギーなどを起こす
有害成分の含有量が少ないので安全性が高いという利点
がある。したがって、本発明の製造方法によって得られ
たイチョウエキスは、食品添加物として使用する他、医
薬用組成物として使用する上で好適である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イチョウ葉を溶媒で抽出し、得られる抽
    出液を複数の吸着剤で処理することによりイチョウエキ
    スを製造する方法において、イオン交換樹脂と疎水性樹
    脂とを吸着剤として用いてアルキルフェノール化合物を
    除去することを特徴とするイチョウエキスの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記溶媒が、C1〜C4のアルコールおよ
    びC3もしくはC4のケトン系溶媒からなる群から選ばれ
    る溶媒、またはそれらと水との混合溶媒である請求項1
    に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記イオン交換樹脂が、イチョウ葉の抽
    出液からプロアントシアニジンおよび/または色素成分
    を吸着する塩基性イオン交換樹脂である請求項1に記載
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記疎水性樹脂の1つが、イチョウフラ
    ボン配糖体およびテルペンラクトン類を吸着させるもの
    である請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記疎水性樹脂の1つが、前記溶出液に
    含まれるアルキルフェノール化合物を吸着し、イチョウ
    フラボン配糖体および/またはテルペンラクトン類を吸
    着しないものである請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の疎水性樹脂でイチョウ
    葉抽出液を吸着処理するにあたり、溶出溶媒として、C
    1〜C4のアルコールおよびC3もしくはC4のケトン系溶
    媒からなる群から選ばれる溶媒、またはそれらと水との
    混合溶媒を用いて、イチョウフラボン配糖体および/ま
    たはテルペンラクトンを含む吸着成分を溶出させて溶出
    液を得ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記溶出液を有機溶媒を10〜20重量%含
    む水溶液となるまで濃縮することを特徴とする請求項6
    に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 (a)イチョウ葉を溶媒で抽出して抽出液を
    得る工程と、 (b)前記得られた抽出液を、第一の吸着剤で処理してプ
    ロアントシアニジンおよび/または色素を吸着除去して
    第一の吸着剤処理液を得る工程と、 (c)前記第一の吸着剤処理液を蒸留により濃縮して有機
    溶媒の大部分を除き、濃縮した吸着剤処理液を得る工程
    と、 (d)前記濃縮した吸着剤処理液を第二の吸着剤で処理し
    て、イチョウフラボン配糖体および/またはテルペンラ
    クトンを吸着させる工程と、 (e)前記吸着したイチョウフラボン配糖体および/また
    はテルペンラクトン類を第二の吸着剤から、C1〜C4
    アルコールおよびC3もしくはC4のケトン系溶媒からな
    る群から選ばれる溶媒、またはそれらと水との混合溶媒
    で溶出させて溶出液を得る工程と、 (f)前記第二の吸着剤から溶出された吸着成分を含む溶
    出液を有機溶媒の濃度が10〜20重量%になるまで濃縮し
    て濃縮液を得る工程と、 (g)前記溶出液を第三の吸着剤で処理してアルキルフェ
    ノール化合物を吸着除去して第三の吸着剤処理液を得る
    工程と、 (h)前記第三の吸着剤処理液を固形分が30〜50重量%と
    なるまで濃縮した後に乾燥する工程と、を含むことを特
    徴とするイチョウエキスの製造方法。
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