JP4598593B2 - 虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤 - Google Patents

虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4598593B2
JP4598593B2 JP2005137439A JP2005137439A JP4598593B2 JP 4598593 B2 JP4598593 B2 JP 4598593B2 JP 2005137439 A JP2005137439 A JP 2005137439A JP 2005137439 A JP2005137439 A JP 2005137439A JP 4598593 B2 JP4598593 B2 JP 4598593B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reperfusion
extract
group
ischemia
administration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005137439A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005350450A (ja
Inventor
晶岩 韓
Original Assignee
晶岩 韓
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 晶岩 韓 filed Critical 晶岩 韓
Priority to JP2005137439A priority Critical patent/JP4598593B2/ja
Publication of JP2005350450A publication Critical patent/JP2005350450A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4598593B2 publication Critical patent/JP4598593B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Description

この発明は虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用の薬剤に関する。
1.微小循環障害について
微小循環は細動脈系、毛細血管、細静脈により構成された血管床である。それは体血管系の90%を占め、新陳代謝を営む重要な部分である。この微小循環障害は高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病の血管合併症、肝と腎の機能障害、および外科手術後の障害などに共通の病理変化である。現在、年間31兆円の医療費に微小循環障害に関連する循環疾患の医療費はおよそ5兆円も超えており、微小循環障害を改善する治療法と薬物の開発は日本国民の健康維持のみならず、医療財政の抑制にも貢献できると考えられる。
虚血にさらされた組織においては再灌流により、内皮細胞障害、血漿蛋白漏出、後毛細血管細静脈への白血球の膠着と血管外への遊走を介して、微小循環障害が惹起されることはよく知られている。さらに虚血−再灌流障害には細胞接着因子、活性酸素、脂質過酸化、一酸化窒素などの多種の生理活性物質と血小板、肥満細胞、顆粒球などの血球系との相互反応が大きく関与していることが知られている。
そして血管内皮細胞のキサンチン酸化酵素(xanthine oxidase)由来の活性酸素と顆粒球由来の活性酸素はともに微小循環障害を惹起し、白血球の膠着と遊走、内皮細胞の障害を促進する可能性がある。したがって、再灌流後の白血球膠着と活性酸素の放出が微小循環障害に密接に関与していると考えられている。
キサンチン酸化酵素由来の活性酸素O2 -の消去剤であるスーパーオキサイドデイスムターゼ(superoxide dismutase=SOD)、顆粒球由来の活性酸素H22の消去剤であるカタラーゼ(catalase=CAT)は知られているが、臨床では高価であることと確実な治療効果が乏しい等の理由によりSOD、CATのいずれも使用されていないのが現状である。
他方漢方薬としての天然植物には田七人参、銀杏葉、山査子などの血管障害を改善する薬が古くから使われている。田七人参は打撲傷の治療に古くから使用され、最近、微小循環障害に関与する心、脳、肝臓の疾患の治療に中国では広く使われている。田七人参には主成分である田七サポニンが含まれ、その薬効に関する報告はあるが(非特許文献1〜3参照)、単独に使用した場合、活性酸素を除去する作用が弱いという欠点がある。
銀杏葉エキスは活性酸素O2 - とHの除去、血流速度の改善、血管に膠着する白血球への抑制、脂質過酸化、臓器障害を抑制する等の薬理作用は確認されているが(非特許文献4〜14参照)、微小循環障害早期における障害局部血管の活性酸素動態、血漿蛋白の漏出、血管外マソセルの脱顆粒に対してどの様な影響を与えるかはまだ不明である。
山査子は中性脂肪とコレステロールを降下する作用があり、または、安価で中国では果物として愛用されている。山査子は活性酸素O2 -とOHを除去する作用は報告されているが(非許文献15参照)、生体における微小循環障害にどのような影響するかは報告されていない。
また本発明の実施に用いられる虚血―再灌流によるラット腸間膜微小循環障害に関しては、血管内皮細胞の障害、活性酸素の過剰生産、白血球と血管内皮細胞との膠着、血管透過性の亢進、血漿蛋白の漏出、血管外周マソセルの脱顆粒など、多彩な微小循環障害は理想的な微小循環障害モデルとして知られている。
2.高中性脂肪と脂肪肝について
また近年、高脂血症と脂肪肝が生活習慣病として注目を集めている。肥満や糖尿病などによる脂肪肝が多いが、アルコール過飲による脂肪肝は多く認められる。また長期アルコール摂取により肝の微小循環障害、肝細胞の障害が増長される(非特許文献16参照)。
アルコールによる脂肪肝の治療は原疾患の治療や食事・飲酒習慣の改善であり、薬物療法は補助的である。しかし、実際に食事制限や節酒ができない症例も多い。
3.高血圧・脳卒中について
現在、日本人の死因の約40%は心、脳血管障害によるものである。その脳卒中の危険因子は高血圧である。高血圧と脳卒中は年間3兆円を超える医療費を必要とし、更に脳卒中後遺症は身体行動不便で、介護必要など、高血圧患者の脳卒中阻止は医療財政、社会、健康に及ぼす重要な課題となっている。
高血圧は脳血管の痙攣、動脈硬化、血栓、出血などにより脳卒中(脳血栓や脳出血を含む)を起こす。血圧をコントロールする薬物は血圧を降下するが、脳卒中の予防までには十分行かなかった。血栓を抑制する薬は臨床では使用されているが、長期使用による出血等の副作用を伴い、脳卒中の予防に有効な薬物の開発が必要となっている。
脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHR‐SP)は若齢期より遺伝的に高血圧を発症し、ほぼ例外なく脳血管障害を起こして死亡する。現在、このSHR‐SPは広く高血圧の二次予防、脳卒中の予防と治療に使われている(非特許文献17,同18参照)。
他方これらの問題に対し、血行障害の改善のための栄養補助食品で、田七人参,銀杏葉,山査子を生薬として混合した健康食品が特許文献1として公知である。
特開2002−233331号公報 Zhan WJ, Wojta J, Binder BR: Effect of notoginsenoside R1 on the synthesis of tissue-type plasminogen activator and plasminogen activator inhibitor-1 in cultured human umbilical vein endothelial cell. Arteriosclerosis and Thrombosis 14: 1040-1046, 1994 Chan P, Thomas GN, Tomlison B: Protective effects of trilinolein extracted from Panax notoginseng against cardiovascular disease. Acta Pharmacol Sin 23:1157-1162, 2002 Liu JC, Chan P, Chen JJ, Lee HM, Lee WS, Ahih NL, Chen YL, Hong HJ,Cheng TH. The inhibitory effect of Trilinolein on norepinephrine-induced b-myosin heavy chain promoter, and extracellular signal-regulated kinase phosphorylation in neonatal rt cardiomyocytes. J Biomed Sci 11:11-18, 2004 Jung F, mrowietz C, Kiesewetter H and Wenzel E: Effect of Ginkgo biloba on fluidity of blood and peripheral microcirculation in volunteers. Arzneim.-Forsch.Drug Res. 40:5 589-593,1990 Zhang J, Fu S, Liu A, Mao T and Xiu RJ: The therapeutic effect of Ginkgo biloba extract in SHR rats and its possible mechanisms based on cerebeal microvascular flow and vasomotion. Clinical Hemorheology and Microcirculation 23: 133-138, 2000 Arnould T, Michiels C, Janssens D, Berna N and Remacle J: Effect Of Ginkgo fdrt on hypoxia-induced neutrophil adherence to human saphenous vein endothelium. Jouenal of Cardiovascular Pharmacology.31:456-463, 1998 Szabo ME, Droy-Lefaix MT, Doly M, Braque P: Free radical-mediated effects in reperfusion injury: a histologic study with superoxide dismutase and EGb 761 in rat retina. Ophthalmic Res. 23: 225-234, 1991 Szabo ME, Droy-Lefaix MT, Doly M, Carre C and Braque P: ischemia and reperfusion-induced histologic changes in the rat retina. Investigative Ophthalmology and Visual Science. 32:5 1471-1478, 1991 Welt K, Fitzl G and Schaffranietz L: Myocardium-protective effects of Ginkgo biloba extract (EGb 761) in old rats against acute isobaric hypoxia. An electron microscopic morphometric study. Exp Toxic Pathol 48: 81-86, 1996 Pierre S, Jamme I, Droy-Lefaix MT, Nouvelot A and Maixent JM: Ginkgo biloba extract (EGb 761) protecte Na,K-ATPase activity during cerebral ischemia in mice. NeuroReport 10: 47-51, 1999 Welt K, Fitzl G and Schepper A: Experimental hypoxia of STZ-diabetic rat myocardium and protective effects of Ginkgo biloba extract. Exp Toxic Pathol 52: 503-512, 2001 Chandraskaran K, Mehrabian Z, Spinnewyn B, Drieu K, Fiskum G: Neuroprotective effects of bilobalide, a component of the Ginkgo biloba extract (EGb 761), in gerbil global brain ischemia. Brain Research 922: 282-292, 2001 Lee EJ, Chen HY, Wu TS, Chen TY, Ayoub IA and Maynard KI: Acute adminidtration of Ginkgo biloba extract(EGb 761) affords Neuroprotection against permanent and transient focal cerebral Ischemia in Sprague-Dawley rats. Journal of Neuroscience Research 68: 636-645, 2002 Lenoir M, Pedruzzi E, Rais S, Drieu K, Perianin A: Sensitization of human neutrophil defense activities through activation of platelet-activating factor receptors by ginkgolide B, a bioactive component of the Ginkgo biloba extract EGb761. Biochemical Pharmacology 63:1241-1249, 2002 Bahorun T, Gressier B, Trotin F, Brunet C, Dine T, Luyckx M, Vasseur J, Cazun M, Cazin JC and Pinkas M: Oxygen species scavenging activity of phenolic extracts from hawthorn fresh plant prgans and pharmaceutical preparations. Arzneim.-Forsch.Drug Res.46:11 1086-1089, 1996 Horie Y, Kimura H, Kato S, Ohki E, Tamai H, Yamagishi Y, Ishii H, Tsuchiya M. Role of nitric oxide in endotoxin-induced hepatic microvascular dysfunction in rats chronically fed ethanol. Alcohol Clin Exp Res 24: 845-851, 2000. Yamori, Y., Nagaoka, A. and Okamoto, k.: Importance of genetic factors in hypertensive cerebrovascular lesions: an evidence obtained by successive selective breeding of stroke-prone and resistant SHR. Jpn. Circ. J., 38, 1095-1100, 1974. Yamori, Y., Horie, R., Nara, Y., Tagami, S., Kihara, M., Mano, M., Isho, H.,: Prevention of Cardiovascular Diseases: An Approach to Active Long Life. 163, 1987, Elsevier (Amsterdam)
既述のように微小循環障害は国民の健康上大きな問題であるだけでなく医療費負担の面でも解決すべき大きな課題となっている。これに対し、従来知られている活性酸素除去剤であるSODやCATは臨床有効性が確立されていないほかコスト高であり、臨床上も使用されていない。
他方、古くから漢方薬や食品として使用され、安全性も確認されている山査子や田七人参,銀杏葉等のエキス等は、先に述べたように微小循環障害の予防や治療用には不十分な点がある。
また田七人参や銀杏葉のエキスは漢方薬の中でも比較的高価であり、微小循環障害用の薬剤又は健康食品として手軽に使用するには尚難点がある。
上記特許文献1の食品では田七人参,銀杏葉,山査子のそれぞれの生薬としての作用は持つが、生薬をそのまま材料として用いているために、これらの有効成分である山査子フラボノイド,田七サポニン,銀杏フラボノイド等の必要量が十分に確保できない。このため多量の生薬を摂取することになるが、他方で銀杏を生薬として使用すると、銀杏酸の含有量が多いためアレルギー反応等の副作用が生じる等の欠点がある。
そこで本発明者は、微小循環障害に対する田七人参、銀杏葉、山査子の各エキス投与の効果とこれらを全体コストを低減させる配合の下での使用効果とを、前述したラット腸間膜微小循環障害に対して実験し、その結果に基づきより安全性の高い薬剤や健康補助食品を提案し、さらに低廉でそれぞれが持つ効果以上の相乗効果をもたらす健康食品又は薬剤を提供せんとするものである。
さらに本発明者は、ラットを用いた実験により、上記薬剤・食品が高中性脂肪、脂肪肝、高血圧症の予防・治療にも有効であることを確認し、併せてそのための予防・治療薬・食品を提供しようとするものである。
上記課題を解決するための本発明の薬剤は、山査子,田七人参及び銀杏葉から抽出したエキスを含む混合剤からなる微小循環障害の予防・治療用薬剤であって、田七サポニン含有量30%の田七人参エキスを10%、フラボノイド量24%とテルペノイド量6%及び銀杏酸量5ppm以下を含有する銀杏葉エキス5%、フラボノイド量3〜5%を含有する山査子エキス85%を混合してなることを特徴としている。これらを混合して投与することによりそれぞれが持つ薬理作用以上の効果が期待でき、副作用の抑制及び低コストでの製造が可能となる。
以上のように構成される本発明の薬剤によれば、山査子,田七人参,銀杏葉のエキスそれぞれが微小循環障害の予防や治療に有用な働きをもつことが明らかである。さらに本発明は、エキスの抽出によって有効成分の含有濃度が高められた田七人参エキス,銀杏葉エキスに対し、山査子エキスを加えることにより、田七人参のもつ生体への難吸収性,銀杏葉のもつアレルギー等の副作用の欠点を改善する。また田七人参エキス単独使用時の抗酸化作用の弱さ、銀杏葉エキス単独使用時のマソセル脱顆粒抑制作用の弱さ等の欠点も改善される。そして少なくとも本発明の薬剤は細静脈への白血球の膠着数、FITC標識血漿蛋白の血管外への漏出率、マソセル脱顆粒率等の抑制の面では、それぞれが持つ薬効以上の相乗効果を奏するとともに、脂肪肝、高血圧、脳卒中の予防と治療に有効であることが明らかである。
また材料コストの高い田七人参や銀杏葉加工品の配合割合を低く、低コストの山査子加工品の配合割合を高くしても全体としてはそれぞれの成分以上の薬効を維持するため、低コストで予防及び治療効果の高い薬剤を提供できる利点がある。
前記課題に対応し、本発明者は、田七人参エキス、銀杏葉エキス、山査子エキスそれぞれが微小循環障害の各パラメーターにどの様な影響を与えるか、さらに田七人参エキスエキスと銀杏葉エキスを山査子エキスとを望ましい配合比で配合した混合剤(以下「混合剤」と称す)は、上記各エキスの作用に比してどのような微小循環障害の改善効果を有するかを調べた。そのための実験では倒立型生物顕微鏡微小循環動態観察システムを使用し、活性酸素の産生動態、白血球と血管内皮細胞との膠着、血漿蛋白の漏出、血管外周マソセルの脱顆粒の変化を経時的に観察した。そして田七人参エキス、銀杏葉エキス、山査子エキス及び混合剤の投与が虚血−再灌流による活性酸素産生、微小循環障害にどのような影響を与えるかについて、活性酸素O2 -の消去剤であるスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、活性酸素Hの消去剤であるカタラーゼ(CAT)の投与効果と比較して検討した。
以下本発明の実施形態を具体的な実施例(実験結果)に基づき説明する。
<微小循環障害に対して>
I.実験方法
1.実験動物
動物の取り扱いは慶應義塾大学実験動物センターのガイドラインに準じて行った。等重量のウイスター(Wistar)系雄性ラット(体重200-230g、埼玉実験動物センター、埼玉)を実験に用いた。
2.虚血・再灌流障害の作成
ラットをペントバルビタールナトリウム(sodium pentobarbital)(30mg/kg体重)を腹腔内注射にて麻酔した。3Gポリエチレンカテーテルを右頚静脈に挿入、留置した。腹部を20-30mm正中切開腹し、回盲部より20 cm口側の回腸を丁寧に引き出し、その腸間膜をガラス窓付きのアクリルプレートに展開した。展開した腸間膜は37℃のクレブスリンガー(Krebs-Ringer)重炭酸緩衝液にて表面灌流した。腸間膜微小循環動態は37℃恒温槽付き倒立型生体顕微鏡(Diaphot TMD-2S、Nikon、東京)を用いて12V、100Wの白色光下に観察した。ビデオカメラを生体顕微鏡に装着し対物レンズ20倍での観察部位をカラーモニターに撮像し、ビデオタイマーによる時間表示とともにビデオレコーダーにてS-VHSビデオテープに録画、保存した。
観察部位は直径25-40μmの細静脈非分枝部(長さ200μm以上)を含む微小循環床を選択した。この微小循環動態を10分間観察した後、ポリエチレンチューブにて作成したスネアを用いて、観察部位を還流する前腸間膜動脈の分枝である栄養動脈およびそれと併走する静脈を10分間結紮し(虚血)、その後結紮を解除して(再灌流)タイマーを0にセットし、30分間同視野の微小循環動態を観察した。
虚血中の赤血球速度はゼロではないことから、観察部位への側副路還流が考えられたため、動静脈を同時に結紮することで静脈還流を遮断し、虚血を増強した。10分間の虚血−再灌流は腸間膜微小循環障害を惹起するのに十分であり、しかも腸管自身の傷害を最小限にとどめることは既に知られている。虚血―再灌流を行わないシャム(sham)ラットを非処理群とした。これらの実験及び観察の手順使用薬剤等は図1に示す通りである。
3.微小循環動態の検討
微小循環動態のパラメーターを以下のごとく経時的に測定した。まず生体顕微鏡に高感度CCDカメラシステム(CC-090、Flovel、東京)を装着し透過光像を撮像した。血管径はビデオ測定器(IV-560、ホウエイ、東京)を用いて測定した。また、細静脈の同一部位に30秒以上留まる白血球を膠着白血球とした。録画画像より細静脈長さ100μm当たりの膠着白血球数として表した。
肥満細胞は虚血再灌流30分後に観察部位上に0.1%トルイジンブルー(toluidine blue)を散布し生体染色することで特定し、CCDカメラにて観察した。脱顆粒および非脱顆粒肥満細胞数を対物レンズ20倍視野内で数え、全肥満細胞に対する脱顆粒肥満細胞の割合を脱顆粒率(%)として表した。
細静脈からのアルブミン漏出を定量化するため、実験30分前にフロセンスイソシアネート(fluorescein isothiocyanate)(FITC)標識牛血清アルブミン(50 mg/kg体重、Sigma Chemical、St. Louis、MO、USA)を頚静脈より静注した。SITカメラ(C-2400-08、浜松フォトニクス、浜松 )を用いて、励起波長420-490 nm、発光波長520 nmでその蛍光を撮像した。細静脈上の3ヶ所およびそれぞれの近傍の旁細静脈間質におけるFITC−アルブミンの蛍光強度をデジタルイメージプロセッサー(digital image processor)(NIH Image 1.60)を用いて測定した。各測定窓は50μmX25μmの範囲で測定し、血管外アルブミン漏出は血管内蛍光強度に対する血管外蛍光強度の比(%)として表した。
別の実験系として、活性酸素の産生部位と産生動態を観察するために、活性酸素感受性蛍光プローブであるジヒドロローダミン(dihydrorhodamine)123(DHR)(Molecular Probes、Eugene、OR、USA)10 μMを表面灌流液に添加し、細静脈壁における酸素ストレスをモニターした。観察にはFITC-アルブミンの測定と同様の機器と測定条件を用いた。DHR蛍光強度は、細静脈血管内皮に沿って測定し、虚血-再灌流前を基礎値とし、基礎値に対する各時間での蛍光強度の比で表し、酸化ストレスの指標とした。DHRは細胞内および細胞外で産生されるH22依存性に酸化され、ローダミン(rhodamine)123となり蛍光を発することが知られている。
4.投薬
虚血60分前、田七人参エキス(田七総サポニン30%含有)、銀杏葉エキス(フラボノイド24%,テルペノイド6%,銀杏酸5ppm以下) 、山査子エキス(フラボノイド3〜5%含有)、および上述した田七人参エキス10%、銀杏葉エキス5%、山査子エキス85%の比率により混合した混合剤である混合エキス(以上のエキスは水性溶剤を用いて抽出する等の公知の方法により製造されたもので、すべて天津天士力集団より提供)をそれぞれ0.4g/kgの量で、生食で溶解して虚血再灌流の1時間前、灌胃した。
活性酸素O2 -の消去剤であるSODは頚静脈から虚血30分前より、12,000 units/kg体重/hで実験終了まで持続静注した。H22消去剤のCATは頚静脈から20mg/kg体重/hで虚血30分前より、実験終了まで持続静注した。
尚、上記各エキスの配合比及びエキス中の含有成分比は、最も望ましいと考えられる配分を示した
5.統計および実験群
各測定値は変化の一方向分析(one-way analysis of variance)(ANOVA)で処理し、フィッシャーのポストホックテスト(Fisher’s post hoc test)で検定した。各測定値を平均±標準偏差で表し、p < 0.05を有意とした。各群は以下のごとく6−10匹のラットを用いた。すなわち、対照群(非処理群、n=6)、虚血再灌流群(I/R群、n=10)、SOD+虚血再灌流群(SOD+I/R群、n=6)、CAT+虚血再灌流群(CAT+I/R群、n=8)、田七人参エキス+虚血再灌流群(田七人参+I/R群、n=8)、虚血再灌流+銀杏葉エキス群(銀杏+I/R群、n=8)、山査子エキス+虚血再灌流群(山査+I/R群、n=8)、混合剤エキス+虚血再灌流群(混合剤+I/R群、n=6)に分けて血管径、細静脈に膠着した白血球、肥満細胞脱顆粒の測定に用いた。また、アルブミン血管外漏出は非処置群(n=6)、I/R群(n=6)、SOD+I/R群(n=6)、CAT+I/R群(n=6)、田七人参+I/R群(n=6)、銀杏+I/R群(n=6)、山査+I/R群(n=6)、混合剤+I/R群(n=6)で測定した。DHR蛍光は非処置群(n=8)、I/R群(n=6)、SOD+I/R群(n=8)、CAT+I/R群(n=7)、田七人参+I/R群(n=8)、銀杏+I/R群(n=6)、山査+I/R群(n=6)、混合剤+I/R群(n=7)で測定した。
II.成績考察
1.血管径と赤血球速度の変化
虚血前の腸間膜細動脈と細静脈の血管径は、それぞれ20.4±1.5、35.4±1.5μmであった。I/Rにより、血管径の有意な変化が認められなかった。混合剤の投与群、及び他の各投薬群においても細動静脈の血管径は、本観察期間中、ほぼ基礎値が維持された(図2(A),(B)参照)。
2.細静脈内皮への膠着白血球数の変化
図3(A)に示すように虚血前には細静脈内皮への白血球の膠着を各群ともに、ほとんど認めなかった。非処置群では、観察終了時には膠着白血球はごくわずかであった(1.8±0.6個/100 μm)。I/R群では、再灌流の直後より、膠着白血球を認め(10.1±1.1/100 μm)、その後、持続増加し、再灌流30分においては細静脈に多数の膠着白血球は18.3±1.36個/100μmまで増加した。SODの投与は再灌流の10分より、細静脈に膠着した白血球は有意に抑制された。CATの投与は再灌流の20分より、有意に抑制された。混合剤投与群は再灌流20分より、白血球の膠着が有意に抑制し始め、再灌流30分ではほぼ正常まで改善した。
再灌流30分において、各投与群の抑制効果を比較した結果は図3(B)に示す通りである。SOD、CAT、田七人参エキス、銀杏葉エキス、山査子エキスの投与は、細静脈に膠着した白血球を有意に抑制したものの、非処理群までに至らなかった。混合剤の投与はほぼ正常まで改善するのみならず、銀杏葉エキス、山査子エキスの単独投与よりも有意に改善した。
3.細静脈壁のDHR蛍光強度の変化
図4(A),(B)はそれぞれ虚血前と再灌流30分後のH22感受性プローブであるDHRの蛍光画像である。再灌流30分では、細静脈壁上に著明なDHRによる蛍光強度の増強が観察された(図4(B)参照)。
図4(C),(D)はそれぞれ混合剤投与ラットの虚血前と再灌流30分後のH2O2感受性プローブであるDHRの蛍光画像を示し、再灌流30分時の細静脈壁上にDHR蛍光が少なかった(図4(D)参照)。
図5(A)は虚血−再灌流前後において、各群の細静脈壁のDHR蛍光の変化を示しており、非処置群では観察期間中にほぼ変化を認めなかった。I/R群では、再灌流10分よりDHR蛍光比の増加が認められ、以後、持続増加した。SODの投与は再灌流の10分までは細静脈壁のDHR蛍光強度の増強は有意に抑制されたが、10分より、抑制効果は弱くなった。CATと混合剤の投与は再灌流後のDHR蛍光強度の増加を有意に抑制した。
再灌流30分後、SODと田七人参エキス投与群はI/R群より細静脈壁のDHR蛍光強度の増強はやや抑制したが、混合剤、CAT、銀杏葉エキス、山査子エキスの投与はDHR蛍光比の増加を強く抑制した(図5(B)参照)。
4.細静脈壁からのアルブミン漏出の変化
図6(A),(B)はそれぞれ虚血前と再灌流30分後のFITC−アルブミンの蛍光像である。虚血前では血管内のみに認められたFITC−アルブミン蛍光(図6(A)参照)が再灌流30分後には細静脈周囲に漏出し、間質の蛍光強度の増加が認められた(図6(B)参照)。
図6(C),(D)それぞれ混合剤の投与ラットの虚血前と再灌流30分後のFITC−アルブミンの蛍光像である。図5(D)の再灌流30分時点では、細静脈周囲に漏出したFITC−アルブミンは抑制された。
図7は各群の虚血―再灌流前後において、各群のアルブミン漏出を示した。図7(A)に示すように非処置群においても観察終了時に101.2±0.6%とわずかに認めるのみであった。I/R群では再灌流直後にアルブミン漏出の増加を認め、以後、持続増加した。SODの投与は再灌流後のアルブミン漏出を有意に抑制した。CATの投与は再灌流の10分まで、アルブミン漏出を有意に抑制したが、20分より、抑制効果は良くなった。混合剤の投与は再灌流の10分より、アルブミン漏出の増加を有意に抑制した。
図7(B)に示すように再灌流の30分後、銀杏葉エキスと田七人参エキスの投与は虚血−再灌流によるアルブミン漏出の増加を抑制できなかった。SOD、CAT、山査子エキス、混合剤の投与は再灌流の30分のアルブミン漏出の増加を有意に抑制し、混合剤の投与は銀杏葉エキス、田七人参エキス、山査子エキスの単独投与群より、アルブミン漏出を有意に抑制した。
5.脱顆粒肥満細胞の検討
再灌流30分後にトルイジンブルーで生体染色を施したCCDカメラ像において、腸間膜細静脈内皮に膠着した白血球とその近傍の間質にトルイジンブルー陽性の脱顆粒した肥満細胞が認められた。
図8(A)は再灌流30分後の画像で、多数の腸間膜肥満細胞の脱顆粒は認められた。同図(B)は混合剤投与ラット再灌流30分後の画像で、腸間膜肥満細胞の脱顆粒が抑制されている。
図9に示すように再灌流30分後、非処理群に比較して、I/R群では脱顆粒率の増加を認めた。CAT、銀杏葉エキスの投与は肥満細胞の脱顆粒率の増加を抑制しなかった。田七人参エキス、山査子エキスの投与は脱顆粒率を抑制したが、非処理群までには至らなかった。SOD、混合剤の投与は脱顆粒率を抑制し、非処理群と比較して、差はほぼなかった。なお、混合剤投与群の肥満細胞の脱顆粒率は田七人参エキス、山査子エキスの投与群よりも有意に抑制した。
III.総括評価
1.ラット腸間膜微小循環モデルを用いて、虚血再灌流による微小循環障害に対する、田 七人参エキス、銀杏葉エキス、山査子エキスおよび混合剤の改善効果をSODとCATを比 較して検討した。
2.虚血再灌流による微小循環障害は、活性酸素消去剤SODの投与は白血球膠着、血管外 へのアルブミン漏出およびマソセルの脱顆粒を抑制したが、細静脈壁の活性酸素産生 に対しては、再灌流早期にて抑制したが、再灌流の20分より抑制作用が弱くなった 。
3.活性酸素Hの消去剤であるCATの投与は白血球膠着、細静脈壁の活性酸素、血 管外へのアルブミン漏出を抑制したが、マソセルの脱顆粒を抑制しなかった。
4.田七人参エキスの投与は再灌流後の白血球膠着とマソセルの脱顆粒を抑制し、細静脈 壁の活性酸素をやや抑制したが、血管外へのアルブミン漏出を抑制しなかった。白血 球膠着とマソセルの脱顆粒の抑制の田七人参エキスの効果は本実験により初めて画像 確認されたものである。
5.銀杏葉エキスの投与は再灌流後の白血球膠着と細静脈壁の活性酸素産生を抑制したが 、血管外へのアルブミン漏出とマソセルの脱顆粒を抑制しなかった。この白血球膠着 と活性酸素産生の抑制の銀杏葉エキスの効果はこの実験により初めて画像確認された 。
6.山査子エキスの投与は白血球膠着、細静脈内皮の活性酸素産生、血管外へのアルブミ ン漏出、マソセルの脱顆粒を抑制したが、このうち白血球膠着、血管外へのアルブミ ン漏出、マソセルの脱顆粒への抑制効果は僅かに弱かった。微小循環障害における白 血球膠着,活性酸素抑制,マソセルの脱顆粒の抑制の山査子エキスの効果も本実験に おいて初めて確認されたものである。
7.混合剤の投与は再灌流後の白血球膠着、細静脈壁の活性酸素、血管外へのアルブミン 漏出をSODとCATとほぼ同様に抑制した。マソセルの脱顆粒もSODと同様に有意に抑制 した。または、混合剤の投与は白血球膠着への抑制作用は銀杏葉エキス、山査子エキ ス単独投与より有意に強かった。細静脈壁の活性酸素への抑制作用は田七人参エキス 単独投与より有意に強かった。血管外へのアルブミン漏出とマソセルの脱顆粒に対す る抑制効果は田七人参エキス、銀杏葉エキス、山査子エキスのいずれの単独投与より 有意に強かった。
以上より少量の田七人参エキス、銀杏葉エキスを山査子エキスと配合した混合剤は虚血再灌流による微小循環障害を改善できること、混合剤の微小循環改善作用は活性酸素の抑制、細静脈壁への白血球の膠着の抑制、血管透過性亢進の抑制、血管外マソセルの抑制と関与し、または、混合剤は田七人参エキス、銀杏葉エキス、山査子エキス単独投与より、効果が強いことは証明された(図10参照)。
<高中性脂肪と脂肪肝に対して>
I.実験方法
動物の取り扱いは慶應義塾大学実験動物センターのガイドラインに準じて行った。等重量のWistar系雄性ラット(体重100-150g、Charles River実験動物、東京)を対(pair)として飼育し、既報に従い慢性エタノール投与ラットを作成した。すなわち、蛋白質18%、脂質36%、炭水化物(dextrin)47%の総合栄養液体飼料(Liquid rat diet、Bio-Serv=登録商標、Frenchtown、NJ、USA)を8週間投与した対照群、および炭水化物のうち総カロリーの36%をエタノールで置換した等カロリー(1kcal/ml)の液体飼料(Liquid rat diet、Bio-Serv=登録商標)を8週間投与した慢性エタノール投与群(以下エタノール群)を作成した。それぞれラットの積算摂取量を等量にしながら8週間飼育(pair-feeding)した。
第6週目より、非アルコール摂取+混合剤群、アルコール摂取+混合剤群のラットでは混合剤(サンザシエキス、田七エキス、銀杏エキスより構成)を0.4g/rat/dayの量で液体飼料に加えて持続2週間飼育し、飼育前と8週間飼育終了時、体重を測定した。これらの実験方法は図11に模式的に示した。
飼育8週間後、pentobarbital sodium (35mg/kg)を腹腔麻酔し、腹腔静脈より採決し、中性脂肪、総コレステロール、総蛋白、アルブミン、AST、ALTをconventional UV method測定し、または、肝臓を取り、パラフェー固定した上、HE染色をした。各測定値はANOVAで処理し、Fisher,s post hoc testで検定した各測定値を平均値±標準誤差で表し、P<0.05を有意とした。
II.結果
1.体重
飼育8週目、アルコール摂取+混合剤非投薬群、アルコール摂取+混合剤投薬群、非アルコール摂取+非混合剤投薬群、非アルコール摂取+混合剤投薬群の体重は優位な差が得られなかった(実験データ省略)。つまり、アルコール長期摂取はラットの体重に影響をしなかった。混合剤の投与もラットの成長に影響を与えなかった。
2.末梢血の中性脂肪と総コレステロール
飼育8週目、末梢血中性脂肪に関しては、非アルコール摂取群に比較して、アルコール摂取群の含有量は有意に増加した。混合剤の投与はアルコール摂取群の中性脂肪の増加を有意に抑制した(図12(A)参照)。
総コレステロールに関しては、非アルコール摂取群に比較してアルコール摂取群は有意な差は得られなかった。混合剤の投与は総コレステロールに影響を与えなかった(図12(B)参照)。
3.末梢血の総蛋白とアルブミン
末梢血の総蛋白とアルブミンに関しては、飼育8週目、非アルコール摂取群に比較してアルコール摂取群は有意な差は得られなかった。混合剤の投与は有意な変化が得られなかった。つまり、混合剤の投与はラットの栄養状態に影響を与えなかった(実験データ省略)。
4.肝機能
肝機能を示すASTとALTに関しては、飼育8週目、非アルコール摂取群に比較してアルコール摂取群は有意な差は得られなかった。混合剤の投与は有意な変化は得られなかった(実験データ省略)。
5.肝臓組織
肝臓組織をパラフェー固定し、HE染色でアルコール摂取ラットの肝細胞内に脂肪滴が多数認められた(脂肪肝)。アルコール摂取+混合剤投与ラットの肝臓は肝細胞内の脂肪は少なかった。つまり、混合剤の投与はアルコール長期摂取によるラットの脂肪肝を改善する効果がある(図13)。
III.結論
混合剤の投与はアルコール長期摂取によるラットの血漿総蛋白、アルブミン、肝機能、体重に影響を与えず、脂肪肝と高中性脂肪を改善することができることが確認された。
<高血圧・脳卒中に対して>
I.使用材料と実験方法
1.動物、投薬方法
4週齢雄性SHR-SP/IzmラットをSHR等疾患モデル動物利用研究会(京都)より導入後、室温22±1℃、湿度60±10%、照明時間12時間(6:00―12:00)に設定した飼育室で1週間の予備飼育期間を設けて、研究に用いた。この間に粉末SP飼料と水道水を自由に摂取させた処、体重増加は順調で、異常は認められなかった。
上述のSHR−SPラット26匹を実験に用いて混合剤非投与群(以下SHR群、N=13)と混合剤投与群(以下混合剤群、N=13)に分けた。SHR群に船橋農場(株)製の配合飼料〔SP〕基本飼料を投与し、混合剤群に船橋農場(株)製の配合飼料〔SP〕基本飼料に3.3%の混合剤を含有する実験飼料を投与した。群分けは投与当日に測定した血圧及び体重をもとに各群の血圧、体重が差のないように行なった。
動物実験の取扱いに関しては、日本生理学会の定める「生理学領域における動物実験に関する基本指針」に従った。
2.体重と血圧の測定
投与前、投与後各週に1回体重と血圧を測定した。実験動物を38℃の加温器中で10分間加温させ、順応した後、無麻酔下でtail‐cuff法により自動血圧測定装置(UR-1000ウエダ製作所)を用いて収縮期血圧を測定した。各ラットの血圧測定は連続3度安定した測定値の平均値を記録した。血圧測定の際、拡張期と心拍数を同様に記録した。血圧の測定は一定の温度・湿度の部屋で午後2時から5時までに行った。
3.脳血流量の測定
実験餌投与後の28日目、各群5匹を取り、レーザー・ドップラー法を用いて脳血流量の連続的測定と2次元的測定を行なった。測定方法としては麻酔下においてラット頭皮を切開し、頭蓋骨を露出させ、リスカ社のレーザ・トップラー血流画像装置PIM II(リスカ社、スウェーデン)を用いてラットの脳血流量を測定した。
4.脳卒中発症率と生存状況
飼育開始後120日目までの各群脳卒中発症率と生存状況を観察し、記録した。
5.統計学処理
各測定値はone-way analysis of variance (ANOVA)で処理し、Fisher,s post hoc testで検定した。各測定値を平均値±標準誤差で表し、P<0.05を有意とした。
II.結果
1.体重
本観察期間において、SHR−SP群と混合剤群を比較した処、有意な差はなかった。つまり、混合剤の投与はSHR―SPラットの成長に影響を与えなかった(測定データ省略)。
2.血圧
図14(A),(B)に示す如く、SHR―SP群は飼育開始後の2週目より収縮期血圧と拡張期血圧は有意に増加し、以後持続増加した。それに対して混合剤群は飼育開始後の3週目より収縮期血圧と拡張期血圧の上昇を有意に抑制した。
3.脳血流量測定の結果
レーザー.ドップラー法を用いて連続的測定と二次元的測定を行った結果では、脳血流量を反映する数値は図15(B)に示す混合剤群が図15(A)に示すSHR―SP群より有意な高値を示した。
4.脳卒中の発症率と生存状態
飼育120日目、SHR−SP群は全部、脳卒中発症し、死亡したが、混合剤群では2匹発症し、死亡した。飼育120日目のSHR−SP群の生存率は0%に対して、混合剤投与群の生存率は75%に達した(図16参照)。
III.結論
混合剤の長期投与は脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHR―SP)の脳卒中の発症率と生存率を改善した。その効果は混合剤の降血圧と脳血流量の改善と関与している。
この発明は微小循環障害予防用又は治療用の薬剤又は食品であるが、日常的に服用する健康食品としても服用、生産又は販売可能である。
ラットに対する本発明と他の薬剤との投与効果の比較実験の方法を示す説明図である。 (A)は虚血再灌流(I/R)による腸間膜細静脈血管の時間的変化とSOD,CAT及び混合剤投与の影響を、(B)は再灌流30分後の腸間膜細静脈血管の変化に対するSOD,CAT,田七人参エキス,銀杏葉エキス,山査子エキス,混合剤投与の影響をそれぞれ示すグラフである。 (A)は虚血再灌流(I/R)による腸間膜細静脈への膠着白血球数の時間的変化とSOD,CAT,混合剤投与の影響を、(B)は再灌流30分後の腸間膜細静脈への膠着白血球数に対するSOD,CAT,田七人参エキス,銀杏葉エキス,山査子エキス,混合剤投与の影響をそれぞれ示すグラフである。 虚血再灌流(I/R)前後における血管壁のDHR蛍光の変化と混合剤の抑制効果を示し、(A)は虚血前、(B)は再灌流30分後、(C)は混合剤投与ラット虚血前、(D)は混合剤投与ラット再灌流30分後(いずれも対物レンズ20倍)の顕微鏡写真である。 (A)は虚血再灌流(I/R)による腸間膜細静脈壁上のDHR蛍光強度の時間的変化とSOD,CAT,混合剤投与の影響を、(B)は再灌流30分後の腸間膜細静脈壁上のDHR蛍光強度に対するSOD,CAT,田七人参エキス,銀杏葉エキス,山査子エキス,混合剤投与の影響を示すグラフである。 虚血再灌流(I/R)前後におけるアルブミン漏出像を示すもので、(A)は虚血前、(B)は再灌流30分後、(C)は混合剤投与ラット虚血前、(D)は混合剤投与ラット再灌流30分後の顕微鏡写真である。 (A)は虚血再灌流(I/R)腸間膜細静脈からのアルブミン漏出の時間的変化とSOD,CAT,混合剤の影響を、(B)は再灌流30分後の腸間膜細静脈からのアルブミン漏出に対するSOD,CAT,田七人参エキス,銀杏葉エキス,山査子エキス,混合剤の影響をそれぞれ示すグラフである。 虚血再灌流による肥満細胞脱顆粒像を示すもので、(A)は再灌流30分後、(B)は混合剤投与ラット再灌流30分後の顕微鏡写真である。 再灌流30分後の腸間膜肥満細胞の脱顆粒に対するSOD,CAT,田七人参エキス,銀杏葉エキス,山査子エキス,混合剤の影響を示すグラフである。 虚血再灌流(I/R)による腸間膜微小循環障害に対する混合剤改善効果のメカニズムを模式的に示した説明図である。 本発明の薬剤の高中性脂肪と脂肪肝に対する効果確認のための実験方法を示す模式図である。 (A)はラットの抹消血中性脂肪含有量を、(B)は同じく抹消血総コレステロール含有量をそれぞれ示し、共に本発明薬剤の効果を示すグラフである。 慢性アルコール摂取による脂肪肝に対する本発明の薬剤の改善効果を示す写真(4.0×10)で、(A)は慢性アルコール摂取ラットの肝臓を、(B)は同じく本発明の薬剤を投与したラットの肝臓を示す。 SHR−SPラットの血圧に対する本発明薬剤の改善効果を示すグラフで、(A)は収縮期血圧を、(B)は拡張期血圧を示す。 脳血流量に対する混合剤の影響を示す画像で、(A)がSHR−SP+混合剤群を、(B)がSHR−SP+混合剤群を示す。 SHR−SPラットの生存率に対する本発明の影響を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 山査子,田七人参及び銀杏葉から抽出したエキスを含む混合剤からなる循環障害の予防・治療用薬剤であって、田七サポニン含有量30%の田七人参エキスを10%、フラボノイド量24%とテルペノイド量6%及び銀杏酸量5ppm以下を含有する銀杏葉エキス5%、フラボノイド量3〜5%を含有する山査子エキス85%を混合してなる虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤。
JP2005137439A 2004-05-10 2005-05-10 虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤 Expired - Fee Related JP4598593B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005137439A JP4598593B2 (ja) 2004-05-10 2005-05-10 虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004140288 2004-05-10
JP2005137439A JP4598593B2 (ja) 2004-05-10 2005-05-10 虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005350450A JP2005350450A (ja) 2005-12-22
JP4598593B2 true JP4598593B2 (ja) 2010-12-15

Family

ID=35585220

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005137439A Expired - Fee Related JP4598593B2 (ja) 2004-05-10 2005-05-10 虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4598593B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ITMI20060712A1 (it) * 2006-04-11 2007-10-12 Fond Irccs Istituto Di Ricovero E Cura ... Uso di aminaftone per la preparazione di un medicamento per il trattamento delle arteriopatie
CN102579610B (zh) * 2012-04-01 2013-09-11 李伟丽 一种治疗脑出血的中药组合物及其制备方法
KR102117896B1 (ko) * 2018-02-27 2020-06-02 건국대학교 글로컬산학협력단 산사나무 추출물을 포함하는 항혈전용 조성물
CN113813310B (zh) * 2021-11-22 2022-03-04 广东众尔健生物科技有限公司 一种防治脑部疾病的中药组合物及其制备方法和应用

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03279332A (ja) * 1989-12-04 1991-12-10 Dr Willmar Schwabe Gmbh & Co Kg ギンクゴ・ビロバ葉抽出液、製法および製剤
JPH05268920A (ja) * 1992-02-13 1993-10-19 Toyo Riken Kk 健康食品及び健康飲料
JPH09208479A (ja) * 1996-01-29 1997-08-12 Tadashi Kato 柳混合物
JPH10273444A (ja) * 1997-03-28 1998-10-13 Tama Seikagaku Kk イチョウエキスの製造方法
JP2001145474A (ja) * 1999-11-18 2001-05-29 Nikken Foods Co Ltd 抗酸化・免疫向上飲料及びその製造方法
JP2002114696A (ja) * 2000-10-02 2002-04-16 Kyushin Pharmaceutical Co Ltd 薬用人参、西洋人参及び田七人参などからなる生薬及びその抽出物、食品、医薬部外品並びに医薬品
JP2002233331A (ja) * 2001-02-07 2002-08-20 Suehito Yamagami 血行障害の改善作用を有する健康補助食品

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03279332A (ja) * 1989-12-04 1991-12-10 Dr Willmar Schwabe Gmbh & Co Kg ギンクゴ・ビロバ葉抽出液、製法および製剤
JPH05268920A (ja) * 1992-02-13 1993-10-19 Toyo Riken Kk 健康食品及び健康飲料
JPH09208479A (ja) * 1996-01-29 1997-08-12 Tadashi Kato 柳混合物
JPH10273444A (ja) * 1997-03-28 1998-10-13 Tama Seikagaku Kk イチョウエキスの製造方法
JP2001145474A (ja) * 1999-11-18 2001-05-29 Nikken Foods Co Ltd 抗酸化・免疫向上飲料及びその製造方法
JP2002114696A (ja) * 2000-10-02 2002-04-16 Kyushin Pharmaceutical Co Ltd 薬用人参、西洋人参及び田七人参などからなる生薬及びその抽出物、食品、医薬部外品並びに医薬品
JP2002233331A (ja) * 2001-02-07 2002-08-20 Suehito Yamagami 血行障害の改善作用を有する健康補助食品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005350450A (ja) 2005-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhou et al. Effects and mechanisms of resveratrol on aging and age‐related diseases
Sharma et al. Neuroprotective potential of solanesol in intracerebroventricular propionic acid induced experimental model of autism: Insights from behavioral and biochemical evidence
Ewer et al. The role of platelet activating factor in a neonatal piglet model of necrotising enterocolitis
CN105899213A (zh) 氧化胆固醇硫酸酯(ocs)的方法
CN101347422B (zh) 丹酚酸a在预防和\或治疗糖尿病及并发症中的应用
JP4598593B2 (ja) 虚血再灌流による微小循環障害の予防・治療用薬剤
CN105853421B (zh) FoxO1选择性抑制剂AS1842856的新用途
JP6735224B2 (ja) アストロサイトのグルコース代謝活性化剤
JP6445686B2 (ja) ジペノサイド75の抗糖尿病効果
US20120053247A1 (en) Method of improving cardiovascular health
JP6157928B2 (ja) 肝臓への脂肪蓄積抑制剤
KR20160107420A (ko) 진세노사이드 f2를 포함하는 비알코올성 간 질환 또는 인슐린 저항성의 예방 또는 치료용 조성물
CN103446166B (zh) 肝功能改善剂
Abou-El-Naga et al. Effect of celecoxib against different developmental stages of experimental Schistosoma mansoni infection
WO2016131321A1 (zh) Nadph在制备治疗心脑血管疾病的药物中的应用
CN108347988A (zh) 用于控制血糖水平、护肝以及用于预防和治疗相关医学病症的组合的组合物
Welder A primary culture system of postnatal rat heart cells for the study of cocaine and methamphetamine toxicity
Pintea et al. Resveratrol and the human retina
Godos et al. Resveratrol and vascular health: evidence from clinical studies and mechanisms of actions related to its metabolites produced by gut microbiota
Awad et al. Role of Heme Oxygenase (HO)-1 Enzyme in the Protective and Therapeutic Effect of Omega 3 Fatty Acids on Cisplatin-induced Hepatic and Renal Toxicity in Rats
WO2016131320A1 (zh) Nadph在制备治疗心脏疾病药物中的应用
Deckmann et al. Common pregnancy complications and polyphenols intake: an overview
CN100522196C (zh) 预防和治疗微循环障碍及高血脂症、脂肪肝、高血压、脑中风疾病的药物或食品
Jawad et al. Evaluation of the effect of flavonoid extract of Ginkgo biloba leaves and glimephan on oxidative stress and retina degeneration in diabetic male rabbits induced by streptozotocin
KR20150051429A (ko) 로테논을 함유하는 비만 예방 또는 치료용 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090928

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100323

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100603

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100824

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100924

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4598593

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

S634 Written request for registration of reclamation of nationality

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313634

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees