JPH10271745A - スピンドルモータ - Google Patents

スピンドルモータ

Info

Publication number
JPH10271745A
JPH10271745A JP8576397A JP8576397A JPH10271745A JP H10271745 A JPH10271745 A JP H10271745A JP 8576397 A JP8576397 A JP 8576397A JP 8576397 A JP8576397 A JP 8576397A JP H10271745 A JPH10271745 A JP H10271745A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
motor
frequency
equation
ball
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8576397A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3625984B2 (ja
Inventor
Harushige Osawa
晴繁 大澤
Tomohiro Hasegawa
朋広 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nidec Corp
Original Assignee
Nidec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nidec Corp filed Critical Nidec Corp
Priority to JP08576397A priority Critical patent/JP3625984B2/ja
Publication of JPH10271745A publication Critical patent/JPH10271745A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3625984B2 publication Critical patent/JP3625984B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Motor Or Generator Frames (AREA)
  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組立により生じるNRRO励振力の影響をな
くすと共に、軸受の励振周波数とモータの固有振動周波
数との合致を回避してNRROを低減し、共振問題の発
生を未然に防ぐ。 【解決手段】 ブラケットに対してロータハブを回転自
在に支持する軸受を、内輪と、外輪と、内外輪間に周方
向等間隔に配置された複数個のボールとを用いて構成
し、かつ、この軸受を、モータの定格回転時(ω)にお
ける軸受構成部材の最低次の励振周波数(b点)がロー
タハブの最低次の共振周波数(a点)以上に設定された
スーパークリティカル軸受としたことを特徴とするもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、光ディスクや磁気
ディスク等の円盤状記録媒体を高速かつ高精度に回転駆
動するに好適なスピンドルモータに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、ハ
ードディスク等の円盤状記録媒体を回転駆動するスピン
ドルモータにおいては、その高速化が進む一方で、高精
度化つまりNRROと呼ばれる回転非同期成分による振
動の低減が求められている。モータの定格回転時におい
て、モータの固有振動周波数と軸受が有する励振周波数
とが合致すると共振現象を起こし、回転非同期成分によ
る振動が増大し、特にハードディスク駆動装置では信号
の書き込み,読み取り不良を生じる。従って、定格回転
時におけるNRROを低減させるためには、モータの固
有振動周波数と軸受が有する励振周波数との合致による
共振を避ける必要がある。
【0003】軸受として最もよく用いられている玉軸受
は、内輪と外輪との間に複数個のボールを周方向等間隔
に配置して構成され、理想的には振動の発生はない。し
かし実際には、軸受部品の加工公差やモータ組立時の内
外輪の歪み等により、僅かに振れながら(振動しなが
ら)回転する。
【0004】従来では、軸受けによる励振を極力避ける
目的で、内外輪、ボール、リテーナの寸法精度向上を追
求していたが、未解決になっている。即ち、軸受による
ラジアル方向の励振の原因としては、(1)内輪の歪、
(2)外輪の歪、(3)ボールの相互差、(4)リテーナの不
等配、が挙げられ、このうち、(3),(4)は、ボール、
リテーナの製作精度を上げることにより対応することが
できる。しかし、(1),(2)については、モータハウジ
ング等の内外輪接合面の形状の内外輪への転写や内外輪
に対する傾き、或いは内外輪接着時の接着剤の熱収縮等
により、内輪、外輪が組立時に歪むため、単品の製作精
度を上げるだけでは対応できないのが現状である。
【0005】他方、従来においては、モータの一部に削
り等の変更を与えたり、部材を変更すること等により、
モータの固有値を変化させ、これを軸受の励振周波数と
一致させないような対策も行っていた。この場合、モー
タの固有値が軸受励振周波数から大幅にずれない限り、
組立誤差や他の要因によりモータの固有値がばらつく結
果、共振現象を招く場合を生じ、十分な対策とは言い難
く、しかも、生産性が悪く、量産性に乏しいと言った問
題も有していた。
【0006】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に留意して成されたものであり、その目的とする
ところは、組立により生じるNRRO励振力の影響をな
くすと共に、軸受の励振周波数とモータの固有振動周波
数との合致を回避してNRROを低減し、共振問題の発
生を未然に防ぐことができるスピンドルモータを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1によるスピンドルモータにおいて
は、静止部材に対して回転体を回転自在に支持する軸受
を、内輪と、外輪と、内外輪間に周方向等間隔に配置さ
れた複数個のボールとを用いて構成し、かつ、この軸受
を、モータの定格回転時における軸受構成部材の最低次
の励振周波数が回転体の最低次の共振周波数以上に設定
されたスーパークリティカル軸受としたことを特徴とす
るものである。
【0008】モータの定格運転時におけるNRROを低
減させるためには、モータの固有値(固有振動周波数)
と軸受の励振周波数との合致による共振をさける必要が
ある。図1は、スピンドルモータにおける回転数と振動
周波数との関係を示したものであり、特性Lがモータの
固有値を示し、特性Mが軸受の最低次の励振周波数を示
している。そして、モータ固有値の特性Lと軸受励振周
波数の特性Mとの交点aが回転体の共振位置を示すこと
になり、この交点aがモータの定格回転数ω上に位置し
た時、定格運転時における共振現象を生じることにな
る。
【0009】上述した本発明のスピンドルモータにおけ
るスーパークリティカル軸受では、モータの定格回転時
(定格回転数ω)における軸受の励振周波数が、回転体
の共振周波数、つまり特性Lの回転数ωにおける周波数
(a点)より大きい周波数(b点)になるよう、最低次
の励振周波数が特性Nに設定されているため、定格回転
時に共振現象を起こすことがなく、NRROを低減でき
ることになる。
【0010】また、本発明の請求項2によるスピンドル
モータにおいては、前記軸受のボール数をZ、ボール径
をDw、ピッチ径をDpw、ボールの内外輪に対する接触
角をα、モータ回転周波数をfr、モータの静止時にお
ける固有振動周波数をfnsとしたとき、数1、数2及び
数3を同時に満たすように設定したことを特徴とする。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】
【数3】
【0014】なお、数式及び以下の説明中における複合
記号は上側が外輪回転の場合、下側が内輪回転の場合を
示す。ここで、請求項2について説明する。モータのラ
ジアル方向の振動としては、回転体の回転方向に対して
同一方向に振れ回る前回りと、反対方向に振れ回る後ろ
回りがあることから、モータのラジアル方向の固有値に
は、前回りと後ろ回りが存在する。即ち、図1に示すよ
うに、モータのラジアル方向の固有値には、特性Lで示
す前回りと特性L’で示す後ろ回りとがあり、ある回転
数(回転周波数fr)におけるモータの固有値fnは、モ
ータ静止時の固有値をfnsとすると、fn=fns+f
r(前回り)、fn=fns−fr(後ろ回り)で表され
る。同様に、軸受によるラジアル方向の励振周波数に
も、図1の特性Mで示す前回りと、特性M’で示す後ろ
回りが存在する。そして、モータの共振現象は、軸受の
前回りの励振周波数とモータの前回りの固有値の合致
(図1における交点a)、又は、軸受の後ろ回りの励振
周波数とモータの後ろ回りの固有値の合致(図1におけ
る交点c)によって起こり、このとき、NRROの振幅
は大きくなる。
【0015】ところで、軸受(回転側軌道輪と固定側軌
道輪との間に、リテーナにより周方向等間隔かつ回転自
在に保持された複数のボールを介在させてなる軸受)の
ラジアル方向の励振周波数には、以下のものがある。な
お、Zはボール数、frはモータの回転周波数、nは次
数(整数)である。 リテーナによる励振周波数 ;nfc 回転側軌道輪による前回りの励振周波数 ;nZ(fr−fc)+fr 回転側軌道輪による後ろ回りの励振周波数 ;nZ(fr−fc)−fr 固定側軌道輪による励振周波数(前回り、後ろ回り);nZfc ボールによる前回りの励振周波数 ;2nfb+fc ボールによる後ろ回りの励振周波数 ;2nfb−fc ただし、fcはボールの公転周期、fbはボールの自転周
期であり、ボール径をDw、ピッチ径をDpw、ボールと
内外輪との接触角をαとすると、次の数6及び数7で与
えられる。
【0016】
【数8】
【0017】
【数9】
【0018】上述したように、モータの定格回転時にお
けるNRROを低減させるには、モータの固有値と軸受
励振周波数の合致による共振を避ける必要があるが、軸
受の励振周波数は上記のように多数ある。そこで、モー
タの起動後定格回転に至るまでに、上記〜による最
低次の励振周波数が固有振動数を通過するようにボール
数を設定すれば、他の励振周波数と固有値の合致を避け
る軸受諸元を見出すのが楽になる。即ち、ボール数Zを
励振周波数の構成要件とする上記〜において、回転
側軌道輪の最低次励振周波数(前回り、後ろ回り)、及
び固定側軌道輪の最低次励振周波数(前回り、後ろ回
り)を、定格運転時のモータ固有値(前回り、後ろ回
り)の周波数より高くなるように、ボール数Zを設定す
れば、回転側起動輪及び固定側起動輪の励振周波数(前
回り、後ろ回り)による共振現象を避けることができ、
後はボール及びリテーナの励振周波数のみについて考慮
すればよいことになる。
【0019】具体的には、回転側軌道輪の前回りと後ろ
回りの励振周波数ffor、fback、固定側軌道輪の励振
周波数ffixが 回転側起動輪前回り ;ffor >fns+2fr (前回り固有値+fr) 回転側起動輪後ろ回り ;fback>fns (後ろ回り固有値+fr) 固定側起動輪(前、後);ffix >fns+2fr (前回り固有値+fr) となるようにボール数Zを設定する。上式は、励振周波
数ffor、fback、ffixが(モータ固有値+fr)より
も高いことを示している。ここで+frはばらつき等に
対する余裕を設定したものであり、frの余裕により、
製作誤差があっても十分に対応できる。このばらつきに
対する余裕は、他の値でもよいが、軸受諸元を設定する
上でfrを用いれば、計算式が容易になる。なお、回転
側軌道輪の最低次励振周波数(前回り、後ろ回り)と
は、外輪回転の場合、外輪1次の前回り成分、外輪1次
の後ろ回り成分であり、内輪回転の場合、内輪1次の前
回り成分、内輪1次の後ろ回り成分である。
【0020】まず、回転側軌道輪の励振周波数前回り成
分について検討する。回転側軌道輪の最低次前回り励振
周波数fforは、上記を用いて、 ffor=Z(fr−fc)+fr で与えられる。ここで、fcはリテーナの回転周波数
(ボールの公転周期)で、前述した数8で表される。
【0021】回転軌道輪の最低次前回り励振周波数f
forをある基準周波数fより高くするには、ffor=Z
(fr−fc)+fr>fを満たせばよいため、このffor
が基準周波数fより高くなるボール数Zの条件は、上式
及び数8を用いて、次の数10のようになる。
【0022】
【数10】
【0023】次に、回転側軌道輪の励振周波数後ろ回り
成分について検討する。回転側軌道輪の最低次後ろ回り
励振周波数fbackは、上記を用いて、 fback=Z(fr−fc)−fr で与えられる。回転側軌道輪の最低次後ろ回り励振周波
数fbackをある基準周波数fより高くするには、fback
=Z(fr−fc)−fr>fを満たせばよいため、この
backが基準周波数fより高くなるボール数Zは、上式
及び数8を用いて、次の数11のようになる。
【0024】
【数11】
【0025】ここで、回転側軌道輪の最低次前回り励振
周波数fforがある基準周波数fより高くなる条件は、
前記数10であるが、基準周波数fを、f=fn1+fr
(前回り固有値+回転周波数)とすると、前回り固有値
n1は、大体、fn1=fns+frのように表せる。した
がって、f=fn1+fr=fns+2frとなり、これを数
10に代入すると、次の数1が得られる。
【0026】
【数1】
【0027】同様に、後ろ回りの場合について、回転側
軌道輪の最低次後ろ回り励振周波数fbackがある基準周
波数fより高くなる条件は、前記した数11のようにな
り、基準周波数fを、f=fn2+fr(後ろ回り固有値
+回転周波数)とすると、後ろ回り固有値fn2は大体、
n2=fns−frのように表せる。従って、f=fn2
r=fnsとなり、これを数11に代入すると、前記数
1と同じになる。従って、回転側軌道輪の最低次前回り
励振周波数fforを基準周波数fより高くする、回転側
軌道輪の最低次後ろ回り励振周波数fbackを基準周波数
fより高くする、といった2つの条件を満たすボール数
Zは、数1で与えられることになる。
【0028】次に、固定側軌道輪の最低次励振周波数に
ついて検討する。固定されている軌道輪の最低次励振周
波数ffix(前回り、後ろ回り)は、上記を用いて、
fix=Zfcで与えられ、ボールの公転周期fcは前記
数8で表されるから、励振周波数ffixは、次の数12
のようになる。
【0029】
【数12】
【0030】固定側軌道輪の励振周波数ffixがある基
準周波数fより高くなるためには、ffix>fnsを満た
せばよいから、励振周波数ffixが基準周波数fより高
くなるボール数Zは、上式及び数12を用いて、次の数
13のようになる。
【0031】
【数13】
【0032】ここで、固定側軌道輪による励振周波数f
fixには、前回りと後ろ回りの両方があるが、基準周波
数fをf=fns+2frとすると、固定側軌道輪による
励振は前回り及び後回りの固有値と共振しない。よって
数13に、f=fns+2frを代入すると、次の数2が
得られる。
【0033】ところで、軸受においては、周方向に配置
されたボールの数には、少なくともボール同士が接触し
ないようにするために、次の数3に示すような幾何学的
な上限が存在する。
【0034】
【数3】
【0035】以上の通り、本発明の請求項2のスピンド
ルモータによれば、軸受のボール数を、数1、数2、数
3を同時に満足するように設定すれば、回転側軌道輪及
び固定側軌道輪によるラジアル方向の励振周波数を、モ
ータ固有値から余裕を持ってずらせることができ、共振
状態を回避することが可能となる。
【0036】さらに、本発明の請求項3によるスピンド
ルモータにおいては、前記軸受のボール径Dwとピッチ
径Dpwとの関係が、外輪回転の場合に数4、数5の条件
を、内輪回転の場合に数6、数7の条件を満足すること
を特徴とする。
【0037】
【数4】
【0038】
【数5】
【0039】
【数6】
【0040】
【数7】
【0041】この請求項3について説明する。上述した
軸受のラジアル方向の励振周波数のうち、ボールによ
る前回りの励振周波数(2nfb+fc)及びボールに
よる後ろ回りの励振周波数(2nfb−fc)は、ボール
自身の製作精度を上げることで励振の低減が可能である
が、定格回転において、励振周波数が固有値を越えてし
まうようにすれば、共振に対して安全な運転が確保でき
る。
【0042】具体的には、上記で図1を用いて説明した
ように、ある回転周波数frにおけるボールの励振周波
数に対して+frの余裕を設定し、 ボール前回り ;2nfb+fc>fns+2fr ボール後ろ回り ;2nfb−fc>fns となるように、ボール径Dwとピッチ径Dpwの関係を定
める。なお、ボールの自転周波数fbは、次の数14で
表される。
【0043】
【数14】
【0044】ここで、ボールの最低次の励振周波数があ
る基準周波数fより高くなるには、 前回り ;2nfb+fc>f 後ろ回り ;2nfb−fc>f とすればよく、上式を整理すると、前回りは次の数1
5、後ろ回りは次の数16となる。
【0045】
【数15】
【0046】
【数16】
【0047】そして、前回りの場合、cosα≒1、f=
ns+2frとおいて整理すると、外輪回転の場合、次
の数17となり、内輪回転の場合、次の数18となる。
ただし、A=Dpw/Dw、B=fns/frである。
【0048】
【数17】
【0049】
【数18】
【0050】同様に、後ろ回りの場合、cosα≒1、f
=fnsとおいて整理すると、外輪回転の場合、次の数1
9となり、内輪回転の場合、次の数20となる。
【0051】
【数19】
【0052】
【数20】
【0053】本発明の請求項3に記載のように、軸受の
ボール径Dwとピッチ径Dpwの関係を、外輪回転の場
合、数17(数4)、数19(数5)、内輪回転の場
合、数18(数6)、数20(数7)の条件を満たすよ
うに設定すれば、ボールのラジアル方向励振周波数によ
る共振現象を回避できることがわかる。
【0054】なお、上述したように、ボール数Z、ボー
ル径Dw、ピッチ径Dpwを規定することにより、回転側
軌道輪、固定側軌道輪、ボールの励振は無視することが
できる。前記のリテーナの励振周波数については、リ
テーナ単品の製作精度を上げることで励振振幅自体を小
さくすることが可能である。
【0055】次に、本発明の請求項4、5、6に記載の
スピンドルモータにおいては、前記軸受のボール数を素
数としたこと、前記軸受のボールをセラミックスにより
構成したこと、前記モータの定格回転数を10000rp
m以上としたこと、をも特徴とする。
【0056】請求項2及び請求項3では、ラジアルNR
ROのみについて示したが、同様にアキシャル方向のN
RROについても考慮する必要がある。請求項2及び請
求項3で示した通り、ラジアルの共振周波数と励振周波
数が合致しないように軸受諸元を決定しているので、ア
キシャルのNRROを主体に考えればよい。
【0057】一般に、軸受の内外輪の歪みの周期が、ボ
ール数と関与したある特定の周期になると、ラジアル、
アキシャルのNRROが異常に大きくなることが知られ
ている。図2は、アキシャルNRRO振幅に関して軸受
内外輪の歪みの山数とボール数との関係を解析した結果
の一部を示したものである。この図2より、ボール数を
7、11、13、…といった素数とすると、ごく限られ
た条件のみ避ければ、アキシャルNRROは原理的に発
生しないことがわかる。内外輪の歪みの山数が、図2の
大にならないように、例えば内外輪に形状を転写するハ
ウジング等を加工(チャックのつめ数に留意するなど)
することにより、NRROを全く発生させないようにす
ることができる。
【0058】また、スピンドルモータを高速回転で使用
する場合においては、耐荷重、軸受寿命の問題がさらに
厳しくなる。スピンドルモータは少なくとも現状とほぼ
同一寸法を維持する必要があるが、上述の方法によって
ボール数が増加すれば、ボール径は自ずと小さくなる。
ボール径が小さくなることにより、ボール1個あたりに
働く応力は大きくなる。このため、高速回転、多数ボー
ルということを満足する解決案としては、軽量、高硬度
で、かつ内外輪と異質材料のセラミックスを使用するこ
とが極めて有効である。
【0059】さらに、前述したように、軸受の励振周波
数がモータ固有値合致しないように軸受の諸元を設定す
ることに加えて、前記図1より明らかなように、モータ
の定格回転数をより高速化することによっても共振現象
を避けることが可能であり、モータの定格回転数を10
000rpm以上とすることも望ましいものである。
【0060】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図
面を参照しつつ詳述する。図3は、例えばハードディス
クを回転駆動する軸固定型のスピンドルモータを示す断
面図である。このスピンドルモータは、ハードディスク
駆動装置のベースに固定される静止部材としてのブラケ
ット2と、このブラケット2の中央ボス部4に下端部が
圧入された固定シャフト6と、固定シャフト6のボス部
4より突出する部分に一対の軸受8,8を介して回転自
在に支持されたロータハブ10と、ボス部4の外周部に
上方へ突出するように設けられた円筒状壁12に圧入等
により固定されたステータ14とを備えている。尚、ブ
ラケット2は装置のベースに一体に構成されていてもよ
い。
【0061】ロータハブ10は、ステンレスなどの磁性
材料により構成され、開口が下方に向いたほぼカップ状
に形成され、カップ状外周壁の内周面に前記ステータ1
4の外周面に対向するように環状のロータマグネット1
6が装着され、ロータハブ10のディスク受け部18上
にハードディスクHが保持される。
【0062】図4は、前記軸受8の詳細を示したもので
あり、シャフト6の外周面に接着剤等で固着される内輪
8aと、ロータハブ10の内周面に接着剤等で固着され
る外輪8bと、内外輪8a,8b間に配置された複数個
の球状のボール8cと、このボール8cを周方向等間隔
に保持するリテーナ8dとを備えたいわゆる玉軸受から
なる。尚、実際には、ボール8cの円滑な回転のために
リテーナ8dの適所にグリースが適量充填されており、
さらに内外輪8a,8b間の軸方向両端面或いは一方の
端面にグリースの流出を防止する円環状シールド板が設
けられている。αは接触角を示している。
【0063】本発明によるスピンドルモータでは、次の
条件の内1つ又は複数を満足するように、軸受諸元(ボ
ール数Z、ボール径Dw、ピッチ径Dpw)が決定されて
いる。イ.モータの定格回転数では、回転側起動輪の最
低次の励振周波数(前回り、後ろ回り)がモータの固有
振動数を越えてしまうようにする。 ロ.モータの定格回転数では、固定側起動輪の最低次の
励振周波数(前回り、後ろ回り)がモータの固有振動数
を超えてしますようにする。 ハ.モータの定格回転数では、ボールの最低次の励振周
波数(前回り、後ろ回り)がモータの固有振動数を越え
てしますようにする。 ニ.モータの定格回転数では、リテーナの励振周波数と
モータの固有振動数とが合致しないようにする。
【0064】例えば、図3のような外輪回転型軸受を用
いた場合、回転側起動輪つまり外輪の前回り励振周波数
について検討する。定格回転数10000rpm、モータ
静止時の固有振動数fns=550Hzであるスピンドル
モータの固有値は、図5に示すように、前回りが特性L
+、後ろ回りが特性L−でそれぞれ示される。そして、
現行よく使用されている8個ボールの軸受を使用した場
合(ボール数Z=8,ボール径Dw=2mm、ピッチ径
pw=9mm、接触角α=22.4deg)、回転する
外輪の最低次の前回り励振周波数は、図5のFo+のよ
うな特性となり、定格回転時において外輪の励振周波数
がモータ固有値に近接しており、共振現象を起こしやす
い状態にあることがわかる。
【0065】このとき、前記した数1(複合記号−)で
示したように、回転側起動輪についてのボール数Zの条
件を計算してみると(fr=166.67Hz)、Z>
10.82となり、ボール数Zを11個以上とする条件
が得られる。そして、軸受を11個ボールとして、その
外輪の最低次の前回り励振周波数を求めてみると、図5
のFo+’のような特性が得られる。これより明らかな
ように、現行8個ボールの軸受に代えて11個ボールの
軸受を使用することにより、定格回転時における外輪の
励振周波数がモータ固有値を大きく越え、定格運転時に
は共振を生じないことがわかる。
【0066】以上は、回転起動輪としての外輪の前回り
励振周波数についての検討であるが、同様にして、回転
起動輪後ろ回り励振周波数(数1の複合記号+)、固定
起動輪の前回り及び後ろ回りの励振周波数(数2)を検
討し、これらの条件を満足するボール数Zを決定すれば
よい。
【0067】ボール8cの励振周波数(前回り、後ろ回
り)についても、ボール径Dw、ピッチ径Dpwを、前記
数4、数5(外輪回転)、数6、数7(内輪回転)を用
い、定格運転時にモータ固有値を越えるように決定すれ
ば、共振現象を避けることができる。
【0068】以上、本発明の具体例について説明した
が、本発明は、上述の具体例に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0069】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、次に記載する効果を奏する。請求項1記載
のスピンドルモータにあっては、モータの定格回転時に
おける軸受構成部材のうち、少なくとも内外輪の最低次
の励振周波数が回転体の最低次の共振周波数以上に設定
されたスーパークリティカル軸受を用いて、回転体を支
持するようにしたので、定格運転時において軸受構成部
材の励振周波数が回転体の共振周波数に一致若しくは近
接することがなく、共振現象を回避し、NRROを低減
した安定で高精度な回転が得られるものである。
【0070】請求項2記載のスピンドルモータにあって
は、軸受のボール数が、数1,数2及び数3を満たすよ
うに設定されているので、定格運転時における回転側起
動輪及び固定側起動輪のそれぞれの前回り及び後ろ回り
の励振周波数がモータ固有値(前回り及び後ろ回り)を
余裕を持って超えることになり、回転側及び固定側起動
輪による共振現象を回避することができ、ラジアルNR
ROを低減できるものである。
【0071】請求項3記載のスピンドルモータにあって
は、ボールのボール径及びピッチ径の関係が、外輪回転
の場合数4、数5の条件を、内輪回転の場合数6,数7
の条件を満たすように設定されているため、定格回転時
においてボールの前回り、後ろ回りの励振周波数がモー
タ固有値を超え、ボールによる共振現象を回避すること
ができるものであり、ラジアルNRROを低減できる。
【0072】請求項4記載のスピンドルモータにあって
は、軸受のボール数が素数に設定されているため、前記
図2に示したように、内外輪の歪みの周期、山数に対し
てNRRO振幅の発生しない領域が大きく確保され、ご
く限られた条件を回避(容易に回避可能である)するの
みでアキシャルNRRO振幅を原理的に発生させないよ
うにすることができるものである。
【0073】請求項5記載のスピンドルモータにあって
は、軸受のボールをセラミックスにより構成したため、
特に請求項2によりボール数が従来より増加するよう設
定された場合であっても、セラミックスの軽量、高硬度
な性質を利用し、ボール径が小さくても十分な耐応力性
を発揮でき、耐荷重及び軸受寿命に優れた高速回転可能
なスピンドルモータを提供できるものである。
【0074】請求項6記載のスピンドルモータによれ
ば、モータ定格回転が10000rpm以上に設定されて
いるため、定格回転時における軸受の励振周波数がモー
タの最低次の共振周波数を超える方向にずれやすくな
り、軸受の励振周波数をモータ固有値からずらせるため
の軸受諸元の設定が楽になり、共振現象を回避する上で
非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するためのモータ固有値と
軸受の励振周波数との関係図である。
【図2】軸受のアキシャルNRROの振幅に関する内外
輪の歪み山数とボール数との関係を説明するための図で
ある。
【図3】本発明のスピンドルモータの具体例を示す断面
図である。
【図4】図3で用いられる軸受を示し、(a)は平面
図、(b)は切断正面図である。
【図5】軸受外輪の前回り励振周波数とモータ固有値と
の関係を示した回転速度と振動周波数との関係図であ
る。
【符号の説明】
2 ブラケット(静止部材) 8 軸受 8a 内輪 8b 外輪 8c ボール 10 ロータハブ(回転体)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静止部材に対して軸受を介して回転体を
    回転自在に支持してなるスピンドルモータにおいて、 前記軸受は、内輪と、外輪と、内外輪間に周方向等間隔
    に配置された複数個のボールとを有してなり、かつ、モ
    ータの定格回転時における軸受構成部材のうち、少なく
    とも内外輪の最低次の励振周波数が前記回転体の最低次
    の共振周波数以上に設定されたスーパークリティカル軸
    受である、ことを特徴とするスピンドルモータ。
  2. 【請求項2】 前記軸受のボール数Zは、ボール径をD
    w、ピッチ径をDpw、ボールの内外輪に対する接触角を
    α、モータ回転周波数をfr、モータの静止時における
    固有振動周波数をfnsとしたとき、次の数1、数2及び
    数3を同時に満たすように設定されていることを特徴と
    する請求項1記載のスピンドルモータ。 【数1】 【数2】 【数3】
  3. 【請求項3】 前記軸受のボール径Dwとピッチ径Dpw
    との関係が、外輪回転の場合に次の数4、数5の条件
    を、内輪回転の場合に次の数6、数7の条件を満足する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のスピンドルモー
    タ。 【数4】 【数5】 【数6】 【数7】
  4. 【請求項4】 前記軸受のボール数を素数とした請求項
    1〜3のいずれかに記載のスピンドルモータ。
  5. 【請求項5】 前記軸受のボールをセラミックスにより
    構成した請求項1〜4のいずれかに記載のスピンドルモ
    ータ。
  6. 【請求項6】 前記モータの定格回転数は、10000
    rpm以上である請求項1〜5記載のスピンドルモータ。
JP08576397A 1997-03-19 1997-03-19 スピンドルモータ Expired - Fee Related JP3625984B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08576397A JP3625984B2 (ja) 1997-03-19 1997-03-19 スピンドルモータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08576397A JP3625984B2 (ja) 1997-03-19 1997-03-19 スピンドルモータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10271745A true JPH10271745A (ja) 1998-10-09
JP3625984B2 JP3625984B2 (ja) 2005-03-02

Family

ID=13867917

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08576397A Expired - Fee Related JP3625984B2 (ja) 1997-03-19 1997-03-19 スピンドルモータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3625984B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009185917A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Sii Micro Precision Kk 軸受ユニットおよびピボット装置
JP2010164068A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Harmonic Drive Syst Ind Co Ltd 波動歯車装置の波動発生器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009185917A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Sii Micro Precision Kk 軸受ユニットおよびピボット装置
JP2010164068A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Harmonic Drive Syst Ind Co Ltd 波動歯車装置の波動発生器

Also Published As

Publication number Publication date
JP3625984B2 (ja) 2005-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6557180B2 (ja) 回転子部材、回転子、及び電動機
JPH10271745A (ja) スピンドルモータ
US6826010B2 (en) Spindle motor
JP2004092715A (ja) 回転支持装置及び回転機械装置
JP2002171718A (ja) モータ
KR100973284B1 (ko) 브러시리스 모터용 회전자 및 이의 제조방법
JP2002171713A (ja) スピンドルモータ及びその製造方法
JP2002349277A (ja) ターボチャージャの軸受部油膜剛性制御装置
JPH10246239A (ja) ころがり軸受及びそれを使用した関連製品
JPS63148846A (ja) モ−タの軸受機構
JP2885214B2 (ja) 磁気ディスク固定方法
JPH0516574Y2 (ja)
JP3114730B2 (ja) 特性の異なるベアリングを使用したスピンドルモータ
JPH11201153A (ja) 回転機械
JP3862145B2 (ja) ディスク駆動用モータ
JP2000078813A (ja) 記録ディスク駆動用スピンドルモータ
JP2002165395A (ja) モータ
JPH09318900A (ja) 動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ
JPH08122687A (ja) 回転多面鏡型光偏向器
JP2003244891A (ja) フライホイール・バッテリ
JP2005086980A (ja) 電動機
JPH03159537A (ja) 回転体及びその軸受構造
JPH10290554A (ja) 回転機械のロータ及びそのバランシング方法
JPH07190060A (ja) 動圧軸受装置
JPH05203891A (ja) ポリゴンミラーの回転支持装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040122

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040511

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040907

A521 Written amendment

Effective date: 20041008

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20041130

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20041201

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071210

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081210

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081210

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091210

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees