JPH10270804A - 光情報処理装置およびこれに適した固体光源および半導体発光装置 - Google Patents

光情報処理装置およびこれに適した固体光源および半導体発光装置

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JPH10270804A
JPH10270804A JP7288697A JP7288697A JPH10270804A JP H10270804 A JPH10270804 A JP H10270804A JP 7288697 A JP7288697 A JP 7288697A JP 7288697 A JP7288697 A JP 7288697A JP H10270804 A JPH10270804 A JP H10270804A
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light
semiconductor
compound semiconductor
light emitting
gallium nitride
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JP7288697A
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Inventor
Jun Goto
順 後藤
Masahiko Kondo
正彦 近藤
Shigekazu Minagawa
重量 皆川
Masahiko Kawada
雅彦 河田
Shoichi Akamatsu
正一 赤松
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は装置への損傷の少ない光源を持つ光情
報処理装置、又、新規な固体光源を提供する。青色や緑
色の発光ダイオードでの方法に代わる製造の容易な窒化
ガリウム系半導体発光装置を提供する。 【解決手段】可視域の半導体発光装置を使用した光情報
処理装置および光源。更に、窒化ガリウム系化合物半導
体発光装置の活性層にAs、P,およびSbの群から選ばれた
少なくとも一者を少量混入させ可視発光を可能とする。 【効果】本発明の光情報処理装置は簡便である。又、損
傷が少ない。白色の新規な固体光源が容易に提供出来
る。本発明の半導体発光装置は、窒化ガリウム系化合物
半導体を用いて可視光領域全域に対応が可能である。
又、製造が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光情報処理装置およ
びこれに用いるに適した光源に関するものである。更に
は、本発明は固体光源およびこの光源に用いうるに適し
た半導体発光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】デジタルビデオディスクに代表される光
ディスク装置などの光情報処理装置に対しては大容量化
の要請が強い。この為の光源として、半導体レーザ装置
の青色から近紫外領域への短波長化が求められている。
【0003】こうした背景の下に、緑色もしくは青色の
光を発する半導体レーザ装置等の短波長発光素子の研究
開発が、現在精力的に行われている。その材料として
は、ZnSe系2−6族半導体、及び窒化ガリウム系化合物
半導体が最有望とされている。ZnSe系2−6族半導体系
では、青緑色(〜2.4eV)レーザダイオードの室温連続発
振も達成されているが、素子寿命に致命的問題があり実
用化の見通しが未だ立っていない。
【0004】一方、窒化ガリウム系化合物半導体では、
長寿命・高輝度の青色光(〜2.6eV)及び緑色光(〜2.4eV)
の発光ダイオードが既に実用化されている。また,青紫
色の半導体レーザ装置(〜3.0eV)も室温連続発振に至る
勢いである。窒化ガリウム系化合物半導体では,2−6
族半導体で致命的問題となっている欠陥の増殖による劣
化が観察されない事と熱や化学反応に対して非常に安定
なため,急激に着目を浴びている。
【0005】代表的な窒化ガリウム系化合物半導体であ
るGaNのバンドギャップは3.4eVで、波長に直すと365nm
となり紫外光の領域にある。従って、発光素子の活性領
域にGaNを用いても可視域の青色光、緑色光を発する事
ができない。尚、GaInNAs系材料によって長波長の半導
体発光装置としては、例えば、特開平8-195522号公開公
報が上げられる。また、AlGaInN系あるいはAlGaNP系材
料による半導体発光装置の例は、例えば特開平4-236477
号公開公報、特開平4-236478号公開公報に見られる。
【0006】一方、実用化されているGaN系青色光ある
いは緑色光発光ダイオードでは、活性領域にZnやSiなど
の不純物を高濃度添加したGaInNが用いられている。こ
の例は、例えば、第41回応用物理学関係連合講演会の講
演予稿集 No. 0、 p.1351 1994年3月に報告されてい
る。GaNにInを混合する事でバンドギャップを狭くして
長波長化を図り、その上に、高濃度の不純物を添加する
事により発光準位を形成して長波長化を図ることによっ
て可視の青色光、緑色光の発光を可能にしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は可視光領域に
おける短波長領域の発光波長なる光源を有する光情報処
理装置、ディスプレー装置等を提供せんとするものであ
る。上記した通り短波長領域の半導体発光装置の開発は
進んでいるが、その発振波長には紫外領域を多く含んで
いる。この為、光情報処理装置の光に晒される各部品、
例えば記録媒体、光学系等の劣化がより大きく発生する
難点が見出された。本発明はこの問題点の解決策を与え
るものである。
【0008】また,青色や緑色の半導体レーザ装置や高
出力の発光ダイオードが実現すると従来の赤色の半導体
発光素子と合わせて、半導体発光装置のみで光の三原色
が揃う事となる。こうした新たに開発される三原色を有
する半導体発光装置は、レーザテレビジョン、マン・マ
シンインターフェイス装置等の各種光源あるいは照明用
光源への展開を可能とする。
【0009】一方、上記各種目的に供する半導体発光装
置の特性に関しては、次のような問題点が認められる。
従来技術として述べた青色光あるいは緑色光の発光ダイ
オードの技術を、可視の青色光、緑色光を発する半導体
レーザ装置へ応用しようとしても、レーザ発振の実現は
困難である。それは、高濃度の不純物の準位を介した発
光を利用している為、状態密度が少なくレーザ発振には
至らないのである。
【0010】他方,バンドギャップを狭くするために,
Inの組成を増加させて青色光や緑色光に対応させる事
は,Inの偏析により平坦な結晶を成長する事が困難にな
る事や格子不整合が増加することなどから非常に困難で
ある。
【0011】本発明の目的は、軽量な光学系を有する光
情報処理装置を提供するものである。
【0012】本発明の別な目的は3原色を有する固体光
源を提供するものである。
【0013】本発明の別な目的は可視域の青色あるいは
緑色の発光が可能な半導体発光装置を提供するものであ
る。
【0014】本発明の更に別な目的は、半導体のバンド
間遷移を利用した青色光および緑色光に代表される可視
光全域の発光に対応可能な半導体発光装置を提供するも
のである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の光情報処理装置
の例として、コンパクト・ディスク(CD)やディジタ
ルビデオ・ディスク(DVD)などの光ディスク装置あ
るいはレーザ・ビーム・プリンタ装置などの光記録装置
をあげることができる。光ディスク装置は、記録媒体に
光を照射するための光源と、記録媒体からの反射光を検
出する検出器を少なくとも有する光記録装置である。ま
た、光によって記録媒体の一部の状態を変化させて記録
を行う場合にも同様にこの光源を用いることが出来るこ
とは言うまでもない。一方、レーザ・ビーム・プリンタ
はレーザ光を照射して印字情報を記録媒体としての光導
電体の上に書き込み、電子写真方式によって印字画像を
得る印写装置である。これらの光情報処理装置のより具
体的構成については、実施例において詳細に説明され
る。
【0016】本明細書において開示される光情報処理装
置の発明のうち、代表的なものの概要を以下に列挙す
る。
【0017】(1)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射する光源と、記録媒体からの反射光を検出
する検出器とを少なくとも有し、当該記録媒体の一部の
状態変化を読み取る機能を有する光情報処理装置におい
て、前記光源が可視光領域の青色光より緑色光の発光波
長を有する半導体発光装置なることを特徴とするもので
ある。
【0018】(2)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射する光源と、記録媒体からの反射光を検出
する検出器とを少なくとも有し、当該記録媒体の一部の
状態変化を読み取る機能を有する光情報処理装置におい
て、前記光源が可視光領域の青色光より緑色光の発光波
長を有する半導体レーザ装置なることを特徴とするもの
である。
【0019】(3)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射する光源と、記録媒体からの反射光を検出
する検出器とを少なくとも有し、当該記録媒体の一部の
状態変化を読み取る機能を有する光情報処理装置におい
て、前記光源が窒化ガリウム系化合物半導体の可視光領
域の青色光より緑色光の発光波長を有する半導体発光装
置なることを特徴とするものである。
【0020】(4)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射する光源と、記録媒体からの反射光を検出
する検出器とを少なくとも有し、当該記録媒体の一部の
状態変化を読み取る機能を有する光情報処理装置におい
て、前記光源が窒化ガリウム系化合物半導体の可視光領
域の青色光より緑色光の発光波長を有する半導体レーザ
装置なることを特徴とするものである。
【0021】(5)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射する光源と、記録媒体からの反射光を検出
する検出器とを少なくとも有し、当該記録媒体の一部の
状態変化を読み取る機能を有する光情報処理装置におい
て、前記光源が一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y
≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体の可視光領
域の青色光より緑色光の発光波長を有する半導体発光装
置なることを特徴とするものである。
【0022】(6)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射する光源と、記録媒体からの反射光を検出
する検出器とを少なくとも有し、当該記録媒体の一部の
状態変化を読み取る機能を有する光情報処理装置におい
て、前記光源が一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y
≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体の可視光領
域の青色光より緑色光の発光波長を有する半導体レーザ
装置なることを特徴とするものである。
【0023】(7)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射するための光源を有し、当該光によって記
録媒体の一部の状態を変化させて記録を行う機能を有す
る光情報処理装置において、前記光源が可視光領域の青
色光より緑色光の発光波長を有する半導体発光装置なる
ことを特徴とするものである。
【0024】(8)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射するための光源を有し、当該光によって記
録媒体の一部の状態を変化させて記録を行う機能を有す
る光情報処理装置において、前記光源が可視光領域の青
色光より緑色光の発光波長を有する半導体レーザ装置な
ることを特徴とするものである。
【0025】(9)本発明の光情報処理装置は、記録媒
体に光を照射するための光源を有し、当該光によって記
録媒体の一部の状態を変化させて記録を行う機能を有す
る光情報処理装置において、前記光源が一般式AlxGa
(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y≦1)で表される窒化ガリウム
系化合物半導体の可視光領域の青色光より緑色光の発光
波長を有する半導体発光装置なることを特徴とするもの
である。
【0026】(10)本発明の光情報処理装置は、記録
媒体に光を照射するための光源を有し、当該光によって
記録媒体の一部の状態を変化させて記録を行う機能を有
する光情報処理装置において、前記光源が一般式AlxGa
(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y≦1)で表される窒化ガリウム
系化合物半導体の可視光領域の青色光より緑色光の発光
波長を有する半導体レーザ装置なることを特徴とするも
のである。
【0027】本明細書に含まれる更なる発明の主な例を
あげると次のものである。
【0028】液晶ディスプレー装置のバックライト、投
影型液晶プロジェクタの光源、カラースキャナーの光源
などのスキャナー,プロジェクションテレビなどのマン
・マシーンインタフェース関係装置の各種光源がある。
更に、この種の光源は医療用のDNA(deoxyribonucleic a
cid)シーケンサ用光源に用い得る。
【0029】更には、固体化光源が提供される。特に、
本願発明の青色発光の半導体発光装置を、従来の赤色、
緑色の半導体発光装置を合わせて用い、三原色を全半導
体化することが出来る。また、3原色の各発光素子領域
を一つの半導体基板に組み込んだ半導体集積回路装置と
しての光源を実現することが出来る。この半導体集積回
路装置としての光源の製造は通常の半導体集積回路分野
の技術でもって十分である。この場合、光源の使用個所
によって、コヒーレント光、あるいは非コヒーレント光
を選択して適用することが出来る。特に、肉眼がさらさ
れる一般照明などにおいては非コヒーレント光として用
いる。
【0030】これらの光源の発光領域の構成は上記光情
報処理装置の関係して述べたものと同様の基本構成を有
する。更に、その代表的な例については、以下に半導体
発光装置および半導体レーザ装置等として詳細に説明さ
れる。
【0031】本発明の光源によれば、コンパクト・低消
費電力・長寿命の光源が実現し,光情報処理装置をはじ
め、スキャナー,プロジェクションテレビなどのマン・
マシーンインタフェース関係や照明用光源などその産業
上の利用価値は非常に大きい。
【0032】<半導体発光装置装置の基本構造>本発明
の半導体発光装置は、5族元素が窒素および窒素以外の
元素の混合で成っている3−5族混晶半導体を半導体発
光装置の発光層に用いるものである。
【0033】窒化ガリウム系化合物半導体に5族元素の
As,P,Sbなどを加え混晶を作製した場合、小さい格子定
数の変化に対してバンドギャップが大きく変化する。こ
の現象は著しいボーイング現象によるものである。上記
ボーイング現象を利用し,窒化ガリウム系の3−5族半
導体発光装置の発光層にAs,P,およびSbの群から選ばれ
た少なくとも1者を少量混入させ、格子不整合による結
晶劣化を誘引することなく且つ可視光領域に対応するバ
ンドギャップを有する半導体結晶を作製する事が可能に
なる。上記3−5族混晶半導体は、P,AsまたはSbが混合
されている事が好ましい。
【0034】尚、ボーイング現象自体の物理的な報告
は、例えば、ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・アップ
ライド・フィジクス32巻(1993)4413頁(Jp
n.J.Appl.Phys. 32(1993)4413.)になされている。
【0035】上記窒化物半導体として、B,Al,G
a,Inなどの3族元素の少なくとも1者とN,P,A
s,Sb、BiなるV族元素の少なくとも1者とを有し
て構成される所謂3―5族化合物であり且つV族元素と
してN(窒素)を含む六方晶系の構造を有する半導体結
晶を用い得る。現在、緑色より紫外線領域までの波長の
光を放出する半導体発光装置の材料として注目される窒
化物半導体、即ち、3族元素(とりわけ、Ga,Al,
In)の少なくとも1者とN(窒素)元素とで構成され
る六方晶系の構造を有する半導体結晶を用いることがで
きる。
【0036】上記V族元素が窒素および窒素以外の元素
の混合で成っている3−5族混晶半導体の最も有用な例
としてはAlxGa1-x-yInyN(0≦x<1, 0≦y<1)を挙げること
が出来る。より具体的には、AlGaInN,GaInN,AlGaN,GaN
などをより実用的なものとしてあげることが出来る。
【0037】こうした3−5族混晶半導体に少量添加す
る上記5族元素は、母材および添加元素によってその添
加量はことなるが、概ね1atomic%の添加で顕著な発光波
長の変化を認め、概ね20atomic%を越えない範囲で添加
される。勿論、要求される発光波長によって添加元素の
添加量は異なることは言うまでもない。400nmを考える
と、母材がGaNの場合、Asは3%、Pは6%、Sbは2%程度であ
る。一般に青色に対しては、Asの場合2%-6%、Pの場合3%
-8%、Sbの場合1%-2.5%程度である。組成とバンドギャッ
プの関係についての更なる詳細は実施例において言及さ
れる。尚、添加元素のなかでは、Asが最も製造過程にお
ける制御が容易である。
【0038】勿論、必要に応じて、n型あるいはp型とせ
しむる為に所定の不純物元素が添加される。ドーパント
としては、 n型はSiが代表例であり、原料にはSi2
6(ジシラン)が良い。又、 p型はMgが代表例であ
り、原料はCp2Mg(ジシクロペンタジエニルマグネ
シウム)が良い。
【0039】結晶成長方法自体は、これまで知られた有
機金属気相成長方法にしたがって良い。例えば、有機金
属気相成長方法である。また、周知の分子線エピタキシ
ー法などを用いることも勿論可能である。
【0040】結晶成長用の基板は、ジンク・ブレンド(Z
inc Blende)、六方晶系(Hexagonalsystem)の単結晶を用
いる。わけても、サファイア(α―Al23)とSiC
とが有用で実用的である。より具体的に例を示せば、
(0001)C面を有するサファイア(α―Al
23)、(11―20)A面を有するサファイア(α―
Al23)、(1―100)M面を有するサファイア
(α―Al23)、C面を有する6H−SiC、 A面
を有する6H−SiC、 M面を有する6H−SiCな
どを挙げることが出来る。 TMAl(トリメチルアルミニウ
ム)、有機金属気相成長方法を用いる際の原料を具体的
に例示すれば、 GaNAs活性層領域には、 TMGa(トリメチ
ルガリウム)、NH3 (アンモニア)、AsH3(アルシン)
である。更なる例での原料は、 TMAl(トリメチルアルミ
ニウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、及びドーピン
グ元素用としてのCp2Mg(シクロペンタジニルマグネシ
ウム)、SiH4並びにC3H6である。
【0041】次に半導体発光装置の構成について説明す
る。半導体発光装置の活性層領域の構成は通例の各種の
ものを用いて充分である。即ち、通例のバルク状活性
層、単一量子井戸活性層、多重量子井戸活性層、歪単一
量子井戸活性層、歪多重量子井戸活性層、歪補償単一量
子井戸活性層、歪補償多重量子井戸活性層など要求に応
じて用いることが出来る。
【0042】尚、歪量子井戸活性層とは格子歪みを導入
した量子井戸活性層を意味する。また歪補償量子井戸活
性層とは、格子歪みを導入した歪量子井戸層と格子歪み
を導入した歪量子障壁層で構成する歪量子井戸活性層で
あって、且つ歪量子井戸層と歪量子障壁層に導入する格
子歪みの符号を反対、即ち格子にかかる伸張、圧縮の応
力を反対としたものである。
【0043】半導体レーザ装置とする場合の共振器長と
しては通常の知識に従って良い。それは、例えば200μm
より1500μmの範囲のものが用いられる。又、実用的な
共振器長は400μmより700μmの程度である。共振器の幅
は半導体レーザ装置の通常の知識に従って良い。レーザ
共振器の帰還手段は、一般的なファブリ・ペロー共振器
(Fabry-Perot resonator)で十分である。また、DFB(Dis
tributed Feedback),DBR(Distributed Gragg Reflecto
r)などこれまで知られた手段を用い得ることは言うまで
もない。また、半導体発光装置あるいは半導体レーザ装
置におけるその他の部材の構成については、通例の技術
に従って良い。
【0044】以上詳細に説明したが、以下、本願発明に
係わる半導体発光装置の主な具体的な諸例の概要を列挙
する。
【0045】(1)一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0
≦y≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体
として用いた半導体発光装置において,その発光層領域
にAs,P,およびSbの群から選ばれた少なくとも1者を当
該N量を越えない範囲で含有する事を特徴とする半導体
発光装置。
【0046】(2)一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0
≦y≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体
として用いた発光素子において,少なくとも発光層領域
は六方晶系窒化ガリウム系化合物半導体であり且つその
発光層領域にAs,P,およびSbの群から選ばれた少なくと
も1者を含有する事を特徴とする半導体発光装置。
【0047】(3)窒化ガリウム系化合物半導体を母体
として用いた半導体発光装置において,少なくとも発光
層領域は六方晶系窒化ガリウム系化合物半導体であり且
つその発光層領域に少なくともAsを含有することを特徴
とする半導体発光装置。
【0048】(4)3−5族化合物半導体であり且つV
族元素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体と
して用いた半導体発光装置において,その発光層領域に
As,P,およびSbの群から選ばれた少なくとも1者を当該N
量を越えない範囲で含有する事を特徴とする半導体発光
装置。
【0049】(5)3−5族化合物半導体であり且つV
族元素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体と
して用いた半導体発光装置において,少なくともその発
光層領域は六方晶系の化合物半導体材料であり且つにA
s,P,およびSbの群から選ばれた少なくとも1者を含有す
る事を特徴とする半導体発光装置。
【0050】(6)前記発光層領域を一般式AlxGa
(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y≦1)で表される窒化ガリウム
系化合物半導体層で挟んだダブルヘテロ構造を有するこ
とを特徴とする上記(1)―(5)のいずれかの項目に
記載の半導体発光装置。
【0051】(7)一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0
≦y≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体
として用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置にお
いて,その活性層領域にAs,P,およびSbの群から選ばれ
た少なくとも1者を当該N量を越えない範囲で含有する
事を特徴とする半導体レーザ装置。
【0052】(8)一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0
≦y≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体
として用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置にお
いて,少なくとも発光層領域は六方晶系窒化ガリウム系
化合物半導体であり且つその活性層領域にAs,P,およびS
bの群から選ばれた少なくとも1者を含有する事を特徴
とする半導体レーザ装置。
【0053】(9)窒化ガリウム系化合物半導体を母体
として用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置にお
いて,少なくとも活性層領域は六方晶系窒化ガリウム系
化合物半導体であり且つその発光層領域に少なくともAs
を含有することを特徴とする半導体レーザ装置。
【0054】(10)3−5族化合物半導体であり且つ
V族元素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体
として用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置にお
いて,その発光層領域にAs,P,およびSbの群から選ばれ
た少なくとも1者を当該N量を越えない範囲で含有する
事を特徴とする半導体レーザ装置。
【0055】(11)3−5族化合物半導体であり且つ
V族元素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体
として用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置にお
いて,少なくともその発光層領域は六方晶系の化合物半
導体材料であり且つにAs,P,およびSbの群から選ばれた
少なくとも1者を含有する事を特徴とする半導体レーザ
装置。
【0056】(12)前記発光層領域を一般式AlxGa
(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y≦1)で表される窒化ガリウム
系化合物半導体層で挟んだダブルヘテロ構造を有するこ
とを特徴とする上記(7)―(11)のいずれかの項目
に記載の半導体レーザ装置。
【0057】(13)上記項目(1)あるいは(12)
に記載の半導体発光装置あるいは半導体レーザ装置の活
性層領域が量子井戸層により構成した単一或は多重量子
井戸構造である。
【0058】(14)上記項目(1)あるいは(12)
に記載の半導体発光装置あるいは半導体レーザ装置の活
性層領域が格子歪を導入した歪量子井戸層により構成し
た歪単一或は歪多重歪量子井戸構造である。
【0059】(15)上記項目(1)あるいは(12)
に記載の半導体発光装置あるいは半導体レーザ装置の活
性層領域が格子歪を導入した歪量子井戸層と格子歪を導
入した歪量子障壁層からなり、かつ量子井戸層と量子障
壁層に導入する格子歪の符号を反対にして構成した歪補
償単一或は歪補償多重歪量子井戸構造である。
【0060】尚、上記したダブルヘテロ構造とは通例半
導体レーザ装置においてその発光層領域を構成する為に
用いられているものである。例えば半導体レーザ装置に
おいて活性層領域はこれよりも大きな禁制帯幅を有する
半導体層(クラッド層と一般に称する)で両側から挟ま
れており、且つ活性層領域の屈折率がクラッド層よりも
大きい構成として光導波路構造を構成するものである。
こうして、活性層領域に電子と正孔、および光が効率良
く閉じ込められる。
【0061】半導体発光装置の代表的な例は、半導体レ
ーザ装置であるが、本発明に係わるその他の半導体発光
装置の例としては、pn接合またはpin接合などのヘ
テロ接合を有し、光を発光する半導体装置、具体的には
発光ダイオード装置あるいはスーパルミネッセントダイ
オード(SLD; Super Luminescent Diode)などをあげるこ
とが出来る。
【0062】本発明に係わる半導体発光装置、特に半導
体レーザ装置は、上述の光情報処理装置など各種用途に
用いて極めて有用であるが、本発明に係わる半導体発光
装置は勿論、その発光波長に応じたその他の一般的目的
に用い得ることは言うまでもない。
【0063】
【発明の実施の形態】
実施例1 本実施例は、活性層領域にGaNAsを用いて、室温におい
て緑色の光を発する半導体レーザ装置を作製した例であ
る。
【0064】図1は本実施例の半導体レーザ装置の光軸
と交差する面での構造断面図である。図1において、10
はa面サファイア基板( d=0.1μm), 11はアモルファ
スGaNバッファ層(d=20nm)、12はn型SiドープGaNバッフ
ァ層(n=1×1018cm-3,d=3μm)、13はn型SiドープAl0.
1Ga0.9Nクラッド層(n=1×1018cm-3,d=1μm)、14はn
型SiドープGaN光ガイド層(n=5×1017cm-3,d=0.1μ
m),15はノンドープGaN0.94As0.06-GaN歪量子井戸活
性層(各膜厚5nm,3周期)、16はp型MgドープGaN光ガイド
層(p=5×1017cm-3, 17はp型MgドープAl0.1Ga0.9Nクラ
ッド層(p=5×1017cm-3,d=1μm)、18はp型MgドープGa
Nキャップ層(p=5×1018cm-3,d=0.2μm)である。
【0065】上記符号の11から18までの各層は、周知の
有機金属気相成長装置を用いて基板結晶10の上に連続成
長した。各層の構成元素およびドープ元素の各原料に
は、TMAl(トリメチルアルミニウム)、TMGa(トリメチル
ガリウム)、TMIn(トリメチルインジウム)d=100μm)、N
H3(アンモニア)、AsH3(アルシン)、SiH4 及びCp2Mg
(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用いた。各層の
成長温度は、アモルファスGaNバッファ11は550℃、 GaN
0.94As0.06―GaN歪量子井戸活性層15は800℃,その他の
層は1050℃とした。
【0066】各半導体層の成長後,図1に示す様に通常
のフォトリソグラフィ技術とハロゲン系反応性イオンビ
ームエッチング法を用いて、幅5μmのメサ構造およびn
電極取り出し溝を形成した。続いて,通常の方法を用い
てパッシベーションの為の厚さ100nmのSiO2膜19を堆積
した。更にこのSiO2膜を通常のフォトリソグラフィ技術
と溶液エッチングを用いて電極用の孔を形成した。この
電極用の孔を介してp型金属電極20、n型金属電極21を形
成した後に、共振器長600μmに劈開し、共振器を構成す
る。この劈開端面に反射率70%のSiO2-Al2O3の誘電体多
層反射膜を通常の方法によって形成し、基本構成が完成
する。
【0067】一般には、半導体レーザ装置は一枚のウエ
ハに多数の各装置を形成する。この為、基本構成の完成
後、各半導体レーザ装置毎にこれを分離し,半導体レー
ザ装置の単一チップを完成させた。
【0068】図2に量子井戸活性層近傍のバンド構造の
概略図を示す。図2における各半導体層は図1の各層の
引用番号と同じものを示している。本例は活性層領域に
GaN0.94As0.06―GaN歪量子井戸構造を有しており、Asの
所定添加によって、緑色の良好なレーザ発振を得ること
ができた。尚、荷電子帯側で200meV以上,および,伝導
帯側で1.1eV以上の,反転分布に必要なバンドギャップ
差を十分有している。
【0069】室温において、ヒートシンク固定したレー
ザダイオードに20mAの定電流を流したところ,緑色の55
0nmでレーザ発振した。
【0070】同様の構造をとり、 Asの添加量を変化さ
せることによって、各種発光を得ることが出来る。GaNA
s-GaN歪量子井戸活性層のAs組成を0.03とした場合には
波長450nmの青色, As組成を0.08とした場合には波長45
0nmの赤色のレーザ発振が得られた。
【0071】またAsの替わりにPあるいはSbを用いた場
合も良好な発振を得ることが出来た。(1) Pを用いた
場合、Pの組成を0.09に,(2)Sbを用いた場合には、S
bの組成を0.03に場合に、各々550nmの良好なレーザ発振
が確認された。尚、これらの例において、半導体レーザ
装置の他の構成は上述の例と同様である。
【0072】図3にGaNを母材とした場合の半導体材料
の組成とバンドギャップの関係を示す。横軸は添加元素
の添加量をAtomic%、縦軸はバンドギャップを示してい
る。添加する各元素、As、P、およびSbの例が示されて
いる。尚、参考の為、組成図において、組成GaInより組
成InNに変化するGaInNの線を、参考の為合わせて掲げて
ある。青(Blue)、緑(Green)、および赤(Red)の発光波長
に対応するバンドギャップをも点線および鎖線にて示し
ている。
【0073】この例に見られるように、As、P、およびS
bの少量の添加によって大幅にバンドギャップが変化
し、可視域の全域を発光させることができる。
【0074】尚、この組成とバンドギャップの関係は、
この実施例のみに係わらず、本発明の他の実施例にも適
用出来るものである。
【0075】実施例2 本実施例は、活性層領域にGaNAsを用いて、室温におい
て青色の光を発するスーパールミネッセントダイオード
を作製した例である。
【0076】図4は本実施例の半導体レーザ装置の光軸
と交差する面での構造断面図である。
【0077】図4において、10はa面サファイア基板(d=
100μm)、11はアモルファスGaNバッファ層(d=20nm)、
12はn型SiドープGaNバッファ層(n=1×1018cm-3,d=3μ
m)、13はn型SiドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層(n=1×1
018cm-3,d=1μm)、14はn型SiドープGaN光ガイド層(n
=5×1017cm-3,d=0.1μm),22はノンドープGaN0.97As
0.03-GaN歪量子井戸活性層(各膜厚5nm,5周期)、16はp型
MgドープGaN光ガイド層(p=5×1017cm-3,d=0.1μm),1
7はp型MgドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層(p=5×1017c
m-3,d=1μm)、23はp型MgドープGaN層-CドープAlN層超
格子コンタクト層(d=0.2μm)である。
【0078】上記符号11から23までの各層は、周知の有
機金属気相成長装置を用いて基板結晶10の上に連続成長
した。各層の構成元素およびドープ元素の原料にはTMAl
(トリメチルアルミニウム)、TMGa(トリメチルガリウ
ム)、TMIn(トリメチルインジウム)、 NH3(アンモニ
ア)、AsH3(アルシン)、 Cp2Mg(シクロペンタジエニ
ルマグネシウム), SiH4 及びC3H6を用いた。成長温度
は、アモルファスGaNバッファ11は550℃、 Ga N0.97As
0.03-GaN歪量子井戸活性層22は800℃,その他の層は105
0℃とした。
【0079】尚、歪量子井戸活性層領域は井戸層の組成
を異にする点を除いて、実施例1にて説明したものと基
本構成は同じである。
【0080】次に、p型MgドープGaN層-CドープAlN層超
格子コンタクト層23のバンド構造概略図を図5に示す。p
型AlN(p=1×1019cm-3)25と1×1018cm-3にドーピングし
たp型GaN(p=1×1018cm-3)26の間には、それ自体相互に
バンドギャップの相違が大きい。従って、当該コンタク
ト層と電極との良好なオーミック接合をとる為、このコ
ンタクト層自体に荷電子帯のバンドの不連続を抑制する
必用がある。この為,コンタクト層を構成する各層厚を
逐次変化させる。即ち、p型MgドープGaN25からCドープA
lN層24にかけて図5に示すようにp型MgドープGaN層とCド
ープAlN層の各5層の積層を行った。図5において、斜め
の斜線を施した領域は各CドープAlN層であって、 p型Mg
ドープGaN25に近い領域から、5A,5A,5A,15A,および20A
の厚み(図5に数字でこの厚みを示した)に順次変化し
ている。一方、点の面で示した領域は各p型MgドープGaN
層であって、20A,15A,15A,5A,および5Aの厚み(図5に数
字でこの厚みを示した)に変化している。その結果伝導
帯,荷電子帯各々のみかけのバンド端は図中点線26およ
び27のように連続変化をしめす。この結果、コンタクト
層と電極との良好なオーミック接合が得られた。
【0081】各半導体層の成長後,通常のフォトリソグ
ラフィ技術とハロゲン系反応性イオンビームエッチング
法を用いて、図4に示す様に幅20μmのメサ構造を形成し
た。続いて,周知の方法によりパッシベーションの為の
SiO2膜19を堆積した。更にこのSiO2膜を通常のフォトリ
ソグラフィ技術と溶液エッチングを用いて電極用の孔を
形成した。この電極用の孔を介してp型電極20、n型金属
電極21を形成した後に、共振器長1mmに劈開し,共振器
を構成する。この劈開端面に前方反射0.1%,後方反射99
%のSiO2-Al2O3の誘電体多層反射膜を通常の方法によっ
て形成し、基本構成が完成する。
【0082】一般には、半導体レーザ装置は一枚のウエ
ハに多数の各装置を形成する。この為、基本構成の完成
後、各半導体レーザ装置毎にこれを分離し,発光ダイオ
ードの単一チップを完成させた。
【0083】室温において、ヒートシンクに固定した発
光ダイオードに500mAの電流を流したところ,青色の450
nmで1Wの誘導放出光が観察された。同様の構造でGaNAs-
GaN歪量子井戸活性層のAs組成を0.06とした場合には波
長550nmの緑色, 又、As組成を0.08とした場合には波長
450nmの赤色の誘導放出光が観察された。
【0084】またAsの替わりにPを用いた場合にはPの組
成を0.05に,Sbを用いた場合にはSbの組成を0.01に場合
に450nmの誘導放出光が確認された。
【0085】実施例3 上述した各実施例の半導体発光装置を、光ディスクシス
テムあるいはレーザ・ビーム・プリンターなどの光記録
装置の光源に用いることにより、高性能なシステムを構
成することができる。この具体的構成を以下に述べる。
【0086】図6は光ディスク装置の例を示す基本構成
図である。61は光記録の為の光記録媒体が設けられた
ディスク、62はディスクを回転させるためのモータ、
63は光ピックアップ、67はこれらを制御する制御部
である。光ピックアップ63はレンズ系64、半導体レ
ーザ装置などの光源65、そして光検出器66を有して
構成される。こうした光ディスク装置の一般的事項につ
いては、種々報告があるが略述する。
【0087】記録材料の種類によって、光ディスク装置
は大別して読み取り専用形(ROM形)、追記形、およ
び書き換え可能形に分けられる。前述の図6は光ディス
ク装置の一例である。この例での情報の再生は、ディス
ク61に記録された微細小孔(記録媒体の状態変化部)
からの反射光変化を光検出器66にて光学的に読み取っ
て行う。尚、光記録媒体は通例のものを用いることが出
来る。読み取り専用形の場合、記録情報は予め記録媒体
に記録されており、例えば、読み取り専用形記録媒体の
代表例として、アルミニウム、プラスチックなどをあげ
ることが出来る。
【0088】また、記録する場合は、レーザ光をディス
ク上の記録媒体に微細光点に絞り込み、記録すべき情報
に従ってレーザ光を変調させることに依って、熱的に記
録材料の状態を変化させて列状に記録を行う。この記録
はディスクをモータによって回転(移動)させながら行
われる。
【0089】こうした光ディスク装置の光源に、実施例
1に従って製造した半導体レーザ装置を適用して好都合
である。例えば、活性層領域としてGaN0.97As0.03―GaN
よりなる歪量子井戸構造(各膜厚5nm,3周期) の青色の半
導体レーザ装置を用いた。発光が可視光の為、光ディス
ク装置の記録媒体、あるいは光学系、レンズ等の損傷が
極めて抑制される。
【0090】図7はレーザ・ビーム・プリンタの例を示
すシステム構成図である。
【0091】レーザビームプリンタ(LBP)装置では、半
導体レーザ装置のビームをミラーとレンズ系を用いて感
光ドラムを走査し、情報を記録する。そして、感光ドラ
ムに記録された情報を、感光紙等に転写して、印刷する
ものである。
【0092】制御部113によって制御されている半導
体レーザ装置101よりのレーザ光102はレンズ系
(図示の例では次の構成である。103:凸レンズ、1
04:アパーチャ、105:偏光子、および106:シ
リンドリカル・レンズ)を経由して、ポリゴンミラー1
07に照射される。ポリゴンミラー107によって反射
されたレーザ光はトロイダルレンズ116およびfθレ
ンズ108を通して感光ドラム109に照射される。こ
の時、レーザ光は感光ドラム109上をビーム・スキャ
ン110に示すごとく走査される。
【0093】尚、制御部113は所定の信号112によ
り動作する。一般に光検出器よりの信号によっている。
又、半導体レーザ装置は駆動電流114、および制御信
号115を制御部113より受けて動作する。
【0094】従って、記録に用いるレーザ光の波長が短
波長であるほど高精細な記録が可能となる。こうした光
源に本発明の半導体発光装置が好適である。例えば、活
性層領域としてGaN0.97As0.03―GaNよりなる歪量子井戸
構造(各膜厚5nm,3周期)の青色の半導体レーザ装置を用
いた。発光が可視光の為、レーザ・ビーム・プリンタの
記録媒体、あるいは光学系、レンズ等の損傷が極めて抑
制される。
【0095】実施例4 本願発明に係わる半導体発光装置を、発光が固体で行わ
れるいわゆる全固体光源が可能である。こうした光源
は、例えば液晶ディスプレイやプロジェクションテレビ
などの表示装置の光源に用いることが出来る。更には、
一般照明用の全固体光源も実現出来る。この具体的構成
例のいくつかを以下に述べる。
【0096】図8は液晶ディスプレイ用のバックライト
の例を示す斜視図である。赤色、緑色、青色の3色のLE
D(Light Emitting Diode)を用いた液晶ディスプレイ用
のバックライトの例の基本構成を示す。81は光拡散板、
82は直流電源である。
【0097】図9は、このバックライトの裏面に設けら
れた赤色、緑色、青色の3色のLEDアレーの配置例を示
す図、図10は赤色、緑色、青色の3色のLEDの一単位を
拡大した模式図である。
【0098】尚、赤色、緑色、青色の各色として、次の
スーパルミネッセントダイオードを用いた。即ち、活性
層領域として、赤色はノンドープGaN0.92As0.08-GaN歪
量子井戸活性層(各膜厚5nm,5周期) 、緑色はノンドープ
GaN0.94As0.06-GaN歪量子井戸活性層(各膜厚5nm,5周期)
、および青色はノンドープGaN0.97As0.03-GaN歪量子井
戸活性層(各膜厚5nm,5周期)を各々有するものである。
【0099】83はLEDを支えるリードフレームである。
3色の1単位の中には赤色84、緑色85、青色86のLEDが
並列に接続されている。そして、バックライト全体で
は、その各々の単位が並列に接続されている。このLED
およびリードフレームは拡散板をなす樹脂中に埋め込ま
れている。
【0100】こうしたバックライトに5Vの電圧を印加
した場合、図中下方へ拡散板全面から白色光が射出され
た。
【0101】このような構成を用いることにより、高輝
度、長寿命、低消費電力、省スペース、軽量の液晶用バ
ックライトを実現できた。
【0102】また、さらに発光面を大型化にすることに
より、室内用照明光源としても同様の効果を発揮するこ
とが出来る。
【0103】実施例5 図11にRGB分離タイプの液晶を用いたプロジェクション
テレビの構成図を示す。この例は赤色、緑色、青色の3
色のス−パールミネッセントダイオードをその光源に用
いた例である。
【0104】図11において、87はスクリーン、88はレン
ズ、89はプリズム、90は液晶パネル、91,92,93は各々
赤色、緑色、青色の各SLDである。赤色、緑色、青色の
各SLDよりの光を、レンズ系を介して液晶パネルに投射
する。RGB各信号光に対応してそれぞれ各液晶パネルを
設け、これによって光を変調する。尚、赤色、緑色、青
色の各色として、次のスーパルミネッセントダイオード
を用いた。即ち、活性層領域として、赤色はノンドープ
GaN0.92As0.08-GaN歪量子井戸活性層(各膜厚5nm,5周期)
、緑色はノンドープGaN0.94As0.06-GaN歪量子井戸活性
層(各膜厚5nm,5周期) 、および青色はノンドープGaN
0.97As0.03-GaN歪量子井戸活性層(各膜厚5nm,5周期)を
各々有するものである。
【0105】RGB各々のSLDを用いることにより、白色光
源を用いて3原色を構成する場合に必用な液晶用のカラ
ーフィルターが不用になる。このことは、装置の高精
細、高輝度化が可能を可能とする。
【0106】これまでの液晶プロジェクションテレビで
は、光源にハロゲンランプを用いていたために、消費電
力が大きいことや、輝度が不足すること、サイズが大き
くなることが問題であった。しかしながら、このような
上述の構成を用いることにより、高輝度、長寿命、低消
費電力、省スペース、軽量の液晶プロジェクションテレ
ビが実現できた。
【0107】
【発明の効果】本発明の光情報処理装置によれば装置の
損傷が少ない。
【0108】本発明のマンーマシンインターフェースの
各種装置は簡便、軽量なものを提供することが出来る。
【0109】本発明の光源は製造の容易な固体光源を提
供することが出来る。
【0110】本発明の光源によれば白色の固体光源を提
供することが出来る。
【0111】本発明の半導体発光装置によれば、窒化ガ
リウム系化合物半導体を用いて,可視光領域全域に対応
することが出来る。本発明の半導体発光装置によれば、
窒化ガリウム系化合物半導体を用いて容易に作製する事
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に例示する半導体レーザ装置の共振器
の光軸に垂直な断面図である。
【図2】図1の半導体レーザ装置の活性層近傍領域のバ
ンド構造の概略図である。
【図3】GaNにAs,SbおよびPを添加した場合の組成とバ
ンドギャップの関係を示す図である。
【図4】実施例2に例示するスーパールミネッセントダ
イオードの光軸に垂直な断面図である。
【図5】図5のスーパールミネッセントダイオードのAl
N/GaN超格子p型コンタクト層領域のバンド構造の概略図
である。
【図6】光ディスク装置の例を説明するシステム概略図
である。
【図7】レーザ・ビーム・プリンタ装置の例を説明する
システム概略図である。
【図8】液晶ディスプレイ用のバックライトの例を示す
斜視図である。
【図9】図8のバックライトの裏面に設けられた赤色、
緑色、青色の3色のLED アレーの配置例を示す図であ
る。
【図10】図9における赤色、緑色、青色の3色のLED
の一単位を拡大した模式図である。
【図11】RGB分離タイプの液晶を用いたプロジェクシ
ョンテレビの概略構成図である。
【符号の説明】
10… a面サファイア基板、11…アモルファスGaNバ
ッファ層 12… n型SiドープGaNバッファ層 13… n型SiドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層 14… n型SiドープGaN光ガイド層 15…ノンドープGaN0.94As0.06-GaN歪量子井戸活性層 16… p型MgドープGaN光ガイド層 17… p型MgドープAl0.1Ga0.9Nクラッド層 18… p型MgドープGaNキャップ層 19… SiO2膜、20… p型金属電極、21… n型金属
電極 22…ノンドープGaN0.97As0.03-GaN歪量子井戸活性層 23… p型MgドープGaN層-CドープAlN層超格子コンタク
ト層 24… p型AlN、25… p型GaN 26…みかけの伝導帯下端、27…みかけの荷電子帯上
端 61:光記録媒体が設けられたディスク、62:モー
タ、63:光ピックアップ、67:制御部、63:光ピ
ックアップ、64:レンズ系 65:半導体レーザ装置などの光源、66:光検出器 81:光拡散板、82:電源、83:リードフレーム 84:赤色LED、85:緑色LED、86:青色LED 87:スクリーン、88:レンズ、89:プリズム、9
0:液晶パネル 91:赤色SLD、92:緑色SLD、93:青色SLD 101:半導体レーザ装置、102:レーザ光 103、104、105、106:レンズ系、107:
ポリゴンミラー107 108:トロイダルおよびfθレンズ108、109:
感光ドラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河田 雅彦 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 赤松 正一 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録媒体に光を照射する光源と、記録媒体
    からの反射光を検出する検出器とを少なくとも有し、当
    該記録媒体の一部の状態変化を読み取る機能を有する光
    情報処理装置において、前記光源が青色光より緑色光の
    発光波長を有する半導体発光装置なることを特徴とする
    光情報処理装置。
  2. 【請求項2】前記光源が窒化ガリウム系化合物半導体を
    母材とした青色光より緑色光の発光波長を有する半導体
    発光装置なることを特徴とする請求項1記載の光情報処
    理装置。
  3. 【請求項3】記録媒体に光を照射するための光源を有
    し、当該光によって記録媒体の一部の状態を変化させて
    記録を行う機能を有する光情報処理装置において、前記
    光源が青色光より緑色光の発光波長を有する半導体発光
    装置なることを特徴とする光情報処理装置。
  4. 【請求項4】前記光源が窒化ガリウム系化合物半導体を
    母材とした青色光より緑色光の発光波長を有する半導体
    発光装置なることを特徴とする請求項3記載の光情報処
    理装置。
  5. 【請求項5】窒化ガリウム系化合物半導体を母体とし
    て、少なくとも発光層領域は六方晶系の窒化ガリウム系
    化合物半導体であり且つ少なくとも青色発光をなす半導
    体発光素子部を有する固体光源。
  6. 【請求項6】窒化ガリウム系化合物半導体を母体とし
    て、緑色発光、および赤色発光をなす各半導体発光素子
    部を更に有することを特徴とする請求項5記載の固体光
    源。
  7. 【請求項7】一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y≦
    1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体として
    用いた半導体発光装置において,その発光層領域にAs,
    P,およびSbの群から選ばれた少なくとも1者を当該N量
    を越えない範囲で含有する事を特徴とする半導体発光装
    置。
  8. 【請求項8】一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y≦
    1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体として
    用いた半導体発光装置において,少なくとも発光層領域
    は六方晶系窒化ガリウム系化合物半導体であり且つその
    発光層領域にAs,P,およびSbの群から選ばれた少なくと
    も1者を含有する事を特徴とする半導体発光装置。
  9. 【請求項9】窒化ガリウム系化合物半導体を母体として
    用いた半導体発光装置において,少なくとも発光層領域
    は六方晶系の窒化ガリウム系化合物半導体であり且つそ
    の発光層領域に少なくともAsを含有することを特徴とす
    る半導体発光装置。
  10. 【請求項10】一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y
    ≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体層の両層の
    間に前記発光層領域を設けたダブルヘテロ構造を有する
    ことを特徴とする請求項7―9のいずれか1項に記載の
    半導体発光装置。
  11. 【請求項11】一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y
    ≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体とし
    て用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置におい
    て,その活性層領域にAs,P,およびSbの群から選ばれた
    少なくとも1者を当該N量を越えない範囲で含有するこ
    とを特徴とする半導体レーザ装置。
  12. 【請求項12】一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y
    ≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体を母体とし
    て用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置におい
    て,少なくとも活性層領域は六方晶系の窒化ガリウム系
    化合物半導体であり且つその発光層領域にAs,P,およびS
    bの群から選ばれた少なくとも1者を含有することを特
    徴とする半導体レーザ装置。
  13. 【請求項13】窒化ガリウム系化合物半導体を母体とし
    て用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置におい
    て,少なくとも活性層領域は六方晶系の窒化ガリウム系
    化合物半導体であり且つその発光層領域に少なくともAs
    を含有することを特徴とする半導体レーザ装置。
  14. 【請求項14】一般式AlxGa(1-x-y)InyN(0≦x≦1,0≦y
    ≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体層の両層の
    間に前記発光層領域を設けたダブルヘテロ構造を有する
    ことを特徴とする請求項11―13のいずれか1項に記
    載の半導体発光装置。
  15. 【請求項15】3−5族化合物半導体であり且つV族元
    素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体として
    用いた半導体発光装置において,その発光層領域にAs,
    P,およびSbの群から選ばれた少なくとも1者を当該N量
    を越えない範囲で含有する事を特徴とする半導体発光装
    置。
  16. 【請求項16】3−5族化合物半導体であり且つV族元
    素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体として
    用いた半導体発光装置において,少なくともその発光層
    領域は六方晶系の化合物半導体材料であり且つにAs,P,
    およびSbの群から選ばれた少なくとも1者を含有する事
    を特徴とする半導体発光装置。
  17. 【請求項17】3−5族化合物半導体であり且つV族元
    素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体として
    用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置において,
    その発光層領域にAs,P,およびSbの群から選ばれた少な
    くとも1者を当該N量を越えない範囲で含有する事を特
    徴とする半導体レーザ装置。
  18. 【請求項18】3−5族化合物半導体であり且つV族元
    素として窒素を含有する化合物半導体材料を母体として
    用い且つ光共振器を有する半導体レーザ装置において,
    少なくともその発光層領域は六方晶系の化合物半導体材
    料であり且つにAs,P,およびSbの群から選ばれた少なく
    とも1者を含有する事を特徴とする半導体レーザ装置。
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