JPH10268870A - 建築用板材 - Google Patents

建築用板材

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JPH10268870A
JPH10268870A JP9073506A JP7350697A JPH10268870A JP H10268870 A JPH10268870 A JP H10268870A JP 9073506 A JP9073506 A JP 9073506A JP 7350697 A JP7350697 A JP 7350697A JP H10268870 A JPH10268870 A JP H10268870A
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damping layer
vibration
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coating film
building board
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Yasuyuki Ohira
康幸 大平
Mitsuo Hori
光雄 堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の制振シートを遥かに凌ぐ優れた振動エ
ネルギー吸収性能を備えた制振層を有する建築用板材を
提供すること。 【解決手段】 塗膜成分中に、前記塗膜成分における双
極子モーメント量を増加させる活性成分が含まれている
制振塗料によって制振層が形成されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉材、床材、天井
材あるいは壁材などに適用される優れた振動エネルギー
吸収性能を備えた制振層を有する建築用板材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り扉材、床材、天井材あるいは壁材などの内側面には、
振動による騒音の軽減化を目的として、シート状に成形
された制振シートが取り付けられていた。
【0003】ところが従来の制振シートの場合、まず適
用箇所に対応する大きさや形状に裁断しなければならな
い。また制振シートは、適用箇所に接着剤や粘着剤を用
いて貼り付けるため、その貼り付け作業の多くは手作業
となり、作業効率が悪いといった問題があった。
【0004】このような不具合に鑑み、近年では、ゴム
系、プラスチック系、アスファルト系といった粘弾性高
分子を主成分とする塗膜成分にマイカ鱗片などを添加し
た所謂制振塗料が提案されるに至っている。この制振塗
料は、適用箇所に当該制振塗料を吹き付けるだけで容易
に制振層を形成でき、制振シートの場合のような裁断、
貼り付けといった作業が要らず、扉材、床材、あるいは
壁材などの建築用板材に簡単に騒音、振動対策を施すこ
とができるといったメリットを有している。
【0005】しかしながら、従来の制振塗料にあって
は、上述のようなメリットを有している反面、制振塗料
により形成される制振層の膜厚はせいぜい2mmが限度
であり、このような厚さでは十分な騒音、振動対策を施
すことができなかった。
【0006】本発明者らは、このような技術的課題を解
決するため、優れた振動エネルギー吸収性能を備えた制
振層を形成できる制振塗料について鋭意研究を重ねた結
果、塗膜成分における双極子モーメント量が、当該制振
塗料によって形成される制振層の振動エネルギーの吸収
性能に深い関係を持っていること、特定の成分を配合す
ることで制振層における双極子モーメント量を増大させ
ることができ、これにより制振層の振動エネルギー吸収
性能を飛躍的に向上させることができることを見い出し
た。
【0007】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、従来の制振シートを遥かに凌ぐ優れた振動エ
ネルギー吸収性能を備えた制振層を有する建築用板材を
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、塗膜成分中に、前記塗膜成
分における双極子モーメント量を増加させる活性成分が
含まれている制振塗料によって制振層が形成されている
ことを特徴とする建築用板材をその要旨とした。
【0009】請求項2記載の発明は、塗膜成分が、ポリ
塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム、及びクロロプレンゴムから選ばれる極性高分子よ
りなることを特徴とする建築用板材をその要旨とした。
【0010】請求項3記載の発明は、塗膜成分が使用温
度域にガラス転移点を有する高分子よりなることを特徴
とする建築用板材をその要旨とした。
【0011】請求項4記載の発明は、活性成分が塗膜成
分100重量部に対して10〜100重量部の割合で含
まれていることを特徴とする建築用板材をその要旨とし
た。
【0012】請求項5記載の発明は、活性成分が、メル
カプトベンゾチアジル基を含む化合物の中から選ばれた
1種若しくは2種以上であることを特徴とする建築用板
材をその要旨とした。
【0013】請求項6記載の発明は、メルカプトベンゾ
チアジン基を含む化合物が、N、N−ジシクロヘキシル
ベンゾチアジル−2−スルフェンアミドであることを特
徴とする建築用板材をその要旨とした。
【0014】請求項7記載の発明は、メルカプトベンゾ
チアジン基を含む化合物が、2−メルカプトベンゾチア
ゾールであることを特徴とする建築用板材をその要旨と
した。
【0015】請求項8記載の発明は、メルカプトベンゾ
チアジン基を含む化合物が、ジベンゾチアジルスルフィ
ドであることを特徴とする建築用板材をその要旨とし
た。
【0016】請求項9記載の発明は、活性成分が、ベン
ゾトリアゾール基を持つ化合物の中から選ばれた1種若
しくは2種以上であることを特徴とする建築用板材をそ
の要旨とした。
【0017】請求項10記載の発明は、ベンゾトリアゾ
ール基を持つ化合物が、2−{2′−ハイドロキシ−
3′−(3″,4″,5″,6″テトラハイドロフタリ
ミデメチル)−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリア
ゾールであることを特徴とする建築用板材をその要旨と
した。
【0018】請求項11記載の発明は、ベンゾトリアゾ
ール基を持つ化合物が、2−{2′−ハイドロキシ−
5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾールであるこ
とを特徴とする建築用板材をその要旨とした。
【0019】請求項12記載の発明は、ベンゾトリアゾ
ール基を持つ化合物が、2−{2′−ハイドロキシ−
3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル}−5−クロ
ロベンゾトリアゾールであることを特徴とする建築用板
材をその要旨とした。
【0020】請求項13記載の発明は、ベンゾトリアゾ
ール基を持つ化合物が、2−{2′−ハイドロキシ−
3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベ
ンゾトリアゾールであることを特徴とする建築用板材を
その要旨とした。
【0021】請求項14記載の発明は、活性成分が、ジ
フェニルアクリレート基を持つ化合物の中から選ばれた
1種若しくは2種以上であることを特徴とする建築用板
材をその要旨とした。
【0022】請求項15記載の発明は、ジフェニルアク
リレート基を持つ化合物が、エチル−2−シアノ−3,
3−ジ−フェニルアクリレートであることを特徴とする
建築用板材をその要旨とした。
【0023】請求項16記載の発明は、塗膜成分中に、
ガラス転移点の異なる少なくとも2種以上の活性成分が
含まれている制振塗料によって制振層が形成されてい
て、前記制振層の制振性の発揮される温度領域が拡張さ
れていることを特徴とする建築用板材。
【0024】請求項17記載の発明は、制振層の厚さが
0.1mm〜2.0mmであることを特徴とする建築用
板材をその要旨とした。
【0025】請求項18記載の発明は、制振層の周波数
110Hzにおける誘電損率が50以上であることを特
徴とする建築用板材をその要旨とした。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の建築用板材につい
て詳しく説明する。本発明の建築用板材は、塗膜成分中
に、前記塗膜成分における双極子モーメント量を増加さ
せる活性成分が含まれている制振塗料によって制振層が
形成されていることを特徴とするものである。
【0027】まずここで、双極子モーメント量と振動エ
ネルギー吸収性能との関係について説明する。図1には
振動エネルギーが伝達される前の塗膜成分により形成さ
れた制振層11内部における双極子12の配置状態を示
した。この双極子12の配置状態は安定な状態にあると
言える。ところが、振動エネルギーが伝達されること
で、制振層11内部の存在する双極子12には変位が生
じ、図2に示すように、制振層11内部における各双極
子12は不安定な状態に置かれることになり、各双極子
12は、図1に示すような安定な状態に戻ろうとする。
【0028】このとき、エネルギーの消費が生じること
になる。こうした、制振層11内部における双極子の変
位、双極子の復元作用によるエネルギー消費を通じて、
振動エネルギーの吸収が生じるものと考えられる。
【0029】このような振動減衰のメカニズムから、図
1及び図2に示すような塗膜成分により形成された制振
層11内部における双極子モーメントの量が大きくなれ
ばなる程、その制振層11の持つ減衰性も高くなると考
えられる。このことから、制振層を形成する塗膜成分と
して、分子内部における双極子モーメント量がもともと
大きなものを用いることは、より高い振動エネルギー吸
収性能を有する制振層を形成する上で大変有用なことで
ある。
【0030】分子内部における双極子モーメント量がも
ともと大きなものとしては、極性高分子を挙げることが
できる。この極性高分子として、具体的にはポリ塩化ビ
ニル、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム(ACR)、
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレ
ン−ブタジエンゴム(SBR)、及びクロロプレンゴム
(CR)などを挙げることができる。
【0031】また本発明の建築用板材は、扉材、床材、
天井材あるいは壁材などに適用されるので、その振動の
発生箇所における使用時の温度(以下使用温度域とい
う。具体的には−20°C〜40°C)において、振動
エネルギーの減衰性が最も発揮される制振層を形成する
ことは、実用面において大変に有用なことである。
【0032】本発明の建築用板材では、使用温度域にお
いて振動エネルギーの吸収性能が最も発揮されるように
するため、使用温度域にガラス転移点を有する高分子を
塗膜成分として用いることを提案している。使用温度域
にガラス転移点を有する高分子としては、具体的にはポ
リ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−酢ビ共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ
化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレ
ン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−アクリロニトリル共重合体などの高分子に、ジ−2−
エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)
などの可塑剤を添加して、−20°C〜40°Cの使用
温度域にガラス転移点(Tg)を移動させたもの、ある
いは高分子そのものが−20°C〜40°Cの使用温度
域にガラス転移点(Tg)を有するアクリルゴム(AC
R)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、
スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム
(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(I
R)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン
などの高分子などを挙げることができる。
【0033】尚、塗膜成分としては、上述のものの他
に、従来の制振塗料において塗膜成分として用いられて
いるポリウレタン系やアスファルト系の成分を用いても
良い。
【0034】尚、塗膜成分を構成する成分の選択に際し
ては、前記分子内部における双極子モーメント量や使用
温度域の他、当該建築用板材の適用される用途や使用形
態に応じて、取り扱い性、成形性、入手容易性、温度性
能(耐熱性や耐寒性)、耐候性、価格なども考慮するの
が望ましい。
【0035】活性成分とは、塗膜成分における双極子モ
ーメントの量を飛躍的に増加させる成分であり、当該活
性成分そのものが双極子モーメント量が大きいもの、あ
るいは活性成分そのものの双極子モーメント量は小さい
が、当該活性成分が含まれることで、塗膜成分における
双極子モーメント量が飛躍的に増加するような成分をい
う。
【0036】例えば所定の温度条件、振動エネルギーの
大きさとしたときの、塗膜成分により形成される制振層
11に生じる双極子モーメントの量が、塗膜成分に活性
成分が含まれることで、図3に示すように、同じ条件の
下で3倍とか、10倍とかいった量に増加することにな
るのである。これに伴って、振動エネルギーが伝達され
たときの双極子の復元作用によるエネルギー消費量も飛
躍的に増大することになり、予測を遥かに超えた吸収性
能が生じることになると考えられる。
【0037】このような作用効果を導く活性成分として
は、例えばN、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−
2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプ
トベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスル
フィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジ
ル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−
ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BB
S)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スル
フェンアミド(OBS)、N、N−ジイソプロピルベン
ゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)などの
メルカプトベンゾチアジル基を含む化合物、
【0038】ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾ
トリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した
2−{2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,
5″,6″テトラハイドロフタリミデメチル)−5′−
メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMM
B)、2−{2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニ
ル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2′
−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェ
ニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPC
B)、2−{2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t
−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール
(2HDBPCB)などのベンゾトリアゾール基を持つ
化合物、
【0039】あるいは、エチル−2−シアノ−3,3−
ジ−フェニルアクリレートなどのジフェニルアクリレー
ト基を含む化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以
上を挙げることができる。
【0040】上述の活性成分の含有量としては、塗膜成
分100重量部に対して10〜100重量部の割合が好
ましい。例えば活性成分の含有量が10重量部を下回る
場合、双極子モーメントの量を増大させるという十分な
効果が得られず、活性成分の含有量が100重量部を上
回る場合には、十分に相溶しなかったり、十分な膜強度
が得られなかったりすることがある。
【0041】尚、前記塗膜成分に含まれる活性成分を決
定するに当たり、活性成分と塗膜成分との相溶し易さ、
すなわちSP値を考慮し、その値の近いものを選択する
と良い。
【0042】尚、双極子モーメントの量は、前述の塗膜
成分や活性成分の種類により様々に異なっている。ま
た、同じ成分を用いたとしても、振動エネルギーが伝達
されたときの温度により、その双極子モーメントの量は
変わる。また、伝達される振動エネルギーの大小によっ
ても、双極子モーメントの量は変わる。このため、当該
建築用板材を適用する用途の使用温度や振動エネルギー
の大きさなどを考慮して、そのとき最も大きな双極子モ
ーメント量となるように、塗膜成分や活性成分を選択し
て用いるのが望ましい。
【0043】また上記活性成分は1種に限らず、2種以
上配合することもできる。またこの場合、ガラス転移点
の異なる少なくとも2種以上の活性成分を前記塗膜成分
中に含ませて、同塗膜成分によって形成される制振層に
おける制振性の発揮される温度領域を拡張することも可
能である。例えばポリ塩化ビニルを塗膜成分としたとき
の、DCHPとDCHBSAの組み合わせや、同じくポ
リ塩化ビニルを塗膜成分としたときの、DCHPとDC
HBSAとECDPAの組み合わせを挙げることができ
る。
【0044】上記の如く塗膜成分中に活性成分が含まれ
ている制振塗料によって形成される制振層は、その双極
子モーメントの量が飛躍的に増大し、もって優れた振動
エネルギー吸収性能を発揮するに至るのであるが、この
制振層における双極子モーメントの量は、図4に示すA
−B間における誘電率(ε′)の差として表される。す
なわち図4に示すA−B間における誘電率(ε′)の差
が大きければ大きいほど、双極子モーメントの量が大き
いということになる。
【0045】さて、図4は誘電率(ε′)と誘電損率
(ε″)との関係を示したグラフであるが、このグラフ
に示す誘電率(ε′)と誘電損率(ε″)との間には、
誘電損率(ε″)=誘電率(ε′)×誘電正接(tan
δ)といった関係が成り立っている。
【0046】本発明者は、制振層についての研究を通し
て、ここでいう誘電損率(ε″)が高ければ高いほど損
失係数(η)及び損失正接(tanδ)も高いというこ
とを見い出したのである。すなわち、高分子の電子物性
を表す誘電損率(ε″)と力学的性質を示す損失係数
(η)及び損失正接(tanδ)との間には相関関係が
あるということである。
【0047】この知見に基づいて、上述の制振層におけ
る誘電損率(ε″)を調べたところ、本発明の建築用板
材における制振層は、周波数110Hzにおける誘電損
率が50以上のとき、損失係数(η)及び損失正接(t
anδ)のいずれの値も高く、優れた振動エネルギー吸
収性能を有していることが解った。
【0048】尚、本発明の建築用板材における制振層を
形成する制振塗料中(詳細には塗膜成分中)には、上記
活性成分の他に、吸収性能をさらに向上させる目的で、
マイカ鱗片、ガラス片、グラスファイバー、カーボンフ
ァイバー、炭酸カルシウム、バライト、沈降硫酸バリウ
ム等のフィラーを充填することもできる。フィラーの充
填量としては、10〜90重量%が好ましい。例えばフ
ィラーの充填量が10重量%を下回る場合には、フィラ
ーを充填しても十分な吸収性能の向上がみられず、反対
にフィラーの充填量を90重量%を上回る量としても、
現実に充填できなかったり、塗膜成分により形成される
制振層の機械的強度が低下したりするといった弊害を招
くことになる。
【0049】本発明の建築用板材における制振層を形成
する制振塗料は、上記塗膜成分に活性成分、必要に応じ
てフィラーを配合したものを、水またはアルコールに分
散させてエマルジョンの形態として用いるが、その場
合、分散剤、造膜助剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤、粘度
調整剤あるいは着色剤といった他の成分も必要に応じて
適宜添加される。
【0050】また制振塗料は、上述の塗膜成分及び活性
成分、水、アルコールなどの分散媒及び分散剤、その他
必要に応じてフィラー、造膜助剤、湿潤剤、増粘剤、消
泡剤、粘度調整剤あるいは着色剤といった他の成分を配
合した配合物を、ディゾルバー、バンバリーミキサー、
プラネタリーミキサー、グレンミル、オープンニーダ、
真空ニーダなどの従来公知の混合分散機によって分散混
合して製造される。
【0051】またこの制振塗料を用いて制振層を形成す
る場合、従来公知のエアスプレーガン、エアレススプレ
ーガン、刷毛塗りなどの塗布手段を用いることができ
る。
【0052】制振層の厚さとしては任意であるが、0.
1mm〜2.0mmの範囲が好ましい。制振層の厚さが
0.1mmを下回る場合、十分な振動エネルギー吸収性
能を得ることができず、2.0mmを上回る厚さとした
場合には、十分な振動エネルギー吸収性能を確保するこ
とはできる反面、板材から剥がれ易くなったり、板材の
重量が重くなってしまったりするという不具合が生じる
恐れがある。
【0053】尚、制振層が形成される板材の種類として
は任意であり、例えば合板、天然木よりなる板材、FR
P製板材、鉄やアルミニウムなどの金属板材などを挙げ
ることができる。
【0054】
【実施例】アクリル−スチレン系エマルジョン(BC−
280(常温タイプ)、大日本インキ化学工業株式会社
製)を34.1重量%、DCHBSA(サンセラーD
Z、三新化学工業株式会社製)を11.1重量%、制振
性フィラー(マイカ200HK、クラレ株式会社製)を
44.0重量%、分散剤(トリポリリン酸ソーダ、大日
本インキ化学工業株式会社製)を0.3重量%、消泡剤
(フォーマスターPC、サンノプコ株式会社製)を0.
1重量%、造膜助剤(エチレングリコール、三菱化学株
式会社製)を0.7重量%、増粘剤(アロンA−30、
東亞合成株式会社製)を0.4重量%、着色剤(ディス
パーブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)を
1.8重量%、さらに粘度調整剤として水を7.5重量
%の割合で加え、これらを混合して制振塗料とした。
【0055】この制振塗料を、縦が450mm、横が4
50mm、厚さが5.5mmの大きさの合板にエアスプ
レーガンによって塗布し、合板表面に厚さが1mmの制
振層を形成した(実施例1)。
【0056】実施例1の制振塗料を用いて同様に合板表
面に厚さが0.5mmの制振層を形成した合板(実施例
2)と、厚さが0.2mmの制振層を形成した合板(実
施例3)とを作製した。
【0057】上記実施例1〜3の合板における制振層の
誘電正接(tanδ)、誘電損率(ε″)及び誘電率
(ε′)を測定したところ、誘電正接(tanδ)が8
8、誘電損率(ε″)が192.72、誘電率(ε′)
が21.9となった。
【0058】上記実施例1〜3の制振層を形成した合板
と、比較として制振層を形成していない合板とを用い、
これらについて音圧レベルを測定した。尚、音圧レベル
の測定は、25℃において、図5に示すように、各試験
片1を鋼板2に接着し、この鋼板2の非接着面側にゴル
フボール3を当てた時に生じた騒音を鋼板2の接着面側
に1mの間隔をおいて設置した騒音計7(LA−21
0、小野測器株式会社製)で拾い、その電気信号をFF
Tアナライザー6(CF−350、小野測器株式会社
製)で数値化して読み取るという方法で測定した。この
結果を図6に示す。
【0059】図6から、各周波数において、実施例1〜
3にかかる合板の振動エネルギー吸収性能が優れている
ことが解る。特に実施例1〜3にかかる合板の振動エネ
ルギー吸収性能が200Hz以下の周波数領域で顕著で
あることは注目すべきである。
【0060】
【発明の効果】本発明の建築用板材は、塗膜成分中に、
前記塗膜成分における双極子モーメント量を増加させる
活性成分が含まれている制振塗料によって制振層が形成
されていることから、従来の制振シートを貼り合わせた
り、制振塗料を塗布して制振層を形成した建築用板材を
遥かに凌ぐ優れた振動エネルギー吸収性能を有する。
【0061】また、建築用板材における制振層の周波数
110Hzにおける誘電損率が50以上である場合、優
れた振動エネルギーの吸収性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】制振層における双極子を示した模式図。
【図2】振動エネルギーが伝達されたときの制振層にお
ける双極子の状態を示した模式図。
【図3】活性成分が配合されたときの制振層における双
極子の状態を示した模式図。
【図4】制振層における誘電率(ε′)と誘電損率
(ε″)との関係を示したグラフ。
【図5】音圧レベルを測定するための装置を示した模式
図。
【図6】実施例1〜3及び比較例の各合板の各周波数に
おける音圧レベルを示したグラフ。
【符号の説明】
11・・・制振層 12・・・双極子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年3月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】請求項6記載の発明は、メルカプトベンゾ
チアジル基を含む化合物が、N、N−ジシクロヘキシル
ベンゾチアジル−2−スルフェンアミドであることを特
徴とする建築用板材をその要旨とした。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】請求項7記載の発明は、メルカプトベンゾ
チアジル基を含む化合物が、2−メルカプトベンゾチア
ゾールであることを特徴とする建築用板材をその要旨と
した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】請求項8記載の発明は、メルカプトベンゾ
チアジル基を含む化合物が、ジベンゾチアジルスルフィ
ドであることを特徴とする建築用板材をその要旨とし
た。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗膜成分中に、前記塗膜成分における双
    極子モーメント量を増加させる活性成分が含まれている
    制振塗料によって制振層が形成されていることを特徴と
    する建築用板材。
  2. 【請求項2】 前記塗膜成分が、ポリ塩化ビニル、塩素
    化ポリエチレン、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブ
    タジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、及びクロロ
    プレンゴムから選ばれる極性高分子よりなることを特徴
    とする請求項1記載の建築用板材。
  3. 【請求項3】 前記塗膜成分が使用温度域にガラス転移
    点を有する高分子よりなることを特徴とする請求項1記
    載の建築用板材。
  4. 【請求項4】 前記活性成分が塗膜成分100重量部に
    対して10〜100重量部の割合で含まれていることを
    特徴とする請求項1記載の建築用板材。
  5. 【請求項5】 前記活性成分が、メルカプトベンゾチア
    ジル基を含む化合物の中から選ばれた1種若しくは2種
    以上であることを特徴とする請求項1記載の建築用板
    材。
  6. 【請求項6】 前記メルカプトベンゾチアジル基を含む
    化合物が、N、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−
    2−スルフェンアミドであることを特徴とする請求項5
    記載の建築用板材。
  7. 【請求項7】 前記メルカプトベンゾチアジル基を含む
    化合物が、2−メルカプトベンゾチアゾールであること
    を特徴とする請求項5記載の建築用板材。
  8. 【請求項8】 前記メルカプトベンゾチアジル基を含む
    化合物が、ジベンゾチアジルスルフィドであることを特
    徴とする請求項5記載の建築用板材。
  9. 【請求項9】 前記活性成分が、ベンゾトリアゾール基
    を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の建築用板材。
  10. 【請求項10】 前記ベンゾトリアゾール基を持つ化合
    物が、2−{2′−ハイドロキシ−3′−(3″,
    4″,5″,6″テトラハイドロフタリミデメチル)−
    5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾールであるこ
    とを特徴とする請求項9記載の建築用板材。
  11. 【請求項11】 前記ベンゾトリアゾール基を持つ化合
    物が、2−{2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニ
    ル}−ベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求
    項9記載の建築用板材。
  12. 【請求項12】 前記ベンゾトリアゾール基を持つ化合
    物が、2−{2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−
    5′−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾー
    ルであることを特徴とする請求項9記載の建築用板材。
  13. 【請求項13】 前記ベンゾトリアゾール基を持つ化合
    物が、2−{2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t
    −ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾールで
    あることを特徴とする請求項9記載の建築用板材。
  14. 【請求項14】 前記活性成分が、ジフェニルアクリレ
    ート基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種
    以上であることを特徴とする請求項1記載の建築用板
    材。
  15. 【請求項15】 前記ジフェニルアクリレート基を持つ
    化合物が、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニル
    アクリレートであることを特徴とする請求項14記載の
    建築用板材。
  16. 【請求項16】 前記塗膜成分中に、ガラス転移点の異
    なる少なくとも2種以上の活性成分が含まれている制振
    塗料によって制振層が形成されていて、前記制振層の制
    振性の発揮される温度領域が拡張されていることを特徴
    とする請求項1記載の建築用板材。
  17. 【請求項17】 前記制振層の厚さが0.1mm〜2.
    0mmであることを特徴とする請求項1記載の建築用板
    材。
  18. 【請求項18】 前記制振層の周波数110Hzにおけ
    る誘電損率が50以上であることを特徴とする請求項1
    〜17のいずれかに記載の建築用板材。
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