JPH10267913A - 抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法及び安定性測定装置 - Google Patents

抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法及び安定性測定装置

Info

Publication number
JPH10267913A
JPH10267913A JP7230597A JP7230597A JPH10267913A JP H10267913 A JPH10267913 A JP H10267913A JP 7230597 A JP7230597 A JP 7230597A JP 7230597 A JP7230597 A JP 7230597A JP H10267913 A JPH10267913 A JP H10267913A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
sensitized latex
latex reagent
stability
measuring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7230597A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kuroda
広志 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP7230597A priority Critical patent/JPH10267913A/ja
Publication of JPH10267913A publication Critical patent/JPH10267913A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短期間で抗体感作ラテックス試薬の長期間に
わたる安定性を評価することを可能とする安定性測定方
法を得る。 【解決手段】 抗体感作ラテックス試薬の有効残存量に
応じた特性値を期間をおいて少なくとも3回測定し、得
られた複数の特性値に基づいて式(1),(2)の反応
定数を求め、反応定数が決定された式(1),(2)に
より長期間にわたる抗体感作ラテックス試薬の有効残存
量を算出する抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗体感作ラテック
ス試薬の経時による安定性を測定するための方法及び装
置に関し、より詳細には、加速試験により、抗体感作ラ
テックス試薬の長期間保存後の安定性を短時間で評価す
ることを可能とする抗体感作ラテックス試薬の安定性測
定方法及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】物質や組成物の劣化は、化学反応の進行
によって、あるいは物理現象の進行によって生じること
が一般的に知られている。中でも、化学反応は、熱エネ
ルギーを加えることによりその速度が大きくなり、その
変化はアレニウスの式に従う(例えば、「医薬品速度
論」南江堂、山名月中編)。代表的なアレニウスの式
は、以下の通りである。
【0003】
【数3】
【0004】なお、上記式において、Xは物質残存量、
tは時間、Aは時間tにおける物質濃度、kは反応定
数、Tは温度(K)、Rは気体定数を示す。従って、従
来、薬品の長期間の安定性を評価するために、加熱によ
る加速試験が行われている。すなわち、薬品を常温より
も高い温度に加熱し、化学反応速度を高め、薬品の長期
間の安定性を短期間で測定することが行われている。こ
のような加速試験による安定性評価は、医薬品の安定性
評価において幅広く用いられている(Karl E. Peace 編
「医薬統計学」、サイエンティスト社発行)。
【0005】上述した加速試験を利用した安定性評価方
法は、被験物質の経時による化学反応が解明されている
場合には有効であり、薬品の長期間保存後の安定性を比
較的高い精度で測定することができる。しかしながら、
解明されている反応は少ないのが実情であり、また、未
知の反応の解明には、多大の労力を必要とする。
【0006】ところで、近年、免疫反応を利用した診断
薬として、不溶性ラテックスに抗体を感作してなる抗体
感作ラテックス試薬が用いられているが、この抗体感作
ラテックス試薬においては、その反応機構は未だ十分に
解明されていない。従って、抗体感作ラテックス試薬の
長期間保存における安定性を測定するには、長期間にわ
たり実際に抗体感作ラテックス試薬を保存し、測定する
必要があった。そのため、抗体感作ラテックス試薬の製
造方法や組成を決定するに際し、経時による変化を考慮
するために、多大の時間を必要とするという問題があっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した実情に鑑み、抗体感作ラテックス試薬の経時による
安定性を比較的短期間でかつ高精度に測定し得る方法、
並びにそのための装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法であっ
て、抗体感作ラテックス試薬の有効残存量に応じた特性
値を時間をおいて少なくとも3回測定するステップと、
少なくとも3回の測定により得られた複数の特性値に基
づいて、下記の式(1),(2)の定数を求めるステッ
プと、
【0009】
【数4】
【0010】定数が求められた式(1),(2)に基づ
いて抗体感作ラテックス試薬の一定時間経過後の有効残
存量を求めるステップとを備えることを特徴とする。請
求項2に記載の発明は、抗体感作ラテックス試薬の安定
性を測定するための装置であって、抗体感作ラテックス
試薬の有効残存量に応じた特性値を測定するための特性
値測定手段と、下記の式(1),(2)及び抗体感作ラ
テックス試薬の予測条件を記憶する記憶手段と、
【0011】
【数5】
【0012】前記特性値測定手段において、時間をおい
て少なくとも3回特性値を測定させ、得られた複数の特
性値に基づいて式(1),(2)の定数を算出し、前記
抗体感作ラテックス試薬の予測条件に基づいて、定数が
求められた式(1),(2)により、抗体感作ラテック
ス試薬の一定時間経過後の有効残存量を演算する制御手
段とを備えることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る抗体感作ラテ
ックス試薬の安定性測定方法及び測定装置の非限定的な
例につき、図面を参照しつつ説明する。
【0014】図1は、本発明に係る抗体感作ラテックス
試薬の安定性測定装置を説明するための概略ブロック図
である。安定性測定装置は、抗体感作ラテックス試薬の
特性値を測定する特性値測定装置1を有する。ここで、
特性値とは、抗体感作ラテックス試薬の有効残存量に関
連する特性値を広く含むものとし、例えば、特定の抗原
濃度の試料に対する試薬の抗原−抗体反応に起因する濁
度変化量、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマト
グラフィーにより測定される抗原に起因する経時的吸光
度変化曲線のピーク面積値などを例示することができ
る。例えば、濁度変化量を測定する場合には、特性値測
定装置としては、後述の吸光度測定装置を用いることが
できる。もっとも、特性値測定装置は、測定対象である
特性値に応じて、適宜選択され得る。
【0015】特性値測定装置1は、制御手段としてのC
PU2に接続されている。CPU2には、記憶部3及び
表示部4が接続されている。CPU2は、上述した特性
値測定装置1で測定された特性値に基づいて後述の演算
を行うと共に、演算結果を表示部4に出力し、表示させ
る。また、記憶部3は、CPU2からの指令に従って、
測定された特性値、後述の式(1),(2)、反応定
数、予測条件などを記憶する。
【0016】図2は、本発明に係る抗体感作ラテックス
試薬の安定性測定装置を用いた安定性測定方法を説明す
るためのフロー図である。まず、ステップS1におい
て、条件を入力する。条件の入力とは、使用する抗体感
作ラテックス試薬の種類に応じて反応速度式を入力する
と共に、試験に際しての温度などの反応速度に影響を与
える条件を入力する工程を含む。
【0017】本実施形態では、この条件入力ステップS
1において、式(1)及び(2)の入力と共に、抗体感
作ラテックス試薬を加速試験するための温度が入力され
る。また、抗体感作ラテックス試薬の初期濃度も入力さ
れる。入力された条件が記憶部3に記憶される。
【0018】次に、ステップS2において、特性値の測
定が行われる。本実施形態では、特性値として、抗体感
作ラテックス試薬の有効残存量に応じた濁度変化量が測
定される。この測定は、CPU2からの指令信号に基づ
き、特性値測定装置1が動作されて、行われる。
【0019】抗体感作ラテックス試薬の特性値を測定す
る工程においては、被験物質である抗体感作ラテックス
試薬と標準試料とを反応させることにより行われる。こ
の場合、反応は、抗原抗体反応及びそれに伴うラテック
ス凝集反応であり、5秒〜15分間及び恒温で行うこと
が好ましい。反応時間が5秒未満の場合には、正確な測
定を行うことができないことがあり、15分を超える
と、非特異的反応による凝集が生じ、正確な測定ができ
ないことがある。また、この特性値を測定するための反
応温度については、凝集反応が生じる温度であればよ
く、25℃〜37℃で行うことが好ましい。
【0020】前述した濁度変化を測定する場合の吸光度
測定については、ラテックス凝集反応の進行に伴う吸光
度の増加を測定することが望ましい。吸光度の測定は、
通常、500〜1000nm、好ましくは500〜80
0nm、さらに好ましくは550〜650nmの範囲か
ら適切な波長を選択することにより行われる。
【0021】なお、吸光度測定に使用する機器について
は、経時的に反応液の吸光度を測定し得るものであれば
特に限定されないが、入手が容易であり、比較的高精度
に吸光度を測定し得るため、汎用の生化学自動分析装置
を用いることが好ましい。さらに、上記測定波長、検体
量及び試薬量などについては、使用する分析装置に応じ
て適宜選択すればよい。
【0022】測定操作は、上記汎用の生化学自動分析装
置を用いる場合には、抗体感作ラテックス試薬を所定の
位置にセットし、標準試料をセットし、吸光度測定のた
めの条件をセットすることにより行う。吸光度計を用い
て測定する場合には、試薬と標準試料とを混合・攪拌
し、一定時間後の吸光度を測定する。好ましくは、例え
ば、日立製作所社製、7150型自動分析装置やCOB
AS社製、MIRAなどの生化学自動分析装置を用いる
ことが望ましい。
【0023】特性値の測定は、一定時間毎に少なくとも
3回行われ、従って複数の特性値が測定され、得られた
複数の特性値は、CPU2により記憶部3に記憶され
る。すなわち、特性値は、経時的に測定される必要があ
るが、式(1),(2)に代入し、反応係数を確定する
のに十分である限り、その時間間隔は特に限定されるも
のではない。通常、式(1),(2)に特性値を測定し
反応係数を確定するには、加熱前の測定値を含め、最低
3点必要とする。すなわち、初期濃度を含めて、一定時
間をおいて少なくとも3回測定する必要がある。
【0024】次に、ステップS3において、CPU2に
おいて、求められた特性値が式(1),(2)に代入さ
れる。すなわち、記憶部3に記憶されていた式(1)及
び(2)に、上記複数の特性値が代入される。なお、式
(1)及び(2)における、kn は反応nにおける反応
係数を示す。ここで、nは1〜4の自然数であり、反応
1は、吸着抗体の失活反応であり、反応2は不溶性担体
と抗体との吸着反応であり、反応3は不溶性担体と抗体
との脱離反応であり、反応4は非特異的な担体凝集反応
である。反応4については、担体がラテックス微小球以
外の場合には無視し得る反応である。また、式(1)及
び(2)は、連立するものである。
【0025】次に、ステップS4において、CPU2
は、最小二乗法により、反応係数を演算する。すなわ
ち、式(1)及び(2)に、測定された上記複数の特性
値を代入し、非線形最小二乗法を適用することにより、
式(1)及び(2)における反応係数kn が算出され
る。上記反応係数の演算に際し、非線形最小二乗法を用
いた近似計算法としては、適宜の方法を用い得るが、好
ましくは、ルンゲ−クッタ−ギル法やニュートン法など
を用いることができる。
【0026】また、上記非線形最小二乗法を利用した近
似計算法は、予め記憶部3に記憶されており、CPU2
は、この記憶部3に記憶されていた近似計算法に従って
上記反応係数を演算する。
【0027】また、式(2)により、任意の温度におけ
る反応係数kn が求められる。ステップS5において、
CPU2は、上記のようにして求めれた反応係数kn
式(1)及び(2)に代入する。このようにして反応係
数が代入された式(1)及び(2)が、記憶部3に記憶
される。
【0028】次に、ステップS6において、予測条件が
入力される。ここで、予測条件とは、抗体感作ラテック
ス試薬の長期間経過後の有効残存量を演算するために、
期間及び温度等の予測条件を入力するものである。
【0029】次に、ステップS7において、入力された
予測条件に基づいて、CPU2は、上記のようにして反
応係数が確定された式(1),(2)により、有効残存
量を算出する。この演算は、予測条件を式(1),
(2)に代入することにより行われる。このようにし
て、任意の時間及び温度における抗体感作ラテックス試
薬の有効残存量が求められる。
【0030】従って、本発明に係る抗体感作ラテックス
試薬の安定性測定方法では、最初に抗体感作ラテックス
試薬の有効残存量に応じた特性値を時間をおいて少なく
とも3回測定しておけば、該特性値を測定するのに必要
な時間よりも長期間抗体感作ラテックス試薬を保存した
場合の有効残存量を確実にかつ短時間で算出することが
できる。よって、抗体感作ラテックス試薬を実際に長期
間保存せずとも、抗体感作ラテックス試薬の経時による
安定性を高精度に評価することができる。
【0031】好ましくは、上記抗体感作ラテックス試薬
の有効残存量に応じた特性値を測定するための特性値測
定工程において、温度を30℃〜50℃とすることによ
り、より一層長期間にわたる抗体感作ラテックス試薬の
安定性を高精度に評価することができる。これは、温度
を30℃以上とすることにより、抗体感作ラテックス試
薬の劣化がより速やかに進行するため、長期間にわたる
安定性をより高精度に測定することができる。なお、5
0℃を超えると、抗体感作ラテックス試薬の抗体が変性
するおそれがある。
【0032】より好ましくは、上記特性値測定工程にお
ける温度は、加熱により反応や試薬の劣化がより速やか
に進行するため、室温での安定性を評価する場合には、
室温より10℃〜30℃高い温度、10℃における安定
性を評価するのであれば、20℃〜50℃の温度に設定
すればよい。
【0033】また、上記特性値測定工程において試薬を
含む反応系の温度設定については、複数の温度に担体感
作ラテックス試薬を維持して行うことが好ましい。これ
は、本発明に係る安定性評価方法では、加熱による反応
速度の変化により任意の温度の安定性を測定するもので
あるため、少なくとも2種類、好ましくは3〜5種類の
温度で測定することが望ましいからである。
【0034】この複数の温度のうち、少なくとも1種類
は、上記のように30〜50℃とすることが好ましく、
他の少なくとも1種類は、測定時の周囲温度、すなわち
室温の安定性を測定するのであれば室温、4℃における
安定性を測定するのであれば4℃で測定する必要があ
る。また、上記2種類の温度条件を含んでいる限り、他
の温度については、この間の任意の温度に設定すればよ
い。
【0035】上記2種類の温度条件を含まない場合に
は、抗体感作ラテックス試薬の反応や劣化の相違が大き
くないため、高精度に安定性を評価することができない
ことがある。
【0036】抗体感作ラテックス試薬の温度設定は、継
続的に行うことが好ましい。ここで、継続的とは、反応
や劣化が進行するのに十分な時間であれば、その長短は
問わないが、通常1〜4週間とされる。これより短い期
間の場合には、測定精度が低下し、長い期間であれば、
安定性評価に必要な期間を短縮し得るという本発明の効
果が低下することがある。もっとも、非常に長期間にわ
たる抗体感作ラテックス試薬の安定性を評価する場合に
は、4週間よりも長い期間であってもよいことは言うま
でもない。
【0037】なお、不溶性担体以外の物質が反応系に関
与する場合には、適宜このような不溶性担体以外の物質
を反映した関数を加えてもよい。例えば、抗体に対する
阻害反応などが考えられる場合、ミカエリス−メンテン
式のような上記反応を反映する適宜の関数を式(1),
(2)に加えてもよい。
【0038】本発明において安定性が評価される抗体感
作ラテックス試薬については、特に限定されるものでは
ない。抗体感作ラテックス試薬は、不溶性担体に抗体を
感作させたものであるが、この場合、不溶性担体につい
ても、特に限定されるわけではないが、粒径が比較的一
定であり、かつ一定の品質・性能を有するものを工業的
に大量生産し得る有機系微粒子が好ましい。有機系微粒
子の例としては、スチレン、塩化ビニル、アクリロニト
リル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステルなどのビニル系モノマーの単独重合体及び/ま
たは共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチル
メタクリレート−ブタジエン共重合体などのブタジエン
系共重合体などの微粒子を挙げることができる。中で
も、抗体の吸着性に優れており、かつ生物学的活性を長
期間安定に保持し得るため、特に、ポリスチレン系ラテ
ックス粒子が好ましい。
【0039】不溶性担体への抗体の感作は、物理的また
は化学的に吸着させる適宜の方法で行い得る。不溶性担
体であるラテックス粒子の粒径については、0.02〜
0.5μmが好ましいが、特に好ましくは、0.05〜
0.2μmである。粒径が0.02μm未満では、凍結
乾燥を起こった際に分散が困難となり、0.5μmを超
えると、自己凝集が進み、分散性が低下する。
【0040】抗体としては、特に限定されず、ポリクロ
ーナル抗体及びモノクローナル抗体の何れであってもよ
い。また、ポリクローナル抗体の場合、由来の動物種
(ヒト、ウサギ、ヤギ)についても特に限定されず、ま
た、純度(グロブリン画分またはアフィニティ精製画分
など)や処理方法(Fab´またはF(ab)2)につ
いても制限されるものではない。
【0041】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明す
る。 〔1〕試薬、材料及びラテックス試薬の調製 1)試薬及び材料 実施例で使用した試薬組成物及び材料は以下の通りであ
る。
【0042】ラテックス:平均粒径0.304μmの
ポリスチレンラテックス(固形分10%(W/V)、積
水化学工業社製)を用いた。 ラテックス希釈用緩衝液:50mMのNa2 HPO4
と50mMのNaH2PO4 をpH7.50になるよう
に混合し、ラテックス希釈用緩衝液として用いた。
【0043】抗α2−PI抗体:ヤギの抗血清からイ
ムノグロブリン分画にまで精製したヤギ抗α2−PI抗
体(1mg/ml)を用いた。 抗体希釈用緩衝液:ラテックス希釈用緩衝液を、抗体
希釈用緩衝液として用いた。
【0044】ブロッキング用緩衝液:100mMのN
2 HPO4 と100mMのNaH 2 PO4 をpH7.
40になるように混合し、ウシ血清アルブミン(Bovine
serum albumin、FractionV、Reagent Grade 、Miles
Corp. 社製)を1%(W/V)濃度になるように、ま
た、NaN3 (試薬特級、ナカライテスク社製)を0.
1%(W/V)濃度になるように添加したものを、ブロ
ッキング用緩衝液として用いた。
【0045】検体希釈用希釈液(R1液):ブロッキ
ング用緩衝液に、ポリエチレングリコール(平均分子量
7,500、和光純薬工業社製、ポリエチレングリコー
ル6000)を3%(W/V)濃度になるように添加し
たものを検体希釈用希釈液(R1液)として用いた。 α2−PI測定用ラテックス凝集免疫試薬:市販のラ
テックス凝集免疫試薬(エルピアエースα2−PI、ダ
イアヤトロン社製)を用いた。
【0046】2)ラテックス試薬の調製 平均粒径0.304μmのポリスチレンラテックス(固
形分10%(W/V))1容に、ラテックス希釈用緩衝
液3容を添加希釈し、固形分2.5%(W/V)濃度の
ラテックス液とした。抗α2−PI抗体を、タンパク濃
度が5mg/mlになるように抗体希釈用緩衝液で希釈
し、感作抗体液とした。2.5%(W/V)ラテックス
液200μlを25℃のインキュベーター中でマグネチ
ックスターラーで攪拌しながら、抗体感作液800μl
を素早く添加し、25℃にて1時間攪拌した。その後、
ブロッキング用緩衝液を2.0ml添加し、25℃にて
続けて2時間攪拌した。次に、15℃、15,000r
pmにて15分間遠心分離した。得られた沈殿にブロッ
キング用緩衝液4.0mlを添加し、同様にして遠心分
離することにより、沈殿を洗浄した。洗浄操作は3回行
った。この沈殿にブロッキング用緩衝液を2.0ml添
加し、よく攪拌した後、超音波破砕機にて分散処理を行
い、固形分0.25%(W/V)のラテックス試薬とし
た。このようにして調製したラテックス試薬を4℃にて
保存した。
【0047】〔2〕ラテックス試薬の加速試験 1)α2−PI標準品の調製 α2−PIの標準品として、ヒトプール血清(米国バイ
オプール社製)及びこれを生理食塩水で希釈したものを
用いた。
【0048】ヒトプール血清中のα2−PIの濃度は、
酵素免疫測定法(帝人化学社製試薬使用)により測定し
たところ、5.4mg/dlであった。このα2−PI
を生理食塩水で希釈したものについては、濃度を、それ
ぞれ、1.3及び2.6mg/dlとなるように調製し
た。このようにして、3種類の標準試料を得た。上記標
準試料については、調製した後、凍結乾燥により保存
し、使用時に精製水により溶解することにより、下記の
測定に用いた。
【0049】2)加速試験 加速試験における被験抗体感作ラテックス試薬の測定性
能の初期値は、後述の〔3〕の測定方法に基づき、標準
試料品を測定することにより決定した。加速試験の詳細
は以下の通りである。
【0050】まず、密封し得る20mlプラスチックチ
ューブに抗体感作ラテックス試薬15mlを密封したも
のを複数本用意し、それぞれ、温度4℃、10℃、20
℃、35℃及び45℃に設定した恒温槽に入れた。次
に、1日後、2日後、3日後、7日後、及び14日後
に、後述の(3)の測定方法に従って標準試料を用いて
吸光度変化量を測定した。
【0051】〔3〕ラテックス試薬による吸光度変化量
の測定 ラテックス試薬による吸光度変化量の測定は、生化学自
動分析装置(日立製作所社製、7150型)を用いて行
った。上記〔2〕の加速試験によりサンプリングされて
得られた固形分0.25(W/V)濃度のラテックス試
薬をそのままR2液(固形分0.25%(W/V))と
した。測定条件は以下の通りである。
【0052】 標準試料容量 3μl 標準試料希釈液(R1液) 300μl 試薬(R2液) 100μl 測定波長 570nm 測定温度 37℃ ラテックス試薬(R2液)を添加してから約80秒後の
吸光度と、約320秒後の吸光度との差を波長570n
mで測定し、この吸光度の差を1万倍したものを吸光度
変化量とした。
【0053】〔4〕安定性評価 上記加速試験により測定されたデータ、すなわち複数の
特性値を本発明に係る安定性測定装置に入力し、式
(1),(2)に代入した。この場合、入力は、10
℃、37℃及び46℃の各温度における、初期値及び1
日後、2日後、3日後、7日後及び14日後の測定値を
入力した。式(1),(2)における未知係数はそのま
まとした。
【0054】次に、最小二乗法を行うために、未知係数
の初期値を入力した。この初期値としては、それぞれ、
想定される値と同じ桁数の数値を入力した。次に、ルン
ゲ−クッタ−ギル法により、各測定値が最も残差が少な
い解を求め、反応係数を確定した。
【0055】〔5〕結果 上記のようにして求められた反応係数は、下記の表1に
示す通りである。
【0056】
【表1】
【0057】また、上記のようにして算出された反応係
数に基づいて、予測材料として10℃、37℃及び46
℃における1.2mg/dl、5.4mg/dl及び
9.1mg/dlの濃度の抗体感作ラテックス試薬の経
時による吸光度変化量を演算した。一例として、10℃
における結果を図3〜図5に示す。なお、図3は、1.
2mg/dl濃度の標準試料、図4は、5.4mg/d
lの標準試料、図5は、9.1mg/dlの標準試料に
ついての本発明に従って予測された吸光度の経時的変化
を●で示す。比較のために、実際に、各標準試料の実際
の経時的変化を図3〜図5に□印で示す。
【0058】図3〜図5から明らかなように、上記各濃
度の抗体感作ラテックス試薬において、実際の経時的変
化と、本発明に従って予測された経時的変化がほぼ一致
していることがわかる。
【0059】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明に
係る抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法では、抗
体感作ラテックス試薬の有効残存量に対応した特性値を
時間をおいて少なくとも3回測定し、得られた複数の特
性値に基づいて式(1),(2)の反応係数が決定さ
れ、反応係数が確定された式(1),(2)に基づいて
抗体感作ラテックス試薬の長期間にわたる劣化や分解に
伴う安定性を高精度に評価することが可能となる。すな
わち、例えば数週間程度の短期間で上記特性値測定ステ
ップを実施することにより、数カ月あるいは数年にわた
る長期間の安定性を高精度に評価することが可能とな
る。よって、抗体感作ラテックス試薬の安定性を従来法
に比べて非常に短時間で測定することができるので、抗
体感作ラテックス試薬の開発の短縮を図ることができ、
抗体感作ラテックス試薬の開発コストを大幅に低減する
ことが可能となる。
【0060】請求項2に記載の発明に係る抗体感作ラテ
ックス試薬の安定性測定装置によれば、請求項1に記載
の発明に従って抗体感作ラテックス試薬の安定性を短期
間で評価し得るため、請求項1に記載の発明と同様に、
抗体感作ラテックス試薬の開発期間の短縮及び開発コス
トの大幅な低減を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る抗体感作ラテックス試薬安定性測
定装置の概略ブロック図。
【図2】本発明に係る抗体感作ラテックス試薬の安定性
測定方法のフローチャートを示す図。
【図3】1.2mg/dl濃度の標準試料を用いた場合
の本発明に従って予測された吸光度の経時的変化と、実
際の吸光度の経時的変化を示す図。
【図4】5.4mg/dl濃度の標準試料を用いた場合
の本発明に従って予測された吸光度の経時的変化と、実
際の吸光度の経時的変化を示す図。
【図5】9.1mg/dl濃度の標準試料を用いた場合
の本発明に従って予測された吸光度の経時的変化と、実
際の吸光度の経時的変化を示す図。
【符号の説明】
1…特性値測定装置 2…制御手段としてのCPU 3…記憶部 4…表示部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方
    法であって、 抗体感作ラテックス試薬の有効残存量に応じた特性値を
    時間をおいて少なくとも3回測定するステップと、 少なくとも3回の測定により得られた複数の特性値に基
    づいて、下記の式(1),(2)の定数を求めるステッ
    プと、 【数1】 定数が求められた式(1),(2)に基づいて抗体感作
    ラテックス試薬の一定時間経過後の有効残存量を求める
    ステップとを備えることを特徴とする抗体感作ラテック
    ス試薬の安定性測定方法。
  2. 【請求項2】 抗体感作ラテックス試薬の安定性を測定
    するための装置であって、 抗体感作ラテックス試薬の有効残存量に応じた特性値を
    測定するための特性値測定手段と、 下記の式(1),(2)及び予測条件を記憶する記憶手
    段と、 【数2】 前記特性値測定手段において、時間をおいて少なくとも
    3回特性値を測定させ、得られた複数の特性値に基づい
    て式(1),(2)の定数を算出し、前記抗体感作ラテ
    ックス試薬の予測条件に基づいて、定数が求められた式
    (1),(2)により、抗体感作ラテックス試薬の一定
    時間経過後の有効残存量を演算する制御手段とを備える
    ことを特徴とする抗体感作ラテックス試薬の安定性測定
    装置。
JP7230597A 1997-03-25 1997-03-25 抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法及び安定性測定装置 Pending JPH10267913A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7230597A JPH10267913A (ja) 1997-03-25 1997-03-25 抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法及び安定性測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7230597A JPH10267913A (ja) 1997-03-25 1997-03-25 抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法及び安定性測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10267913A true JPH10267913A (ja) 1998-10-09

Family

ID=13485431

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7230597A Pending JPH10267913A (ja) 1997-03-25 1997-03-25 抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法及び安定性測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10267913A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009244112A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Dainippon Sumitomo Pharma Co Ltd 医薬品製剤の安定性予測方法
JP2014526708A (ja) * 2011-09-20 2014-10-06 バイオ−ラッド ラボラトリーズ インコーポレーティッド 分析アッセイのためのカスタマイズされた品質対照

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009244112A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Dainippon Sumitomo Pharma Co Ltd 医薬品製剤の安定性予測方法
JP2014526708A (ja) * 2011-09-20 2014-10-06 バイオ−ラッド ラボラトリーズ インコーポレーティッド 分析アッセイのためのカスタマイズされた品質対照
US9909959B2 (en) 2011-09-20 2018-03-06 Bio-Rad Laboratories, Inc. Customized quality controls for analytical assays

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mire-Sluis et al. Recommendations for the design and optimization of immunoassays used in the detection of host antibodies against biotechnology products
JP3364537B2 (ja) 非競合結合検定方法
US4205954A (en) Kinetic latex agglutinometry
JPS6314783B2 (ja)
CN108152512A (zh) 肝素结合蛋白检测试剂盒及其制备方法
WO2006025401A1 (ja) 抗原の測定方法及びそのための試薬
JPH04350559A (ja) 特異抗体の測定法
Navrátilová et al. Development of piezoelectric immunosensors for measurement of albuminuria
Joyce et al. Determination of Anti-drug Antibody Affinity in Clinical Study Samples Provides a Tool for Evaluation of Immune Response Maturation
WO2009054538A1 (ja) 免疫学的微小粒子の凝集反応を用いる検体のアクロレイン付加体の測定方法および測定用キット
JP2553852B2 (ja) サンプル中の生物学的物質の免疫学的測定法
JPH10267913A (ja) 抗体感作ラテックス試薬の安定性測定方法及び安定性測定装置
JP4095888B2 (ja) 免疫学的分析試薬及び免疫学的分析方法
JP4507439B2 (ja) ラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いるキット
JP4556605B2 (ja) 標的物質の測定方法および測定試薬
JPH01147367A (ja) 凝血因子の測定方法及び測定用試薬
D'orazio et al. Potentiometric electrode measurement of serum antibodies based on the complement fixation test
JP2000146974A (ja) 免疫測定法
JPH10104232A (ja) ヒトプラスミノーゲンの定量方法及び測定キット
JPH09304386A (ja) 免疫診断薬の製造方法および得られた免疫診断薬
JP2000258419A (ja) 免疫測定試薬及び免疫測定法
JPS5992353A (ja) 不溶性担体粒子を用いる凝集反応測定方法
JPH08304398A (ja) 免疫測定方法
Whicher Problems encountered in immunochemical technique methodology
JP3544787B2 (ja) ラテックス比濁免疫測定法