JPH10266674A - 扉の振動ロック装置 - Google Patents

扉の振動ロック装置

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Publication number
JPH10266674A
JPH10266674A JP8559497A JP8559497A JPH10266674A JP H10266674 A JPH10266674 A JP H10266674A JP 8559497 A JP8559497 A JP 8559497A JP 8559497 A JP8559497 A JP 8559497A JP H10266674 A JPH10266674 A JP H10266674A
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JP
Japan
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hook
door
vibration
ball
ball receiving
Prior art date
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Pending
Application number
JP8559497A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiko Ikeda
靖彦 池田
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Nifco Inc
Original Assignee
Nifco Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 地震等により収納箱内の品物が崩れ扉を押し
開いて落下する危険を防止するロック装置の提供。 【解決手段】 ロック装置本体5は収納箱の上板7の下
面に固定される取付基体8と、該基体に揺動自由に支持
されるフック部材9と、該フック部材の自由な動きを拘
束する重錘球10とを含み、扉体にはフックが係合する
フック受け6よりなる。フック部材は取付基体の支持部
に回動自在に軸着し、先端部のフックが自重もしくは付
勢手段により下降し、フック受けに係合するのを妨げる
ための重錘球を他端に有する。地震等の振動により重錘
球が自動転落し、フック部が自重もしくは付勢手段によ
り降下し、フック受けと係合し、扉の開放を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、扉付きの棚や家
具の扉が地震等の強い振動を受けたとき、この振動を検
出して自動的にロック作動し扉が任意に開放するのを防
止するようにした扉の振動ロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】棚や家具の扉には自然開放を防ぐため何
等かの止め手段を備えているのが普通である。錠前も任
意の開放を阻止する一つの手段であるが、一般的には頻
繁に開閉される扉の場合には把手の部分に開閉操作に連
動させてロック状態を解除できるようにした係止手段を
備えたものや、更に簡便なものには素材のバネ力を使っ
て掛け止めるも、或いはマグネットの吸着力によって止
め付け扉が任意に開放しないようにしたもの等が知られ
る。
【0003】錠前や、把手の操作に連動させてフックの
係合を外し開放する形式のロック装置は扉を開閉する度
にこの解除操作をしなければ任意に開放することができ
ないが、頻繁に開閉される扉について広く使用されてい
るばね力を利用した挟持形の係止手段やマグネットによ
る係止手段は、閉塞時ばねの挟持力により、或いは吸着
力により扉を保持するものであるため少々強く引けば簡
単に開放することができる。このため地震等の強い振動
を受けて棚、家具に収めた品物が崩れ、内側から扉を圧
迫すると、簡単に開放して品物が飛び出る危険がある。
【0004】そのため従来、ロック装置を備えない扉の
場合には振動による任意の開放を防ぐため、マグネット
等の係止手段に併せて鉤形に形成したフック手段を別に
備え、扉の閉塞時にはこれをその都度掛け止め、背後か
らの押圧に備える等転落防止の策が採られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
開放防止方法はフック手段によって扉を掛け止め棚,家
具等の本体、即ち収納箱に連結して拘束する方法を採る
ため、閉塞時にこのロック手段を掛け止める作業を要す
る外、開放時には必ずフックを外す作業が必要となり日
常的に開閉する扉の場合には大変煩わしいものとなり、
利用されなくなる問題があった。
【0006】本発明は、この様な問題に鑑み開発された
もので、特に扉の開閉作業には全く影響を与えることな
く平常時の開閉操作を行うことができ、扉の閉塞時に棚
や家具に地震等による振動が作用したとき、この振動に
反応して扉の開放を自動的に拘束し、棚等の内部に収納
する品物の飛び出しを未然に防止するようにした扉の振
動ロック装置を提供しようとするものである。
【0007】また、本発明は棚,家具等収納箱に作用す
る振動の強さに対しロックの反応時期を変更可能にして
予め想定する異なる強さの振動に対して反応し、扉の開
放を段階的に変更拘束できるようにした扉の振動ロック
装置を提供せんとするものである。
【0008】また本発明は、振動に反応して扉をロック
したとき、簡単な操作によってこれを解除できるように
すると共に、再使用を可能にし、また更には既設の棚,
既製の家具等にも容易に組付け利用できるようにした扉
の振動ロック装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上述するような
目的の下に開発されたもので、その特徴とするところは
扉付き収納箱の上板下面に設置されるロック装置本体
と、扉の背面に前記ロック装置本体に向い合せに取付け
られるフック受けとからなる扉の振動ロック装置であっ
て、前記ロック装置本体は前記上板下面に固定される取
付基体と、該取付基体に揺動自由に支持されるフック部
材と、該フック部材の自由な揺動を拘束する重錘球とを
含み、前記フック部材は長さの途中を前記取付基体の支
持部に回動自由に軸着し先端部のフックと後端部の球受
け台とを上下に揺動自由に支持し、常には前記先端部の
フックを自重若しくは付勢手段によって下降方向に付勢
する一方、前記後端部の球受け台上に転落可能に載置す
る前記重錘球の重量により前記フックを跳上げて前記フ
ック受けとの係合を外すように保持し、前記収納箱に予
め想定する強さ以上の振動が作用したときこの振動で前
記球受け台上の前記重錘球を自動転落させ、前記跳上げ
るフックを前記フック受けに自動係合させ前記扉の開放
を拘束するようにしたことを特徴とする扉の振動ロック
装置を提供することにある。
【0010】即ち、本発明は揺動自由に支持されるフッ
ク部材に重錘球を載置して常にはこのフック部材のフッ
クを跳上げ状態に保ち解放姿勢を採らせ、その一方予め
想定する強さ以上の振動を受けたとき上記重錘球を前記
フック部材から転落させて押し付けを解き、これによっ
て前記フックの解放姿勢を解いて扉に装置するフック受
けに係合させ扉の自然開放を防止するようにした扉の振
動ロック装置を提供しようとするものである。
【0011】また一方、本発明は前記フック部材の先端
部を下降方向に付勢する手段として前記フック部材と取
付基板との間にばねを縮設して付勢するようにしたこと
を特徴とする扉の振動ロック装置を提供することにあ
る。
【0012】また、本発明は前記球受け台について、こ
れを略台形状に形成してその上面に球受け凹部を形成す
るようにした扉の振動ロック装置を提供することにあ
る。
【0013】また、本発明は前記球受け台について前記
フック部材とは別体となる球受け凹部を備える球受け部
材を形成して前記フック部材後端部に着脱自在に装着
し、これによって前記球受け凹部の口径の異なる複数の
球受け台を任意選択自由に装着できるようにした扉の振
動ロック装置を提供することにある。
【0014】また、本発明は前記フック部材先端部のフ
ックは下向きの係止爪を有し、他方扉に設けられるフッ
ク受けは上記係止爪を受ける上向きの係止爪を有するこ
とを特徴とした扉の振動ロック装置を提供することにあ
る。
【0015】また更に、本発明は前記フック受けは2つ
の分割体から構成し、且つ両分割体相互の間に所要の間
隙を設けると共に、扉にはこの間隙に対応させてロック
解除の板片を挿入するスリットを設けてなることを特徴
とした扉の振動ロック装置を提供することにあり、更に
は前記2つの分割体からなるフック受けは閉じ合せにな
る2枚の扉の各自由端の背面に並べて設け、両扉の自由
端間の間隙をロック解除の板片を挿入するスリットとす
るようにしたことを特徴とする扉の振動ロック装置を提
供することにある。
【0016】また、本発明は前記ロック本体には取付基
板に開閉自由なカバーを装着し、ロック部材を下方から
包むようにしたことを特徴とする扉の振動ロック装置を
提供することにある。
【0017】また、本発明は前記カバーを椀形に形成し
てその底部の最下部に前記フック部材の球受け台が位置
するようにしたことを特徴とする扉の振動ロック装置を
提供することにある。
【0018】また更に、本発明は前記カバーを椀形に形
成すると共に、その底部の最下部にフック部材の球受け
台を受け入れる凹部を形成したことを特徴とする扉の振
動ロック装置を提供することにある。次に、本発明を実
施例に基づき詳細に説明し、併せて前記以外のその他の
特徴とするところを説明することにする。
【0019】
【発明の実施の形態】
【実施例1】図1は本発明に係る振動ロック装置1を収
納庫2の扉3,4について実施した使用状態の斜視図
で、図2乃至図4はそれぞれ一部を断面とした要部の拡
大側面図と平面図である。図示するように振動ロック装
置1はロック装置本体5とこのロック装置本体にって係
止されるフック受け6とから構成され、この実施例では
1個のロック装置本体によって左右の扉3,4を同時に
拘束できるように2個のフック受け6,6を隣り合せに
設けた場合について示している。
【0020】前記ロック装置本体5は、収納庫2の上板
(天井板)など家具や棚の上板7の下面に取付けるため
の取付基体8と、この取付基体8に揺動自由に支持され
るフック部材9と、このフック部材9の任意の揺動を拘
束する重錘球(鋼球)10を構成要素としており、ここ
では更に前記フック部材9と重錘球10を包むため前記
取付基体8にカバー11を着脱自由に取付けている。
【0021】取付基体8は板状に形成して適宜開設する
ネジ用透孔12を通して前記上板7の下面にネジ止めし
ており、その前縁13側の下面には前後方向に開口する
断面門形をなす支持体14を立設し、その向い合う左右
の壁に貫通する軸受孔15,15を対向状に開設して支
持部16,16を形成している。
【0022】上記支持部16,16は後縁部から後向き
に前記カバー11を案内する案内片17,17を延設
し、更にこの支持部を連結する板18の後縁部中央にカ
バー11を係止する係止切欠き部19を設けている。
【0023】前記フック部材9は前後方向に長さを有
し、肉厚にした中央部には左右方向に貫通する如く軸孔
20を形成し、また先端部には下向きの爪21を有する
フック22を、そして後端部には球受け台23を形成し
ている。
【0024】上記フック22は図4,5に示したように
板状にしてフック部材の中央部分から先に向って徐々に
幅を狭めるように形成し、その先端縁から直角状に爪2
1を垂設し、後述するように2つの前記フック受け6,
6に同時に掛け止められるようにしてあ。
【0025】一方、後端部の前記球受け台23は前記フ
ック部材9の中央部分の両側端から腕24a,24aを
並行に延ばしてこの腕の先端同志を枠24bで繋いで全
体の形状がコ字形になるよう形成してあり、後端の枠2
4bの中央部に環状の装着受部25を形成してこの受部
25に重錘球10を載置する球受け部材26を着脱自由
に嵌合している。
【0026】上記球受け部材26は実質的に前記球受け
台24を構成するものであり、この実施例では図7,8
に示したように円錐台形状に形成してその下面に前記受
部25の中空部25aに嵌め付ける円柱状の嵌合部27
を垂設し、また上面中央部から上記嵌合部27の中央を
貫く円孔を穿って球受け凹部28を設けている。
【0027】この球受け部材26は、球受け台24に受
ける重錘球10の安定性を選択的に変更するためのもの
で、この実施例では図7に示したように大径の円孔を穿
って球受けの凹部28を大口径としたものと、図8に示
したように小径の円孔を穿って小口径の凹部28とした
ものとを準備している。これら口径を異にした2つのも
のは嵌合部27を同一にして互換性をもたせてあり、選
択的に取り替えて凹部28の口径を変更し、重錘球10
に対する安定性を変更することができるようにしてあ
る。
【0028】前記カバー11は後縁を弧状に形成する板
29の縁に沿って壁30を弧状に立設することによって
前方と上方を開放させてあり、上記板29の前縁中央部
に突設する係止爪31を前記取付基体8の板18に設け
る切欠き部19に掛け止め、更に上記壁30の後部上縁
に内向きに突設する係止爪32を前記取付基体8の下面
後端中央部に設ける門形の係止部33に差し入れること
によって取付基体8に対して着脱自由に装着できるよう
にしてある。
【0029】一方、前記フック受け6,6は先端に起立
する爪6aを設けて鉤形に形成してあり、後端部に設け
る取付片6bを止めネジ34で扉3,4の各自由端側の
背面上部に肩を揃えて止め付けてある。
【0030】前述したようにこの実施例では左右に開閉
する2枚の扉3,4をロックするため2個のフック受け
6を使用しているが、左右の扉3,4はそれぞれ蝶番3
5によって開閉自由に蝶着してあり、前記フック受け
6,6を扉の各自由端の背面上部に爪6aを上向けにし
て並べて取付けてある。そして、この両フック受け6,
6に向き合うように前記ロック装置本体5に設けられる
フック部材9のフック22を臨ませている。
【0031】ところで、上記ロック装置本体5は合成樹
脂を素材に各部を個別に成形し、それぞれを組合せるこ
とによって完成させる構造にしてあり、組立と取付けを
同時に行えるようにもしてある。この関係の説明をしな
がらロック装置本体5について更に詳述する。
【0032】各部を個別に形成したロック装置本体5
は、先ず取付基体8を上板7の前縁に沿った下面中央部
に添わせ、前述したように透孔12にビスを通して固定
し、その後フック部材9をこの取付基体8の支持体14
に向けて後方から差し通し、この作業で軸受孔15,1
5に軸孔20が連通し一致したところで支軸36を刺し
通し、軸着して組み立てるようにしてある。
【0033】上記支軸36の軸着によってフック部材9
はこの支軸を支点に先後両端部を上下方向に揺動自由に
支持されることになる。そして、ここでは先端部側に重
心を偏在させて常にはフック22が下降姿勢を採るよう
にしてある。更にこの実施例ではフック部材9に設ける
軸孔20より先端部側の位置に上方から盲孔37を穿
ち、これにコイルばね38を圧縮した状態で収め、その
上端を前記取付基体8の下面に当接して強制的にフック
22が下降姿勢を採るよう付勢してある。
【0034】上記フック部材9の組付けは取付基体8を
上板7に固定した後に行うことを妨げないが、組立作業
の手順から取付基体8にフック部材7を予め組付けてお
くとよい。
【0035】ビスにより取付基体8を前述した所定の位
置に固定したのち、前記重量並びにばね38によって跳
ね上げられるフック部材9の後端部、つまり球受け台2
3をばね38に抗して引下げ、この状態で受部25に装
着される球受け部材26の凹部28に重錘球10を載置
し、この重量で先端部のフック22を跳上げた姿勢に拘
束し、使用に対するセットを完了することになる。
【0036】図2は重錘球10によって後端部を下降さ
せ、ばね38を収縮させてフック23を跳上げて上昇姿
勢に保持した上記セット完了状態を示している。このと
きフック部材9は球受け台23の下面を支持体14の板
19の上面に当接させて球受け台23を略水平に保ち、
球受け部材26上の重錘球10の自然転落を防ぐことに
なる。そして、フック22はこの姿勢を保持することに
よって爪21を扉に取付けるフック受け6の爪6aの位
置より高く支持することになる。
【0037】ロック装置本体5は球受け台23に重錘球
10を載置することによってセットを完了した後、取付
基体8に係止爪31,32を使ってカバー11を止め付
け球受け台23を被覆する。このカバー11はフック部
材の球受け台23とこれに載置される重錘球10を被覆
するものであり、同時に後述するように振動によって重
錘球が落下したときこれを補球し紛失するのを防止する
のに役立つ。
【0038】上述した如く構成される本発明の振動ロッ
ク装置は、常時は球受け台23に重錘球10を載置し、
フック22を上昇させた姿勢に保持されることから扉
3,4は自由に開閉することができる。そして、扉が閉
塞されたときフック受け6,6の直上に前記フック22
が臨むことになる。
【0039】この扉3,4を閉塞したとき地震の発生等
により振動が収納箱2に作用すると、収納箱とともにこ
れに取付られたロック装置本体5がこの振動を受け、フ
ック部材9に直接伝えることになり、この振動が球受け
台23上にあって静止常態にある重錘球10が凹部28
に止まっておれない強さになると、重錘球10は安定性
を崩され凹部28から外れて落下することになる。
【0040】この重錘球10の安定性は載置する凹部2
8の口径によって決定されることになる。図7の如く大
径の場合は安定性が高く、従って重錘球10の落下がし
難くなり、図8の如く小径の場合は当然のように落下し
易くなり小さな振動によって容易に転落することにな
る。従って、振動に対して上記凹部28の口径を選択す
ることによって落下時期が選ばれ振動の強さに対応する
ことになる。
【0041】さて、前記フック部材9は振動を受けて球
受け台23から重錘球10が落下し拘束から解放される
と、上昇した先端部のフック22が下降することにな
る。このときフック22は自重とばね38の付勢により
迅速に下降することになり、下で待ち受ける扉3,4の
フック受け6,6に係合して扉の開放を阻止することに
なる(図3)。
【0042】尚、この実施例では図示するように扉3,
4を閉塞したとき、フック22の下に差し入れられるフ
ック受け6の爪6aを後方に深く突き出し、フック22
の爪21との間に前後方向の間隔が設けられるようにし
てある。この間隔は重錘球10から解放されてフック部
材9が揺動する時間、つまりフック部材9の作動時間を
吸収して確実な係合を達成させるためのものである。
【0043】フックの爪21とフック受け6の爪6aの
前後の位置のずれによる間隔はロック部材9を迅速に揺
動させることによって縮小することが可能であるが、ば
ね38を単に強くする等して動作を速めると、これに伴
わせて重錘球10の重量を増加させる等の処置が必要と
なる。しかし、単に重錘球を重くすると重量増に伴って
振動に対する重錘球の反応が悪くなる等の問題が起こる
ので、相互のバランスに留意して選択することが必要に
なる。
【0044】フック22をフック受け6に係合させた扉
3,4はフック受けの爪6aが爪21に係合するまで開
放方向に開くことになるが(図3を参照)、爪の噛み合
いによってロック状態は維持される。従って収納箱内部
に収めた品物が振動によって横滑りしても飛び出すこと
はなく安全が確保されることになる。
【0045】ところで、本発明に係るロック装置1は前
述したように収納箱内に設置されるものであり、振動を
受けて扉がロックされたときには扉の背後においてフッ
ク22とフック受け6が係合するためこのまゝの状態で
はロック状態を解除することができなくなる。本発明は
その解決策として左右の扉3,4の自由端間に出来る間
隙を通して左右のフック受け6,6の間にボール紙等の
所要の剛性を有した肉薄の板片を差し入れ、これを上に
向けてスライドさせることによって両フック受け6,6
に係合するフック22を外せるようにしている。
【0046】前述したようにフック受け6を長くして爪
6aを後方に深く突き出す構造にしたのは係合時間を確
保することにあったが、ここでは更にフック22との係
合に間隔が設けられることによって扉3,4が前方に迫
り出し、扉3,4の自由端相互の間に空隙ができること
を利用して前記板片の挿入乃至スライド操作が楽に行え
るようにしてある。
【0047】ロック解除の操作によってロック状態を解
除したロック装置本体5は重錘球10を落下させ、フッ
ク22を下降させたまゝになる。従って、前記操作によ
ってロックを解除したのちはカバー11の係止爪32を
先の尖った棒状のもので突き上げ取付基体の凹部20か
ら外し、次に後方にずらして係止爪32を係止部33か
ら抜き出して取付基体8からカバー11を外し、このカ
バーに受け止めておいた重錘球10を再び球受け台23
の球受け部材26上に載置することでフック部材9を再
セットすることができる。
【0048】
【実施例2】図9乃至図11は本発明の他の実施例を示
すものである。この実施例は振動を受けて球受け台23
から重錘球10が転落したのち再セットするのに都合の
良い一例を示したものである。図9はセットを完了し振
動を受ける前の使用状態を示す中央縦断右側面図で、図
10は振動を受けて球受け台から重錘球が転落し扉をロ
ックした状態を示す中央縦断右側面図、図11はフック
部材とカバーとの関係を示した平面図である。
【0049】図面において、符号51は本発明に係るロ
ック装置を示し、52は取付基体を、53はフック部材
を、そして54はカバーをそれぞれ示す。これら取付基
体、フック部材、カバーは基本的には前記第1の実施例
と同様の機能を果たすものであり本質的に相違するもの
ではない。従って同一の部分については説明を省略し、
或いは同一の符号を付すことによって説明を省くことに
する。
【0050】取付基体52は上板7に固定するものであ
ることで前記基体8と同じであるが、フック部材53の
構造の変更に伴い図示しないが支持体を左右の側縁部に
相対向する如く垂設し、その下端にフック部材の支軸を
軸着する軸受支持部55を設けている。
【0051】フック部材53は取付基体52の左右の幅
に略近い横幅をもったブロック状をなす主体部分の両側
面に支軸56,56を突設し、これを前記軸受支持部5
5に滑合させて回動自由に支持するようにしてあり、先
端部側には下向きの爪57を有するフック58を備え、
また後端部には球受け台59を延設する。
【0052】上記球受け台59は前記主体部分の後部中
央部から板状の1本の腕を延ばしてその先端に球受け凹
部60を形成するもので、図示するようにこの球受け台
59の腕の部分は上下方向に幅を持った直角三角形の板
状に形成してあり、その先端に円盤形の球受け凹部60
を水平に広がるように設けている。この球受け凹部60
は上面中央部を凹球面形に形成して重錘球10を受け入
れ載置できるようにしてある。
【0053】一方、カバー54は取付基体52に組付け
られるフック部材53を下から包むと同時に、球受け凹
部60から落下した重錘球10を捕球し、更には転落し
た重錘球10を再度前記球受け凹部60に戻すための誘
導手段として使用される。
【0054】このカバー54はフック部材53の主体部
分を被う前半部を矩形の箱型に形成し、フック部材の球
受け台59を囲む後半部を椀形に形成しており、この椀
形の内面中央部、つまり底部の最も低い位置に前記球受
け凹部60を受け入れる凹部61を形成し、更にこの凹
部61に連続させて前記球受け台59の腕部分を受け入
れる条溝62を椀形の曲面に沿って主体部分の後面中央
部に向けて形成している。
【0055】このカバー54は前記取付基体52の下方
から嵌め付け爪同志の掛け合わせによって組付けられ
る。図9に示したようにセット状態にあるとき、下降す
るフック部材後端部の球受け台59の腕部分を条溝62
に、そして球受け凹部60を凹部61にそれぞれ受け入
れ、この球受け台59の上下の揺動が妨げられないよう
にしてある。
【0056】上記構成に係る本発明ロック装置は、前述
第1の実施例と同様にフック部材53の球受け台59に
重錘球10を載置することによってセットされ、フック
22をフック受け6,6の上方に跳ね上げる。この状態
において、予め想定する振動以上の強さの振動がロック
装置本体51に作用し、球受け凹部60に重錘球10が
止まれなくなり転落すると、フック部材53はばね63
の付勢によってフック22を下げフック受け6,6に係
合して扉の開放を拘束することになる。
【0057】上記ロック状態の解除は前記説明のように
扉の前面側から板片を差し入れフック22を押し上げる
ことによって行われるが、本実施例における装置はこの
フックの押し上げに連動してフック部材53の再セット
が行われる。
【0058】即ち、振動を受けて台59から重錘球10
が転落すると、この球はカバー54の椀形の底の部分に
受け止められることになり、この状態において最も低い
底部中央の凹部61に転入しようとする。このとき本実
施例ではこの凹部61の上方に球受け凹部60があって
その転がりを邪魔するため凹部61への転入が阻止され
ることになるが、前記フック22の押し上げによってこ
の凹部61に球受け凹部60が入り込むと、邪魔がなく
なると同時に底部の高さより低くなるため重錘球10は
この球受け凹部60の上に転がり込むことになりフック
部材53のセットが自動的にされることになる。
【0059】この実施例におけるカバー54が椀形に形
成されている理由は、上述のところから明らかなように
出来るだけ全方向に重錘球の転落が可能であり、且つそ
の何れの方向からでも復帰ができるように配慮されたこ
とによる。従って、例えば倒円錐形のもの、或いは特に
形状を特定しないが凹部61を設ける部分がもっとも低
くなる皿形乃至椀形の形状をなすものであればよいこと
になる。
【0060】以上、本発明を図示する実施例につき説明
したが、本発明の振動ロック装置は二枚の扉についての
外、一枚の扉をロックするために使用できることは言う
までもない。この場合に、ロック装置本体5並びにフッ
ク受け6が扉の背面に隠れてしまうことからフック受け
6の取付け位置に対応する扉の部分にはロックを解除す
る前記板片を差し入れるためのスリットを設けることが
求められる。
【0061】また、前記第1の実施例では重錘球10を
載置するためフック部材9の球受け台23に球受け部材
26を着脱自由に装着する場合について説明したが、球
受け台23に重錘球を受ける凹部を第2の実施例のよう
に直接形成してもよいことは言うまでもない。
【0062】ところで、前記球受け部材26は振動に対
する重錘球の安定性を変更し、その反応、つまり転落時
期の調整を可能にするものであり、凹部28の口径が大
なもの(図7)は安定度が高くなり強い振動に対応し、
口径が小さいもの(図8)は弱い振動に対応することに
なる。従って、凹部の口径の異なる複数の球受け部材2
6を用意すると任意の振動に対応することが可能とな
り、これを地震の震度に合せると、それぞれ予想する震
度に対応したロック装置とすることができる。
【0063】また、凹部28を形成するに当たって球受
け部材26に貫通する円孔を設けるようにしたが、これ
は凹部の縁を真円形にして重錘球10の座りを良くする
ためであり、盲孔状に形成しても、更には円形の縁に沿
って等間隔に複数の突起を隆設し、重錘球を受けるよう
にしても本発明の実施は可能である。
【0064】
【発明の効果】本発明装置は、以上説明の如く構成され
使用されるもので、地震等によってロック装置本体5に
振動衝撃が作用すると、予め想定する振動に達したとき
球受け台23に載置された重錘球10が振り落とされる
ことからフック部材9のフック22が下降してその下に
待ち受けるフック受け6に係合し、自動的に扉3,4を
ロックし開放を拘束することになる。従って、作り付け
の収納箱や家具の戸棚等に付設した場合地震等予告なし
に発生する振動に対応して扉の開放を自動的に拘束し食
器等収容物の飛び出しを未然に防止することができる。
【0065】そして本発明装置は、フック部材の球受け
台23の受部26を変換することによって重錘球の振動
に対する安定性を変えることができるため、地震の様々
な震度に対応させることができ、収納箱の使用目的や設
置場所等に合せて任意設定することができる利点があ
る。
【0066】また本発明は、一枚扉についての使用は基
より二枚扉に対しても使用可能であり、しかも既製の収
納庫、家具にもビス,接着剤等適宜の固着手段を使って
付設することができるため便利に実施できる利点があ
る。
【0067】また本発明のロック装置は、二枚扉の場合
には扉相互の自由端間の隙間を通して、また一枚扉の場
合には扉に形成するスリットを通して板片を差し入れ、
これで係合するフック22を跳ね上げれば簡単にロック
を解除することができ、従って特別な解除手段を要せ
ず、またロックを解除した装置は重錘球を元に戻すこと
によって再セットすることができるため反覆使用ができ
る利点がある。
【0068】また本発明装置は、収納箱の天井板等家具
の上板下面にロック装置本体を装置することから収納物
の出し入れの邪魔にならず、また平常時は扉の開閉動作
と無関係にあることから作業の妨げになることもなく極
めて好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】使用状態を説明する斜視図。
【図2】セットを完了し平常状態にある装置の一部断面
とした拡大右側面図。
【図3】振動を受けて重錘球が落下し、ロックした状態
にある装置の一部断面とした拡大右側面図。
【図4】図2のA−A線に沿って断面とした装置の拡大
平面図。
【図5】片半を上方から、他片を下方から見た一部欠截
したロック装置本体の分解図。
【図6】図5の一部省略した側面図。
【図7】球受け台と重錘球との関係を示す一部断面とし
た拡大右側面図。
【図8】他の実施例における球受け台と重錘球との関係
を示す一部断面とした拡大右側面図。
【図9】第2の実施例を示すセットを完了した状態にお
ける中央縦断右側面図。
【図10】第2の実施例におけるロック状態を示す中央
縦断右側面図。
【図11】第2の実施例におけるロック部材とカバーと
の関係を示す平面図である。
【符号の説明】
1 振動ロック装置 2 収納箱 3,4 扉 5 ロック装置本体 6 フック受け 7 上板(天井板) 8,52 取付基体 9,53 フック部材 10 重錘球 11,54 カバー 14 支持体 15 軸受孔 16 支持部 20 軸孔 21 爪 22 フック 23 球受け台 25 装着受部 26 球受け部材 28,61 凹部 31,32 係止爪 36 支軸 38,63 ばね

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 扉付き収納箱の上板下面に設置されるロ
    ック装置本体と、扉の背面に前記ロック装置本体に向い
    合せに取付けられるフック受けとからなる扉の振動ロッ
    ク装置であって、前記ロック装置本体は前記上板下面に
    固定される取付基体と、該取付基体に揺動自由に支持さ
    れるフック部材と、該フック部材の自由な揺動を拘束す
    る重錘球とを含み、前記フック部材は長さの途中を前記
    取付基体の支持部に回動自由に軸着し先端部のフックと
    後端部の球受け台とを上下に揺動自由に支持し、常には
    前記先端部のフックを自重若しくは付勢手段によって下
    降方向に付勢する一方、前記後端部の球受け台上に転落
    可能に載置する前記重錘球の重量により前記フックを跳
    上げて前記フック受けとの係合を外すように保持し、前
    記収納箱に予め想定する強さ以上の振動が作用したとき
    この振動で前記球受け台上の前記重錘球を自動転落さ
    せ、前記跳上げるフックを前記フック受けに自動係合さ
    せ前記扉の開放を拘束するようにしたことを特徴とする
    扉の振動ロック装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、フック部材の
    先端部を下降方向に付勢する手段はフック部材と取付基
    板との間に縮設するばねであることを特徴とする扉の振
    動ロック装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の記載において、球受け台は略
    台形状に形成し、その上面に球受け凹部を形成すること
    を特徴とする扉の振動ロック装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2又は3の記載において、
    球受け台には球受け凹部の口径を異にする球受け部材を
    着脱自在に装着し、球受け凹部の口径を任意選択できる
    ようにしたことを特徴とする扉の振動ロック装置。
  5. 【請求項5】 請求項1の記載において、フック部材先
    端部のフックは下向きの係止爪を有し、他方扉に設けら
    れるフック受けは上記係止爪を受ける上向きの係止爪を
    有することを特徴とする扉の振動ロック装置。
  6. 【請求項6】 請求項1、又は5の記載において、フッ
    ク受けは2つの分割体から構成し、且つ両分割体相互の
    間に所要の間隙を設けると共に、扉にはこの間隙に対応
    させてロックを解除する板片を挿入するスリットを確保
    してなることを特徴とする扉の振動ロック装置。
  7. 【請求項7】 請求項6の記載において、2つの分割体
    からなるフック受けは閉じ合せになる2枚の扉の各自由
    端の背面に並べて設け、両扉の自由端間の間隙をロック
    解除の板片挿入のスリットとすることを特徴とする扉の
    振動ロック装置。
  8. 【請求項8】 請求項1の記載において、ロック装置本
    体には取付基板にカバーを装着してロック部材の球受け
    台を下方から包むようにしたことを特徴とする扉の振動
    ロック装置。
  9. 【請求項9】 請求項8の記載において、カバーは椀形
    に形成し、底部の最下部にフック部材の球受け台が位置
    するようにしたことを特徴とする扉の振動ロック装置。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9の記載において、カバ
    ーは椀形に形成すると共に底部最下部にフック部材の球
    受け台を受け入れる凹部を形成したことを特徴とする扉
    の振動ロック装置。
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