JPH10266105A - 道床バラストの安定化装置 - Google Patents

道床バラストの安定化装置

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JPH10266105A
JPH10266105A JP9132097A JP9132097A JPH10266105A JP H10266105 A JPH10266105 A JP H10266105A JP 9132097 A JP9132097 A JP 9132097A JP 9132097 A JP9132097 A JP 9132097A JP H10266105 A JPH10266105 A JP H10266105A
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JP
Japan
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ballast
stabilizer
compressed gas
pipe
layer
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Application number
JP9132097A
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English (en)
Inventor
Katsutoshi Ando
勝敏 安藤
Takahiro Horiike
高広 堀池
Manabu Emoto
学 江本
Toshiyuki Saeki
俊之 佐伯
Takeyoshi Tonuma
毅好 渡沼
Takahiro Yamamoto
孝洋 山本
Katsutoshi Sato
勝俊 佐藤
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Railway Technical Research Institute
Nichireki Co Ltd
Onoda Co Ltd
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Nichireki Co Ltd
Onoda Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土砂混入のある道床バラストであっても、十
分に安定化することのできる、保守並びに作業手順の簡
素化が図られた道床バラストの安定化装置およびその装
置に使用する挿入管を提供することを課題とする。 【解決手段】 圧縮気体噴射管、吸引管、安定材注入管
を、それぞれ別々の挿入管として、あるいはそれらを適
宜組み合わせて一体にまとめた挿入管として構成し、そ
のような挿入管を1本もしくは複数本有すると共に、圧
縮気体供給手段、吸引手段、安定材供給手段を備えた道
床バラストの安定化装置を提供することによって、上記
課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道床バラストの安
定化装置に関し、更に詳しくは、短時間で所定の強度を
発現し、かつ、流動性と浸透性に優れた安定材を用いて
道床バラストを安定化させるために使用される安定化装
置、及び、その装置に使用される挿入管に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、レール、マクラギおよびバラスト
道床からなる有道床軌道の保守省力化を図るために、て
ん充道床やB型舗装軌道等が提案されてきたが、これら
てん充道床やB型舗装軌道は、いずれもバラスト間隙を
完全に充填するものであるため、充填に使用する安定材
の使用量が多く、現場で、型枠や不織布などを用いて漏
れ止め作業を行う必要があり、作業が煩雑になるだけで
なく、施工に時間がかかるという問題があった。しか
も、バラストの細粒化が進んでいる場合には、バラスト
間隙にそれらが堆積しているため、これらのバラストを
取り除き、新しいバラストに更換する必要があった。
【0003】また、例えば、特公昭63−51201号
公報に見られるように、道床バラスト層内に布を敷い
て、注入材によって固められる固化層の厚さを制御し、
かつ、注入材を布の下部バラストへ一部透過させて固化
層とバラスト道床とを一体化する提案もあるが、作業手
順が煩雑で、施工単価が高くなる。
【0004】さらには、道床バラスト下層の間隙には、
列車通過の振動等によって磨耗し細粒化したバラスト片
や泥土などが堆積しており、安定材を注入しても、バラ
スト内部にまで浸透させることは難しく、特に、細粒化
したバラストや泥土の堆積が著しいバラスト下層部にま
で安定材を浸透させることは極めて困難であった。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の問題点を解決するためになされたもので、細粒化
したバラスト片や泥土などがバラスト間隙に堆積した道
床バラストであっても、その下層部にまで安定材を良く
浸透させることができる道床バラストの安定化装置、及
びその安定化装置に使用される挿入管を提供することを
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、バラスト
内への安定材の注入・浸透について研究を重ねた結果、
安定材の注入に先立って、バラスト間隙に堆積した細粒
化バラストや泥土などを高圧気体によって飛散させ、さ
らには、飛散した細粒化バラストや泥土などを吸引除去
しておくことによって、安定材をバラスト下層部にまで
良く浸透させることができ、バラスト間隙が細粒化した
バラスト片や泥土などによって埋められているような道
床バラストであっても、効率よく安定化できることを見
出し、かつ、バラスト間隙に堆積した細粒化バラストや
泥土などを効率的に飛散、吸引除去し、さらにはバラス
ト層内に安定材を注入するためには、バラスト層内に挿
入される挿入管を使用するのが良いことを見出して本発
明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、安定化すべき道床バ
ラストに挿入される挿入管として、圧縮気体噴射管、吸
引管、安定材注入管を、それぞれ1本もしくは複数本有
すると共に、圧縮気体供給手段、吸引手段、安定材供給
手段を備えていることを特徴とする道床バラストの安定
化装置及びその安定化装置に使用される挿入管を提供す
ることで上記課題を解決するものである。
【0008】圧縮気体噴射管、吸引管、及び安定材注入
管は、それぞれ単独の挿入管として形成されても良い
し、適宜の2種の管、例えば、圧縮気体噴射管と吸引
管、あるいは圧縮気体噴射管と安定材注入管とを、同心
状もしくは平行に一体化して、複数の機能を有する管を
1本の挿入管としてまとめても良い。更には、圧縮気体
噴射管、挿入管及び安定材注入管を1本の挿入管にまと
めても良い。
【0009】また、適宜の2種の管の機能を1本の管に
負担させても良く、例えば、圧縮気体噴射管に、吸引管
もしくは安定材注入管を兼ねさせても良く、あるいは1
本の管に3種の機能を兼ねさせても良い。
【0010】本発明の装置においては、加振手段を設け
て、挿入管に適宜振動を付与することも可能である。挿
入管に振動を付与すると、挿入管のバラスト層内への挿
入が容易になるだけでなく、堆積物の飛散、除去を効率
化することができるので、好都合である。
【0011】また、本発明の装置においては、圧縮気体
の加熱手段を設けて、高温気体を噴射したり、挿入管を
保温もしくは加熱することも可能である。挿入管の保温
もしくは加熱に際しては、挿入管の内側もしくは外側に
断熱材の層を設けるだけでも良いし、加熱された水や空
気等の流体を挿入管の内側もしくは外側に流して挿入管
を積極的に保温もしくは加熱しても良い。また、電気的
な加熱手段を挿入管の周囲に設けても良いことは勿論で
ある。高温の圧縮気体を噴射することによって、バラス
ト層内の堆積物は乾燥し、圧散させられ、堆積物の除去
がより効率的に行われる。さらには、使用する安定材の
種類によっては、安定材を加熱して用いるので、安定材
が挿入管中を移送される間に必要以上に冷却されるのを
防止することができる。
【0012】本発明の道床バラスト安定化装置は、軌道
上を走行可能に構成された台車上に積載することができ
る。台車は、独自の走行手段を備えていても良いし、他
の動力車によって走行させられても良い。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の道床バラストの
安定化装置の一例の側面図である。図において、符号1
は装置全体を示し、2は挿入管であって、直進部材4上
に固定されたチャック機構3によって、直進部材4に対
してその位置を固定されている。チャック機構3を緩め
ることによって、挿入管2と直進部材4との相対位置は
可変である。直進部材4は、台5に対して移動可能に設
置されており、送りシリンダ6によって矢印方向に移動
させられて、挿入管2をバラスト層内に挿入したり、バ
ラスト層から引き抜いたりすることが可能に構成されて
いる。8は、角度調整用の駆動シリンダであって、この
駆動シリンダ8を駆動して、挿入管2のバラスト層に対
する挿入角度を調整することができる。9a、9b、9
cは、挿入管2と、圧縮気体供給手段10や、図1では
見えていない吸引手段11や安定材送出ポンプ13とを
つなぐ連結管であり、15は、安定材の原料置き場、1
6は台車、17はレールである。
【0014】図2は、図1と同じ安定化装置の平面図で
あり、図1と同じものには同じ符号を付してある。図に
おいて、11は吸引手段、12は、安定材の原料を混合
するミキサー、13は安定材送出ポンプ、14は弁、1
8はマクラギである。この図の装置においては、互いに
35cmの間隔を開けた2本、一対の挿入管2が、2
対、計4本用いられているが、挿入管2の間隔や本数は
これに限られないことは勿論である。
【0015】個々の挿入管2には、それぞれ3本の連結
管9a、9b、9cが結合されており、圧縮気体の噴射
と、その高圧気体によって飛散した堆積物の吸引と、更
には、バラスト安定化のための安定材の注入が、1本の
挿入管2で行うことができるようになっている。なお、
この図の例においては、3種の機能を1本の挿入管2で
行うようにしているが、特定の1つの機能を別体の挿入
管に分担させても良く、また、3種の機能をそれぞれ別
体の挿入管に分担させても良い。そのように機能をそれ
ぞれ別体の挿入管に分担させた場合には、結果として装
置に設備される挿入管2の本数が増すことは言うまでも
ない。
【0016】圧縮気体供給手段10は、図示しない加熱
手段を備えており、適宜高温の圧縮気体を供給すること
ができるようになっている。使用する圧縮気体として
は、無害かつ安全なものであれば何を用いても良く、特
に制限はないが、簡単に入手でき、安価である点から空
気を用いるのが好ましい。圧縮空気は、圧縮気体供給手
段10内の図示しないコンプレッサーによって簡単に入
手することができる。
【0017】吸引手段11には、図示しない吸引ポンプ
が設けられ、圧縮気体の噴射によって飛散した堆積物を
強力に吸引する。
【0018】安定材の供給は、ミキサー12と安定材送
出ポンプ13とからなる安定材供給手段によって行われ
る。安定材の原料置き場15から、後述する安定材の原
料が適宜取り出されてミキサー12で混合され、弁14
を介して、安定材送出ポンプ13に送られる。ミキサー
12には、安定材の種類によっては、加熱手段を設ける
ことができる。なお、この図では、施工現場で安定材を
混合、調整する例を示したが、別途、工場等で調整した
安定材を、現場で加熱溶解するなどして使用しても良い
ことは勿論である。
【0019】なお、図1、図2に記載の装置では、挿入
管2への圧縮気体の供給、吸引、安定材の供給は、それ
ぞれ挿入管ごとに独立して制御できるようになってお
り、1本の挿入管2で圧縮気体を噴射しながら、他の挿
入管2では安定材を供給したりすることも可能である。
【0020】図3は、本発明の挿入管2の一例の断面図
を示し、圧縮気体の噴射と、飛散した堆積物の吸引、及
び安定材の注入とが、1本の挿入管2で行えるようにな
っている。すなわち、圧縮気体供給手段10からの圧縮
気体は連結管9aを通って挿入管2の圧縮気体噴射管1
9に入り、噴射口20から噴射される。噴射口20は、
圧縮気体噴射管19の円周方向に複数個設けられてい
る。一方、飛散した堆積物を含む気体は、吸引口22を
通って吸引管21に吸引され、連結管9cを介して吸引
手段11へと除去される。23はフィルターである。ま
た、安定材供給手段からの安定材は、連結管9bを介し
て、圧縮気体噴射管19を通って、噴射口20からバラ
スト内へ注入される。なお、24は断熱材であって、圧
縮気体や安定材を加熱して用いる場合等に使用され、圧
縮気体や安定材が噴射あるいは注入される前に冷却され
るのを防止する効果がある。断熱材24を用いる代わり
に、圧縮気体噴射管19を二重管として、管と管との間
に、空気や水などの流体を流して積極的に保温もしくは
加熱することも可能である。また、空気や水などの流体
を用いる代わりに、電熱線などの電気的な加熱手段を設
けても良いことは勿論である。
【0021】挿入管2の太さや長さには特に制限はな
く、バラスト層内に挿入でき、かつ、安定材の注入や、
飛散した堆積物の吸引除去ができるものであれば構わな
いが、太さの点から言えば、圧縮気体噴射管19として
は、内径が8〜30mm程度のもの、できれば内径が1
0〜25mm程度のものが好ましい。また、噴射口20
の内径は5〜8mm程度が好ましく、吸引管21として
は内径が25〜60mm程度のもの、できれば内径が3
5〜50mm程度のものが好ましい。吸引管21には、
先端部より10〜30mmの位置にフィルター23を設
けるのが好ましく、フィルター23の目開きは10〜2
0mmである。挿入管2の長さとしては、300〜70
0mm程度のもの、できれば350〜550mm程度が
好ましい。
【0022】なお、吸引管21の吸引口22の位置は、
圧縮気体噴射管19の噴射口20よりも、同じか、やや
上に位置するのが好ましく、これは、図3に示すような
一体化した挿入管2を用いる場合だけでなく、圧縮気体
噴射管19と吸引管21とが例えば図4や図5に示すよ
うに、別体の挿入管として構成されている場合にも同様
であり、両管の挿入位置を調整して、吸引管21の吸引
口22が、圧縮気体噴射管19の噴射口20よりも、同
じかやや上になるように設定するのが好ましい。更に
は、圧縮気体噴射管19と吸引管21とは、あまり離れ
ない方が良く、そういう点では、図3に示すように両管
を1本の挿入管2として一体化するのが良いが、両管を
別々の挿入管として構成する場合にも、両管の挿入位置
は20cm以内に隣接させることが好ましい。
【0023】図6は、本発明の挿入管2の別の例の断面
図を示し、図3と同じものには同じ符号を付してある。
この例においては、圧縮気体噴射管19と吸引管21と
が同心に設けられている点が図3のものとは異なってい
る。噴射口20から噴射された圧縮気体によって飛散、
舞い上げられた堆積物は、挿入管2の中心にある吸引口
22から吸引除去される。吸引口が挿入管2の中心にあ
るので、偏りなく吸引することができる。
【0024】本発明で使用できる安定材としては、粘度
調整が可能で、ある程度の可使時間があり、バラスト相
互を結合できる急硬性材料であれば、どのようなもので
も使用可能であるが、現場での実際の作業工程を考え、
注入後1時間で列車荷重を支持できる程度の強度を発現
することが好ましく、セメント系、アスファルト系、樹
脂系、ゴム系の急硬性材料の1種、もしくは2種以上を
組み合わせた複合材料が好ましく用いられる。
【0025】本発明で好ましく用いられるセメント系安
定材としては、急硬性セメントペースト、急硬性セメン
トモルタルがあげられ、これらに更に、合成高分子重合
体エマルジョン、合成ゴムラテックスエマルジョン、合
成樹脂エマルジョンを混入して用いても良い。これらエ
マルジョンの中では、スチレンブタジエン共重合体エマ
ルジョンおよびアクリル樹脂エマルジョンが、注入され
た施工箇所周辺の金属類を錆びさせる恐れがないので特
に好ましい。これらエマルジョンを混入した急硬性ポリ
マーセメントペースト、急硬性ポリマーセメントモルタ
ルは、脆性並びに耐衝撃性が向上し、耐久性に優れたも
のとなる。
【0026】本発明で好ましく用いられるアスファルト
系安定材としては、加熱アスファルトがあげられ、アス
ファルト系安定材とセメント系安定材とを組み合わせた
急硬性セメントアスファルトペースト(以下、単に「急
硬性CAP」という)や急硬性セメントアスファルトモ
ルタル(以下、単に「急硬性CAM」という)なども複
合材料として好ましく用いられる。
【0027】また、樹脂系安定材としては、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂が使用可能であり、ゴム系安定材とし
ては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエン
ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどが使用可能で
ある。
【0028】以上のように、本発明においては種々の材
料が安定材として使用できるが、中でも、急硬性セメン
トペースト、急硬性セメントモルタル、急硬性CAP、
急硬性CAM、または加熱アスファルトが、成分の配合
割合や温度を変えることによって粘度調整が可能で、し
かも、注入後、約1時間で、列車荷重を支持できる程度
の強度を発現するので、列車運行の間隙をぬったバラス
ト安定化作業には特に好ましい材料である。
【0029】表1に、本発明で使用する急硬性セメント
ペースト、急硬性セメントモルタル、急硬性CAP、急
硬性CAMの標準的な配合割合を示す。
【0030】
【表1】
【0031】これら配合成分の中で、セメントとして
は、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメ
ント、白色ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランド
セメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメン
ト、シリカセメント、低発熱セメント、アルミナセメン
ト、超速硬セメント等が使用可能であるが、急硬材との
水和反応性に優れること、および、長期強度の確保に優
れることから、普通ポルトランドセメントが好ましい。
【0032】また、混和材としては、石灰系膨脹材、エ
トリンガイド系膨脹材、減水剤等が使用できる。減水剤
としては、市販のナフタリン系、メラミン系、リグニン
系、カルボン酸系減水剤が使用できるが、ナフタリンス
ルフォン酸塩などのナフタリン系減水剤が好ましい。
【0033】急硬材としては、カルシウムアルミネート
と無水石膏との混合物、または、カルシウムアルミネー
ト、ナトリウムアルミネートおよび無水石膏の3者の混
合物が使用できる。この場合に使用する無水石膏として
は、強度発現性に優れたII型無水石膏が好ましい。急硬
材の粉末度は、4000〜8000cm2 /gの微粉末
状のものが好ましい。
【0034】微細粉末としては、石灰岩や火成岩を粉砕
した石粉や高炉スラグを使用することができる。
【0035】細骨材は、川砂、海砂、山砂、珪砂等を使
用することができるが、強度並びに吸水率等の品質に優
れる珪砂が好ましい。
【0036】凝結調整剤としては、無機塩類、有機酸及
び有機酸塩類の単味、または、これらを併用して用いる
ことができる。無機塩類としては、CaCl2 、ZnC
2、FeCl2 等の塩化物、K2CO3、Na2CO3
CaB47、Na247 等の炭酸塩、硼酸塩が使用で
きる。有機酸としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸
等が使用でき、有機酸塩類としては、クエン酸ナトリウ
ム、クエン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、グル
コン酸カルシウム等が使用できる。
【0037】このほかに、発泡剤として、アルミニウム
粉末、マグネシウム粉末、亜鉛粉末等の金属粉末、およ
び、これらをステアリン酸等の有機酸で表面処理したも
のを使用することができる。
【0038】アスファルト乳剤としては、ノニオン系ア
スファルト乳剤を使用するのが好ましい。また、水とし
ては、水道水、地下水、河川水等の淡水を使用し、流動
性の調整に用いる。
【0039】これら急硬性セメントペースト、急硬性セ
メントモルタル、急硬性CAP、急硬性CAMの混練プ
ロセスのうち、代表的な急硬性CAPの混練プロセスを
図7に示す。
【0040】図7において、水、凝結調整剤および減水
剤に、アスファルト乳剤を混合したものに、急硬材を加
え、1000rpmの高速回転連続ミキサで約2分間練
り混ぜ、練り混ぜ途中で、セメント、膨脹材、アルミ粉
末に石粉を加えたものを添加する。練混ぜ終了後、土木
学会Jロート法でコンシステンシーを確認し、注入用の
安定材とする。なお、減水剤は、アスファルト乳剤や
水、凝結調整剤と共に入れるのではなく、石粉やセメン
トと共に加えても良く、急硬材を加える前に高速回転連
続ミキサによる約20秒の混練を加えても良い。好まし
いコンシステンシーは安定化すべき道床バラストの平均
粒径に依存するが、通常の30〜50mm程度の平均粒
径の道床バラストに対しては、フロータイムで5〜12
秒が好ましく、特に好ましくは6〜9秒である。フロー
タイムが5秒よりも短いと、点付け充填工程でバラスト
上層部の間隙を十分に小さくすることができず、また、
完全充填工程では安定材がバラスト下層部にまで達し、
上層部のみを完全充填することが困難となる。逆に、フ
ロータイムが12秒を越えると、点付け充填工程で安定
材がバラスト下層部にまで達することが困難となり、下
層部は安定化されないままに残される可能性があり、好
ましくない。
【0041】一方、本発明で使用する加熱アスファルト
としては、ストレートアスファルト、ブローンアスファ
ルト、セミブローンアスファルト等が使用可能である
が、中でも、改質アスファルトが好ましい。
【0042】改質は、バラストの把握力(タフネス・テ
ナシティ)の向上や低温での耐衝撃性等の改善を目的と
して必要に応じて行われるが、母材となるストレートア
スファルトに、スチレンブタジエン共重合体、ポリクロ
ロプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアク
リル酸エステル等のゴムを1種または2種以上添加し
て、分散、溶解して改質ゴム入りアスファルトとするこ
ともできるし、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン
エチルアクリレート共重合体、熱可塑性ゴムであるスチ
レンブタジエンスチレン共重合体、スチレンイソプレン
スチレン共重合体等の1種または2種以上を添加して、
分散、溶解して熱可塑性樹脂系改質アスファルトとする
こともできる。更には、上記ゴムと樹脂の両方を添加し
て改質することもできる。これら、ゴムや樹脂の添加量
は、ストレートアスファルト100重量部に対して、6
〜20重量部、好ましくは、8〜15重量部である。
【0043】必要に応じて改質された加熱アスファルト
を安定材として用いる場合には、加熱温度を変化させて
コンシステンシー、すなわち、浸透性を調節する。点付
け充填工程に際しては、230℃前後に加熱した浸透性
の良いものを用い、完全充填工程に際しては、200℃
前後に加熱した粘性の高いものを用いるのが好ましい。
加熱アスファルトのコンシステンシーは、加保温装置の
ついたJロートで測定する。好ましいコンシステンシー
は安定化すべき道床バラストの平均粒径に依存するが、
通常の30〜50mm程度の平均粒径の道床バラストに
対しては、フロータイムで5〜12秒が好ましく、特に
好ましくは6〜9秒である。フロータイムが5秒よりも
短いと、点付け充填工程でバラスト上層部の間隙を十分
に小さくすることができず、また、完全充填工程では安
定材がバラスト下層部にまで達し、上層部のみを完全充
填することが困難となる。逆に、フロータイムが12秒
を越えると、点付け充填工程で安定材がバラスト下層部
にまで達することが困難となり、下層部は安定化されな
いままに残される可能性があり、好ましくない。加熱ア
スファルトは、所定の温度に加熱することによって使用
可能な状態になるので、準備のための時間が短くて済
み、施工性に優れている。また、溶解することによって
注入できる状態になる材料であるので、工程の簡素化
と、工程の低騒音化が可能である。
【0044】以下、図を用いて本発明の道床バラスト安
定化装置を用いた道床バラストの安定化工法を説明す
る。
【0045】図8において、25は路盤であって、26
は安定化すべき道床バラスト、27はバラスト、18は
マクラギ、17はレール、28はマクラギ18に設けら
れた注入孔を示す。本発明の道床バラスト安定化工法を
施すに際しては、まず、図1に示すような装置を安定化
すべきバラスト上に誘導し、挿入管2の角度を駆動シリ
ンダ8で調整した後、送りシリンダ6を作動させて、挿
入管2を安定化すべき道床バラスト内部に挿入する。次
いで、圧縮気体供給手段10からの高圧気体を道床バラ
スト内部に噴射する。噴射圧力には特に制限はなく、バ
ラスト間隙の堆積物を飛散させることができる程度であ
れば良いが、通常は6〜15kgf/cm2 程度、好ま
しくは、7〜10kgf/cm2 の範囲である。
【0046】挿入管2をバラストの内へ挿入時や圧縮気
体の噴射時には、加振手段7を作動させて挿入管2を振
動させながら行うのが好ましい。バラスト相互の結合が
緩み、挿入が容易になると共に、堆積物の飛散や吸引除
去の効率向上に効果がある。なお、マクラギ18の注入
孔28を通してバラスト層内へ挿入管2を挿入すること
も可能である。
【0047】図8におけるAの部分の拡大図を図9、図
10に模式的に示す。図9は、挿入管2から圧縮気体を
噴射する前の堆積物の堆積状態を示し、図10は、圧縮
気体噴射後の同じ場所の状態を示す図である。図9に示
すように、バラスト間隙には、列車通過による振動や磨
耗によって発生した細粒化したバラスト細片や、砂、泥
土などの堆積物29が堆積しており、30で示されるバ
ラスト間隙はほとんどない状態である。特に、バラスト
下層部ではバラスト間隙30がほぼ埋め尽くされる状態
であり、この状態で、安定材を注入しても、安定材は有
効にバラスト下層部にまで浸透せず、道床バラストは有
効に安定化されないままに残されてしまう。
【0048】ところが、図8に示すように、挿入管2
を、堆積物29が多いと予想されるバラスト下層部にま
で挿入して、高圧気体を噴射すると、図9のような状態
で堆積していた堆積物29は、高圧気体によって吹き飛
ばされ、バラスト層内で勢い良く舞い上がる。堆積物2
9内には、細粒化したバラスト細片が混じっているの
で、このバラスト細片が周囲の堆積物29にぶつかっ
て、研磨材のように機能して、バラスト27表面に固着
しているような泥土をも有効に取り除くことができる。
その結果、堆積物29は、図10に示すように、バラス
ト間隙から取り除かれる。吹き飛ばされた堆積物29
は、圧縮気体噴射管と共に吸引管を一体に備えた挿入管
2によって吸引除去される。圧縮気体の噴射と飛散した
堆積物29の吸引除去とは、挿入管2の挿入深さを変え
て、同一場所で複数回、繰り返して行うことができる。
【0049】堆積物の除去が終了した段階で、安定材の
注入を行う。安定材の注入は、点付け充填工程と完全充
填工程の2つの工程に分けて行うのが好ましい。
【0050】すなわち、点付け充填工程は、挿入管2を
バラスト層の比較的深い位置から順次引き上げながら、
もしくは、バラスト層の浅い位置から、或いはバラスト
層上から安定材を注入することによって行われる。な
お、道床バラスト側面部から挿入管2を挿入して安定材
を注入しても良い。
【0051】点付け充填工程で注入される安定材31b
は、比較的少量であり、比較的浅い位置から注入された
安定材31bでも、バラスト間隙を伝わってバラスト下
層部にまで到達する。この注入された安定材31bは、
バラスト相互をその接触部や近接部において結合する
が、バラスト間隙を完全に充填するにまでは至らない。
挿入管2を徐々に上方に引き上げるなどして、安定材3
1bを満遍なく注入して、道床バラスト26の下層部か
ら上層部までの全体にわたって、点付け充填層32が形
成される。なお、同じ場所への安定材31bの注入を少
量づつ、2回以上に分けて行っても良いことは勿論であ
る。
【0052】図11は、バラストの点付け状態を示し、
バラスト27の周囲が安定材31bに覆われて、互いに
近接あるいは接触しているバラスト相互が、安定材31
bによって相互に結合されている状態を示す。点付け充
填工程では、安定材31bによってバラスト間隙がある
程度充填されて、近接あるいは接触しているバラスト相
互が安定材31bによって結合されるが、バラスト間隙
は残存している点付け充填層32が、道床バラストの下
層部から上層部までの全体にわたって形成される。
【0053】この点付け充填工程で使用される安定材3
1bとしては、バラストの粒径や空隙率等にも依るが、
フロータイムが5〜12秒、中でも6〜9秒程度のもの
が好ましい。安定材31bの注入量は、道床バラスト2
6の厚さを25cmとした場合には、4〜50リットル
/m2 、好ましくは20〜40リットル/m2 の量で使
用する。注入量が4リットル/m2 以下では、バラスト
相互を点付けしている安定材31bの膜厚が十分でな
く、結合力が弱く、マクラギの沈下を防ぐことが難し
い。逆に、注入量が50リットル/m2 を越えると、バ
ラスト間隙が小さくなり過ぎ、好ましい点付け充填が得
られない。
【0054】特に、安定材31bとして加熱アスファル
トを使用する場合には、この点付け充填工程において使
用する加熱アスファルトの量を絞り込むことによって、
水分を含んだ道床バラストへの注入作業の際に発生する
水蒸気や泡立ち、突沸現象を防止することができて有利
である。また、残存するバラスト間隙によって、注入さ
れた加熱アスファルトの冷却速度が速くなり、注入後、
短時間で所定の硬さが得られるので、耐久性を維持しな
がら冷却時間の短縮を図ることが可能となる。なお、必
要に応じて、扇風機、冷風、散水、ドライアイス等を使
用して、更に冷却速度を速めることも可能である。注入
量は、道床バラスト26の厚さを25cmとした場合に
は、10〜20リットル/m2 程度、好ましくは12〜
17リットル/m2 程度である。注入量が10リットル
/m2 以下では、バラスト相互を点付けしている安定材
31bの膜厚が十分でなく、結合力が弱く、マクラギの
沈下を防ぐことが難しい。逆に、注入量が20リットル
/m2 を越えると、バラスト間隙が小さくなり過ぎ、好
ましい点付け充填が得られない。
【0055】続いて完全充填工程を行うが、この完全充
填工程とは、既に点付け充填された道床バラスト部分
に、さらに安定材を注入して、点付け充填工程によって
既に狭くなっているバラスト間隙を安定材で完全に充填
する工程である。挿入管2を用いて、バラスト層の浅い
部分またはバラスト層の上面から安定材31cを注入す
ると、注入された安定材31cは、バラスト間隙を伝わ
って流下していくが、バラスト間隙は先行する点付け充
填工程によって既に小さくなっているので、図12に示
すように、残存するバラスト間隙を完全充填しながら流
下し、ある程度流下したところで停止して、そこが完全
充填層33と点付け充填層32との境界となる。なお、
この完全充填工程においても、挿入管2を道床バラスト
の側面部から挿入して安定材の注入を行っても良い。
【0056】安定材31cとしては、安定材31bと基
本的には同じ材料が用いられる。安定材31cの粘度
は、安定材31bと同じでも良いが、安定材31bより
も少し粘度の小さいものを用いるのが好ましく、バラス
トの粒径や空隙率等にも依るが、フロータイムが7〜1
2秒、中でも7〜10秒程度のものが好ましく用いられ
る。また、使用量としては、道床バラスト26の厚さを
25cmとした場合には、5〜70リットル/m2 、好
ましくは10〜40リットル/m2 の量で使用する。使
用量が5リットル/m2 以下では、形成される完全充填
層33の厚さが十分ではなく、列車荷重に耐えることが
困難となり、逆に、使用量が70リットル/m2 を越え
ると、完全充填領域35の厚さが必要以上に厚くなった
り、安定材31cが道床バラスト外へ溢れ出したりして
好ましくない。
【0057】このようにして形成される点付け充填層3
2の厚さは、安定化される道床バラスト26の厚さの約
1/2〜2/3の範囲が好ましく、一方、完全充填層3
3の厚さは、安定化される道床バラスト26の厚さの約
1/2〜1/3の範囲が好ましい。これは、通常の道床
バラストの厚さが約25cmであるとすると、それぞ
れ、約12〜17cm、約13〜8cmとなる。なお、
以上の説明では、点付け充填工程および完全充填工程
は、それぞれ1回の安定材の注入で行ったが、それぞれ
の工程における安定材の注入は必ずしも1回で行う必要
はなく、使用される安定材のフロータイムや、挿入管2
の太さや注入圧力によっては、2回、もしくはそれ以上
の回数に分けて注入しても良いことは勿論である。ま
た、安定材31b、33cの注入は挿入管2を用いて行
ったが、注入手段はこれに限られず、他の注入具を使用
しても良い。
【0058】安定材の注入前に、注入された安定材が道
床バラスト26の側部から漏れ出すのを防止するため
に、漏れ止め工程を施して置くのが良い。すなわち、図
13に示すように、吹き付け機34によって、安定化す
べき道床バラスト26の側面部に、安定材と同種の材料
31aを吹き付けて、漏れ止め層36を形成する。な
お、図13は、PCマクラギの例を示しているが、例え
ば、LPCマクラギの場合には、吹き付け機34の代わ
りに図示しない散布機を用いて道床バラスト26の側面
部に漏れ止め層36を形成しても良いし、図13の左側
に示すように、注入具35を用いて道床バラストの周辺
部に漏れ止め層36を形成しても良い。また、吹き付け
機34、散布機、注入具35は、必要に応じて適宜併用
しても良いことは勿論である。
【0059】漏れ止め材としての安定材31aの粘度と
しては、フロータイムが10〜15秒程度のものが好ま
しい。フロータイムが10秒未満であると、道床バラス
ト26の側面部または周辺部に吹き付け、散布あるいは
注入した際に、バラスト間隙に留まらずに流下してしま
い、十分な漏れ止め層を形成することができず、また逆
に、フロータイムが15秒を越えると、バラスト間隙に
十分に浸透することができないだけでなく、作業性が悪
化する。漏れ止め材33aの使用量としては、30〜6
0リットル/m2 の量が好ましい。
【0060】なお、この漏れ止め工程は、挿入管2によ
る圧縮気体の噴射前に行っても良く、または、圧縮気体
の噴射や、飛散した堆積物の吸引除去と平行して行って
も良い。
【0061】一カ所における堆積物29の除去と安定材
の注入が終わると、図1の装置1を台車16ごと移動さ
せて、順次、安定化すべき道床バラストの全体にわたっ
て同様の作業を繰り返す。
【0062】以下、実験例および実施例に基づいて、本
発明を更に詳しく説明するが、本発明の道床バラスト安
定化工法がこれら実施例に限定されるわけではないこと
は勿論である。
【0063】
【実験例A】急硬性セメントペースト、急硬性セメント
モルタル、急硬性CAPおよび急硬性CAMを用いて、
4種の安定材No.1〜4を用意した。安定材No.1
〜4の配合割合、および、物性を表2、表3に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】表2において使用した材料は、次の通りで
ある。 セメント :秩父小野田(株)製 普通セメ
ント 膨脹材 :(株)小野田製 エクスパ
ン 減水剤 :花王(株)製 マイティ
150 急硬材 :(株)小野田製 スーパー
ハード 微細粉末 :(株)藤坂製 珪石粉 細骨材 :前田建材工業(株) 珪砂6号 アスファルト乳剤:ニチレキ(株)製 M乳剤 アルミニウム粉末:中島金属箔粉工業(株) C−25
0 凝結調整剤 :(株)小野田製 APセッ
ター 水 :水道水
【0067】表3から明らかなように、安定材No.1
〜4は、いずれも、使用可能なフロータイムを維持しな
がらも、20分前後の可使時間が確保でき、しかも、練
り上がり後1時間で、0.2MPa以上の圧縮強さを発
現し、高流動性と急硬性に優れることが分かる。したが
って、安定材No.1〜4は、いずれも、作業時間が3
時間程度しか確保できない既設線の場合でも、養生時間
が十分に取れる新設線の場合でも、施工可能であること
が確認された。
【0068】
【実験例B】ストレートアスファルト及び、ストレート
アスファルトを母材にした種々の改質アスファルトを用
意して、本発明に安定材として使用可能であるかどうか
を試験した。母材への改質材の溶解は、母材を120〜
160℃に加熱溶解したものに、改質材を所定量計量し
て塊状にならないよう少量づつ添加して、一定温度を保
ちながら行った。分散は、撹拌機(回転数300〜40
0rpm)を使用し、160〜180℃に保ちながら回
転数を下げて60〜100分撹拌することにより行っ
た。ただし、No.10の改質アスファルトはロールを
用いて製造した。用意した改質アスファルトの配合割合
および物性を、それぞれ表4、表5に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】表5における試験方法は次の通りである。 針入度 JISK2207に準拠(25℃、
100g、5秒) タフネス JEAASに準拠 テナシティ JEAASに準拠 軟化点試験 JISK2207に準拠 粘度60℃ 60℃粘度試験方法(AI減圧毛管
式粘度計使用):社団法人日本道路協会編、「舗装試験
法便覧」に準拠 粘度140℃以上 B型回転粘度計を使用して測定:社
団法人日本道路協会編「舗装試験法便覧」に準拠
【0072】表5における評価方法は次の通りである。 浸透性 厚さ25cmの5号採石層に200
℃に加熱した各改質アスファルトを注入し、浸透深さを
測定した。深さ25cmまで浸透しているものを良好と
した。 把握力 タフネスの値が100以上のものを
良好とした。 感温性 軟化点60℃以上を良好とした。 施工性 220℃以下で注入できる粘度(1
500cst未満)のものを良好とした。
【0073】総合評価は、浸透性、把握力、感温性、及
び施工性のいずれもが良好のものを◎とし、いずれか1
つでも不良のものを○とした。
【0074】表5の結果から明らかなように、No.
7、8、9の改質アスファルトは、浸透性、把握力、感
温性、施工性、いずれの点においても良好で、本発明に
安定材として良好に使用できることが確認された。ま
た、改質材を添加しないNo.5のストレートアスファ
ルトや、改質材の添加量が4.5重量%と低いNo.6
の改質アスファルト、もしくは改質材の添加量が21重
量%と多いNo.10の改質アスファルトは、把握力や
感温性、施工性の点で一部不良はあるものの、良好な浸
透性を示し、全体として本発明に安定材として使用可能
であることが確認された。
【0075】
【実施例1】土砂混入が予想される既設線の道床バラス
トを対象に本発明の道床バラスト安定化装置を用いて道
床バラストの安定化を実施した。対象とした道床バラス
トは、PCマクラギを敷設した在来の単線で、バラスト
層の厚さは25cmであった。
【0076】図1、図2に示される装置を台車ごと安定
化すべきバラスト上に誘導し、4本の挿入管を、300
0回/分の振動を与えながら、水平に対する角度50度
でバラスト層内に挿入した。挿入管先端から圧縮空気
(吐出圧力9.8kgf/cm2 、吐出量5.0m3
分)を噴射して、バラスト下層部の堆積物を飛散させ
た。同時に、吸引手段を作動させ、飛散物を吸引除去し
た。使用した挿入管は図3の形式のもので、圧縮気体噴
射管の内径は12mm、噴射口の内径は6mm、吸引管
の内径は40mm、吸引管に取り付けたフィルターの目
開きは15mmであった。なお、圧縮空気は80℃に加
熱して供給した。
【0077】上述の工程と平行して、表2のNo.1の
配合割合で所定量の原料を配合し、ミキサで2分間混練
した。ミキサから試料を採取してJロート法でフロータ
イムを測定したところ、10.5秒であったので、直ち
に、吹き付け機を用いて、30リットル/m2 の量で、
道床バラスト側面部に、路線50mにわたって吹き付
け、安定材の漏れ止め層を形成した。
【0078】次に、同じく表2のNo.1の配合割合で
所定量の原料を配合し、装置内のミキサで2分間混練し
た。フロータイムを測定したところ、6.0秒であった
ので、直ちに、安定材送出ポンプを作動させ、挿入管に
安定材を供給し、点付け充填工程を行った。挿入管の挿
入深さを順次浅くしながら安定材を注入した。このとき
の注入量は、35リットル/m2 であった。
【0079】次いで、点付け充填工程を行ったのと同じ
装置内のミキサ中の安定材No.1を、既に点付け充填
工程が施された道床バラストに注入し、完全充填工程を
行った。このときの安定材No.1のフロータイムは
9.0秒で、注入量は25リットル/m2 あった。
【0080】続いて、装置を台車ごと移動させ、同様の
作業を行った。装置の移動、圧縮気体の噴射、吸引、安
定材の注入を順次繰り返し、路線50mの安定化を終了
した。
【0081】作業終了1時間後、安定化された道床バラ
ストを一部破壊したが、完全充填層、点付け充填層とも
バラスト間隙が安定材によって充填、固化されており、
破壊にはかなりの労力を要した。なお、完全充填層の厚
さは約11cm、点付け充填層の厚さは約14cmで、
バラスト層下層部にまで安定材の浸透が確認された。
【0082】
【実施例2】土砂の混入が予想されるPCマクラギを敷
設した既設の複線を対象に、本発明の道床バラストの安
定化装置を用いてバラスト安定化を実施した。バラスト
層の厚さは25cmで、対象区間は20mであった。
【0083】図1、図2に示される装置を台車ごと安定
化すべきバラスト上に誘導し、4本の挿入管を、300
0回/分の振動を与えながら、水平に対する角度50度
でバラスト層内に挿入した。挿入管先端から圧縮空気
(吐出圧力9.8kgf/cm2 、吐出量5.0m3
分)を噴射して、バラスト下層部の堆積物を飛散させ
た。同時に、吸引手段を作動させ、飛散物を吸引除去し
た。使用した挿入管は図6の形式のもので、管内面に断
熱材を裏張りしたものを用いた。圧縮気体噴射管の内径
は52mm、噴射口の内径は6mm、吸引管の内径は4
0mm、吸引管に取り付けたフィルターの目開きは15
mmであった。なお、圧縮空気は90℃に加熱して供給
した。
【0084】上記作業と平行して、ストレートアスファ
ルト100重量部にスチレンブタジエンスチレン共重合
体を10重量部添加して改質した改質アスファルトを2
00℃に加熱して、フロータイムを12.0秒に調整し
たものを、道床バラスト側面部に散布して、漏れ止め層
を構築した。使用量は、30リットル/m2 であった。
【0085】圧縮気体の噴射と堆積物の吸引除去が終了
した後、漏れ止め層の構築に使用したのと同じ改質アス
ファルトを、本発明の装置上で230℃に加熱して、フ
ロータイムを9秒に調整したものを、挿入管に供給し
た。まず、20リットル/m2の割合でバラスト層内に
注入し、点付け充填層を構築した。注入された改質アス
ファルトの冷却は自然冷却に任せた。最後に、加熱温度
を200℃に下げ、フロータイムを10秒に調整した上
記改質アスファルトを、挿入管に供給し、30リットル
/m2 の割合でバラスト層に注入して、完全充填層を構
築した。構築された点付け充填層の厚さ、および、完全
充填層の厚さは、それぞれ、15cmおよび10cmで
あった。施工後2時間経過後、安定化された道床バラス
トを一部破壊したが、完全充填層、点付け充填層ともバ
ラスト間隙が安定材によって充填、固化されており、破
壊にはかなりの労力を要した。なお、完全充填層の厚さ
は約10cm、点付け充填層の厚さは約15cmであっ
た。また、注入された安定材はバラスト層の下層部にま
で良く浸透しているのが確認された。
【0086】
【比較例】実施例1の施工区間に隣接する区間10mを
対象に、挿入管に圧縮気体の供給と挿入管からの吸引作
業を行わない以外は、実施例1と同様の材料及び手順
で、道床バラストの安定化を行った。施工後1時間経過
後、道床バラストを一部破壊したが、バラスト上層部は
安定材によってほぼ完全に充填、固化されていたが、バ
ラスト下層部は、堆積物に邪魔されて、安定材がほとん
ど浸透しておらず、安定材による固化は全く為されてい
なかった。
【0087】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の装置によれ
ば、安定化すべき道床バラストに挿入された挿入管を介
して、圧縮気体の噴射や、その噴射によって飛散した堆
積物の吸引除去が有効に行え、しかも、そのように堆積
物が除去されたバラスト層内に安定材を注入することが
できるので、土砂等の混入が予想されるバラスト層であ
っても、バラスト下層部にまで安定材を浸透させること
ができ、道床バラストを極めて有効に安定化することが
できるものである。
【0088】また、挿入管には断熱材が施され、加熱さ
れた圧縮気体や加熱された安定材であっても、有効にバ
ラスト層内に供給することができる。しかも、加振手段
を備えているので、挿入管に適宜振動を与えることがで
き、挿入管の挿入を容易に行えるだけでなく、挿入管の
振動によって堆積した泥土などをバラストから効率良く
剥離、離散させることができる。
【0089】このように、本発明の道床バラストの安定
化装置装置によれば、道床バラストの安定化作業が極め
て簡単にかつ効率良く行うことができ、路線保守の省力
化に極めて有効な効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の道床バラストの安定化装置の側面図
である。
【図2】 本発明の道床バラストの安定化装置の平面図
である。
【図3】 本発明の挿入管の一例を示す断面図である。
【図4】 本発明の挿入管の他の例を示す断面図であ
る。
【図5】 本発明の挿入管の他の例を示す断面図であ
る。
【図6】 本発明の挿入管の他の例を示す断面図であ
る。
【図7】 急硬性CAPの混練プロセスを表す工程図で
ある。
【図8】 本発明の装置の使用例を表す断面図である。
【図9】 堆積物の堆積状態を示す部分拡大図である。
【図10】 堆積物の除去後の状態を示す部分拡大図で
ある。
【図11】 本発明の点付け充填工程の詳細を表す断面
図である。
【図12】本発明の完全充填工程の詳細を表す断面図で
ある。
【図13】本発明の漏れ止め工程を表す断面図である。
【符号の説明】
1 道床バラストの安定化装置 2 挿入管 3 チャック機構 4 直進部材 5 台 6 送りシリンダ 7 加振手段 8 角度調整用駆動シリンダ 9a、9b、9c 連結管 10 圧縮気体供給手段 11 吸引手段 12 ミキサー 13 安定材送出ポンプ 14 弁 15 安定材原料置き場 16 台車 17 レール 18 マクラギ 19 圧縮気体噴射管 20 噴射口 21 吸引管 22 吸引口 23 フィルター 24 断熱材 25 路盤 26 道床バラスト 27 バラスト 28 注入孔 29 堆積物 30 バラスト間隙 31a、31b、31c 安定材 32 点付け充填層 33 完全充填層 34 吹き付け機 35 注入具 36 漏れ止め層 A 拡大部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀池 高広 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 江本 学 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 佐伯 俊之 千葉県千葉市美浜区真砂1丁目11番6− 403号 (72)発明者 渡沼 毅好 千葉県佐倉市上志津1806番地3 プラザ・ ドウ・タセット202号 (72)発明者 山本 孝洋 栃木県下都賀郡国分寺町大字小金井110番 地2 ニチレキ小金井寮B201号室 (72)発明者 佐藤 勝俊 栃木県宇都宮市さつき2丁目7番8号

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定化すべき道床バラストに挿入される
    挿入管として、圧縮気体噴射管、吸引管、安定材注入管
    を、それぞれ1本もしくは複数本有すると共に、圧縮気
    体供給手段、吸引手段、安定材供給手段を備えているこ
    とを特徴とする道床バラストの安定化装置。
  2. 【請求項2】 圧縮気体噴射管と吸引管とが1本の挿入
    管に一体化されていることを特徴とする請求項1記載の
    道床バラストの安定化装置。
  3. 【請求項3】 圧縮気体噴射管、吸引管及び安定材注入
    管が1本の挿入管に一体化されていることを特徴とする
    請求項1記載の道床バラスト安定化装置。
  4. 【請求項4】 1本の管が圧縮気体噴射管と安定材注入
    管とを兼ねることを特徴とする請求項2または3記載の
    道床バラスト安定化装置。
  5. 【請求項5】 圧縮気体噴射管と吸引管とが同心状に配
    置されていることを特徴とする請求項2、3または4記
    載の道床バラストの安定化装置。
  6. 【請求項6】 挿入管に振動を与える加振手段を備えて
    いることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記
    載の道床バラスト安定化装置。
  7. 【請求項7】 圧縮気体及び/または安定材の加熱手段
    を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5または6記載の道床バラスト安定化装置。
  8. 【請求項8】 挿入管が保温手段を備えていることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の
    道床バラストの安定化装置。
  9. 【請求項9】 軌道上を走行可能な台車上に積載されて
    いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7または8記載の道床バラストの安定化装置。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8または9記載の道床バラストの安定化装置に使用され
    る挿入管。
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Cited By (6)

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