JPH10264803A - ブレーキ圧推定装置、アンチロックブレーキ制御装置、及びブレーキ圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ圧推定装置、アンチロックブレーキ制御装置、及びブレーキ圧制御装置

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JPH10264803A
JPH10264803A JP1072598A JP1072598A JPH10264803A JP H10264803 A JPH10264803 A JP H10264803A JP 1072598 A JP1072598 A JP 1072598A JP 1072598 A JP1072598 A JP 1072598A JP H10264803 A JPH10264803 A JP H10264803A
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pressure
brake pressure
brake
estimating
time
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JP1072598A
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English (en)
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Masaru Sugai
賢 菅井
Katsuhiro Asano
勝宏 浅野
Hidekazu Ono
英一 小野
Koji Umeno
孝治 梅野
Hiroyuki Yamaguchi
裕之 山口
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Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力センサを用いずにマスタシリンダ圧等を
高精度に推定する。 【解決手段】 車体と車輪と路面とから構成される振動
系の共振周波数でブレーキ圧を微小励振させたときの、
この共振周波数での車輪速度ωw の微小振幅ωvとブレ
ーキ圧微小振幅Pv との比である共振ゲインGd を演算
する。そして、車輪速ωw と共振ゲインGd とから平均
ブレーキ圧Pm を推定する。次に、推定された平均ブレ
ーキ圧Pm と、バルブの増圧時間ti 、減圧時間tr
に基づいてマスタシリンダ圧Pd を推定する。素子点推
定されたマスタシリンダ圧Pd と、バルブの増圧時間t
i 、減圧時間tr とに基づいてブレーキ圧微小振幅Pv
を推定する。なお、推定されたブレーキ圧微小振幅Pv
は、共振ゲインGd の演算に用いられる。振動系の共振
特性を用いるため、圧力センサを用いずにマスタシリン
ダ圧を高精度に推定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ圧推定装
置、アンチロックブレーキ制御装置、及びブレーキ圧制
御装置に係り、より詳しくは、車輪速等に基づいて平均
ブレーキ圧やブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定装
置、このブレーキ圧推定装置を用いたアンチロックブレ
ーキ制御装置、及びブレーキ油圧を制御するブレーキ圧
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
(従来のブレーキ圧推定装置及び該装置を利用したアン
チロックブレーキ制御装置)アンチロックブレーキ制御
装置(以下、「ABS装置」という)のように、ブレー
キ圧(ホイールシリンダ圧)を制御することにより、車
両の制動力を制御している装置では、ブレーキ圧の検出
は重要な課題であり、ブレーキ圧の値がわかればより高
度な制御への展開が期待できる。このブレーキ圧を検出
する方法として半導体などを用いた圧力センサを各輪の
ホイールシリンダへ取り付ける方法がある。しかし、圧
力センサは比較的高価であり、この圧力センサを各輪の
ホイールシリンダ毎に取り付けることはコスト的に困難
である。
【0003】そこで、従来より、マスタシリンダ圧に取
り付けた圧力センサの測定結果を基に、各輪のホイール
シリンダ圧を推定する技術が提案されている。特開平7
−186918号公報には、測定された供給圧力(マス
タシリンダ圧)及びバルブ動作時間から各輪のホイール
シリンダ圧を求める手法を用いたブレーキ圧力制御装置
が開示されている。この手法によれば、マスタシリンダ
の圧力のみを1つの圧力センサにより検出するだけで済
むため、コスト的に有利となる。
【0004】しかし、一般に広く普及しているABS装
置では、マスタシリンダにさえ圧力センサを取り付けた
ものが少なく、上記推定技術のようにマスタシリンダに
のみ圧力センサを取り付ける手法でもコストアップにつ
ながることになる。また、圧力センサのセンサフェール
時の信頼性を確保するため、フェール対策を施す必要が
あり、この点でもコストアップが避けられない。
【0005】そこで、圧力センサを用いずにマスタシリ
ンダ圧を推定する手法が、特開平6−286590号公
報に提案されている。
【0006】同公報記載の技術によれば、以下の〜
のマスタシリンダ圧推定方法が開示されている。
【0007】 最初のブレーキ液圧の減圧時にマスタ
シリンダ圧が一定量で増加していると仮定して、マスタ
シリンダ圧変化ΔPm(定数)を算出する。そして、Δ
Pmによりマスタシリンダ圧を補正する。
【0008】 マスタシリンダ圧の値が大きな領域
で、マスタシリンダ圧変化がスリップ率変化ΔSに応じ
て増大する傾向にあることを利用し、スリップ率変化に
基づいてマスタシリンダ圧の変化ΔPmを算出する。従
って、マスタシリンダ圧の変化が一定であると仮定した
の方法より推定精度が向上する。
【0009】 車体加速度変化ΔV’w0とスリップ率
変化ΔSとに基づいてマスタシリンダ圧変化ΔPmを算
出する。車体加速度変化ΔV’w0を用いるため、車輪の
減速スリップがまだ発生していない低いマスタシリンダ
圧Pmの領域から補正を行うことができるので、の方
法と比べてさらに推定精度が向上する。
【0010】(従来のブレーキ油圧制御装置)ABS装
置のように、車両の制動力をホイールシリンダ油圧によ
って制御している装置では、ロック時のブレーキ油圧の
減圧だけではなく、ブレーキ油圧の滑らかで連続的な制
御は重要である。 ブレーキ油圧は、運転者のブレーキ
ペダルの踏み込みに関係した圧力を持つマスタシリンダ
と、実際の車両制動力となるブレーキパッドの押しつけ
圧を持つホイーシリンダとの間に、外部から電気信号等
で制御可能な増圧・減圧バルブ(図1(a)、(b)の
ABSアクチュエータ)を設けることにより制御され
る。
【0011】通常では、図1のABSアクチュエータの
増圧バルブを開き、減圧バルブを閉じることにより、ホ
イールシリンダ油圧はマスタシリンダからの圧力がその
まま伝わった状態となっている。ホイールシリンダ油圧
が大き過ぎる時は、増圧バルブを閉じ、減圧バルブを開
いた状態(減圧モード)で、マスタシリンダからの圧力
を封じるとともに、リザーバタンクへホイールシリンダ
油圧を逃がすことにより減圧を行う。また、減圧状態か
らの復帰は、増圧バルブ及び減圧バルブの両方を閉じる
ことによりホイールシリンダ油圧を変化させない状態
(保持モード)とし、増圧バルブのみを開きマスタシリ
ンダ油圧がそのまま伝えられる状態(増圧モード)を短
い時間だけ入れながら、徐々に増圧モードの時間を増加
させていく。
【0012】実際のABS制御等では、ロックを検出す
ると比較的長い時間の減圧モードにより、急激にホイー
ルシリンダ油圧を減少させ、その後、保持・増圧モード
の繰り返しにより、比較的ゆっくりと油圧上昇を行って
いる。この上昇の際に、再び車輪がロックすると、バル
ブは減圧モードとなり、ホイールシリンダ油圧は急減圧
され、その後、保持、増圧モードに移っていく。
【0013】例えば、特開平3−118263号公報に
よれば、図2(a)、(b)に示すように、増圧・減圧
の各領域で、車輪速と加速・減速度及び別に設定した目
標速度の関係から複数のマップを設けてパルス列のパタ
ーンを切り替えている。
【0014】また、特開平8−34329号公報には、
増圧と減圧のモードしか持たないバルブ構成で、バルブ
の動作周波数及び増圧・減圧のデューティ比を基に、平
均的なブレーキ油圧の制御を行う技術が開示されてい
る。この技術によれば、主として、増圧と減圧のモード
しか持たないバルブ構成で保持のモードを作りだすため
に比較的高周波でのバルブ動作を行い、ブレーキ油圧の
保持を実現している。また、ブレーキ油圧の微小変動幅
をバルブ動作の周波数の変更で調整している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平6−286590号公報に記載された従来技術で
は、最も推定精度の高いの方法でも、スリップ率変化
ΔSを用いているため、タイヤと路面との間の摩擦係数
μの変化によってスリップ率変化ΔSとマスタシリンダ
圧変化ΔPmとの関係が変化し、一定の係数を用いたマ
スタシリンダ圧変化ΔPmの計算では、路面状況によっ
て推定精度が低下する、という問題がある。
【0016】また、上記特開平3−118263号公報
に記載された従来技術では、図2(a)、(b)に示し
たパルス列のパターンを切り替えてブレーキ油圧を制御
している。このため、図2(c)に示すように、ホイー
ルシリンダ油圧に比較的低周波(数Hz)の油圧振動が
発生し、運転者のペダルへ低周波のキックバックと呼ば
れる不快振動を与えると共に車両挙動にも比較的低周波
で大きな変動を与え、滑らかなブレーキ油圧制御が得ら
れない、という問題がある。
【0017】また、上記特開平8−34329号公報に
記載された従来技術では、特願平7−220920号公
報に述べられている、車輪と路面とのグリップの状態に
よって、車体と車輪と路面とからなる振動系の共振特性
が変化することを利用したアンチロックブレーキ制御な
どでは、その共振周波数の励振振動の周波数を変更する
ことができないため、適用が困難である、という問題が
ある。
【0018】本発明は、上記事実に鑑みてなされたもの
で、圧力センサを用いることなく、路面状況によらず安
定かつ高精度に、平均ブレーキ圧やブレーキ圧を推定で
きるブレーキ圧推定装置、及びこのブレーキ圧推定装置
を用いたアンチロックブレーキ制御装置を提供すること
を目的とする。
【0019】また、本発明は、連続的で滑らかなブレー
キ油圧の制御を行うことにより、運転者への不快振動や
車両挙動への変動を低減させたブレーキ圧制御装置を提
供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、車輪速度が入力される第1の入
力手段と、車輪のすべり易さを表す物理量が入力される
第2の入力手段と、入力された車輪速度と物理量とから
平均ブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定手段と、を含
んで構成されている。
【0021】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記物理量は、スリップ速度に対する制動
力の勾配、スリップ速度に対する制動トルクの勾配、ス
リップ速度に対する路面と車輪との間の摩擦係数の勾配
の何れかとしている。
【0022】請求項3記載の発明は、車輪速度が入力さ
れる第1の入力手段と、車体と車輪と路面とから構成さ
れる振動系の共振周波数でブレーキ圧を励振させたとき
の、該共振周波数におけるブレーキ圧の微小振幅に対す
る車輪速度の微小振幅の比である共振ゲインが入力され
る第2の入力手段と、一定のマスタシリンダ圧に対する
平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増圧減圧時間に関連
した物理量が入力される第3の入力手段と、スリップ速
度に対する制動トルクの勾配が前記共振ゲインに比例す
るモデルに基づいて、入力された車輪速度と共振ゲイン
とから平均ブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定手段
と、前記ブレーキ圧推定手段により推定された平均ブレ
ーキ圧と、入力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又
は増圧減圧時間に関連した物理量と、に基づいて、マス
タシリンダ圧を推定するマスタ圧推定手段と、前記マス
タ圧推定手段により推定されたマスタシリンダ圧と、入
力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増圧減圧時
間に関連した物理量と、に基づいて、ブレーキ圧の微小
振幅を推定する微小振幅推定手段と、を含んで構成して
いる。
【0023】請求項4記載の発明は、車輪速度を検出す
る車輪速検出手段と、車体と車輪と路面とから構成され
る振動系の共振周波数でブレーキ圧を励振させたとき
の、該共振周波数におけるブレーキ圧の微小振幅に対す
る車輪速度の微小振幅の比である共振ゲインを演算する
る共振ゲイン演算手段と、スリップ速度に対する制動ト
ルクの勾配が前記共振ゲインに比例するモデルに基づい
て、前記車輪検出手段により検出された車輪速度と共振
ゲイン演算手段により演算された共振ゲインとから平均
ブレーキ圧を推定するブレーキ圧推定手段と、前記ブレ
ーキ圧推定手段により推定された平均ブレーキ圧と、入
力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増圧減圧時
間に関連した物理量と、に基づいて、マスタシリンダ圧
を推定するマスタ圧推定手段と、前記マスタ圧推定手段
により推定されたマスタシリンダ圧と、入力された平均
ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増圧減圧時間に関連した
物理量と、に基づいて、ブレーキ圧の微小振幅を推定
し、推定されたブレーキ圧の微小振幅を前記演算手段へ
出力する微小振幅推定手段と、前記共振ゲイン演算手段
が演算した共振ゲインが基準ゲインに一致又は略一致す
るように、平均ブレーキ圧の増圧減圧時間を制御する制
御手段と、前記制御手段により制御される平均ブレーキ
圧の増圧減圧時間又は該増圧減圧時間に関連した物理量
を前記マスタ圧推定手段へ変換出力する参照手段と、を
含んで構成している。
【0024】請求項5記載の発明は、ホイールシリンダ
のブレーキ圧を増圧する増圧バルブ及び該ブレーキ圧を
減圧する減圧バルブとを備えた制御用バルブと、前記増
圧バルブによるブレーキ圧の増圧の状態とブレーキ圧の
保持の状態とからなる第1の状態と、前記減圧バルブに
よるブレーキ圧の減圧の状態とブレーキ圧の保持の状態
とからなる第2の状態とが一定周期で交互に切り替えら
れるように前記制御用バルブを制御すると共に、前記制
御用バルブの増圧の状態の時間及び減圧の状態の時間を
制御する制御手段と、を含んで構成している。
【0025】上記請求項1記載の発明では、ブレーキ圧
推定手段が、入力さた車輪速度と物理量とから平均ブレ
ーキ圧を推定する。ここで、物理量には、請求項2記載
の発明のように、スリップ速度に対する路面と車輪との
間の摩擦係数の勾配、スリップ速度に対する制動力の勾
配、及びスリップ速度に対する制動トルクの勾配があ
る。
【0026】このように、車輪速度と物理量とから平均
ブレーキ圧を推定する。物理量が零の時に摩擦係数がピ
ークとなることということは路面状態に係わらず成り立
つ事実であるので、本発明では、圧力センサを用いるこ
となく、路面状態によらず高精度かつ安定な平均ブレー
キ圧の推定が可能となる。
【0027】請求項3記載の発明は、ブレーキ圧推定手
段が、スリップ速度に対する制動トルクの勾配が前記共
振ゲインに比例するモデルに基づいて、入力された車輪
速度と共振ゲインとから平均ブレーキ圧を推定する。次
に、マスタ圧推定手段が、推定された平均ブレーキ圧
と、入力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増圧
減圧時間に関連した物理量と、に基づいて、マスタシリ
ンダ圧を推定する。そして、微小振幅推定手段が、推定
されたマスタシリンダ圧と、入力された平均ブレーキ圧
の増圧減圧時間又は増圧減圧時間に関連した物理量と、
に基づいて、ブレーキ圧の微小振幅を推定する。
【0028】ここで、平均ブレーキ圧の増圧減圧時間と
は、この平均ブレーキ力を実現するために制御されるバ
ルブの増圧時間及び減圧時間をいう。また、増圧時間及
び減圧時間に関連した物理量として、例えば、マスタシ
リンダ圧が一定でブレーキ圧微小振幅が一定となるよう
な増圧・減圧時間に対応する平均ブレーキ圧(後述する
平均ブレーキ圧参照値)などがある。
【0029】このように、スリップ速度に対する制動ト
ルクの勾配が前記共振ゲインに比例するモデルに基づい
て推定された平均ブレーキ圧からマスタシリンダ圧を推
定する。制動トルクの勾配が零の時に摩擦係数がピーク
となることということは路面状態に係わらず成り立つ事
実であるので、本発明では、圧力センサを用いることな
く、路面状態によらず高精度かつ安定なマスタシリンダ
圧の推定が可能となる。
【0030】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明のブレーキ圧推定装置をアンチロックブレーキ制御装
置に適用したので、圧力センサを設けることなく簡単な
構成の装置で、路面状況によらず高精度かつ安定なアン
チロックブレーキ動作が可能となる。
【0031】請求項5記載の発明は、増圧状態を含む第
1の状態と減圧状態を含む第2の状態とを一定周期で交
互に切り替え、ブレーキ圧の制御を、各状態での増圧時
間、減圧時間の調整によって行うので、連続的なブレー
キ圧の制御が可能となる。また、切り替えの周期を一定
とするため、ブレーキ圧を微小励振させて共振特性の変
化からアンチロックブレーキ制御するABS装置への適
用も容易である。なお、請求項3の発明で、ブレーキ圧
を保持するときは、増圧バルブと減圧バルブの両方を同
時に閉じれば良い。
【0032】また、第1の状態と第2の状態との切り替
えの周期を短くする(高周波にする)ことによって、ブ
レーキ圧の変動を運転者が不快に感じない程度で、かつ
微小振動とすることができ、キックバックを防止でき
る。これにより、車両挙動に大きな変動を与えず、AB
S装置に本装置を適用した場合、ABS制御をより高性
能にできる。
【0033】さらに、現行のABS装置に用いられてい
る増圧バルブと減圧バルブとの2つのバルブ構成のまま
で、連続的な平均ブレーキ圧の制御が可能となり、ハー
ドウェアの変更を抑えることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図面に基づいて詳細に説明する。 [本実施の形態の原理]図1(a)には、3ポジション
バルブ1つで構成されたABSアクチュエータ、図1
(b)には、2ポジションバルブ2つで構成されたAB
Sアクチュエータが示されている。図1(a)、(b)
に示すように、ABSアクチュエータのバルブ構成は、
マスタシリンダに継る増圧バルブと、リザーバタンクに
継る減圧バルブとにより構成されており、各々のバルブ
は、図示しない制御部からの電流指令により開閉する。
増圧バルブが開き、減圧バルブが閉じている状態では、
ホイールシリンダ圧はドライバがペダルを踏むことによ
って得られる圧力に比例したマスタシリンダ圧まで上昇
する。逆に増圧バルブが閉じ、減圧バルブが開いている
場合には、ホイールシリンダ圧は、ホイールシリンダ圧
はほぼ大気圧のリザーバ圧まで減少する。両方のバルブ
が閉じている状態では、ホイールシリンダ圧の増減はな
く、圧力は保持される。
【0035】ここで、ホイールシリンダ圧をPb 、マス
タシリンダ圧をPd 、リザーバ圧をPl とすると、増圧
時に流れ込むブレーキ液流量Qi 、減圧時に流れ出すブ
レーキ液流量Qr は、
【0036】
【数1】
【0037】となり、圧力差の平方根に比例したものと
なる。保持モード時では、ホイールシリンダへの流入、
流出量Qh は、 Qh = 0 (3) となる。(1) 〜(3) 式において、A1 、A2 は定数、ρ
はブレーキ液の密度である。ρの変化は小さく一定とす
ると、ブレーキ油圧の時間変化(dPb /dt)は、流
量Qに比例することから、
【0038】
【数2】
【0039】となる。この数式モデルを用いると、バル
ブへの指令を一定周期で、増圧−保持−減圧−保持を繰
り返した時、ホイールシリンダのブレーキ油圧波形Pb
は図3(a)〜図3(c)に示したようになる。なお、
図3では、増圧時間がti 、減圧時間がtr とされてい
る。
【0040】図3(b)、(c)に示すように、増圧時
間ti と減圧時間tr との比によってブレーキ油圧の平
均値(平均ブレーキ圧)を制御でき、増圧時間ti 、減
圧時間tr のそれぞれの長さによって微小振動の振幅値
(ブレーキ圧微小振幅)を制御できることがわかる。
【0041】このとき、マスタシリンダ圧が一定であれ
ば、増圧時間ti 、減圧時間tr に対して、平均ブレー
キ圧Pm 、ブレーキ圧微小振幅Pv が一意に定まること
になる。すなわち、 Pm = (Pb ( ti 、tr ) の平均値) = Pm ( ti 、tr ) (7) Pv = (Pb ( ti 、tr ) の微小振幅値) = Pv ( ti 、tr ) (8) のように、平均ブレーキ圧Pm 及びブレーキ圧微小振幅
v を、増圧時間ti 、減圧時間tr の関数として表す
ことができる。
【0042】ここで、マスタシリンダ圧が15.5[M
Pa]で一定の状態の場合に、バルブの増圧・減圧時間
を変化させたときの、平均ブレーキ圧の変化及びブレー
キ圧微小振幅の変化を図4(a)、図4(b)に各々示
す。図4は、マスタシリンダ圧が15.5[MPa]一
定の状態で、繰り返しの周期を24[ms]としてバル
ブの増圧・減圧時間を変化させた時の、平均ブレーキ圧
をシミュレーションにより求めたものである。
【0043】また、マスタシリンダ圧を変化させたとき
の、平均ブレーキ圧及びブレーキ圧微小振幅の変化を、
図5(a)、図5(b)に各々示す。なお、図5では、
増圧時間を6[ms]一定とし、減圧時間を1、2、3
[ms]通りに変えた各々について示している。図5
(a)、(b)より、同一の増圧・減圧時間に対して、
次のことが成立していることがわかる。
【0044】 平均ブレーキ圧は、マスタシリンダ圧
に比例する。 ブレーキ圧微小振幅は、マスタシリンダ圧の平方根
に比例する。
【0045】図4及び図5により、マスタシリンダ圧が
決まり、バルブでの増圧・減圧時間がわかれば、平均ブ
レーキ圧、ブレーキ圧微小振幅が一意に求められること
がわかる。
【0046】次に、以上のこととは逆に、車輪速変化か
ら求められる平均ブレーキ圧と、増圧・減圧時間より、
マスタシリンダ圧、ブレーキ圧微小振幅を推定すること
が可能であることを図6を用いて説明する。なお、図6
は、推定の流れをブロック毎に表したものである。
【0047】図6に示すように、まず、ブロックAの部
分で車輪速ωw 及び後述する共振ゲインGd に基づいて
平均ブレーキ圧Pm の推定を行う。次に、ブロックBの
第1のステップで、ブロックAで推定された平均ブレー
キ圧Pm 、増圧時間ti 及び減圧時間tr に基づいてマ
スタシリンダ圧Pd の推定を行う。そして、ブロックB
の第2のステップで、第1のステップで推定されたマス
タシリンダ圧Pd 、増圧時間ti 及び減圧時間tr に基
づいてブレーキ圧微小振幅Pv の推定を行う。
【0048】次に、図6の各ブロックでの推定の原理を
詳細に説明する。 (平均ブレーキ圧の推定原理−ブロックA)まず、図6
のブロックAで、平均ブレーキ圧Pm を車輪速ωw から
推定できる原理を説明するために、車輪と車体と路面と
からなる振動系の数式モデルを用いる。車体速をωu
車輪速をωw 、スリップ速度をΔωとすると、 ωu = ωw + Δω (9) となる。車体速ωu の時間に関する1階微分が、タイヤ
−路面間の制動トルクT b に比例すると考えると、
【0049】
【数3】
【0050】となる。(10)式の右辺の第2項でTb を媒
介変数とすると、
【0051】
【数4】
【0052】と変形できる。(11)式において(dTb
dt)係数の分母(dTb /dΔω)は、制動トルクT
b のスリップ速度Δωに対する傾きである。
【0053】ここで、重量Wの車体を備えた車両が速度
ωu で走行している時の車輪での振動現象、すなわち車
体と車輪と路面とによって構成される振動系の振動現象
を、車輪回転軸で等価的にモデル化した図7に示すモデ
ルを参照して考察する。
【0054】ここで、ブレーキ力(制動力)は、路面と
接するタイヤのトレッド15の表面を介して路面に作用
するが、このブレーキ力は実際には路面からの反作用と
して車体に作用するため、車体重量の回転軸換算の等価
モデル17はタイヤのトレッドと路面との間の摩擦要素
16(路面μ)を介して車輪13と反対側に連結したも
のとなる。これは、シャシーダイナモ装置のように、車
輪下の大きな慣性、すなわち車輪と反対側の質量で車体
の重量を模擬することができることと同様である。
【0055】図7でタイヤリムを含んだ車輪13の慣性
をJw 、リムとトレッド15との間のばね要素14のば
ね定数をK、車輪半径をR、トレッド15の慣性を
t 、トレッド15と路面との間の摩擦要素16の摩擦
係数をμ、車体の重量の回転軸換算の等価モデル17の
慣性をJV とすると、ホイールシリンダ圧により生じる
トルクTb ’から車輪速ωw までの伝達特性は、
【0056】
【数5】
【0057】となる。また、スリップ速度Δωと路面の
摩擦係数μとの間には、図8に示すように、あるスリッ
プ率で摩擦係数μがピークをとる関数関係が成立するこ
とが知られている。ここで、図8の関数関係において、
あるスリップ率の回りで微小振動したときの摩擦係数μ
のスリップ速度Δωに対する変化を考えると、路面の摩
擦係数μは、 μ = μ0 +αRΔω (13) と近似できる。すなわち、微小振動によるスリップ速度
の変化が小さいため、傾きαRの直線で近似できる。
【0058】ここで、タイヤと路面間の摩擦係数μによ
り生じる制動トルクTb =μWに(13)式を代入すると、 Tb = μW = μ0 W+αRΔωW (14) となる。(14)式の両辺をΔωで1階微分すると、
【0059】
【数6】
【0060】となる。(12)式の伝達特性において、タイ
ヤが路面にグリップしているときの共振周波数ω∞は、
【0061】
【数7】
【0062】となる。なお、タイヤと路面との間の摩擦
状態がピークμに近づくと、タイヤと路面との分離性が
高まり、共振周波数は高周波数側にシフトする。すなわ
ち、共振周波数の検出により、摩擦状態を検出できる。
【0063】ここで、ブレーキ圧Pb に対する車輪速ω
w の比(ωw /Pb )の共振周波数ω∞の振動成分
((ωw /Pb )|s=jω∞)を共振ゲインGd とす
る。なお、以下では、ABSアクチュエータにより平均
ブレーキ力の回りに共振周波数ω∞の微小励振を印加し
ているものとする。
【0064】ホイールシリンダ圧により生じるトルクT
b ’はブレーキ圧Pb と比例関係にあることから、共振
ゲインGd は、(ωw /Tb ’)の共振周波数ω∞の振
動成分と比例関係にあり、共振ゲインGd は次式によっ
て表される。
【0065】
【数8】
【0066】一般に、 |A| = 0.012 << |B| = 0.1 (20) となることから、(15)、(17)式より、
【0067】
【数9】
【0068】を得る。すなわち、スリップ速度Δωに対
する制動トルクTb の勾配は共振ゲインGd に比例す
る。
【0069】ゆえに、比例係数をhとすると、(11)式
は、
【0070】
【数10】
【0071】となり、整理して伝達関数表現すると、
【0072】
【数11】
【0073】を得る。なお、sはラプラス変換の演算子
である。ホイールシリンダ圧によって生じるトルク
b ' は、制動トルクTb と車輪慣性Jw によるトルク
の和であり、
【0074】
【数12】
【0075】であるので、伝達関数表現では、
【0076】
【数13】
【0077】となる。(25)式の左辺のTb ’の平均値は
ホイールシリンダ圧Pb の平均値Pmに比例すると考え
ると、比例係数をKとして、
【0078】
【数14】
【0079】を得る。ここで、τLPF はローパスフィル
タの時定数(平均値を求める際の時間定数)である。
【0080】(マスタシリンダ圧及びブレーキ圧微小振
幅の推定原理−ブロックB)次に、図6のブロックBに
おける推定原理について説明する。
【0081】既に述べたように、マスタシリンダ圧Pd
が一定の場合にバルブに指令した増圧・減圧時間ti
r がわかれば、(7) 、 (8)式より平均ブレーキ圧
m 、ブレーキ圧微小振幅Pv は、一意に定まる。ま
た、マスタシリンダ圧Pd の変化に対しても、増圧・減
圧時間を一定とした場合にPm はPd に比例し(図5
(a))、Pv はPd の平方根に比例して変化する(図
5(b))。
【0082】従って、増圧・減圧時間ti 、tr と、(2
6)式により得られた平均ブレーキ圧Pm とからマスタシ
リンダ圧Pd を求めることができる。また、このように
して求めたマスタシリンダ圧Pd と増圧・減圧時間
i 、tr との関係(図5(b))からブレーキ圧微小
振幅Pv を求めることができる。
【0083】例えば、マスタシリンダ圧Pd0における平
均ブレーキ圧の増圧・減圧時間に対する2次元のテーブ
ルPm0(ti ,tr )を用意した場合を考えよう。実際
の平均ブレーキ圧が(26)式よりPm であることがわかれ
ば、その時の増圧・減圧時間ti 、tr よりマスタシリ
ンダ圧Pd は、Pm0(ti ,tr )とPm とを比較し
て、
【0084】
【数15】
【0085】として求めることができる。また、この時
の微小振幅Pv は、Pd0に対するPv0(ti ,tr )の
2次元テーブルを用意することによって、
【0086】
【数16】
【0087】より求めることができる。このことは、前
述の考察の通り、同一の増圧・減圧時間では、平均ブレ
ーキ圧はマスタシリンダ圧に比例し、ブレーキ圧微小振
幅はマスタシリンダ圧の平方根に比例することに基づい
ている。
【0088】ところで、以上述べた方法で、マスタシリ
ンダ圧、ブレーキ圧微小振幅を推定することができる
が、2次元のテーブルを2つ用意する必要がある。ここ
では処理を簡単化するため、一定のマスタシリンダ圧に
対して、ブレーキ圧微小振幅が一定となるように、増圧
・減圧時間を制限することを考える。
【0089】図9(a)、(b)には、マスタシリンダ
圧が15.5[MPa]一定で、ブレーキ圧微小振幅が
0.3[MPa]一定となる増圧・減圧時間を、各平均
ブレーキ圧について各々求めた結果が示されている。な
お、図9(a)、(b)の関係から、マスタシリンダ圧
が一定でブレーキ圧微小振幅が一定となるような増圧・
減圧時間を求める際に参照される平均ブレーキ圧を平均
ブレーキ圧参照値Pmcとする。
【0090】図9に基づいて、平均ブレーキ圧参照値P
mcに対する増圧・減圧時間でバルブを動作させると、こ
の時推定される平均ブレーキ圧Pm に対して、マスタシ
リンダ圧Pd 及びブレーキ圧微小振幅Pv は、
【0091】
【数17】
【0092】として求めることができる。なお、(29)、
(30)式では、Pd0=15.5[MPa]、Pv0=0.3
[MPa]で定数であるので、2つの2次元テーブルを
省略でき、装置を簡単化できる。
【0093】(ブレーキ圧推定装置を用いたアンチロッ
クブレーキ制御装置)(21)式で既に示したように、制動
トルクTb のスリップ速度Δωに対する傾き(dTb
dΔω)は、車輪速微小振幅ωv のブレーキ圧微小振幅
v に対する比である共振ゲインGd に比例する。図1
0に示すように、傾き(dTb /dΔω)が零になる状
態を考えてみると、これは制動力Tb が最大となる状態
であり、この制動力以上に制動をかけようとすると、一
般に車輪はロックし、急激に制動力を失うことが知られ
ている。
【0094】本実施の形態に係るABS装置では、この
ピーク付近の制動力を保持してタイヤをロックすること
なく滑らかに停止させる制御を行う。制動力のピーク値
付近に近づいたか否かは、その時の共振ゲインの大きさ
により検出が可能である。
【0095】すなわち、上述のブレーキ圧推定装置を用
いて得られるブレーキ圧の微小振幅と、車輪速の微小振
幅より共振ゲインを計算する。そして、共振ゲインGd
がある基準とする値Gs より大きい時、ブレーキ圧の減
圧を行わず、Gd がGs を下回ろうとした時に、制動力
がピーク値に近づいているとみなして、ブレーキ圧を減
圧させるように制御する。これにより、制動トルクTb
を、ピークμに対応する制動トルクの最大値に維持でき
る。これにより、路面状態に係わらず高精度で安定なア
ンチロックブレーキ制御が可能となる。
【0096】また、共振ゲインを推定する際に用いるブ
レーキ圧の微小振幅は、本実施の形態に係るブレーキ圧
推定装置が圧力センサを用いることなく推定するので、
ABS装置全体のコストを低減することができる。
【0097】
【実施例】以上述べた実施の形態に係るブレーキ圧推定
装置及びアンチロックブレーキ制御装置の実施例を以下
に説明する。 (ブレーキ圧推定装置の構成例)図11には、本実施例
に係るブレーキ圧推定装置30が適用されたアンチロッ
クブレーキ制御装置の構成が示されている。
【0098】図11に示すように、ブレーキ圧推定装置
30(破線部)は、車輪速ωw と共振ゲインGd を入力
として、平均ブレーキ圧Pm を推定する平均ブレーキ圧
推定部32と、平均ブレーキ圧Pm と平均ブレーキ圧参
照値Pmcとからマスタシリンダ圧Pd を推定するマスタ
シリンダ圧推定部34と、マスタシリンダ圧Pd からブ
レーキ圧微小振幅Pv を推定するブレーキ圧微小振幅推
定部36と、から構成される。
【0099】なお、車輪速ωw は、車両50の各輪に取
り付けられた図示しない車輪速センサからの信号を処理
することによって得られる。例えば、車輪速センサの検
出信号をA/Dコンバータでデジタル信号に変換し、該
信号をコンピュータ内に読み込んで処理することもでき
るし、センサの外部にアナログの信号処理回路や、デジ
タルのカウンタ回路などを構成することにより車輪速を
検出することができる。
【0100】平均ブレーキ圧推定部32は、(26)式に基
づいて平均ブレーキ圧Pm を演算出力する高次のフィル
タとして実現できる。車輪速センサの検出信号をA/D
コンバータでAD変換したデジタル信号をコンピュータ
内で(26)式に基づいて処理することによっても実現でき
る。平均ブレーキ圧推定部32の構成例を図12に示
す。
【0101】図12に示すように、平均ブレーキ圧推定
部32は、入力された車輪速ωw と他方の入力信号との
偏差を演算する偏差演算器60と、該偏差演算器60の
出力端に接続された乗算器64と、該乗算器64の出力
端に接続されたk倍のアンプ68と、を備えている。乗
算器64の入力端には、入力された共振ゲインGd を1
/h倍するアンプ62が接続され、乗算器64の他方の
出力端は、ラプラス変換演算器66を介して偏差演算器
60の他方の入力端へ接続される。
【0102】さらに、アンプ68の出力端は(K/1+
τLPF s)を演算するフィルタ70を介して減算器72
と接続されている。この減算器72の他方の入力端に
は、車輪速ωw を入力として(Jw K/1+τLPF s)
を演算出力するフィルタ74が接続されており、減算器
72は、フィルタ72、74の出力の符号を反転させて
加算し、加算結果を平均ブレーキ圧Pm として出力す
る。
【0103】また、図11のマスタシリンダ圧推定部3
4は、(29)式に示す乗除算処理を実行する回路で実現で
きる。このマスタシリンダ圧推定部34の構成例を図1
3に示す。
【0104】図13に示すように、マスタシリンダ圧推
定部34は、平均ブレーキ圧推定部32が演算した平均
ブレーキ圧Pm を、入力された平均ブレーキ圧参照値P
mcで除算する除算器80と、該除算器80の出力端に接
続され、除算結果をPd0倍してマスタシリンダ圧Pd
して出力するアンプ82と、から構成される。
【0105】また、図11のブレーキ圧微小振幅推定部
36は、(30)式に示す平方根処理を含む処理を実行する
回路で実現できる。このブレーキ圧微小振幅推定部36
の構成例を図14に示す。
【0106】図14に示すように、ブレーキ圧微小振幅
推定部36は、マスタシリンダ圧推定部34が演算した
マスタシリンダ圧Pd の平方根を求める平方根演算部8
4と、該平方根演算部84が演算した(√Pd )を(P
v0/√Pd0)倍してブレーキ圧微小振幅Pv として出力
するアンプ86と、から構成される。なお、平方根演算
部84の平方根演算は、コンピュータ内に入力データを
読み込んで平方根を求めるための数値処理を実行した
り、また平方根テーブルを参照することにより簡単に実
現できる。
【0107】(アンチロックブレーキ制御装置の構成
例)図11のアンチロックブレーキ制御装置は、車輪速
ωw から微小振動成分の振幅ωv を検出する車輪速微小
振幅検出部38と、この車輪速微小振幅検出部38が検
出した車輪速微小振幅ωv 及びブレーキ圧微小振幅推定
部36が演算したブレーキ圧微小振幅Pv に基づいて共
振ゲインGd を演算する共振ゲイン演算部40と、演算
された共振ゲインGd に基づいて平均ブレーキ圧参照値
mcを演算するPI制御器42と、平均ブレーキ圧参照
値Pmcからバルブの増圧・減圧時間を求めるためのテー
ブル44と、このテーブル44から求められたバルブの
増圧時間ti 、減圧時間tr でバルブを制御するための
指令電流Icmd を出力する電流制御器46と、指令電流
cmd によりバルブの増圧・減圧時間が制御されるAB
Sアクチュエータ48(図1参照)と、から構成され
る。
【0108】車輪速微小振幅検出部38は、車体と車輪
と路面とから構成される励振振動系の共振周波数成分を
抽出するように構成される。なお、車輪速微小振幅検出
部38は、この励振振動系の共振周波数が40[Hz]
程度であるので、制御性を考慮して1周期を24[m
s]、約41.7[Hz]に取るのが好ましい。この共
振周波数成分の抽出には、41.7[Hz]を中心周波
数とするバンドパスフィルタを設け、この出力を全波整
流、直流平滑化することで得ることができる。また、周
期の整数倍、例えば1周期の24[ms]、2周期の4
8[ms]の時系列データを連続的に取り込み、41.
7[Hz]の単位正弦波、単位余弦波との相関を求める
ことによっても共振周波数成分を抽出することができ
る。
【0109】共振ゲイン演算部40は、車輪速微小振幅
検出部38で得られる車輪速微小振幅ωv を、ブレーキ
圧推定装置30より得られるブレーキ圧微小振幅Pv
除算することにより共振ゲインGd を演算する。本実施
例に係るアンチロックブレーキ制御装置では、共振ゲイ
ンGd が基準値Gs を下回ろうとした時に速やかなブレ
ーキ圧の減少が必要とされるので、共振ゲイン演算部4
0では、両者の偏差(Gd −Gs )を共振ゲインGd
除した偏差ΔGを演算し、PI制御器42へ出力する。
ここで、ΔGは、
【0110】
【数18】
【0111】となる。このΔGを演算する共振ゲイン演
算部40の構成例を図15に示す。図15に示すよう
に、共振ゲイン演算部40は、車輪速微小振幅ωv をブ
レーキ圧微小振幅Pv で除算する除算器88と、与えら
れた基準値Gs を除算器88の出力値(ωv /Pv =G
d )で除算する除算器90と、除算器90の出力端に接
続され、1から除算器90の出力値(Gs /Gd )を減
算した値をΔGとして演算出力する偏差演算器92と、
から構成される。なお、基準値Gs は、路面とタイヤと
の間の摩擦状態が制動力ピーク(摩擦係数μの最大時;
ピークμ)に接近しようとする時の共振ゲインの値とし
て予めメモリに記憶されており、(31)式の演算時に該メ
モリから読み出される。
【0112】路面とタイヤとの間のすべりが急増する状
態に近づくと、共振周波数成分の共振ゲインGd が基準
ゲインGs より小さくなるため、(31)式の第2項の(G
s /Gd )は、急激に1より大きくなり、ΔGは負の大
きな値をとる。すなわち、(Gs /Gd )を用いたこと
により、すべりが急増する状態を検出するΔGの検出感
度は、この逆数である(Gd /Gs )を用いた時よりも
高まる。これにより、このΔGに基づくPI制御器42
の制御を正確に行うことができる。
【0113】なお、共振ゲイン演算部40の出力端は、
平均ブレーキ圧推定部32と接続されており、平均ブレ
ーキ圧推定部32へは、演算された共振ゲインGd が入
力される。
【0114】図11のPI制御器42は、共振ゲイン演
算部40が演算したΔGを零に一致又は略一致させるよ
うな平均ブレーキ圧参照値Pmcを演算する。なお、実車
のABS装置では、一般にはアクチュエータのハードウ
ェア構成により、ドライバの踏力によるブレーキ圧より
大きなブレーキ圧を車輪に加えることが不可能となって
いる場合が多い。ドライバの踏力によるブレーキ圧が増
加し、車輪のスリップがピーク制動力となる値に接近或
いは越えようとする時にのみ、ブレーキ圧を速やかに減
少させるようにPI制御器42を設計する必要がある。
ここで、PI制御器42の構成例を図16に示す。
【0115】図16に示すように、PI制御器42は、
正値除去、範囲外除去の部分を除けば、偏差ΔGに対し
て、 Vf = Gc (1+ωc /s)ΔG (32) を演算する第1の演算部分を含み、比例ゲインGc 、積
分ゲインGc ωc のPI制御器となっている。
【0116】(32)式の比例項を演算する部分には、ΔG
の正値を除去し、負値のみを出力する正値除去部94が
介在されている。タイヤ路面間の特性では、スリップ速
度が大きくなると、タイヤがグリップ状態から離れて共
振周波数が高周波数側にシフトするため、車体と車輪と
路面とからなる振動系の共振周波数成分である共振ゲイ
ンGd が減少する。そこで、基準値Gs に対して実際の
共振ゲインGd が小さくなるΔGの負値の時、すなわち
タイヤがピークμを越えて制動されるロック直前の状態
となった時にのみブレーキ圧の制動をかけるようにした
ものである。
【0117】また、(32)式の積分項を演算する部分は、
ΔGに対して1/sを演算するラプラス演算器96と、
該ラプラス演算器96の出力端に接続されたωc 倍のア
ンプ98と、から構成される。そして、正値除去部94
及びアンプ98の出力端は、比例項と積分項を加算する
加算器100を介してGc 倍のアンプ102に接続され
ている。このような構成で、アンプ102は(32)式のV
f を出力する。
【0118】ここで、増圧指令の時間ti と減圧指令の
時間tr とは、図9に示したように、演算された平均ブ
レーキ圧に対して定められるので、実際の増圧・減圧時
間を求めるための平均ブレーキ圧参照値Pmcの値の範囲
は、マスタシリンダ圧が15.5[MPa]の時に、最
大減圧状態0.5[MPa]から最大増圧状態の12
[MPa]程度までの値を出力する必要がある。この値
の範囲は、マスタシリンダ圧の0.03〜0.77倍程
度の範囲となる。
【0119】また、偏差ΔGが零以上の正値の状態はタ
イヤのスリップ状態がピーク制動力となる状態に接近し
ていないことを意味し、従って、ΔGが正値となってV
f が0となる時には、平均ブレーキ圧参照値Pmcは最大
増圧状態12[MPa]を実現する値を出力する必要が
ある。
【0120】そこで、(32)式より演算されたVf から平
均ブレーキ圧参照値Pmcを演算する式は、 Pmc = Pd0(Vf +V0 ) (33) となる。但し、Pd0=15.5[MPa]、V0 =0.
77とする。また、平均ブレーキ圧参照値Pmcが、最大
減圧状態の時の値0.03×Pd0より小さくならないよ
うに、(33)式を演算する前に、Vf の範囲を−0.74
〜0とする必要がある。
【0121】以上の制約を実現するPI制御器42にお
いて(33)式を演算する構成部分は、アンプ102が出力
したVf の範囲外の値を除去する範囲外除去部104
と、範囲外除去部104が出力したVf と、他の入力端
から入力されたV0 とを加算する加算器108と、該加
算器108により演算された(Vf +V0 )をPd0倍す
るアンプ110と、から構成することができる。
【0122】範囲外除去部104は、Vf が−0.74
〜0の範囲外にある時に範囲内の値(当該範囲の境界値
とする)とし、Vf が上記範囲内にある時は、その値を
そのまま出力する。なお、実際のコントローラの出力V
f の範囲外部分を範囲外除去部104により取り去って
しまっても、制御が達成されない状態では、常に偏差Δ
Gが発生する。これにより、偏差ΔGが積分要素の入力
となって積分出力が増大して発散する可能性を生じる。
このことは、比例項、積分項の実際の出力和の値と範囲
外を除去した値との間に大きな差を発生させ、PI制御
器全体の出力の遅れ等の問題を引き起こす。
【0123】そこで、範囲外除去部104の入力値か
ら、範囲外除去部104の出力値を引いた値を演算する
偏差演算器106を設け、該偏差演算器106の出力端
をラプラス演算器96に接続する。このように偏差演算
器106の出力値、すなわち、範囲外除去部104で除
去された部分の値を、積分項の初期値として戻すことに
より、安定な制御を実現できる。
【0124】なお、PI制御器42の出力端は、マスタ
シリンダ圧推定部34と接続されており、マスタシリン
ダ圧推定部34へは、演算された平均ブレーキ圧参照値
mcが入力される。
【0125】図11のテーブル44は、図9(a)、
(b)に示された、平均ブレーキ圧と増圧・減圧時間と
の関数関係を各々テーブル化したもので、該テーブル4
4を参照することによってPI制御器42で演算された
平均ブレーキ圧参照値Pmcに対応する増圧時間ti 及び
減圧時間tr を求めることができる。
【0126】電流制御器46は、演算された平均ブレー
キ圧参照値Pmcに対応されて求められた増圧時間ti
減圧時間tr に一致するように、ABSアクチュエータ
48のバルブの増圧時間、減圧時間を制御する。
【0127】具体的な制御の内容として、微小励振の周
期T(例えば24[ms])の半周期T/2毎に増圧と
減圧のそれぞれのモードを切り替え、バルブへの増減圧
指令はモード切り替えの瞬間から増圧時間ti 、減圧時
間tr のそれぞれの時間分だけ増圧・減圧指令を出力
し、T/2の残りの時間は保持指令を出力する。このよ
うな動作指令により、ブレーキ圧の微小励振と平均ブレ
ーキ圧の制御とを容易に行うことができる。なお、この
制御例の場合におけるABSアクチュエータ48のバル
ブへの動作指令の概要を図17に示す(ブレーキ圧制御
装置の動作例)。
【0128】増圧・減圧時間の計数は、モード切り替え
で零にリセットされるカウンタタイマを設けても良い
し、モード切り替えで零にリセットされる積分器のゲイ
ンを増圧時間ti 、減圧時間tr に反比例させて変化さ
せ、あるしきい値に達するまでの時間を用いても良い。
バルブへの指令が生成できれば、それぞれの状態に対応
する制御電流をABSアクチュエータ48に指令する。
【0129】次に、本実施例の作用を説明する。図11
のABS装置のブレーキ圧推定装置では、平均ブレーキ
圧推定部32が(26)式に基づいて車輪速ωw と共振ゲイ
ンGd とから平均ブレーキ圧Pm を演算し、マスタシリ
ンダ圧推定部34が、演算された平均ブレーキ圧Pm
平均ブレーキ圧参照値Pmcとから(29)式に基づいてマス
タシリンダ圧Pd を演算する。なお、マスタシリンダ圧
推定部34において、PI制御器42によって演算され
た平均ブレーキ圧に対応する増圧時間ti 、減圧時間t
r を求め、さらに、この増圧・減圧時間と平均ブレーキ
圧との対応を示す2次元テーブルから、一定のマスタシ
リンダ圧Pd0に対する平均ブレーキ力Pm0を求め、(27)
式に基づいてマスタシリンダ圧Pd を演算するようにし
ても良い。
【0130】そして、ブレーキ圧微小振幅推定部36
が、演算されたマスタシリンダ圧Pdから(30)式に基づ
いてブレーキ圧微小振幅Pv を演算する。なお、ブレー
キ圧微小振幅推定部36において、PI制御器42によ
って演算された平均ブレーキ圧に対応する増圧時間
i 、減圧時間tr を求め、さらに、この増圧・減圧時
間とブレーキ力微小振幅との対応を示す2次元テーブル
から、一定のマスタシリンダ圧Pd0に対するブレーキ圧
微小振幅Pv0を求め、(28)式に基づいてブレーキ圧微小
振幅Pv を演算するようにしても良い。
【0131】また、ABS装置では、車輪速微小振幅検
出部38が、図示しない車輪速センサが検出した車輪速
度ωw の共振周波数成分の振幅を検出する。次に、共振
ゲイン演算部40が、ブレーキ圧微小振幅Pv と車輪速
度ωw の共振周波数成分の振幅値とから共振ゲインGd
を演算し、演算した共振ゲインGd を平均ブレーキ圧推
定部32へ転送すると共に、共振ゲインGd と基準ゲイ
ンGs とから(31)式に基づいて偏差ΔGを演算する。
【0132】そして、PI制御器42が、共振ゲイン演
算部40が演算した偏差ΔGを零に一致又は略一致させ
るような平均ブレーキ圧参照値Pmcを演算する。平均ブ
レーキ圧参照値Pmcは、マスタシリンダ圧推定部34へ
転送されると共に、テーブル44が参照されて平均ブレ
ーキ圧参照値Pmcがバルブの増圧・減圧時間に変換され
る。次に、電流制御器46が、平均ブレーキ圧参照値P
mcに対応する増圧・減圧時間ti 、tr を、図17に示
すような動作指令に変換し、ABSアクチュエータ48
へ伝達する。ABSアクチュエータ48は、図17の動
作指令に応じてバルブの増圧・減圧を行うことにより、
平均ブレーキ圧参照値Pmcのブレーキ圧をホイールシリ
ンダへ発生させる。
【0133】以上のような制御によって、最大の制動力
(図10の制動トルク勾配が0の時)を越えてブレーキ
力がかけられようとすると、共振周波数が高周波数側に
ずれるので、タイヤと路面とがグリップ状態の時の共振
周波数での共振ゲインGd が減少し、(31)式のΔGが負
値をとるので、ブレーキ力が速やかに減少され、タイヤ
のロックを防止することができる。また、ΔGを零に一
致させるように制御されるので、図10の制動力のピー
ク値を保持したまま制動され、制動距離及び制動時間が
短縮される。
【0134】このように本実施例に係るABS装置で
は、車体と車輪と路面とから構成される振動系の共振特
性に基づいて、ブレーキ力を制御するので、従来のAB
S装置のように車輪のロックを検出してからブレーキ力
を低減させる方式のものよりブレーキ力の変化が連続的
かつ滑らかとなる。また、共振特性に基づくことから、
路面変化に対しても安定な制御が可能となり、単一の制
御ロジックで実現可能である。
【0135】また、図17に示すように、一定周期毎に
増減圧モードを交互に切り替え、ブレーキ圧の制御を、
各モードでの増圧時間、減圧時間の調整によって行うの
で、連続的なブレーキ圧の制御が可能となる。また、各
モードの切り替えの周波数(微小励振の周波数)は、4
0[Hz]と比較的高く、また共振特性の検出可能な微
小な振幅で可能なため、ブレーキ圧の変動を運転者が不
快に感じない程度にすることができ、キックバックを防
止できる。これにより、車両挙動に大きな変動を与え
ず、ABS制御をより高性能にできる。さらに、現行の
ABS装置に用いられている増圧バルブと減圧バルブと
の2つのバルブ構成のままで、連続的な平均ブレーキ圧
の制御が可能となり、ハードウェアの変更を抑えること
ができる。
【0136】次に、本発明の実施例に係るブレーキ圧推
定装置を用いたアンチロックブレーキ制御装置を実際の
車両に適用し、具体的な条件下で動作させた時の動作結
果を図18を用いて説明する。
【0137】図18(a)〜(d)には、本実施例に係
るアンチロックブレーキ制御装置が適用された車両を、
通常の走行状態からブレーキ力を加えることにより、約
3秒間で停止させるまでの動作結果及びこれに関連した
物理量の時間的変化が示されている。この間の動作状態
は、タイヤが路面にグリップしている状態から、ピーク
μに徐々に接近していく状態、及びピークμを越えてタ
イヤがロック直前となる状態まで推移する。
【0138】図18(a)は、上記の状態推移に伴う車
輪速ωw 、車体速ωu の時間的変化を示したもので、同
図に示すように、動作開始時(0秒に設定)から約2.
3秒後に車輪速ωw が大きく変動し始め、ロック直前の
状態に推移したことがわかる。
【0139】図18(b)は、スリップ率Sの時間的変
化を示したものである。なお、スリップ率Sは次式によ
って表される。
【0140】
【数19】
【0141】図18(b)に示すように、約2秒を越え
た時点からスリップ率Sが上昇し始め、ピークμへ接近
していく状態となっていることがわかる。そして、約
2.3秒以降では、スリップ率は極端に大きく振動し、
ピークμを越えた状態となっていることがわかる。
【0142】図18(c)は、圧力センサで測定された
ホイールシリンダ圧Pb 及び本発明の実施例に係るブレ
ーキ圧推定装置(図11の平均ブレーキ圧推定部32)
で推定された平均ブレーキ圧Pm の時間的変化を各々示
したものである。図18(c)に示すように、推定され
た平均ブレーキ圧Pm は、実際のホイールシリンダ圧P
b とほぼ一致していることがわかる。特に、変動の極大
部分での一致度が良く、本発明のブレーキ圧推定精度の
高さが確認できた。
【0143】図18(d)は、本発明の実施例に係る共
振ゲイン演算部40で演算された共振ゲインGd 及び基
準ゲインGs の時間的変化を示したものである。タイヤ
がロック直前の状態となる領域で、共振ゲインGd が基
準ゲインGs と比べて増大し、ロック直前の状態を高感
度で検出できることがわかる。
【0144】なお、図18(d)は時系列でGd 、Gs
の変化が示されており、時間が経過するにつれて車速が
低下し、それに伴って共振ゲインGd が増大する傾向に
あるため、規準ゲインGs を時間の経過と共に増大させ
る設定にしてある。これによって、共振ゲインGd と基
準ゲインGs との比を適切に設定している。
【0145】以上説明した実施の形態では、図11に示
す平均ブレーキ圧推定部32は、車輪速ωw と共振ゲイ
ン演算部40からの共振ゲインGd を入力として、平均
ブレーキ圧Pm を推定しているが、本発明はこれに限定
されず、共振ゲイン演算部40からの共振ゲインに代え
て、スリップ速度に対する制動力の勾配、スリップ速度
に対する制動トルクの勾配、スリップ速度に対する路面
と車輪との間の摩擦係数の勾配(路面μ勾配)を演算
し、演算して求めた値を用いて、同様に処理するように
してもよい。なお、路面μ勾配を演算するには、上記共
振ゲインに所定の変換係数を乗算すればよく、また、ス
リップ速度に対する制動力の勾配を演算するには、スリ
ップ速度に対する制動トルクの勾配を演算して、所定の
変換係数(車輪半径の逆数)を乗算すればよい。
【0146】以下、スリップ速度に対する制動トルクの
勾配の演算方法を説明する。各車輪の車輪運動及び車体
運動は、(34)式、(35)式の運動方程式によって
記述される。
【0147】
【数20】
【0148】
【数21】
【0149】ただし、Fi ’は、第i輪に発生した制動
力、Tbiは踏力に対応して第i輪に加えられたブレーキ
トルク、Mは車両質量、Rc は車輪の有効半径、Jは車
輪慣性、vは車体速度である。なお、・は時間に関する
微分を示す。(34)式、(35)式において、Fi
はスリップ速度(v/Rc −ωi )の関数として示され
ている。
【0150】ここで、車体速度を等価的な車体の角速度
ωv で表す((36)式)と共に、制動トルクR
c i ’をスリップ速度の1次関数(傾きki 、y切片
i )として記述する((36)式)。 v = Rc ωv ・・・(36) Rc i ’(ωv −ωi )=ki ×(ωv −ωi )+Ti (37) さらに、(36)式、(37)式を、(34)式、(3
5)式へ代入し、車輪速度ωi 及び車体速度ωv をサン
プル時間τ毎に離散化された時系列データωi[k] 、ω
v [k] (kはサンプル時間τを単位とするサンプル時
刻、k=1,2,.....)として表すと、(38)式、(3
9)式を得る。
【0151】
【数22】
【0152】
【数23】
【0153】ここで、(38)式、(39)式を連立
し、車体の等価角速度ωv を消去すると、
【0154】
【数24】
【0155】を得る。ところで、スリップ速度3rad/s
という条件下でRc Mg/4(gは重力加速度)の最大
制動トルクの発生を仮定すると、
【0156】
【数25】
【0157】を得る。ここで、具体的な定数として、τ
=0.01 (sec)、Rc =0.3 (m) 、M=1000(kg)を考慮す
ると、
【0158】
【数26】
【0159】となり、(40)式は次式のように近似する
ことができる。
【0160】
【数27】
【0161】ただし、
【0162】
【数28】
【0163】である。このように整理することにより、
(44)式は未知係数ki 、fi に関し、線形の形で記
述することが可能となり、(44)式にオンラインのパ
ラメータ同定手法を適用することにより、スリップ速度
に対する制動トルク勾配ki を推定することができる。
【0164】すなわち、以下のステップ1及びステップ
2を繰り返すことにより、検出された車輪速度の時系列
データωi [k] から制動トルク勾配の時系列データを推
定することができる(最小自乗推定法)。
【0165】ステップ1: φi [k] T ・θi =yi [k] (45) 但し、
【0166】
【数29】
【0167】
【数30】
【0168】 yi [k] =−ωi [k] + 2ωi [k−1]−ωi [k−2] (48) とおく。なお、(46)式の行列φi [k] の第1要素
は、1サンプル時間での車輪速度の変化に関する物理量
であり、(48)式は、1サンプル時間の車輪速度の変
化の1サンプル時間での変化に関する物理量である。
【0169】ステップ2:
【0170】
【数31】
【0171】
【数32】
【0172】
【数33】
【0173】という漸化式からθi の推定値を演算し、
θi の推定値の行列の第一要素を推定された制動トルク
の勾配として抽出する。ただし、λは過去のデータを取
り除く度合いを示す忘却係数(例えばλ=0.98)で
あり、”T ”は行列の転置を示す。
【0174】なお、(49)式の左辺は、車輪速度の変
化に関する物理量の履歴及び車輪速度の変化の変化に関
する物理量の履歴を表す物理量である。
【0175】
【発明の効果】以上説明したように請求項1、請求項2
の発明は、車輪速度と物理量とから平均ブレーキ圧を推
定し、物理量が零の時に摩擦係数がピークとなることと
いうことは路面状態に係わらず成り立つ事実であるの
で、本発明では、圧力センサを用いることなく、路面状
態によらず高精度かつ安定な平均ブレーキ圧の推定が可
能となる、という効果を有する。
【0176】請求項3の発明は、スリップ速度に対する
制動トルクの勾配が前記共振ゲインに比例するモデルに
基づいて推定された平均ブレーキ圧からマスタシリンダ
圧を推定する。制動トルクの勾配が零の時に摩擦係数が
ピークとなることということは路面状態に係わらず成り
立つ事実であるので、本発明では、圧力センサを用いる
ことなく、路面状態によらず高精度かつ安定なマスタシ
リンダ圧の推定が可能となる、という効果を有する。
【0177】また、請求項4の発明によれば、スリップ
速度に対する制動トルクの勾配が共振ゲインに比例する
モデルに基づいて推定された平均ブレーキ圧からマスタ
シリンダ圧を推定し、さらに、このマスタシリンダ圧に
基づいて得られたブレーキ圧微小振幅からロック直前の
状態を判定するための共振ゲインを演算するようにした
ので、圧力センサを設けることなく簡単な構成の装置
で、路面状況によらずに高精度かつ安定なアンチロッフ
ブレーキ動作が可能となる、とうい効果が得られる。
【0178】また、請求項5の発明によれば、増圧状態
を含む第1の状態と減圧状態を含む第2の状態とを一定
周期で交互に切り替え、ブレーキ圧の制御を、各状態で
の増圧時間、減圧時間の調整によって行うようにしたの
で、連続的なブレーキ圧の制御が可能となる、という効
果が得られる。
【0179】さらに、請求項5の発明において、第1の
状態と第2の状態との切り替えの周期を短くすることに
よって、ブレーキ圧の変動を運転者が不快に感じない程
度にすると共に車両挙動に大きな変動を与えず、ABS
装置に本装置を適用した場合、ABS装置をより高性能
にできる、というさらなる効果が得られる。また、現行
のABS装置に用いられている増圧バルブと減圧バルブ
との2つのバルブ構成のままで、連続的な平均ブレーキ
圧の制御が可能となり、ハードウェアの変更を抑えるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ABSアクチュエータのバルブ構成を示した図
であって、(a)は3ポジションバルブ1つでの構成、
(b)は2ポジションバルブ2つでの構成を示す図であ
る。
【図2】従来のブレーキ圧制御装置において発生する低
周波数のブレーキ油圧振動を説明するための図であっ
て、(a)は増圧バルブの開閉パルス、(b)は減圧バ
ルブの開閉パルス、(c)は、上記(a)、(b)の上
記開閉パルスで制御した場合のホイールシリンダ油圧の
時間的変化を示す図である。
【図3】バルブの増減圧・保持指令とブレーキ油圧との
関係を示すための図であって、(a)は一般的な場合、
(b)は増圧時間ti が減圧時間tr よりも長い場合、
(c)は増圧時間ti が減圧時間tr よりも短い場合の
上記関係を示す図である。
【図4】増圧・減圧時間に対するブレーキ油圧特性を示
す図であって、(a)は平均ブレーキ圧特性、(b)は
ブレーキ圧微小振幅特性を示す図である。
【図5】マスタシリンダ圧に対するブレーキ油圧特性を
示す図であって、(a)は平均ブレーキ圧特性、(b)
はブレーキ圧微小振幅特性を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るブレーキ油圧の推定
処理を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る車体と車輪と路面と
から構成される振動系の等価モデルを示す図である。
【図8】スリップ速度Δωと摩擦係数μとの関係、及び
スリップ速度Δωに対する摩擦係数μの傾きを示す図で
ある。
【図9】ブレーキ圧微小振幅一定のための増圧・減圧時
間の特性を示す図であって、(a)は平均ブレーキ圧と
増圧時間との関係、(b)は平均ブレーキ圧と減圧時間
との関係を示す図である。
【図10】スリップ速度Δωと、制動トルクTb 及び制
動トルクTb の傾きとの関係を示す図である。
【図11】本発明の実施例に係るアンチロックブレーキ
制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施例に係るブレーキ圧推定装置を
構成する平均ブレーキ圧推定部の構成例を示すブロック
図である。
【図13】本発明の実施例に係るブレーキ圧推定装置を
構成するマスタシリンダ圧推定部の構成例を示すブロッ
ク図である。
【図14】本発明の実施例に係るブレーキ圧推定装置を
構成するブレーキ圧微小振幅推定部の構成例を示すブロ
ック図である。
【図15】本発明の実施例に係るアンチロックブレーキ
制御装置を構成する共振ゲイン演算部の構成例を示すブ
ロック図である。
【図16】本発明の実施例に係るアンチロックブレーキ
制御装置を構成するPI制御器の構成例を示すブロック
図である。
【図17】本発明の実施例に係るアンチロックブレーキ
制御装置を構成するABSアクチュエータのバルブへの
動作指令を示す図である。
【図18】本発明の実施例に係るアンチロックブレーキ
制御装置の動作結果を説明するための図であって、
(a)は車輪速ωw と車体速ωu の時間的変化、(b)
はスリップ率Sの時間的変化、(c)は実際のホイール
シリンダ圧Pb と推定された平均ブレーキ圧Pm の時間
的変化、(d)は、共振ゲインGd と基準ゲインGs
時間的変化を各々示す図である。
【符号の説明】
30 ブレーキ圧推定装置 32 平均ブレーキ圧推定部 34 マスタシリンダ圧推定部 36 ブレーキ圧微小振幅推定部 38 車輪速微小振幅検出部 40 共振ゲイン演算部 42 PI制御器 44 テーブル 46 電流制御器 48 ABSアクチュエータ
フロントページの続き (72)発明者 小野 英一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 梅野 孝治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山口 裕之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪速度が入力される第1の入力手段
    と、 車輪のすべり易さを表す物理量が入力される第2の入力
    手段と、 入力された車輪速度と物理量とから平均ブレーキ圧を推
    定するブレーキ圧推定手段と、 を含むブレーキ圧推定装置。
  2. 【請求項2】 前記物理量は、スリップ速度に対する制
    動力の勾配、スリップ速度に対する制動トルクの勾配、
    スリップ速度に対する路面と車輪との間の摩擦係数の勾
    配の何れかである請求項1記載のブレーキ圧推定装置。
  3. 【請求項3】 車輪速度が入力される第1の入力手段
    と、 車体と車輪と路面とから構成される振動系の共振周波数
    でブレーキ圧を励振させたときの、該共振周波数におけ
    るブレーキ圧の微小振幅に対する車輪速度の微小振幅の
    比である共振ゲインが入力される第2の入力手段と、 一定のマスタシリンダ圧に対する平均ブレーキ圧の増圧
    減圧時間又は増圧減圧時間に関連した物理量が入力され
    る第3の入力手段と、 スリップ速度に対する制動トルクの勾配が前記共振ゲイ
    ンに比例するモデルに基づいて、入力された車輪速度と
    共振ゲインとから平均ブレーキ圧を推定するブレーキ圧
    推定手段と、 前記ブレーキ圧推定手段により推定された平均ブレーキ
    圧と、入力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増
    圧減圧時間に関連した物理量と、に基づいて、マスタシ
    リンダ圧を推定するマスタ圧推定手段と、 前記マスタ圧推定手段により推定されたマスタシリンダ
    圧と、入力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増
    圧減圧時間に関連した物理量と、に基づいて、ブレーキ
    圧の微小振幅を推定する微小振幅推定手段と、 を含むブレーキ圧推定装置。
  4. 【請求項4】 車輪速度を検出する車輪速検出手段と、 車体と車輪と路面とから構成される振動系の共振周波数
    でブレーキ圧を励振させたときの、該共振周波数におけ
    るブレーキ圧の微小振幅に対する車輪速度の微小振幅の
    比である共振ゲインを演算するる共振ゲイン演算手段
    と、 スリップ速度に対する制動トルクの勾配が前記共振ゲイ
    ンに比例するモデルに基づいて、前記車輪検出手段によ
    り検出された車輪速度と共振ゲイン演算手段により演算
    された共振ゲインとから平均ブレーキ圧を推定するブレ
    ーキ圧推定手段と、 前記ブレーキ圧推定手段により推定された平均ブレーキ
    圧と、入力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増
    圧減圧時間に関連した物理量と、に基づいて、マスタシ
    リンダ圧を推定するマスタ圧推定手段と、 前記マスタ圧推定手段により推定されたマスタシリンダ
    圧と、入力された平均ブレーキ圧の増圧減圧時間又は増
    圧減圧時間に関連した物理量と、に基づいて、ブレーキ
    圧の微小振幅を推定し、推定されたブレーキ圧の微小振
    幅を前記演算手段へ出力する微小振幅推定手段と、 前記共振ゲイン演算手段が演算した共振ゲインが基準ゲ
    インに一致又は略一致するように、平均ブレーキ圧の増
    圧減圧時間を制御する制御手段と、 前記制御手段により制御される平均ブレーキ圧の増圧減
    圧時間又は該増圧減圧時間に関連した物理量を前記マス
    タ圧推定手段へ変換出力する参照手段と、 を含むアンチロックブレーキ制御装置。
  5. 【請求項5】 ホイールシリンダのブレーキ圧を増圧す
    る増圧バルブと該ブレーキ圧を減圧する減圧バルブとを
    備えた制御用バルブと、 前記増圧バルブによるブレーキ圧の増圧の状態とブレー
    キ圧の保持の状態とからなる第1の状態と、前記減圧バ
    ルブによるブレーキ圧の減圧の状態とブレーキ圧の保持
    の状態とからなる第2の状態とが一定周期で交互に切り
    替えられるように前記制御用バルブを制御すると共に、
    前記制御用バルブの増圧の状態の時間及び減圧の状態の
    時間を制御する制御手段と、 を含むブレーキ圧制御装置。
JP1072598A 1997-01-23 1998-01-22 ブレーキ圧推定装置、アンチロックブレーキ制御装置、及びブレーキ圧制御装置 Pending JPH10264803A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7066559B2 (en) * 2002-08-30 2006-06-27 Hitachi, Ltd. Brake pressure estimating apparatus and method
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