JPH10263007A - 剥離性を備えた多孔質層を背面側に有する薄膜状創傷用包帯 - Google Patents

剥離性を備えた多孔質層を背面側に有する薄膜状創傷用包帯

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JPH10263007A
JPH10263007A JP10061559A JP6155998A JPH10263007A JP H10263007 A JPH10263007 A JP H10263007A JP 10061559 A JP10061559 A JP 10061559A JP 6155998 A JP6155998 A JP 6155998A JP H10263007 A JPH10263007 A JP H10263007A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水蒸気通気性を有する透明弾性薄膜に、その
下側に沿って包帯を患者の皮膚に固定するための適当な
感圧接着剤を塗布した薄膜包帯が開示される。 【解決手段】 使用以前の接着剤層は剥離可能な剥離ラ
イナによって保護されている。弾性薄膜の反対（上）側
には、帯状部を結合することにより互いに隔離された多
数の広い開口を持つ背面層が剥離可能に貼着されてい
て、少なくとも幾つかの帯状部は弾性薄膜の周縁に沿う
自由端で終わっていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【従来の技術】薄膜状包帯は、傷の保護に広く使用され
る。このような包帯は、米国特許第３，６４５，８３５
号明細書に記載されているように、皮膚に似た割合若し
くは皮膚を超える割合で蒸気を通すことのできるポリウ
レタンや、その他の適当な弾性薄膜をベースとして構成
される。このような弾性薄膜はその下側に沿う感圧接着
剤層で被覆され、感圧接着剤層はその組成若しくは切れ
目またはその両者によって水蒸気を通すことのできる性
質を有している。その結果、包帯は「呼吸できる」と言
われ、傷治療のために包帯を固定したり、引き延ばした
り、あるいは湿潤環境を維持することができ、このよう
な傷に細菌保護防壁を提供する包帯が得られる。
【０００２】薄膜状包帯は、その可撓性と延伸性とによ
り、注射部位やカテーテル挿入部位を覆う保護カバーの
提供やその他の目的に対して有用である。このような包
帯は使用部位での目視検査や汚染保護を許容しながらカ
テーテルの輪郭や皮膚面の外形に容易に順応することが
できる。
【０００３】これらの利点を有する反面、薄膜状包帯を
一人で使用することが困難であるという欠点がある。こ
のような薄膜状包帯は、自己支持性がないため、使用す
る間に折り目がついて皺になり、自己接着するのを防ぐ
何らかの手段を施さなければならない。このような包帯
を包装から使用部位に貼る際に、それを支持するため
に、一般に、二つの剥離可能な供給方式が開発されてい
る。
【０００４】このような支持方式の一つは剥離可能な枠
方式であり、他の方式は剥離可能なフィルム方式であ
る。上記枠方式では、例えば米国特許第４，３７２，３
０３号明細書およびヨーロッパ特許第０，０５１，９３
５号明細書に記載されているように、薄膜状包帯は剥離
可能な周辺枠によって支持される。この周辺枠は、包帯
が固定部位に接着されるまで包帯を略平面状態に保つ手
段として作用する。このような枠方式は枠の内側で透明
薄膜を曲げたり、引き伸ばしたりすることができるた
め、身体の表面やカテーテルなどの輪郭に包帯を順応さ
せることができるという利点を有している。
【０００５】枠方式が有している欠点の一つは、包帯を
使用した後に枠を取り除くのが困難なため、多くの時間
がかかることである。このような枠は、１回の作業では
弾性薄膜から簡単に剥ぎ取れない代わりに、包帯の端か
ら注意して逆立てて取らなければならない。枠方式が有
しているもう一つの欠点は、枠の剥ぎ取りを容易にする
ために、枠をそのままの状態にしておかなければならな
いため、包帯を小さい寸法に切断して使用する場合には
枠の作用が充分に得られないことである
【０００６】フィルム方式では、包帯を使用した後に剥
ぎ取ることのできる補強カバーが包帯の上面全体に設け
られている。上記カバーは、包帯の取り扱いを容易とす
るために、通常、透明なフィルムであるが、包帯自身の
延伸性や低伸び率を有するものであってはならない。こ
のような供給方式は補強カバーを１回の作業で容易に剥
ぎ取ることができるという（枠方式を越える）利点を有
しているが、包帯の中央部分が比較的強ばった状態に保
たれ、包帯を当てるべき不規則な表面または凹凸のある
表面に容易に適合しないという欠点がある。また、この
ような支持方式は包帯を小さい寸法に切断する場合には
不向きである。何故なら、カバーの剥ぎ取りタブが切断
片の一部をなしていない場合は、包帯からカバーの剥ぎ
取りを開始するのが困難となり、場合によっては不可能
となるからである。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の主な
目的は、包帯を供給されたままの寸法で使用したり、あ
るいは包帯の一部を小さく切断して使用したりしても、
一回の剥ぎ取り動作で容易に剥ぎ取ることが可能な可撓
性の支持背面層を有する薄膜状包帯を提供することであ
る。上記背面層は使用中の包帯を有効に支持する。そし
て、この背面層は包帯を皮膚表面に貼り付けた後、皮膚
表面から包帯自身を引き剥がすことなく容易に掴んで剥
ぎ取ることができる。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明の包帯は、従来の
薄膜状包帯のように、呼吸が可能な弾性薄膜を具備し、
この弾性薄膜はポリウレタン若しくはその他の同様な性
質を有する材料から構成される。弾性薄膜の下側を覆う
通気性の接着剤層は、シリコンコーティングされた紙ま
たは同様な材料からなる剥離可能な剥離ライナによって
覆われている。接着剤層と反対側の弾性薄膜の表面に
は、可撓性で好ましくは引き延ばしが可能な材料からな
る多孔質背面層が設けられる。この背面層は、特に、多
数の大きな開口を有し、これらの開口は背面層の狭い帯
状部によって互いに隔離されている。幾つかの帯状部
は、少なくとも弾性薄膜の周縁部に沿って配置された自
由端で終わっていることが理想的である。
【０００９】フレキシブル背面層は、弾性薄膜の上面に
剥離可能に取り付けられている。このフレキシブル背面
層の弾性薄膜への取り付けは、感圧接着または熱的接合
の２つの形態をとることができ、いずれの場合において
もフレキシブル背面層と弾性薄膜とを結合する強さが同
じ面積において弾性薄膜と剥離ライナ（剥離シート）と
を接着結合する強さよりも大きくなければならない。剥
離ライナは弾性薄膜の縁部とその直上の背面層の無孔部
分から突出するのが最も有利であり、その結果、弾性薄
膜とフレキシブル背面層との結合を分断することなく剥
離ライナを弾性薄膜から容易に剥ぎ取ることができる。
しかしながら、包帯が患者の皮膚面に一度置かれると、
フレキシブル背面層は、そのほとんどが背面層の狭小帯
状部に沿って弾性薄膜のみに固定されているため、弾性
薄膜と患者の皮膚との間の接着接触を分断することなく
背面層自身を弾性薄膜から剥ぎ取ることができる。少な
くとも幾つかの帯状部が弾性薄膜の縁部に沿って終わる
自由端を有している場合には、使用者は弾性薄膜から背
面層を剥ぎ取るために自由端の一つを簡単に把持するこ
とができる。これに代わる方法として、使用者は背面層
の開口間に位置する帯状部の一つを把持することがで
き、その帯状部を上方に引っ張って背面層を弾性薄膜か
ら剥ぎ取ることができる。
【００１０】好ましい実施形態においては、上記背面層
がその周縁部に沿って弾性薄膜からはみ出る略無孔の第
１タブ部を少なくとも有し、この第１タブ部と弾性薄膜
の周縁部を越えて剥離ライナが外側に突出している。上
記背面層は複数の帯状部と連結された略無孔の第２タブ
部を具備することが可能であり、第２タブ部は第１タブ
部からその反対側の弾性薄膜の縁部を越えて外側に配置
されている。上記剥離ライナは第１タブ部の領域で剥ぎ
取り動作を開始することによって包帯の残部から容易に
剥ぎ取ることができ、包帯を皮膚面に当てた後に背面層
を第２タブ部で引き剥がすことによって弾性薄膜から剥
ぎ取ることができる。
【００１１】第１の剥ぎ取り動作と第２の剥ぎ取り動作
の順序を適切化するためには、使用者がタブ部を確認す
るのを支援するための適当な英数字の目印をタブ部に施
すのが好ましい。特に、連続する剥ぎ取りステップの適
切な順序を示す明瞭な英数字の切込みを背面層の各タブ
部に施す形態を採用することが有効な方法である。
【００１２】背面層の開口は規則的若しくは不規則的な
形状をなし、その平均的な大きさは約０．５ｃｍ2〜約
９ｃｍ2の範囲内、好ましくは約１ｃｍ2〜約４ｃｍ2の
範囲内である。このような開口は一実施形態では等辺矩
形（すなわち一般に正方形）の形状であるが、他の実施
形態では実質的に正多角形（すなわち六角形、八角形な
ど）の形状であってもよく、さらには円形（例えば楕円
形または真円形）または円形と非円形とを組み合わせた
ものであってもよい。このような開口は伸びに比較して
幅広いことが重要である。すなわち、この開口の直角で
測定した２つの交差する寸法が略同じであり、従ってこ
れらの開口の間の帯状部は包帯の薄膜に適した支持例と
なり、そしてさらに、使用者が背面層の帯状部を掴んで
背面層を弾性薄膜から剥ぎ取るために指を開口の中に入
れることができるように、開口を充分に大きく且つ充分
に規則的に配置すべきである。
【００１３】剥離可能な多孔質の支持背面層は可撓性が
あり、好ましい態様においては軟質で可撓性の高分子発
泡材で形成される。この背面層は必ずしも延伸可能であ
る必要はないが、延伸性は極めて好ましいと考えられ
る。このような延伸性を有する背面層を用いる場合は、
背面層の初期長さから少なくとも１２０％、好ましくは
初期長さから少なくとも１５０％までは破断しない延伸
性とすべきである。また、背面層の延伸性は包帯を使用
したときに背面層が弾性薄膜の延伸性と順応性を問題に
なる程低下させないように充分低くなくてはならない。
最後に、支持背面層の材質は、毎分試料の長さの１０倍
の伸長速度で測定したときに約１０００ポンド/平方イ
ンチ以下の力により初期長さの１１０％まで伸長できる
ものでなければならない。
【００１４】支持背面層の開口間に位置する帯状部の幅
は、通常、約１ｍｍ〜約４ｍｍの範囲にあり、背面層の
厚さは約０．２ｍｍ〜約２．０ｍｍ、好ましくは０．５
ｍｍ〜１．０ｍｍの範囲内にある。支持背面層は、その
厚さにより包帯の曲げ率を大きく増加させ、これによっ
て包帯が自己支持性を持つことになる。
【００１５】
【発明の実施の形態】本発明のその他の利点、目的およ
び特徴は以下の説明および図面から明らかとなるであろ
う。
【００１６】図面を参照すると、符号１０は、透明弾性
薄膜１１と剥離ライナ１２と多孔質で延伸可能な背面層
１３とを具備してなる包帯を示している。この実施形態
では上記包帯はその外形が略長方形であるが、想像線１
４で示されるような大きな包帯の切断部分であってもよ
い。必要であれば、大きな包帯はロール状の形態で使用
することが可能であり、それぞれの小さな包帯１０はロ
ール状の大きな包帯から使用者の望む大きさや形状に切
断することが可能である。本発明に基づく包帯の特別な
利点は、その他のものから背面層を分離するときに後で
問題を起こすことなく包帯の大きさを使用者によって変
えることができるということである。従って、包帯が想
像線１４ａで示される形状で且つその大きさが小さい場
合には、包帯の背面層を弾性薄膜１１から容易に剥ぎ取
ることができる。
【００１７】透明弾性薄膜１１はポリウレタン或いはこ
れと同様の性質を持った従来から周知の水蒸気通気性フ
ィルムで形成され、弾性ポリエステルやポリエーテルブ
ロックアミドエストラマーフィルムも使用可能である。
このような弾性薄膜とその製造方法およびその水蒸気通
気性の試験方法は、米国特許第３，６４５，８３５号明
細書に記載されている。弾性薄膜１１はその下側に沿っ
て接着剤層１１ａを有し、薄膜包帯として使用するため
にヒトの皮膚と同等か若しくはそれ以上の水蒸気通気率
を有する必要がある。
【００１８】接着剤層１１ａに用いられる感圧接着剤と
しては、薄膜包帯用として使用される医療用の接着剤が
考えられるが、米国特許第５，５３１，８５５号明細書
に記載されたアクリル重合体やアクリル共重合体が特に
適していると考えられる。上記の説明から接着剤層１１
ａはヒトの皮膚と同等か若しくはそれ以上の水蒸気通気
率を有する必要がある。このような特性は接着剤の組成
を選択することによって達成可能であるが、水蒸気通気
率が比較的高い接着剤層を得るための他の方法として
は、弾性薄膜１１の下面に接着剤をパターン塗布する方
法を使用することができる。
【００１９】剥離ライナ１２は、表面がシリコンでコー
ティングされた紙またはシリコン等の剥離剤で表面がコ
ーティングされたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エステルのようなその他の適当な材料で形成することが
可能である。このような剥離ライナは可撓性を必要する
が、剥離ライナによって担持される弾性薄膜１１（接着
剤層１１ａを含む）を支持するためには実質的に非延伸
性である必要がある。図１および図２に明示されている
ように、剥離ライナの縁部１２ａは弾性薄膜１１と背面
層１３の縁部から外側に延出しており、包帯を皮膚面に
当てる際に剥離ライナをスムーズに剥ぎ取るための掴み
部が上記縁部１２ａによって形成されている。
【００２０】図１乃至図５に示した実施形態では、剥離
可能なフレキブル背面層１３は多数の開口１５を有して
おり、これらの開口は格子状に配置された直線状の帯状
部１６によって隔離されている。各開口１５は略方形状
をなしており、その面積は約０．５ｃｍ2〜約９ｃｍ2の
範囲内にある。図１では上記開口の大きさが略均一であ
るが、開口の平均的な大きさが前記の範囲内にある限り
は、ある程度の変形が許容される。開口の平均的な大き
さは約１ｃｍ2〜約４ｃｍ2の範囲内が好ましいと考えら
れる。
【００２１】開口１５を画成する帯状部１６は、比較的
薄いか若しくは狭く、その幅が約１ｍｍ〜約４ｍｍの範
囲内にある。このような帯状部の狭さは、包帯の使用に
際して傷部位への明僚な視野を妨げない格子を形成する
うえで特に重要である。格子状の帯状部は弾性薄膜の頂
面に固定され、かつ実質的な厚さを有しているため、包
帯の曲げ変形率が大きく増大し、それによって包帯に自
己支持性が与えられる。
【００２２】軟質でフレキブルな高分子発泡材によって
多孔質の支持背面層を形成することが好適であると考え
られるが、軟質フォーム材のような同様の性質を有する
その他の材料でも使用可能である。これらの高分子発泡
材や軟質フォーム材は高い可撓性を有していなければな
らないが、延伸性はあってもなくてもよい。例えば、多
孔質のフレキシブル背面層は、延伸性を大きく減少また
は阻害させる薄膜に延伸性を有する軟質の高分子フォー
ム層を積層して形成される。多孔質背面層が延伸性を有
していない場合や限られた延伸性しか有していない場合
でも、剥離性に関しては重要な利点が得られ、本発明の
好ましい実施形態においては、背面層１３がフレキシブ
ルで延伸性を有しているため、包帯が使用時に凹凸面や
不規則面に順応し、これによって弾性薄膜１１の延伸性
を阻害しない。上記背面層１３は伸長可能と同様に収縮
可能であるが、収縮性は使用後に支持背面を剥離するよ
うな包帯の場合には有効ではない。
【００２３】包帯の使用に際して弾性薄膜１１を凹凸面
や不規則面に当てるような場合、弾性薄膜１１の伸びを
許容するために支持背面に充分な延伸性を持たせるべき
であり、その伸び率は支持背面の初期長さ（または幅）
から少なくとも１２０％、好ましくは少なくとも１５０
％とすべきである。このような支持背面の引き延ばしに
必要な力は比較的低くすべきであり、特に、初期寸法の
１１０％まで引き延ばすのに必要な力は、毎分試料の長
さの１０倍の伸長速度で試験したとき、約１，０００ポ
ンド／平方インチ以下、好ましくは５００ポンド／平方
インチ以下でなければならない。
【００２４】多孔質で剥離可能な背面層１３として好適
な材料は、マサチューセッツ州ローレンスのボルテック
社からＶｏｌａｒａ ＥＯ＃６，ＥＯ＃１２の名称で提
供される、ポリエチレン酢酸ビニル・コポリマーフォー
ム材のような、独立気泡オレフィンフォーム材が有効で
あると考えられるが、その他の独立気泡フォーム材も適
していると考えられる。また、支持背面層の構成材料と
しては、ポリウレタンフォームのような、同様の性質を
持った多数の連続気泡フォーム材も使用可能である。泡
のような性質を有する織布を支持背面層の構成材料とし
て用いる場合には、ウィスコンシン州ニーナのキンバリ
ークラーク社から提供されるような、通気加熱結合され
た二成分熱可塑性繊維からなる織布が適していると考え
られ、その他には通気加熱結合または赤外線結合された
二成分繊維のウエブや合成織物も使用可能である。背面
層の厚さとしては、約０．２ｍｍ〜約２．０ｍｍの範囲
内、好ましくは約０．５ｍｍ〜約１．０ｍｍの範囲内が
特に有効である。
【００２５】弾性薄膜１２への背面層１３の取り付けは
適当な感圧接着剤で可能であるが、所望により熱的結合
の形態で背面層１３を弾性薄膜１２に固着することも可
能である。これらの二つの方法はいずれの場合も背面層
を弾性薄膜に剥離可能に固着することが可能であり、包
帯を体表面に当てた後に弾性薄膜の上面から背面層を剥
ぎ取りことが可能である。ここで使用する感圧接着剤は
剥離ライナ１２を弾性薄膜１１の下側に接着するために
使用したものと同様のものであり、背面層を弾性薄膜か
ら容易に剥ぎ取れるようにするために、弾性薄膜の上面
にシリコン若しくはその他の適当な剥離剤をコーティン
グしてもよい。好ましくは、剥離ライナの剥ぎ取り時に
支持背面層と弾性薄膜とを分離させないために、背面層
と弾性薄膜間の単位面積当たりの接着力（または熱的結
合力）が弾性薄膜と剥離ライナ間の単位面積当たりの接
着力よりも大きいほうがよい。
【００２６】好ましい実施形態の帯状部１６は弾性薄膜
１１の一つ又はそれ以上の縁部に沿って自由端１６ａで
終了しており、図１には、このような二つの縁部が包帯
の対向する両側に示されている。このような構造の結果
として、使用者は背面層の剥ぎ取りを開始するために自
由端の一つを簡単に掴むことができ、自由端の一つを弾
性薄膜からから剥ぎ取ることにより背面層が弾性薄膜か
ら容易に分離される。このような剥ぎ取り作業は弾性薄
膜１１を患者の皮膚面に貼り付けた後に行われるが、剥
ぎ取りに要する力は幅の狭い帯状部１６の下面側に限定
されるため、背面層の剥ぎ取り時に弾性薄膜が皮膚面か
ら持ち上がる可能性は極めて少ない。
【００２７】図１乃至図５の実施形態では、格子状の背
面層に包帯の一側縁部に沿って延びる無孔タブ部１３ａ
が設けられており、無孔タブ部が設けられた包帯の一側
縁部には剥離ライナ１２の延長部１２ａが包帯の一側縁
部に沿って配置されている。無孔タブ部１３ａの目的
は、剥離ライナの延長部１２ａに隣接する弾性薄膜１１
と背面層１３との間に大きなシール接触面を与え、それ
によって弾性薄膜１１が、図３に示すように剥離ライナ
を下方に剥ぎ取る際に、背面層１３と共に残って剥離ラ
イナからきれいに分離するようにすることである。
【００２８】図面に示したように、タブ部１３ａも弾性
薄膜１１の縁部から突き出ている。このような構造の利
点は、剥離ライナ１２を剥ぎ取った後（図３）に使用者
が接着剤層１１ａに指を接触させることなく包帯をタブ
部分１３ａによって保持できることにある。接着剤塗布
面に指が接触した場合（特に、包帯を取り扱う普通の場
合に使用者が外科用手袋を着用している場合）には、上
記の構造によって避けることができた困難性が存在す
る。
【００２９】包帯の反対側の側縁部に沿って延びる第２
のタブ部１３ｂは、弾性薄膜１１の隣接する縁部を越え
て外側に配置されている。この第２のタブ部１３ｂは第
１のタブ部１３ａと同様に無孔であり、開口１５を有し
ていない。また、第２のタブ部は弾性薄膜１１の隣接す
る縁部に向かって延びる複数の帯状部１６と一体的に連
結され、好ましくは弾性薄膜１１の隣接する縁部をわず
かに越えて突出する複数の帯状部１６と一体的に連結さ
れる。従って、図５に示したように、患者の皮膚Ｐに包
帯を貼り付けた後、第２のタブ部１３ｂを単純に剥ぎ取
ることによって背面層を剥ぎ取ることができる。
【００３０】図３乃至図５には、包帯１０を使用する際
の三つの手順が図示されている。先ず、剥離ライナ１２
を剥ぎ取り（図３）、次に包帯を患者の皮膚Ｐに接着固
定する（図４）。包帯が適切な位置にあるかどうかは、
包帯を接着固定する間に弾性薄膜１１の透明性と背面層
１３に設けられた多数の開口１５とによって容易に確認
することができる。その後、支持背面層を剥ぎ取り、患
者に接着固定された薄膜包帯を残す（図５）。
【００３１】使用者が剥離ライナ１２をタブ部１３ａに
沿って包帯の端縁部から確実に引き剥がすことができる
ように、タブ部１３ａには数字「１」或いは文字「Ａ」
のような適当な目印２０が設けられる。さらに、包帯の
反対側の端縁部に沿うタブ部１３ｂには数字「２」或い
は文字「Ｂ」のような目印２１が設けられる。これらの
両方の目印は、図３（Ｂ）に明示されているように、そ
れぞれのタブ部の厚さを完全に貫通した切り抜きの形態
を取るのが最も有利である。
【００３２】図６に示す包帯１０´は、背面層１３´に
設けられた開口１５ａ´，１５ｂ´の形状や配置および
帯状部１６´の形状や配置の点で前記した包帯と相違し
ている。開口１５ａ´は方形状の開口１５とは異なり、
その形状が円形である。そして、帯状部１６´は弓形ま
たは曲線形であり、このような帯状部はさらに円形若し
くは非円形の小さな開口１５ｂ´を画成する。開口１５
ａ´，１５ｂ´の形状と大きさは異なっているが、それ
らの平均的な大きさは前記した特定の範囲内にある。上
記帯状部１６´は、第１の実施形態と同様に、包帯の一
端縁部またはそれ以上の端縁部に沿う自由端１６ａ´で
終わっている。背面層１３´には、第１の実施形態のタ
ブ部１３ａ，１３ｂと同様の機能を有する第１のタブ部
分１３ａ´および第２のタブ部分１３ｂ´が設けられて
いる。
【００３３】以上、本発明の実施形態を詳細に説明した
が、これらの実施形態は本発明の精神および範囲を逸脱
することなく変更できることは当業者によって理解する
ことができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施形態に係る包帯の斜視図であ
る。
【図２】図１の線２−２に沿う拡大断面図である。
【図３】（Ａ）は包帯を使用する際の第１手順、すなわ
ち剥離ライナの剥ぎ取りを説明するための拡大部断面
図、（Ｂ）は包帯のタブ部における切り抜き部の詳細を
示す拡大部分斜視図である。
【図４】包帯を皮膚面に当てる手順を説明するための部
分断面図である。
【図５】皮膚面に貼着された弾性薄膜からフォーム状背
面層を剥ぎ取る手順を説明するための断面図である。
【図６】本発明の第２実施形態を示す斜視図である。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 上面と下面とを有する透明な水蒸気通気
    性弾性薄膜と、この弾性薄膜の下面に形成された感圧接
    着剤層と、この接着剤層を剥離可能に覆う保護剥離ライ
    ナと、前記弾性薄膜の上面に剥離可能に固着された可撓
    性材料からなる多孔質背面層とを具備し、 前記背面層は前記背面層と一体の帯状部によって互いに
    隔離された多数の開口を有している包帯。
  2. 【請求項２】 前記剥離可能な背面層の前記帯状部は前
    記弾性薄膜に接着剤で固着されている請求項１記載の包
    帯。
  3. 【請求項３】 前記剥離可能な背面層の前記帯状部は前
    記弾性薄膜に熱的接合によって固着されている請求項１
    記載の包帯。
  4. 【請求項４】 前記開口は方形状をなし、前記帯状部は
    直線状で且つ格子状のパターンを形成する請求項１記載
    の包帯。
  5. 【請求項５】 前記開口は非方形状をなし、前記帯状部
    は曲線状である請求項１記載の包帯。
  6. 【請求項６】 前記剥離可能な背面層の開口は、その平
    均的な大きさが約０．５ｃｍ2〜約９ｃｍ2の範囲内にあ
    る請求項１記載の包帯。
  7. 【請求項７】 前記開口の平均的な大きさが約１ｃｍ2
    〜約４ｃｍ2の範囲内にある請求項６記載の包帯。
  8. 【請求項８】 前記帯状部は、その幅が約１ｍｍ〜約４
    ｍｍの範囲内にある請求項６記載の包帯。
  9. 【請求項９】 前記剥離可能な背面層は軟質で可撓性の
    高分子発泡材からなる層を含む請求項１記載の包帯。
  10. 【請求項１０】 前記剥離可能な背面層は、約０．２ｍ
    ｍ〜約２．０ｍｍの範囲内の厚さを有する請求項９記載
    の包帯。
  11. 【請求項１１】 前記背面層の厚さが約０．５ｍｍ〜約
    １．０ｍｍの範囲内にある請求項１０記載の包帯。
  12. 【請求項１２】 前記剥離可能な背面層は、その初期長
    さの少なくとも１２０％までは破断せずに延伸可能で且
    つ初期長さの少なくとも１１０％では約１０００ポンド
    ／平方インチより小さい応力を有する高分子発泡材で形
    成されている請求項１０記載の包帯。
  13. 【請求項１３】 前記剥離可能な背面層は前記弾性薄膜
    上に略無孔の第１タブ部を前記弾性薄膜の周縁部の少な
    くとも一部に沿って有し、前記剥離ライナは前記弾性薄
    膜の周縁部の一部に沿って前記弾性薄膜から外側に突出
    している請求項１記載の包帯。
  14. 【請求項１４】 前記第１タブ部は前記弾性薄膜の周縁
    部の前記一部に沿って前記弾性薄膜からはみ出ている請
    求項１３記載の包帯。
  15. 【請求項１５】 前記剥離ライナは前記弾性薄膜の周縁
    部に沿って前記第１タブ部から外側に突出している請求
    項１４記載の包帯。
  16. 【請求項１６】 前記背面層は複数の前記帯状部と連結
    され且つ前記弾性薄膜から外側にはみ出た略無孔の第２
    タブ部を有する請求項１４記載の包帯。
  17. 【請求項１７】 前記第１タブ部には、前記剥離ライナ
    を前記感圧接着剤層から剥ぎ取る際に包帯の端部を示す
    ための目印手段が設けられている請求項１６記載の包
    帯。
  18. 【請求項１８】 前記第２タブ部には、前記背面層を前
    記弾性薄膜から剥ぎ取る際に包帯の端部を示し且つ前記
    第１タブ部の前記目印手段と連続する形態の目印手段が
    設けられている請求項１７記載の包帯。
  19. 【請求項１９】 前記第１タブ部および前記第２タブ部
    の前記目印手段は、それぞれ前記第１タブ部および前記
    第２タブ部の前記背面層を貫通して延びるカット部を含
    む請求項１８記載の包帯。
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