JPH10261814A - 発光半導体素子用エピタキシャルウェーハ - Google Patents

発光半導体素子用エピタキシャルウェーハ

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JPH10261814A
JPH10261814A JP6629197A JP6629197A JPH10261814A JP H10261814 A JPH10261814 A JP H10261814A JP 6629197 A JP6629197 A JP 6629197A JP 6629197 A JP6629197 A JP 6629197A JP H10261814 A JPH10261814 A JP H10261814A
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孝一 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高輝度で、かつ輝度バラツキの少ない発光半
導体素子用エピタキシャルウェーハを提供する。 【解決手段】 Siドープn型GaP単結晶基板上に、
少なくともn型GaPエピタキシャル層およびp型Ga
Pエピタキシャル層を形成してなる発光半導体素子用エ
ピタキシャルウェーハにおいて、該Siドープn型Ga
P単結晶基板のSi濃度を1〜20×1017cm-3かつ
キャリア濃度を1〜10×1017cm-3とし、かつ活性
化率を50%以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GaP発光半導体
素子用エピタキシャルウェーハに関するものであり、特
に高輝度で、かつ輝度バラツキの少ないGaP緑色系発
光半導体素子用エピタキシャルウェーハに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】GaPはバンドギャップが約2.26e
Vと比較的大きく、緑色の波長に対応するため、緑色系
発光ダイオードの材料として用いられる。GaPは間接
遷移型の結晶であるため、通常は、pn接合を形成する
n型GaPエピタキシャル層に発光中心となるN(窒
素)をドープすることにより、発光効率を高めている。
しかしながら、この発光ダイオードの発光波長は565
〜570nm程度であり、色としては黄緑色となる(以
下、黄緑色発光ダイオードと呼ぶ)。これに対して、純
緑色の発光を得るために、Nをドープしないn型GaP
エピタキシャル層とp型GaPエピタキシャル層により
pn接合を形成する発光ダイオードがある。この発光ダ
イオードは、発光中心を用いないので、輝度は黄緑色発
光ダイオードよりも低いが、発光波長は555nm程度
であり、色としては純緑色となる(以下、純緑色発光ダ
イオードと呼ぶ)。この黄緑色発光ダイオードと純緑色
発光ダイオードをあわせて、GaP緑色系発光半導体素
子と呼ぶ。
【0003】以下に、これらの黄緑色発光ダイオードお
よび純緑色発光ダイオードについて、図を用いてさらに
詳細に説明する。黄緑色発光ダイオードの一般的な構造
の概略を図1に示す。まずn型GaP単結晶基板1の上
に、必要に応じてn型GaPバッファ層2を成長させ
る。n型GaPバッファ層2は、成長させなくてもかま
わないが、一般に、成長させた方が結晶性が良好とな
る。n型GaPバッファ層2は、複数の層を積層しても
よい。次に、その上に、n型GaPエピタキシャル層
3、Nをドープしたn型GaPエピタキシャル層4、お
よびp型GaPエピタキシャル層5を順次成長させる。
【0004】また、純緑色発光ダイオードの一般的な構
造の概略を図2に示す。まずn型GaP単結晶基板6の
上に、必要に応じてn型GaPバッファ層7を成長させ
る。黄緑色発光ダイオードの場合と同様、n型GaPバ
ッファ層7は、成長させなくてもかまわないが、一般
に、成長させた方が結晶性が良好となる。また、n型G
aPバッファ層7は、複数の層を積層してもよい。次
に、その上に、Nをドープしないn型GaPエピタキシ
ャル層8およびp型GaPエピタキシャル層9を順次成
長させる。
【0005】なお、発光ダイオードの形成には、上記の
ように作製したエピタキシャルウェーハのn型面とp型
面に、それぞれAuGe、AuBe等の電極用金属薄膜
を蒸着し、熱処理を施し、写真蝕刻によってn電極、p
電極を形成し、その後略正方形の素子に分離する。
【0006】これらの黄緑色発光ダイオードおよび純緑
色発光ダイオードは、通常、基板として液体封止チョク
ラルスキー(LEC)法で作製したn型GaP単結晶基
板を用い、その上に、液相エピタキシャル成長法により
各エピタキシャル層を成長させている。n型GaP単結
晶基板のキャリア濃度は、通常、1〜20×1017cm
-3程度とする。キャリア濃度が20×1017cm-3程度
以上になると、基板による発光の吸収が生じ、輝度が低
下する。また、キャリア濃度が1×1017cm-3程度以
下になると、オーミック電極の形成が難しくなり、電気
的特性の不良が発生する場合がある。
【0007】n型GaP単結晶基板のドーパントとして
は、Te、Si等を用いることができる。ドーパントと
してTeを用いる場合、Teの偏析のために、単結晶基
板の中心部にキャリア濃度の高い部分が発生する。以
下、この部分をダークコアと呼ぶ。ダークコアが存在す
る基板を用いてエピタキシャルウェーハを作製した場
合、ダークコアの部分はキャリア濃度が高いので、発光
を吸収するために輝度が低下し、ウェーハ面内での輝度
バラツキの原因となる。ドーパントとしてSiを用いる
場合は、ダークコアが発生しないので、Teを用いた場
合よりもウェーハ面内輝度バラツキが小さいという利点
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、Siド
ープのn型GaP単結晶基板を用いると、Teドープの
n型GaP単結晶基板を用いた場合と比べて、得られる
発光半導体素子のウェーハ面内の輝度バラツキは低減さ
れる。しかし、ウェーハ間の輝度バラツキについては依
然存在し、市場からは輝度バラツキの低減が要求されて
いた。また、近年の大型ディスプレー等への用途の拡大
に伴い、発光ダイオードの高輝度化、輝度バラツキ低減
の要求が厳しくなっている。本発明の目的は、高輝度
で、かつ輝度バラツキの少ない発光半導体素子用エピタ
キシャルウェーハを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、Siドープn
型GaP単結晶基板上に、少なくともn型GaPエピタ
キシャル層およびp型GaPエピタキシャル層を形成し
てなる発光半導体素子用エピタキシャルウェーハにおい
て、該Siドープn型GaP単結晶基板のSi濃度が1
〜20×1017cm-3かつキャリア濃度が1〜10×1
17cm-3であり、かつ活性化率が50%以上であるこ
とを特徴とする。また、前記活性化率は、60%以上で
あれば、より好ましい。さらに、本発明は、特にGaP
緑色系発光半導体素子用エピタキシャルウェーハに好適
に用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者等は、GaP黄緑色発光
ダイオードについて、高輝度化および輝度バラツキの低
減のための方法を検討した。Siドープで、同じキャリ
ア濃度のn型GaP単結晶基板上に、同じプロセスで図
1に示した各エピタキシャル層を形成してGaP黄緑色
発光ダイオード用エピタキシャルウェーハを作製して
も、得られた発光ダイオードの輝度は、エピタキシャル
ウェーハによって大きく異なる。このウェーハ間の輝度
バラツキの要因について検討したところ、Siドープn
型GaP単結晶の製造ロットによって輝度レベルが異な
る場合が多いことがわかった。
【0011】そこで、Siドープn型GaP単結晶基板
の各種物性と輝度の関係について詳細に検討したとこ
ろ、Siドープn型GaP単結晶基板の活性化率と輝度
との間に相関があり、活性化率が高い方が高輝度な発光
ダイオードを得られることが判明した。ここで、活性化
率とは、Siドープn型GaP単結晶中の、Si濃度に
対するキャリア濃度の割合であり、次式で表す。 活性化率(%) = (キャリア濃度/Si濃度) ×
100 なお、n型GaP単結晶中のSi濃度は、二次イオン質
量分析(SIMS)により測定した。また、キャリア濃
度は、von der Pauw法またはCV法により
測定した。
【0012】そこで次に本発明者らは、Siドープn型
GaP単結晶基板の活性化率を向上させることを行っ
た。従来のSiドープn型GaP単結晶基板では、活性
化率は50%未満であった。Siドープn型GaP単結
晶基板の活性化率を向上させる方法としては、例えばG
aP単結晶中のカーボン(C)濃度を低減させる方法が
ある。液体封止チョクラルスキー法でGaP単結晶を引
き上げる場合、一般的にヒーターやホットゾーンの部材
としてカーボン材が用いられる。これらのカーボン材か
ら発生するCがGaPメルト中に混入し、GaP単結晶
中に取り込まれる。GaP単結晶中に取り込まれたCは
アクセプターとなり、Siドナーの一部を補償して活性
化率を低下させる。従って、GaP単結晶中に取り込ま
れるCを低減することにより活性化率を向上させること
ができる。カーボン部材のCは、カーボン部材に吸着さ
れている酸素や水分、あるいは炉内雰囲気ガス中に微量
含まれる酸素や水分と反応してCOガス、またはCO2
ガスとなって封止材であるB23 に溶け込み、GaP
メルト中に混入すると考えられる。従って、これらの水
分や酸素を低減することによりC濃度を低減することが
できる。
【0013】また、カーボン部材から発生するカーボン
の微粉がメルト中に混入した場合も、GaP単結晶中に
Cが取り込まれると考えられるので、カーボン部材から
の微粉の発生を低減することも必要である。あるいは、
カーボン部材を、例えばPBN等でコーティングする方
法もある。コーティングすることにより、カーボンと酸
素や水分との反応や、カーボン微粉の発生を防止するこ
とができる。
【0014】活性化率を向上させる他の方法としては、
例えばGaP単結晶中のリン(P)の空孔を低減させる
方法がある。Pは解離圧が高いので、液体封止チョクラ
ルスキー法でGaP単結晶を育成する場合、Pの解離を
防ぐために50気圧程度の高圧下で育成を行うが、それ
でもPの解離を完全に防止することはできず、GaP単
結晶中にPの抜けた空孔が発生する。Pの空孔はアクセ
プターと同様の挙動を示し、結晶中のSiドナーを補償
して活性化率を低下させる。従って、Pの空孔を低減す
ることにより活性化率を向上させることができる。Pの
空孔を低減する方法としては、例えば炉内の圧力をさら
に高める方法や、炉内雰囲気ガス中にP蒸気を導入する
方法、封止材であるB23 にP25 を添加する方
法、原料としてP−richのGaP多結晶を用いる方
法等がある。
【0015】その他にも、アクセプターとなり得る不純
物がGaP単結晶中に取り込まれると、Siドナーを補
償して活性化率を低下させるので、アクセプターとなり
得る不純物を低減することにより、活性化率を向上させ
ることができる。本発明者らは、GaP単結晶の他の特
性に与える影響も考慮して、上記の方法から選択して、
あるいは組み合わせて、活性化率が50%以上のSiド
ープn型GaP単結晶基板を作製した。
【0016】本発明者らは、上述した方法により作製し
たGaP単結晶を用いて、キャリア濃度が同一で活性化
率の異なるSiドープn型GaP単結晶基板上に、同一
プロセスで黄緑色発光ダイオード用エピタキシャルウェ
ーハを作製し、活性化率と輝度との関係を調査した。キ
ャリア濃度が2×1017cm-3の場合の結果を図3に、
また、キャリア濃度が8×1017cm-3の場合の結果を
図4に示す。その結果、いずれの場合も活性化率と輝度
との間に相関が見られ、活性化率が50%以上、より好
ましくは60%以上で高輝度となることが判明した。
【0017】次に本発明者らは、活性化率が50%と一
定で、キャリア濃度が異なるSiドープn型GaP単結
晶基板を用いて、同一プロセスで黄緑色発光ダイオード
用エピタキシャルウェーハを作製し、キャリア濃度と輝
度との関係を調査した。結果を図5に示す。図5から明
らかなように、キャリア濃度が10×1017cm-3以下
で高輝度となり、キャリア濃度が10×1017cm-3
超えると輝度が低下することが判った。
【0018】一方、発光ダイオード用エピタキシャルウ
ェーハは、通常、表面および裏面にオーミック電極を形
成した後、ダイシング等により分離して発光ダイオード
とする。本発明に係わるGaP発光ダイオードの場合、
裏面側(基板側)がn型であるので、裏面にAu−Ge
等の合金を蒸着した後、熱処理することによって裏面側
のオーミック電極を形成する。ところが、裏面であるn
型GaP単結晶基板のキャリア濃度が1×1017cm-3
以下ではオーミック電極がうまく形成できない場合があ
る。従って、n型GaP単結晶基板のキャリア濃度は1
×1017cm-3以上とする必要がある。
【0019】以上の結果より、Siドープのn型GaP
単結晶基板の活性化率が50%以上、より好ましくは6
0%以上で、かつキャリア濃度が1〜10×1017cm
-3の場合に、高輝度なGaP黄緑色発光ダイオード用エ
ピタキシャルウェーハが得られることが判明した。な
お、Siドープのn型GaP単結晶基板において、活性
化率を50%以上とし、かつキャリア濃度を1〜10×
1017cm-3とするためには、Si濃度を1〜20×1
17cm-3とする必要がある。
【0020】同様に、GaP純緑色発光ダイオードにつ
いても高輝度化と輝度バラツキの低減を検討したとこ
ろ、GaP黄緑色発光ダイオードの場合と同様に、Si
ドープn型GaP単結晶基板のSi濃度を1〜20×1
17cm-3かつキャリア濃度を1〜10×1017cm-3
とし、かつ活性化率を50%以上、より好ましくは60
%以上とすることにより、高輝度なGaP純緑色発光ダ
イオードが得られることが判明した。
【0021】なお、輝度バラツキについては、以上述べ
た方法により従来GaP発光ダイオードの輝度がばらつ
く要因であったGaP単結晶基板の活性化率が制御され
るようになった結果、輝度バラツキを従来より低減する
ことが可能となった。
【0022】
【実施例】
(実施例1)GaP黄緑色発光ダイオードの場合の一例
について、説明する。n型GaP単結晶基板1として、
液体封止チョクラルスキー法によって作製したSiドー
プGaP単結晶基板を用い、キャリア濃度は2×1017
cm-3、主面は(111)B面とした。まず、この単結
晶基板1上に、通常の液相エピタキシャル成長法によ
り、n型GaPバッファ層2を成長させた。このn型G
aPバッファ層はSiドープとし、キャリア濃度は4×
1017cm-3、層厚は100μmとした。
【0023】公知の横型スライドボートの基板ホールダ
ーに、前記のn型GaPバッファ層2を成長させたSi
ドープn型GaP単結晶基板1をセットし、溶液溜には
成長用溶液となるGaメタルを所定量セットした。基板
とGaメタルを分離した状態のまま、このスライドボー
トをエピタキシャル成長炉にセットし、水素気流下で1
000℃まで昇温し、基板ホールダーをスライドさせて
n型GaPバッファ層2の表面とGaメタルを接触さ
せ、1時間保持してGaメタルにn型GaPバッファ層
2の一部を飽和するまで溶解させた。この時、溶解した
n型GaPバッファ層2の一部にドーパントとして含ま
れるSiと、エピタキシャル成長炉の反応管の石英が水
素により還元されることにより生成したSiがGaメタ
ル中に溶け込む。その後、960℃まで徐冷してn型G
aPバッファ層2上にSiドープn型GaPエピタキシ
ャル層3を成長させた。次に、温度を960℃に保持し
たまま、雰囲気ガスを水素から、所定量のアンモニアガ
スを添加したアルゴンガスに切り換える。このようにす
ると、アンモニアガスがGa溶液と反応してGa溶液中
に窒素(N)が取り込まれる。その後、900℃まで徐
冷して、Siドープn型GaPエピタキシャル層3上に
Nドープのn型GaPエピタキシャル層4を成長させ
た。引き続き、温度を900℃に保持し、雰囲気ガス中
に亜鉛(Zn)の蒸気を供給してGa溶液中にZnを所
定量取り込ませた。再び温度を800℃まで徐冷してN
ドープのn型GaPエピタキシャル層4上にZnドープ
のp型GaPエピタキシャル層5を成長させた。成長終
了後、基板ホールダーをスライドさせて成長用溶液を分
離し、室温まで冷却してGaP黄緑色発光ダイオード用
エピタキシャルウェーハを得た。
【0024】本実施例1では、GaP単結晶育成時のC
の混入低減およびP空孔の低減を徹底して10ロットの
Siドープn型GaP単結晶を育成した。得られた単結
晶の活性化率は、57%〜76%であった。この10ロ
ットの単結晶から基板を作製し、各ロットについて2ウ
ェーハ、計20ウェーハの基板を用いて上記プロセスで
GaP黄緑色発光ダイオード用エピタキシャルウェーハ
を作製した。該エピタキシャルウェーハから得られた発
光ダイオードの輝度(ウェーハ平均、相対値)の平均は
34.9、輝度バラツキσn-1 は0.74であった。
【0025】(比較例1)比較のため、従来の方法で1
0ロットのSiドープn型GaP単結晶を育成した。得
られた単結晶の活性化率は、34%〜48%であった。
この10ロットの単結晶から基板を作製し、各ロットに
ついて2ウェーハ、計20ウェーハの基板を用いて上記
プロセスでGaP黄緑色発光ダイオード用エピタキシャ
ルウェーハを作製した。該エピタキシャルウェーハから
得られた発光ダイオードの輝度(ウェーハ平均、相対
値)の平均は29.3、輝度バラツキσn-1 は2.48
であった。
【0026】実施例1と比較例1を比べると、Siドー
プn型GaP単結晶基板の活性化率を50%以上とする
ことにより、得られる黄緑色発光ダイオードの輝度は高
輝度となり、かつ輝度バラツキが低減することは明らか
である。
【0027】(実施例2)GaP純緑色発光ダイオード
の場合の一例について、説明する。n型GaP単結晶基
板6として、液体封止チョクラルスキー法によって作製
したSiドープGaP単結晶基板を用い、キャリア濃度
は2×1017cm-3、主面は(111)B面とした。ま
ず、この単結晶基板6上に、通常の液相エピタキシャル
成長法により、n型GaPバッファ層7を成長させた。
このn型GaPバッファ層はSiドープとし、キャリア
濃度は4×1017cm-3、層厚は60μmとした。
【0028】公知の横型スライドボートの基板ホールダ
ーに、前記のn型GaPバッファ層7を成長させたSi
ドープn型GaP単結晶基板6をセットし、第1の溶液
溜には硫黄(S)ドープn型GaPエピタキシャル層8
の成長用溶液となるGaメタル、GaP多結晶、および
S源としてGa23 を所定量セットした。第2の溶液
溜にはp型GaPエピタキシャル層9の成長用溶液とな
るGaメタル、GaP多結晶をセットした。基板と成長
用溶液を分離した状態のまま、このスライドボートをエ
ピタキシャル成長炉にセットし、水素気流下で1000
℃まで昇温し、1時間保持して各溶液溜のGaメタルに
GaP多結晶を飽和するまで溶解させた。その後、基板
ホールダーをスライドさせてn型GaPバッファ層7の
表面と第1の溶液溜の成長用溶液を接触させ、900℃
まで徐冷して、n型GaPバッファ層7上にSドープn
型GaPエピタキシャル層8を成長させた。次に、90
0℃で基板ホールダーをさらにスライドさせ、Sドープ
n型GaPエピタキシャル層8の表面と第2の溶液溜の
成長用溶液を接触させ、水素気流中にZn蒸気を流し、
成長用溶液中に所定量のZnを取り込ませた後、温度を
800℃まで徐冷してSドープn型GaPエピタキシャ
ル層8上にZnドープのp型GaPエピタキシャル層9
を成長させた。成長終了後、基板ホールダーをスライド
させて成長用溶液を分離し、室温まで冷却してGaP純
緑色発光ダイオード用エピタキシャルウェーハを得た。
【0029】本実施例2では、GaP単結晶育成時のC
の混入低減およびP空孔の低減を徹底して10ロットの
Siドープn型GaP単結晶を育成した。得られた単結
晶の活性化率は、57%〜76%であった。この10ロ
ットの単結晶から基板を作製し、各ロットについて2ウ
ェーハ、計20ウェーハの基板を用いて上記プロセスで
GaP純緑色発光ダイオード用エピタキシャルウェーハ
を作製した。得られた発光ダイオードの輝度(ウェーハ
平均、相対値)の平均は14.7、輝度バラツキσn-1
は0.37であった。
【0030】(比較例2)比較のため、従来の方法で1
0ロットのSiドープn型GaP単結晶を育成した。得
られた単結晶の活性化率は、34%〜48%であった。
この10ロットの単結晶から基板を作製し、各ロットに
ついて2ウェーハ、計20ウェーハの基板を用いて上記
プロセスでGaP純緑色発光ダイオード用エピタキシャ
ルウェーハを作製した。得られた発光ダイオードの輝度
(ウェーハ平均、相対値)の平均は12.5、輝度バラ
ツキσn-1 は1.20であった。
【0031】実施例2と比較例2を比べると、Siドー
プn型GaP単結晶基板の活性化率を50%以上とする
ことにより、得られる純緑色発光ダイオードの輝度は高
輝度となり、かつ輝度バラツキが低減することは明らか
である。
【0032】
【発明の効果】以上の実施例では、GaP緑色系発光半
導体素子用エピタキシャルウェーハについて説明を行っ
たが、同様な効果はSiドープn型GaP単結晶基板上
に、少なくともn型GaPエピタキシャル層およびp型
GaPエピタキシャル層を形成してなる発光半導体素子
用エピタキシャルウェーハについて得られる。すなわち
本発明によれば、従来よりも高輝度で、かつ輝度バラツ
キの少ないGaP発光半導体素子用エピタキシャルウェ
ーハが得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GaP黄緑色発光ダイオードの一般的な構造を
示す概略図。
【図2】GaP純緑色発光ダイオードの一般的な構造を
示す概略図。
【図3】GaP黄緑色発光ダイオードの、基板のキャリ
ア濃度が2×1017cm-3の場合の、活性化率と輝度の
関係を示す図。
【図4】GaP黄緑色発光ダイオードの、基板のキャリ
ア濃度が8×1017cm-3の場合の、活性化率と輝度の
関係を示す図。
【図5】GaP黄緑色発光ダイオードの、活性化率が5
0%の場合の、基板のキャリア濃度と輝度の関係を示す
図。
【符号の説明】
1 n型GaP単結晶基板 2 n型GaPバッファ層 3 n型GaPエピタキシャル層 4 Nをドープしたn型GaPエピタキシャル層 5 p型GaPエピタキシャル層 6 n型GaP単結晶基板 7 n型GaPバッファ層 8 n型GaPエピタキシャル層 9 p型GaPエピタキシャル層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siドープn型GaP単結晶基板上に、
    少なくともn型GaPエピタキシャル層およびp型Ga
    Pエピタキシャル層を形成してなる発光半導体素子用エ
    ピタキシャルウェーハにおいて、該Siドープn型Ga
    P単結晶基板のSi濃度が1〜20×1017cm-3かつ
    キャリア濃度が1〜10×1017cm-3であり、かつ活
    性化率が50%以上であることを特徴とする発光半導体
    素子用エピタキシャルウェーハ。
  2. 【請求項2】 前記活性化率が60%以上であることを
    特徴とする、請求項1記載の発光半導体素子用エピタキ
    シャルウェーハ。
  3. 【請求項3】 前記発光半導体素子が、GaP緑色系発
    光半導体素子であることを特徴とする、請求項1または
    2記載の発光半導体素子用エピタキシャルウェーハ。
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