JPH10259743A - アクチュエータ制御装置 - Google Patents

アクチュエータ制御装置

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JPH10259743A
JPH10259743A JP8448297A JP8448297A JPH10259743A JP H10259743 A JPH10259743 A JP H10259743A JP 8448297 A JP8448297 A JP 8448297A JP 8448297 A JP8448297 A JP 8448297A JP H10259743 A JPH10259743 A JP H10259743A
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博 佐藤
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 周囲温度等による制御弁機構の不感帯の幅の
変動に応じて不感帯補償を行い、アクチュエータを速や
かに目標値に移動させる。 【解決手段】 油圧シリンダ3はスプール弁6を介して
油圧ポンプ1からの圧油が給排されると共に、ロッド3
Cが摺動変位する。また、スプール弁6のスプール13
は電磁アクチュエータ16によって摺動変位され、電磁
アクチュエータ16は比例演算回路、積分演算回路およ
び補償演算装置等からなるコントロールユニット17に
よって制御される。そして、補償演算装置は偏差演算回
路からの偏差の変動周期に基づき補償演算値を可変に設
定し、コントロールユニット17は補償演算値に基づき
スプール弁6の不感帯分に対応した不感帯補償を行いつ
つ油圧シリンダ3をフィードバック制御するための制御
信号を電磁アクチュエータ16に出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば内燃機関の
吸気バルブ、排気バルブの開閉タイミングを可変に制御
するバルブタイミング制御装置等に好適に用いられるア
クチュエータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジン等の運転状態
に応じて吸気バルブまたは排気バルブの開閉タイミング
を可変に制御するようにしたバルブタイミング制御装置
は、例えば特開平6−2516号公報等によって知られ
ている。
【0003】この種のバルブタイミング制御装置には、
油圧ポンプ等の液圧源から給排される液圧によって駆動
される油圧シリンダ等のアクチュエータと、該アクチュ
エータと前記液圧源との間に配設され、常時は弁体を一
定幅の不感帯をもって中立位置に保持し、前記液圧源か
らの液圧をアクチュエータに給排するときには前記弁体
を中立位置から摺動変位させるスプール弁等の制御弁機
構と、前記アクチュエータを作動させるため、該制御弁
機構の弁体を制御信号に応じて摺動変位させる弁制御手
段とからなるアクチュエータ制御装置が設けられてい
る。
【0004】そして、該アクチュエータ制御装置は、制
御弁機構によりアクチュエータを作動させると共に、ア
クチュエータによってバルブタイミング制御装置を駆動
させ、エンジンの吸気バルブや排気バルブの開閉タイミ
ングを可変に制御している。ここで、アクチュエータ制
御装置は、アクチュエータを作動させるための目標値と
現在のアクチュエータの作動状態に応じた検出値との偏
差を用いることによってフィードバック制御を行うもの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来技術に
よるアクチュエータ制御装置では、前記制御弁の弁体を
駆動させる比例ソレノイド等の電磁アクチュエータが長
時間の稼動等で加熱されたときに、電磁アクチュエータ
のコイル部に熱抵抗が生じるため、入力電流に対する弁
体の変位が徐々に小さくなることがある。
【0006】このため、従来技術ではアクチュエータを
作動状態から停止状態にすべく、制御弁機構の弁体を中
立位置に復帰させるときに、弁体の戻り位置(中立位
置)にずれが生じると、次なる駆動時には制御信号に対
する弁体の摺動変位量が変化し、アクチュエータに給排
される液体の流量も変化する。これにより、アクチュエ
ータを目標とする位置まで正確に安定して駆動すること
が難しくなり、検出値と目標値との間には定常偏差が生
じることになり、アクチュエータを適切に制御できない
という問題がある。
【0007】また、弁体等の製造誤差によっても弁体の
戻り位置に例えば不感帯の範囲でずれが生じることがあ
り、正確な制御が要求されるエンジン等のバルブタイミ
ング制御にアクチュエータ制御装置を使用した場合に
は、最適なバルブタイミングによってエンジンを駆動す
ることが難しくなるという問題がある。
【0008】そこで、特開平6−299813号公報に
記載のアクチュエータ制御装置では、アクチュエータに
生じる定常偏差から戻り位置のずれを学習する構成が開
示されている。しかし、この場合にはアクチュエータに
生じる機械的なガタツキや誤差等によって検出値が変動
し、定常偏差の算出が難しくなることがあり、信頼性の
高い学習値を得ることができないという問題がある。
【0009】また、エンジンのバルブタイミング制御で
は、高速かつ高精度の制御が要求されるため、制御弁機
構を切換えるときに不感帯を僅かに越える位置まで弁体
を摺動変位させる不感帯補償が行われている。
【0010】しかし、制御弁機構の不感帯の幅寸法は弁
体等の製造誤差によって異なることがあり、制御弁機構
を切換えるときに弁体が不感帯を越えない(不感帯補償
が弱い)場合や弁体が不感帯を越え過ぎる(不感帯補償
が強い)場合が生じることがある。また、電磁アクチュ
エータのコイル部に生じる熱抵抗等によって弁体の摺動
変位量が変化することがあり、これによっても、不感帯
補償を安定して行うことができない。
【0011】そして、弁体が不感帯域を越えるような不
感帯補償が実行されない場合には、液圧源からの液圧の
供給量が減少し、アクチュエータの作動量が減少すると
共に、アクチュエータが目標とする位置に到達するまで
の時間が長くなってしまう。一方、不感帯補償によって
弁体が不感帯域を過剰に越えて摺動変位する場合には、
液圧源からの液圧の供給量が増加し、アクチュエータの
作動量が増加することにより、アクチュエータは目標と
する位置を越えて作動することになり、アクチュエータ
を目標とする位置に近付けるのに余分な時間がかかると
いう問題がある。
【0012】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明はアクチュエータが目標とする位
置に到達するまでの時間を短縮できると共に、目標とす
る位置へと早期に近付けることができ、フィードバック
制御の信頼性や安定性を向上できるようにしたアクチュ
エータ制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明は、液圧源から給排される液圧によって駆
動制御されるアクチュエータと、該アクチュエータと前
記液圧源との間に配設され、常時は弁体を一定幅の不感
帯をもって中立位置に保持し、前記液圧源からの液圧を
アクチュエータに給排するときには前記弁体を中立位置
から摺動変位させる制御弁機構と、前記アクチュエータ
を作動させるため、該制御弁機構の弁体を制御信号に応
じて摺動変位させる弁制御手段とからなるアクチュエー
タ制御装置に適用される。
【0014】そして、請求項1の発明が採用する構成の
特徴は、前記弁制御手段は、前記アクチュエータを作動
させるための目標値を設定する目標値設定手段と、前記
アクチュエータの作動状態を検出する作動検出手段と、
前記目標値設定手段による目標値と該作動検出手段によ
る検出値との偏差を演算する偏差演算手段と、該偏差演
算手段による偏差の変動周期を算出する変動周期算出手
段と、前記偏差演算手段からの偏差に対する比例演算を
行う比例演算手段と、前記偏差演算手段からの偏差に対
する積分演算を行う積分演算手段と、前記制御弁機構の
不感帯補償を行うため、前記変動周期算出手段による偏
差の変動周期に応じて演算値を可変に設定するように前
記不感帯分を補償演算する補償演算手段と、前記比例演
算手段、積分演算手段および補償演算手段によるそれぞ
れの演算値に基づいて前記制御弁機構に出力すべき制御
信号を設定する出力信号設定手段とから構成したことに
ある。
【0015】上記構成により、目標値設定手段による目
標値と作動検出手段による検出値との偏差に応じてアク
チュエータをフィードバック制御するため、比例演算手
段ではアクチュエータに供給する液体の流量を前記偏差
に比例した値として演算し、積分演算手段ではアクチュ
エータに供給する液体の流量を前記偏差の積分値に対応
した値として演算できる。また、補償演算手段では前記
偏差が正の値と負の値とに切換わる偏差の変動周期に応
じて不感帯補償用の演算値を可変に設定することによ
り、不感帯の幅寸法に対応した演算値を算出でき、弁体
の摺動変位量を不感帯の幅寸法に対応して調整すること
ができる。
【0016】そして、出力信号設定手段によって比例演
算手段、積分演算手段および補償演算手段によるそれぞ
れの演算値に基づき制御弁機構に出力するパルス信号等
の制御信号を設定でき、アクチュエータを目標とする位
置まで速やか移動させ、アクチュエータのハンチングを
低減できる。
【0017】また、請求項2の発明が採用する構成の特
徴は、内燃機関のバルブタイミングを可変に制御するた
め前記アクチュエータによって駆動され、前記内燃機関
のクランクシャフトとカムシャフトとの回転位相に位相
差を生じさせる回転位相可変手段を備え、前記弁制御手
段は、前記内燃機関のバルブタイミングが前記内燃機関
の運転状態に対応したタイミングとなるように、前記ア
クチュエータを作動させるための目標値を設定する目標
値設定手段と、前記クランクシャフトとカムシャフトと
の位相差から前記アクチュエータの作動状態を検出する
作動検出手段と、前記目標値設定手段による目標値と該
作動検出手段による検出値との偏差を演算する偏差演算
手段と、該偏差演算手段による偏差の変動周期を算出す
る変動周期算出手段と、前記偏差演算手段からの偏差に
対する比例演算を行う比例演算手段と、前記偏差演算手
段からの偏差に対する積分演算を行う積分演算手段と、
前記制御弁機構の不感帯補償を行うため、前記変動周期
算出手段による偏差の変動周期に応じて演算値を可変に
設定するように前記不感帯分を補償演算する補償演算手
段と、前記比例演算手段、積分演算手段および補償演算
手段によるそれぞれの演算値に基づいて前記制御弁機構
に出力すべき制御信号を設定する出力信号設定手段とか
ら構成したことにある。
【0018】このように構成することにより、目標値設
定手段は内燃機関の運転状態に対応したバルブタイミン
グとなる目標値を出力でき、作動検出手段はクランクシ
ャフトとカムシャフトとの位相差からアクチュエータの
作動状態に応じた検出値を出力することができる。そし
て、目標値設定手段による目標値と作動検出手段による
検出値との偏差に応じてアクチュエータをフィードバッ
ク制御するため、比例演算手段ではアクチュエータに供
給する液体の流量を前記偏差に比例した値として演算
し、積分演算手段ではアクチュエータに供給する液体の
流量を前記偏差の積分値に対応した値として演算でき
る。また、補償演算手段では前記偏差が正の値と負の値
とに切換わる偏差の変動周期に応じて不感帯補償用の演
算値を可変に設定することにより、不感帯の幅寸法に対
応した演算値を算出でき、弁体の摺動変位量を不感帯の
幅寸法に対応して調整することができる。
【0019】そして、出力信号設定手段によって比例演
算手段、積分演算手段および補償演算手段によるそれぞ
れの演算値に基づき制御弁機構に出力するパルス信号等
の制御信号を設定でき、アクチュエータを目標とする位
置まで速やか移動させ、アクチュエータのハンチングを
低減できると共に、内燃機関の運転状態に対応したバル
ブタイミングとなるように回転位相可変手段を駆動する
ことができる。
【0020】また、請求項3の発明では、前記補償演算
手段は、変動周期算出手段による偏差の変動周期に応じ
て不感帯補償用の補正係数を増減させる係数設定回路
と、該係数設定回路による補正係数に基づいて前記演算
値を出力する補償演算回路とから構成している。
【0021】上記構成によれば、係数設定回路は偏差の
変動周期が一定幅の不感帯分に対応した変動周期よりも
長いときに補正係数を増加し、短いときに補正係数を減
少させるようにして、補正係数を不感帯の幅寸法に対応
した数値に設定することができる。そして、補償演算回
路は前記補正係数に基づいて演算値を出力することによ
り、前記偏差が正の値のときには補正係数の正の値を演
算値とし、前記偏差が負の値のときには補正係数の負の
値を演算値とすることができる。
【0022】また、請求項4の発明では、前記弁制御手
段は、前記目標値設定手段による目標値に基づいて過渡
状態の判別を行い、前記目標値が変更されたときには予
め決められた過渡時間の間を過渡状態と判定し、これ以
外のときには非過渡状態にあると判定する過渡状態判定
手段を備え、前記補償演算手段は該過渡状態判定手段に
よって過渡状態にあると判定したときに係数設定回路に
よる補正係数を一定値に保持しつつ補償演算回路から前
記演算値を出力し、非過渡状態にあると判定したときに
係数設定回路による補正係数を増減させつつ補償演算回
路から前記演算値を出力する構成としている。
【0023】上記構成によれば、補償演算手段は過渡状
態のときには弁体は不感帯を越えて摺動変位するから、
係数設定回路によって補正係数を一定値に保持し、出力
信号設定手段によって該演算値に基づいた制御信号を設
定し、アクチュエータを目標とする位置へと速やかに移
動させることができる。また、非過渡状態のときには弁
体は不感帯付近を往復動するから、補償演算手段は係数
設定回路によって補正係数を増減させ、このときの演算
値に基づいた制御信号を出力信号設定手段から出力する
ことによって、アクチュエータのハンチングを低減でき
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って詳細に説明する。
【0025】ここで、図1ないし図11は本発明の第1
の実施例によるアクチュエータ制御装置としての油圧シ
リンダの駆動制御装置を例に挙げて示している。
【0026】図において、1はタンク2と共に液圧源と
しての油圧源を構成する油圧ポンプ、3は該油圧ポンプ
1に配管4A,4Bを介して接続されたアクチュエータ
としての油圧シリンダで、該油圧シリンダ3は、シリン
ダ3Aと、該シリンダ3A内に摺動可能に設けられたピ
ストン3Bと、一端側が該ピストン3Bに固着され、他
端側がシリンダ3A外に突出したロッド3Cとから構成
されている。そして、油圧シリンダ3は、ピストン3B
によって画成された2つの油室3D,3Eに配管4A,
4Bを介して圧油が給排されることにより、ロッド3C
を矢示A,B方向に伸縮させるものである。
【0027】5は制御弁機構としての制御弁装置、6は
該制御弁装置5の本体部を構成するスプール弁で、該ス
プール弁6は略筒状の弁ケーシング7を有し、該弁ケー
シング7の内周側には後述のスプール13が摺動可能に
挿嵌されるスプール摺動穴7Aが形成されている。ま
た、弁ケーシング7にはスプール摺動穴7Aの軸方向に
離間してポンプポート8、タンクポート9および一対の
流出入ポート10,11が設けられ、弁ケーシング7の
一端側端部には、ドレンポート12が設けられている。
【0028】ここで、ポンプポート8は油圧ポンプ1に
接続され、タンクポート9はタンク2に接続されてい
る。そして、流出入ポート10は油圧シリンダ3の給排
口3Fに接続され、流出入ポート11は油圧シリンダ3
の給排口3Gに接続されている。また、流出入ポート1
0,11は、例えば図2に示すように長方形をなす矩形
ポートとして形成され、ドレンポート12はタンク2に
接続されている。
【0029】13は弁ケーシング7のスプール摺動穴7
A内に変位可能に設けられた弁体としてのスプールであ
り、該スプール13には、2個のランド13A,13B
が設けられ、ランド13Aは流出入ポート10を開,閉
すると共に、ランド13Bは流出入ポート11を開,閉
するものである。そして、該スプール13は後述する電
磁アクチュエータ16によりコントロールユニット17
から出力されるPWM信号のデューティ比に比例して矢
示C,D方向に摺動変位される。また、スプール13の
一端側と弁ケーシング7との間には、ドレンポート12
に連通するばね室14が形成され、該ばね室14内に
は、スプール13を矢示D方向に常時付勢するばね15
が設けられている。
【0030】ここで、スプール13が中立位置にあると
きは、スプール13のランド13Aは図2に示す如く流
出入ポート10を完全に閉塞すると共に、ランド13B
は流出入ポート11を完全に閉塞する。そして、スプー
ル13はランド13A,13Bの幅寸法が、流出入ポー
ト10,11よりも一定寸法δだけ大きく形成され、ポ
ート閉塞時の安定性を確保するようになっている。この
ため、スプール13のランド13A,13Bと弁ケーシ
ング7の流出入ポート10,11との間には、スプール
13を中立位置で僅かに摺動変位させても、流出入ポー
ト10,11が開口しない一定幅の不感帯(寸法δに対
応)が形成されている。
【0031】16はスプール13を駆動変位させるスプ
ール駆動手段としての電磁アクチュエータを示し、該電
磁アクチュエータ16は電磁比例ソレノイドまたはリニ
ア型のステッピングモータ等からなり、弁ケーシング7
の他端側に取付けられたケース16Aと、該ケース16
A内に設けられたコイル部16Bと、該コイル部16B
の内周側に変位可能に設けられた駆動ロッド16Cとか
ら構成されている。
【0032】そして、制御弁装置5は弁ケーシング7、
スプール13および電磁アクチュエータ16等からな
り、油圧シリンダ3に給排すべき圧油の流量と方向とを
可変に制御する。即ち、制御弁装置5は電磁アクチュエ
ータ16によってスプール13を弁ケーシング7のスプ
ール摺動穴7A内で摺動変位させ、流出入ポート10,
11を連通、遮断させることにより、ポンプポート8を
介した油圧ポンプ1からの圧油を油圧シリンダ3に供給
すると共に、油圧シリンダ3内の圧油をタンクポート9
やドレンポート12を介してタンク2側に排出させるも
のである。
【0033】17は電磁アクチュエータ16の制御を行
う弁制御手段としてのコントロールユニットを示し、該
コントロールユニット17は、例えばマイクロコンピュ
ータ等により構成され、該コントロールユニット17に
はROM、RAM等からなる記憶部17Aが設けられて
いる。
【0034】そして、該コントロールユニット17内に
は、後述する偏差演算回路18、比例演算回路19、積
分演算回路20、補償演算装置22、中立位置設定回路
24、過渡状態判定回路25および出力信号設定回路2
6が設けられている。また、コントロールユニット17
の記憶部17Aには、図4に示すようなスプール弁制御
処理用のプログラムが格納されると共に、比例演算の利
得となる定数Kp 、積分演算の利得となる定数Ki およ
び過渡フラグF等が予め格納されている。また、該コン
トロールユニット17の入力側には、後述する目標値設
定器29と位置検出センサ30とが接続され、出力側は
スプール弁6の電磁アクチュエータ16に接続されてい
る。
【0035】ここで、各定数Kp ,Ki は実験によって
得られる数値であって、例えば定数Kp は定数Ki の1
000〜2000倍程度の値となっている。また、過渡
フラグFは後述の過渡状態判定回路25により過渡状態
と判定したときに1(F=1)に設定され、過渡状態判
定回路25により非過渡状態と判定したときには零(F
=0)に設定されるものである。
【0036】18は偏差演算手段としての偏差演算回路
で、該偏差演算回路18は目標値設定器29からの目標
値rと位置検出センサ30からの検出値yとの偏差eを
演算する。19は比例演算手段としての比例演算回路
で、該比例演算回路19は偏差演算回路18から出力さ
れる偏差eに比例する比例演算値u1 を出力する。20
は積分演算手段としての積分演算回路で、該積分演算回
路20は偏差eを積分し、偏差eの積分値に対応した積
分演算値u2 を出力する。
【0037】21は変動周期算出手段としての変動周期
算出回路で、該変動周期算出回路21は偏差演算回路1
8からの偏差eに基づき図6に示す如く偏差eの変動周
期Tを算出するものである。
【0038】22は補償演算手段としての補償演算装置
で、該補償演算装置22は図3、図9および図10に示
す如く、偏差eが正の値と負の値とに切換わる偏差eの
変動周期Tに応じて不感帯補償用の補正係数Kb を増減
させる係数設定回路23Aと、前記補正係数Kb に基づ
いて前記不感帯分の補償演算を行う補償演算値u3 を出
力する補償演算回路23Bとから構成される。
【0039】そして、係数設定回路23Aは偏差eの変
動周期Tに応じて補正係数Kb を前記不感帯の一定寸法
δに対応した数値となるように増減させ、補償演算回路
23Bは、偏差eが零(e=0)のときに補償演算値u
3 を0(u3 =0)とし、偏差eが正の値(e>0)の
ときに補償演算値u3 をKb (u3 =Kb )とし、偏差
eが負の値(e<0)のときに補償演算値u3 を−Kb
(u3 =−Kb )として出力する。これにより、補償演
算装置22はスプール弁6の不感帯補償を行うための補
償演算値u3 を出力することができる。
【0040】また、補償演算装置22は後述する過渡状
態判定回路25により過渡状態と判定したときには係数
設定回路23Aによる補正係数Kb を一定値に保持し、
非過渡状態と判定したときには係数設定回路23Aによ
る補正係数Kb を偏差eの変動周期Tに応じて増減させ
るものである。
【0041】24はスプール13の中立位置を設定する
中立位置設定回路で、該中立位置設定回路24はスプー
ル13を中立位置に保持するために、例えば50%のデ
ューティ比に対応した一定の中立位置設定値u4 を常時
出力する。
【0042】25は目標値設定器29による目標値rに
基づいて過渡状態を判別を行う過渡状態判定手段として
の過渡状態判定回路で、該過渡状態判定回路25は目標
値rが変更されたときから予め決められた過渡時間τの
間を過渡状態と判定し、これ以外のときには非過渡状態
にあると判定する。ここで、過渡時間τは油圧シリンダ
3のロッド3Cが目標値rまで変位し、ほぼ停止状態と
なるために十分な一定時間(例えば400ms程度)に
設定されている。
【0043】26は出力信号設定手段としての出力信号
設定回路を示し、該出力信号設定回路26は加算演算回
路27とPWM変換回路28とから構成される。そし
て、加算演算回路27は比例演算値u1 、積分演算値u
2 、補償演算値u3 および中立位置設定値u4 を加算し
た加算演算値uをPWM変換回路28に出力し、PWM
変換回路28は加算演算回路27から出力される加算演
算値uに基づきパルス幅変調信号(PWM信号)のデュ
ーティ比を決定し、このデューティ比に対応して変換さ
れた制御信号としてのPWM信号を制御弁装置5の電磁
アクチュエータ16に向けて出力する。
【0044】29はコントロールユニット17に対して
目標値rを出力する目標値設定手段としての目標値設定
器であり、該目標値設定器29の具体例としては、油圧
シリンダ制御装置全体を制御するための指令装置を含む
制御装置、または手動式の目標値設定装置等である。こ
こで、目標値rは、油圧シリンダ3のロッド3Cを移動
させる目標位置に対応した数値であり、ロッド3Cを矢
示B方向に最縮小させるときに例えば零となり、ロッド
3Cを矢示A方向に最大伸長させるときに最大値とな
る。
【0045】30は油圧シリンダ3の作動状態を検出す
る作動検出手段としての位置検出センサを示し、該位置
検出センサ30はロッド3Cの現在位置を検出し、この
現在位置に対応した検出値yをコントロールユニット1
7に出力するものである。ここで、検出値yは、ロッド
3Cが目標値rに達したときに目標値rに対応した値と
なるものであり、ロッド3Cが矢示B方向に最縮小した
ときに例えば零となり、ロッド3Cが矢示A方向に最大
伸長したときに最大値となる。
【0046】本実施例による油圧シリンダ3の駆動制御
装置は上述の如き構成を有するもので、次に図4を参照
してコントロールユニット17によるスプール弁制御処
理について説明する。
【0047】まず、ステップ1では、目標値設定器29
から出力される目標値rと位置検出センサ30から出力
される検出値yを読込むと共に、中立位置設定回路24
から出力される中立位置設定値u4 を読込む。そして、
ステップ2では、偏差演算回路18によって目標値rと
検出値yとの偏差e(e=r−y)を算出する。
【0048】次に、ステップ3では、記憶部17Aから
定数Kp を読出すと共に、比例演算回路19によって定
数Kp と偏差eとの積である比例演算値u1 (u1 =K
p ×e)を算出する。
【0049】また、ステップ4では、偏差eの時間積分
による値と定数Ki とを掛けることにより積分演算値u
2 (u2 =Ki ×∫edt)を算出する。
【0050】次に、ステップ5では、後述する補正係数
設定処理を行い、偏差eの変動周期Tに応じて不感帯補
償用の補正係数Kb を設定する。
【0051】次に、ステップ6では、偏差eが零(e=
0)であるか否かを判定し、「YES」と判定したとき
には、油圧シリンダ3のロッド3Cは目標とする位置に
達しているから、ステップ10に移って不感帯を補償す
る補償演算値u3 を零(u3=0)に設定し、スプール
13を中立位置に戻すように後述するステップ11,1
2の処理を行う。
【0052】また、ステップ6で「NO」と判定したと
きには、ステップ7に移って偏差eが正の値(e>0)
であるか否かを判定し、「YES」と判定したときには
油圧シリンダ3のロッド3Cは目標とする位置よりも矢
示B方向に縮小し過ぎているから、ステップ8に移って
補償演算値u3 をKb (u3 =Kb )に設定する。そし
て、ステップ11,12の処理により、スプール13は
一定寸法δだけ矢示C方向に摺動変位し、油圧ポンプ1
からの圧油は油圧シリンダ3の油室3D内に供給され
る。
【0053】一方、ステップ7で「NO」と判定したと
きには、偏差eは負の値(e<0)となって油圧シリン
ダ3のロッド3Cは目標とする位置よりも矢示A方向に
伸長し過ぎているから、ステップ9に移って補償演算値
u3 を−Kb (u3 =−Kb)に設定する。そして、ス
テップ11,12の処理により、スプール13は一定寸
法δだけ矢示D方向に摺動変位し、油圧ポンプ1からの
圧油は油圧シリンダ3の油室3E内に供給される。
【0054】次に、ステップ11では、比例演算値u1
、積分演算値u2 、補償演算値u3および中立位置設定
値u4 の加算演算を行い、PWM信号のデューティ比に
対応した加算演算値u(u=u1 +u2 +u3 +u4 )
を算出する。
【0055】そして、ステップ12では加算演算値uを
これに対応したデューティ比のPWM信号に変換し、こ
のPWM信号を電磁アクチュエータ16に出力して、ス
プール13を摺動変位させる。これにより、油圧シリン
ダ3に供給される圧油が制御され、ロッド3Cは偏差e
を減少させる方向に摺動変位する。
【0056】次に、偏差eの変動周期Tに応じて不感帯
補償用の補正係数Kb を増減させる補正係数設定処理に
ついて図5を参照しつつ説明する。ここで、補正係数K
b は予め不感帯の一定寸法δに対応した初期値に設定さ
れている。
【0057】まず、ステップ21では過渡状態か否かを
判別する。ここで、過渡状態の判別は、例えばステップ
1において読込んだ現在の目標値rと予め記憶部17A
に格納された前回の目標値とが一致しているか否かを判
定し、目標値が変更されている場合には予め決められた
過渡時間τの間を過渡状態として判定し、それ以外のと
きを非過渡状態として判別することによって行うもので
ある。
【0058】そして、ステップ21で「YES」と判定
したときには、過渡状態であるから補正係数Kb は現在
の数値を保持し、ステップ27に移ってリターンする。
一方、ステップ21で「NO」と判定したときには非過
渡状態であるから、ステップ22で後述する変動周期T
の計測処理を行い、ステップ23に移る。
【0059】次に、ステップ23〜25では変動周期T
が不感帯の一定寸法δに対応した適正な変動周期T0 と
なるように補正係数Kb を増減させる。ここで、変動周
期Tは同一の補正係数Kb に対しても微小に変化するか
ら、変動周期Tが図9に示すように適正な変動周期の最
大値T1 と最小値T2 との間の値となるように補正係数
Kb は設定させる。
【0060】そして、ステップ23では変動周期Tが不
感帯の一定寸法δに対応した適正な変動周期の最大値T
1 よりも大きいか否かを判定し、「NO」と判定したと
きには、ステップ24に移って変動周期Tが不感帯の一
定寸法δに対応した適正な変動周期の最小値T2 よりも
小さいか否かを判定する。そして、ステップ24で「N
O」と判定したときには、変動周期Tは適正な変動周期
の最大値T1 と最小値T2 との間の値(T1 ≧T≧T2
)であり、補正係数Kb はほぼ不感帯の一定寸法δに
対応した数値となっているから、現在の補正係数Kb を
保持しつつステップ27に移ってリターンする。
【0061】一方、ステップ24で「YES」と判定し
たときには、変動周期Tは適正な変動周期の最小値T2
よりも小さい値(T<T2 )であり、補正係数Kb は不
感帯の一定寸法δに対応した数値よりも大きい値となっ
ているから、ステップ25に移って補正係数Kb を微小
量ΔKb だけ減少させる。ここで、微小量ΔKb は補正
係数Kb の初期値に対して10分の1程度の値に設定さ
れている。
【0062】またステップ24で「YES」と判定した
ときには、変動周期Tは適正な変動周期の最大値T1 よ
りも大きい値(T>T1 )であり、補正係数Kb はほぼ
不感帯の一定寸法δに対応した数値よりも小さい値とな
っているから、ステップ25に移って補正係数Kb を微
小量ΔKb だけ増加させ、ステップ27に移ってリター
ンする。
【0063】次に、変動周期算出回路21による変動周
期Tの計測処理について図6を参照しつつ説明する。こ
こで、図8に示すように偏差eが正の値となっている時
間を半周期Ta とし、偏差eが負の値となっている時間
を半周期Tb とすると共に、各半周期Ta ,Tb の初期
値として不感帯の一定寸法δに対応した適正な変動周期
T0 の半分の値が予め設定されている。
【0064】まず、ステップ31で偏差eが正の値(e
>0)であるか否かを判定し、「YES」と判別したと
きには、ステップ32に移って予め記憶部17Aに格納
された前回の偏差としての初期値e0 が負の値(e0 <
0)であるか否かを判定する。
【0065】そして、ステップ32で「YES」と判定
したときには、偏差eは正の値から負の値に変化してい
るから、ステップ33に移ってタイマtの値を半周期T
a の値として保持し、ステップ34に移って変動周期T
を各半周期Ta ,Tb の和(T=Ta +Tb )として算
出する。次に、ステップ35に移ってタイマtをリセッ
ト(t=0)し、ステップ36で初期値e0 を現在の偏
差eに更新すると共に、ステップ42でリターンする。
【0066】また、ステップ32で「NO」と判定した
ときには、偏差eは正の値を維持しているから、ステッ
プ42に移ってリターンする。
【0067】一方、ステップ31で「NO」と判別した
ときには、ステップ37に移って予め記憶部17Aに格
納された前回の偏差としての初期値e0 が正の値(e0
>0)であるか否かを判定する。そして、ステップ37
で「YES」と判定したときには、偏差eは負の値から
正の値に変化しているから、ステップ38に移ってタイ
マtの値を半周期Tb の値として保持し、ステップ39
で変動周期Tを各半周期Ta ,Tb の和(T=Ta +T
b )として算出する。次に、ステップ40に移ってタイ
マtをリセット(t=0)し、ステップ41で初期値e
0 を現在の偏差eに更新すると共に、ステップ42でリ
ターンする。
【0068】また、ステップ37で「NO」と判定した
ときには、偏差eは負の値を維持しているから、ステッ
プ42に移ってリターンする。
【0069】ここで、比例演算回路19、積分演算回路
20、補償演算装置22、過渡状態判定回路23および
出力信号設定回路26の動作について図7ないし図11
を参照しつつ詳述する。
【0070】図7中に実線で示す特性線31は、理想的
な場合におけるPWM信号のデューティ比と流出入ポー
ト10,11の開度との関係を示している。なお、図7
の特性線図では、スプール13が中立位置から矢示C方
向に移動して流出入ポート10,11を開口させたとき
に、流出入ポート10,11の開度を正の値で表し、ス
プール13が中立位置から矢示D方向に移動したときの
流出入ポート10,11の開度を負の値として表してい
る。
【0071】そして、PWM信号のデューティ比が50
%のときには、スプール13は流出入ポート10,11
を完全に閉塞する中立位置にあり、流出入ポート10,
11の開度は百分率として0%となる。また、PWM信
号のデューティ比が50%から(50+Δ1 )%の間
は、スプール13は中立位置から矢示C方向に一定寸法
δ内で移動するため、流出入ポート10,11の開度は
0%に保持される。さらに、PWM信号のデューティ比
が50%から(50−Δ1 )%の間は、スプール13は
中立位置から矢示D方向に一定寸法δ内で移動するた
め、流出入ポート10,11の開度は0%に保持され
る。
【0072】また、PWM信号のデューティ比が100
%程度のときには、流出入ポート10,11の開度は1
00%となり、スプール13が矢示C方向に最大移動す
ることにより、流出入ポート10,11は油圧シリンダ
3を最大伸長させるように最大開度となる。一方、PW
M信号のデューティ比が0%程度のときには、流出入ポ
ート10,11の開度は−100%となり、スプール1
3は矢示D方向に最大移動することにより、流出入ポー
ト10,11は油圧シリンダ3を最縮小させるように最
大開度となる。
【0073】しかし、実際のスプール弁6ではスプール
13の製造誤差やばね15の経時変化等によって、PW
M信号のデューティ比を50%としたときにもスプール
13が一定の戻り位置(中立位置)に復帰しないことが
ある。また、電磁アクチュエータ16内のコイル部16
Bは長時間の作動で発熱すると共に、エンジンからの熱
伝導等によって熱抵抗が生じることがあり、この場合で
もスプール弁6の戻り位置に復帰しないことがあり、図
7中に点線で示す特性線32のように戻り位置のずれΔ
2 が生じることがある。
【0074】このため、本実施例では偏差eに対する積
分演算を行う積分演算回路20を設け、戻り位置のずれ
Δ2 を補償する演算値を出力している。これによって、
ロッド3Cは目標とする位置である本来の停止位置で確
実に停止させることができ、本来の停止位置から位置ず
れした状態で停止するのを防止している。
【0075】次に、図8はロッド3Cの位置、比例演算
値u1 、積分演算値u2 、補償演算値u3 と時間との関
係を示している。ここで、目標値rは図8中に一点鎖線
で示す特性線33のように一定値に変更されたものとす
る。
【0076】このとき、検出値yは図8中に実線で示す
特性線34のように時間に対して変化する。これは、以
下に述べる作用によるものである。
【0077】まず、目標値rが初期値r0 からステップ
状に変化した直後には、比例演算値u1 は特性線35の
ように偏差e(e=r−y)に対応して大きな値とな
る。また、積分演算値u2 は特性線36に示すように、
偏差eに対応して短時間で大きな値となる。そして、補
償演算値u3 は特性線37のように偏差eが正の値(e
>0)であるため、不感帯の一定寸法δに対応した補正
係数Kb となる。
【0078】これにより、スプール13は、補償演算値
u3 に応じて矢示C方向に一定寸法δだけ摺動変位する
と共に、偏差eに対応した比例演算値u1 に応じて矢示
C方向に摺動変位する。そして、ロッド3Cは矢示A方
向に伸長し、油圧シリンダ3の油室3D内には油圧ポン
プ1からの圧油が供給される。
【0079】次に、ロッド3Cが目標とする位置よりも
矢示A方向に伸長し、検出値yが目標値rよりも大きく
なった場合、比例演算値u1 は偏差e(e=r−y)に
対応して負の値(e<0)となる。また、補償演算値u
3 は偏差eが負の値であるため、不感帯の一定寸法δに
対応した定数−Kb となると共に、積分演算値u2 は徐
々に減少する。
【0080】これにより、スプール13は、補償演算値
u3 に応じて矢示D方向に一定寸法δだけ摺動変位する
と共に、偏差eに対応した比例演算値u1 に応じて矢示
D方向に摺動変位する。そして、ロッド3Cは矢示B方
向に縮小し、油圧シリンダ3の油室3E内には油圧ポン
プ1からの圧油が供給される。
【0081】このような動作を繰返している間に、積分
演算値u2 は定常偏差を減少させるように一定値u20に
収束する。即ち、積分演算回路20は図7中の戻り位置
のずれΔ2 に応じた定数(一定値u20)を出力すること
になる。このようにして、偏差eがほぼ零(e=0)と
なり、ロッド3Cは変動周期Tをもって目標値rを中心
に矢示A,B方向への微小摺動を繰返す停止状態とな
る。
【0082】ここで、不感帯の一定寸法δはスプール1
3の製造誤差によって異なることがある。また、電磁ア
クチュエータ16内のコイル部16Bからの発熱によっ
てPWM信号に対するスプール13の摺動変位量が減少
し、スプール弁6を切換えるときにスプール13が不感
帯の一定寸法δを越える位置まで摺動変位しないことが
ある。
【0083】このとき、スプール弁6の不感帯補償を安
定して行うことができず、例えばスプール弁6を切換え
るときにスプール13が不感帯を越えない(不感帯補償
が弱い)場合や不感帯を越え過ぎる(不感帯補償が強
い)場合がある。このため、不感帯補償用の補正係数K
b が不感帯の一定寸法δに対応した補正係数Kb0よりも
小さい場合、即ち、スプール13が不感帯域を越えるよ
うな不感帯補償が実行されない場合には、油圧ポンプ1
からの圧油の供給量が減少し、ロッド3Cの摺動変位量
が低下するから、ロッド3Cは偏差に対応した変位量だ
け摺動変位することができず、ロッド3Cが目標とする
位置に到達するまでの時間が長くなってしまう。
【0084】そして、ロッド3Cが目標とする位置付近
で一定の変動周期で摺動変位する実質的な停止状態とな
るときには、ロッド3Cは摺動変位量の低下によって応
答性が低下するから、ロッド3Cは図9中の特性線38
に示す如く、一定寸法δに対応した変動周期T0 よりも
大きい変動周期をもって目標とする位置付近を往復動す
ることになる。このとき、ロッド3Cの摺動変位量の不
足分に応じて矢示A,B方向への微小摺動量が増加し、
ロッド3Cの目標値に対する安定性が低下する。
【0085】一方、不感帯補償用の補正係数Kb が不感
帯の一定寸法δに対応した補正係数Kb0よりも大きい場
合、即ち、スプール13が不感帯域を過剰に越えて摺動
変位する場合には、油圧ポンプ1からの圧油の供給量が
増加し、ロッド3Cの摺動変位量が増大するから、ロッ
ド3Cは偏差に対応した変位量以上に摺動変位する。
【0086】このとき、ロッド3Cが目標とする位置で
実質的な停止状態となるときには、ロッド3Cは摺動変
位量の増大によって過敏に応答するから、偏差eの符号
は頻繁に変化すると共に、ロッド3Cは図9中の特性線
38に示す如く、一定寸法δに対応した変動周期T0 よ
りも小さい変動周期をもって目標とする位置付近を往復
動する。これにより、スプール13が常時スプール摺動
穴7A内を往復動するハンチングが発生し、油圧シリン
ダ3やスプール弁6に振動が発生するとと共に、コイル
部16Bが加熱されることにより、電磁アクチュエータ
16の故障原因となり、過剰な電力消費を招き制御弁機
構5の作動効率を低下させる。また、ロッド3Cの摺動
変位量の増加分に応じて矢示A,B方向への微小摺動量
が増加し、ロッド3Cの目標値に対する安定性が低下す
る。
【0087】このため、本実施例では、製造誤差等によ
って不感帯補償を安定して行うことができない場合に
は、図9に示す変動周期Tと補正係数Kb との関係から
補償演算装置22の係数設定回路23Aによって補正係
数Kb を増減させ、補正係数Kb を不感帯の一定寸法δ
に対応する範囲(Kb1≦Kb ≦Kb2)内に収めるように
設定している。以下、補償演算装置22の作動について
図10および図11を参照しつつ説明する。
【0088】図10は、補正係数Kb が補正係数の最小
値Kb1よりも小さい場合におけるロッド3Cの位置、補
償演算値u3 と時間との関係を示している。
【0089】まず、油圧シリンダ3が非過渡状態になる
と、ロッド3Cは変動周期Tをもって目標値rを中心に
矢示A,B方向に摺動変位し、偏差eも変動周期Tに従
って正の値と負の値とに変化する。このとき、補償演算
値u3 の絶対値である補正係数Kb が一定寸法δに対応
した補正係数の最小値Kb1よりも小さいから、油圧ポン
プ1からの圧油の供給量が偏差eに対応した量よりも少
なく、ロッド3Cの応答性が低下し、変動周期Tは適正
な変動周期の最大値T1 よりも大きい値となる。
【0090】このため、係数設定回路23Aは変動周期
Tに基づき補正係数Kb を徐々に増加させる。これによ
り、変動周期Tは徐々に減少し、補正係数Kb が補正係
数の最小値Kb1以上の値に達すると、変動周期Tは適正
な変動周期の最大値T1 以下になると共に、ロッド3C
の摺動変位量が低下し、ロッド3Cは目標値r付近で微
小な摺動変位を繰返す実質的な停止状態となる。
【0091】次に、図11は補正係数Kb が補正係数の
最大値Kb2よりも大きい場合におけるロッド3Cの位
置、補償演算値u3 と時間との関係を示している。
【0092】まず、油圧シリンダ3が非過渡状態になる
と、ロッド3Cは変動周期Tをもって目標値rを中心に
矢示A,B方向に摺動変位し、偏差eも変動周期Tに従
って正の値と負の値とに変化する。このとき、補償演算
値u3 の絶対値である補正係数Kb が一定寸法δに対応
した補正係数の最大値Kb2よりも小さいから、油圧ポン
プ1からの圧油の供給量が偏差eに対応した量よりも多
く、ロッド3Cが過敏に応答すると共に、変動周期Tは
適正な変動周期の最小値T2 よりも小さい値となってハ
ンチングが生じる。
【0093】このため、係数設定回路23Aは変動周期
Tに基づき補正係数Kb を徐々に減少させる。これによ
り、変動周期Tは徐々に増加し、補正係数Kb が補正係
数の最大値Kb2以上の値に達すると、変動周期Tは適正
な変動周期の最大値T2 以上になり、ハンチングが低減
すると共に、ロッド3Cの摺動変位量が低下し、ロッド
3Cは目標値r付近で微小な摺動変位を繰返す実質的な
停止状態となる。
【0094】かくして、本実施例によれば、スプール弁
6を制御するコントロールユニット17内に比例演算回
路19、積分演算回路20、変動周期算出回路21、補
償演算装置22を設けたから、比例演算回路19によっ
て偏差eに対応してスプール13を摺動変位させ、積分
演算回路20によってスプール弁6に生じる戻り位置の
ずれΔ2 を補償できると共に、補償演算装置22によっ
て変動周期算出回路21からの変動周期Tに基づき補償
演算値u3 を可変に設定し、補償演算値u3 を不感帯の
一定寸法δに応じて変化させ、スプール弁6の不感帯補
償を行うことができる。
【0095】そして、出力信号設定回路26は比例演算
値u1 、積分演算値u2 および補償演算値u3 に基づき
電磁アクチュエータ16にPWM信号を出力するから、
油圧シリンダ3のロッド3Cを目標とする位置まで速や
かに移動させ、油圧シリンダ3のハンチングを低減でき
ると共に、油圧シリンダ3を速やかに実質的な停止状態
にすることができ、油圧シリンダ3の制御応答性を高め
ることができ、フィードバック制御の信頼性や安定性を
向上できる。
【0096】また、補償演算装置22を係数設定回路2
3Aと補償演算回路23Bとから構成したから、係数設
定回路23Aによって変動周期算出回路21からの偏差
eの変動周期Tに応じて不感帯補償用の補正係数Kb を
増減させ、補正係数Kb を不感帯の一定寸法δに対応し
た数値に設定することができ、補償演算回路23Bは前
記補正係数Kb に基づき補償演算値u3 を出力でき、ロ
ッド3Cが目標値に到達するまでの時間を短縮できると
共に、油圧シリンダ3のハンチングを低減でき、ロッド
3Cを目標値rで速やかに実質的な停止状態にすること
ができる。
【0097】さらに、補償演算装置22は過渡状態判定
回路25の判別結果に基づき係数設定回路23Aによる
補正係数Kb を増減させると共に、補償演算回路23B
から補償演算値u3 を出力する構成としたから、スプー
ル13が不感帯域を越えて摺動変位する過渡状態のとき
には補正係数Kb を保持し、油圧シリンダ3のロッド3
Cを目標とする位置へと速やかに移動させることができ
ると共に、スプール13が不感帯域で往復動する非過渡
状態のときには変動周期Tに基づき補正係数Kb を不感
帯の一定寸法δに対応する数値に設定することができ、
ロッド3Cを目標とする位置で速やかに実質的な停止状
態にできる。
【0098】次に、図12ないし図16は本発明の第2
の実施例を示し、本実施例の特徴は、アクチュエータ制
御装置を内燃機関としての自動車用エンジンのバルブタ
イミング制御装置に適用したことにある。なお、本実施
例では前記第1の実施例と同一の構成要素に同一の符号
を付し、その説明を省略するものとする。
【0099】図中、51は内燃機関のエンジン本体(図
示せず)に設けられた出力軸としてのクランクシャフト
を示し、該クランクシャフト51には小径プーリ51A
が設けられると共に、該小径プーリ51Aにはタイミン
グベルト52が巻回されている。そして、タイミングベ
ルト52はドライブシャフト53の大径プーリ53Aに
も巻回され、クランクシャフト51が2回転する間にド
ライブシャフト53が1回転する構成となっている。ま
た、クランクシャフト51には、その回転位相αを検出
するために後述のクランク角センサ63が設けられてい
る。
【0100】54はエンジンの各気筒に設けられた吸気
バルブ(図示せず)を開,閉させるためのカムシャフト
で、該カムシャフト54は後述の偏心ディスク59等を
介してドライブシャフト53に連結され、ドライブシャ
フト53と共に前記エンジン本体側に中心O1 −O1 周
囲で回転可能に設けられている。そして、カムシャフト
54はドライブシャフト53と共にクランクシャフト5
1により回転駆動され、その回転位相βが各気筒の吸気
行程に応じて定まる所定の回転位相となったときに、カ
ム54A,54A,…によって前記各吸気バルブをそれ
ぞれ開,閉させる。
【0101】55はドライブシャフト53を偏心ディス
ク59に連結する連結アームで、該連結アーム55はド
ライブシャフト53の他端側に設けられ、ドライブシャ
フト53と一体的に回転する。また、連結アーム55に
は径方向に延びる係合溝55Aが形成され、該係合溝5
5Aには偏心ディスク59の係合ピン59Aが係合され
ている。
【0102】56はカムシャフト54の一端側に設けら
れた他の連結アームで該連結アーム56には径方向に延
びる係合溝56Aが形成され、該係合溝56Aには偏心
ディスク59の係合ピン59Bが係合されている。
【0103】57は前記各吸気バルブの開,閉タイミン
グを変化させる回転位相可変手段としての偏心機構を示
し、該偏心機構57は後述のディスクホルダ58、偏心
ディスク59およびコントロールシャフト60と、前記
第1の実施例で述べたような油圧シリンダ3等のリニア
型のアクチュエータ62とから構成されている。
【0104】そして、偏心機構57は偏心ディスク59
の中心O2 −O2 をカムシャフト54の中心O1 −O1
に対して偏心量εだけ偏心させることにより、該カムシ
ャフト54の回転位相βを図15に示す如く、クランク
シャフト51の回転位相αに対して相対変化させ、これ
らの回転位相α,βの間に後述の数1による位相差Φを
生じさせる。
【0105】58は偏心ディスク59が回転可能に収容
されるディスクホルダで、該ディスクホルダ58は図1
3に示す如く、一端側がエンジン本体側に固定ピン58
Aを介して揺動可能に取付けられた環状部58Bと、該
環状部58Bの他端側に一体形成された一対の係合爪5
8C,58Cとから構成されている。
【0106】59はドライブシャフト53をカムシャフ
ト54に連結する偏心ディスクを示し、該偏心ディスク
59は一側面に突出形成された係合ピン59Aと、他側
面に突出形成された係合ピン59Bとを有し、該係合ピ
ン59A,59Bは図14に示すように偏心ディスク5
9の中心O2 −O2 を挟んで互いに径方向で対向する位
置に配設されている。
【0107】また、偏心ディスク59はディスクホルダ
58の環状部58B内に中心O2 −O2 の周囲で回転可
能となるように収容され、係合ピン59A,59Bが連
結アーム55,56の係合溝55A,56A内に摺動可
能に係合されている。これにより、ドライブシャフト5
3とカムシャフト54とは、連結アーム55,56およ
び偏心ディスク59を介して互いに連結され、この状態
で偏心ディスク59は連結アーム55,56の間でカム
シャフト54(ドライブシャフト53)の径方向に相対
変位可能となっている。
【0108】60は偏心ディスク59を偏心させるため
のコントロールシャフトで、該コントロールシャフト6
0はエンジン本体側に軸線O3 −O3 を中心として回転
可能に設けられ、コントロールシャフト60の一端側に
は円形のカム60Aが偏心して設けられている。そし
て、カム60Aはディスクホルダ58の各係合爪58C
間に摺動可能に配設され、コントロールシャフト60は
連結アーム61を介してアクチュエータ62に連結され
ている。
【0109】61はコントロールシャフト60をアクチ
ュエータ62のロッド62Aに連結する連結アームで、
該連結アーム61はコントロールシャフト60の他端側
に設けられ、コントロールシャフト60と一体的に回転
する。また、連結アーム61には径方向に延びる係合溝
61Aが形成され、該係合溝61Aにはロッド62Aの
係合ピン62Bが係合されている。
【0110】62はコントロールシャフト60を回動さ
せるリニア型のアクチュエータを示し、該アクチュエー
タ62は、例えば前記第1の実施例で述べた油圧シリン
ダ3等によって構成されている。そして、アクチュエー
タ62にはスプール弁6等を介して圧油が給排され、こ
れによってロッド62Aを矢示E方向に進退させる。
【0111】また、ロッド62Aには係合ピン62Bが
突出して設けられ、該係合ピン62Bは連結アーム61
の係合溝61A内に摺動可能に係合されている。そし
て、前記コントロールシャフト60は、アクチュエータ
62のロッド62Aが矢示E方向に摺動変位することに
よって回動されると共に、コントロールシャフト60は
カム60Aを介してディスクホルダ58を偏心ディスク
59と共に固定ピン58Aを中心にして矢示F方向に揺
動させる。
【0112】63はカム位置センサ64と共に作動検出
手段を構成するクランク角センサを示し、該クランク角
センサ63はクランクシャフト51の回転位相αが所定
の回転位相となったときにこれを検出し、図16に示す
ように基準信号S1 を出力する。
【0113】64はカムシャフト54側に設けられたカ
ム位置センサで、該カム位置センサ64はカムシャフト
54の回転位相βが所定の回転位相となったときにこれ
を検出し、図16に示すように基準信号S2 を出力す
る。
【0114】ここで、クランク角センサ63とカム位置
センサ64とはカムシャフト54が1回転する間に1回
だけ基準信号S1 ,S2 を出力するように構成されてい
る。そして、偏心機構57によりクランクシャフト51
とカムシャフト54との間に位相差Φが生じると、カム
位置センサ64に基準信号S1 が図16中にS2 ′とし
て示す如く、クランク角センサ63の基準信号S1 に同
期した位置から位相差Φ分だけ相対変位することによ
り、基準信号S1 ,S2 ′の間の時間ΔTとエンジン回
転数Nに基づいて位相差Φを
【0115】
【数1】Φ=k×ΔT×N として、検出する(但し、kは定数)。
【0116】一方、クランク角センサ63とカム位置セ
ンサ64とは、前記第1の実施例で述べたコントロール
ユニット17と同様のコントロールユニット(図示せ
ず)に接続されている。そして、コントロールユニット
では基準信号S1 ,S2 ′間の時間ΔTを計時すること
により数1の式に基づいて位相差Φを検出し、この検出
値に基づいてコントロールシャフト60の回動角θ(図
14参照)を算出する。
【0117】また、コントロールユニットにはエンジン
の回転数N等により最適なバルブタイミングを算出する
目標値設定手段としての目標値設定器(図示せず)が接
続され、該目標値設定器は最適なバルブタイミングに対
応したコントロールシャフト60の回動角を目標値とし
てコントロールユニットに出力する。これにより、コン
トロールユニットは、目標値設定器から出力される目標
値に、コントロールシャフト60の回動角θとが一致す
るようにアクチュエータ62を作動させ、コントロール
シャフト60の回動角θをフィードバック制御する。
【0118】本実施例によるアクチュエータ制御装置は
上述の如き構成を有するもので、次に、該アクチュエー
タ制御装置を適用した自動車用エンジンのバルブタイミ
ング制御装置の作動について説明する。
【0119】まず、エンジンによりクランクシャフト5
1が回転駆動されると、この回転駆動力はタイミングベ
ルト52を介してドライブシャフト53に伝達され、連
結アーム55と偏心ディスク59はディスクホルダ58
内で図14中の矢示G方向に回転し、この回転駆動力は
偏心ディスク59の係合ピン59Bと連結アーム56と
を介してカムシャフト54に伝達されると共に、カムシ
ャフト54はその回転位相βが所定の回転位相となった
ときに前記各吸気バルブを開,閉させる。
【0120】そして、吸気バルブの開閉タイミングを変
えるときには、目標値設定器(図示せず)から最適なバ
ルブタイミングに対応したコントロールシャフト60の
回動角を目標値としてコントロールユニットに出力す
る。これにより、コントロールユニットは、目標値設定
器から出力される目標値にコントロールシャフト60の
回動角θが一致するように、図13に示す如くアクチュ
エータ62の矢示E方向にロッド62Aを進退させる。
このとき、ロッド62Aに連結アーム61等を介して係
合するコントロールシャフト60は矢示F方向に回動
し、図14に示す如く偏心ディスク59が連結アーム5
5,56間でカムシャフト54の径方向に相対変位する
と共に、その中心O2 −O2 がカムシャフト54の中心
O1 −O1 から偏心量εだけ偏心する。
【0121】この結果、カムシャフト54の回転位相β
とクランクシャフト51の回転位相αとの間には位相差
Φが生じ、カムシャフト54により開閉される吸気バル
ブの開閉タイミングが位相差Φに応じて変化するから、
この位相差Φを所望の値に変えることによって、吸気バ
ルブの開閉タイミングを適切に制御できる。
【0122】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得るこ
とができるが、特に本実施例では、アクチュエータ62
によってバルブタイミングを可変に制御する構成とした
から、周囲温度の変化等によってアクチュエータ62の
戻り位置または中立位置にずれが生じた場合でもバルブ
タイミングを安定して制御することができる。
【0123】また、アクチュエータ62をより速やかに
目標となる位置まで移動させ、アクチュエータ62のハ
ンチングを低減することができるから、コントロールシ
ャフト60等に振動等が発生するのを防止でき、クラン
クシャフト51とカムシャフト54との間に生じる位相
差Φを高い応答性をもって制御でき、エンジンの運転状
態に対応した最適な状態でエンジンを駆動することがで
きると共に、適切な吸気や排気が行われ、エンジンの運
転性能が向上できる。
【0124】なお、前記各実施例では、スプール13を
比例ソレノイド等の電磁アクチュエータ16によって摺
動変位させるものとしたが、本発明はこれに限らす、比
例ソレノイドに代わってリニア型のステッピングモータ
を用いてもよい。
【0125】また、前記各実施例では、目標値が変更さ
れてから予め決められた一定時間を過渡時間とする構成
としたが、前記過渡時間は目標値が変更されてから偏差
の変動周期が一定の周期よりも短くなるまでの時間とし
て可変に設定されるものとしてもよい。
【0126】また、前記各実施例では、変動周期を偏差
が正の値となっている半周期と負の値となっている半周
期との和として補正係数を増減させる構成としたが、前
記各半周期に基づき補正係数を増減させる構成としても
よく、変動周期は補償演算値によって計測するものとし
てもよい。
【0127】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1の発明によ
れば、制御弁機構を制御する弁制御手段に変動周期算出
手段、比例演算手段、積分演算手段および補償演算手段
を設けたから、変動周期算出手段によって偏差の変動周
期を算出し、比例演算手段によって偏差に比例してアク
チュエータに供給する液体の流量を演算し、積分演算手
段によって制御弁機構に生じる戻り位置のずれを補償で
きると共に、補償演算手段によって変動周期算出手段か
らの変動周期に基づき演算値を可変に設定し、該演算値
を不感帯の幅寸法に応じて変化させつつ、制御弁機構の
不感帯補償を行うことができる。そして、出力信号設定
手段では前記比例演算手段、積分演算手段および補償演
算手段のそれぞれの演算値に基づいた制御信号を設定す
ることにより、制御弁機構等に経時変化や製造公差が生
じた場合でも、アクチュエータを目標とする位置まで速
やかに移動させ、制御応答性を高めることができると共
に、アクチュエータを目標とする位置へと早期に近付け
てアクチュエータのハンチングを効果的に低減でき、フ
ィードバック制御の信頼性や安定性を向上させることが
できる。
【0128】また、請求項2の発明によれば、アクチュ
エータによってバルブタイミングを可変に制御する構成
としたから、周囲の温度変化や不感帯の幅寸法に製造誤
差が生じた場合でもアクチュエータを目標とする位置ま
で速やかに移動させ、アクチュエータのハンチングを低
減でき、クランクシャフトとカムシャフトとの位相差を
高い応答性をもって制御することができる。そして、エ
ンジンの運転状態に対応した最適な状態でエンジンを駆
動することができ、適切な吸気や排気が行われ、エンジ
ンの運転性能が向上できる。
【0129】また、請求項3の発明によれば、補償演算
手段を偏差の変動周期に応じて不感帯補償用の補正係数
を増減させる係数設定回路と補正係数に基づく演算値を
出力する補償演算回路とから構成したから、補正係数を
不感帯の幅寸法に対応した数値に設定することができ、
アクチュエータを目標とする位置まで速やかに移動さ
せ、アクチュエータのハンチングを低減することができ
ると共に、アクチュエータを速やかに実質的な停止状態
にできる。
【0130】さらに、請求項4の発明によれば、補償演
算手段を過渡状態判定手段の判別結果に基づき係数設定
回路による補正係数を増減させる構成としたから、弁体
が不感帯を越えて摺動変位する過渡状態のときには補正
係数を保持し、アクチュエータを目標とする位置へと速
やかに移動させることができると共に、弁体が不感帯付
近で往復動する非過渡状態のときには偏差が正の値と負
の値とに切換わる偏差の変動周期に基づき補正係数を不
感帯の幅に対応する数値に設定することができ、アクチ
ュエータのハンチングを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるアクチュエータ制
御装置の油圧シリンダおよび制御弁装置等を示す縦断面
図である。
【図2】弁ケーシングのポートとランドとの関係を示す
図1中の矢示II−II方向からみた拡大断面図である。
【図3】図1中に示すコントロールユニット等の制御ブ
ロック図である。
【図4】コントロールユニットによるスプール弁制御処
理を示す流れ図である。
【図5】図4中の補正係数設定処理を示す流れ図であ
る。
【図6】図5中の変動周期の計測処理を示す流れ図であ
る。
【図7】コントロールユニットから出力されるPWM信
号のデューティ比と流出入ポートの開度との関係を示す
特性線図である。
【図8】油圧シリンダをストロークさせるときの検出
値、比例演算値、積分演算値および補償演算値の変化特
性を示す特性線図である。
【図9】偏差の変動周期と不感帯補償用の補正係数との
関係を示す特性線図である。
【図10】不感帯補償が弱いときの検出値および補償演
算値の変化特性を示す特性線図である。
【図11】不感帯補償が強いときの検出値および補償演
算値の変化特性を示す特性線図である。
【図12】本発明の第2の実施例によるエンジンのバル
ブタイミング制御装置に設けるクランクシャフトおよび
カムシャフト等を示す一部破断の正面図である。
【図13】図12中のクランクシャフトおよびディスク
ホルダ等をアクチュエータと共に示す斜視図である。
【図14】偏心ディスクをコントロールシャフト等と共
に示す図12中の矢示 XIV−XIV方向からみた断面図で
ある。
【図15】クランクシャフト、カムシャフト、クランク
角センサおよびカム位置センサ等を示す図12中の矢示
XV−XV方向からみた断面図である。
【図16】クランク角センサおよびカム位置センサから
出力される基準信号を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 油圧ポンプ 2 タンク 3 油圧シリンダ(アクチュエータ) 3C ロッド 5 制御弁装置(制御弁機構) 13 スプール(弁体) 16 電磁アクチュエータ(スプール駆動手段) 17 コントロールユニット(弁制御手段) 18 偏差演算回路(偏差演算手段) 19 比例演算回路(比例演算手段) 20 積分演算回路(積分演算手段) 21 変動周期算出回路(変動周期算出手段) 22 補償演算装置(補償演算手段) 23A 係数設定回路 23B 補償演算回路 25 過渡状態判定回路(過渡状態判定手段) 26 出力信号設定回路(出力信号設定手段) 29 目標値設定器(目標値設定手段) 30 位置検出センサ(作動検出手段) 51 クランクシャフト 54 カムシャフト 57 偏心機構(回転位相可変手段) 62 アクチュエータ 63 クランク角センサ 64 カム位置センサ r 目標値 y 検出値 e 偏差 T 変動周期

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液圧源から給排される液圧によって駆動
    制御されるアクチュエータと、 該アクチュエータと前記液圧源との間に配設され、常時
    は弁体を一定幅の不感帯をもって中立位置に保持し、前
    記液圧源からアクチュエータに液圧を給排するときには
    前記弁体を中立位置から摺動変位させる制御弁機構と、 前記アクチュエータを作動させるため、該制御弁機構の
    弁体を制御信号に応じて摺動変位させる弁制御手段とか
    らなるアクチュエータ制御装置において、 前記弁制御手段は、前記アクチュエータを作動させるた
    めの目標値を設定する目標値設定手段と、 前記アクチュエータの作動状態を検出する作動検出手段
    と、 前記目標値設定手段による目標値と該作動検出手段によ
    る検出値との偏差を演算する偏差演算手段と、 該偏差演算手段による偏差の変動周期を算出する変動周
    期算出手段と、 前記偏差演算手段からの偏差に対する比例演算を行う比
    例演算手段と、 前記偏差演算手段からの偏差に対する積分演算を行う積
    分演算手段と、 前記制御弁機構の不感帯補償を行うため、前記変動周期
    算出手段による偏差の変動周期に応じて演算値を可変に
    設定するように前記不感帯分を補償演算する補償演算手
    段と、 前記比例演算手段、積分演算手段および補償演算手段に
    よるそれぞれの演算値に基づいて前記制御弁機構に出力
    すべき制御信号を設定する出力信号設定手段とから構成
    したことを特徴とするアクチュエータ制御装置。
  2. 【請求項2】 液圧源から給排される液圧によって駆動
    制御されるアクチュエータと、 該アクチュエータと前記液圧源との間に配設され、常時
    は弁体を一定幅の不感帯をもって中立位置に保持し、前
    記液圧源からアクチュエータに液圧を給排するときには
    前記弁体を中立位置から摺動変位させる制御弁機構と、 前記アクチュエータを作動させるため、該制御弁機構の
    弁体を制御信号に応じて摺動変位させる弁制御手段とか
    らなるアクチュエータ制御装置において、 内燃機関のバルブタイミングを可変に制御するため前記
    アクチュエータによって駆動され、前記内燃機関のクラ
    ンクシャフトとカムシャフトとの回転位相に位相差を生
    じさせる回転位相可変手段を備え、 前記弁制御手段は、前記内燃機関のバルブタイミングが
    前記内燃機関の運転状態に対応したタイミングとなるよ
    うに、前記アクチュエータを作動させるための目標値を
    設定する目標値設定手段と、 前記クランクシャフトとカムシャフトとの位相差から前
    記アクチュエータの作動状態を検出する作動検出手段
    と、 前記目標値設定手段による目標値と該作動検出手段によ
    る検出値との偏差を演算する偏差演算手段と、 該偏差演算手段による偏差の変動周期を算出する変動周
    期算出手段と、 前記偏差演算手段からの偏差に対する比例演算を行う比
    例演算手段と、 前記偏差演算手段からの偏差に対する積分演算を行う積
    分演算手段と、 前記制御弁機構の不感帯補償を行うため、前記変動周期
    算出手段による偏差の変動周期に応じて演算値を可変に
    設定するように前記不感帯分を補償演算する補償演算手
    段と、 前記比例演算手段、積分演算手段および補償演算手段に
    よるそれぞれの演算値に基づいて前記制御弁機構に出力
    すべき制御信号を設定する出力信号設定手段とから構成
    したことを特徴とするアクチュエータ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記補償演算手段は、変動周期算出手段
    による偏差の変動周期に応じて不感帯補償用の補正係数
    を増減させる係数設定回路と、該係数設定回路による補
    正係数に基づいて前記演算値を出力する補償演算回路と
    から構成してなる請求項1または2に記載のアクチュエ
    ータ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記弁制御手段は、前記目標値設定手段
    による目標値に基づいて過渡状態の判別を行い、前記目
    標値が変更されたときには予め決められた過渡時間の間
    を過渡状態と判定し、これ以外のときには非過渡状態に
    あると判定する過渡状態判定手段を備え、前記補償演算
    手段は該過渡状態判定手段によって過渡状態にあると判
    定したときに前記係数設定回路による補正係数を一定値
    に保持し、非過渡状態にあると判定したときには前記係
    数設定回路による補正係数を前記偏差の変動周期に応じ
    て増減させる構成としてなる請求項3に記載のアクチュ
    エータ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8225763B2 (en) 2007-01-19 2012-07-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Hydraulic actuator control device and hydraulic actuator control method

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