JPH10259542A - 難燃性に優れた布帛 - Google Patents

難燃性に優れた布帛

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JPH10259542A
JPH10259542A JP9064437A JP6443797A JPH10259542A JP H10259542 A JPH10259542 A JP H10259542A JP 9064437 A JP9064437 A JP 9064437A JP 6443797 A JP6443797 A JP 6443797A JP H10259542 A JPH10259542 A JP H10259542A
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Masayuki Adachi
足立優之
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハロゲン含有繊維と、ポリエステル系繊維を複
合し、意匠性、コストに有利な汎用的な難燃性インテリ
ア繊維製品を可能とする布帛を提供する。 【解決手段】(A)ハロゲンを17〜70重量部、Sb
化合物を0.1重量部〜6重量部未満含み、分解開始温
度が240℃以上でかつ融解温度が240℃以下である
繊維65〜35重量部と(B)ポリエステル系繊維35
〜65重量部の合計が100重量部となるように複合し
てなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲンを含む重合体
よりなる繊維とポリエステル系繊維を複合した、高度な
難燃性を有するインテリア繊維製品を可能とする布帛に
関する。
【0003】
【従来の技術】近年、衣食住の安全性確保の要求が強ま
り難燃素材の必要性が高まってきている。その様な状況
の中、インテリア素材、特にカーテン分野において難燃
性以外の意匠性向上、コスト低減の要求が高まってい
る。
【0004】従来から、可燃性繊維と高度な難燃性を有
する難燃性繊維を複合して難燃性を維持する方法が試み
られており、特に、最も汎用的な繊維であるポリエステ
ル系繊維に高度な難燃性を有する繊維を複合することに
より、複合難燃繊維とすることは、コスト、意匠性、生
産性の面で非常に有利である。しかしながら、従来技術
のハロゲン含有繊維にSb化合物を大量に添加した繊維
とポリエステル繊維の複合化では、大量の難燃剤を添加
することから繊維に光沢を持たせることが困難であり意
匠性に制約を受けると共に、コスト面でも不利となり、
汎用的なインテリア素材として使いづらい面があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリエステ
ル系繊維と複合して、従来技術よりも意匠性、コストに
有利な汎用的な難燃性インテリア繊維製品を可能とする
布帛を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、Sb化合物を含
むハロゲン含有重合体よりなる繊維の分解開始温度と融
解温度を改良することで大量のSb化合物を添加するこ
となくハロゲン含有重合体よりなる繊維とポリエステル
系繊維の複合繊維で高い難燃性を有することができるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、(A)ハロゲンを17
〜70重量部、Sb化合物を0.1重量部〜6重量部未
満含み、分解開始温度が240℃以上でかつ融解温度が
240℃以下である繊維65〜35重量部と(B)ポリ
エステル系繊維35〜65重量部の合計が100重量部
となるように複合してなる難燃性に優れた布帛に関す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の(A)複合難燃繊維にお
けるハロゲンを含む重合体からなる繊維は、ハロゲンを
17〜70重量部、好ましくは、22 〜45重量部含
むものである。本発明に用いるハロゲンを17〜70重
量部含む繊維としては、たとえばハロゲンを含有する単
量体の重合体よりなる繊維、前記ハロゲンを含有する単
量体とハロゲンを含有しない単量体との共重合体よりな
る繊維、ハロゲンを含有する重合体とハロゲンを含有し
ない重合体とのポリマーブレンド物または後加工により
ハロゲンを導入したハロゲン含有重合体よりなる繊維、
一種以上のハロゲン含有重合体よりなる繊維と一種以上
のハロゲンを含有しない重合体よりなる繊維を複合した
複合体繊維、二種以上のハロゲン含有重合体よりなる繊
維を複合したハロゲン含有複合体繊維などがあげられる
が、これらに限定されるものではない。
【0009】前記共重合可能なビニル系単量体として
は、たとえばアクリル酸、そのエステル、メタクリル
酸、そのエステル、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸、その塩、メタクリ
ルスルホン酸、その塩、スチレンスルホン酸、その塩な
どがあげられ、それらの一種または二種以上が用いられ
うる。なお、前記(A)のハロゲン含有量が17重量部
未満では、繊維の難燃性が不十分となり最終製品である
布帛の難燃性を維持することが困難になり、また70重
量部を越えると、製造された繊維の物性(強度、耐熱性
など)、染色性、風合いなどの性能が十分でなくなり、
いずれも好ましくない。
【0010】(A)に0.1重量部〜6重量部未満含ま
れるSb化合物は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモ
ン、アンチモン酸、オキシ塩化アンチモンなどの無機ア
ンチモン化合物であり、それぞれ単独でも複数を混合せ
しめても良い。 Sb化合物が0.1重量部未満では、
複合繊維を難燃化することが困難となり、また6重量部
以上では、繊維の光沢がなくなり、コスト面でも不利と
なり、好ましくない。
【0011】(A)の分解開始温度が240℃以上とす
るためには、(A)を構成するハロゲン含有ビニル単量
体の熱安定性の高いものを選ぶのが好ましい。すなわ
ち、アクリロニトリル−ハロゲン含有単量体の共重合体
の場合、ハロゲン含有ビニル単量体として塩化ビニル単
量体を用いることにより分解開始温度を240℃以上と
することができる。この場合、塩化ビニリデン単量体を
用いると分解開始温度は、240℃以下となり不向きで
ある。
【0012】(A)の融解温度を240℃以下とするた
めには、(A)を構成する重合体の組成を選ぶのが好ま
しい。すなわち、アクリロニトリル−ハロゲン含有単量
体の共重合体の場合、アクリロニトリルの比率が高いほ
ど融解温度は高くなる。このため融解温度を240℃以
下とするためには、アクリロニトリルの重合体に占める
重量比率が65%以下とするのが好ましい。ただし、所
望とする熱分解温度、融解温度を得られれば、これら単
量体の構造による必要はない。
【0013】本発明に使用しうる(B)ポリエステル系
繊維としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分と
する一般的なポリエステル繊維であれば良く、レギュラ
ー糸および加工糸、新合繊など特殊な処理を施した加工
糸などが用いられうる。
【0014】本発明の布帛が優れた難燃性を持つ理由
は、Sb化合物を含みハロゲンを含む重合体からなる繊
維が、ポリエステルの溶融温度である240℃より高い
分解開始温度と240℃より低い溶融温度を持つことに
より、火源により加熱されポリエステルが溶融すると
き、 Sb化合物を含みハロゲンを含む重合体からなる
繊維が熱分解による炭化をする前に溶融してポリエステ
ルと一体化し、あたかも一つの難燃繊維素材となり、ポ
リエステルの燃焼を抑えることが可能となるためと推察
される。
【0015】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例の記載に先立って、各種特性の評
価方法を示す。
【0016】(1)分解開始温度の測定 分解開始温度を測定する方法は、セイコウ電子社製TG
/DTA220(接続ステーションSSC500H)熱
分析装置を用いた。測定試料は繊維を細かくカットした
ものを用い、測定重量約2mg、昇温速度10℃/mi
n、雰囲気Air10ml/minの条件で測定を行っ
た。分解開始温度の決定は、JIS−K7120法によ
り行った。
【0017】(2)融解温度の定義 一定の荷重で繊維に張力を与え加熱したとき、収縮が起
こり、その後溶融による伸長が生じる。この伸長が開始
する温度を融解温度とした。融解温度は、繊維の太さ、
荷重の重さ、加熱速度に影響を受けるため、メートル番
手17番手の紡績糸に対して、300mgの荷重とし、
加熱速度は100℃/minとした。
【0018】(3)融解温度の測定 熱収縮率を測定する方法は、セイコウ電子社製TMA/
SS150C(接続ステーションSSC500H)熱分
析装置を用いた。測定する試料の形態は、メートル番手
17番手の紡績糸を用い、試長5mm、荷重300mg
とし、加熱速度100℃/min、雰囲気Air10m
l/minの条件で測定を行った。
【0019】(4)難燃性 難燃性の評価方法は、消防検定法45°タルマセ法60
秒加熱法に基づき実施した。また、織布の洗濯は、行わ
なかった。織布の燃焼方向は、経緯裏表の4方向からと
し、その炭化長の全平均値で比較した。炭化長が短いほ
ど難燃性は高いといえる。ただし、経緯裏表4方向から
の燃焼試験で、一枚でも全焼(織布を支持している枠ま
で炎が達したもの)が発生した織布については平均値を
とることができないため全焼とした。
【0020】実施例1および比較例1 <実施例1>アクリロニトリル49.5部、塩化ビニル
49.5部、スチレンスルホン酸ソーダ1.0部からな
り、シクロヘキサノン0.2重量%溶液での比粘度0.
16のハロゲン含有共重合体をアセトンに重合体濃度2
7%になるように溶解した。得られた重合体溶液中の重
合体に対し3重量部の三酸化アンチモンを加え紡糸原液
とした。該紡糸原液を口径0.08ミリ、ホール数30
0ホールのノズルを用い、30%アセトン水溶液に押し
出し、水洗、乾燥工程の後、120℃で3倍に延伸し、
150℃で5分間熱処理を行い、紡績用仕上げ油剤を添
付、クリンプを付け、51ミリのカット長にカットし
た。得られた繊維のハロゲン含有量は、27.2%であ
った。該繊維をメートル番手17番手で紡績を行った。
得られた紡績糸の融解温度および分解温度を表1に示
す。
【0021】
【表1】
【0022】<比較例1>アクリロニトリル52.5
部、塩化ビニリデン46.5部、スチレンスルホン酸ソ
ーダ1.0部からなり、シクロヘキサノン0.2重量%
溶液での比粘度0.21のハロゲン含有共重合体をジメ
チルホルムアミドに重合体濃度30%になるように溶解
した。得られた重合体溶液中の重合体に対して3重量部
の三酸化アンチモンを添加し、紡糸原液とした。該紡糸
原液をノズル口径0.08mmおよび口数300ホール
のノズルを用い、30%のジメチルホルムアミド水溶液
中に押し出し、水洗したのち130℃で乾燥し、ついで
3倍に延伸してから、さらに150℃で5分加熱処理を
行い、紡績用仕上げ油剤を添付、クリンプを付け、51
ミリのカット長にカットした。得られた繊維のハロゲン
含有量は、33.0%であった。該ハロゲン含有繊維を
メートル番手17番手で紡績を行った。得られた紡績糸
の融解温度および分解温度を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】経糸にポリエステル150dウーリー糸1
30本/吋、緯糸に実施例1、比較例1で得られた紡績
糸40本/吋を用いた繻子織りの織布を作成した。ポリ
エステルの混率は48重量部、Sb化合物含有ハロゲン
重合体繊維の混率は、52重量部であった。得られた織
布の難燃性評価結果を表3に示す。
【0025】
【表3】
【0026】表3より明らかなように、実施例1の分解
開始温度が270℃と240℃より高く、融解温度が2
30℃と240℃より低い紡績糸を用いた場合、高い難
燃性を示すのに対し、比較例1の融解温度が230℃と
240℃よりも低いが分解開始温度が230℃と240
℃より低い紡績糸を用いた場合、全焼が発生する。
【0027】<実施例2、3>実施例1と同様のハロゲ
ン含有共重合体をアセトンに重合体濃度27%になるよ
うに溶解した。得られた重合体溶液中の重合体に対し
0.1重量部の三酸化アンチモンを加え紡糸原液とし
た。該紡糸原液を口径0.08ミリ、ホール数300ホ
ールのノズルを用い、30%アセトン水溶液に押し出
し、水洗、乾燥工程の後、120℃で3倍に延伸し、1
50℃で5分間熱処理を行い、紡績用仕上げ油剤を添
付、クリンプを付け、51ミリのカット長にカットし
た。得られた繊維のハロゲン含有量は28.1%であっ
た。該繊維をメートル番手17番手で紡績を行った。
(これを実施例2とする。) また、実施例1と同様のハロゲン含有共重合体をアセト
ンに重合体濃度27%になるように溶解し、得られた重
合体溶液中の重合体に対し5.9重量部の三酸化アンチ
モンを加え紡糸原液とした。該紡糸原液を口径0.08
ミリ、ホール数300ホールのノズルを用い、30%ア
セトン水溶液に押し出し、水洗、乾燥工程の後、120
℃で3倍に延伸し、150℃で5分間熱処理を行い、紡
績用仕上げ油剤を添付、クリンプを付け、51ミリのカ
ット長にカットした。得られた繊維のハロゲン含有量
は、26.5%であった。該繊維をメートル番手17番
手で紡績を行った。(これを実施例3とする。)
【0028】<比較例2、3>比較例1と同様のハロゲ
ン含有共重合体をジメチルホルムアミドに重合体濃度3
0%になるように溶解した。得られた重合体溶液中の重
合体に対して0.1重量部の三酸化アンチモンを添加
し、紡糸原液とした。該紡糸原液をノズル口径0.08
mmおよび口数300ホールのノズルを用い、30%の
ジメチルホルムアミド水溶液中に押し出し、水洗したの
ち130℃で乾燥し、ついで3倍に延伸してから、さら
に150℃で5分加熱処理を行い、紡績用仕上げ油剤を
添付、クリンプを付け、51ミリのカット長にカットし
た。得られた繊維のハロゲン含有量は、34.0%であ
った。ハロゲン含有繊維をメートル番手17番手で紡績
を行った。(これを比較例2とする) また、比較例1と同様のハロゲン含有共重合体をジメチ
ルホルムアミドに重合体濃度30%になるように溶解
し、得られた重合体溶液中の重合体に対して5.9重量
部の三酸化アンチモンを添加し、紡糸原液とした。該紡
糸原液をノズル口径0.08mmおよび口数300ホー
ルのノズルを用い、30%のジメチルホルムアミド水溶
液中に押し出し、水洗したのち130℃で乾燥し、つい
で3倍に延伸してから、さらに150℃で5分加熱処理
を行い、紡績用仕上げ油剤を添付、クリンプを付け、5
1ミリのカット長にカットした。得られた繊維のハロゲ
ン含有量は、32.1%であった。 該ハロゲン含有繊
維をメートル番手17番手で紡績を行った。(これを比
較例3とする) 各紡績糸の融解温度、分解開始温度と経糸ポリエステル
150dウーリー糸130本/吋、緯糸各紡績糸40本
/吋の繻子織りの織布での難燃性確認結果を表4に示
す。
【0029】
【表4】
【0030】難燃剤量が少ない実施例2に置いても実施
例1と同様に高い難燃性を有しているにもかかわらず、
分解開始温度が240℃より低い比較例2、3の織布
は、全焼が発生し、難燃性向上のため難燃剤を増やして
も難燃性向上を図ることができない。
【0031】
【発明の効果】本発明の難燃性に優れた布帛は、ポリエ
ステル系繊維と混ぜて、意匠性、コストに有利な汎用的
な難燃性インテリア繊維製品を可能とするものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ハロゲンを17〜70重量部、Sb
    化合物を0.1重量部〜6重量部未満含み、分解開始温
    度が240℃以上でかつ融解温度が240℃以下の繊維
    65〜35重量部と(B)ポリエステル系繊維35〜6
    5重量部の合計が100重量部となるように複合してな
    る難燃性に優れた布帛。
  2. 【請求項2】ハロゲン含有繊維(A)が、アクリロニト
    リル30〜70重量部、ハロゲン含有ビニル系重合体7
    0〜30重量部及びこれらと共重合可能なビニル系単量
    体0〜10重量部よりなる請求項1記載の難燃性に優れ
    た布帛。
  3. 【請求項3】ハロゲン含有繊維(A)が、アクリロニト
    リル30〜70重量部、塩化ビニル70〜30重量部及
    びこれらと共重合可能なビニル系単量体0〜10重量部
    よりなる請求項1記載の難燃性に優れた布帛。
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