JPH05148728A - 難燃繊維複合体 - Google Patents

難燃繊維複合体

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JPH05148728A
JPH05148728A JP3310872A JP31087291A JPH05148728A JP H05148728 A JPH05148728 A JP H05148728A JP 3310872 A JP3310872 A JP 3310872A JP 31087291 A JP31087291 A JP 31087291A JP H05148728 A JPH05148728 A JP H05148728A
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fiber
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retardant
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Takahiro Ogawa
孝裕 小川
Takaharu Matsumoto
隆治 松本
Noriyuki Yamada
紀之 山田
Takaharu Ichihori
敬治 市堀
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 風合や吸湿性などに優れ、実用的に高度の難
燃性を有する難燃繊維複合体をうる。 【構成】 ハロゲン原子を17〜86重量%含む重合体に、
Sb化合物と周期表IIB属の元素を有する水酸化物、 III
A属の元素を有する水酸化物、 IIIB属の元素を有する
水酸化物、IVB属の元素を有する水酸化物、VIB属の元
素を有する水酸化物、 VIIB属の元素を有する水酸化物
およびVIII属の元素を有する水酸化物よりなる群から選
ばれた少なくとも1種とからなる難燃剤を前記重合体に
対して合計6〜50重量%含有させた繊維85〜15重量部に
対して、天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種の繊維15〜85重量部を複合した難燃繊
維複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃剤で高度に難燃強
化されたハロゲン含有繊維と天然繊維および化学繊維の
少なくとも1種の繊維とを複合した難燃繊維複合体に関
する。さらに詳しくは、Sb化合物と特定の水酸化物の少
なくとも1種とからなる難燃剤を多量に含有せしめたハ
ロゲン含有繊維と、天然繊維および化学繊維の少なくと
も1種の他の繊維とを複合して、他の繊維のもつ風合や
吸湿性などの優れた特性を有し、かつ実用的に高度の難
燃性を有する難燃繊維複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インテリアのみならず、衣料や寝
具用繊維製品においても難燃化が強く要望され、しかも
難燃性以外の視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性な
どの性能に対する要望も強まってきている。
【0003】従来より繊維の難燃化に関する研究は、モ
ダアクリル系繊維やポリクラール系繊維を中心に、ポリ
エステル系繊維やビスコースレーヨン繊維など特定繊維
の単独物について主に行なわれており、1種の繊維の単
独物では難燃性能に優れたものもえられているが、消費
者のますます多様化し、高度化する要求にはほとんどこ
たえられていないのが現状である。したがって、必然的
に難燃性繊維と他の繊維との混綿、混紡、交織などが必
要となるが、2種以上の異種の繊維を混合した複合体に
対する難燃化の研究は数が少ない。
【0004】たとえば、含燐ポリエステル繊維とアクリ
ロニトリル系繊維との混合による複合体(特公昭52-216
12号公報)や、スズ酸およびアンチモン酸含有ポリクラ
ール繊維とポリエステル繊維、アクリル繊維、木綿など
とを混合した複合体繊維(特開昭53-6617 号公報)が有
効であるとの記載があるが、難燃性、風合、吸湿性など
の点で充分とはいいがたい。
【0005】そこで、本発明者らはすでに、消費者のま
すます多様化し、高度化する難燃性、視感、風合、吸湿
性、耐洗濯性、耐久性などに対する要求にこたえるた
め、特開昭61-89339号公報において難燃性繊維と難燃性
に劣る天然繊維または化学繊維との互いの長所を生かし
た難燃繊維複合体について提案している。
【0006】しかしながら、その難燃性は実用的には未
だ充分とはいえない。
【0007】すなわち、実用的な難燃性を評価する方法
として各種の燃焼試験が定められており、炭化長や炭化
面積あるいは残炎時間などの基本的な項目とともに、炎
が消えたあとの無炎燃焼(以下、残燼時間という)をも
含めた高度な難燃性を有することが要求される。
【0008】特開昭61-89339号公報における難燃繊維複
合体は、酸素指数(以下、LOI という)しか示されてい
ないだけでなくこれらの実用的な評価方法によると、基
本的な項目においては良好な難燃性を示すが、残燼時間
をも含めた高度な難燃性においていまだ充分とはいえな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のごと
き本発明者らの提案した難燃繊維複合体における、実用
的に充分高度な難燃性を有する難燃繊維複合体がえられ
ていないという問題を解決するためになされたものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、Sb化合物と特定の水酸
化物とからなる難燃剤を多量に含有したハロゲン含有重
合体よりなる繊維を他の可燃性繊維と混合して複合体に
すると、従来の難燃繊維複合体と比べて、実用的な難燃
性の低下の度合が極めて小さくなることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、ハロゲン原子を17〜
86%(重量%、以下同様)含む重合体に、Sb化合物と周
期表IIB属の元素を有する水酸化物、 IIIA属の元素を
有する水酸化物、 IIIB属の元素を有する水酸化物、IV
B属の元素を有する水酸化物、VIB属の元素を有する水
酸化物、 VIIB属の元素を有する水酸化物およびVIII属
の元素を有する水酸化物よりなる群から選ばれた少なく
とも1種とからなる難燃剤を前記重合体に対して合計6
〜50%含有させた繊維(以下、ハロゲン難燃剤含有繊維
ともいう)85〜15部(重量部、以下同様)に対して、天
然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくと
も1種の繊維(以下、他の繊維ともいう)15〜85部を複
合した難燃繊維複合体に関するものであって、実用的に
高度な難燃性を有し、かつ視感、風合、吸湿性、耐洗濯
性、耐久性などの消費者の多様化し、高度化した要求を
満足させるものである。
【0012】前記難燃繊維複合体とは、ハロゲン難燃剤
含有繊維と他の繊維とを混紡または混綿したもの、ハロ
ゲン難燃剤含有繊維と他の繊維とを交撚したもの、前記
混紡もしくは混綿したものを用いて製造した糸または前
記交撚したものを用いて製造した交織または交編したも
の、さらにはこれらの組合わせによってえられるものす
べてを含む概念である。
【0013】また、前記水酸化物とは、前述の金属また
は非金属の水和水酸化物、水和酸化物あるいはこれらの
中間のもの(水和オキシ水酸化物)などをいい、たとえ
ば一般式:M(OH)nまたはMmO・nH2 O(Mは
前述の金属または非金属の元素、m、nは整数)で表わ
されるようなものであり、陰性成分が水酸基である化合
物に限らない。
【0014】
【実施例】本発明においては、ハロゲン原子を17〜86
%、好ましくは17〜73%含む(共)重合体に、Sb化合物
と特定の水酸化物の少なくとも1種とからなる難燃剤を
該重合体に対して合計6〜50%含有させた繊維(ハロゲ
ン難燃剤含有繊維)が使用される。
【0015】本発明に用いるハロゲン原子を17〜86%含
む重合体としては、たとえばハロゲン含有単量体の重合
体、ハロゲン含有単量体を含有する単量体の共重合体、
ハロゲン原子を含有しない単量体からの重合体にハロゲ
ン含有化合物を添加した重合体、後加工によりハロゲン
原子を導入した重合体、これら重合体の混合物またはこ
れら重合体もしくはこれら重合体の混合物とハロゲン原
子を含有しない単量体からの重合体との混合物などがあ
げられる。これらのうちではハロゲン含有単量体の単独
重合体や共重合体が好ましい。
【0016】このような重合体の具体例としては、たと
えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビ
ニリデンなどのハロゲン含有単量体の単独重合体または
2種以上の共重合体、アクリロニトリル- 塩化ビニリデ
ン、アクリロニトリル- 塩化ビニル、アクリロニトリル
- 塩化ビニル- 塩化ビニリデン、アクリロニトリル-臭
化ビニル、アクリロニトリル- 塩化ビニリデン- 臭化ビ
ニル、アクリロニトリル- 塩化ビニル- 臭化ビニルなど
ハロゲン含有ビニル系単量体とアクリロニトリルとの共
重合体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭
化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル系単量体の1種
以上とアクリロニトリルおよびこれらと共重合可能なビ
ニル系単量体との共重合体、アクリロニトリル単独重合
体にハロゲン含有化合物(たとえばデカブロモジフェニ
ルオキサイドなど)を添加した重合体、ハロゲン含有ポ
リエステル、ポリ塩化ビニルなどとポリビニルアルコー
ルやポリアクリロニトリルとの混合物などがあげられる
が、これらに限定されるものではない。また前記単独重
合体や共重合体を適宜混合して使用してもよい。これら
のうちではアクリロニトリルを共重合したモダクリル重
合体が好ましい。
【0017】前記共重合可能なビニル系単量体として
は、繊維としての特性を改良するためのたとえばアクリ
ル酸やそのエステル、メタクリル酸やそのエステル、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニル
スルホン酸やその塩、メタクリルスルホン酸やその塩、
スチレンスルホン酸やその塩などのビニル系単量体が1
種または2種以上用いられうる。
【0018】前記ハロゲン原子を17〜86%含む重合体が
アクリロニトリル30〜70%、ハロゲン含有ビニル系単量
体70〜30%およびこれらと共重合可能なビニル系単量体
0〜10%からなる重合体のばあいには、えられる繊維が
所望の難燃性を有しつつアクリル繊維の風合を有するた
め好ましい。また共重合可能なビニル系単量体の少なく
とも1種がスルホン酸基含有ビニル系単量体のばあいに
は、染色性が向上するので好ましい。
【0019】なお、前記ハロゲン原子を17〜86%含む重
合体中のハロゲン含量が17%未満では、繊維を難燃化す
ることが困難となり、また86%をこえると、製造された
繊維の物性(強度、伸度、耐熱性など)、染色性、風合
などの性能が充分でなくなり、いずれも好ましくない。
【0020】本発明に用いるSb化合物は難燃剤として用
いられるものであり、その具体例としては酸化アンチモ
ン(Sb2 3 、Sb2 4 、Sb2 5 )、アンチモ
ン酸、オキシ塩化アンチモンなどの無機アンチモン化合
物があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】これらはSb化合物のみで用いると実用的に
高度な難燃性をうることができないため、周期表IIB属
の元素を有する水酸化物、 IIIA属の元素を有する水酸
化物、 IIIB属の元素を有する水酸化物、IVB属の元素
を有する水酸化物、VIB属の元素を有する水酸化物、 V
IIB属の元素を有する水酸化物およびVIII属の元素を有
する水酸化物の少なくとも1種以上と組合わせて用いら
れる。
【0022】前記Sb化合物と組合わせて用いられる周期
表IIB 族の元素を有する水酸化物の具体例としては、た
とえば水酸化亜鉛、 IIIA族の元素を有する水酸化物の
具体例としては、たとえば水酸化アルミニウム、 IIIB
族の元素を有する水酸化物の具体例としては、たとえば
水酸化ジルコニウム、VIB族の元素を有する水酸化物の
具体例としては、たとえば水酸化クロム、 VIIB族の元
素を有する水酸化物の具体例としては、たとえば水酸化
マンガン、VIII族の元素を有する水酸化物の具体例とし
ては、たとえば水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニッ
ケルなどがあげられる。これらのうちでは水酸化アルミ
ニウム、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウムが難燃性やそ
の他の品質、たとえば繊維の着色などを防止するという
点から好ましい。
【0023】ハロゲン原子を17〜86%含む重合体に対す
るSb化合物と特定の水酸化物の少なくとも1種の難燃剤
との合計の含有量は6〜50%、好ましくは8〜40%、さ
らに好ましくは8〜30%である。前記Sb化合物と特定の
水酸化物との合計の含有量が6%未満では、難燃繊維複
合体として必要な難燃性をうるために、ハロゲン難燃剤
含有繊維の複合体中における混合率を高める必要があ
る。このようにハロゲン難燃剤含有繊維の混合率を高め
ると、難燃繊維複合体の難燃性以外の、たとえば視感、
風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの性能がえられに
くくなる。一方、前記合計の含有量が50%をこえると、
繊維製造時のノズル詰まりや繊維物性(強度、伸度な
ど)の低下がおこり、高度に難燃強化した繊維の製造面
や品質面などで問題が生じ、好ましくない。
【0024】前記ハロゲン難燃剤含有繊維におけるSb化
合物と特定の酸化物との割合は、通常Sb化合物に対して
重量で特定の水酸化物1/5 〜5倍量、好ましくは1/3 〜
1倍量である。前記特定の水酸化物の割合が1/5 倍量未
満では残燼時間が増し、5倍量をこえると炭化長や炭化
面積あるいは残炎時間などの基本的な特性値が増加する
などSb化合物と特定の水酸化物を併用する効果が小さく
なり、実用的に好ましい難燃性をうることができなくな
る傾向が生ずる。
【0025】本発明においてはハロゲン難燃剤含有繊維
15〜85部に対して、天然繊維および化学繊維よりなる群
から選ばれた少なくとも1種の繊維85〜15部を複合した
難燃繊維複合体が製造される。
【0026】本発明におけるハロゲン難燃剤含有繊維と
天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なく
とも1種の繊維との使用割合は、最終製品に要求される
難燃性、視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの
性能により決定されるものである。なお、ハロゲン難燃
剤含有繊維の種類およびその構成割合、特定の水酸化物
の種類および添加量、混合する他の繊維の種類および組
合わせなどにより前記使用割合が決められる。
【0027】前記ハロゲン難燃剤含有繊維が15部未満、
すなわち混合する他の繊維の割合が85部をこえるばあい
には、難燃繊維複合体の難燃性が不足し、一方、ハロゲ
ン難燃剤含有繊維が85部をこえ、混合する他の繊維の割
合が15部未満のばあいには、難燃性は優れているが他の
視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの性能が充
分でなくなり、いずれも好ましくない。
【0028】本発明の難燃繊維複合体が所望の難燃性を
有し、しかも混合する天然繊維や化学繊維の特徴をはっ
きりとださせるためには、ハロゲン難燃剤含有繊維が85
〜20部で、混合する天然繊維や化学繊維の割合が15〜80
部であることがより好ましい。
【0029】本発明の難燃繊維複合体が優れた難燃性を
有する理由は、ハロゲン難燃剤含有繊維にガス型の難燃
効果を生ずるSb化合物が多量に混合されているため、不
燃性のハロゲン化水素、ハロゲン、ハロゲン化アンチモ
ンなどのガスを比較的低温で生成するととともに、該不
燃性の分解物が可燃性の繊維を被覆してしまうこと、お
よびSb化合物のみを使用したばあいの下記欠点が特定の
水酸化物の使用により解消されるためである。
【0030】前記Sb化合物のみを使用したばあいの欠点
とは、Sb化合物の反応と不燃性ガス生成が比較的低温で
おこるために、幾分かの可燃性成分が残り、高温の炎の
中にさらされると完全に消火せず、無炎燃焼するばあい
があることである。実用的燃焼試験などにおいて、残燼
といわれている現象である。
【0031】本発明では、特定の水酸化物をSb化合物と
併用することにより、この残燼の問題をも解決すること
ができ、実用的に高度な難燃性をうることが可能となっ
ている。これは、併用する特定の水酸化物の水を含む分
解ガスの発生や吸熱効果、反応温度、炭化型の難燃効果
などがSb化合物のばあいと異なっているために、これら
を併用することにより難燃性を互いに補完強化するため
と推察される。
【0032】前記天然繊維の具体例としては、たとえば
綿、麻などの植物繊維や、羊毛、らくだ毛、山羊毛、絹
などの動物繊維など、また化学繊維の具体例としては、
たとえばビスコースレーヨン繊維、キュプラ繊維などの
再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、あるいは
ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの
合成繊維などがあげられるが、これらに限定されるもの
ではない。これらのうちでは、天然繊維、再生繊維と複
合したばあいに顕著に難燃性を向上させうる。これらの
天然繊維や化学繊維は単独でハロゲン難燃剤含有繊維と
複合してもよく、2種以上で複合してもよい。
【0033】本発明に用いるハロゲン難燃剤含有繊維
は、無機金属化合物などの難燃剤を多量に含むものであ
るが、製造に際しては無機金属化合物などの難燃剤を振
動ミルなどで充分粉砕し、粒径を2μm以下に揃えるこ
とにより、ノズル詰まりや糸切れなどの紡糸上のトラブ
ルを起こすことなく、通常の紡糸方法で製造することが
できる。
【0034】難燃繊維複合体を製造する方法としては、
ハロゲン難燃剤含有繊維と他の繊維を単繊維の状態で混
綿したり、混紡したりしてもよく、それらの糸またはそ
れぞれの糸を交撚してもよく、あるいは前記糸の一部ま
たは全部の糸を長繊維にして交撚してもよく、それぞれ
の糸を製造したのち交織してもよく、紡績のときに固ま
りにしてスラブやネップにしたり、巻きつけたりしても
よい。
【0035】なお、本発明における難燃繊維複合体に
は、長繊維、短繊維のごときいわゆる繊維のみならず、
糸、織物、編物、不織布などのごとき繊維製品も含まれ
る。
【0036】本発明の難燃繊維複合体の難燃性が優れて
いることは、可燃性の天然繊維や化学繊維が複合体中に
局在しているほど、すなわち混紡より交撚、交織のもの
ほど、実用的に高度な難燃性をうることが難しいにもか
かわらず、本発明の難燃繊維複合体が交撚、交織のばあ
いにもその効果が顕著であることからも明らかである。
【0037】本発明の難燃繊維複合体には、必要に応じ
て帯電防止剤、熱着色防止剤、耐光性向上剤、白度向上
剤、失透性防止剤、Sb化合物および特定の水酸化物以外
の難燃剤などを含有せしめてもよいことは当然のことで
ある。
【0038】このようにしてえられる本発明の難燃繊維
複合体は、所望の実用的に高度な難燃性を有し、しかも
混合する他の繊維の視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐
久性などが良好であるという特性を有している。
【0039】以下、実施例をあげて本発明の難燃繊維複
合体をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例
のみに限定されるものではない。
【0040】実施例1 アクリロニトリル49.0%および塩化ビニル51.0%よりな
る共重合体をアセトンに樹脂濃度が27.0%になるように
溶解した。えられた樹脂溶液の一部をアセトンで3倍に
希釈した液に、三酸化アンチモンを固形分濃度が50%に
なるように加え、振動ミルを用いて分散させた。この分
散液を三酸化アンチモンが樹脂に対し20%になるように
前記樹脂溶液に添加混合し、同様に水酸化アルミニウム
を樹脂に対して10%となるように添加混合して、紡糸原
液を調製した。
【0041】えられた紡糸原液をノズル孔径0.08mmおよ
び孔数300 ホールのノズルを用い、30%アセトン水溶液
中へ押出し、水洗したのち120 ℃で乾燥し、ついで3倍
に熱延伸して、さらに140 ℃で5分間熱処理を行なうこ
とにより、ハロゲン難燃剤含有モダアクリル繊維をえ
た。
【0042】この繊維に油剤を付与し、捲縮し、切断し
たのち紡績して綿番手10/1の紡績糸をえた。
【0043】さらに製織、仕上げなどの工程を経て経糸
が木綿30/1、160 本/インチ、緯糸が該ハロゲン難燃剤
含有モダアクリル繊維10/1、65本/インチの織布(難燃
繊維複合体)をえた。えられた織布中における繊維の混
合割合は、ハロゲン難燃剤含有モダアクリル繊維が55
%、木綿が45%であった。
【0044】えられた織布の残燼時間(秒)、LOI 値お
よび易燃繊維(木綿)の特徴の有無を下記方法にしたが
って測定した。また、残燼時間測定時の残燼時間以外の
評価項目(残炎時間、炭化面積など)、LOI 値、燃焼状
態(炎の大きさが小さくて燃え拡がらないか)、燃焼後
のサンプルの状態(炭の硬さが硬くなっており燃え拡が
らないか)を含めて総合的に難燃性に優れたものを、
優、良、不良の3段階で評価した。
【0045】結果を表1に示す。
【0046】(残燼時間)JIS L 1091A-1 法に準じて測
定したときの最大残燼時間(秒)によって評価した。残
燼時間は小さいほど、難燃性が高い。
【0047】(LOI 値)難燃繊維と易燃繊維との複合体
のばあいには、複合体の組成に応じて混綿して測定され
る。
【0048】所定の割合で混綿した綿を2g取り、これ
を8等分して約6cmのコヨリを8本作って酸素指数試験
器のホルダーに直立させ、この試料が5cm燃え続けるの
に必要な最少酸素濃度を測定し、これをLOI 値とした。
なお、一般に繊維の難燃性は織物の状態で測定、評価さ
れているが、織物では糸の撚数、太さ、打込本数などに
より燃焼性に差を生じ、繊維複合体自体の実用的な燃焼
性を正しく評価しえないため、コヨリを用いたLOI 値を
難燃性評価の値として記載した。LOI 値が大きいほど燃
えにくく、難燃性が高い。
【0049】(易燃繊維の特徴の有無)繊維複合体が易
燃繊維(綿)の特徴(視感、風合、吸湿性など)を有す
るか否かについて目視、指触法による官能試験および重
量法による評価を行なった。○は易燃繊維(綿)として
の特徴を有する、×は有しないことを示す。
【0050】比較例1〜2 実施例1における三酸化アンチモン20%および水酸化ア
ルミニウム10%のかわりに、三酸化アンチモンを30%に
した繊維をえ、実施例1と同様にして織布をえ、評価し
た(比較例1)。
【0051】また、同様に水酸化アルミニウムを30%に
した繊維をえ、実施例1と同様にして織布をえ、評価し
た(比較例2)。
【0052】それらの結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1から、実施例1、比較例1〜2とも
に、木綿の混合割合が45%であり、木綿としての良好な
特徴をいずれも有しているが、難燃性において残燼、総
合判定ともに実施例1が優れた結果を示したのに対し
て、比較例1は残燼時間の点で劣り、比較例2は炭化長
が20cmをこえ全焼するなど基本的難燃性能の点において
はるかに劣っており、総合判定を不良とした。
【0055】実施例2〜4および比較例3〜5 実施例1と同様にアクリロニトリル49.5%、塩化ビニリ
デン50.5%よりなる共重合体に対して、三酸化アンチモ
ン15%と、特定の水酸化物として水酸化亜鉛6%(実施
例2)、水酸化アルミニウム6%(実施例3)または水
酸化ジルコニウム6%(実施例4)とをそれぞれ混合含
有させたハロゲン難燃剤含有モダクリル繊維をえた。
【0056】比較例のために三酸化アンチモンのみを21
%(比較例3)、三酸化アンチモン15%とメタスズ酸6
%(比較例4)、または三酸化アンチモン15%と酸化マ
グネシウム6%(比較例5)をそれぞれ含有したハロゲ
ン難燃剤含有モダクリル繊維をえた。
【0057】えられた繊維を用いてそれぞれ綿番手20/1
の紡績糸をえ、経糸が木綿30/1、130 本/インチ、緯糸
が前記紡績糸を90本/インチ打込んだ交織布をえた。
【0058】えられた織布を用いて実施例1と同様にし
て評価を行なった。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】表2から、実施例2〜4は、残燼時間、総
合判定がともに良好であるのに対して、比較例3〜5は
残燼時間が劣り、実用的に高度の難燃性を有していない
ことがわかる。
【0061】実施例5および比較例6 平均重合度1700、ケン化度99モル%のPVA を70℃で水に
溶解して16%のPVA 水溶液を調製し、これに濃度30%の
ポリ塩化ビニル(以下、PVC という)エマルジョンを加
え、さらに別途調製した50%濃度の三酸化アンチモンと
水酸化アルミニウムを含む水分散液を加えてよく攪拌
し、重量比でPVC :PVA :三酸化アンチモン:水酸化ア
ルミニウム=50:50:10:5となるように混合し、紡糸
原液を調製した。
【0062】えられた紡糸原液を湿式エマルジョン紡糸
法により45℃の飽和芒硝水溶液(350g/l)中に吐出し、
ついで95℃の飽和芒硝水溶液中で熱処理して水洗したの
ち、乾燥、延伸、熱処理を行なった。
【0063】えられた繊維をさらに70℃のアセタール化
浴中でアセタール化したのち、炭酸ナトリウム水溶液で
中和、水洗、乾燥を行ない、重量比でPVC :部分アセタ
ール化PVA :三酸化アンチモン:水酸化アルミニウム=
49:51:10:5の2dの高度に難燃性を付与したハロゲ
ン難燃剤含有ポリクラール繊維をえた。
【0064】えられた繊維60部と綿40部とを混紡し、経
糸用30/1、緯糸用20/1の糸をえて経糸80本/インチ、緯
糸60本/インチの織布をえた(実施例5)。
【0065】一方、三酸化アンチモンのみを前記樹脂に
対し15%添加したものを同様に紡糸し、重量比でPVC :
部分アセタール化PVA :三酸化アンチモン=49:51:15
の2dのポリクラール繊維を比較のために製造し、同様
の混綿比率と織規格により織布をえて評価した(比較例
6)。
【0066】結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】表3から、実施例5は、残燼時間、総合判
定がともに優れているのに対して、比較例5は残燼時間
が劣っていることがわかる。
【0069】実施例6〜7および比較例7〜8 アクリロニトリル48%および塩化ビニル52%よりなる共
重合体に対して、五酸化アンチモン8%および水酸化ア
ルミニウム7%を含有した1.5dのハロゲン難燃剤含有モ
ダクリル繊維をえた。これを常法により綿番手10/1の紡
績糸とし、経糸がビスコースレーヨンフィラメント75d/
2 、100 本/インチ、緯糸が前記紡績糸、35本/インチ
の織布をえた(実施例6)。
【0070】また、経糸をキュプラフィラメントとした
他は前記と同様にして織布をえた(実施例7)。
【0071】実施例6、7の緯糸のかわりにそれぞれ五
酸化アンチモン15%を含有したモダクリル繊維にしたも
のを比較例7、8として製造した。
【0072】えられた4種の織布について実施例1と同
様にして評価した。結果を表4に示す。
【0073】
【表4】
【0074】表4から、実施例6、7は比較例7、8と
比較して残燼時間、総合評価ともに優れていることがわ
かる。
【0075】実施例8〜11および比較例9〜10 実施例1と同組成のハロゲン難燃剤含有モダクリル繊維
と木綿との混合比率を表5に示すように変えた混紡糸を
えた。これらの糸をそれぞれ緯糸30/1、80本/インチ、
経糸20/1、60本/インチとして用い、織布をえ、実施例
1と同様にして評価した。結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】表5から、比較例9は難燃性において優れ
ているが、木綿の特徴である風合、吸湿性などの長所を
複合体に与えることができない。また比較例10は燃焼試
験において全焼してしまうなど、難燃性の総合評価で劣
る。
【0078】一方、実施例8〜11は実用的に高度な難燃
性に優れ、木綿としての特徴を有することがわかる。
【0079】
【発明の効果】本発明の難燃繊維複合体は、風合や吸湿
性などに優れ、かつ実用的に高度の難燃性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04B 1/14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン原子を17〜86重量%含む重合体
    に、Sb化合物と周期表IIB属の元素を有する水酸化物、
    IIIA属の元素を有する水酸化物、 IIIB属の元素を有
    する水酸化物、IVB属の元素を有する水酸化物、VIB属
    の元素を有する水酸化物、 VIIB属の元素を有する水酸
    化物およびVIII属の元素を有する水酸化物よりなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種とからなる難燃剤を前記重合
    体に対して合計6〜50重量%含有させた繊維85〜15重量
    部に対して、天然繊維および化学繊維よりなる群から選
    ばれた少なくとも1種の繊維15〜85重量部を複合した難
    燃繊維複合体。
  2. 【請求項2】 前記Sb化合物とともに使用される水酸化
    物が、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウムおよび水酸化ジ
    ルコニウムから選ばれた少なくとも1種である請求項1
    記載の難燃繊維複合体。
  3. 【請求項3】 前記Sb化合物とともに使用される水酸化
    物の量が、Sb化合物の重量の1/5 〜5倍量である請求項
    1記載の難燃繊維複合体。
  4. 【請求項4】 前記ハロゲン原子を17〜86重量%含む重
    合体が、アクリロニトリル30〜70重量%、ハロゲン含有
    ビニル系単量体70〜30重量%およびこれらと共重合可能
    なビニル系単量体0〜10重量%よりなる共重合体である
    請求項1記載の難燃繊維複合体。
  5. 【請求項5】 前記共重合可能なビニル系単量体の少な
    くとも1種がスルホン酸基含有ビニル系単量体である請
    求項4記載の難燃繊維複合体。
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EP1798318A1 (en) * 2004-10-08 2007-06-20 Kaneka Corporation Flame-retardant synthetic fiber, flame-retardant fiber composite, and upholstered furniture product made with the same

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