JPH10258624A - サスペンション装置 - Google Patents

サスペンション装置

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JPH10258624A
JPH10258624A JP8567197A JP8567197A JPH10258624A JP H10258624 A JPH10258624 A JP H10258624A JP 8567197 A JP8567197 A JP 8567197A JP 8567197 A JP8567197 A JP 8567197A JP H10258624 A JPH10258624 A JP H10258624A
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JP
Japan
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frequency signal
damping force
valve
contraction
extension
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JP8567197A
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Inventor
Takashi Nezu
隆 根津
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Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好なばね下制振性及び車体の制振性を共に
得ることができるコンパクトなサスペンション装置を提
供する。 【解決手段】 電流値(低周波信号の実効値)pに高周
波信号aを含めた信号pをアクチュエータ駆動部38に
出力し、アクチュエータ駆動部38はスプール弁を制御
する。電流−減衰力特性において、低周波信号の実効値
を中心として高周波信号aの振幅分だけ傾斜した減衰力
が得られるので、高周波信号aの振幅を変えることによ
り減衰力の大きさを広範囲にわたって調整可能となる。
このため、伸び側減衰力及び縮み側減衰力が同時に小さ
くなるようなことを容易に回避できることになる。ま
た、良好なばね下制振性及び車体の制振性を共に得るこ
とができる。さらに、良好なばね下制振性及び車体の制
振性の確保をアクチュエータの数、ひいてはハーネスの
数を増加することなく行っているので、装置のコンパク
ト化か可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
用いられるサスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション装置の一例として
特開平5−330325号公報に示す装置がある。この
装置は、減衰係数可変型ショックアブソーバに設けた減
衰力発生機構に、図示しないアクチュエータに駆動され
る図9に示すような可動板1を有している。可動板1に
は、略三日月形状の一対の長孔が同心状に形成されてい
る。長孔2、3は、減衰力発生機構の伸び側通路、縮み
側通路(図示省略)に対応するようにして配置される。
この装置は、図示しない上下加速度センサの検出データ
からばね下振動(相対速度)を推定し推定したばね下振
動から制御信号I(電流)を求め、この制御信号I(電
流)をアクチュエータに入力することにより、可動板1
を角度θだけ回転するようになっている。
【0003】このような可動板1の回動により、この装
置は、例えば図10に示すように減衰係数を変更しこれ
に応じて減衰力を調整するようにしている。すなわち、
可動板1は、伸び側及び縮み側の減衰力(減衰係数)を
同時に調整できるようになっており、図10左側に示す
ように、伸び側減衰力(減衰係数)が小さい(ソフト)
とき、縮み側減衰力(減衰係数)が小さい値(ソフト)
から大きい値(ハード)の範囲で変化し、図10右側に
示すように、縮み側減衰力(減衰係数)が小さいとき、
伸び側減衰力(減衰係数)が小さい値から大きい値の範
囲で変化する。
【0004】前記上下加速度センサの検出データから推
定されるばね下振動(相対速度)に基づく制御を行うこ
とによりスカイフック制御〔車体と路面との上下方向の
相対速度に比例した減衰力を発生させるいわゆるパッシ
ブダンパによる制御に比して、車体の上下速度のみに比
例した減衰力を発生させる制御〕に近づくような制御を
行い、車体と路面間の振動伝達系を減らす(すなわち、
車体の制振性及び路面入力の絶縁性を向上させる)よう
にしている。
【0005】なお、スカイフック制御に近づくほど、車
体の制振性及び路面入力の絶縁性は向上できるが、ばね
下振動の制振力が減少し、悪路等において接地力が低下
する問題がある。特に、前記従来技術では、図10の可
動板1回転角θが「0」の近傍部分において、伸び側、
縮み側の減衰係数が共に最小の組み合わせになってお
り、減衰力不足を招く虞があった。また、可動板1が例
えば点線Eに示す部分にある場合には伸び側減衰力が大
きくなり、点線Fに示す部分にある場合には縮み側減衰
力が大きくなるものの、可動板1は車体の上昇、下降運
動に応じて前記「0」の部分を通過することになり、こ
の部分で前記問題を惹起することになる。
【0006】この問題の解決策の一例として、可動板1
を伸び側または縮み側の高い値の減衰係数側(図10の
点線E,Fに相当する部分)に固定し、これにより接地
力の確保を図る方策が考えられるが、この場合には、車
体の制振性は低下しパッシブダンパによる制御のときと
同様のものになってしまう。
【0007】また前記問題の解決策の他の例として、伸
び側、縮み側の減衰力を完全に独立に制御できるショッ
クアブソーバで対応することが考えられる。すなわち、
伸び側及び縮み側で別々の可動板を設け、この伸び側の
可動板及び縮み側の可動板をそれぞれ独立して2つのア
クチュエータで制御するようにし、例えば図10のb1
〜c1 及びb2 〜a2 の減衰力の双方が高めとなるよう
に制御する構成とすればよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したア
クチュエータを2つ設ける方策の場合には、これに伴
い、ハーネス等も対をなすように設けなければならず、
装置の複雑化、質量の増加、装置の大型化を招いてしま
うという問題点があった。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、良好なばね下制振性及び車体の制振性を共に得るこ
とができるコンパクトなサスペンション装置を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、車体と車軸と
の間に介装され、内部に油液が封入されたシリンダと、
該シリンダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2
つのシリンダ室に画成するピストンと、一端が前記ピス
トンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出された
ピストンロッドと、前記ピストンロッドの伸び側及び縮
み側のストロークにともなうピストンの移動によって油
液を流通させる伸び側及び縮み側の主通路と、該各主通
路の油液の流動を制御して減衰力を発生させるとともに
パイロット圧力に応じて減衰力を調整する伸び側及び縮
み側のパイロット型減衰弁と、該各パイロット型減衰弁
をそれぞれバイパスする伸び側及び縮み側の副通路と、
該各副通路に設けられた伸び側及び縮み側のパイロット
室と、アクチュエータへの通電電流に応じて移動し、前
記各副通路の流路面積を調整することで前記各パイロッ
ト室のパイロット圧力を調整する弁体と、前記車体の上
下振動を検出する上下振動センサと、該上下振動センサ
の検出信号に応じて前記アクチュエータへの通電電流を
出力するコントローラと、を備えたサスペンション装置
において、前記コントローラは、該上下振動センサの検
出データに基づいて低周波信号および高周波信号を算出
する演算部と、前記高周波信号の振幅値を調整し、調整
し、該調整した高周波信号を前記低周波信号に重畳する
ことにより前記通電電流を得る信号調整部を備えたこと
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態のサ
スペンション装置を図1ないし図8に基づいて説明す
る。図1及び図2において、サスペンション装置は、油
圧緩衝器本体4と、油圧緩衝器4に接続された減衰力発
生機構5、減衰力発生機構5のスプール弁6(弁体)を
作動するアクチュエータ7及びアクチュエータ7に駆動
電流(通電電流)を出力するコントローラ50とから大
略構成されている。
【0012】油圧緩衝器本体4は、シリンダ8の外側に
外筒8aが設けられた二重筒構造になっており、シリン
ダ8と外筒8aとの間にリザーバ10が形成されてい
る。シリンダ8内には、ピストン13が摺動可能に嵌装
されており、このピストン13によってシリンダ8内が
シリンダ上室11a及びシリンダ下室11bとの2つの
シリンダ室に画成されている。ピストン13には、ピス
トンロッド14の一端がナット14aによって連結され
ており、ピストンロッド14の他端側は、シリンダ上室
11aを通り、シリンダ8及び外筒8aの上端部に装着
されたロッドガイド8b及びオイルシール8cに挿通さ
れてシリンダ8の外部へ延出されている。シリンダ8の
下端部には、シリンダ下室11bとリザーバ10とを区
画するベースバルブ10aが設けられている。そして、
シリンダ8内には油液が封入されており、リザーバ10
内には油液及びガスが封入されている。
【0013】ピストン13には、シリンダ上下室11
a,11b間を連通させる油路13a及びこの油路13
aのシリンダ下室11b側からシリンダ上室11a側へ
の油液の流通を許容する逆止弁13bが設けられてい
る。また、ベースバルブ10aには、シリンダ下室11
bとリザーバ10とを連通させる油路12及びこの油路
12のリザーバ10側からシリンダ下室11b側への油
液の流通を許容する逆止弁10bが設けられている。
【0014】シリンダ8の中央部外周には、略円筒状の
通路部材9が嵌合されている。シリンダ8の上部外周に
は、アッパチューブ9aが嵌合されて通路部材9に結合
されており、シリンダ8との間に環状油路9bを形成し
ている。環状油路9bは、シリンダ8の上端部付近の側
壁に設けられた油路8dを介してシリンダ上室11aに
連通されている。また、シリンダ8の下部外周には、ロ
ワチューブ9cが嵌合されて通路部材9に結合されてお
り、シリンダ8との間に環状油路9dを形成している。
環状油路9dは、シリンダ8の下端部付近の側壁に設け
られた油路8eを介してシリンダ下室11bに連通され
ている。
【0015】外筒8aには、通路部材9に対向させて接
続プレート9eが取付けられている。接続プレート9e
及び通路部材9には、環状油路9b、9dにそれぞれ連
通する接続管15,16が挿通、嵌合されている。ま
た、接続プレート9eには、リザーバ10に連通する接
続孔17が設けられている。そして、接続プレート9e
には、減衰力発生機構5が取付けられている。
【0016】減衰力発生機構5のケーシング23内に
は、一端側が油路8d、環状油路9b及び接続管15を
介してシリンダ上室11aに、他端側が油路8e、環状
油路9d及び接続管16を介してシリンダ下室11bに
連通した第1の主通路19(伸び側主通路)と、一端側
が油路8e、環状油路9d及び接続管16を介してシリ
ンダ下室11bに、他端側が接続孔17を介してリザー
バ10に連通した第2の主通路20(縮み側主通路)と
を備えている。第1の主通路19には、開弁速度と閉弁
速度が異なる伸び側主弁21a(パイロット型減衰弁)
を収納し、第2の主通路20には、開弁速度と閉弁速度
が異なる縮み側主弁21b(パイロット型減衰弁)を収
納している。
【0017】伸び側主弁21aは、第1の主通路19に
連接して形成された伸び側背圧室(伸び側パイロット
室)24aと、第1の主通路19及び伸び側背圧室24
aに変位自在に収納されて第1の主通路19に形成され
た弁座に対して着座、離座することにより第1の主通路
19を開閉する弁(伸び側弁という。)25aと、伸び
側弁25aを閉弁方向に押圧するスプリング(伸び側ス
プリングという。)26aと伸び側弁25aに形成され
た通路(伸び側弁内通路)27aと、伸び側弁内通路2
7aに形成された開口面積が2〜5mm2 のオリフィス
(伸び側オリフィス)28aとから大略構成されてい
る。縮み側主弁21bは、第2の主通路20に連接して
形成された縮み側背圧室(縮み側パイロット室)24b
と、第2の主通路20及び縮み側背圧室24bに変位自
在に収納されて第2の主通路20に形成された弁座に対
して着座、離座することにより第2の主通路20を開閉
する弁(縮み側弁という。)25bと、縮み側弁25b
を閉弁方向に押圧するスプリング(縮み側スプリングと
いう。)26bと縮み側弁25bに形成された通路(縮
み側弁内通路)27bと、縮み側弁25b内通路に形成
された開口面積が2〜5mm2 のオリフィス(縮み側オリ
フィス)28bとから大略構成されている。
【0018】ケーシング23には、伸び側背圧室24a
と第1の主通路19の下流側(伸び側弁25aの一端側
と他端側との間)を接続するように伸び側バイパス29
a(伸び側副通路)が形成されている。また、縮み側背
圧室24bと第2の主通路20の下流側(縮み側弁25
bの一端側と他端側との間)を接続するように縮み側バ
イパス29b(縮み側副通路)が形成されている。
【0019】伸び側バイパス29a及び縮み側バイパス
29bは屈曲した形状であり、それぞれの屈曲部を連通
するように長手状の穴30が形成されており、この穴3
0にスプール弁6(弁体)が変位自在に収納されてい
る。穴30の底部とスプール弁6との間には、ばね31
が介装されており、スプール弁6を穴30の開口部方向
に押圧している。穴30の開口部には、アクチュエータ
7のプランジャ7aが挿入されてスプール弁6に当接し
ており、ばね31のばね力と反対方向にスプール弁6を
押圧するようにしている。
【0020】前記穴30の伸び側バイパス29aに接続
された部分には大径のポート(伸び側ポート)32aが
形成され、穴30の縮み側バイパス29bに接続された
部分には大径のポート(縮み側ポート)32bが形成さ
れている。前記スプール弁6は、軸状のスプール弁本体
33と、スプール弁本体33の両端側に形成された大径
の弁体(それぞれ、伸び側スプール弁34a、縮み側ス
プール弁34bという。)と、スプール弁本体33の中
央部に形成されて伸び側バイパス29a及び縮み側バイ
パス29bの連通を遮断する遮断弁35とから構成され
ている。そして、伸び側スプール弁34aが伸び側ポー
ト32aの弁座に対して変位することにより、伸び側バ
イパス29aの開閉及び開度調整を行い、縮み側スプー
ル弁34bが縮み側ポート32bの弁座に対して変位す
ることにより、縮み側バイパス29bの開閉及び開度調
整を行うようにしている。
【0021】なお、ピストンロッド14の伸び行程時に
は、シリンダシリンダ上室11aaからの油液は図1に
矢印A1 に示すように第1の主通路19の一端から流入
して伸び側主弁21aを通ってシリンダ下室11bに流
れる一方、矢印A2 に示すように伸び側背圧室24a、
伸び側バイパス29a、伸び側ポート32aを通って流
れる油液ルートが形成可能である。また、ピストンロッ
ド14が退出した分の油液がベースバルブ10aを介し
てリザーバ10からシリンダ下室11bに流れる。ま
た、ピストンロッド14の縮み行程時には、シリンダ下
室11bからの油液は図1に矢印B1 に示すように第2
の主通路20の一端から流入して縮み側主弁21bを通
ってリザーバ10に流れる一方、矢印B2 に示すように
背圧室、縮み側バイパス29b、縮み側ポート32bを
通って流れる油液ルートが形成可能である。
【0022】本装置には、図3に示すように、車体の上
下振動を検出する上下振動センサ36が車体に設けられ
ている。上下振動センサ36と前記アクチュエータ7の
間には、コントローラ37及びアクチュエータ駆動部
(信号調整部)38とが介装されている。コントローラ
37は、上下振動センサ36に接続した第1、第2のフ
ィルタ39,40と、第2のフィルタ40の出力側に接
続した振幅変調部41と、第1のフィルタ39の出力c
及び振幅変調部41の出力aを加え合わせて信号pを
得、信号pをアクチュエータ駆動部38に出力する加算
部42と、振幅変調部41に搬送波を出力する振幅発信
器43とから大略構成されている。
【0023】第1のフィルタ39は、上下振動センサ3
6の検出データに基づいて例えば図8上欄に示すような
低周波信号cを算出してこの低周波信号cを加算部42
に出力する。第2のフィルタ40は、上下振動センサ3
6の検出データに基づいて、走行路面等に応じて推定し
たベース増減信号bを算出する。振幅発信器43は高周
波の搬送波を出力し、振幅変調部41は搬送波にベース
増減信号bを乗せて図8中欄に示すような高周波信号a
を生成して出力する。加算部42は、図8下欄に示すよ
うに、低周波信号c及び高周波信号aを加え合わせた信
号pを得、これをアクチュエータ駆動部38に出力す
る。アクチュエータ駆動部38は、入力信号に基づい
て、高周波信号aの振幅を調整してアクチュエータ制御
信号A(通電電流)を求め、このアクチュエータ制御信
号Aをアクチュエータ7に出力してスプール弁6の変
位、ひいては減衰力調整を行うようにしている。本実施
の形態では、第1、第2のフィルタ39,40、振幅変
調部41及び振幅発信器43から演算部が構成されてい
る。
【0024】ところで、図1に示す減衰力発生機構5の
伸び側背圧室24a及び縮み側背圧室24bには、油液
の圧縮性による体積弾性が存在すると共に、伸び側弁内
通路27a及び縮み側弁内通路27bに上述したように
伸び側オリフィス28a及び縮み側オリフィス28bが
それぞれ設けられている。このため、各背圧室の圧力
(パイロット圧力)によるスプール弁6の変位に対する
伸び側弁25a、縮み側弁25bの応答性は、油液に体
積弾性があること及び伸び側オリフィス28a及び縮み
側オリフィス28bがあることにより、その分、遅れる
ことになる。すなわち、シリンダ下室11b及びリザー
バ10から各背圧室に、この圧縮成分の油液が流入しな
いと、背圧室の圧力が上昇せず、前記油液が流入するま
での遅れを表す時定数は、背圧室の体積弾性が低いほ
ど、また、オリフィスが小さいほど大きく(遅く)な
る。
【0025】ここで、背圧(パイロット圧力)を上げる
ときと、下げるときの遅れについて調べてみる。伸び側
減衰力を大きくする場合、スプール弁6の伸び側ポート
32aは閉じるか、もしくは小さい開度にされ、伸び側
背圧室24aには、伸び側オリフィス28aを通って油
液が流入するため、伸び側弁25aの応答性は遅くな
る。すなわち、伸び側弁25aが閉じるために多くの時
間を要し、その分、減衰力は緩やかに増加することにな
る。縮み側減衰力を大きくする場合にも、縮み側背圧室
24b、縮み側オリフィス28bなどを対象にして上述
したのと同様の状態になる。
【0026】一方、伸び側減衰力を伸び側ソフトまで小
さくする場合、スプール弁6の伸び側ポート32aの開
度は大きく(伸び側オリフィス28aの約3倍以上の開
口面積)され、伸び側背圧室24aの油液は急激に流出
し、背圧が低下し、減衰力は速やかに低下する。縮み側
減衰力を小さくする場合にも、縮み側背圧室24b、縮
み側オリフィス28bなどを対象にして上述したのと同
様の状態になる。
【0027】なお、伸び側弁25a及び縮み側弁25b
の応答性の遅れについては、上述した油液の圧縮性によ
るものの他、次に示すように弁体の慣性力及び油液の粘
性抵抗力により生ずるものがある。
【0028】すなわち、例えば伸び側弁25aを高速で
開閉すると、伸び側弁25aを開閉する力PA は、伸び
側弁25aに作用する開弁方向の受圧面積S1 に作用す
る圧力P1 による力と、閉弁方向の受圧面積S2 に作用
する圧力P2 による力との差(P11 −P22 )と
なる。そして、このときの運動方程式は次式(1)で示
される。 md2x /dt2 +cdx/dt+kx +f0 =(P11 −P22 ) …(1) ただし、f0 :弁のセット荷重 ここで、減衰力をソフト状態で伸び側弁25aが静止し
ている場合、md2x /dt2 =cdx/dt=0、かつP2
0とすれば、前記式(1)は次式(2)で示される。 kx +f0 =P11 …(2) ここで、減衰力をハードに切換える場合を想定し、P1
=P2 とした場合、伸び側弁25aに作用する力PB
は、 md2x /dt2 +cdx/dt+kx +f0 =P1 (S1 −S2 )=PB …(3) となる。また、伸び側弁25aに作用する荷重PC は式
(2)、(3)より、 md2x /dt2 +cdx/dt=−P12 =PC … (4) となる。
【0029】一方、ハードで静止している伸び側弁25
aをソフト(P2 =0)とする場合、伸び側弁25aに
作用する荷重PD は、上述したのと同様にして、 md2x /dt2 +cdx/dt=P12 =PD … (5) となる。
【0030】ところで、一般に、ソフト時の圧力P1
は、ハード時の圧力P1 よりも小さく、その比率は概略
(S1 −S2 )/S1 となっている。そして、上述した
式(4)のP1 は、式(5)のP1 に比べ約1/10で
あり、ソフトからハードにする場合に伸び側弁25aに
作用する荷重PC は、ハードからソフトにする場合に伸
び側弁25aに作用する荷重PD に小さいものになって
いる。そして、このことから分かるように、伸び側弁2
5aには、開弁方向には速く、閉弁方向には遅い特性が
与えられている。上述した伸び側弁25aの特性につい
ては、縮み側弁25bにも同様に言えることである。
【0031】上述した伸び側弁25a(縮み側弁25
b)の背圧を制御するスプール弁6を高速で開閉したと
きの減衰力の応答を図4及び図5に示す。図4に示すよ
うに、小振幅開閉時において減衰力はわずかに波打つも
のの、その平均的な値はほとんど変化しない。また、図
5に示すように、大振幅開閉時には、減衰力は振幅に応
じた値ΔFだけ減少し、その位置で微振動する。このよ
うに高周波の搬送波の振幅を変化させることによりスプ
ール弁6の平均位置での静的な減衰力とは異なる減衰力
に制御可能である。
【0032】上述したような考えに基づいて、図6に示
すものに対応するような反転式の減衰力特性を得て、従
来技術で生じていた伸び側ソフト/縮み側ソフトの状態
となるようなことをなくし、ばね下制振性及び車体の制
振性を確保するようにしている。図6において、減衰力
は、電流値(低周波信号の実効値)と高周波信号の振幅
分の2次元で与えられる。そして、図6では、便宜上、
減衰力を縦軸に、電流値(低周波信号の実効値)を横軸
にして記載すると共に、残る1次元である高周波信号の
振幅分を点線の矢印で示している。例えば、電流値(低
周波信号の実効値)がi1 で、高周波信号の振幅分a1
であると、伸び側減衰力はR1 、縮み側減衰力はC1
なる。
【0033】一方、上述した高周波信号の振幅を含まな
い(本発明を実施しない)場合には、電流値(低周波信
号の実効値)を例えばi1 とすると、伸び側減衰力はi
1 の縦線に交差するR2 、縮み側減衰力はi1 の縦線に
交差するC2 となる。また、高周波信号の振幅をa2
(a2 >a1 )とすると、図7に示すようになる。すな
わち、図6の場合と同等の電流値(低周波信号の実効
値)がi1 の際には、伸び側減衰力及び縮み側減衰力
は、図6のときに比して小さいR3 (R3 <R1 )、C
3 (C3 <C1 )となる。このように高周波信号の振幅
を大きくすると、減衰力が小さくなることは、図5に示
されることと一致している。
【0034】上述したように電流値(低周波信号の実効
値)に高周波信号を含めてスプール弁6を制御すること
により、電流−減衰力特性において、低周波信号の実効
値を中心として高周波信号の振幅分だけ傾斜した減衰力
が得られるので、高周波信号の振幅を変えることにより
減衰力の大きさを広範囲にわたって調整可能となる。こ
のため、伸び側減衰力及び縮み側減衰力が同時に小さく
なるようなことを容易に回避できることになる。また、
良好なばね下制振性及び車体の制振性を共に得ることが
できる。さらに、良好なばね下制振性及び車体の制振性
の確保をアクチュエータの数、ひいてはハーネスの数を
増加することなく行っているので、装置のコンパクト化
か可能となる。
【0035】
【発明の効果】本発明は、低周波信号に高周波信号を含
めて弁体を制御することにより、電流−減衰力特性にお
いて、低周波信号の実効値を中心として高周波信号の振
幅分だけ傾斜した減衰力が得られるので、高周波信号の
振幅を変えることにより減衰力の大きさを広範囲にわた
って調整可能となる。このため、伸び側減衰力及び縮み
側減衰力が同時に小さくなるようなことを容易に回避で
きることになる。また、良好なばね下制振性及び車体の
制振性を共に得ることができる。さらに、良好なばね下
制振性及び車体の制振性の確保をアクチュエータの数、
ひいてはハーネスの数を増加することなく行っているの
で、装置のコンパクト化か可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の減衰力発生機構を模式
的に示す図である。
【図2】図1のバルブ機構が接続される油圧緩衝器本体
を模式的に示す断面図である。
【図3】図1の装置に用いる演算回路を示す図である。
【図4】図1の小振幅時におけるスプール弁の移動量及
び減衰力を示す図である。
【図5】図1の大振幅時におけるスプール弁の移動量及
び減衰力を示す図である。
【図6】高周波電流の振幅が小さいときの図1の装置の
電流−減衰力特性を示す図である。
【図7】高周波電流の振幅が大きいときの図1の装置の
電流−減衰力特性を示す図である。
【図8】図3の回路の各部の信号波形を示す図である。
【図9】従来の装置の減衰力発生機構に用いる可動板を
示す平面図である。
【図10】図9の可動板1を用いた従来装置の電流−減
衰係数特性を示す図である。
【符号の説明】
4 油圧緩衝器本体 7 アクチュエータ 36 上下振動センサ 37 コントローラ 38 アクチュエータ駆動部(信号調整部) 39,40第1、第2のフィルタ 41 振幅変調部 43 振幅発信器 39,40,41,43 演算部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体と車軸との間に介装され、内部に油
    液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に
    嵌装され前記シリンダ内を2つのシリンダ室に画成する
    ピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記
    シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記ピ
    ストンロッドの伸び側及び縮み側のストロークにともな
    うピストンの移動によって油液を流通させる伸び側及び
    縮み側の主通路と、該各主通路の油液の流動を制御して
    減衰力を発生させるとともにパイロット圧力に応じて減
    衰力を調整する伸び側及び縮み側のパイロット型減衰弁
    と、該各パイロット型減衰弁をそれぞれバイパスする伸
    び側及び縮み側の副通路と、該各副通路に設けられた伸
    び側及び縮み側のパイロット室と、アクチュエータへの
    通電電流に応じて移動し、前記各副通路の流路面積を調
    整することで前記各パイロット室のパイロット圧力を調
    整する弁体と、前記車体の上下振動を検出する上下振動
    センサと、該上下振動センサの検出信号に応じて前記ア
    クチュエータへの通電電流を出力するコントローラと、
    を備えたサスペンション装置において、 前記コントローラは、該上下振動センサの検出データに
    基づいて低周波信号および高周波信号を算出する演算部
    と、前記高周波信号の振幅値を調整し、調整し、該調整
    した高周波信号を前記低周波信号に重畳することにより
    前記通電電流を得る信号調整部を備えたことを特徴とす
    るサスペンション装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006161912A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Yamaha Motor Co Ltd 車両の懸架装置

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JP2006161912A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Yamaha Motor Co Ltd 車両の懸架装置

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