JPH10257884A - スフィンゴ脂質セラミドn−デアシラーゼ - Google Patents

スフィンゴ脂質セラミドn−デアシラーゼ

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JPH10257884A
JPH10257884A JP9083387A JP8338797A JPH10257884A JP H10257884 A JPH10257884 A JP H10257884A JP 9083387 A JP9083387 A JP 9083387A JP 8338797 A JP8338797 A JP 8338797A JP H10257884 A JPH10257884 A JP H10257884A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラ
ーゼ、それを用いてリゾスフィンゴ脂質、スフィンゴ脂
質又はスフィンゴ脂質誘導体を製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 分子内セラミドに作用して、リゾスフィ
ンゴ脂質と脂肪酸を生成する作用、セラミド、スフィン
ゴ糖脂質及びスフィンゴリン脂質に作用する基質特異
性、及び8〜10の至適pHをもつスフィンゴ脂質セラ
ミドN−デアシラーゼ。該酵素でスフィンゴ脂質を処理
するリゾスフィンゴ脂質の製造方法。該酵素を触媒とし
て用いて、スフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導
体を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なスフィンゴ脂
質セラミドN−デアシラーゼに関する。また、該スフィ
ンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを用いて、酵素学的
にリゾスフィンゴ脂質を製造する方法、更には少なくと
も異なる2種のスフィンゴ脂質、あるいはリゾスフィン
ゴ脂質と脂肪族カルボン酸又は脂肪族カルボン酸誘導体
とを、該酵素と酵素的に反応させることによるスフィン
ゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体を製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、糖脂質中の分子内セラミドに作用
してこのセラミド部分をスフィンゴシン塩基と脂肪酸と
に加水分解し、リゾ糖脂質と脂肪酸を生成する酵素とし
て、ノカルディア属(Nocardia)に属する微生物が生産
する酵素(特開昭64−60379号公報)が知られて
いる。この酵素は糖脂質セラミドデアシラーゼと命名さ
れているが〔ジャーナル オブ バイオケミストリー
(Journal of Biochemistry)、第103巻、第1〜4頁
(1988)〕、GD1a、GM1、GM2、GM3等
のいわゆる酸性糖脂質であるガングリオシドには作用す
るが、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミドには
全く作用せず、ラクトシルセラミド、Gb3、あるいは
アシアロ(asialo) GM1等の中性糖脂質にはほとんど
作用しない。また、セラミドのスフィンゴシン塩基と脂
肪酸との結合を加水分解する酵素がセラミダーゼ(Cera
midase ;EC3.5.1.23)と称されているが〔ジ
ャーナル オブ バイオロジカルケミストリー(Journa
l of Biological Chemistry)、第241巻、第3731
〜3737頁(1966)、バイオケミストリー(Bioc
hemistry) 、第8巻、第1692〜1698頁(196
9)、バイオキミカ エ バイオフィジカ アクタ(Bi
ochimica et Biophysica Acta)、第176巻、第339
〜347頁(1969)、サイエンス(Science)、第1
78巻、第1100〜1102頁(1972)〕、この
酵素は糖脂質のセラミド部分のスフィンゴシン塩基と脂
肪酸との結合を加水分解することはできない。すなわ
ち、これらの酵素では中性糖脂質のセラミド部分のスフ
ィンゴシン塩基と脂肪酸との結合を加水分解することは
できなかった。また、スフィンゴ脂質全般に作用する酵
素としてシュードモナス(Pseudomonas )属に属する細
菌が生産する酵素〔特開平8−84587号公報、ジャ
ーナルオブ バイオロジカル ケミストリー、第270
巻、第24370〜243742頁(1995)〕が知
られている。この酵素は中性糖脂質、酸性糖脂質及びス
フィンゴミエリンに作用するがセラミドには非常に作用
しにくい。
【0003】スフィンゴ脂質は、スフィンゴ糖脂質、ス
フィンゴリン脂質(スフィンゴホスホノリピドを含
む)、セラミド、を含む長鎖塩基スフィンゴイドを持つ
脂質の総称であり、スフィンゴイドのアミノ基に不均一
な鎖長の長鎖脂肪酸を酸アミド結合したセラミドを共通
構造としてもち、下等動物から高等動物にまで広く分布
している。これらスフィンゴ脂質は近年、細胞の増殖、
分化誘導、アポトーシス等のような生物活性において重
要な役割に関与していることが明らかにされつつある。
また、細胞表層の構成成分であることから化粧料等への
添加物としても使用されつつある。また、スフィンゴ脂
質のスフィンゴイドのアミノ基に酸アミド結合した脂肪
酸を欠くスフィンゴ脂質のN−脱アシル体はリゾスフィ
ンゴ脂質と呼ばれ、スフィンゴ脂質と同様な生物活性を
持つことが明らかにされつつある。従来知られているリ
ゾスフィンゴ脂質の製造方法については、化学的方法、
酵素を用いる方法、微生物を用いる方法が知られてい
る。化学的方法としては、ヒドラジン分解法やアルコー
ル系溶媒中でのアルカリ加水分解法が知られている。し
かし、これらの方法ではアミノ糖を含むスフィンゴ糖脂
質の場合、糖鎖部分のアミド結合が分解されてデ−N−
アセチルリゾ糖脂質を生じる。またシアル酸を含む糖脂
質(ガングリオシド)の場合、シアル酸部分の脱アシル
化反応が同時に進行する。そのため、脱アシル化後、脂
質部分のアミノ基に保護基を選択的に導入した後、シア
ル酸部分の再アシル化を行い、その後、保護基を外す必
要がある。これらの一連の化学操作では、様々な副生成
物が生じ、多くの手間と技術的な熟練を要する。しか
も、現在の化学的手法ではシアル酸を複数有する例えば
GQ1bのようなポリシアロガングリオシドからリゾ体
を調製することは非常に困難である。一方、酵素を用い
る方法としては、ノカルディア属放線菌の生産するガン
グリオシドセラミダーゼを用いる方法(特開昭64−6
0379号公報)、ロドコッカス(Rhodococcus)属放線
菌の生産する酵素又は菌体処理物を用いる方法(特開平
6−78782号公報)、シュードモナス属細菌の生産
するスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを用いる方
法(特開平8−84587号公報)が知られている。こ
れらの方法では、得られるリゾスフィンゴ脂質は用いる
酵素の基質特異性に左右されるため、目的のリゾスフィ
ンゴ脂質を得るには制限がある。微生物又はその抽出物
を用いる方法として、グリゴスフィンゴリピドセラミド
デアシラーゼ生産能を有するストレプトミセス(Strept
omyces)属放線菌を用いる方法(特開平7−10798
8号公報)が知られているが、効率が悪く、また、基質
特異性により得られるリゾスフィンゴ脂質に制限があ
る。また、リゾスフィンゴ脂質を生物学的に得る方法が
知られている(特開平6−78782号公報)。この方
法では、目的とするリゾスフィンゴ脂質以外に多くの副
産物が生じる。そのため、これら副産物を取り除く必要
があり、工業的にもその操作のステップ、収率の点で問
題があった。
【0004】一方、スフィンゴリン脂質であるスフィン
ゴミエリンのリゾ体を得る方法としては化学的方法と酵
素的方法が知られており、化学的方法としてアルコール
系溶媒中での塩酸加水分解に依る方法が一般に用いられ
る。しかしこの方法によると天然型のD−エリトロ(D-
erythro)(2S,3R)だけではなくL−トレオ(L-threo)
(2S,3S)の立体異性体が生じてしまい、天然型のD−エ
リトロ(D-erythro)(2S,3R)を得るためには収率の点で
不利でありまたこれらを分離することは非常に困難であ
った。更にコリンリン酸基が外れる可能性があり、収率
の点で問題がある。また、一般に天然のスフィンゴ脂質
のセラミド部分の長鎖脂肪酸の鎖長は、不均一でかなり
の多様性があることから、単一分子からなるスフィンゴ
脂質を得ることは困難である。
【0005】スフィンゴ脂質の長鎖脂肪酸を修飾あるい
は置換したスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の
製造方法は、リゾスフィンゴ脂質を出発原料として、科
学的、酵素的に合成する方法が知られている。化学的方
法としては、リゾ体のアミノ基に以下の様な方法で脂肪
酸あるいは脂肪酸誘導体を縮合させる方法がある。例え
ば、脂肪酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル等
の脂肪酸活性エステルを用いる方法、脂肪酸とカルボニ
ルジイミダゾールやジシクロヘキシルカルボジイミドな
どのカップリング試薬を用いる方法、脂肪酸の無水物を
用いる方法、脂肪酸塩化物を用いる方法などが知られて
いる。酸性糖脂質のリゾ体としてリゾガングリオシドを
用いる方法〔メソッズ インエンザイモロジー(Method
s in Enzymology) 第138巻、第319〜341頁
(1987)、特開平2−200697号及び特開平7
−309888号〕、スフィンゴシルホスホリルコリン
(リゾスフィンゴミエリン)を用いる方法〔ジャーナル
オブ リピッド リサーチ(Journal of Lipid Resea
rch)、第28巻、第710〜718頁(1987)〕が
知られている。これらの方法によるとO−アシル化等の
副反応が起こる場合があり、選択的にN−アシル化され
た物質を得るためには保護基の使用、精製等に煩雑な操
作が必要である。また、スフィンゴホスホノリピドの一
種セラミドシリアチンやアミノ糖を含むスフィンゴ糖脂
質を化学的に脱アシル化して得られるデ−N−アセチル
リゾガングリオシドのようにスフィンゴイドのアミノ基
以外にアミノ基をもつスフィンゴ脂質のスフィンゴイド
のアミノ基だけを選択的にアシル化したいときには保護
基の導入、部分的アシル化、アシル化後の部分的脱アシ
ル化といった操作、あるいはデ−N−アセチルリゾガン
グリオシドをリポソームに取り込ませた後、選択的にN
−アシル化する等の煩雑な操作が必要であり困難を伴
う。一方、酵素的合成方法は、有機溶媒中でリパーゼに
より縮合を行う方法(国際公開番号WO94/2691
9)が知られているが、実質的に無水の有機溶媒が必要
であり、基質の溶解性により基質が限定される。また、
セラミド及びハイブリッドセラミドの酵素的合成方法
(国際公開番号WO94/26919)も知られている
が、反応も特異的なものではなくO−アシル化物の生成
が見出されており、また化学的合成方法と同様に複数の
アミノ基をもつ場合、スフィンゴイドのアミノ基だけに
特異的に作用させることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
知られているスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ
と異なる基質特異性の酵素、特にセラミド、スフィンゴ
糖脂質及びスフィンゴリン脂質によく作用するスフィン
ゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを提供することにあ
る。また、該スフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ
を用いたリゾスフィンゴ脂質を酵素学的に、工業的に製
造する方法を提供することにある。更には、該スフィン
ゴ脂質セラミドN−デアシラーゼの逆反応を用いたスフ
ィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体の製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は、下記の理化学的性質を有すること
を特徴とするスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ
に関する。 (1)作用:スフィンゴ脂質中の分子内セラミドに作用
して、スフィンゴシン塩基と脂肪酸とに加水分解し、リ
ゾスフィンゴ脂質と脂肪酸を生成する。 (2)基質特異性:セラミド、スフィンゴ糖脂質及びス
フィンゴリン脂質に作用する。 (3)至適pH:至適pHが8〜10である。 また、本発明の第2の発明は、上記第1の発明のスフィ
ンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを用いてスフィンゴ
脂質を処理することを特徴とするリゾスフィンゴ脂質の
製造方法に関する。また、本発明の第3の発明は、スフ
ィンゴ脂質を、前記第1の発明のスフィンゴ脂質セラミ
ドN−デアシラーゼの生産能を有する微生物と接触させ
ることを特徴とするリゾスフィンゴ脂質の製造方法に関
する。更に、本発明の第4の発明は、少なくとも異なる
2種のスフィンゴ脂質、あるいはリゾスフィンゴ脂質と
脂肪族カルボン酸又は脂肪族カルボン酸誘導体とを、前
記第1の発明のスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラー
ゼを用いて酵素的に反応させ、スフィンゴ脂質あるいは
スフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィン
ゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の製造方法に関する。
【0008】本発明者らは、スフィンゴ脂質関連酵素を
得るために、種々のサンプルをスクリーニングに用い
た。このスクリーニングの過程で、驚くべきことに、セ
ラミド及び糖脂質を同程度にスフィンゴシン塩基と脂肪
酸とに加水分解し、それらのリゾ体と脂肪酸を生成す
る、従来知られていない新規なスフィンゴ脂質セラミド
N−デアシラーゼ活性を見出した。更に、本発明者ら
が、鋭意検討を行った結果、本発明の酵素を生産する微
生物を特定し、該酵素の理化学的性質を明らかにした。
また、該酵素を用いてスフィンゴ脂質を処理することに
より、リゾスフィンゴ脂質を効率よく製造することに成
功し、更に該酵素の逆反応活性を見出し、該反応を用い
てスフィンゴ脂質及びスフィンゴ脂質誘導体を製造する
ことにも成功し、本発明を完成させた。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明のスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラ
ーゼの製造方法は特に限定されるものではなく、本発明
のスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ生産能を有
する微生物、若しくは細胞等でよい。例えば、非発酵性
グラム陰性桿菌AI−2が挙げられる。本菌株は、本発
明者らがアトピー性皮膚炎の増悪にスフィンゴ脂質セラ
ミドN−デアシラーゼ活性が関与しているのではないか
と考え、アトピー性皮膚炎患者の落屑を採取し、新たに
検索した結果得た菌株であり、その菌学的性質は以下の
とおりである。
【0010】(1)形態:桿菌 (2)グラム染色性:陰性 (3)胞子:陰性 (4)運動性:陽性 (5)鞭毛:極短毛 (6)酸素に対する態度:好気性 (7)オキシダーゼ:陽性 (8)カタラーゼ:陽性 (9)OFテスト:O (10)集落の色調:特徴的集落色素を生成せず (11)蛍光色素の生成:陰性 (12)水溶性色素の生成:陰性 (13)栄養要求性:陽性 (14)PHBの蓄積:陰性 (15)40度での生育:陽性 (16)アルギニンジヒドロラーゼ:陰性 (17)ゼラチンの液化:陽性 (18)でんぷんの分解:陰性 (19)Tween 80の分解:陰性 (20)資化性 グルコース:陽性 βーヒドロキシ酪酸:陰性 (21)キノン系:Q−8 (22)GC含量:68% この結果、本菌株は極鞭毛を有するオキシダーゼ陽性の
非発酵性グラム陰性桿菌であり、シュードモナス RN
A groupV及びステノトロフォモナス(Stenotro
phomonas)属に属するのではないか考えられたが、その
性状が完全には一致せず、新菌株の可能性が示唆され
た。
【0011】本菌株は、AI−2と命名、表示され、工
業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−16
124として寄託されている。
【0012】本発明の酵素は、例えば上述した菌株を栄
養培地中で培養し、培養後の培養物から酵素を分離する
ことによって得られる。培地に加える栄養源は、該菌株
が利用し本発明の酵素を生産するものであればよく、炭
素源としては例えば、グリセロール、グルコース、スク
ロース、糖蜜等が利用でき、窒素源としては例えば、酵
母エキス、ペプトン、コーンスティープリカー、肉エキ
ス、脱脂大豆、硫安、硝酸アンモニウム等が適当であ
る。その他、ナトリウム塩、カリウム塩、リン酸塩、マ
グネシウム塩、亜鉛塩等の無機質及び金属塩を加えても
よい。また培地中にスフィンゴミエリンなどのスフィン
ゴ脂質を0.01〜0.5%添加して本発明の酵素の生
産性を高めることができる。本発明の酵素の生産菌を培
養するに当り、酵素の生産量は培養条件によって大きく
変動するが、一般的に培養温度は20〜35℃、培地の
pH6〜8が良く、1日から7日の通気かくはん培養で
本発明の酵素が生産される。培養条件は使用する菌株、
培地組成等に応じて本発明の酵素の生産量が最大になる
ように設定するのは当然のことである。上述した菌株に
よって生産された本発明の酵素は主に菌体外に存在する
ので、培養物を固液分離し、得られた上清を酵素液とし
て用いることができる。また、通常用いられる精製手段
により精製酵素標品を得ることができる。例えば、塩
析、有機溶媒沈殿、イオン交換カラムクロマトグラフィ
ー、ハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィ
ー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、凍結乾燥等に
より精製することができる。酵素の純度は例えば、ポリ
アクリルアミドゲルディスク電気泳動法等によって検定
することができる。
【0013】本発明により得られるスフィンゴ脂質セラ
ミドN−デアシラーゼの酵素化学的及び理化学的性質は
次のとおりである。 (1)酵素活性の測定法: スフィンゴ脂質セラミドN
−デアシラーゼの酵素活性は測定は次のようにして行
う。終濃度1mMの14C放射性同位元素ラベルされた炭
素数16の脂肪酸を持つガラクトシルセラミド(14C−
GalCer)を基質とし、0.5%トリトン(Trito
n)X−100を含む25mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)20μl中で37℃で3時間反応させる。10
0μlのクロロホルム/メタノール(2:1)を加え反
応を止め、濃縮遠心機で反応液を濃縮し、これをTLC
プレート(シリカゲル60、メルク社製)にのせ、クロ
ロホルム/メタノール/0.02%塩化カルシウム水溶
液(5:4:1)で展開した後、イメージングアナライ
ザーBas1000(富士写真フィルム社製)を用いガ
ラクトシルセラミドの量を定量する。又は、最終濃度1
mMのガラクトシルセラミドを基質とし、0.5%トリ
トンX−100を含む25mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)20μl中で37℃で3時間反応させる。10
0μlのクロロホルム/メタノール/0.02%塩化カ
ルシウム水溶液(5:4:1)で展開した後、オルシノ
ール硫酸法で発色させ、クロマトスキャナー(島津CS
−9000、島津製作所社製)を用いて波長540nm
で定量する。活性単位は1分間に1nmolのガラクト
シルセラミドを分解する活性を1mUとする。
【0014】(2)作用: スフィンゴ脂質中の分子内
セラミドに作用して、スフィンゴシン塩基と脂肪酸とに
加水分解し、リゾスフィンゴ脂質と脂肪酸を生成する。
更に、リゾスフィンゴ脂質のスフィンゴイドのアミノ基
への脂肪酸の再結合、あるいはスフィンゴ脂質のスフィ
ンゴイドに酸アミド結合する脂肪酸と別の脂肪酸との置
換を行い、スフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体を
生成する。
【0015】(3)基質特異性: (1)の酵素活性の
測定法に従い、14C放射性同位元素ラベルされた脂肪酸
を持つガラクトシルセラミド、ガングリオシドGM1、
スフィンゴミエリン、セラミドを基質とし、反応時間を
2時間と19時間で、本発明の基質特異性を調べたとこ
ろ、下記表1に示すように、スフィンゴ糖脂質、スフィ
ンゴリン脂質及びセラミドに作用して、リゾスフィンゴ
脂質と脂肪酸を生成する。特にセラミド及びセラミドに
単糖が結合したガラクトシルセラミドによく作用する。
表1中、ガングリオシドGM1は、ウシ脳から調製し
〔メソッズ インエンザイモロジー、第83巻、第13
9〜191頁(1982)〕、その他の基質は、シグマ
社製である。
【0016】
【表1】 表 1 ───────────────────────────── 基 質 反応時間 分解率 (時間) (%) ───────────────────────────── ガラクトシルセラミド 2 15.8 19 42.5 セラミド 2 8.9 19 23.3 ガングリオシドGM1 2 0.2 19 0.4 スフィンゴミエリン 2 0.7 19 1.8 ─────────────────────────────
【0017】(4)至適pH: 本発明の酵素の至適p
Hは図1に示すように8〜10付近に高い活性を有して
いる。活性測定に用いる緩衝液は、0.15MGTA緩
衝液〔50mMジメチルグルタル酸、50mMトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン、50mM2−アミ
ノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール〕を塩酸又
はNaOHを用いてpHを変化させて用いる。図1は本
発明の酵素の至適pHを示す図であり、縦軸は分解率
(%)、横軸は反応pHを示す。
【0018】(5)分子量 本発明の酵素の分子量は、スーパーデックス 200
〔Superdex 200、ファルマシア バイオテク(Pharmaci
a Biotech)社製〕カラム、0.1M塩化ナトリウム及び
0.3%ルブロールPXを含む20mMリン酸緩衝液
(pH6.8)を用い、流速0.5ml/minの条件
のゲルろ過法により、約152000を示す。
【0019】本発明の酵素を用いて、リゾスフィンゴ脂
質を製造するには、該酵素が作用するスフィンゴ脂質で
あればいかなるものでも基質として用いることができ
る。例えば、酸性糖脂質としてはGM1等の各種ガング
リオシド及びスルファチド、中性糖脂質としてはアシア
ロGM1、セレブロシド等、スフィンゴリン脂質として
スフィンゴミエリンが挙げられる。またセラミドも基質
として用いることができる。これらの基質を緩衝液中に
懸濁させ、本酵素を作用させることで各種のリゾスフィ
ンゴ脂質を得ることができる。例えば、反応液中の基質
濃度を1〜20mg/ml、反応温度37〜40℃、反
応pH6〜10、通常はトリス緩衝液を用いて、緩衝液
の最終濃度が25mMとなるようにして反応を行う。ま
た、反応液中には界面活性剤としてトリトンX−100
を終濃度0.5%となるように添加する。反応終了後、
ODS逆相カラムクロマトグラフィーで反応生成物と未
反応スフィンゴ脂質を分離する。溶出液としては、クロ
ロホルム/メタノール/水(5/4/1、v/v)を用
いることができる。HPLCのモニターは、溶出液をH
PTLCで分析することにより行うことができる。HP
TLCの展開溶媒はクロロホルム/メタノール/10%
酢酸(5/4/1、v/v)、発色は糖脂質及びリゾ糖
脂質はオルシノール硫酸法、スフィンゴミエリン及びリ
ゾスフィンゴミエリン、セラミド及びスフィンゴシンは
クマシーブルー法で行うことができる。リゾスフィンゴ
脂質だけを検出したい場合は、ニンヒドリン法を用いる
ことができる。このように、本発明の酵素を用いてリゾ
スフィンゴ脂質を製造することができる。
【0020】また、得られたリゾスフィンゴ脂質を再ア
シル化することにより各種の誘導体を得ることができ
る。例えば、リゾスフィンゴ脂質への脂肪酸の導入は、
ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下、脂肪酸とN
−ヒドロキシコハク酸イミドとのエステルを合成し、リ
ゾスフィンゴ脂質と反応させる方法、脂肪酸塩化物を合
成し、リゾスフィンゴ脂質と反応させる方法等により再
アシル化された誘導体を得ることができる。
【0021】また、本発明の酵素を用いて得られるリゾ
スフィンゴ脂質のスフィンゴシン部分のアミノ基を標識
することにより、蛍光標識スフィンゴ脂質誘導体(蛍光
標識ネオスフィンゴ脂質)を合成することができる。例
えば、ダンシルクロリド、4−フルオロ−7−ニトロベ
ンゾフラザン(4−Fluoro−7−nitrobenzofurazan 、
NBD−F)、10−ピレンデカン酸等による標識が可
能である。
【0022】更に、本酵素の逆反応を用い、標識を有
し、又は有しない少なくとも2種類のスフィンゴ脂質、
あるいはリゾスフィンゴ脂質と標識を有し、又は有しな
い脂肪族カルボン酸又は脂肪族カルボン酸誘導体を出発
原料とし、種々のスフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂
質誘導体を合成することが可能である。例えば、14C−
GalCerとスフィンゴミエリンの存在下、本酵素を
作用させることにより、14Cで標識されたスフィンゴミ
エリンを得ることができる。また、例えば、14Cで標識
されたステアリン酸とリゾスフィンゴミエリンの存在
下、本酵素を作用させることにより、14Cで標識された
スフィンゴミエリンを得ることができる。
【0023】以上、詳細に説明したように、本発明によ
りスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼが提供さ
れ、該スフィンゴ脂質セラミドデアシラーゼを用いるリ
ゾスフィンゴ脂質の製造方法が提供される。更には、本
発明のスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼの逆反
応を用いたスフィンゴ脂質又はスフィンゴ脂質誘導体の
製造方法が提供される。該酵素は、スフィンゴ脂質の機
能解明の研究、及び糖質工学等の分野において有用であ
る。また、該酵素を用いて製造したリゾスフィンゴ脂
質、スフィンゴ脂質の脂肪酸に代えて蛍光物質等を導入
した蛍光標識スフィンゴ脂質は、スフィンゴ脂質の細胞
内代謝や輸送経路の解明、スフィンゴ脂質の細胞内での
機能解明等の細胞工学に有用な基質及び試薬になるばか
りでなく、スフィンゴ脂質合成酵素や分解酵素の高感度
な基質になることが期待される。このスフィンゴ脂質の
共通構造であるセラミド部分の長鎖脂肪酸の修飾、置換
を行い、均一な長鎖脂肪酸を有するスフィンゴ脂質やス
フィンゴ脂質誘導体を製造することは工業的において有
用であり、例えば細胞への浸透性、細胞での代謝、ある
いは生物活性を改変した新しいスフィンゴ脂質誘導体を
作出でき医薬、化粧料、細胞工学等への応用が可能であ
る。
【0024】更に、本発明で初めてアトピー性皮膚炎患
者の落屑からスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ
を生産する微生物が単離されたことにより、該微生物を
用いたアトピー性皮膚炎の増悪に関与する起炎菌を同定
することもできる。本発明の微生物をアトピー性皮膚炎
患者から検出するには、患部から得た各種試料、例えば
患部を拭った滅菌綿球、滅菌ガーゼ、滅菌綿棒や皮膚の
一部、表皮の落屑等を用いて各種選択培地で培養し、ス
フィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ活性を指標にす
ることにより検出することが可能である。また、該微生
物を抗原とする抗体を用いて免疫学的に検出することも
可能である。更には該微生物の遺伝子の配列の一部を取
得し、プローブ又はプライマーとして遺伝子工学的に、
例えばポリメラーゼ・チェーン・リアクション(PC
R)法等を用いて検出することも可能である。更に、ア
トピー性皮膚炎の検出を行うことも可能である。
【0025】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、これらの実施例は本発明の一例を示すものであ
り、本発明はこれらになんら限定されるものではない。
【0026】実施例1 アトピー性皮膚炎患者の皮膚か
らのスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ生産菌の
単離 少量のアトピー性皮膚炎患者の落屑(表皮のはがれ落ち
た物)を100μlのSM−PY培地(0.5%ペプト
ン、0.1%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、
0.05%スフィンゴミエリン、及び0.05%タウロ
デオキシコール酸ナトリウム)に取り、25℃で3日間
培養を行う。その培養液から5μlを取り出し、100
μlのSM−PY培地に植え継いだ。同じ培養操作を数
回繰り返した後、20μlの培養上清と14C−コリンラ
ベルされたスフィンゴミエリンを含む20μlの50m
M酢酸緩衝液(pH6.0)/0.5%トリトンX−1
00を混合して37℃で一晩反応させた。反応液を乾固
した後、20μlのクロロホルム/メタノール(2:
1)液に溶解し、遠心分離により不要物を除いた上清を
TLCプレート(シリカゲル60、メルク社製)にの
せ、ブタノール/酢酸/水(2.5:1:1)で展開し
た。この薄層プレートをイメージングプレートにのせた
後、イメージングアナライザーBas1000(富士写
真フィルム社製)を用いて反応生成物を確認したとこ
ろ、スフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴ
ミエリン)のバンドが見られた。培養液をSM含有トリ
プトソーヤ寒天培地〔0.01%スフィンゴミエリン、
0.05%タウロデオキシコール酸ナトリウムを含むト
リプトソーヤ寒天培地(日水製薬社製)〕にまき、培養
後得られたコロニーを100μlのSM合成培地(0.
05%リン酸水素二カリウム、0.05%塩化アンモニ
ウム、0.05%スフィンゴミエリン、0.05%タウ
ロデオキシコール酸ナトリウム、0.5%塩化ナトリウ
ム、pH7.2)で培養した。この培養液中のスフィン
ゴミエリンの分解物を薄層クロマトグラフにより分析
し、分解活性の強いコロニーの選択を行った。薄層クロ
マトグラフは培養液20μlを蒸発乾固した試料を20
μlのクロロホルム/メタノール(2:1)液に溶解
し、遠心分離により不要物を除いた上清10μlをTL
Cプレート(シリカゲル60、メルク社製)にのせ、ク
ロロホルム/メタノール/10%酢酸(5:4:1)で
展開した。展開されたTLCプレートはオルシノール−
硫酸で焼き付けた後、クマシーブリリアントブルー染色
液によって染色を行った。また、ニンヒドリンを用いて
アミノ基の確認を行った。選択されたコロニーは上記の
操作を繰り返し行いスフィンゴミエリンをリゾスフィン
ゴミエリンまで分解する菌株の単離を行った。以上の操
作により、スフィンゴミエリンを分解する活性を持つ非
発酵性グラム陰性桿菌AI−2株を単離した。
【0027】実施例2 スフィンゴ脂質セラミドN−デ
アシラーゼの精製 0.5%ペプトン、0.1%酵母エキス、0.5%塩化
ナトリウム、及び0.05%スフィンゴミエリン、及び
0.05%タウロデオキシコール酸ナトリウムを含む液
体培地に、非発酵性グラム陰性桿菌AI−2(FERM
P−16124)を接種し、30℃で72時間培養し
た。培養終了後、培養液を6000rpm、30分間の
遠心分離によって菌体を除去して培養上清を得た。該培
養上清を粗酵素液とした。また、この粗酵素液を20m
M トリス塩酸緩衝液(0.1%ルブロール含有、pH
7.5)で平衡化したDEAE−セファロースFF(DE
AE-Sepharose FF 、ファルマシア社製)に供し、1M塩
化ナトリウムを含む同緩衝液へのグラジエント溶出によ
り溶出した。活性画分を回収し終濃度0.8Mになるよ
うに硫安を加え、20mM酢酸緩衝液(0.8M硫安含
有、pH6.0)で平衡化したブチル−トヨパール(Bu
tyl-Toyopearl 、東ソー社製)に供し、20mM酢酸緩
衝液(0.8M硫安含有、pH6.0)、20mM酢酸
緩衝液(0.4M硫安含有、pH6.0)、20mM酢
酸緩衝液(pH6.0)、20mM酢酸緩衝液(1.0
%ルブロール含有、pH6.0)によって順次、溶出を
行った。本酵素は20mM酢酸緩衝液(1.0%ルブロ
ール含有、pH6.0)によって溶出された。活性画分
は更に20mMリン酸緩衝液(0.1M塩化ナトリウム
及び0.3%ルブロール含有、pH6.8)で平衡化し
たスーパーデックス−200(Superdex-200、ファルマ
シア社製)によってゲルろ過クロマトグラフィーを行い
活性画分を回収し、このようにして得られた活性画分を
精製酵素とした。上述した酵素活性の測定法により、該
精製酵素の活性は177mU/リットルであった。更
に、該精製酵素は14C−GalCerを加水分解し、G
alCerのリゾ体と14Cで標識された脂肪酸を生成す
る活性を有していた。
【0028】実施例3 14C標識されたスフィンゴミエ
リンの製造 実施例2で得られた粗酵素液に、最終濃度1mMになる
ように14C−GalCerを加え、37℃、3時間反応
した後、実施例2と同様の方法で生成物の確認を行った
ところ、GalCerのリゾ体及び14C標識された脂肪
酸、リゾスフィンゴミエリン及び14C標識されたスフィ
ンゴミエリンが確認された。この結果、本酵素の加水分
解反応により14C−GalCerから遊離した14C標識
された脂肪酸が、本酵素の加水分解反応により生成した
リゾスフィンゴミエリンに転移したことにより、14C標
識されたスフィンゴミエリンが生成されたことが明らか
となった。したがって、本酵素が加水分解だけでなく、
逆反応の活性も有していることが明らかとなった。
【0029】
【発明の効果】本発明によって、従来知られている酵素
とは異なる基質特異性のスフィンゴ脂質セラミドN−デ
アシラーゼが提供され、該酵素を用いることによって種
々のスフィンゴ脂質からリゾスフィンゴ脂質を製造する
方法が提供された。また、このようにして得られたリゾ
スフィンゴ脂質は、その遊離アミノ基を利用して、例え
ば標識した脂肪酸を再導入したり、あるいは直接蛍光標
識したり、更にはアルブミン等の糖鎖を有しないタンパ
ク質と常法に従って結合させたりすることによってスフ
ィンゴ脂質誘導体に変換することができ、スフィンゴ脂
質関連酵素の活性測定用基質、精製用アフィニティーク
ロマトグラフィーのリガンドとして、及び抗スフィンゴ
脂質抗体の抗原として、あるいはスフィンゴ脂質の機能
解明の研究に用いることができ、スフィンゴ脂質の細胞
内代謝や輸送経路の解明、スフィンゴ脂質の細胞内での
機能解明等に有用な基質及び試薬として用いることがで
きる。また、本発明により、アトピー性皮膚炎の増悪に
関与すると考えられるスフィンゴ脂質セラミドN−デア
シラーゼを生産する微生物が単離されたことにより、該
微生物の純粋培養が可能となり、この微生物を駆除する
ことによるアトピー性皮膚炎の治療あるいは症状の軽減
作用を持つ薬剤の新たな開発が可能となる。更に、この
微生物の検出方法の開発が可能となり、アトピー性皮膚
炎の患者における起炎菌の同定が容易になる。また、こ
の微生物の生産するスフィンゴ脂質セラミドN−デアシ
ラーゼが得られたことにより、この酵素を不活化するこ
とによりアトピー性皮膚炎の治療あるいは症状の軽減作
用をもつ薬剤の開発が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られるスフィンゴ脂質セラミド
N−デアシラーゼの至適pHを示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有することを特徴
    とするスフィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼ。 (1)作用:スフィンゴ脂質中の分子内セラミドに作用
    して、スフィンゴシン塩基と脂肪酸とに加水分解し、リ
    ゾスフィンゴ脂質と脂肪酸を生成する。 (2)基質特異性:セラミド、スフィンゴ糖脂質及びス
    フィンゴリン脂質に作用する。 (3)至適pH:至適pHが8〜10である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスフィンゴ脂質セラミド
    N−デアシラーゼを用いてスフィンゴ脂質を処理するこ
    とを特徴とするリゾスフィンゴ脂質の製造方法。
  3. 【請求項3】 スフィンゴ脂質を、請求項1記載のスフ
    ィンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼの生産能を有する
    微生物と接触させることを特徴とするリゾスフィンゴ脂
    質の製造方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも異なる2種のスフィンゴ脂
    質、あるいはリゾスフィンゴ脂質と脂肪族カルボン酸又
    は脂肪族カルボン酸誘導体とを、請求項1記載のスフィ
    ンゴ脂質セラミドN−デアシラーゼを用いて酵素的に反
    応させ、スフィンゴ脂質あるいはスフィンゴ脂質誘導体
    を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質又はスフィンゴ
    脂質誘導体の製造方法。
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