JPH1025714A

JPH1025714A - 遮音装置

Info

Publication number: JPH1025714A
Application number: JP19834396A
Authority: JP
Inventors: Masao Suzuki; 政夫鈴木
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1996-07-09
Filing date: 1996-07-09
Publication date: 1998-01-27

Abstract

(57)【要約】【課題】既設の防音壁に容易に設置可能で、奥行（防
音壁の厚さ方向の幅）が短く、かつ騒音を効率良く吸音
する遮音性能の高い遮音装置を提供する。【解決手段】防音壁Ａの上端に、防音壁Ａ内側に開口
面を有する溝部４，５を、防音壁Ａの直立方向に多段に
配設し、これら溝部４，５の表面に吸音材６を固着して
装置本体１を形成したものであり、溝部４，５表面に設
けた吸音材６によって、車両等の走行にともない発生す
る騒音を吸音し、かつ騒音を複数回回折させることによ
って騒音エネルギーを減衰させ、騒音レベルを低下させ
る遮音装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道や高速道路な
どにおける車両騒音を低減するための遮音装置に関し、
特に、設置空間の限られた高速道路などに適した遮音装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、特公昭５１−４６９６９号公報に
開示されているように、防音壁の上端に沿って吸音材を
固着して、防音壁の外側に回り込む回折音波を吸音する
遮音装置や、特公平６−９９８８６号公報に開示されて
いるように、防音壁の上端に軌道側に向けて水平なひさ
し壁を突設し、このひさし壁の先端に垂直上向きに上方
指向壁を突設し、かつ軌道反対側に斜め上方向きに張出
し壁を突設し、さらに、これらに吸音材を設けて、回折
音波やパンタグラフから発生する騒音の下向きの音波を
吸音する遮音装置など種々の遮音装置が提案されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前者は防音壁の内外に
突出することがなく、限られた空間内に設置することが
できるが、それ程期待した以上の遮音効果は得られなか
った。また、後者は、上方および下方からの騒音を低減
することができる点で有効であるが、内側又は外側へ張
り出す長さが長くなり、防音壁からの突出長さが限定さ
れる例えば首都高速などには設置することは困難であっ
た。

【０００４】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れたものであり、既設の防音壁に容易に設置可能で、奥
行（防音壁の厚さ方向の幅）が短く、かつ騒音を効率良
く吸音する遮音性能の高い遮音装置を提供することを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、防音壁の上端に、防音壁内側に開口面を有す
る溝部を、防音壁の直立方向に多段に配設し、これら溝
部の表面に吸音材を固着して装置本体を形成したもので
あり、溝部表面に設けた吸音材によって、車両等の走行
にともない発生する騒音を吸音し、かつ騒音を複数回回
折させることによって騒音エネルギーを減衰させ、騒音
レベルを低下させることができる。

【０００６】更に、装置本体の外側に回り込む回折音波
を吸音する吸音材を装置本体上端に設けたので、溝部内
の吸音材で吸音できない場合であっても、装置本体の裏
側に回りこもうとする回折音波をこの吸音材で吸音する
ことができ、また、軌道両側の防音壁に設置した場合、
鉄道車両のパンタグラフの摺動に伴い発生する下向きの
騒音なども直接吸音することができる。

【０００７】そして、各溝部の縦方向の開口幅を維持す
る係止部材を設けたので、装置本体の上端や溝部内に雨
等が溜ったり、溝部内に設けた吸音材が水分を吸収し
て、装置本体にかかる加重が増加しても溝部がつぶれる
ことは無い。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図において、１は装置本体
で、長尺状の板材、例えば鉄板、鋼板、ステンレス鋼
板、アルミニウム合金板等などを断面略コ字形状に曲げ
加工した長尺状の保持板部材２，３を、上下二段に積み
重ねることにより、上下（防音壁Ａの直立方向）二段の
溝部４，５を配設し、更に保持板部材２，３の開口面側
上下端を折り返して形成した断面略Ｌ字形状の係止部２
ａ，２ｂ，３ａ，３ｂに、板状吸音材６の各端部を嵌め
込むことによって溝部４，５表面に吸音材６を付設し形
成されている。そして、上下二段に積み重ねた保持板部
材２，３の背面に、断面コ字形状の支持柱８をボルト及
びナットを用いて固定し、保持板部材２，３を上下に固
定している。この支持柱８は保持板部材２，３の長手方
向両端に固定されている。

【０００９】また、上側の保持板部材２の上部開口端か
ら支持柱８の上端を結ぶ傾斜した平面上に、吸音材７が
設けられている。この吸音材７は、長尺状天板部材９の
両端に設けた係止部９ａ，９ｂに、各端部を嵌め込んで
固定される。

【００１０】天板部材９は、長尺状の板材の一端を表面
側に折り返して断面略Ｌ字形状の係止部９ａを形成し、
他端を裏面方向に斜めに曲折して固定片９ｃを形成し、
この固定片９ｃに沿って、断面コ字形状の長尺状係止部
９ｂを表面に固着して形成されており、固定片９ｃを上
側の保持板部材２の上側係止部２ａ端面に固定し、断面
略Ｌ字形状の係止部９ａを形成した端部を支持柱８の上
端に断面略「く」字形状の長尺固定部材８ａを介して固
定している。

【００１１】更に、各保持板部材２，３の開口幅を維持
する係止部材１０を、各保持板部材２，３の各係止部２
ａ，２ｂ，３ａ，３ｂ端面に、適宜間隔（図において
は、保持板部材２，３の長手方向長さの約半分）毎にボ
ルト及びナットを用いて固定して、保持板部材２，３同
志を上下に固定している。このとき、天板部材９の固定
片９ｃと上側の保持板部材２の上側係止部２ａとを一緒
に固定する。

【００１２】係止部材１０は、装置本体１の高さと同じ
長さの長尺状板材の背面１０ａに突設した二組の係止面
１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂによって、各保持板部
材２，３の開口端（係止部２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂ）を
支持するもので、断面Ｌ字形状に形成した長尺状板材の
側面中間を、長手方向に直交する方向に切断して上部側
面１１と下部側面１２とに分断し、さらに、分断した各
側面１１，１２の上下端部を板材幅と略同じ長さ分だけ
背面と切離し、これらの端部を直角に曲折して、板材背
面に直立する係止面１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂを
形成している。そして、板材の上下端部及び中腹部と、
各係止面１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂにネジ用の貫
通孔１３を穿孔している。

【００１３】支持柱８は、断面コ字形状のみぞ形鋼で、
装置本体１を固定した部分から下を、防音壁Ａの直立方
向に沿って、防音壁Ａ上端に固定する設置部材１４の外
側表面に溶接固着し、下側保持板部材３の底面を設置部
材１４の上面に固着させるようにして、設置部材１４と
共に防音壁Ａの上端にボルト及びナットを用いて固定す
る。なお、支持柱として、他の形状、例えば断面Ｌ、
Ｉ、Ｈ字形状などの鋼材を用いても良い。

【００１４】設置部材１４は、保持板部材２又は支持柱
８と同一材質で、防音壁Ａの厚さ方向長さに等しい開口
幅を有する断面コ字形状で、装置本体１の長手方向長さ
と同じ長さを有する長尺状に形成されており、前述した
ように外側表面は支持柱８と共に防音壁Ａに固定される
ほか、更に内外表面とも複数のボルト及びナットを用い
て防音壁Ａに固定される。さらに、設置部材１４の内側
表面に、上下端部に断面略Ｌ字形状の係止部１５ａ，１
５ｂを有する保持板部材１５を固定し、各係止部１５
ａ，１５ｂに吸音材１６の上下端部を嵌め込んでいる。

【００１５】また、装置本体１が防音壁Ａよりも突出す
る場合、図に示すように、設置部材１４の上面と同一平
面上に長尺状の補助板１７を延設し、これに下側保持板
部材３の底面を固定し、装置本体１の強度などを向上さ
せている。

【００１６】ここで、吸音材６，７，１６は、テック
ス、ガラス繊維、フェルトなどの素材、例えば、ブリヂ
ストン社製のフィブライト（商標）から適宜選択され、
更に吸音材６，７，１６の表面に防水処理を施したもの
などが良い。

【００１７】なお、溝部４，５の形状は、断面コ字形状
に限定されず、断面略Ｃ字形状、断面半円形状、断面Ｖ
字形状、断面台形状など任意に選択可能であり、また、
溝部４，５を構成する部材も、板材から成る保持板部材
２，３に限定されず、長尺の直方体の一面に、長手方向
に沿って並列させて溝部を切欠き形成したり、板材上に
長尺の直方体を複数並列に突設して溝部を形成しても良
い。

【００１８】次に、上述した遮音装置の作用を図６を用
いて説明する。保持板部材２，３で形成した溝部４，５
表面に設けた吸音材６や、設置部材１４の内側表面に設
けた吸音材１６によって、車両走行にともない発生する
騒音を直接吸音し、さらに、溝部４，５内の吸音材６で
吸音できず、騒音が溝部４，５に沿って回折して装置本
体１の上部に進んでも、装置本体１上端に設けた吸音材
７で吸音することができる。また、設置部材１４の内側
表面に設けた吸音材１６で吸音できなかった騒音が、装
置本体１に沿って回折した場合でも、溝部４，５に設け
た吸音材６で十分吸音することができる。

【００１９】更に、保持板部材２，３を上下二段に積み
重ねて溝部４，５を二段配設しているので、吸収できな
い回折音波を複数回回折させて騒音のエネルギーを減衰
させ、騒音レベルを低下させることができる。

【００２０】また、図においても明らかなように、防音
壁Ａの内外に突出する長さが短く、更に装置本体１の奥
行を防音壁Ａの厚さ方向の幅と等しくすることにより、
防音壁Ａの内外に突出することなく、設置することが可
能である。

【００２１】支持柱８を用いて保持板部材２，３同志を
確実に固定しているので、横風や車両走行による突風な
どにも耐えることができる。また、係止部材１０を用い
て保持板部材２，３の開口面を支持しているので、装置
本体１の強度が向上し、溝部４，５内に雨等が溜った
り、吸音材６，７が水分を吸収するなどして、保持板部
材２，３にかかる加重が増加した場合でも耐えうること
ができる。

【００２２】また、保持板部材（２，３）の増減によっ
て溝部（４，５）の増減が可能であり、騒音レベルの高
い場所では多くの溝部（４，５）を配設するなど、各設
置場所に対応する装置構造に容易に変更することがで
き、設置条件や遮音条件の異なるあらゆる場所において
効果的な設置が可能となる。

【００２３】また、図示しないが、軌道両側の防音壁に
設置した場合、装置本体（１）の上部に設けた吸音材
（７）によって、車両のパンタグラフの摺動に伴い発生
する上から下に向かう騒音なども直接吸音することがで
きる。

【００２４】

【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、防音壁Ａの内外方向への突出長が規制されてい
る場合であっても設置することが可能で、かつ防音壁の
厚さと同等の奥行でも高い遮音性能を有する遮音装置を
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の遮音装置の一実施の形態を示す垂直断
面図である。

【図２】上記遮音装置の正面図である。

【図３】上記遮音装置の概略斜視図である。

【図４】上記遮音装置の係止部材を示す概略斜視図であ
る。

【図５】上記係止部材を装置本体に固定した状態を示す
部分正面図である。

【図６】上記遮音装置の使用例を示す概略斜視図であ
る。

【符号の説明】１装置本体４溝部５溝部６吸音材７吸音材１０係止部材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】防音壁の上端に、防音壁内側に開口面を
有する溝部を、防音壁の直立方向に多段に配設し、これ
ら溝部の表面に吸音材を固着して装置本体を形成したこ
とを特徴とする遮音装置。
【請求項２】装置本体の外側に回り込む回折音波を吸
音する吸音材を装置本体上端に設けた請求項１記載の遮
音装置。
【請求項３】前記各溝部の縦方向の開口幅を維持する
係止部材を設けた請求項１又は２記載の遮音装置。