JPH10256276A - p型II−VI族化合物半導体の形成方法 - Google Patents

p型II−VI族化合物半導体の形成方法

Info

Publication number
JPH10256276A
JPH10256276A JP5923897A JP5923897A JPH10256276A JP H10256276 A JPH10256276 A JP H10256276A JP 5923897 A JP5923897 A JP 5923897A JP 5923897 A JP5923897 A JP 5923897A JP H10256276 A JPH10256276 A JP H10256276A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
type
compound semiconductor
thin film
znse
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5923897A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Kitsuno
裕 橘野
Takenori Yasuda
剛規 安田
Mineo Okuyama
峰夫 奥山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP5923897A priority Critical patent/JPH10256276A/ja
Publication of JPH10256276A publication Critical patent/JPH10256276A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Led Devices (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 II−VI族化合物半導体中のp型キャリア濃度
が1×1017cm-3以上を容易に達成可能な有機金属化
学気相成長(MOCVD)法によるp型II−VI族化合物
半導体の形成方法を開発し、p型キャリア濃度が1×1
17cm-3以上のp型II−VI族化合物半導体、特にp型
ZnSe系半導体を得る。 【解決手段】 有機金属化学気相成長(MOCVD)法
によるp型II−VI族化合物半導体の形成方法において、
p型ドーパントとして、ビス[ビス(トリメチルシリ
ル)アミド]亜鉛(Zn[N(SiMe322 )を
用い、VI族元素の原料としてジターシャリーブチルセレ
ン(((CH33 C)2 Se)、ターシャリーブチル
イソプロピルセレン(((CH33 C)((CH3
2 CH)Se)またはジイソプロピルセレン(((CH
32 CH)2 Se)のうちの少なくとも一つを用い、
薄膜の成長温度を200℃以上340℃未満とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相成長法による
II−VI族化合物半導体の形成方法に係り、特にp型II−
VI族化合物半導体の形成に好適な、有機金属化学気相成
長(MOCVD)法によるp型II−VI族化合物半導体の
形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】II−VI族化合物半導体は、青色ないし緑
色発光の半導体材料として有望な物質である。この中で
もZnSe系半導体が最も有望であり、ZnSeだけで
用いるか、あるいは更にこれにモディファイヤーとして
Mg及び/またはCdのII族元素並びにS及び/または
TeのVI族元素を用いたII−VI族化合物半導体が期待さ
れている。このII−VI族化合物半導体のp型伝導性を示
すドーパントとしては窒素が注目されている。しかしな
がら従来の有機金属化学気相成長(MOCVD)法を用
いたZnSeを代表とするp型II−VI族化合物半導体薄
膜の作製においては、窒素をドーパントとして半導体層
中に導入してもp型キャリア濃度として1017cm-3
上の濃度を有するp型II−VI族化合物半導体が製造でき
ないという問題があった。
【0003】すなわちZnSe系半導体においては、窒
素原子添加がp型の半導体薄膜の成長に最も有望である
と考えられているため、p型ドーパントとして多くの窒
素原料が検討された。しかし、従来の窒素原料として試
みられた化合物の中には、ZnSe系半導体結晶内に窒
素原子が1018cm-3以上ドーピングされるものが見い
だされてはいるが、この場合においてもアクセプター化
活性化率が著しく低いため、効率の良いドーピングが実
現されていないのが実情であった。
【0004】またMBE装置を用い、高真空下で亜鉛と
セレンの分子線を半導体基板に照射し、ZnSeを成長
させる分子線エピタキシー(MBE)法において窒素を
高周波放電にてプラズマ分解し生成したNラジカルをド
ーピングする方法の提案もある。この方法はそれ自体で
キャリア濃度を1017cm-3と高濃度のものが得られる
が、装置が高価であり、高真空の使用が要求されている
ため生産性が悪く、すでに装置を有しているかあるいは
特殊な半導体を製造する場合を除き安価なp型II−VI族
化合物半導体の製造法としては採用が困難な方法であ
る。
【0005】MOCVD法等の気相成長法によるp型II
−VI族化合物半導体の形成方法において、従来検討され
た窒素原料としての化合物のうち、主なものとしてアン
モニア(NH3 )、ターシャリーブチルアミン(tBu
NH2 )、トリアリルアミン(TAN)等がある。
【0006】NH3 は、p型ドーパントとして多数の実
験で使用された窒素原料である。しかし、いずれの実験
においてもキャリア濃度として1016cm-3以上のp型
ZnSeは実現されていない。NH3 をp型ドーパント
の原料として使用したZnSe薄膜中の窒素原子濃度
は、二次イオン質量分析(SIMS)によると1018
-3以上であり、また該ZnSe薄膜の10Kでのフォ
トルミネッセンススペクトルではドナーアクセプター対
発光が支配的になるほど、NH3 を使用した場合のZn
Se薄膜への十分な量の窒素原子の添加と、アクセプタ
ーの生成は確認されているが、p型キャリア濃度は1×
1016cm-3以下であり、N原子の活性化率は1%以下
と低かった。
【0007】また、窒素原料としてtBuNH2 を用い
た例としては、II族及びVI族原料としてジエチル亜鉛
(DEZn)、ジメチルセレン(DMSe)を用い、成
長温度を350℃に下げる目的で、基板に紫外光を照射
しながらMOCVDを行う光アシストMOCVD法で、
p型キャリア濃度が2×1017cm-3のp型ZnSeが
作製されたという報告がある(ジャーナル オブ エレ
クトロニック マテリアルズ(J.Electronic Material
s)、23巻、263頁(1994))。しかしこの方
法は、光を広範囲に均一に照射することは難しく、また
成長炉の内壁に主成分をZnSeとする付着物が堆積す
るため、紫外光照射強度が経時的に減少するなど、生産
に不利な製造法であると考えられる。
【0008】また、窒素原料としてTANを用いた例と
しては、II族およびVI族原料がジメチル亜鉛(DMZ
n)のトリエチルアミン(TEN)付加体(DMZn
(TEN)))とジターシャリーブチルセレン(DTB
Se)の組み合わせで、p型キャリア濃度が1.2×1
17cm-3のp型ZnSeが得られたとの報告がある
(ジャーナル オブ クリスタル グロース(J.Crysta
l Growth) 、145巻、918頁(1994))。しか
しながら該論文の報告者らは、その追試においては再現
性が得られていないとの報告をしており、3級アミンで
あるTANのp型ドーピングに対する有効性はいまだに
確認されていない。
【0009】またp型II−VI族化合物半導体のMOCV
D法による成長において、成長原料あるいはp型ドーパ
ントとして低級ジアルキル亜鉛の低級トリアルキルアミ
ンアダクトを使用する提案がなされている(特開平6−
29227号公報)。上記のp型ドーパントは、分子内
の低級ジアルキル亜鉛の亜鉛原子と低級トリアルキルア
ミンの窒素原子とは配位結合をしており、この結合は膜
成長時の基板加熱により容易に切断され、更に遊離した
低級トリアルキルアミンは分解性が低いため、p型II−
VI族化合物半導体中への窒素添加は十分に行われず、そ
の結果得られるp型II−VI族化合物半導体中のキャリア
濃度も1016cm-3のレベルであり、更なる改良が要求
されている。
【0010】また、窒素原料としてビス[ビス(トリメ
チルシリル)アミド]亜鉛(Zn[N(SiMe3
22 )を用いた例としては、 II族およびVI族原料として、DEZnとセレン化水素
(H2 Se)との組合せでZnSeを作成した報告(ジ
ャーナル オブ エレクトロニック マテリアルズ(J.
Electronic Materials)、21巻、361頁(199
2))および、 II族およびVI族原料として、DMZn(TEN)とD
TBSeとの組合せでZnSeを作成した報告(ジャー
ナル オブ クリスタル グロース(J.CrystalGrowt
h)、169巻、243頁(1996))があるが、共
に窒素のZnSe中への導入の証拠は得られたもののそ
の濃度は不明であり、p型ZnSeは得られていない。
【0011】以上のように従来のMOCVD法によるZ
nSe薄膜の成長においては、前記したように窒素原料
としてNH3 を含めた数多くの窒素含有化合物について
検討が行われたが、p型キャリア濃度が1×1017cm
-3以上のp型ZnSe系半導体薄膜を安定に作製できる
窒素含有化合物が見いだされていない。そのため、半導
体発光素子材料として有望なp型II−VI族化合物半導
体、特にp型ZnSe系半導体のための、p型キャリア
濃度1017cm-3以上を安定にかつ安価に形成するため
の有機金属化学気相成長(MOCVD)法によるp型II
−VI族化合物半導体の形成方法が求められていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、MOCVD
法によりp型II−VI族化合物半導体を形成するに際し、
該半導体中のp型キャリア濃度が1×1017cm-3以上
を容易に達成可能な有機金属化学気相成長(MOCV
D)法によるp型II−VI族化合物半導体の形成方法を開
発し、p型キャリア濃度が1×1017cm-3以上のp型
II−VI族化合物半導体、特にp型ZnSe系半導体を得
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、II族元素の原
料、VI族元素の原料及びp型ドーパントを用いて、有機
金属化学気相成長(MOCVD)法により、基板上にp
型II−VI族化合物半導体薄膜を成長させるp型II−VI族
化合物半導体の形成方法において、上記p型ドーパント
として、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミド]亜鉛
(Zn[N(SiMe322 )を用い、VI族元素の
原料としてジターシャリーブチルセレン(((CH3
3 C)2 Se)、ターシャリーブチルイソプロピルセレ
ン(((CH33 C)((CH32 CH)Se)ま
たはジイソプロピルセレン(((CH32 CH)2
e)のうちの少なくとも一つを用い、該薄膜の成長温度
を200℃以上340℃未満とすることを特徴とするp
型II−VI族化合物半導体の形成方法、を開発することに
より上記の目的を達成した。
【0014】
【発明の実施の形態】ここでは、本発明についてZnS
e半導体を代表として説明をする。しかし、本発明の対
象となるp型II−VI族化合物半導体は、主にZnSeを
主体とするZnSe系半導体であり、一般式(1) Znx Mgy Bez Cd1-x-y-z1-a-b Tea Seb ・・・(1) (但し、0<x≦1、0≦y<1、0≦z <1、0<x
+y+z≦1、0≦a<1、0<b≦1、0<a+b≦
1)で表すことができる。より具体的には、ZnSe、
ZnSSe、ZnCdSe、ZnBeSe、ZnTeS
e、ZnMgSSe等の半導体である。
【0015】従来、MOCVD法により形成したZnS
e結晶中の窒素原子(N)の活性化率が低い原因として
は、ZnSe結晶中に取り込まれる水素原子(H)がN
のアクセプター化を阻害すると考えられていた。しか
し、本発明者らは、Nの活性化率が低い原因について、
Hによる阻害だけでなく、Nの大多数がZnSe結晶中
で格子間位置に存在し、NがSe格子点に効率よく置換
していないことも大きな要因であると考えた。そして、
従来の報告のようにアンモニア、またはアミン類の窒素
原料をp型ドーパントとして用いた場合、NがSe格子
点に置換するために必要なII族元素とNの共有結合の形
成は、これらのp型ドーパントの分解性が低いため効率
が悪く、このことがNのZnSe結晶中でのSe格子点
への取り込まれが少ない要因であると考えた。
【0016】そこで、本発明者らは、p型ドーパントの
窒素原料として、II族元素であるZnとドーパントであ
るN原子とが分子内で共有結合を有する化合物であるビ
ス[ビス(トリメチルシリル)アミド]亜鉛(Zn[N
(SiMe322 )を用いることにより、N原子を
効率よく成長ZnSe表面に供給でき、N原子がSe格
子点に効率よく置換してZnSe結晶中に取り込まれる
ため、アクセプターとしての高い活性化率が得られ、容
易に1017cm-3以上のp型ZnSeの結晶が得られる
だろうと推定した。
【0017】上記本発明のp型ドーパント化合物はII族
元素であるZnと、ドーパントであるN原子が分子内で
共有結合を有するものであるため、従来の技術の1つ
(特開平6−29227号記載の発明)で用いているZ
nとN原子が配位結合を有するアダクト化合物とは本質
的に異なる。また上記のp型ドーパント化合物では、従
来のアンモニアまたはアミン類などの窒素原料と比較し
て、分子内のNに結合するH原子の数も少ないため、窒
素化合物に由来して結晶中へ取り込まれるH原子も減少
することが期待できる。また上記のp型ドーパント化合
物中のNに結合したSiはp型ZnSeの結晶成長時に
成長温度を選択することにより容易に系外に放出される
ため、ZnSeのp型化を阻害する程度のSiがZnS
e結晶中に導入されることはないと考えられる。
【0018】p型ドーパントとしてビス[ビス(トリメ
チルシリル)アミド]亜鉛を用いて、MOCVD法によ
りp型II−VI族化合物半導体を気相成長させる際は、成
長温度は200℃以上、340℃未満であることが必要
であり、好ましくは250℃以上、320℃以下を用い
る。これは、340℃以上の成長温度では、ビス[ビス
(トリメチルシリル)アミド]亜鉛の分解により生成し
たSiがZnSe薄膜中に混入して膜質を劣化させるた
めに好ましくないからである。また、200℃未満の成
長温度では、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミド]
亜鉛やII族元素の原料およびVI族元素の原料の分解が不
十分であるため、有効なNのドーピングができない。原
料の分解を十分に行い、かつ不要なSiのZnSe薄膜
への混入を防止して、有効なNのドーピングを行うため
には、成長温度は250℃以上、320℃以下であるこ
とがさらに好ましい。
【0019】また、一般にMOCVD法によるZnSe
系半導体薄膜の気相成長に用いられるSe原料の例とし
ては、セレン化水素、ジターシャリーブチルセレン
(((CH33 C)2 Se)、ターシャリーブチルイ
ソプロピルセレン(((CH33 C)((CH32
CH)Se)、ジイソプロピルセレン(((CH32
CH)2 Se)、ジエチルセレン、ジメチルセレン等が
挙げられるが、本発明においては、Se原料が340℃
未満で容易に分解することが必要であるため、ジターシ
ャリーブチルセレン、ターシャリーブチルイソプロピル
セレン、ジイソプロピルセレンが好適に用いられる。S
e原料としてH2 Seを用いた場合、この原料は気相中
で容易に他の原料と反応して副生物を生じるため、好ま
しくない。
【0020】また、本発明のp型ドーパントを使用して
p型II−VI族化合物半導体をMOCVD法により気相成
長させる際は、反応圧力が10torr以上、常圧以
下、好ましくは50torr以上、350torr以下
の条件を用いるのが適当である。
【0021】本発明のp型II−VI族化合物半導体の気相
成長に用いるII族元素の原料として、Zn原料の例とし
ては、DMZn、DEZn、DMZn(TEN)、ある
いはジプロピル亜鉛((Pr)2 Zn)、ジイソプロピ
ル亜鉛((iPr)2 Zn)、ジブチル亜鉛((Bu)
2 Zn)、ジターシャリーブチル亜鉛((tBu)2
n)等が挙げられる。また、Mg原料の例としてはビス
(シクロペンタジエニル)マグネシウム((Cp)2
g)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウ
ム((MeCp)2 Mg)、ビス(イソプロピルシクロ
ペンタジエニル)マグネシウム((iPrCp)2
g)等が、Cd原料の例としてはジメチルカドミウム
(DMCd)等が挙げられる。
【0022】また、本発明のp型II−VI族化合物半導体
の気相成長に用いるVI族元素の原料として、S原料の例
としてはジエチル硫黄(DES)等が、Teの原料の例
としてはジターシャリーブチルテルル(DTBTe)、
ジイソプロピルテルル(DIPTe)、ジメチルテルル
(DMTe)等が挙げられる。
【0023】
【作用】本発明のMOCVD法によるp型II−VI族化合
物半導体の形成方法によれば、p型ドーパントとして、
ビス[ビス(トリメチルシリル)アミド]亜鉛(Zn
[N(SiMe322 )を用い、VI族元素の原料と
してジターシャリーブチルセレン(((CH33 C)
2 Se)、ターシャリーブチルイソプロピルセレン
(((CH33 C)((CH32 CH)Se)また
はジイソプロピルセレン(((CH32 CH)2
e)のうちの少なくとも一つを用い、成長温度を200
℃以上340℃未満とすることにより、NドープのZn
Se系半導体薄膜の成長において、N原子を効率よくS
e格子点に置換し、更に結晶中のNの数に対するHの数
の比(H/N比)を低減することができるため、1017
cm-3以上のキャリア濃度のp型II−VI族化合物半導体
の形成が可能となる。その結果、上記のp型II−VI族化
合物半導体の形成方法により、高輝度の青色ないし緑色
発光に好ましい性質を有する半導体発光素子用途のp型
II−VI族化合物半導体を成長させることができる。
【0024】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参考
にしながら説明する。 (実施例1)図1は本発明に用いる化合物半導体の形成
装置の概略構成を説明するためのものであり、一般的な
MOCVD成長装置として知られているものである。図
中11はキャリアガスとして用いる高純度Arボンベ、
12はキャリアガスとして用いる高純度H2 ボンベ、1
3はH2 バランスの10%AsH3 が入ったAsH3
ンベ、14は高純度NH3 ボンベ、15はZn原料であ
る液体のDEZnが充填されたZn原料ボトル、16は
p型ドーパントとして用いる原料のビス[ビス(トリメ
チルシリル)アミド]亜鉛が充填されたp型ドーパント
ボトル、17はVI族元素原料である液体のジターシャリ
ーブチルセレンが充填されたSe原料ボトルである。2
6はZnSe薄膜を成長させる反応炉、27は基板加熱
のための載置台とヒーター、28はGaAs基板、25
はキャリアガス切り替えのためのバルブ、20〜24は
流量制御のためのマスフローコントローラー、29は真
空ポンプ、30は除害設備、18、19はキャリアガス
精製装置である。
【0025】前述した原料は各々流量コントローラーに
より流量制御され、アルゴンキャリアガスとともに減圧
(160torr)の反応炉26に導入される。ただし
成長直前には、バルブ25を用いてキャリアガスをH2
に変更し、AsH3 +H2 雰囲気下でGaAs基板をサ
ーマルクリーニングする。次に、p型II−VI族化合物半
導体形成の具体的な方法について説明する。
【0026】MOCVD法によるZnSe薄膜の成長に
おいては、基板として(100)面justの半絶縁性
のGaAs単結晶基板(直径2インチ、厚み350μ
m)を使用した。基板は、まず基板表面のダメージ層除
去の目的で、20℃、96%濃硫酸中に1分保持し、次
いで60℃の硫酸(濃度96重量%):過酸化水素水
(濃度35重量%):水=8:1:1(体積比)のエッ
チャントで、基板表面を数μm除去した。その後、超純
水流水中ですすぎ、引き上げた後、乾燥窒素ブローで表
面の水滴を除去し、白熱灯照射にて乾燥した。洗浄した
基板はウエハキャリア上に載せ、MOCVD成長装置の
反応炉26の前室(図示せず)に投入した後、前室内の
空気をアルゴンガスに置換し、アルゴン雰囲気の反応炉
26内に搬送し、ヒーター27上に載置した。
【0027】続いて、H2 キャリアガスを用いAsH3
によるサーマルクリーニングを実施した。その後、成長
温度である310℃にウエハ温度を設定後キャリアガス
をH2 からアルゴンに切り替え、アルゴン雰囲気下に基
板を保持し、薄膜の成長を開始した。成長条件としては
成長温度310℃、成長圧力160torrとした。原
料供給量は、DEZnを60μmol/分、ジターシャ
リーブチルセレンを45μmol/分とした。薄膜の
内、Nドープ層のp型ZnSeの成長においては、p型
ドーパントボトル容器16の保持温度は70℃とし、キ
ャリアガスとしてアルゴンを用いて1000ml/分の
流量で上記p型ドーパントであるビス[ビス(トリメチ
ルシリル)アミド]亜鉛を添加した。
【0028】ZnSe結晶薄膜の成長においては、サー
マルクリーニングしたGaAs基板上に、まずアンドー
プのZnSe薄膜を成長時間12分で成長させた。その
直後にp型ドーパントをキャリアガスにより加え、Nド
ープのp型ZnSe薄膜を成長時間120分で成長させ
た。成長終了後基板温度を室温まで下げた。以上の成長
により、1.2μmのNドープのZnSe薄膜を成長す
ることができた。この結果、SIMSにより測定したZ
nSe薄膜中のN濃度は1.4×1018cm-3であり、
p型のキャリア濃度(実効キャリア濃度:Na−Nd、
以下同じ)が5×1017cm-3のp型ZnSe薄膜が得
られた。この結果から、本実施例1で作成したp型Zn
Se薄膜中の窒素原子の活性化率は36%であった。ま
たSIMSにより測定したZnSe薄膜中のSi濃度は
不検出量(<3×1015cm-3)であった。
【0029】(比較例1)実施例1においてNH3 をp
型ドーパントとして用い、図1のNH3 ガスボンベ14
から20μmol/分で導入した他は実施例1と同様に
してNドープのZnSe薄膜を成長した結果、薄膜中の
N濃度は1.0×1018cm-3と実施例1と同程度にも
関わらず、薄膜のp型キャリア濃度は1×1016cm-3
と低く、窒素原子の活性化率も1%と低かった。
【0030】(実施例2)実施例1において、成長温度
を210℃、240℃、270℃、および330℃と
し、他は実施例1と同様にして、上記のMOCVD法に
よりZnSe薄膜の成長を行った。得られたZnSe薄
膜中のN濃度、p型のキャリア濃度、窒素原子の活性化
率、Si濃度およびZnSe薄膜の膜厚をまとめて表1
に示した。なお、前記実施例1の結果も表1に示した。
【0031】(比較例2)実施例1において、成長温度
を360℃とした他は実施例1と同様にしてNドープの
ZnSe半導体薄膜を成長させた。得られたZnSe薄
膜中のN濃度、p型のキャリア濃度、窒素原子の活性化
率、Si濃度およびZnSe薄膜の膜厚を表1に示し
た。本比較例2で作製したZnSe薄膜中には、ビス
[ビス(トリメチルシリル)アミド]亜鉛の分解により
生成したSiが混入したため、窒素原子の活性化率が低
く、1017cm-3以上のp型のキャリア濃度が得られな
かった。
【0032】(比較例3)実施例1において、成長温度
を190℃とした他は実施例1と同様にしてNドープの
ZnSe半導体薄膜を成長させた。しかし、評価をする
のに十分な膜厚の薄膜は得られなかった。この結果も表
1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例3)実施例1において、ジターシ
ャリーブチルセレンの代わりにターシャリーブチルイソ
プロピルセレンを用い供給量を60μmol/分とした
他は実施例1と同様にして、上記のMOCVD法により
ZnSe薄膜の成長を行ったところ、N濃度が1.3×
1018cm-3で、p型のキャリア濃度4×1017cm-3
のp型ZnSe薄膜が得られた。この結果から、本実施
例3で作製したp型ZnSe薄膜中の窒素原子の活性化
率は31%であった。またSIMSにより測定したZn
Se薄膜中のSi濃度は不検出量(<3×1015
-3)であった。
【0035】(実施例4)実施例1において、ジターシ
ャリーブチルセレンの代わりにジイソプロピルセレンを
用い供給量を60μmol/分とした他は実施例1と同
様にして、上記のMOCVD法によりZnSe薄膜の成
長を行ったところ、N濃度が1.2×1018cm-3で、
p型のキャリア濃度3×1017cm-3のp型ZnSe薄
膜が得られた。この結果から、本実施例4で作製したp
型ZnSe薄膜中の窒素原子の活性化率は25%であっ
た。またSIMSにより測定したZnSe薄膜中のSi
濃度は不検出量(<3×1015cm-3)であった。
【0036】(実施例5)実施例1において、成長圧力
を320torrとした他は実施例1と同様にして、上
記のMOCVD法によりZnSe薄膜の成長を行ったと
ころ、N濃度が1.0×1018cm-3で、p型のキャリ
ア濃度3×1017cm-3のp型ZnSe薄膜が得られ
た。この結果から、本実施例5で作製したp型ZnSe
薄膜中の窒素原子の活性化率は30%であった。またS
IMSにより測定したZnSe薄膜中のSi濃度は不検
出量(<3×1015cm-3)であった。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、p型II−VI族化合物
半導体薄膜の製造において、本発明のMOCVD法によ
るp型II−VI族化合物半導体の形成方法によれば、p型
ドーパントとして、ビス[ビス(トリメチルシリル)ア
ミド]亜鉛(Zn[N(SiMe322 )を用い、
VI族元素の原料としてジターシャリーブチルセレン
(((CH33 C)2 Se)、ターシャリーブチルイ
ソプロピルセレン(((CH33 C)((CH32
CH)Se)またはジイソプロピルセレン(((CH
32 CH)2 Se)のうちの少なくとも一つを用い、
成長温度を200℃以上340℃未満とすることによ
り、NドープのZnSe系半導体薄膜の成長において、
簡単にN原子を効率よくSe格子点に置換し、更に結晶
中のNの数に対するHの数の比(H/N比)を低減する
ことができるため、1017cmー3以上のキャリア濃度の
p型II−VI族化合物半導体の形成が可能となり、安定か
つ安価なp型II−VI族化合物半導体を生産する方法を確
立することができる。
【0038】なお、本発明はMOCVD法によるp型II
−VI族化合物半導体の形成方法以外に、例えば有機金属
を用いた分子線エピタキシー(MOMBE)法や気相エ
ピタキシャル成長(VPE)法等に用いることもでき
る。また、p型II−VI族化合物半導体の構成元素として
MgやCdを含むp型II−VI族化合物半導体において
は、p型ドーパントとしてビス[ビス(トリメチルシリ
ル)アミド]マグネシウム或いはビス[ビス(トリメチ
ルシリル)アミド]カドミウム等の化合物を用いても、
本発明と同様の方法によりp型II−VI族化合物半導体を
形成できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜5及び比較例1〜3に使用したMO
CVD装置の概略図。
【符号の説明】
11 高純度Arボンベ 12 高純度H2 ボンベ 13 AsH3 ボンベ 14 高純度NH3 ボンベ 15 Zn原料ボトル 16 p型ドーパントボトル 17 Se原料ボトル 18 キャリアガス精製装置 19 キャリアガス精製装置 20 マスフローコントローラー 21 マスフローコントローラー 22 マスフローコントローラー 23 マスフローコントローラー 24 マスフローコントローラー 25 キャリアガス切り替えバルブ 26 反応炉 27 載置台とヒーター 28 GaAs基板 29 真空ポンプ 30 除害設備

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 II族元素の原料、VI族元素の原料及びp
    型ドーパントを用いて、有機金属化学気相成長(MOC
    VD)法により、基板上にp型II−VI族化合物半導体薄
    膜を成長させるp型II−VI族化合物半導体の形成方法に
    おいて、 上記p型ドーパントとして、ビス[ビス(トリメチルシ
    リル)アミド]亜鉛(Zn[N(SiMe322
    を用い、 VI族元素の原料としてジターシャリーブチルセレン
    (((CH33 C)2 Se)、ターシャリーブチルイ
    ソプロピルセレン(((CH33 C)((CH32
    CH)Se)またはジイソプロピルセレン(((CH
    32 CH)2 Se)のうちの少なくとも一つを用い、 該薄膜の成長温度を200℃以上340℃未満とするこ
    とを特徴とするp型II−VI族化合物半導体の形成方法。
JP5923897A 1997-03-13 1997-03-13 p型II−VI族化合物半導体の形成方法 Pending JPH10256276A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5923897A JPH10256276A (ja) 1997-03-13 1997-03-13 p型II−VI族化合物半導体の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5923897A JPH10256276A (ja) 1997-03-13 1997-03-13 p型II−VI族化合物半導体の形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10256276A true JPH10256276A (ja) 1998-09-25

Family

ID=13107615

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5923897A Pending JPH10256276A (ja) 1997-03-13 1997-03-13 p型II−VI族化合物半導体の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10256276A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5300185A (en) Method of manufacturing III-V group compound semiconductor
WO2006038567A1 (ja) p型Ga2O3膜の製造方法およびpn接合型Ga2O3膜の製造方法
US6388323B1 (en) Electrode material and electrode for III-V group compound semiconductor
EP1200652A1 (en) Magnesium-doped iii-v nitrides & methods
JP3399642B2 (ja) 半導体発光素子層の形成方法
JPH09295890A (ja) 半導体製造装置および半導体製造方法
JP3829464B2 (ja) 蛍光体及び蛍光体の製造方法
JPH10256276A (ja) p型II−VI族化合物半導体の形成方法
JPH09107124A (ja) 3−5族化合物半導体の製造方法
JPH09134881A (ja) 窒化物系化合物半導体の製造方法
JP3453265B2 (ja) 窒化物系化合物半導体のドーピング方法及びその製造装置
JPH07283436A (ja) 3−5族化合物半導体と発光素子
JP3491375B2 (ja) 発光素子及びその製造方法
JPH08264464A (ja) 気相成長方法
JPH11268996A (ja) 化合物半導体混晶の成長方法
JP3339178B2 (ja) 3−5族化合物半導体用電極の製造方法
JPH10256277A (ja) p型II−VI族化合物半導体の形成方法
JPH10270470A (ja) Ii−vi族化合物半導体の形成方法及びii−vi族化合物半導体の気相成長用のvi族原料
JPH07283167A (ja) 3−5族化合物半導体用電極材料
JP2519232B2 (ja) 化合物半導体結晶層の製造方法
JPH1051031A (ja) p型II−VI族化合物半導体の形成方法
JP2006310886A (ja) 3−5族化合物半導体発光素子
JPH1022303A (ja) p型ZnSe系化合物半導体薄膜の製造方法
JP3557295B2 (ja) p型II−VI族化合物半導体薄膜の製造方法
JPH0574710A (ja) 半導体薄膜の成長方法