JPH1025563A - 真空蒸着装置及び真空蒸着方法 - Google Patents

真空蒸着装置及び真空蒸着方法

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JPH1025563A
JPH1025563A JP19829096A JP19829096A JPH1025563A JP H1025563 A JPH1025563 A JP H1025563A JP 19829096 A JP19829096 A JP 19829096A JP 19829096 A JP19829096 A JP 19829096A JP H1025563 A JPH1025563 A JP H1025563A
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JP
Japan
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evaporant
evaporation source
vacuum
evaporation
heat
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JP19829096A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Asami
浅見  博
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Shinko Seiki Co Ltd
Original Assignee
Shinko Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱伝導率の低い物質や、蒸発温度(沸点)の
低い物質等を、安定して加熱し、蒸発させる。 【解決手段】 真空槽1内に、蒸発源2が配置されてお
り、この蒸発源2の上方には、被処理物5、5を支持す
る支持部4が設けられている。蒸発源2は、蒸発物21
と、ランプ22、22とを内蔵している。蒸発物21
は、ランプ22、22からの熱輻射によって加熱され、
蒸発する。蒸発した蒸発物21は、蒸発源2の噴出口2
aを介して上方に噴出され、被処理物5、5の表面に付
着し、これによって被処理物5、5の表面に膜が生成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸発物を加熱して
蒸発させ、この蒸発させた蒸発物を被処理物の表面に付
着させて膜を生成する真空蒸着装置に関し、特に熱伝導
率の低い(悪い)物質や、例えば昇華性を有する色素や
アンチモン(Sb)等のように蒸発温度(昇華温度)の
低い物質を加熱して蒸発させるのに適した真空蒸着装置
及び真空蒸着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】被処理物の表面に膜を生成する真空蒸着
装置として、一般に、例えば図33に示すようなものが
知られている。同図に示すように、この真空蒸着装置
は、真空槽(チャンバ)1を有しており、この真空槽1
の内部は、排気口11に結合された図示しない排気ポン
プにより排気されて、高真空状態に保たれている。真空
槽1内には、蒸発物21を蒸発させる蒸発源102が配
置されており、この蒸発源102の上方には、蒸発源2
を略中心として球面状に形成された支持部(プラネタ
リ)4が設けられている。そして、この球面状の支持部
4の内側に、成膜の対象となる例えばウェハ等の被処理
物5、5が、各々の成膜の対象となる面を蒸発物21に
向けた状態で固定されている。なお、各被処理物5、5
に生成される膜の均一性を向上させるために、成膜の際
には、支持部4は、その中央に設けられた軸41を中心
に例えば矢印41aに示すように回転させられる。
【0003】ところで、蒸発源102は、蒸発物21を
収容するルツボ102aと、電子ビーム(e- )を発生
する電子銃102bとを有している。そして、蒸発物2
1に電子ビームを直接照射することによって、上記蒸発
物21を加熱して蒸発させている。このような電子ビー
ム加熱を用いた真空蒸着装置においては、電子ビームに
より蒸発物21を局部的に加熱するので、ルツボ102
a自体を形成する材料の混入を抑制することができ、純
度の高い膜を生成できるという利点がある。また、非常
に高いエネルギで蒸発物21を加熱することができるの
で、高融点金属の蒸着を実現することができる。なお、
この電子ビーム加熱については、公知の技術であるの
で、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0004】また、上記電子ビーム加熱の他に、例えば
図34に示すような、抵抗加熱を用いた真空蒸着装置も
知られている。この装置は、上記図33における蒸発源
102に代えて、抵抗加熱による蒸発源202を用いた
ものである。即ち、蒸発源202は、例えばタングステ
ン(W)やタンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の
高融点金属で形成されたボート202aを有しており、
このボート202a内に蒸発物21を収容している。そ
して、このボート202aに直接通電して、これを加熱
し、この熱をボート202a内の蒸発物21に伝導させ
ることにより、蒸発物21を加熱して蒸発させている。
このようなボート202aを用いて加熱する他に、例え
ばヒータを蒸発物21に直接接触させることによりこれ
を加熱する方法もあるが、いずれにしても上記ボート2
02aやヒータ等の発熱体と蒸発物21とが直接接触す
ることによる熱伝導を利用して蒸発物21を加熱してい
る。なお、この抵抗加熱による蒸発源202は、蒸発物
21に発熱体(ボート202a)が混入する等により膜
の純度が悪くなるという欠点を有しているものの、比較
的に構成が簡単であるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
に、上記図33の電子ビーム加熱を用いた真空蒸着装置
によれば、蒸発物21は、電子ビームにより局部的に加
熱されるので、蒸発物21に対して有効に熱を供給する
ことができないという問題がある。従って、蒸発物21
が、例えば非常に熱伝導率の低い物質である場合には、
例えば図35に誇張して示すように、蒸発物21のう
ち、電子ビームが照射される部分21aのみが加熱され
て蒸発し、その周辺部分は蒸発せずに残ってしまうとい
う不具合を生ずる。
【0006】また、電子ビームによる加熱エネルギは非
常に大きいため、蒸発物21を微小に加熱することがで
きず、即ち低レートでの成膜が非常に困難である。従っ
て、蒸発物21が、例えば上述した色素やアンチモン等
のように昇華温度の低い昇華性物質である場合には、こ
れを低レートで安定して成膜することができないという
問題がある。
【0007】一方、図34に示す抵抗加熱を用いた真空
蒸着装置によれば、蒸発物21は、ボート202aに接
触した部分から加熱される。従って、蒸発物21が、例
えば非常に小さい球状(粒状)の物質である場合には、
図36(a)に示すように、蒸発物21は、ボート20
2aと接触しているもの(同図に斜線で示すもの)から
順次加熱されることになる。ところが、蒸発物21が球
状である場合には、この蒸発物21とボート202aと
の接触が点接触となるため、ボート202aから蒸発物
21への熱伝導効率が非常に悪くなる。従って、蒸発物
21が、例えば非常に熱伝導率の低い物質である場合に
は、蒸発物21は、ボート202aとの接触部分のみが
局部的に加熱されるだけで、蒸発せず、その加熱度合い
が大きいと、例えば図36(b)に誇張して示すよう
に、蒸発物21のボート202aとの接触部分21aが
変質(例えば酸化)してしまい、ひいては膜の純度が悪
くなるという問題がある。
【0008】また、蒸発物21が、例えば上記色素やア
ンチモン等のように昇華温度の低い昇華性物質である場
合には、ボート202aに接触している蒸発物21、即
ち蒸発物21のうち下層に位置するものが直ぐに蒸発す
る。その結果、例えば図36(c)に示すように、上層
に位置する蒸発物21が上方に押し上げられて、ボート
202aの外方に飛び散ってしまい、その結果、成膜が
実現できなくなるという問題がある。
【0009】本発明は、熱輻射を利用して蒸発物を加熱
することにより、蒸発物が、例えば熱伝導率の低い物質
や昇華温度の低い物質である場合でも、これらを効率よ
く蒸発させることができ、ひいては安定した成膜を実現
できる真空蒸着装置及び真空蒸着方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、排気
手段によって内部が排気されている真空槽と、この真空
槽内に配置された蒸発物と、この蒸発物の露出した表面
に熱を輻射してこれを加熱し蒸発させる熱輻射手段と、
この蒸発した蒸発物が表面に付着して膜が生成される状
態に被処理物を上記真空槽内に支持する支持手段と、を
具備するものである。
【0011】即ち、熱輻射手段により、蒸発物の露出し
た表面に熱を輻射することによって、蒸発物を加熱して
蒸発させている。従って、蒸発物を広範囲に加熱するこ
とができる。また、熱輻射による加熱は、蒸発物に対し
て、微小な加熱エネルギを与えることができる。更に、
熱輻射手段は、蒸発物の露出面を加熱しているので、蒸
発物は、露出した面から順次蒸発する。
【0012】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の真空蒸着装置において、上記熱輻射手段が、上記蒸発
物の露出した表面に対して15度乃至垂直を成す方向か
らこの露出した表面に熱を輻射する状態に構成されたも
のである。
【0013】なお、上記15度乃至垂直という角度の範
囲は、蒸発物の表面に対する熱輻射の入射角がこの条件
を満足していれば、蒸発物を一様に加熱することができ
るという範囲を示している。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の真空蒸着装置において、上記蒸発物を収容する収容部
を設けたことを特徴とするものである。
【0015】即ち、蒸発物は、収容部に収容されるの
で、蒸発させる蒸発物の量、及び熱輻射手段の蒸発物に
対する熱輻射面積を、一定に保つことができる。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の真空蒸着装置において、上記蒸発物と上記熱輻射手段
とを内蔵しかつ上記蒸発した蒸発物を噴出させる噴出口
を有する蒸発源を構成し、上記熱輻射手段の熱輻射が、
上記蒸発源内のみに輻射される状態に、上記熱輻射を遮
蔽する遮蔽手段を備えたことを特徴とするものである。
【0017】即ち、遮蔽手段の遮蔽作用により、熱輻射
手段の熱輻射が、蒸発源外に輻射されることはない。従
って、一度、蒸発源から噴出されて被処理物や真空槽内
のいずれかの場所に付着した蒸発物が、熱輻射手段の熱
輻射によって、再度蒸発することはない。
【0018】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の真空蒸着装置において、上記遮蔽手段が、上記熱輻射
手段の熱輻射を遮蔽すると共に、この熱輻射を上記蒸発
源内に反射させる反射手段により形成されたことを特徴
とするものである。
【0019】即ち、熱輻射手段の熱輻射のうち、遮蔽手
段により遮蔽される成分は、蒸発源内に向けて反射され
る。従って、蒸発源内には、熱輻射手段から直接輻射さ
れる成分と、遮蔽手段によって反射される成分とが、輻
射される。
【0020】請求項6に記載の発明は、請求項4に記載
の真空蒸着装置において、上記蒸発源が、上記真空槽に
対して着脱可能とされたことを特徴とするものである。
【0021】請求項7に記載の発明は、請求項4に記載
の真空蒸着装置において、上記蒸発源が、上記噴出口を
斜め上方に向けた状態に構成されたことを特徴とするも
のである。
【0022】即ち、蒸発物を斜め上方に向けて噴出させ
ることができる。
【0023】請求項8に記載の発明は、請求項4に記載
の真空蒸着装置において、上記蒸発源が、上記蒸発物が
上記噴出口以外からこの蒸発源外に漏洩するのを防止す
る漏洩防止手段を備えたことを特徴とするものである。
【0024】請求項9に記載の発明は、請求項4に記載
の真空蒸着装置において、上記蒸発源が、上記蒸発物が
配置される部分の該蒸発物が位置する側を該蒸発源の外
方に露出させる状態に、該蒸発源の内部を開放させるこ
とができるよう構成されたことを特徴とするものであ
る。
【0025】即ち、蒸発源の蒸発物が配置される部分
を、外方に露出させることができる。
【0026】請求項10に記載の発明は、請求項4に記
載の真空蒸着装置において、上記蒸発源の少なくとも上
記噴出口を有する部分が、これ以外の部分と、着脱可能
な状態に構成されたことを特徴とするものである。
【0027】即ち、蒸発源の噴出口を有する部分を交換
することができる。
【0028】請求項11に記載の発明は、請求項4に記
載の真空蒸着装置において、上記噴出口の開口形状を制
御する状態に、この噴出口の一部をマスクするマスク手
段を設けたことを特徴とするものである。
【0029】即ち、マスク手段により、噴出口の開口形
状を制御することができ、ひいては噴出口から噴出され
る蒸発物の噴出分布(状態)を制御することができる。
【0030】請求項12に記載の発明は、請求項4に記
載の真空蒸着装置において、上記蒸発源が、内部に上記
蒸発物が配置されると共に上記噴出口が設けられたケー
スを有し、上記熱輻射手段が、上記ケースを透過して上
記蒸発物の露出した表面に熱を輻射する状態に構成され
たことを特徴とするものである。
【0031】即ち、熱輻射手段と蒸発物との間にケース
が介在し、また、蒸発した蒸発物は、ケースに設けられ
た噴出口から蒸発源外へ噴出されるので、蒸発した蒸発
物が熱輻射手段に付着するのを防ぐことができる。
【0032】請求項13に記載の発明は、請求項12に
記載の真空蒸着装置において、上記ケースが、上記蒸発
源から分離可能な状態に構成されたことを特徴とするも
のである。
【0033】即ち、蒸発源に対して、これに組み合わせ
るケースを交換することができる。
【0034】請求項14に記載の発明は、請求項13に
記載の真空蒸着装置において、上記ケースが、上記蒸発
源に対して嵌合する嵌合部を有することを特徴とするも
のである。
【0035】請求項15に記載の発明は、請求項4に記
載の真空蒸着装置において、上記蒸発源の上記蒸発物が
配置された部分を加熱する予備加熱手段を設けたことを
特徴とするものである。
【0036】即ち、予備加熱手段で、蒸発源の蒸発物が
配置された部分を加熱することにより、蒸発物は、上記
加熱された部分からの熱伝導により予備的に加熱され
る。
【0037】請求項16に記載の発明は、請求項15に
記載の真空蒸着装置において、上記予備加熱手段が、上
記蒸発源の上記蒸発物が配置された部分に対して、その
上記蒸発物の位置する側とは反対側から熱を輻射するこ
とにより、上記蒸発物が配置された部分を加熱する手段
であることを特徴とするものである。
【0038】即ち、予備加熱手段は、上記熱輻射手段と
同様の熱輻射によって、予備加熱を行う。
【0039】請求項17に記載の発明は、請求項16に
記載の真空蒸着装置において、上記蒸発源の上記蒸発物
が配置された部分が、上記予備加熱手段の熱輻射に対し
て透過特性を有する透過材料により形成され、上記予備
加熱手段からの熱輻射を受ける面が粗面に形成されたこ
とを特徴とするものである。
【0040】即ち、予備加熱手段の熱輻射は、蒸発源の
蒸発物が配置された部分を透過して、蒸発物に輻射され
る。また、予備加熱手段の熱輻射を受ける面を粗面に形
成することにより、ここでの熱輻射に対する吸収率を高
めることができるので、この蒸発物の配置された部分自
体も加熱される。つまり、蒸発物に対する予備加熱は、
熱輻射と、蒸発物の配置された部分自体からの熱伝導と
の、両方により行われる。更に、予備加熱手段の熱輻射
を受ける面を粗面に形成することにより、蒸発物に対し
て、直線状に熱を輻射するのではなく、様々な角度から
熱を輻射することができる。
【0041】請求項18に記載の発明は、請求項1乃至
17に記載の真空蒸着装置において、上記熱輻射手段
が、光源であることを特徴とするものである。
【0042】即ち、熱輻射手段は、蒸発物に対して光を
照射することにより、これを加熱し蒸発させる。なお、
上記光源としては、例えばタングステンやハロゲン等の
ランプがある。
【0043】請求項19に記載の発明は、請求項18に
記載の真空蒸着装置において、上記光源に電源を供給す
る電源装置が、入力された周波数一定の交流電圧の電圧
値を任意に変化させることのできる電圧可変手段と、上
記電圧可変手段により変圧された交流電圧が入力され、
この入力された交流電圧の正電位成分及び負電位成分の
うちのどちらか一方又は両方を、一定時間当たりに所定
の波数だけ出力してこれを上記光源に供給する波数制御
手段と、を備え、上記波数制御手段は、上記一定時間当
たりに出力する交流電圧の波数を調整可能な状態に構成
されたこと特徴とするものである。
【0044】即ち、電源装置は、パルス数変調制御に基
づいて、光源に供給する電源(電圧)を制御する。な
お、パルスの電圧値は、電圧可変手段により調整され
る。また、光源に対して一定時間当たりに供給するパル
ス数は、波数制御手段により制御される。更に、この波
数制御手段によって、正電位の直流パルス、負電位の直
流パルス及び交流パルスのうちのいずれを光源に供給す
るのかが選択される。
【0045】請求項20に記載の発明は、排気手段によ
って内部が排気されている真空槽内において、熱輻射手
段によって、蒸発物の露出した表面に熱を輻射してこれ
を加熱し蒸発させ、この蒸発した蒸発物を、支持手段に
よって支持された被処理物の表面に付着させることを特
徴とするものである。
【0046】即ち、熱輻射手段により、蒸発物の露出し
た表面に熱を輻射することによって、蒸発物を加熱して
蒸発させ、これを支持手段によって支持された被処理物
の表面に付着させている。つまり、上記請求項1に記載
の発明と、同様な作用を奏する。
【0047】
【発明の実施の形態】本発明に係る真空蒸着装置及び真
空蒸着方法の第1の実施の形態について、図1から図1
7を参照して説明する。図1に、本第1の実施の形態の
全体構成を示す。同図に示すように、この真空蒸着装置
は、上述した図33及び図34にそれぞれ示す従来装置
の各蒸発源102、202に代えて、熱輻射加熱による
蒸発源2を用いると共に、これに電源を供給する電源装
置3を設けたものである。なお、これ以外の構成につい
ては、上記各従来装置と同様であるので、同等部分には
同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0048】図1に示すように、蒸発源2内には、蒸発
物21が内蔵されており、この蒸発物21の上方には、
例えば2つのランプ22、22が設けられている。これ
らランプ22、22は、例えばタングステンやハロゲン
製のもので、真空槽1の外部に設けられた電源装置3に
接続されている。そして、電源装置3から電源を供給す
ると、ランプ22、22が発光し、その光は、蒸発源2
1の露出した表面(上面)に照射される。
【0049】ところで、上記ランプ22、22の光に
は、熱線(赤外線)も含まれている。従って、蒸発物2
1は、その露出面に上記ランプ22、22の光が照射さ
れと、この光に含まれる熱線を吸収し、これにより上記
露出面から徐々に加熱される。そして、この加熱温度が
蒸発物21自体の蒸発温度(沸点)に達すると、蒸発物
21は蒸発し始める。なお、蒸発源2の上方には、噴出
口2aが設けられており、蒸発した蒸発物21は、この
噴出口2aを介して蒸発源2外へ噴出される。そして、
この蒸発源2から噴出された蒸発物21は、被処理物
5、5の表面に付着し、これにより被処理物5、5の表
面に膜が生成される。
【0050】このように、本第1の実施の形態によれ
ば、ランプ22、22から蒸発物21の露出面に対して
光を照射する、詳しくはこの光に含まれる熱線を輻射す
ることにより、蒸発物21を加熱し、蒸発させている。
従って、上述した従来の電子ビーム加熱や抵抗加熱とは
異なり、蒸発物21を局部的に加熱するのではなく、広
範囲に加熱することができる。よって、蒸発物21が、
非常に熱伝導率の低い物質である場合でも、上記電子ビ
ーム加熱とは異なり、蒸発物の一部分のみを蒸発させる
ことはない。また、抵抗加熱とは異なり、蒸発物を局部
的に強く加熱してこれを変質させるようなこともない。
即ち、上記各従来技術に比べて、蒸発物21を効率良く
加熱することができるという効果がある。
【0051】また、熱輻射により蒸発物21を加熱する
ので、蒸発物21に対して、微小な加熱エネルギを与え
ることができる。従って、加熱エネルギの非常に大きい
上記従来の電子ビーム加熱とは異なり、蒸発物21が、
例えば上述した色素やアンチモン等のように昇華温度の
低い昇華性物質である場合でも、低レートで安定した成
膜を実現することができる。
【0052】更に、本第1の実施の形態においては、ラ
ンプ22、22の熱輻射により、蒸発物21の露出面を
加熱しているので、蒸発物21は、この露出した部分か
ら、即ち上層部分から順次蒸発する。従って、熱伝導に
より蒸発物21を加熱する上記従来の抵抗加熱で問題と
していた蒸発物21の飛び散りを防止することができる
という効果がある。
【0053】なお、上記蒸発源2は、真空槽1に対して
着脱可能とされている。従って、例えば蒸発源2内に蒸
発物21を充填したり、或いはランプ22、22が切れ
たときにこれを交換したりする場合等、これらの作業を
真空槽1から蒸発源2を取り外してから行うことができ
るので、作業性が向上する。また、予め複数の蒸発源2
を備えておくことにより、同一の真空槽1に対して、複
数の蒸発源2をカートリッジ式に交換することができ
る。これは、例えば蒸発物21の種類(膜の材料)を変
える場合等に、非常に有効な技術である。
【0054】また、ここでは、ランプ22、22を用い
ることにより蒸発源21に対して熱線を輻射したが、同
様の機能を有するのであれば、上記ランプ22、22以
外のものを使用して、蒸発源21に熱線を輻射し、これ
を加熱し蒸発させてもよい。また、ランプ22、22の
数は2つに限らない。
【0055】次に、蒸発源2の詳細について説明する。
この蒸発源2は、真空槽1に対して着脱可能とされてい
る。その外観形状を表す正面斜視図を、図2(a)に示
す。同図に示すように、蒸発源2は、外形が例えば偏平
な直方体状の台部23と、この台部23の上面を覆う状
態に設けられ上部に上述した噴出口2aを有する蓋部2
5とを備えている。これら台部23と蓋部25との内部
構成を説明するために、この蒸発源2の正面端面図を図
3(a)に、側面端面図を図3(b)に、それぞれ示
す。
【0056】台部23は、例えばステンレス等の金属製
で、その上面中央から下方に向かって例えば凹状の角孔
24を有しており、この角孔24内に、例えば小球状
(粒状)の蒸発物21を多数収容している。即ち、角孔
24は、蒸発物21を収容する収容部として機能してい
る。そして、この台部23の上面周縁には、これに沿っ
て壁部23aが設けられており、この壁部23aの上端
に支持される状態に、蓋部25が設けられている。な
お、この収容部24は、上記角孔に限らず、例えば図4
(a)に示すように、蒸発物21の周囲を取り囲む状態
に壁24aを設けることにより形成したり、或いは同図
(b)に示すように、角孔と壁24aとの組み合わせに
より形成してもよい。また、同図(c)に示すように、
収容部24の底面にその中央に向かって傾斜する傾斜面
24aを設け、これにより蒸発物21を中央に寄せるよ
うな構造としてもよい。更に、同図(d)に示すよう
に、例えば小さい角孔24a、24aを複数設け、これ
ら複数の角孔24a、24aの集合により収容部24を
構成してもよい。
【0057】蓋部25は、例えばステンレス等の金属製
の4枚の板状体を、それぞれの一側を上記壁部23aの
上端に沿わせて、上記台部23の上方空間の四方を取り
囲む状態に概略台状に組み合わせたものである。即ち、
それぞれ対向する二対の板状体のうち、一対、例えば蒸
発源2の正面及び背面(図3(b)の左右側)に位置す
るものについては互いに略平行を成す状態に対向させ、
他の一対(図3(a)の左右側に位置するもの)につい
ては上方に向かうほど互いの間隔が狭くなる状態に斜め
に組み合わされている。そして、この蓋部25の上方
は、開口状態とされており、これにより上述の噴出口2
aが形成されている。この噴出口2aの大きさによっ
て、ここから噴出させる蒸発物21の拡がり角度(指向
角度)を制御することができる。ここでは、上記板状体
によって噴出口2aが狭められる側の寸法Aを、例えば
上記収容部24の幅寸法Wに対して3分の1以上(A≧
(1/3)W)としている。
【0058】そして、上記蓋部25に覆われる状態に、
その内側にランプ22、22が設けられている。ランプ
22、22は、例えば線状のもので、蓋部25を形成す
る上記各板状体のうち略平行を成す状態に対向した一対
の板状体間を掛け渡す状態に、その両端がそれぞれ上記
一対の板状体に支持されている。なお、ランプ22、2
2は、その光の照射対象となる蒸発物21の露出面に対
して(詳しくは蒸発物21の露出面の並びに対して)、
その照射角度θが15度乃至垂直(15°≦θ≦90
°)となるように設けられている。このような照射角度
θを満足することにより、蒸発物21全体を一様に効率
良く加熱することができる。
【0059】また、ランプ22、22の光は、蒸発物2
1のみに限らず、四方に向かって照射される。しかし、
上記のように、ランプ22、22の上方は、蓋部25に
よって覆われているので、ランプ22、22の光は蒸発
源2の外部に照射されずに、蒸発源2内のみに照射され
る。即ち、蓋部25は、ランプ22、22の光が蒸発源
2の外部に照射されるのを遮蔽する遮蔽手段として作用
する。ここで、もし、ランプ22、22の光が、蒸発源
2の外部、例えば一度被処理物5、5の表面に生成され
た膜や、真空槽1の内壁等に付着した蒸発物等に対して
照射されると、これらが再蒸発してしまい、これによっ
て膜の生成に悪影響を及ぼしてしまう恐れがある。そこ
で、上記のようにランプ22、22の光が蒸発源2の外
部に照射されるのを遮蔽することにより、上記蒸発物の
再蒸発を防ぐことができる。なお、この蓋部25による
上記光の遮蔽をより確実にするために、例えば図3
(a)に点線25aで示すように、ランプ22、22の
上方周囲を取り囲むような遮蔽構造を採用してもよい。
【0060】更に、上記蓋部25の内側を、光沢面とす
ることにより、上記ランプ22、22の光を遮蔽するだ
けでなく、蒸発源2内に、ひいては蒸発物21に向けて
反射させることができる。これにより、ランプ22、2
2の光を有効に利用することができ、高効率で蒸発物2
1を加熱することができる。なお、この蓋部25によっ
て、上記のようにランプ22、22の光を遮断するので
はなく、この蓋部25以外の部材、例えば蒸発源2を構
成する要素以外の部材によって、上記光の遮断を行って
もよい。
【0061】また、ランプ22、22によって加熱され
る蒸発物21は、上述したように、台部23に形成され
た収容部(角孔)24に収容されているので、蒸発物2
1が粒状である場合や、液体状である場合でも、蒸発物
21の量や、ランプ22、22による照射面積を一定に
保つ(規制する)ことができる。従って、成膜の際に、
実際に蒸発させる蒸発物21の量や、ランプ22、22
による光の照射量に対する蒸発物21の蒸発加減(程
度)等を、一定に保つことができる。なお、収容部24
は、角孔に限らず、例えば円形状や楕円状等のものでも
よい。また、蒸発物21が、例えば1固体(塊)状のも
のであれば、上記のように収容部24を設けなくてもよ
い。
【0062】なお、ここで、例えば図5(a)に示すよ
うに、ランプ22、22による光の照射範囲が、このラ
ンプ22、22の長さ方向において、それ自体の発光部
分の長さ寸法L1 と略同等である(同図に点線で示す範
囲)とする。この場合、上記のように収容部24の大き
さによって蒸発物21に対するランプ22、22の光の
照射面積を規制するには、同図(b)に示すように、収
容部24の上記方向における寸法Dを、ランプ22、2
2の発光部分の長さ寸法L1 よりも小さくする(D<L
1 )必要がある。また、同図(c)に示すように、収容
部24が、複数の例えば角孔24a、24a、24aに
よって形成されている場合は、この収容部24全体の上
記方向における寸法Dを、ランプ22、22の上記寸法
1 よりも小さくする必要がある。
【0063】もし、ランプ22、22の上記寸法L1
比べて、収容部24の上記寸法Dの方が大きい場合(D
>L1 )、収容部24に収容された蒸発物21のうち、
ランプ22、22の光が照射されない部分については、
加熱されない。この場合は、ランプ22、22の上記寸
法L1 によって、蒸発物21に対するランプ22、22
の光の照射面積、ひいては蒸発物21の加熱(蒸発)加
減が決定される。例えば、ランプ22、22の上記寸法
1 に対して、収容部24の上記寸法Dが2倍又は3倍
(D=2L1 又はD=3L1 )である場合、収容部24
に収容された蒸発物21は、全体の半分又は3分の1だ
け加熱され、蒸発される。
【0064】また、ランプ22が例えば点光源である場
合には、例えば図6に示すように、ランプ22の光の照
射位置においてその光量が50%以上の範囲に対して、
その寸法L2 よりも上記収容部24の上記寸法Dが小さ
くなる(D<L2 )ように、かつこの光量50%以上の
範囲内に収容部24が位置するよう構成する。このよう
に、光量50%以上の範囲内に収容部24を配置する、
即ち蒸発物21全体に対して光量50%以上で光を照射
することにより、蒸発物21を略一様にかつ十分に加熱
し、蒸発させることができる。勿論、光量が50%以下
の光によっても蒸発物21を加熱することはできるが、
この場合、上記光量50%以上の光による加熱に比べて
加熱の度合いが低い、若しくは蒸発物21を十分に加熱
できずに蒸発させることができない等の不具合が生じる
ことは言うまでもない。
【0065】ところで、上記のように収容部23を設け
ることにより、実際の成膜に使用する蒸発物21の量を
一定に保つことができるが、例えば図7(a)に示すよ
うに、蒸発物21を必要以上に充填してしまい、これに
より蒸発物21が収容部23の外へ、例えば台部23の
上面23bに溢れ出てしまった場合には、次のように処
理すればよい。
【0066】即ち、蒸発源2とは別に設けられたシャッ
タ28によって、同図(b)に示すように、噴出口2a
を塞ぐ。そして、この状態で、ランプ22、22を発光
させ、これにより蒸発物21を加熱する。蒸発物21
は、ランプ22、22の光が照射されている部分、つま
りは収容部23から溢れ出ている蒸発物21、及び収容
部23に収容されているものについては上層のものから
先に加熱され、噴出口2aに向かって蒸発する。但し、
噴出口2aは、シャッタ28によって塞がれているの
で、蒸発した蒸発物21は、蒸発源2の外方に噴出せず
に、シャッタ28に付着する。このように、シャッタ2
8を閉じた状態で、蒸発物21のうち必要以上に充填さ
れた分のみを蒸発させることにより、実際の成膜に使用
する蒸発物21の量を調整することができる。この処理
を終えた後は、同図(c)に示すように、ランプ22、
22を消灯して蒸発物21の加熱を止め、シャッタ28
を開いて噴出口2aを開放状態とする。なお、同図の2
1aは、上記処理により、シャッタ28に付着した蒸発
物21を示す。
【0067】また、蒸発物21を収容部24内に充填す
る際に、この充填作業が容易に行えるようにするため
に、蒸発源2は、例えば図2(b)に示すように、台部
23と蓋部25とを分離できるよう構成されている。即
ち、蒸発物21を充填する際には、蓋部25を外して蒸
発源2内を開放し、これにより収容部23を外方に露出
させる。この状態で、収容部24内に蒸発物21を充填
した後、同図(a)に示すように、台部23上に蓋部2
5を被せる。
【0068】なお、上記図2に示すように、台部23と
蓋部25とを完全に分離させなくても、例えば図8に示
すように、蝶番27を用いることにより、台部23に対
して蓋部25を開閉可能な状態に構成してもよい。ま
た、この図8は、蓋部25を2つに分けて、これを両側
に開閉させる構造としているが、勿論、蓋部25を2つ
に分離せずに一固体のままの状態(例えば、図2の構造
に蝶番を設けたのと等価な状態)で開閉させるよう構成
してもよい。更に、蝶番27として、抜き差し式のもの
を使用することにより、台部23に対して蓋部25を開
閉可能かつ分離可能とすることができる。
【0069】また、上記蓋部25として、例えば図9に
示すように、噴出口2aの向きの異なるものを用いるこ
とによって、蒸発物21の噴出方向を制御することがで
きる。即ち、同図(a)に示すように、蓋部25が、蒸
発物21(収容部24)の中央に対して略垂直な方向に
噴出口2aを形成したものである場合には、蒸発物21
は真上に向かって噴出する。これに対して、同図(b)
に示すように、噴出口2aが、蒸発物21の中央に対し
て斜めの方向に設けられている場合には、蒸発物21は
斜めの方向に向かって噴出する。なお、ここでは、蒸発
物21の表面中央に対する噴出口2aの中央の成す角度
ρを、45度乃至垂直(45°≦ρ≦90°)としてい
る。
【0070】このような噴出口2aの向きによる蒸発物
21の噴出方向の制御は、次のような場合に非常に有効
である。例えば、図10(a)に示すように、一度に数
多くの被処理物5、5、・・・を処理するために、これ
らを支持する支持部4、4を複数斜めに設けたとする。
この場合は、蒸発源2として、噴出口2aのサイズが大
きく、かつ噴出口2aが蒸発物21の真上に設けられた
ものを使用する。このような蒸発源2を用いることによ
って、蒸発物21を上方に向けて広範囲(広角に)に蒸
発させることができ、上記数多い被処理物5、5、・・
・を一度に処理することができる。また、各被処理物
5、5、・・・の各表面に対して、斜めの方向から蒸発
物21が噴出されるので、被処理物5、5、・・・が例
えばその表面に凹凸を有するものである場合には、良好
なステップ・カバレッジを得ることができる。なお、各
被処理物5、5、・・・に対する膜の均一性を向上させ
るために、各被処理物5、5、・・・を支持する支持部
4、4は、各々の軸41、41を中心に矢印41a、4
1aに示すように回転すると共に、矢印41b、41b
に示すように、蒸発源2の周囲をも回転している。
【0071】一方、上記とは反対に、複数の被処理物
5、5、・・・を処理する際に、ステップ・カバレッジ
を故意に悪くしたい場合がある。この場合、噴出口2a
を斜め上方に設けた蒸発源2を使用して、例えば図10
(b)に示すように構成すればよい。即ち、いずれかの
支持部4の成す球面の中心Pに、蒸発源2をその噴出口
2aが位置する状態に配置する。この蒸発源2の配置を
実現するために、蒸発源2を高い位置に設ける必要があ
る場合には、蒸発源2を、同図の29に示すような台の
上に設置すればよい。なお、このとき、蒸発源2の噴出
口2aは、上記中心Pを有する支持部4の全面に対して
(詳しくはこの支持部4が支持している全ての被処理物
5、5、・・・に対して)、一様に蒸発物21を噴出で
きる程度の開口寸法を有しているものとする。この構成
により、各被処理物5、5、・・・の表面に対して、蒸
発物21を略垂直な方向から噴出させることができ、こ
れによりステップ・カバレッジを故意に悪くすることが
できる。このように、噴出口2aの向きを変えることに
より、ステップ・カバレッジを制御することができる。
【0072】更に、図11に示すように、1つの真空槽
1内に、例えばそれぞれ種類の異なる蒸発物21を有す
る蒸発源2、2を複数設け、各蒸発源2、2の有する各
蒸発物21、21をそれぞれ交互に蒸発させる場合があ
る。この場合、蒸発した蒸発物21が、互いに干渉する
のを極力避けたい。この対策としては、使用していない
側の蒸発源2にカバー29を被せる方法もあるが、蒸発
源2、2として、それぞれの噴出口2a、2aを互いに
反対方向に向けたものを用いることによって、上記各蒸
発物21、21がそれぞれ互いに干渉するのをより確実
に回避することができる。
【0073】また、上記のように、蒸発源2の台部23
と蓋部25とを分離可能とした場合、これら両者の結合
部分から、蒸発した蒸発物21が漏れることも考えられ
る。そこで、本第1の実施の形態においては、この蒸発
物21の漏れを防止する技術についても講じている。例
えば、図12(a)に示すように、台部23の壁部23
aに対して、この台部23と蓋部25との隙間を、その
(蒸発源2の)内側から覆う状態に漏洩防止板43aを
設けることにより、上記蒸発源21の漏れを防止するこ
とができる。この漏洩防止板43aについては、例えば
同図(b)の43bに示すように、台部23の上面23
bに設けてもよい。また、同図(c)に示すように、台
部23の壁部23aにその内側に向かって突出する突出
部43cを設け、この突出部43c上に蓋部25が支持
されるように構成してもよい。
【0074】更に、上記のように漏洩防止板43a、4
3bや突出部43cを設けるのではなく、例えば図13
に示すように、台部23の壁部23aと蓋部25との結
合部分を、斜めに接触させる所謂すり合わせ構造として
もよい。なお、同図においては、台部23に対して、上
記壁部23aを独立させた構造としており、これら台部
23と壁部23aとの結合についても、上記と同様のす
り合わせ構造としている。
【0075】また、一般に、蒸発物21を蒸発させる
際、予めこれを加熱して、その内部に含まれる水分や、
成膜に不要なガス等を取り除くことにより、実際に蒸発
物21を蒸発させる際の蒸発の立ち上げをスムーズに行
うことができ、ひいては成膜開始時の成膜レートを安定
させることができることが知られている。本第1の実施
の形態においても、この予備加熱を行うことができ、こ
こでは、例えば図14に示すように、上述のランプ2
2、22とは別の複数の予備加熱用のランプ42、4
2、・・・によって上記予備加熱を実現している。即
ち、台部23を、その外側、例えば底面23cや側面2
3dから上記予備加熱用のランプ42、42、・・・の
熱輻射により加熱することによって、上記台部23の収
容部24に収容された蒸発物21を(上記加熱された台
部23からの熱伝導により)間接的に加熱することがで
きる。このように、予備加熱を行うための手段にもラン
プ42、42、・・・を使用しているので、この予備加
熱を行うためのランプ42、42、・・・と、実際に蒸
発物21を蒸発させるためのランプ22、22とを、そ
れぞれ同様の部品で形成することができ、即ちこれら各
部品を共通化することができる。なお、この予備加熱に
おいては、その加熱の程度を、蒸発物21を蒸発させな
い程度の加熱に留めておくことについては言うまでもな
い。
【0076】次に、上記蒸発源2のランプ22、22に
電源を供給する電源装置について、図15乃至図17を
参照して説明する。図15は、この電源装置の概略構成
を示す回路図で、交流電源31から交流電圧が供給され
る電圧可変変圧器(例えばスライダック)32を有して
いる。この電圧可変変圧器32は、1次側に供給された
上記交流電圧を変圧して、これを2次側から出力する。
この電圧可変変圧器32によって変圧された交流電圧
は、波数制御回路33に供給される。
【0077】波数制御回路33は、供給される交流電圧
(波形)のうち、正電圧成分(波形)及び負電圧成分
(波形)のどちらか一方又は両方を、一定時間T当たり
に所定の波数だけ出力するもので、この波数カウント
は、上記交流電圧波形のゼロクロス点を逐次検出するこ
とにより行われる。即ち、この波数制御回路33は、図
16に示すような正の直流パルス、これとは反対の負の
直流パルス(図示せず)、及び図17に示すような交流
パルスのうちのいずれかを出力する。なお、これら各パ
ルスを、上記一定時間T当たりにいくつ出力させるかに
ついては、調整可能とされている。
【0078】そして、上記波数制御回路から出力される
パルスが、上述の蒸発源2のランプ22、22に供給さ
れ、これらランプ22、22は、供給された上記パルス
に基づいて発光する。
【0079】即ち、上記構成から理解できるように、電
源装置3は、上記ランプ22、22をパルス数変調制御
している。そして、一定時間T当たりに出力するパルス
数、つまりはデューティを制御するだけでなく、各パル
ス自体の電圧値についても制御することができる。更
に、正電位の直流パルス、負電位の直流パルス及び交流
パルスのうちのいずれのパルスをランプ22、22に供
給するのかを選択できる。従って、成膜する条件に合わ
せて、ランプ22、22の発光状態を微妙にコントロー
ルすることができるという効果がある。
【0080】なお、交流電源31の状態によっては、図
16及び図17に示すように、各パルスt1 、t2 、t
3 の電圧値がふらついて一定にならない場合がある。こ
の場合、各電圧値が或るしきい値VTHを越えていれば特
に問題ないことが実験により得られた。ここでは、一例
として、上記しきい値VTHをVTH=40V程度としてい
る。また、上記各パルスが出力されるのであれば、上記
図15以外の回路により電源装置3を構成してもよい。
そして、図16のパルスは、半波整流成分のパルスであ
るが、全波整流成分のパルスを生成してもよい。
【0081】また、ここでは、上記パルスの周波数(即
ち、交流電源31の周波数)を、例えば50Hz乃至1
0kHzとしている。勿論、この周波数を可変可能とし
てもよく、これを実現することにより、ランプ22、2
2の発光をより多彩にコントロールすることができる。
更に、交流電圧を基に上記各パルスを生成したが、これ
に限らず、例えば直流電圧を基に矩形状のパルスを生成
してもよい。また、予備加熱用のランプ42、42、・
・・についても、この電源装置3と同様の装置により、
或いはこの電源装置3自体により、その発光を制御して
もよい。
【0082】また、ここでは、パルス数変調制御により
ランプ21、21の発光を制御したが、これ以外の電源
供給形態、例えば交流電圧そのものや、或いは直流電圧
を供給し、これらの電圧値を制御すること等により、ラ
ンプ21、21の発光を制御してもよい。
【0083】なお、本第1の実施の形態においては、ラ
ンプ22、22を蓋部25に取り付けた構造としたが、
これらをそれぞれ分離した構造としてもよい。例えば、
図18及び図19に示すように、平板61を設け、この
平板61上に例えば4つのランプ支持体62、62、・
・・を配置し、これらランプ支持体62、62、・・・
をそれぞれ2つ一組とし、それぞれ対を成すランプ支持
体62、62、・・・によって各ランプ22、22を支
持してもよい。なお、ランプ支持体62、62、・・・
は、例えば長尺状の板をL字状に形成したもので、それ
ぞれ対を成すもの同志が、互いの面を対向させた状態で
距離を隔てて配置されている。そして、それぞれ対を成
すランプ支持体62、62、・・・によって、各ランプ
22、22が互いに間隔を隔てて平行を成す状態に、各
ランプ22、22の各両端を支持している。
【0084】また、上記平板61上には、2つのランプ
22、22の間に位置する状態に、上方が開放された箱
体63が配置されており、この箱体63の内部が、蒸発
物21を収容する収容部24を形成している。更に、こ
れらランプ22、22(ランプ支持体62、62、・・
・を含む)及び箱体63全体を、その上方から蓋体64
によって(同図に矢印で示すように)覆い、これにより
蒸発源2を構成する。
【0085】なお、蓋体64は、上述した台部23と蓋
部25とを組み合わせたのと略同様な外観形状を有して
おり、上部には噴出口2aが形成され、底部64aは開
放されている。そして、底部64aの端縁は、平板61
上に密着している。この蓋体64は、上述した蓋部25
と同様に、ランプ22、22の光が外部に漏れるのを遮
蔽する遮蔽手段として作用する。なお、この図18及び
図19に示す蒸発源2においても、ランプ22、22の
蒸発物21に対する光の照射角度θや、ランプ22、2
2の長さ寸法(L1 )に対する収容部24の寸法D、及
び収容部24の幅寸法Wに対する噴出口2aの開口寸法
A等の各位置関係及び寸法関係についての各条件は、上
述した条件と同様とされる。
【0086】次に、本発明の第2の実施の形態につい
て、図20から図27を参照して説明する。この第2の
実施の形態は、上記第1の実施の形態で説明した蒸発源
2の別の形態を示すもので、その外観形状を表す正面斜
視図を図20(b)に、正面端面図を図3(a)に、側
面端面図を図3(b)に、それぞれ示す。各図に示すよ
うに、この第2の実施の形態の蒸発源2は、蒸発物21
を内蔵したケース46を有しており、このケース46の
外側にランプ22、22が設けられ、ランプ22、22
が、上記ケース46を透過して蒸発物21に光を照射す
る(熱線を輻射する)状態に構成されたものである。
【0087】即ち、上記ケース46は、上述した第1の
実施の形態における蒸発源2からランプ22、22を外
したものと略同等の形状を有しており、上述の台部23
に対応する台部47と、上述の蓋部25に対応すると共
に噴出口2aが形成された蓋部48とを有している。但
し、このケース46は、上記ランプ22、22の光(熱
線)に対して透過特性を有する例えば石英等の熱線透過
材料により形成されている。
【0088】一方、ランプ22、22は、上記ケース4
6を囲む状態に形成された支持体(以下、ランプハウス
と称す。)44に支持されている。このランプハウス4
4は、正面断面が概略コの字状でこの上に上記ケース4
6が載置された台座部45と、この台座部45の両端か
ら上記ケース46の蓋部48を覆う状態に設けられた遮
蔽部26とによって構成されている。そして、ランプ2
2、22は、このランプハウス44の遮蔽部26と、上
記ケース46の蓋部48との間に、その上方が上記遮蔽
部26によって覆われる状態に、遮蔽部26に取り付け
られている。なお、このランプハウス44、特に遮蔽部
26は、上述した第1の実施の形態における蓋部25と
同様に、ランプ22、22の光が蒸発源2の外部に漏れ
ないようにこれを遮蔽する遮蔽手段に対応するので、光
を透過しない例えばステンレス等の金属により形成され
ている。また、このランプハウス44の上部は、上記ケ
ース46の噴出口2aを塞がないように、噴出口2aよ
りも広く開けられている。
【0089】このように構成された本第2の実施の形態
の蒸発源2によれば、ランプ22、22と蒸発物21と
の間にケース46が介在しており、ランプ22、22の
光(熱線)は、ケース46を透過して蒸発物21に照射
(輻射)される。そして、この光の照射(熱線の輻射)
により加熱されて蒸発した蒸発物21は、ケース46に
形成された噴出口2aから蒸発源2の外部へと噴出され
る。従って、蒸発した蒸発物21は、ランプ22、22
表面に付着することはなく、即ちランプ22、22の蒸
発物21による汚染を防止することができる。従って、
ランプ22、22の光照射エネルギ(熱輻射エネルギ)
を一定に保つことができる。
【0090】また、ランプハウス44の正面及び背面
は、開放状態とされており、これによって、例えば図2
0(a)に示すように、このランプハウス44に対して
上記ケース46を着脱することができる。従って、例え
ば、予めケース46を複数備えておき、各ケース46に
それぞれ種類の異なる蒸発物21を収容させておけば、
これらを1つのランプハウス44に対してカートリッジ
式に交換することにより、同一のランプハウス44、つ
まりは同一のランプ22、22で、それぞれ種類の異な
る蒸発物21を加熱して蒸発させることができる。
【0091】なお、蒸発した蒸発物21は、ケース46
の噴出口2aから蒸発源2外へ噴出されるので、この蒸
発した蒸発物21に晒される(汚染される)のは、蒸発
源2を構成するランプハウス44とケース46とのう
ち、ケース46のみ、それもケース46の内側のみであ
り、ランプハウス44は汚染されない。従って、上記の
ようにケース46を交換して、それぞれ種類の異なる蒸
発物21を蒸発させても、蒸発源2外に噴出される蒸発
源21は、今現在、ランプハウス44に設置されている
ケース46内の蒸発物21のみであるので、それぞれ種
類の異なる複数の蒸発物21が、互いに混合されて蒸発
源2外へ噴出されることはない。よって、成膜する膜の
純度を保つことができる。
【0092】更に、ランプハウス44の台座部45上の
適宜位置に、上方に向かって突出する例えば円筒状の突
部45aが複数、例えば2つ設けられている。また、ケ
ース46側には、台部47の底部上面に、上記ランプハ
ウス44の突部45a、45aに対応すると共に、上記
突部45a、45aの外形よりも若干内径の大きい複数
の、例えば2つの嵌合孔47a、47aが設けられてい
る。即ち、ランプハウス44にケース46を設置したと
き、上記突部45aと嵌合孔47aとが嵌合するように
構成されている。従って、ランプハウス44に対して、
ケース46を設置する際、それぞれの位置関係が一定に
なるように、即ち確実な位置決めができるように構成さ
れている。
【0093】また、ケース46の蓋部48についても、
上述した第1の実施の形態の蒸発源2と同様に、台部4
7に対して着脱可能とされている。ここで、蓋部48と
して、例えば図22(a)に示すように、噴出口2aの
長さ寸法Bが小さい(例えばランプハウス44の長さ寸
法Cよりも短い)もの、及び同図(b)に示すように、
噴出口2aの長さ寸法Bが大きい(例えばランプハウス
44の長さ寸法Cよりも長い)ものを、それぞれ用意し
ておき、例えば被処理物5、5、・・・のサイズに合わ
せてこれら蓋部48を交換することによって、噴出口2
aから噴出させる蒸発源21の噴出角度(拡がり角度)
を制御することができる。なお、この技術は、上述した
第1の実施の形態における蒸発源2の蓋部25について
も適用でき、これにより同様な効果を得ることができ
る。
【0094】更に、ケース46については、上述した図
13に示す第1の実施の形態と同様に、それを構成する
台部47と蓋部48との結合部分を、例えば図23に示
すようにすり合わせ構造とすることにより、ケース46
内の蒸発物21が噴出口2a以外から外部へ漏洩するの
を防ぐことができる。なお、同図においては、台部47
に対して、その壁部47bを独立させた構造としてお
り、これら台部47と壁部47bとの結合についても、
上記と同様のすり合わせ構造としている。このように、
すり合わせ構造とする場合には、その結合部分、例えば
同図の47bの部分を、図24(a)に示すように粗面
処理する(すりガラス構造とする)のが好ましく、これ
により互いの滑りを抑制して、互いの結合を強固にする
ことができる。
【0095】そして、上記ケース46の台部47につい
ては、図24(a)及び(b)に示すように、底面47
cが粗面に形成されており、その表面粗さRmax は、例
えば0.1μm以上(Rmax ≧0.1μm)とされてい
る。このように、台部47の底面47cを、粗面に形成
することにより、次のような利点が得られる。
【0096】即ち、この第2の実施の形態においても、
上述の第1の実施の形態と同様に、蒸発物21に対して
予備加熱を実施することができる。この場合、例えば図
25に示すように、脚材49によってケース46を上方
に持ち上げ、これにより台部47の底面47cと、ラン
プハウス44の台座部45との間に空間を形成する。そ
して、この空間内に上述した予備加熱用のランプ42、
42、・・・を設け、これにより台部47の底面47c
を照射する。台部47は、上述したように透過材料によ
り形成されているので、ランプ42、42、・・・から
照射された光は、この台部47を透過して蒸発物21に
照射される。これと同時に、台部47の底面47cは粗
面とされているので、上記ランプ42、42、・・・の
光は、台部47の底面47cにに吸収され、これにより
台部47自体も加熱される。即ち、この構成によれば、
蒸発物21は、台部47を介して照射(輻射)される光
(熱線)と、加熱された台部47自体からの熱伝導と
の、両方の作用により加熱される。従って、ランプ4
2、42、・・・の光エネルギを有効に利用することが
できるという効果がある。
【0097】更に、台部47に照射される光は、上記底
面47cによって、様々な方向に屈折して台部47内に
入射し、ひいては蒸発物21に照射されるので、蒸発物
21に対して、様々な方向(角度)から上記光が照射さ
れることになる。そして、上記光は、台部47の底面4
7cから蒸発物21に対して直線的(ストレート)に照
射されることはないので、蒸発物21に対する照射(加
熱)エネルギが余り強くならないように抑制することが
できる。従って、蒸発物21に対して一様に加熱エネル
ギを与えることができ、より確実な予備加熱を実現でき
る。なお、予備加熱の有効性については、既に説明した
ので、ここでは省略する。
【0098】また、図26は、ケース46を構成する蓋
部48の噴出口2aに対して、その一部をマスクするマ
スク板51を取り付け、これにより蒸発物21の噴出分
布を制御する技術を説明するための図である。即ち、マ
スク板51には、例えば同図(a)に示すような制御孔
51aが設けられており、このマスク板51を蓋部48
の噴出口2a上に取り付けることにより、上記噴出口2
aの形状を制御し、ひいてはこの噴出口2a(マスク板
51の制御孔51a)を介して噴出される蒸発物21の
噴出分布を制御することができる。一般に、蒸発物21
は、噴出口2aの中央付近から最も多く噴出されると考
えられるので、同図においては、噴出口2aの中央付近
の開口寸法を小さくすることにより、蒸発物21の噴出
分布が均一になるよう制御する例を示している。なお、
このマスク板51を用いて蒸発物21の噴出分布を制御
する技術は、上述した第1の実施の形態における蒸発源
2の噴出口2aについても適用できる。
【0099】なお、本第2の実施の形態においては、噴
出口2aを1つだけ設けたが、例えば図27に示すよう
に、複数(同図においては2つ)の噴出口2a、2aを
設けてもよい。これについては、上述の第1の実施の形
態についても同様である。
【0100】また、本第2の実施の形態においては、ラ
ンプ22、22をランプハウス44に取り付けた構造と
したが、例えば、上述した図18及び図19に示す構造
と同様に、ランプ22、22とランプハウス44とをそ
れぞれ分離した構造としてもよい。即ち、ランプハウス
44とは別の部材(例えば上述したランプ支持体62、
62、・・・と同様な部材)によってランプ22、22
を支持し、このランプ22、22と上記ケース46と
を、その上方から上述した蓋体64と同様なものによっ
て覆う構造としてもよい。
【0101】
【実施例】上記のように構成された真空蒸着装置を用い
て実際に成膜処理を行った結果、特に上述した昇華性を
有する色素やアンチモンを昇華させる場合については、
以下のような極めて有効な効果が得られた。
【0102】成膜レートについて 例えば、色素を昇華させて成膜する場合、成膜レート
を、0.05〔Å/sec〕という微小な刻みで、0.
05乃至20〔Å/sec〕まで任意に変化させること
ができ、いずれのレート値においても常に安定した成膜
を実現することができた。例えば、上述した蒸発源2
(第1及び第2の実施の形態のいずれのものに係わらな
い。)において、蒸発物21(色素)のランプ22、2
2による照射面積(収容部24の面積)を4〔cm2
とし、これに0.3〔W/cm2 〕という比較的に小さ
い光エネルギ照射密度(ランプ22、22への供給電力
換算値)で光を照射して、上記色素を加熱し蒸発させ
た。このとき、蒸発源2の噴出口2aから上方に約40
0〔mm〕離れた位置において、1.5〔Å/sec〕
という比較的に大きい成膜レートを得た。
【0103】一方、半導体表面処理用のアンチモンを昇
華させて成膜する場合、成膜レートを、0.1〔Å/s
ec〕という微小な刻みで、0.1乃至100〔Å/s
ec〕まで任意に変化させることができ、いずれのレー
ト値においても常に安定した成膜を実現することができ
た。例えば、上記蒸発源2において、蒸発物21(アン
チモン)のランプ22、22による照射面積を4〔cm
2 〕とし、これに1〔W/cm2 〕という比較的に小さ
い光エネルギ照射密度(ランプ22、22への供給電力
換算値)で光を照射して、上記アンチモンを加熱し蒸発
させた。このとき、蒸発源2の噴出口2aから上方に約
400〔mm〕離れた位置において、10〔Å/se
c〕という比較的に大きい成膜レートを得た。
【0104】これに対して、従来の電子ビーム加熱や抵
抗加熱によれば、成膜レートを、上記のような微小なレ
ート刻みで、かつ上記のような広いレート範囲で任意に
変化させる(制御する)のは非常に困難である。また、
上記従来技術によれば、上記のような低電力で、上記の
ような高い成膜レートを得ることはできない。特に、抵
抗加熱においては、成膜レートを高くしようとすると、
それだけ大きい電力が必要となり、上記蒸発物21が例
えば小球状(粒状)である場合には、上述したように蒸
発物21が変質してしまう。即ち、本実施例により、成
膜レートの安定性、ひいては膜厚制御性を、従来よりも
遙に向上させることができ、更には、従来よりも少ない
電力で、高い成膜レートを得ることができるという結果
が得られた。
【0105】膜厚均一性について 例えば図28において、収容部24を直径30〔mm〕
の円孔とし、これに蒸発物21として色素を収容して蒸
発させ、これにより噴出口2aから上方に約400〔m
m〕離れた位置に膜を生成したときの、膜厚分布を測定
した。その結果、噴出口2aから噴出する蒸発物21の
噴出角度(指向角度)φを、例えばφ=10度に設定し
たとき、φ=8度に対応する範囲において±3%の膜厚
均一性を得ることができた。また、蒸発物21の噴出角
度φを、例えばφ=60度に設定したとき、φ=50度
に対応する範囲において±3%の膜厚均一性を得ること
ができた。そして、この蒸発物21の噴出角度φについ
ては、φ=150度まで拡げることができた。なお、こ
こで言う膜厚均一性とは、上記各範囲内において、膜厚
の最大値から最小値を差し引いて、これを最大値で除し
た値を百分率で表したものである。
【0106】実際の成膜過程における成膜レートの変移
について 例えば、上記第2の実施の形態で説明した蒸発源2(ケ
ース46を有するもの)を用いた真空蒸着装置により、
黄色色素を、目標2〔Å/sec〕の成膜レートで、2
000〔Å〕の膜厚まで成膜した結果を、図29のグラ
フに示す。同図に示すように、最初の約4分間、約50
〔W〕の電力供給(上記時間については、この電力値に
達成するまでの過渡期間を含む)により予備加熱を行
う。その後、シャッタ28を開いて約16分50秒の
間、成膜を行う。この間の成膜レートは、1.6乃至
2.5〔Å/sec〕という目標値(2〔Å/se
c〕)に近いレートで安定している。また、加熱電力に
ついては、100〔W〕以下である。そして、この成膜
によって得られた膜厚は、2003〔Å〕であった。
【0107】これに対して、従来の抵抗加熱、例えば図
34に示す蒸発源202のボート202aとしてタング
ステンボートを用いたものにより、上記と同様の黄色色
素を、目標2〔Å/sec〕の成膜レートで、2000
〔Å〕の膜厚まで成膜した結果を、図30のグラフに示
す。この例では、予備加熱に約10分という時間を要し
ており、その加熱電力も、400乃至700〔W〕と非
常に大きい。その後、シャッタを開いて成膜を行った
が、シャッタを開いてから約10分間は成膜が確認され
ず、約18分経過後に、急激に成膜レートが上昇した。
この成膜レートは、2度ほどピークを迎えた後(最大約
7.5〔Å/sec〕)、急激に低下し、シャッタを開
いてから約33分経過後に、トータルで2150〔Å〕
の膜厚が得られた。このように、従来の抵抗加熱によれ
ば、成膜レートが全く安定せず、これにより目標とする
膜厚についても正確に制御することができない。更に、
成膜時における加熱電力についても、約700乃至90
0Wと非常に大きい。
【0108】上記図29及び図30に示す結果から、本
願発明によれば、従来の抵抗加熱に比べて、遙に安定し
た成膜レートによる成膜を実現することができ、更に従
来よりも遙に低消費電力で成膜することができるという
ことが一目で判る。
【0109】図31は、上記図29における成膜処理
を、予備加熱せずに行った例を示すものである。同図に
示すように、予備加熱を行わないために、最初の2乃至
3分間については、成膜レートに±1〔Å/sec〕程
度のオーバーシュート現象が現れる。但し、その後につ
いては、成膜レートは目標値(2〔Å/sec〕)に近
いレートで安定し、約17分20秒で成膜を終える。こ
の成膜によって得られた膜厚は、2004〔Å〕であっ
た。この結果により、予備加熱の成膜開始時に与える効
果(成膜開始時における成膜レートの安定性)を確認す
ることができるが、簡易的な成膜であれば、予備加熱を
行わなくても十分に対応できることも確認できる。
【0110】図32は、上記黄色色素に代えてアンチモ
ン(Sb)を昇華させたときの成膜過程を示すグラフ
で、例えば、上記アンチモンを、目標1〔Å/sec〕
の成膜レートで、300〔Å〕の膜厚まで成膜した結果
を示している。同図に示すように、最初の約2分間、約
300〔W〕の電力供給により予備加熱を行う。その
後、シャッタ28を開いて約5分8秒の間、成膜を行
う。この間の成膜レートは、0.9乃至1.1〔Å/s
ec〕という目標値(1〔Å/sec〕)に近いレート
で安定している。また、加熱電力については、300
〔W〕前後(240乃至340W程度)である。そし
て、この成膜によって得られた膜厚は、302〔Å〕で
あった。よって、このアンチモンの場合についても、安
定した成膜レートで、正確な膜厚を得ることができる。
【0111】上記のような多大な効果が得られる本願発
明の真空蒸着装置は、例えば半導体オーミック用アンチ
モンの成膜、固体撮像素子や液晶パネルのカラーフィル
タの色素成膜等、特に昇華温度の低い昇華物を低レート
で成膜するのに非常に適している。
【0112】
【発明の効果】本発明のうち請求項1に記載の発明の真
空蒸着装置は、熱輻射手段により、蒸発物の表面に熱を
輻射することによって、蒸発物を加熱して蒸発させてい
る。従って、上述した従来の電子ビーム加熱や抵抗加熱
とは異なり、蒸発物を局部的に加熱するのではなく、広
範囲に加熱することができる。よって、蒸発物が、非常
に熱伝導率の低い物質である場合でも、上記電子ビーム
加熱とは異なり、蒸発物を部分的に蒸発させることはな
い。また、抵抗加熱とは異なり、蒸発物を部分的に強く
加熱することにより蒸発物を変質させることもない。即
ち、蒸発物を、効率良く加熱することができるという効
果がある。
【0113】また、熱輻射により蒸発物を加熱するの
で、蒸発物に対して、微小な加熱エネルギを与えること
ができる。従って、蒸発物が、例えば上述した色素やア
ンチモン等のように昇華温度の低い昇華性物質である場
合でも、上記電子ビーム加熱とは異なり、低レートで安
定した成膜を実現できるという効果がある。
【0114】更に、熱輻射手段は、蒸発物の露出面を加
熱しているので、蒸発物は、露出した部分から順次蒸発
する。よって、上記抵抗加熱のような蒸発物の飛び散り
を防ぐことができる。
【0115】請求項2に記載の発明によれば、熱輻射手
段が、蒸発物に対して、これを一様に加熱することがで
きる角度で熱を輻射しているので、蒸発物を、より効率
よく加熱することができるという効果がある。
【0116】請求項3に記載の発明によれば、蒸発物を
収容部に収容することにより、蒸発させる蒸発物の量、
及び熱輻射手段の蒸発物に対する熱輻射面積を、一定に
保つことができる。従って、常に、安定した成膜を実現
することができる。
【0117】請求項4に記載の発明によれば、遮蔽手段
を設けているので、熱輻射手段の熱輻射が、蒸発源外に
輻射されることはない。従って、一度被処理物の表面に
生成された膜が再蒸発したり、或いは真空槽内のいずれ
かの場所に付着した蒸発物が再蒸発して被処理物の表面
に付着したりするのを防ぐことができる。よって、蒸発
物の上記再蒸発による成膜品質(膜の純度)への影響を
防ぐことができるという効果がある。
【0118】請求項5に記載の発明によれば、蒸発源内
には、熱輻射手段から直接輻射される成分と遮蔽手段に
よって反射される成分とが輻射されるので、熱輻射手段
の蒸発物に対する熱輻射効率を高めることができるとい
う効果がある。
【0119】請求項6に記載の発明によれば、真空槽に
対して、蒸発源が着脱可能とされている。従って、例え
ば蒸発物を充填したり、或いは熱輻射手段を交換したり
する場合、真空槽から蒸発源を取り外した上で、これら
の作業を行うことができるので、作業性が向上するとい
う効果がある。また、予め複数の蒸発源を備えておくこ
とにより、同一の真空槽に対して、蒸発源をカートリッ
ジ式に交換することができる。これは、例えば蒸発物の
種類(膜の材料)を変えたり、或いは性能が経時劣化し
た等により蒸発源を交換したりする場合等に、非常に有
効である。
【0120】請求項7に記載の発明によれば、蒸発源の
噴出口を斜め上方に設けているので、蒸発物を斜め上方
に向けて噴出させることができる。従って、例えば被処
理物が蒸発源に対して斜め上方に配置されている場合
や、或いは真空槽内に蒸発源が複数配置されており、そ
れぞれから噴出される蒸発物を互いに干渉させたくない
場合等に、非常に有効である。
【0121】請求項8に記載の発明によれば、漏洩防止
手段を設けているので、蒸発物が噴出口以外から漏洩す
るのを防止することができる。従って、噴出口以外から
漏洩した蒸発物が、被処理物に付着するようなことも無
いので、被処理物に生成する膜の品質に影響を与えるこ
とも無い。
【0122】請求項9に記載の発明によれば、蒸発源の
蒸発物が配置される部分を、外方に露出させることがで
きるので、蒸発源に対して蒸発物を配置(充填)する場
合等、その作業性を向上させることができるという効果
がある。
【0123】請求項10に記載の発明によれば、蒸発源
の噴出口を有する部分を交換することができる。従っ
て、例えば被処理物の大きさや配置等に合わせて、噴出
口の大きさや形状、向き(蒸発物を噴出させる角度)等
を変えることができるという効果がある。
【0124】請求項11に記載の発明によれば、マスク
手段により、噴出口の開口形状を制御することができ、
ひいては噴出口から噴出させる蒸発物の噴出分布(状
態)を制御することができる。従って、被処理物に生成
する膜の膜厚分布を制御できるという効果がある。
【0125】請求項12に記載の発明によれば、熱輻射
手段と蒸発物との間にケースが介在し、また、蒸発した
蒸発物は、ケースに設けられた噴出口から蒸発源外へ噴
出されるので、蒸発した蒸発物が熱輻射手段に付着する
のを防ぐことができる。即ち、蒸発した蒸発物による熱
輻射手段の汚染を防止することができるので、熱輻射手
段の熱輻射エネルギを一定に保つことができる。
【0126】請求項13に記載の発明によれば、蒸発源
に対して組み合わせるケースを交換することができる。
従って、例えば、予めそれぞれ種類の異なる蒸発物が配
置されたケースを備えておくことによって、同一の熱輻
射手段により、それぞれ異なる種類の蒸発物を加熱して
蒸発させることができる。また、蒸発した蒸発物は、ケ
ースに設けられた噴出口から蒸発源外へ噴出されるの
で、この蒸発した蒸発物によって汚染されるのは、蒸発
源内のうち蒸発物によって汚染される(晒される)の
は、ケースの内側だけである。従って、上記のように蒸
発源のケースを交換して、それぞれ異なる種類の蒸発物
を噴出させても、蒸発源2外へ噴出されるのは、今現
在、蒸発源が有するケース内に配置された蒸発物のみで
あるので、それぞれ種類の異なる蒸発物が、互いに混合
されて蒸発源外へ噴出されることはない。よって、成膜
する膜の純度を保つことができる。
【0127】請求項14に記載の発明によれば、ケース
が、蒸発源に対して嵌合する嵌合部を有しているので、
蒸発源に対するケースの位置決めを確実に行うことがで
きるという効果がある。
【0128】請求項15に記載の発明によれば、予備加
熱手段により、蒸発物を予備加熱することができる。従
って、実際に成膜する以前に、この予備加熱を行うこと
により、蒸発物に含まれる水分や、成膜には不要なガス
等を、蒸発物から取り除くことができる。これにより、
実際に蒸発物を蒸発させる際の蒸発の立ち上げをスムー
ズに行うことができ、ひいては成膜開始時の成膜レート
を安定させることができるという効果が得られる。
【0129】請求項16に記載の発明によれば、上記予
備加熱手段が、熱輻射手段と同様の熱輻射によって予備
加熱を行うものなので、予備加熱手段と熱輻射手段と
を、それぞれ同様の構成要素(部品)で形成することが
できる。即ち、予備加熱手段と熱輻射手段との部品を、
共通化することができるという効果がある。
【0130】請求項17に記載の発明によれば、蒸発物
に対して、予備加熱手段の熱輻射と、蒸発物の配置され
る部分自体からの熱伝導との、両方により予備加熱を行
うことができる。更に、熱輻射手段は、蒸発物に対して
様々な角度から熱を輻射する。従って、予備加熱手段の
熱輻射を有効に使用することができ、より確実な予備加
熱を実現できるという効果がある。
【0131】請求項18に記載の発明によれば、熱輻射
手段として、光源を使用している。従って、例えばタン
グステンやハロゲン等のように一般に広く使用さている
ランプ等の簡単な構成で、上記熱輻射手段を形成できる
という効果がある。
【0132】請求項19に記載の発明によれば、電源装
置は、パルス数変調制御に基づいて光源の発光状態を制
御しており、光源に供給するパルスの電圧値、及び一定
時間当たりに供給するパルス数を調整することができ、
更には正電位の直流パルス、負電位の直流パルス及び交
流パルスのうちのいずれのパルスを光源に供給するのか
を選択できる。従って、成膜する条件に合わせて、光源
の発光状態を微妙にコントロールすることができるとい
う効果がある。
【0133】請求項20に記載の発明は、上記請求項1
に記載の発明の真空蒸着装置によって真空蒸着を行うの
と、同様な作用を奏する真空蒸着方法である。従って、
本請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載
の発明と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空蒸着装置の第1の実施の形態
を示す概略構成図である。
【図2】同第1の実施の形態における蒸発源の正面斜視
図で、(a)は、台部と蓋部とを結合させた状態、
(b)は、台部と蓋部とを分離させた状態を示す図であ
る。
【図3】同第1の実施の形態における蒸発源の内部を示
す図で、(a)は、正面端面図、(b)は、側面端面図
である。
【図4】同第1の実施の形態における蒸発源を構成する
台部の正面端面図で、蒸発物を収容する収容部の各種形
状を示す図である。
【図5】同第1の実施の形態におけるランプと収容部と
の寸法関係を示す図である。
【図6】同第1の実施の形態において、ランプが点光源
である場合の、その照射範囲と収容部との寸法関係を示
す図である。
【図7】同第1の実施の形態において、収容部に収容す
る蒸発物の量を一定に調整する手順を示す説明図であ
る。
【図8】同第1の実施の形態における蒸発源の正面斜視
図で、上記図2とは、別の例を示す図である。
【図9】同第1の実施の形態における蒸発源の正面端面
図で、(a)は、蒸発物の真上に噴出口を設けたもの、
(b)は、蒸発物に対して斜めの方向に噴出口を設けた
ものの図である。
【図10】同第1の実施の形態における成膜状態を示す
図で、(a)は、真上に蒸発物を蒸発させる蒸発源を用
いた真空蒸着装置、(b)は、斜め上方に向けて蒸発物
を蒸発させる蒸発源を用いた真空蒸着装置の図である。
【図11】上記図10(b)における蒸発源2を、別の
用途で用いた例を示す図である。
【図12】同第1の実施の形態において、蒸発源内の蒸
発物が外部に漏れるのを防止する技術を示す図である。
【図13】上記図12と同じ目的を別の手段で実現する
例を示す図で、蒸発源の台部と蓋部との結合部分をすり
合わせ構造としたものである。
【図14】同第1の実施の形態における予備加熱の概略
を示す図である。
【図15】同第1の実施の形態における電源装置の概略
構成を示す電気回路ブロック図である。
【図16】上記図15の電源装置からランプに供給する
電源波形を示す波形図である。
【図17】上記図15の電源装置からランプに供給する
電源波形を示す波形図で、上記図16とは別の波形を示
す図である。
【図18】同第1の実施の形態における蒸発源の別の形
態を示す図で、蓋体を被せる前の正面斜視図である。
【図19】図18の蒸発源の内部構造を示す図で、
(a)は、正面端面図、(b)は、側面端面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態における蒸発源の
正面斜視図で、(a)は、台部と蓋部とを分離させた状
態、(b)は、台部と蓋部とを結合させた状態を示す図
である。
【図21】同第2の実施の形態における蒸発源の内部を
示す図で、(a)は、正面端面図、(b)は、側面端面
図である。
【図22】同第2の実施の形態における蒸発源の正面斜
視図で、(a)及び(b)は、噴出口の寸法がそれぞれ
異なる蓋部を用いたものである。
【図23】同第2の実施の形態における蒸発源のケース
を、その台部と蓋部とを結合させるのに、すり合わせ構
造を用いた図である。
【図24】同第2の実施の形態における蒸発源のケース
を、その底面を粗面に形成したことを説明する図で、
(a)は、台部全体の正面断面図、(b)は底面の拡大
断面図である。
【図25】同第2の実施の形態における予備加熱の概略
を示す図である。
【図26】同第2の実施の形態において、噴出口の開口
形状を制御するマスク板についての説明図である。
【図27】同第2の実施の形態において、噴出口を複数
設けた蒸発源の正面端面図である。
【図28】同第2の実施の形態において、噴出口から噴
出される蒸発物の噴出角度(指向角度)θを示す図であ
る。
【図29】本発明に係る真空蒸着装置の一実施例を示す
もので、黄色色素の成膜過程を示すグラフである。
【図30】従来の真空蒸着装置により、黄色色素を成膜
したときのその過程を示すグラフである。
【図31】上記図29の条件において、予備加熱を省い
たときの成膜過程を示すグラフである。
【図32】本発明に係る真空蒸着装置の別の実施例を示
すもので、アンチモンの成膜過程を示すグラフである。
【図33】従来の電子ビーム加熱による真空蒸着装置の
概略構成を示す図である。
【図34】従来の抵抗加熱による真空蒸着装置の概略構
成を示す図である。
【図35】上記図33に示す従来の電子ビーム加熱によ
る問題点を説明するための図である。
【図36】上記図34に示す従来の抵抗加熱による問題
点を説明するための図である。
【符号の説明】 1 真空槽 2 蒸発源 2a 噴出口 3 電源装置 21 蒸発物 22 ランプ(熱輻射手段)

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気手段によって内部が排気されている
    真空槽と、この真空槽内に配置された蒸発物と、この蒸
    発物の露出した表面に熱を輻射してこれを加熱し蒸発さ
    せる熱輻射手段と、この蒸発した蒸発物が表面に付着す
    る状態に被処理物を上記真空槽内に支持する支持手段
    と、を具備する真空蒸着装置。
  2. 【請求項2】 上記熱輻射手段が、上記蒸発物の露出し
    た表面に対して15度乃至垂直を成す方向からこの露出
    した表面に熱を輻射する状態に構成された請求項1に記
    載の真空蒸着装置。
  3. 【請求項3】 上記蒸発物を収容する収容部を設けたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着装置。
  4. 【請求項4】 上記蒸発物と上記熱輻射手段とを内蔵し
    かつ上記蒸発した蒸発物を噴出させる噴出口を有する蒸
    発源を構成し、上記熱輻射手段の熱輻射が、上記蒸発源
    内のみに輻射される状態に、上記熱輻射を遮蔽する遮蔽
    手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の真空蒸
    着装置。
  5. 【請求項5】 上記遮蔽手段が、上記熱輻射手段の熱輻
    射を遮蔽すると共に、この熱輻射を上記蒸発源内に反射
    させる反射手段により形成されたことを特徴とする請求
    項4に記載の真空蒸着装置。
  6. 【請求項6】 上記蒸発源が、上記真空槽に対して着脱
    可能とされたことを特徴とする請求項4に記載の真空蒸
    着装置。
  7. 【請求項7】 上記蒸発源が、上記噴出口を斜め上方に
    向けた状態に構成されたことを特徴とする請求項4に記
    載の真空蒸着装置。
  8. 【請求項8】 上記蒸発源が、上記蒸発物が上記噴出口
    以外からこの蒸発源外に漏洩するのを防止する漏洩防止
    手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の真空蒸
    着装置。
  9. 【請求項9】 上記蒸発源が、上記蒸発物が配置される
    部分の該蒸発物が位置する側を該蒸発源の外方に露出さ
    せる状態に、該蒸発源の内部を開放させることができる
    よう構成されたことを特徴とする請求項4に記載の真空
    蒸着装置。
  10. 【請求項10】 上記蒸発源の少なくとも上記噴出口を
    有する部分が、これ以外の部分と、着脱可能な状態に構
    成されたことを特徴とする請求項4に記載の真空蒸着装
    置。
  11. 【請求項11】 上記噴出口の開口形状を制御する状態
    に、この噴出口の一部をマスクするマスク手段を設けた
    ことを特徴とする請求項4に記載の真空蒸着装置。
  12. 【請求項12】 上記蒸発源が、内部に上記蒸発物が配
    置されると共に上記噴出口が設けられたケースを有し、
    上記熱輻射手段が、上記ケースを透過して上記蒸発物の
    露出した表面に熱を輻射する状態に構成されたことを特
    徴とする請求項4に記載の真空蒸着装置。
  13. 【請求項13】 上記ケースが、上記蒸発源から分離可
    能な状態に構成されたことを特徴とする請求項12に記
    載の真空蒸着装置。
  14. 【請求項14】 上記ケースが、上記蒸発源に対して嵌
    合する嵌合部を有することを特徴とする請求項13に記
    載の真空蒸着装置。
  15. 【請求項15】 上記蒸発源の上記蒸発物が配置された
    部分を加熱する予備加熱手段を設けたことを特徴とする
    請求項4に記載の真空蒸着装置。
  16. 【請求項16】 上記予備加熱手段が、上記蒸発源の上
    記蒸発物が配置された部分に対して、その上記蒸発物の
    位置する側とは反対側から熱を輻射することにより、上
    記蒸発物が配置された部分を加熱する手段であることを
    特徴とする請求項15に記載の真空蒸着装置。
  17. 【請求項17】 上記蒸発源の上記蒸発物が配置された
    部分が、上記予備加熱手段の熱輻射に対して透過特性を
    有する透過材料により形成され、上記予備加熱手段から
    の熱輻射を受ける面が粗面に形成されたことを特徴とす
    る請求項16に記載の真空蒸着装置。
  18. 【請求項18】 上記熱輻射手段が、光源であることを
    特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の真空蒸
    着装置。
  19. 【請求項19】 上記光源に電源を供給する電源装置
    が、 入力された周波数一定の交流電圧の電圧値を任意に変化
    させることのできる電圧可変手段と、 上記電圧可変手段により変圧された交流電圧が入力さ
    れ、この入力された交流電圧の正電位成分及び負電位成
    分のうちのどちらか一方又は両方を、一定時間当たりに
    所定の波数だけ出力してこれを上記光源に供給する波数
    制御手段と、を備え、 上記波数制御手段は、上記一定時間当たりに出力する交
    流電圧の波数を調整可能な状態に構成されたこと特徴と
    する請求項18に記載の真空蒸着装置。
  20. 【請求項20】 排気手段によって内部が排気されてい
    る真空槽内において、熱輻射手段によって、蒸発物の露
    出した表面に熱を輻射してこれを加熱し蒸発させ、この
    蒸発した蒸発物を、支持手段によって支持された被処理
    物の表面に付着させることを特徴とする真空蒸着方法。
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