JPH1025342A - 光機能性重合体組成物及びその製造方法 - Google Patents
光機能性重合体組成物及びその製造方法Info
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- JPH1025342A JPH1025342A JP18200796A JP18200796A JPH1025342A JP H1025342 A JPH1025342 A JP H1025342A JP 18200796 A JP18200796 A JP 18200796A JP 18200796 A JP18200796 A JP 18200796A JP H1025342 A JPH1025342 A JP H1025342A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 可視光線で光電変換機能を有する新規な光機
能性重合体組成物とその安価な製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 波長400〜800nmの可視光域に吸
収帯を有し、可視光線で励起されて電荷を発生させる機
能を有する有機金属錯体とポリアニリンとの複合体から
なることを特徴とする光機能性重合体組成物。複合体の
製造方法としては、有機金属錯体とアニリンとを含む電
解液を用いて、電解重合法により電極上に有機金属錯体
とポリアニリンとの複合体を形成させる方法、電極上に
ポリアニリン薄膜を形成させ、得られたポリアニリン薄
膜を被覆した電極を有機金属錯体の溶液に浸漬して有機
金属錯体をポリアニリンに複合化させる方法などがあ
る。
能性重合体組成物とその安価な製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 波長400〜800nmの可視光域に吸
収帯を有し、可視光線で励起されて電荷を発生させる機
能を有する有機金属錯体とポリアニリンとの複合体から
なることを特徴とする光機能性重合体組成物。複合体の
製造方法としては、有機金属錯体とアニリンとを含む電
解液を用いて、電解重合法により電極上に有機金属錯体
とポリアニリンとの複合体を形成させる方法、電極上に
ポリアニリン薄膜を形成させ、得られたポリアニリン薄
膜を被覆した電極を有機金属錯体の溶液に浸漬して有機
金属錯体をポリアニリンに複合化させる方法などがあ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は可視光線で機能する
光電変換素子に適用される光機能重合体組成物及びその
製造方法に関する。
光電変換素子に適用される光機能重合体組成物及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピ
ロール、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンに代表
される導電性重合体は半導体的性質を有しており、これ
らを光電変換素子に適用しようとする試みがなされてい
るが未だ実用的性能には至っていない。
ロール、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンに代表
される導電性重合体は半導体的性質を有しており、これ
らを光電変換素子に適用しようとする試みがなされてい
るが未だ実用的性能には至っていない。
【0003】例えば、ポリアニリンのフィルムに可視光
線を照射すると光電流が得られることが J.Chem.Soc.,C
hem.Commun.,p346-7,('85)に記載されており、特開平1-
95312 号公報にはアミノコロネンの電解重合体により光
電流が得られることが開示されているが、これらの導電
性重合体を利用した光電変換素子で報告された性能はい
ずれも低いものであった。また、J.Am.Chem.Soc.,No.10
3,p1849-50,('81)にはポリピロールを利用する太陽電池
の例が報告されており、特開平3-78978 号公報にはチオ
フェン系重合体を利用する太陽電池の製造方法が開示さ
れているが、これらの太陽電池の性能は基板の半導体に
負うところが大きく、導電性重合体は半導体を安定化す
る目的で使用されているにすぎない。
線を照射すると光電流が得られることが J.Chem.Soc.,C
hem.Commun.,p346-7,('85)に記載されており、特開平1-
95312 号公報にはアミノコロネンの電解重合体により光
電流が得られることが開示されているが、これらの導電
性重合体を利用した光電変換素子で報告された性能はい
ずれも低いものであった。また、J.Am.Chem.Soc.,No.10
3,p1849-50,('81)にはポリピロールを利用する太陽電池
の例が報告されており、特開平3-78978 号公報にはチオ
フェン系重合体を利用する太陽電池の製造方法が開示さ
れているが、これらの太陽電池の性能は基板の半導体に
負うところが大きく、導電性重合体は半導体を安定化す
る目的で使用されているにすぎない。
【0004】一方、ルテニウム錯体、フタロシアニン錯
体、ポルフィリン錯体、フェロセンに代表される有機金
属錯体は可視光域に吸収帯があり、可視光線で励起され
て電荷を発生する機能を有するため、これを太陽電池に
適用しようとする試みがなされているが、NATURE,353,2
4,p737-9,('91)に発表された湿式太陽電池の例を除い
て、有機金属錯体を用いた太陽電池の性能はシリコン系
太陽電池に及ばない。また、光電変換素子として既に実
用化されているシリコン太陽電池は製造が難しくコスト
が高いという問題があり、簡易に低コストで製造できる
光電変換材料が求められている。
体、ポルフィリン錯体、フェロセンに代表される有機金
属錯体は可視光域に吸収帯があり、可視光線で励起され
て電荷を発生する機能を有するため、これを太陽電池に
適用しようとする試みがなされているが、NATURE,353,2
4,p737-9,('91)に発表された湿式太陽電池の例を除い
て、有機金属錯体を用いた太陽電池の性能はシリコン系
太陽電池に及ばない。また、光電変換素子として既に実
用化されているシリコン太陽電池は製造が難しくコスト
が高いという問題があり、簡易に低コストで製造できる
光電変換材料が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のような
技術背景に鑑み、可視光線で光電変換機能を有する新規
な光機能性重合体組成物とその安価な製造方法を提供す
ることを課題とする。
技術背景に鑑み、可視光線で光電変換機能を有する新規
な光機能性重合体組成物とその安価な製造方法を提供す
ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は次の(1)〜
(5)の態様を有する光機能性重合体組成物及びその製
造方法である。 (1)波長400〜800nmの可視光域に吸収帯を有
し、可視光線で励起されて電荷を発生させる機能を有す
る有機金属錯体とポリアニリンとの複合体からなること
を特徴とする光機能性重合体組成物。
(5)の態様を有する光機能性重合体組成物及びその製
造方法である。 (1)波長400〜800nmの可視光域に吸収帯を有
し、可視光線で励起されて電荷を発生させる機能を有す
る有機金属錯体とポリアニリンとの複合体からなること
を特徴とする光機能性重合体組成物。
【0007】(2)少なくとも前記有機金属錯体とアニ
リンとを含む電解液を用いて、電解重合法により電極上
に有機金属錯体とポリアニリンとの複合体を形成させる
ことを特徴とする前記(1)の光機能性重合体組成物の
製造方法。 (3)電解重合法により電極上にポリアニリン薄膜を形
成させ、得られたポリアニリン薄膜を被覆した電極を前
記有機金属錯体の溶液に浸漬して有機金属錯体をポリア
ニリンに複合化させることを特徴とする前記(1)の光
機能性重合体組成物の製造方法。 (4)電解重合法により電極上にポリアニリン薄膜を形
成させ、得られたポリアニリン薄膜を被覆した電極を少
なくとも前記有機金属錯体を含む電解液中で分極して有
機金属錯体をポリアニリンに複合化させることを特徴と
する前記(1)の光機能性重合体組成物の製造方法。 (5)前記ポリアニリン薄膜を被覆した電極が、化学重
合法により合成したポリアニリンをアルカリ処理し、有
機溶媒に溶解した溶液を電極上に塗布してポリアニリン
薄膜を形成させたものであることを特徴とする前記
(3)又は(4)の光機能性重合体組成物の製造方法。
リンとを含む電解液を用いて、電解重合法により電極上
に有機金属錯体とポリアニリンとの複合体を形成させる
ことを特徴とする前記(1)の光機能性重合体組成物の
製造方法。 (3)電解重合法により電極上にポリアニリン薄膜を形
成させ、得られたポリアニリン薄膜を被覆した電極を前
記有機金属錯体の溶液に浸漬して有機金属錯体をポリア
ニリンに複合化させることを特徴とする前記(1)の光
機能性重合体組成物の製造方法。 (4)電解重合法により電極上にポリアニリン薄膜を形
成させ、得られたポリアニリン薄膜を被覆した電極を少
なくとも前記有機金属錯体を含む電解液中で分極して有
機金属錯体をポリアニリンに複合化させることを特徴と
する前記(1)の光機能性重合体組成物の製造方法。 (5)前記ポリアニリン薄膜を被覆した電極が、化学重
合法により合成したポリアニリンをアルカリ処理し、有
機溶媒に溶解した溶液を電極上に塗布してポリアニリン
薄膜を形成させたものであることを特徴とする前記
(3)又は(4)の光機能性重合体組成物の製造方法。
【0008】本発明の光機能性重合体組成物は導電性重
合体と有機金属錯体とからなり、組成物に含まれる有機
金属錯体の割合は0.1〜20重量%の範囲から選ばれ
る。これは組成物に含まれる有機金属錯体の割合が0.
1重量%未満では可視光を照射して得られる光電流の大
きさが導電性重合体のみを使用した場合とほぼ等しくな
り有機金属錯体を複合化する効果が失われ、組成物に含
まれる有機金属錯体の割合が20重量%を超えると有機
金属錯体の配合量に応じて可視光を照射しても得られる
光電流の大きさが増加しなくなるためである。電極上に
形成された本発明の光機能性重合体組成物に可視光線を
照射すると組成物に含まれる有機金属錯体が励起され、
励起された電荷は導電性重合体表面に形成された空間電
荷層によって分離されるために本発明の光機能性重合体
組成物は光電変換素子材料として有用なものであり、ま
た、光触媒、蓄電素子などにも適用することができる。
合体と有機金属錯体とからなり、組成物に含まれる有機
金属錯体の割合は0.1〜20重量%の範囲から選ばれ
る。これは組成物に含まれる有機金属錯体の割合が0.
1重量%未満では可視光を照射して得られる光電流の大
きさが導電性重合体のみを使用した場合とほぼ等しくな
り有機金属錯体を複合化する効果が失われ、組成物に含
まれる有機金属錯体の割合が20重量%を超えると有機
金属錯体の配合量に応じて可視光を照射しても得られる
光電流の大きさが増加しなくなるためである。電極上に
形成された本発明の光機能性重合体組成物に可視光線を
照射すると組成物に含まれる有機金属錯体が励起され、
励起された電荷は導電性重合体表面に形成された空間電
荷層によって分離されるために本発明の光機能性重合体
組成物は光電変換素子材料として有用なものであり、ま
た、光触媒、蓄電素子などにも適用することができる。
【0009】本発明の光機能性重合体組成物を構成する
導電性重合体としてはポリアニリンが使用される。ポリ
アニリンは大気中での安定性が高く、電解重合法あるい
は化学的酸化重合法により容易に製造できる利点を有す
る。ポリアニリンは酸化状態でp型の半導体的性質を示
し、適当な電解質を含む電解液と接するとその表面に空
間電荷層を生じる。そこでポリアニリンと電解液との界
面にバンドギャップに相当する可視光線を照射するとポ
リアニリン中に生じた電子と正孔はこの空間電荷層で分
離されて光電流が発生するが、ポリアニリンのみの場合
にはこの光電流の大きさは極めて小さく光電変換素子と
しての性能は低いものであった。
導電性重合体としてはポリアニリンが使用される。ポリ
アニリンは大気中での安定性が高く、電解重合法あるい
は化学的酸化重合法により容易に製造できる利点を有す
る。ポリアニリンは酸化状態でp型の半導体的性質を示
し、適当な電解質を含む電解液と接するとその表面に空
間電荷層を生じる。そこでポリアニリンと電解液との界
面にバンドギャップに相当する可視光線を照射するとポ
リアニリン中に生じた電子と正孔はこの空間電荷層で分
離されて光電流が発生するが、ポリアニリンのみの場合
にはこの光電流の大きさは極めて小さく光電変換素子と
しての性能は低いものであった。
【0010】本発明において使用される有機金属錯体
は、波長400〜800nmの可視光域に吸収帯を有
し、可視光線で励起されて電荷を発生させる機能を有す
るものであって、具体的には、ルテニウム錯体を基本骨
格とする非置換体およびカルボキシル基、スルフォン酸
基、チオシアネート基、シアノ基などで置換した置換体
が用いられる。例えばトリスビピリジンルテニウム錯
体、シス−ジシアノビス(2,2′−ビピリジン)ルテ
ニウム錯体、シス−ジクロロビス(2,2′−ビピリジ
ン)ルテニウム錯体、シス−ジクロロビス(4,4′−
ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン)ルテニウム錯
体、ビス(シス−ジシアノビス(2,2′−ビピリジ
ン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボキシ−2,
2′−ビピリジンルテニウム錯体、ビス(2,2′−ビ
ピリジン)シス−4,4′−ジスルホキシ−2,2′−
ビピリジンルテニウム錯体などが挙げられる。これらの
ルテニウム錯体は水やアルコールなどの有機溶媒に可溶
であり、導電性重合体との複合化が容易にできるために
好ましい。
は、波長400〜800nmの可視光域に吸収帯を有
し、可視光線で励起されて電荷を発生させる機能を有す
るものであって、具体的には、ルテニウム錯体を基本骨
格とする非置換体およびカルボキシル基、スルフォン酸
基、チオシアネート基、シアノ基などで置換した置換体
が用いられる。例えばトリスビピリジンルテニウム錯
体、シス−ジシアノビス(2,2′−ビピリジン)ルテ
ニウム錯体、シス−ジクロロビス(2,2′−ビピリジ
ン)ルテニウム錯体、シス−ジクロロビス(4,4′−
ジカルボキシ−2,2′−ビピリジン)ルテニウム錯
体、ビス(シス−ジシアノビス(2,2′−ビピリジ
ン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボキシ−2,
2′−ビピリジンルテニウム錯体、ビス(2,2′−ビ
ピリジン)シス−4,4′−ジスルホキシ−2,2′−
ビピリジンルテニウム錯体などが挙げられる。これらの
ルテニウム錯体は水やアルコールなどの有機溶媒に可溶
であり、導電性重合体との複合化が容易にできるために
好ましい。
【0011】こられの有機金属錯体をポリアニリンに複
合化させることによって本発明の新規な光機能性重合体
組成物が得られるが、その製造方法としては次の〜
のような方法がある。すなわち、電解重合法によって
直接、有機金属錯体とポリアニリンとの複合体を製造す
る方法、電解重合法によってまずポリアニリンを合成
した後にこれを有機金属錯体の溶解した溶液に浸して物
理化学的に吸着あるいは置換して複合体を製造する方
法、電解重合法によってまずポリアニリンを合成した
後にこれを有機金属錯体の溶解した溶液に浸して分極し
電気化学的複合体を製造する方法、あるいは化学重合
法によってポリアニリンを合成し、アルカリ処理して可
溶性に変えてポリアニリン溶液を調製し、これを用いて
適当な形状にポリアニリンを成形した後に有機金属錯体
を先に述べたように物理化学的方法あるいは電気化学的
方法によって複合化して複合体を製造する方法である。
合化させることによって本発明の新規な光機能性重合体
組成物が得られるが、その製造方法としては次の〜
のような方法がある。すなわち、電解重合法によって
直接、有機金属錯体とポリアニリンとの複合体を製造す
る方法、電解重合法によってまずポリアニリンを合成
した後にこれを有機金属錯体の溶解した溶液に浸して物
理化学的に吸着あるいは置換して複合体を製造する方
法、電解重合法によってまずポリアニリンを合成した
後にこれを有機金属錯体の溶解した溶液に浸して分極し
電気化学的複合体を製造する方法、あるいは化学重合
法によってポリアニリンを合成し、アルカリ処理して可
溶性に変えてポリアニリン溶液を調製し、これを用いて
適当な形状にポリアニリンを成形した後に有機金属錯体
を先に述べたように物理化学的方法あるいは電気化学的
方法によって複合化して複合体を製造する方法である。
【0012】以下に前記製造方法の概略を説明する。前
記製造方法のはポリアニリンと有機金属錯体を含む電
解液を原料として、電解液に電極を浸し、電極の電位を
銀/塩化銀参照電極に対して約0.8Vに分極すること
により電極上に目的とする組成物を直接に合成する方法
である。電解液としては硫酸、過塩素酸、塩酸などの酸
性水溶液が好ましい。電解液中のアニリンの濃度は0.
1〜1.0モル/リットルの範囲が好ましい。アニリン
濃度が0.1モル/リットル未満では合成に要する時間
が著しく長くなり、1.0モル/リットルを超えるとア
ニリンと酸の塩が析出して均一な合成が困難となる。電
解液中の有機金属錯体の濃度は1×10-5〜1×10-3
モル/リットルの範囲が好ましい。錯体の濃度が1×1
0-5モル/リットル未満では合成された組成物に含まれ
る錯体の比率が著しく小さくなり、濃度が1×10-3モ
ル/リットルを超えると錯体が沈殿してしまうからであ
る。合成の際の温度は−2〜10℃の範囲が好ましい。
温度が−2℃未満では電解液が氷結して合成が困難とな
り、温度が10℃を超えるとポリアニリンの構造が不規
則になるからである。分極条件は電極電位を一定に保つ
定電位条件、電極に流れる電流を一定に保つ定電流条
件、あるいは電極電位を一定の割合で変化させる条件な
どの条件で合成されるが、好ましくは電極の電位を銀/
塩化銀参照電極に対して−0.1〜0.8Vの範囲で2
0〜100mV/secの割合で繰り返し変化させる方
法が挙げられる。
記製造方法のはポリアニリンと有機金属錯体を含む電
解液を原料として、電解液に電極を浸し、電極の電位を
銀/塩化銀参照電極に対して約0.8Vに分極すること
により電極上に目的とする組成物を直接に合成する方法
である。電解液としては硫酸、過塩素酸、塩酸などの酸
性水溶液が好ましい。電解液中のアニリンの濃度は0.
1〜1.0モル/リットルの範囲が好ましい。アニリン
濃度が0.1モル/リットル未満では合成に要する時間
が著しく長くなり、1.0モル/リットルを超えるとア
ニリンと酸の塩が析出して均一な合成が困難となる。電
解液中の有機金属錯体の濃度は1×10-5〜1×10-3
モル/リットルの範囲が好ましい。錯体の濃度が1×1
0-5モル/リットル未満では合成された組成物に含まれ
る錯体の比率が著しく小さくなり、濃度が1×10-3モ
ル/リットルを超えると錯体が沈殿してしまうからであ
る。合成の際の温度は−2〜10℃の範囲が好ましい。
温度が−2℃未満では電解液が氷結して合成が困難とな
り、温度が10℃を超えるとポリアニリンの構造が不規
則になるからである。分極条件は電極電位を一定に保つ
定電位条件、電極に流れる電流を一定に保つ定電流条
件、あるいは電極電位を一定の割合で変化させる条件な
どの条件で合成されるが、好ましくは電極の電位を銀/
塩化銀参照電極に対して−0.1〜0.8Vの範囲で2
0〜100mV/secの割合で繰り返し変化させる方
法が挙げられる。
【0013】前記製造方法のはアニリンを溶解した酸
性水溶液を原料として、電極を浸し、電極電位を銀/塩
化銀参照電極に対して約0.8Vに分極することにより
まず電極上にポリアニリンを合成し、続いてポリアニリ
ンで被覆した電極を有機金属錯体の溶解した液に浸漬し
て目的とする組成物を得る方法である。酸性水溶液とし
ては硫酸、過塩素酸、塩酸などが好ましい。酸性水溶液
中のアニリンの濃度は0.1〜1.0モル/リットルの
範囲が好ましい。アニリン濃度が0.1モル/リットル
未満では合成に要する時間が著しく長くなり、1.0モ
ル/リットルを超えるとアニリンと酸の塩が析出して均
一な合成が困難となる。合成の際の温度は−2〜10℃
の範囲が好ましい。温度が−2℃未満では電解液が氷結
して合成が困難となり、温度が10℃を超えるとポリア
ニリンの構造が不規則になるからである。分極条件は電
極電位を一定に保つ定電位条件、電極に流れる電流を一
定に保つ定電流条件、あるいは電極電位を一定の割合で
変化させる条件などの条件で合成されるが、好ましくは
電極の電位を銀/塩化銀参照電極に対して−0.1〜
0.8Vの範囲で20〜100mV/secの割合て繰
り返し変化させる方法が挙げられる。
性水溶液を原料として、電極を浸し、電極電位を銀/塩
化銀参照電極に対して約0.8Vに分極することにより
まず電極上にポリアニリンを合成し、続いてポリアニリ
ンで被覆した電極を有機金属錯体の溶解した液に浸漬し
て目的とする組成物を得る方法である。酸性水溶液とし
ては硫酸、過塩素酸、塩酸などが好ましい。酸性水溶液
中のアニリンの濃度は0.1〜1.0モル/リットルの
範囲が好ましい。アニリン濃度が0.1モル/リットル
未満では合成に要する時間が著しく長くなり、1.0モ
ル/リットルを超えるとアニリンと酸の塩が析出して均
一な合成が困難となる。合成の際の温度は−2〜10℃
の範囲が好ましい。温度が−2℃未満では電解液が氷結
して合成が困難となり、温度が10℃を超えるとポリア
ニリンの構造が不規則になるからである。分極条件は電
極電位を一定に保つ定電位条件、電極に流れる電流を一
定に保つ定電流条件、あるいは電極電位を一定の割合で
変化させる条件などの条件で合成されるが、好ましくは
電極の電位を銀/塩化銀参照電極に対して−0.1〜
0.8Vの範囲で20〜100mV/secの割合て繰
り返し変化させる方法が挙げられる。
【0014】有機金属錯体を溶解する液としては水やア
ルコールなどの溶媒が用いられるが、エタノールが好ま
しい。溶液中の有機金属錯体の濃度は1×10-5〜1×
10 -3モル/リットルの範囲が好ましい。錯体の濃度が
1×10-5モル/リットル未満では吸着した組成物に含
まれる錯体の比率が著しく小さくなり、濃度が1×10
-3モル/リットルを超えると錯体が沈殿してしまうから
である。ポリアニリンで被覆された電極を浸漬する時間
は膜厚にもよるが約2〜24時間の範囲が好ましい。浸
漬時間が2時間未満では錯体の吸着が十分でなく、24
時間を超えても錯体の吸着量が増加しなくなるからであ
る。
ルコールなどの溶媒が用いられるが、エタノールが好ま
しい。溶液中の有機金属錯体の濃度は1×10-5〜1×
10 -3モル/リットルの範囲が好ましい。錯体の濃度が
1×10-5モル/リットル未満では吸着した組成物に含
まれる錯体の比率が著しく小さくなり、濃度が1×10
-3モル/リットルを超えると錯体が沈殿してしまうから
である。ポリアニリンで被覆された電極を浸漬する時間
は膜厚にもよるが約2〜24時間の範囲が好ましい。浸
漬時間が2時間未満では錯体の吸着が十分でなく、24
時間を超えても錯体の吸着量が増加しなくなるからであ
る。
【0015】前記製造方法のではアニリンを溶解した
酸性水溶液を原料として、電極を浸し、電極電位を銀/
塩化銀参照電極に対して約0.8Vに分極することによ
りまず電極上にポリアニリンを合成し、続いてポリアニ
リンで被覆した電極を有機金属錯体を溶解した液に浸し
分極して錯体を複合化する方法である。電極上へポリア
ニリンを合成する反応条件は前記の場合と同様であ
る。有機金属錯体を溶解すると液としては水やアルコー
ルなどの溶媒が用いられるが、pH3〜6の弱酸性水溶
液が好ましい。溶液中の有機金属錯体の濃度は1×10
-5〜1×10-3モル/リットルの範囲が好ましい。錯体
の濃度が1×10-5モル/リットル未満では吸着した組
成物に含まれる錯体の比率が著しく小さくなり、濃度が
1×10-3モル/リットルを超えると錯体が沈殿してし
まうからである。ポリアニリンで被覆された電極を分極
する条件は電極電位を一定に保つ定電位条件、電極に流
れる電流を一定に保つ定電流条件、あるいは電極電位を
一定の割合で変化させる条件などの条件で合成される
が、好ましくは電極の電位を銀/塩化銀参照電極に対し
て−0.1〜0.8Vの範囲で20〜100mV/se
cの割合で繰り返し変化させる方法が挙げられる。
酸性水溶液を原料として、電極を浸し、電極電位を銀/
塩化銀参照電極に対して約0.8Vに分極することによ
りまず電極上にポリアニリンを合成し、続いてポリアニ
リンで被覆した電極を有機金属錯体を溶解した液に浸し
分極して錯体を複合化する方法である。電極上へポリア
ニリンを合成する反応条件は前記の場合と同様であ
る。有機金属錯体を溶解すると液としては水やアルコー
ルなどの溶媒が用いられるが、pH3〜6の弱酸性水溶
液が好ましい。溶液中の有機金属錯体の濃度は1×10
-5〜1×10-3モル/リットルの範囲が好ましい。錯体
の濃度が1×10-5モル/リットル未満では吸着した組
成物に含まれる錯体の比率が著しく小さくなり、濃度が
1×10-3モル/リットルを超えると錯体が沈殿してし
まうからである。ポリアニリンで被覆された電極を分極
する条件は電極電位を一定に保つ定電位条件、電極に流
れる電流を一定に保つ定電流条件、あるいは電極電位を
一定の割合で変化させる条件などの条件で合成される
が、好ましくは電極の電位を銀/塩化銀参照電極に対し
て−0.1〜0.8Vの範囲で20〜100mV/se
cの割合で繰り返し変化させる方法が挙げられる。
【0016】前記製造方法のではアニリンを溶解した
酸性水溶液を原料として過硫酸アンモニウムを酸化剤と
して加えて酸化するとポリアニリンの粉末が得られる。
酸性水溶液としては硫酸、過塩素酸、塩酸などが好まし
い。酸性水溶液中のアニリンの濃度は0.1〜1.0モ
ル/リットルの範囲が好ましい。アニリン濃度が0.1
モル/リットル未満では十分な収量が得られず、1.0
モル/リットルを超えるとアニリンと酸の塩が析出して
均一な合成が困難となる。合成の際の温度は−2〜10
℃の範囲が好ましい。温度が−2℃未満では水溶液が氷
結して合成が困難となり、温度が10℃を超えるとポリ
アニリンの構造が不規則になるからである。加える酸化
剤の量はアニリンと等モルとするのが好ましい。重合時
間は規模や攪拌の程度にもよるが、約4〜24時間が好
ましい。
酸性水溶液を原料として過硫酸アンモニウムを酸化剤と
して加えて酸化するとポリアニリンの粉末が得られる。
酸性水溶液としては硫酸、過塩素酸、塩酸などが好まし
い。酸性水溶液中のアニリンの濃度は0.1〜1.0モ
ル/リットルの範囲が好ましい。アニリン濃度が0.1
モル/リットル未満では十分な収量が得られず、1.0
モル/リットルを超えるとアニリンと酸の塩が析出して
均一な合成が困難となる。合成の際の温度は−2〜10
℃の範囲が好ましい。温度が−2℃未満では水溶液が氷
結して合成が困難となり、温度が10℃を超えるとポリ
アニリンの構造が不規則になるからである。加える酸化
剤の量はアニリンと等モルとするのが好ましい。重合時
間は規模や攪拌の程度にもよるが、約4〜24時間が好
ましい。
【0017】こうして得られたポリアニリンは酸化状態
であり有機溶媒に不溶であるが、この粉末をアンモニア
水などのアルカリ水溶液で還元処理するとN−メチル−
2−ピロリドンなどの有機溶剤に可溶になる。たとえば
1モル/リットルの濃度のアンモニア水溶液2リットル
にポリアニリン15gを入れて約12時間攪拌するなど
して処理される。還元処理したポリアニリンをN−メチ
ル−2−ピロリドンに溶解し、溶液を電極上に塗布して
乾燥するとポリアニリンで被覆された電極が得られる。
この電極を有機金属錯体の溶解した溶液に浸して有機金
属錯体を吸着させるか、または電極を有機金属錯体の溶
解した溶液に浸して有機金属錯体を電気的に複合化させ
て目的とする組成物が得られる。有機金属錯体を吸着さ
せる条件は前記の条件と同様であり、有機金属錯体を
電気的に複合化させる条件は前記の条件と同様であ
る。
であり有機溶媒に不溶であるが、この粉末をアンモニア
水などのアルカリ水溶液で還元処理するとN−メチル−
2−ピロリドンなどの有機溶剤に可溶になる。たとえば
1モル/リットルの濃度のアンモニア水溶液2リットル
にポリアニリン15gを入れて約12時間攪拌するなど
して処理される。還元処理したポリアニリンをN−メチ
ル−2−ピロリドンに溶解し、溶液を電極上に塗布して
乾燥するとポリアニリンで被覆された電極が得られる。
この電極を有機金属錯体の溶解した溶液に浸して有機金
属錯体を吸着させるか、または電極を有機金属錯体の溶
解した溶液に浸して有機金属錯体を電気的に複合化させ
て目的とする組成物が得られる。有機金属錯体を吸着さ
せる条件は前記の条件と同様であり、有機金属錯体を
電気的に複合化させる条件は前記の条件と同様であ
る。
【0018】本発明で使用する電極としてはガラス基板
上にインジウムとスズの混合酸化物をスパッタリング法
で蒸着した透明電極やアルミニウム、金、白金などの金
属をガラス基板上に蒸着した透明電極、あるいはアルミ
ニウム、金、白金、ステンレス合金などの金属や黒鉛な
どの導電性物質を使用することができる。これらの電極
の中から本発明で使用する電極が使用する形態に応じて
選択される。すなわち可視光線を透過する透明電極を本
発明の光機能性重合組成物の製造に使用する場合は光の
照射方向が基板側からであっても組成物の被覆側からで
あっても光電変換機能を発揮するが、可視光で不透明な
電極を使用する場合は光の照射方向が組成物の被覆側に
限って光電変換機能が得られる。
上にインジウムとスズの混合酸化物をスパッタリング法
で蒸着した透明電極やアルミニウム、金、白金などの金
属をガラス基板上に蒸着した透明電極、あるいはアルミ
ニウム、金、白金、ステンレス合金などの金属や黒鉛な
どの導電性物質を使用することができる。これらの電極
の中から本発明で使用する電極が使用する形態に応じて
選択される。すなわち可視光線を透過する透明電極を本
発明の光機能性重合組成物の製造に使用する場合は光の
照射方向が基板側からであっても組成物の被覆側からで
あっても光電変換機能を発揮するが、可視光で不透明な
電極を使用する場合は光の照射方向が組成物の被覆側に
限って光電変換機能が得られる。
【0019】これらの製造方法は製造する素子の大きさ
や製造期間の長さに応じて適当に選択できる。例えば、
電解重合法によって直接に本発明の光機能性重合体組成
物を製造する方法は、一つの工程で目的物を得ることが
できるので短期間に製造することができるが、素子の大
きさが約5×5cm2 より大きくなると均一な薄膜を合
成することが困難になる。一方、化学重合法によって合
成したポリアニリンを薄膜状に成形した後に有機金属錯
体を複合化する製造方法は、各段階のプロセスを経て製
造されるために製造期間が長くなるが、面積の大きい素
子を作製できる利点がある。
や製造期間の長さに応じて適当に選択できる。例えば、
電解重合法によって直接に本発明の光機能性重合体組成
物を製造する方法は、一つの工程で目的物を得ることが
できるので短期間に製造することができるが、素子の大
きさが約5×5cm2 より大きくなると均一な薄膜を合
成することが困難になる。一方、化学重合法によって合
成したポリアニリンを薄膜状に成形した後に有機金属錯
体を複合化する製造方法は、各段階のプロセスを経て製
造されるために製造期間が長くなるが、面積の大きい素
子を作製できる利点がある。
【0020】本発明で用いられる有機金属錯体は可視光
線で励起されて電荷を発生する機能を有し、ポリアニリ
ンはこの発生した電荷をその半導体的性質によって分離
する機能を有するので、両者を複合化した本発明の光機
能性重合体組成物は効率的に可視光線で光電変換機能を
発揮する。また、本発明の製造方法は特殊な設備や過酷
な条件を必要とせず、光機能性重合体組成物の安価な製
造を可能にする。
線で励起されて電荷を発生する機能を有し、ポリアニリ
ンはこの発生した電荷をその半導体的性質によって分離
する機能を有するので、両者を複合化した本発明の光機
能性重合体組成物は効率的に可視光線で光電変換機能を
発揮する。また、本発明の製造方法は特殊な設備や過酷
な条件を必要とせず、光機能性重合体組成物の安価な製
造を可能にする。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 (実施例1)市販の透明電極(日本板硝子(株)製IT
Oガラス、大きさ3×5cm、厚さ1mm)と対極(白
金箔)をアニリン濃度が1モル/リットルの2規定塩酸
水溶液に入れ、室温(約25℃)で電極1cm2 当たり
5mAの電流を10秒間流してポリアニリンを生成さ
せ、これを0.1規定塩酸で洗浄したのち室温で乾燥し
た。透明電極上に被覆した形の厚さ約1μmの緑色半透
明のポリアニリン薄膜が得られた。
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 (実施例1)市販の透明電極(日本板硝子(株)製IT
Oガラス、大きさ3×5cm、厚さ1mm)と対極(白
金箔)をアニリン濃度が1モル/リットルの2規定塩酸
水溶液に入れ、室温(約25℃)で電極1cm2 当たり
5mAの電流を10秒間流してポリアニリンを生成さ
せ、これを0.1規定塩酸で洗浄したのち室温で乾燥し
た。透明電極上に被覆した形の厚さ約1μmの緑色半透
明のポリアニリン薄膜が得られた。
【0022】市販の塩化ルテニウム、2,2′−ビピリ
ジンおよび4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリ
ジンを原料としてビス(シス−ジシアノビス(2,2′
−ビピリジン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボ
キシ−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体を公知の手
法に従って合成し、この錯体を1×10-5モル/リット
ルの濃度でエタノールに溶解した。この溶液に先に合成
したポリアニリン薄膜で被覆された透明電極を8時間浸
した後、取り出してエタノールで洗浄し、室温で乾燥し
た。錯体を複合化したポリアニリン薄膜の色は青色半透
明であった。これにより、透明電極上に有機金属錯体と
ポリアニリンとの複合体からなる光機能性重合体組成物
が得られた。本実施例の製造方法では有機金属錯体の溶
液はポリアニリンに付着して減少した量に応じて錯体を
加えることで繰り返して使用でき、高価な錯体を無駄な
く使用することができた。
ジンおよび4,4′−ジカルボキシ−2,2′−ビピリ
ジンを原料としてビス(シス−ジシアノビス(2,2′
−ビピリジン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボ
キシ−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体を公知の手
法に従って合成し、この錯体を1×10-5モル/リット
ルの濃度でエタノールに溶解した。この溶液に先に合成
したポリアニリン薄膜で被覆された透明電極を8時間浸
した後、取り出してエタノールで洗浄し、室温で乾燥し
た。錯体を複合化したポリアニリン薄膜の色は青色半透
明であった。これにより、透明電極上に有機金属錯体と
ポリアニリンとの複合体からなる光機能性重合体組成物
が得られた。本実施例の製造方法では有機金属錯体の溶
液はポリアニリンに付着して減少した量に応じて錯体を
加えることで繰り返して使用でき、高価な錯体を無駄な
く使用することができた。
【0023】(実施例2)実施例1で使用したのと同じ
透明電極(日本板硝子(株)製ITOガラス)と対極
(白金箔)を、pH3.4の塩酸水溶液にアニリンを
0.1モル/リットル、ビス(シス−ジシアノビス
(2,2′−ビピリジン)ルテニウム)シス−4,4′
−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体
を1×10-5モル/リットルの濃度で溶解した電解液に
入れ、室温(約25℃)で電極電位を塩化銀参照電位に
対して0.2Vから0.8Vまで2mV/secの割合
で5回変化させてポリアニリンを生成させ、これを0.
01規定塩酸で洗浄してから室温で乾燥した。これによ
り、透明電極上に被覆した形の有機金属錯体とポリアニ
リンとの複合体からなる光機能性重合体組成物が得られ
た。本実施例の製造方法では本発明の光機能性重合体組
成物を1工程で製造できたが、容量500ミリリットル
の電解槽を用いた場合の有機金属錯体の使用量は8.9
mgであった。
透明電極(日本板硝子(株)製ITOガラス)と対極
(白金箔)を、pH3.4の塩酸水溶液にアニリンを
0.1モル/リットル、ビス(シス−ジシアノビス
(2,2′−ビピリジン)ルテニウム)シス−4,4′
−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体
を1×10-5モル/リットルの濃度で溶解した電解液に
入れ、室温(約25℃)で電極電位を塩化銀参照電位に
対して0.2Vから0.8Vまで2mV/secの割合
で5回変化させてポリアニリンを生成させ、これを0.
01規定塩酸で洗浄してから室温で乾燥した。これによ
り、透明電極上に被覆した形の有機金属錯体とポリアニ
リンとの複合体からなる光機能性重合体組成物が得られ
た。本実施例の製造方法では本発明の光機能性重合体組
成物を1工程で製造できたが、容量500ミリリットル
の電解槽を用いた場合の有機金属錯体の使用量は8.9
mgであった。
【0024】(実施例3)ビス(シス−ジシアノビス
(2,2′−ビピリジン)ルテニウム)シス−4,4′
−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体
を1×10-5モル/リットルの濃度でpH4の塩酸水溶
液に溶解した。この溶液に乾燥した実施例1と同様な方
法で得られたポリアニリン薄膜で被覆した透明電極と対
極(白金箔)を浸し、室温(約25℃)でポリアニリン
の電位を塩化銀参照電位に対して0.2Vから−0.4
Vまで2mV/secの割合で変化させて脱ドーピング
した後に−0.2Vから0.6Vまで2mV/secの
割合で変化させ、0.6Vで10分間保持して錯体をド
ーピングした。錯体をドーピングしたポリアニリンを
0.01規定塩酸で洗浄してから室温で乾燥した。これ
により透明電極上に有機金属錯体とポリアニリンとの複
合体からなる光機能性重合体組成物か得られた。本実施
例の製造方法では有機金属錯体の溶液はポリアニリンに
付着して減少した量に応じて錯体を加えることで繰り返
して使用でき、高価な錯体を無駄なく使用することがで
きた。
(2,2′−ビピリジン)ルテニウム)シス−4,4′
−ジカルボキシ−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体
を1×10-5モル/リットルの濃度でpH4の塩酸水溶
液に溶解した。この溶液に乾燥した実施例1と同様な方
法で得られたポリアニリン薄膜で被覆した透明電極と対
極(白金箔)を浸し、室温(約25℃)でポリアニリン
の電位を塩化銀参照電位に対して0.2Vから−0.4
Vまで2mV/secの割合で変化させて脱ドーピング
した後に−0.2Vから0.6Vまで2mV/secの
割合で変化させ、0.6Vで10分間保持して錯体をド
ーピングした。錯体をドーピングしたポリアニリンを
0.01規定塩酸で洗浄してから室温で乾燥した。これ
により透明電極上に有機金属錯体とポリアニリンとの複
合体からなる光機能性重合体組成物か得られた。本実施
例の製造方法では有機金属錯体の溶液はポリアニリンに
付着して減少した量に応じて錯体を加えることで繰り返
して使用でき、高価な錯体を無駄なく使用することがで
きた。
【0025】(実施例4)アニリンを0.1モル/リッ
トルの濃度で溶解した1規定塩酸水溶液を0℃で攪拌し
ながら、過硫酸アンモニウムを1モル/リットルの濃度
で溶解した1規定塩酸水溶液をアニリンに対して過硫酸
アンモニウムが当量となるまで徐々に加えてポリアニリ
ンを生成させ、これを濾過して分離し、室温で乾燥し
た。乾燥したポリアニリンの粉末を1規定アンモニア水
溶液に入れて1時間攪拌してからこれを濾過して分離
し、室温で乾燥した。アンモニア処理したポリアニリン
を5重量%の濃度でN−メチル−2−ピロリドンに溶解
し、この溶液に実施例1で使用したのと同じ透明電極
(日本板硝子(株)製ITOガラス)を浸して引き上
げ、80℃の乾燥機で1時間乾燥した後にアセトンに浸
してN−メチル−2−ピロリドンを取り除いて乾燥し
た。透明電極上に厚さ約1μmの緑色半透明のポリアニ
リン薄膜が得られた。
トルの濃度で溶解した1規定塩酸水溶液を0℃で攪拌し
ながら、過硫酸アンモニウムを1モル/リットルの濃度
で溶解した1規定塩酸水溶液をアニリンに対して過硫酸
アンモニウムが当量となるまで徐々に加えてポリアニリ
ンを生成させ、これを濾過して分離し、室温で乾燥し
た。乾燥したポリアニリンの粉末を1規定アンモニア水
溶液に入れて1時間攪拌してからこれを濾過して分離
し、室温で乾燥した。アンモニア処理したポリアニリン
を5重量%の濃度でN−メチル−2−ピロリドンに溶解
し、この溶液に実施例1で使用したのと同じ透明電極
(日本板硝子(株)製ITOガラス)を浸して引き上
げ、80℃の乾燥機で1時間乾燥した後にアセトンに浸
してN−メチル−2−ピロリドンを取り除いて乾燥し
た。透明電極上に厚さ約1μmの緑色半透明のポリアニ
リン薄膜が得られた。
【0026】ビス(シス−ジシアノビス(2,2′−ビ
ピリジン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボキシ
−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体を1×10-5モ
ル/リットルの濃度でエタノールに溶解した溶液に乾燥
した前記ポリアニリン薄膜で被覆した透明電極を8時間
浸した後にエタノールで洗浄し、室温で乾燥した。これ
により、透明電極上に有機金属錯体とポリアニリンとの
複合体からなる光機能性重合体組成物が得られた。な
お、使用した透明電極の形状、大きさは実施例1と同じ
である。
ピリジン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボキシ
−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体を1×10-5モ
ル/リットルの濃度でエタノールに溶解した溶液に乾燥
した前記ポリアニリン薄膜で被覆した透明電極を8時間
浸した後にエタノールで洗浄し、室温で乾燥した。これ
により、透明電極上に有機金属錯体とポリアニリンとの
複合体からなる光機能性重合体組成物が得られた。な
お、使用した透明電極の形状、大きさは実施例1と同じ
である。
【0027】(実施例5)実施例4と同様にして得られ
たポリアニリンを5重量%の濃度でN−メチル−2−ピ
ロリドンに溶解した溶液に、実施例1で使用したのと同
じ透明電極(日本板硝子(株)製ITOガラス)を浸し
て引き上げ、120℃の乾燥機で1時間乾燥した後にア
セトンに浸してN−メチル−2−ピロリドンを取り除い
て乾燥した。透明電極上に厚さ約1μmの緑色半透明の
ポリアニリン薄膜が得られた。
たポリアニリンを5重量%の濃度でN−メチル−2−ピ
ロリドンに溶解した溶液に、実施例1で使用したのと同
じ透明電極(日本板硝子(株)製ITOガラス)を浸し
て引き上げ、120℃の乾燥機で1時間乾燥した後にア
セトンに浸してN−メチル−2−ピロリドンを取り除い
て乾燥した。透明電極上に厚さ約1μmの緑色半透明の
ポリアニリン薄膜が得られた。
【0028】ビス(シス−ジシアノビス(2,2′−ビ
ピリジン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボキシ
−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体を1×10-5モ
ル/リットルの濃度でエタノールに溶解した溶液に乾燥
した前記ポリアニリン薄膜で被覆した透明電極(形状、
大きさは実施例1と同じ)を8時間浸漬し、取り出して
室温で乾燥した。これにより、透明電極上に有機金属錯
体とポリアニリンとの複合体からなる光機能性重合体組
成物が得られた。本実施例の製造方法では有機金属錯体
の溶液はポリアニリンに付着して減少した量に応じて錯
体を加えることで繰り返して使用でき、高価な錯体を無
駄なく使用することができた。
ピリジン)ルテニウム)シス−4,4′−ジカルボキシ
−2,2′−ビピリジンルテニウム錯体を1×10-5モ
ル/リットルの濃度でエタノールに溶解した溶液に乾燥
した前記ポリアニリン薄膜で被覆した透明電極(形状、
大きさは実施例1と同じ)を8時間浸漬し、取り出して
室温で乾燥した。これにより、透明電極上に有機金属錯
体とポリアニリンとの複合体からなる光機能性重合体組
成物が得られた。本実施例の製造方法では有機金属錯体
の溶液はポリアニリンに付着して減少した量に応じて錯
体を加えることで繰り返して使用でき、高価な錯体を無
駄なく使用することができた。
【0029】(比較例1)実施例1と同様にして透明電
極(ITOガラス)上に厚さ約1μmの緑色半透明のポ
リアニリン薄膜を形成させ、比較試料とした。
極(ITOガラス)上に厚さ約1μmの緑色半透明のポ
リアニリン薄膜を形成させ、比較試料とした。
【0030】(比較例2)透明電極を有機金属錯体の溶
解した溶液に浸漬して透明電極表面に有機金属錯体を吸
着させ、比較試料とした。
解した溶液に浸漬して透明電極表面に有機金属錯体を吸
着させ、比較試料とした。
【0031】(参考例1)実施例1及び比較例1で製造
した組成物の紫外・可視透過スペクトルを日立製作所
(株)製UV−VIS U−3400分光測定機を用い
て測定した。測定された紫外・可視透過スペクトルを図
1に示す。比較例1の試料の可視光透過率は69%であ
るのに対して実施例1の試料の可視光透過率は60%と
有機金属錯体を複合化することによって可視光線の透過
率が減少する、すなわちポリアニリンだけの場合に比較
して有機金属錯体とポリアニリンとからなる組成物は可
視光線の吸収がより大きくなることがわかった。
した組成物の紫外・可視透過スペクトルを日立製作所
(株)製UV−VIS U−3400分光測定機を用い
て測定した。測定された紫外・可視透過スペクトルを図
1に示す。比較例1の試料の可視光透過率は69%であ
るのに対して実施例1の試料の可視光透過率は60%と
有機金属錯体を複合化することによって可視光線の透過
率が減少する、すなわちポリアニリンだけの場合に比較
して有機金属錯体とポリアニリンとからなる組成物は可
視光線の吸収がより大きくなることがわかった。
【0032】(参考例2)実施例1及び比較例1で製造
した組成物をヨウ化カリウム0.5モル/リットル、ヨ
ウ素0.04モル/リットルの濃度で炭酸エチレン20
%、炭酸プロピレン80%の混合溶媒に溶解した電解液
に浸し、対極に白金を浸して各組成物に20Wのハロゲ
ンライトを照射して光電流を測定した。図2に照射強度
と測定された光電流との関係を示す。照射強度520m
W/cm2 における光電流は比較例1の試料で0.12
μA/cm2 であるのに対して実施例1の試料で0.4
7μA/cm2 と有機金属錯体とポリアニリンとからな
る組成物が約4倍大きい光電流を発生させることがわか
った。
した組成物をヨウ化カリウム0.5モル/リットル、ヨ
ウ素0.04モル/リットルの濃度で炭酸エチレン20
%、炭酸プロピレン80%の混合溶媒に溶解した電解液
に浸し、対極に白金を浸して各組成物に20Wのハロゲ
ンライトを照射して光電流を測定した。図2に照射強度
と測定された光電流との関係を示す。照射強度520m
W/cm2 における光電流は比較例1の試料で0.12
μA/cm2 であるのに対して実施例1の試料で0.4
7μA/cm2 と有機金属錯体とポリアニリンとからな
る組成物が約4倍大きい光電流を発生させることがわか
った。
【0033】
【発明の効果】本発明の有機金属錯体とポリアニリンと
の複合体からなる光機能性重合体組成物は可視光線の照
射によって電荷を発生する機能が特に優れており、光電
変換材料として有用なものである。また、本発明の製造
方法によれば、特殊な設備や過酷な条件を必要とするこ
となく、前記の光機能性重合体組成物を容易かつ安価に
製造することができる。
の複合体からなる光機能性重合体組成物は可視光線の照
射によって電荷を発生する機能が特に優れており、光電
変換材料として有用なものである。また、本発明の製造
方法によれば、特殊な設備や過酷な条件を必要とするこ
となく、前記の光機能性重合体組成物を容易かつ安価に
製造することができる。
【図1】実施例1及び比較例1に係る組成物の紫外・可
視透過スペクトル図。
視透過スペクトル図。
【図2】実施例1及び比較例1に係る組成物の光照射強
度と発生する光電流との関係を示すグラフ。
度と発生する光電流との関係を示すグラフ。
Claims (5)
- 【請求項1】 波長400〜800nmの可視光域に吸
収帯を有し、可視光線で励起されて電荷を発生させる機
能を有する有機金属錯体とポリアニリンとの複合体から
なることを特徴とする光機能性重合体組成物。 - 【請求項2】 少なくとも前記有機金属錯体とアニリン
とを含む電解液を用いて、電解重合法により電極上に有
機金属錯体とポリアニリンとの複合体を形成させること
を特徴とする光機能性重合体組成物の製造方法。 - 【請求項3】 電解重合法により電極上にポリアニリン
薄膜を形成させ、得られたポリアニリン薄膜を被覆した
電極を前記有機金属錯体の溶液に浸漬して有機金属錯体
をポリアニリンに複合化させることを特徴とする光機能
性重合体組成物の製造方法。 - 【請求項4】 電解重合法により電極上にポリアニリン
薄膜を形成させ、得られたポリアニリン薄膜を被覆した
電極を少なくとも前記有機金属錯体を含む電解液中で分
極して有機金属錯体をポリアニリンに複合化させること
を特徴とする光機能性重合体組成物の製造方法。 - 【請求項5】 前記ポリアニリン薄膜を被覆した電極
が、化学重合法により合成したポリアニリンをアルカリ
処理し、有機溶媒に溶解した溶液を電極上に塗布してポ
リアニリン薄膜を形成させたものであることを特徴とす
る請求項3又は4に記載の光機能性重合体組成物の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18200796A JPH1025342A (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | 光機能性重合体組成物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18200796A JPH1025342A (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | 光機能性重合体組成物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1025342A true JPH1025342A (ja) | 1998-01-27 |
Family
ID=16110702
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18200796A Withdrawn JPH1025342A (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | 光機能性重合体組成物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1025342A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002513003A (ja) * | 1998-04-29 | 2002-05-08 | セラニーズ・ヴェンチャーズ・ゲーエムベーハー | 置換ビピリジル誘導体の触媒的製造法 |
-
1996
- 1996-07-11 JP JP18200796A patent/JPH1025342A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002513003A (ja) * | 1998-04-29 | 2002-05-08 | セラニーズ・ヴェンチャーズ・ゲーエムベーハー | 置換ビピリジル誘導体の触媒的製造法 |
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