JPH10252453A - 電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置 - Google Patents

電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置

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JPH10252453A
JPH10252453A JP5905197A JP5905197A JPH10252453A JP H10252453 A JPH10252453 A JP H10252453A JP 5905197 A JP5905197 A JP 5905197A JP 5905197 A JP5905197 A JP 5905197A JP H10252453 A JPH10252453 A JP H10252453A
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JP
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engine
cylinder
fuel
catalyst
air
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JP5905197A
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English (en)
Inventor
Koji Yoshizaki
吉▲崎▼康二
Toshimi Murai
俊水 村井
Yukio Kinugasa
幸夫 衣笠
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気加熱式触媒を搭載し、始動後直ちに空燃
比フィードバック制御を行う多気筒エンジンの主触媒の
暖機時間を短縮して浄化率を向上させる。 【解決手段】 排気通路2内に電気加熱式触媒4と主触
媒3とを備え、始動後に直ちに空燃比フィードバック制
御を行う多気筒エンジン1において、主触媒3の暖機必
要時に、電気加熱式触媒4に通電を行うと共に、多気筒
エンジン1の一部の気筒の点火を停止することにより排
気通路2内に未燃焼成分を排出し、この未燃焼成分を通
電状態の電気加熱式触媒4において触媒反応させ、反応
熱で主触媒3の暖機を早めて、主触媒における未燃焼成
分の浄化能力を向上させる。点火停止気筒は、エンジン
の気筒数、1気筒からの空気の排出量、電気加熱式触媒
4への通電時の空燃比、及びエンジン回転数から、排気
ガス中の未燃焼成分による反応熱が主触媒の暖機熱量に
等しくなるように適宜決定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気加熱式触媒を備
えたエンジンの制御装置に関し、特に、自動車の排気通
路に電気加熱式触媒と主触媒とを備えたエンジンにおい
て、エンジンの冷間始動時のように主触媒が冷えている
時に、排気ガス中の空燃比が理論空燃比に近い状態で排
気ガス中に未燃焼成分を供給すると共に、電気加熱式触
媒を加熱して未燃焼成分をここで触媒反応させ、その反
応熱で下流側の主触媒の活性化を促進させるようにした
多気筒エンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載されたエンジンから排出され
る排気ガス中にはHC(炭化水素)、CO(一酸化炭
素)やNOx(窒素酸化物) 等の有害物質が含まれている
ので、エンジンの排気通路には排気ガスを浄化する排気
ガス浄化装置としての触媒コンバータが一般に設けられ
ている。ところが、この触媒コンバータに使用される三
元触媒は、触媒の温度が低い時 (不活性状態) には排気
ガス中の有害物質の浄化率が低いことが知られている。
したがって、エンジンの冷間始動後の触媒コンバータが
不活性の状態では排気ガスの浄化が十分に行えなかっ
た。
【0003】そこで、触媒コンバータの上流側の排気通
路に、酸化触媒が担持されると共に電気ヒータを組み込
んだ第2の触媒コンバータ(EHC:Electrically Hea
tedCatalyst、以後、電気加熱式触媒と記す)を組み込
み、触媒コンバータが不活性の状態の時にこの電気加熱
式触媒を電気的に加熱して酸化触媒を活性化させ、HC
やCOの浄化を促進させるようにした排気ガス浄化装置
が提案されている。このような電気加熱式触媒には通
常、オルタネータやバッテリから電力が供給される。
【0004】一方、エンジン始動後のエンジン暖機運転
中には、一般にリッチな空燃比でエンジンが運転される
が、この時の排気ガス中には未燃焼燃料と少しの空気し
かなく、排気ガス中の空燃比は理論空燃比よりも濃い。
このために、いくら電気加熱式触媒を設けて触媒コンバ
ータを活性化しても、触媒コンバータにおいてHCやC
Oが浄化されにくかった。そこで、エンジンの暖機運転
時の排気ガスの空燃比を理論空燃比に近づけ、触媒コン
バータにおける排気ガスの浄化性能を向上させるため
に、触媒コンバータの上流側に電動エアポンプを設け、
電気加熱式触媒の通電時に電気加熱式触媒の上流側に二
次空気を導入する技術がある(例えば、特開平6−74
028号公報参照)。
【0005】ところが、特開平6−74028号公報に
開示のように、エンジンの始動後の暖機時等のごく短い
特定状況においてだけ排気通路に二次空気を供給するた
めだけに専用の電動エアポンプを設置するとなると、電
動エアポンプ以外にも二次空気供給用の配管等の部品が
必要であり、エンジンのコストアップになるという問題
がある。
【0006】ところで、エンジン暖機時の空燃比を理論
空燃比や更にリーンにしておけば、二次空気を排気通路
に導入しなくても、電気加熱式触媒によって主触媒を活
性化させた状態では排気ガス中のHC、COを浄化する
ことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、排気ガ
スの温度が低く、触媒の床温が上がり難い位置では、排
気ガス中の未燃焼HC、COの量が少なく、反応熱が小
さくて電気加熱式触媒の下流側の主触媒を十分加熱する
ことができず、触媒活性容積が不足してHC,COの浄
化が十分にできないという問題点がある。
【0008】この問題点を解決する方法として、電気加
熱式触媒への供給電力を大きくして加熱温度を上昇させ
ることが考えられるが、この場合は、電気加熱式触媒へ
の供給電力として2〜5kw以上の電力が必要であり、
通常使用されるバッテリの容量を考えるととても供給可
能な電力ではない。この問題点について、図23に示す
ような電気式の空気ポンプ25により二次空気を供給可
能なV型8気筒エンジン1の排気通路2A,2Bの集合
部に、電気加熱式触媒(EHC)4と主触媒(触媒コン
バータ)3とを設けた場合において、図17〜図22に
示す空燃比と電気加熱式触媒の性能の実験結果を用いて
説明する。
【0009】なお、図17〜図22において、(1) 点線
はエンジン始動後に電気加熱式触媒をオフした状態で直
ちに空燃比のフィードバック制御を行った時の特性(図
中、即F.B.と記載)を示し、(2) 細い実線はエンジ
ン始動後に電気加熱式触媒をオフした状態で空燃比をリ
ッチにして二次空気を供給した時の特性(図中、A/F
Rich+AIと記載)を示し、(3) 破線はエンジン
始動後に電気加熱式触媒に2kWの電力を供給した状態
で直ちに空燃比のフィードバック制御を行った時の特性
(図中、即F.B.2kWと記載)を示し、(4) 太い実
線はエンジン始動後に電気加熱式触媒に2kWの電力を
供給した状態で空燃比をリッチにして二次空気を供給し
た時の特性(図中、A/F Rich+AI 2kWと
記載)を示し、(5) 一点鎖線はエンジン始動後に電気加
熱式触媒に4kWの電力を供給した状態で直ちに空燃比
のフィードバック制御を行った時の特性(図中、即F.
B.4kWと記載)を示している。
【0010】図17はエンジン1の始動後の時間に対す
る電気加熱式触媒4の床温の変化を、前述の(1) 〜(5)
の特性毎に示すものであり、図18はエンジン1の始動
後の時間に対する主触媒3の床温の変化を、前述の(1)
〜(5) の特性毎に示すものである。また、図19はエン
ジン1の始動後の時間に対するHCの排出量の変化を前
述の(1) 〜(5) の特性毎に示すものであり、図20はエ
ンジン1の始動後の時間に対するHCの排出量の積算値
の変化を前述の(1) 〜(5) の特性毎に示すものである。
更に、図21はエンジン1の始動後の時間に対する排気
ガスの熱、電気加熱式触媒への供給電力と触媒反応熱の
積算値を、前述の(3) 〜(5) の特性毎に示すものであ
り、図22はエンジン1の始動後の時間に対する触媒浄
化の反応熱の変化を前述の(3) 〜(5) の特性毎に示すも
のである。
【0011】図19,図20から分かるように、電気加
熱式触媒4がオフの時は、空燃比をリッチにして二次空
気を注入した(1) の場合の方が、空燃比がリッチ分だけ
(2)の即時フィードバック制御よりもHCの排出量が多
い。また、空燃比をリッチにした状態で二次空気を注入
し、更に電気加熱式触媒4に2kwの電力を加えると、
電気加熱式触媒における触媒反応による反応熱で一気に
主触媒3の床温度が上昇し(図18参照)、触媒活性容
積が確保されてHCの排出量が大きく低減される(図1
9参照)。
【0012】一方、エンジン1の始動後に直ちに空燃比
のフィードバックを行って暖機する場合は、電気加熱式
触媒4に2kwの電力を与えても反応熱が小さいため、
主触媒の床温度の上昇が遅く(図18参照)、主触媒3
が活性温度に達するまでのHCの浄化が不十分でHCの
排出量が多い(図19,図20参照)。そこで、エンジ
ン1の始動後に直ちに空燃比のフィードバックを行って
暖機する場合に、電気加熱式触媒4への供給電力を4k
wにすると、電気加熱式触媒4のヒータの発熱量の増大
により、電気加熱式触媒4および主触媒3の床温度が上
昇するので(図17,図18参照)、HCの浄化率が高
まり、空燃比リッチで二次空気を注入し、電気加熱式触
媒4に2kwを加えた場合のHCの排出レベルに近くな
る(図19,図20参照)。この時の触媒反応熱や排気
ガス、電気加熱式触媒への供給電力、触媒反応熱の積算
値が図21に示される。
【0013】以上のことから、空燃比をリッチにした状
態で二次空気を注入した時の反応熱が非常に大きい事が
分かる。一方、エンジン1の暖機時に空燃比を薄くし、
未燃焼成分を少なくすると、エンジン1から排出される
排気ガス中のHC,COの低減が図れるが、電気加熱式
触媒4や主触媒3での反応熱が小さくなり、触媒全体の
活性が遅くなり、HC,COの浄化が十分できないこと
も分かる。
【0014】そこで、本発明は、排気通路内に電気加熱
式触媒を備え、この電気加熱式触媒の下流側に主触媒を
備えた多気筒エンジンにおいて、触媒の暖機が必要な時
に、エンジンへの混合気の空燃比は理論空燃比に近い状
態にして排気ガス中のHC,COの低減を図り、そし
て、触媒の暖機に関しては、排気ガス中の空燃比が理論
空燃比に近い状態で排気ガス中に未燃焼成分を供給する
と共に電気加熱式触媒触媒を加熱して供給した未燃焼成
分をここで触媒反応させ、その反応熱で下流側の主触媒
の活性化を促進させるようにして、触媒装置における排
気ガスの浄化率を向上させることができるエンジンの制
御装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の第1の形態の電気加熱式触媒を備えたエンジンの制
御装置は、排気通路内に電気加熱式触媒を備え、この電
気加熱式触媒の下流側に主触媒を備え、エンジン始動後
に直ちに空燃比フィードバック制御を行う多気筒エンジ
ンの制御装置において、主触媒の温度を検出する手段
と、主触媒の温度が暖機が必要な温度であるか否かを判
定する手段と、主触媒の暖機が必要な時に、電気加熱式
触媒に通電を行う通電制御手段と、多気筒エンジンの一
部の気筒の点火を停止する点火制御手段とを設けたこと
を特徴としている。
【0016】前記目的を達成する本発明の第2の形態の
電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置は、第1の
形態のエンジンの制御装置において、点火制御手段が、
主触媒の温度から主触媒の暖機に必要な暖機熱量を求
め、多気筒エンジンの気筒数、エンジンの回転数、エン
ジンの吸入空気量、その時の空燃比から1気筒の単位時
間当たりの燃料量を計算してこの燃料量が触媒反応した
時の発熱量の積算値が前記暖機熱量になるように、多気
筒エンジンの一部の気筒の点火を停止することを特徴と
している。
【0017】前記目的を達成する本発明の第3の形態の
電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置は、第2の
形態のエンジンの制御装置において、点火制御手段が、
リッチ側またはリーン側に外れた空燃比を理論空燃比に
戻すように供給燃料量を増減する空燃比のフィードバッ
ク制御に基づき、一部の気筒の点火を停止する際に、空
燃比が僅かにリーンになるように燃料を少なめに噴射す
る気筒の点火を止めて、未燃焼混合気中の空気過剰率を
高めるようにすることを特徴としている。
【0018】前記目的を達成する本発明の第4の形態の
電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置は、排気通
路内に電気加熱式触媒を備え、この電気加熱式触媒の下
流側に主触媒を備え、エンジン始動後に直ちに空燃比フ
ィードバック制御を行う多気筒筒内燃料噴射型エンジン
の制御装置において、主触媒の温度を検出する手段と、
主触媒の温度が暖機が必要な温度であるか否かを判定す
る手段と、主触媒の暖機が必要な時に、電気加熱式触媒
に通電を行う通電制御手段と、多気筒エンジンの任意の
気筒の排気行程において暖機に必要な燃料を噴射する噴
射制御手段とを設けたことを特徴としている。
【0019】前記目的を達成する本発明の第5の形態の
電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置は、第4の
形態のエンジンの制御装置において、噴射制御手段が、
主触媒の温度から主触媒の暖機に必要な暖機熱量を求
め、燃料が触媒反応した時の発熱量の積算値が暖機熱量
になるように、多気筒筒内燃料噴射型エンジンの一部の
気筒の排気行程に燃料を所定値から次第に減少させて噴
射すると共に、この排気行程における燃料噴射量に応じ
てその直前の吸気行程における燃料噴射量を、空燃比が
リーン側になるように制御して、排気ガス中の空燃比が
理論空燃比になるようにしたことを特徴としている。
【0020】本発明の第1の形態のエンジン制御装置に
よれば、検出された主触媒の温度により、主触媒の暖機
が必要であると判定された時に、電気加熱式触媒に通電
が行われると共に、多気筒エンジンの点火が停止された
一部の気筒からはHC,CO等の未燃焼成分が排出さ
れ、このHC,COが電気加熱式触媒で浄化され、この
時の反応熱で下流側の主触媒が加熱されるので、電気加
熱式触媒と主触媒の位置がエンジンから離れている場合
でも、両触媒を迅速に活性化させることができる。
【0021】本発明の第2の形態のエンジン制御装置に
よれば、第1の形態のエンジンの制御装置において、主
触媒温度から計算された暖機に必要な暖機熱量に等しい
反応熱がエンジンの運転状態から計算されて求められ、
この反応熱が得られる未燃焼成分が多気筒エンジンの点
火停止気筒から排出されるので、エンジンの燃費を悪化
させることなく適正に両触媒を活性化させることができ
る。これは、エンジン始動時(始動直後)に特に有効で
ある。
【0022】本発明の第3の形態のエンジン制御装置に
よれば、点火停止気筒から排出される未燃焼成分による
排気ガス中の空燃比が僅かに理論空燃比からリーン側に
ずれ、空気過剰率が高いので未燃焼成分が十分触媒反応
できるようになる。本発明の第4の形態のエンジンの制
御装置によれば、多気筒エンジンが筒内燃料噴射型エン
ジンであるので、主触媒の暖機が必要であると判定され
た時に、電気加熱式触媒に通電が行われると共に、任意
の気筒の排気行程において、暖機に必要な燃料を噴射す
ることができるので、電気加熱式触媒と主触媒の位置が
エンジンから離れている場合でも、両触媒を迅速に活性
化させることができる。
【0023】本発明の第5の形態のエンジンの制御装置
によれば、第6の形態のエンジンの制御装置において、
排気行程における燃料噴射量に応じてその直前の吸気行
程における燃料噴射量が、空燃比がリーン側になるよう
に制御されるので、排気ガス中の空燃比が理論空燃比に
なるので、両触媒における浄化率が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の実
施の形態を具体的な実施例により詳細に説明する。図1
は本発明の電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置
の一実施例を搭載した直列4気筒エンジン1の全体構成
を示す図である。
【0025】図1において、エンジン1の吸気通路20
にはエアクリーナ23が設けられており、その下流側に
エアフローメータ21とスロットル弁22がある。エア
フローメータ21には吸入空気量を検出するセンサであ
るエアフローセンサ24が設けられており、このエアフ
ローセンサ24の吸入空気量の検出値Qは、負荷量とし
てECU(エンジン・コントロール・ユニット)10に
送られる。
【0026】エンジン1の各気筒への吸気通路20に
は、それぞれ燃料噴射弁11が設けられている。各燃料
噴射弁11には燃料が供給されており、ECU10から
の開弁信号によって燃料噴射弁11が開弁すると、燃料
噴射弁11から各気筒に燃料が噴射される。燃料噴射弁
11の開弁時間は、エンジン1の運転状態に応じて適正
な空燃比となるようにECU10で計算される。
【0027】エンジン1の各気筒には点火プラグ17が
設けられており、各気筒の点火プラグ17はディストリ
ビュータ16により、各気筒の圧縮行程に応じて所定点
火順序で点火が行われる。15はディストリビュータ1
6に接続するイグニッションコイル、14はイグナイタ
である。また、エンジン1の排気通路2には通常の触媒
コンバータである主触媒3が設けられており、この主触
媒3の上流側に近接して電気加熱式触媒4が設けられて
いる。7は電気加熱式触媒4のヒータの電極である。そ
して、主触媒3には床温を検出するための温度センサ1
3が設けられており、この温度センサ13の温度検出値
はECU10に入力される。更に、電気加熱式触媒4の
上流側の排気通路2には、排気ガス中の酸素濃度を検出
するO2 センサ12が設けられている。このO2 センサ
12の検出値はECU10に入力され、ECU10は排
気ガス中の残留酸素濃度により、混合気を理論空燃比に
制御する空燃比フィードバック制御を実行する。なお、
この実施例におけるO2 センサ12にはヒータが内蔵さ
れており、ECU10からの通電によりヒータが通電さ
れると、O2 センサ12が短時間で活性化する。この結
果、この実施例のエンジン1では、エンジン1の始動後
の短時間内に空燃比のフィードバック制御を実行するこ
とができる。
【0028】一方、エンジン1の出力側にはエンジン1
の回転数Neを検出する回転数センサ8が設けられてお
り、検出値NeはECU10に入力される。また、エン
ジン1の近傍には、エンジン1によって駆動されて発電
を行う発電機(オルタネータ)9が設けられている。こ
のオルタネータ9は、発電によって得られた電力によ
り、車両に搭載されたバッテリ6を充電するものであ
る。このオルタネータ9にはその発電量を制御する制御
信号が、ECU10から入力されるようになっている。
【0029】この実施例では、バッテリ6の出力端子
は、ECU10とオルタネータ9に直接入力されると共
に、イグニッションスイッチSWIGを介して車両負荷
5及びオルタネータ9に入力され、更に、スイッチSW
2を介して電気加熱式触媒4の電極7に入力される。ま
た、オルタネータ9の出力は、切換スイッチSW1がO
FF端子に接続されている時にバッテリ6の出力端子に
入力され、ON端子に接続されている時に電気加熱式触
媒4の電極7に入力される。従って、オルタネータ9の
出力は、切換スイッチSW1がON側の時に電気加熱式
触媒4の加熱に利用され、OFF側の時にバッテリ6の
充電に利用される。
【0030】図2は、図1に示したオルタネータ9の内
部の回路構成、及び電気加熱式触媒4、車両負荷5、E
CU10とバッテリ6との具体的な接続関係を示す回路
図であり、図1と同じ構成部材には同じ符号が付されて
いる。図2に示されるように、オルタネータ9の内部に
は、3相星型結線されたステータコイル91、ロータコ
イル92、ブラシ93、ダイオードブリッジからなる3
相全波整流器94、及びICレギュレータ95がある。
ロータコイル92の一端はICレギュレータ95に接続
され、他端は整流器94に接続されている。ICレギュ
レータ95には充電端子B、イグニッションスイッチ9
7に接続するイグニッション端子IG、ロータコイル9
2が接続する界磁電流端子F、ステータコイル91の1
相に接続する位相端子P、ECUからの制御信号が入力
される端子EHC、バッテリ6に直接接続される端子
S、及び接地されるアース端子Eがある。
【0031】電気加熱式触媒4、車両負荷5、バッテリ
6、及びスイッチSWIG、SW1、及びSW2との接
続関係は図1と全く同じである。以上のように構成され
た実施例では、イグニッションスイッチSWIGがオン
されている通常の状態において、ECU10によってス
イッチSW1が実線で示すOFF端子側に接続された時
に、ステータコイル91で発生した電力は3相全波整流
器14で整流された後にICレギュレータ95を経てバ
ッテリ6に入力される。このとき、ECU10によって
スイッチSW2がオンされると、電気加熱式触媒4はバ
ッテリ6によって通電されて加熱される。一方、ECU
10によってスイッチSW1が破線で示すON端子側に
切り換えられると、電気加熱式触媒4はオルタネータ9
によって通電されて加熱される。
【0032】以上のように構成された電気加熱式触媒を
備えたエンジンの制御装置においては、エンジン1が暖
機され、O2 センサ12で空燃比をフィードバック制御
してエンジン1が運転されている状態では、HC,CO
等の未燃焼成分が排気ガス中に含まれていても、燃焼時
に残った酸素によってこれらの未燃焼成分は暖機された
主触媒3で反応し、二次空気を加えなくても浄化するこ
とができる。
【0033】一方、エンジン1の暖機運転時は、O2
ンサ12が活性化していない状態では空燃比のフィード
バック制御ができない。このときは、供給された燃料が
ポート等の壁面に付着して空燃比がリーンになるため、
一般に空気と混合される燃料が不足する分だけ燃料を増
量し、空燃比をリッチの状態にしている。このように空
燃比がリッチの状態の時は、排気ガス中の空燃比もリッ
チの状態(未燃焼成分が多い状態)であり、いくら主触
媒3が活性温度に達していても、酸素が不足しているの
で未燃焼成分が主触媒3で反応できず、そのまま大気に
放出されてしまい、エミッションが悪化する。
【0034】これに対して、この実施例のように、O2
センサ12にヒータを内蔵させ、エンジン1の始動時に
このヒータに通電を行ってエンジン1の始動後直ちに空
燃比のフィードバック制御を行うものがある。ところ
が、エンジン1の始動後直ちにフィードバック制御を行
うと、排気ガス中の未燃焼成分は少なくなるが、主触媒
3が活性化温度に達しないために、未燃焼成分が主触媒
3で浄化されず、エミッションが悪化してしまう。
【0035】本発明では、ヒータ内蔵のO2 センサによ
り、始動後直ちに空燃比のフィードバック制御を行うと
共に、電気加熱式触媒4(以後電気加熱式触媒4はEH
C4と表記する)に通電して主触媒3の活性化を図るエ
ンジン1において、始動直後にエンジン1の一部の気筒
の点火を止め、シリンダ内に噴射された燃料をそのまま
排気通路に放出することで排気ガス中の未燃焼成分を多
くし、この未燃焼成分を通電されたEHC4において触
媒反応させることにより、その反応熱でEHC4の下流
側の主触媒3の急速な活性化を図るようにしている。
【0036】このように、エンジン1の始動時に一部の
気筒の点火を止めて、排気ガス中に放出された未燃焼成
分をEHC4で触媒反応させることによって、主触媒3
をEHC4における反応熱で活性温度にすると、この後
に未燃焼成分を主触媒3で反応させ、浄化することがで
きる。ここで、以上のように構成された電気加熱式触媒
を備えたエンジンの制御装置において、EHC4への通
電制御、及びEHC4に未燃焼成分を供給するためのエ
ンジン1の制御の一例を、図3から図6に示すフローチ
ャート、及び図7に示すタイムチャートを用いて説明す
る。
【0037】図3は、本発明におけるEHC4の通電制
御の手順を示すフローチャートである。このフローチャ
ートは所定時間毎に実行される。まず、ステップ301
ではエンジン(図ではE/Gと略記)1が稼働中か否か
を判定し、エンジン1が稼働中の場合はステップ303
に進み、稼働中でない場合はステップ302に進む。ス
テップ302では、エンジン1の始動が終了したか否か
を判定する。エンジン1が停止中の場合、及び始動中の
場合はこのルーチンを終了し、エンジン始動終了時はス
テップ303に進む。
【0038】ステップ303ではエンジン1の運転状態
バラメータの読み込みを行う。このエンジンの運転状態
パラメータは、例えば、バッテリ6の端子電圧Ve、機
関回転数Ne、吸入空気量Q等である。続くステップ3
04ではEHC4が通電条件か否かを判定する。そし
て、EHC4が通電条件でなければステップ317に進
み、EHC4が通電条件の時はステップ305に進む。
EHC4の通電条件は、例えば、エンジンの水温が20
℃以下、主触媒3の温度が所定温度以下等である。
【0039】ステップ304においてEHC4が通電条
件と判定した時に進むステップ305では、エンジン1
の回転数Neが800rpm以上か否かを判定し、Ne
<800rpmの時はステップ317に進み、Ne≧8
00rpmの時はステップ306に進む。ステップ30
6では、切換スイッチSW1をON端子に接続し、スイ
ッチSW2をOFFにする。図1,2で説明したよう
に、この状態ではオルタネータ9の出力でEHC4が通
電される。
【0040】一方、EHC4が通電条件でない時、又は
Ne<800rpmの時に進むステップ317では切換
スイッチSW1をOFF端子に接続し、スイッチSW2
をOFFにする。図1,2で説明したように、この状態
ではオルタネータ9の出力でバッテリ6が充電され、E
HC4には通電が行われない。ステップ317が終了す
ると、ステップ318で後述する時間T1,T2を0に
してこのルーチンを終了する。
【0041】EHC4がオルタネータ9の出力によって
通電されている状態で進むステップ307では、時間T
1のカウントが終了したか否かを判定するフラグFT1
の値が1か否かを判定する。このフラグFT1は、時間
T1のカウントが終了した時に1となり、時間T1のカ
ウントが終了していない場合に0となるものである。エ
ンジン1が始動されてから最初にステップ307に進ん
できた時にはFT1の値は0であるからステップ308
に進む。
【0042】ステップ308では、カウンタによってE
HC4のオルタネータ9による通電時間T1をカウント
する。そして、次のステップ309でこのEHC4のオ
ルタネータ9による通電時間T1が規定時間A(例え
ば、30秒)以上か否かを判定する。ステップ309で
T1<Aの場合は、EHC4がオルタネータ9の出力に
よって通電されている時間が規定時間Aに達していない
のでこのルーチンを終了する。一方、T1≧Aの場合
は、EHC4がオルタネータ9の出力によって規定時間
Aだけ通電されたのでステップ310に進む。ステップ
310では、EHC4のオルタネータ9による通電時間
T1を0にすると共に、時間T1のカウントが終了した
のでフラグFT1の値を1にしてステップ311に進
む。
【0043】ステップ310でフラグFT1の値が1に
された後は、ステップ307における判定はYESとな
るので、以後はステップ307からステップ311に進
むことになる。ステップ311では、切換スイッチSW
1をOFF端子に接続し、スイッチSW2をONにす
る。図1,2で説明したように、この状態ではバッテリ
6の出力でEHC4が通電される。EHC4がバッテリ
6によって通電されている状態で進むステップ312
は、バッテリ6の電圧がEHC4の通電に適した電圧で
ある10.5Vを保っているか否かを判定するものであ
る。そして、バッテリ電圧Veが10.5V以上であれ
ば、バッテリ6によるEHC4への通電が可能であると
してステップ313に進み、バッテリ電圧Veが10.
5V未満であれば、バッテリ6によりEHC4に通電を
行うとバッテリ6が劣化するとしてステップ315に進
む。
【0044】まず、バッテリ6が正常な場合について説
明すると、この場合はステップ313でバッテリ6によ
るEHC4の通電時間T2をカウンタによってカウント
し、続くステップ314においてこの通電時間T2が規
定時間B(例えば150秒)以上になったか否かを判定
する。ステップ314においてT2<Bの場合はEHC
4へのバッテリ6からの通電時間が不十分であるのでこ
のルーチンを終了し、T2≧Bの場合はEHC4へのバ
ッテリ6からの通電時間が経過したとしてステップ31
5に進む。
【0045】ステップ315ではバッテリ6によるEH
C4の通電時間T2を0にすると共に、次回の通電のた
めに、時間T1のカウントが終了したか否かを判定する
フラグFT1の値を0にする。そして、ステップ316
においてスイッチSW2をOFFにしてバッテリ6によ
るEHC4への通電を打ち切る。以上のような手順によ
り、この実施例では、エンジン1の始動後、EHC4へ
の通電条件が揃っている場合に、規定時間Aの間はオル
タネータ9からEHC4に通電が行われ、その後の規定
時間Bの間は、バッテリ6からEHC4への通電が行わ
れる。
【0046】次に、EHC4の通電中に、EHC4に未
燃焼成分を供給するためのエンジン1の制御について説
明する。図4は未燃焼成分を供給するために、特定の気
筒の点火を停止する本発明の点火停止気筒の演算手順を
示すものである。ステップ401ではO2 センサ12が
活性状態か否かを判定する。O2 センサ12が活性状態
でない場合はステップ414に進み、O2 センサ12に
通電を行ってこのルーチンを終了し、O2 センサ12が
活性状態の場合はステップ402に進む。ステップ40
2ではO2 センサ12を非通電状態にしてステップ40
3に進み、ステップ403において空燃比のフィードバ
ック制御を行う。空燃比のフィードバック制御について
は公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0047】続くステップ404では切換スイッチSW
1がON側にあるか否かを判定し、ON側にある場合は
ステップ407に進むが、OFF側の場合はステップ4
05に進む。ステップ405ではスイッチSW2がON
か否かを判定する。ステップ405でスイッチSW2が
OFFと判定した場合は、EHC4に通電が行われてい
ないのでステップ406に進む。ステップ406では、
主触媒6に暖機が必要か否かを主触媒6の温度から判定
し、暖機が必要な場合はステップ407に進むが、暖機
が必要ない場合はステップ412に進み、後述する積算
発熱量の値を0にしてこのルーチンを終了する。
【0048】一方、ステップ404で切換スイッチSW
1がON、ステップ405でスイッチSW2がON、或
いはステップステップ406で暖機が必要な場合に進む
ステップ407では、後述する積算発熱量が0か否かを
判定する。EHC4にオルタネータ9から、或いは、バ
ッテリ6から通電が行われている状態で初めてステップ
407に進んできた場合は、積算発熱量は0であるので
ステップ408に進み、主触媒3の温度から暖機に必要
な暖機熱量を計算してステップ409に進む。また、ス
テップ407で積算発熱量が0でない場合はステップ4
08を行わずに直接ステップ409に進む。
【0049】ステップ409ではステップ408で計算
した主触媒3の暖機熱量に積算発熱量が以上か否かを判
定する。積算発熱量が触媒暖機発熱量に達していない時
はステップ410に進み、積算発熱量が触媒暖機発熱量
以上の時はステップ413において積算発熱量を0にし
てこのルーチンを終了する。ステップ410では、エン
ジン1の気筒数、エンジン回転数Neと、吸入空気量Q
と、現在の空燃比から求めたエンジン1気筒の単位時間
当たりの燃料量、および点火停止気筒が計算によって求
められる。そして、点火停止気筒から排気ガス中に排出
される燃料量、即ち、未燃焼成分の量を計算し、求めら
れた未燃焼成分の量が触媒反応した時の発熱量を計算す
る。
【0050】続くステップ411では、ステップ410
で計算した未燃焼成分の発熱量の積算値を計算してこの
ルーチンを終了する。このようにして、主触媒3の温度
に応じて主触媒3の活性化に必要な暖機熱量が計算さ
れ、エンジン1の所定の気筒の点火を所定間隔で停止す
ることにより、排気ガス中に未燃焼成分(燃料)が除々
に排出される。本発明では排気ガス中に排出された未燃
焼成分がEHC4で触媒反応した時に得られる発熱量を
その都度計算によって求め、この発熱量を積算した熱量
が、主触媒3の暖機熱量以上になった時点でエンジン1
の点火停止制御が停止される。
【0051】なお、エンジン1の始動直後の燃料噴射量
の演算は、図5に示す燃料噴射量演算ルーチンによって
行われる。このルーチンは所定クランク角、例えば、3
60°CA毎に実行される。ステップ501では基本噴
射量TPを、吸入空気量Q及び回転数Neのデータに基
づいて、下記の式により演算する。 TP ← KQ / Ne (但しKは定数) 続くステップ502では、燃料噴射量TAUを、FAF
を空燃比補正係数、α,βを、冷却水温等の補正係数、
暖機増量補正係数、吸気温度補正係数、過渡時補正係
数、電源電圧補正係数として、下記の式により演算す
る。
【0052】TAU ← TP・FAF・α + β そして、ステップ503によって噴射量TAUをECU
10のカウンタにセットしてこのルーチンを終了する。
ECU10はこの燃料噴射量TAUに相当する時間だ
け、燃料噴射気筒の噴射弁を開弁させて各気筒への燃料
噴射を行う。
【0053】図6は図1に示した4気筒エンジン1にお
ける点火停止気筒の制御の実施例を示すものである。ス
テップ601では第1気筒が噴射時期か否かを判定し、
第1気筒が噴射時期の場合はステップ602に進み、噴
射時期でない場合はステップ605に進む。第1気筒が
噴射時期の時に進むステップ602では、ステップ50
3でセットされた燃料噴射量TAUに相当する燃料量を
噴射する。続くステップ603では第1気筒がステップ
410で演算した点火停止時期に当たるか否かを判定
し、点火停止時期でない場合はこのルーチンを終了す
る。一方、ステップ603で第1気筒が点火停止時期で
ある場合はステップ604に進み、点火をカットする。
この結果、第1気筒からは燃料噴射量TAUに相当する
未燃焼成分(燃料)が排気通路内に排出される。
【0054】同様にステップ605からステップ608
では第2気筒について噴射時期か否かを判定し(ステッ
プ605)、噴射時期の場合には燃料の噴射を行い(ス
テップ606)、続いて点火停止時期か否かを判定して
(ステップ607)、点火停止時期の場合のみ点火の停
止(ステップ608)が行われる。同様にステップ60
9からステップ612では第3気筒について噴射時期か
否かを判定し(ステップ609)、噴射時期の場合には
燃料の噴射を行い(ステップ610)、続いて点火停止
時期か否かを判定して(ステップ611)、点火停止時
期の場合のみ点火の停止(ステップ612)が行われ
る。
【0055】同様にステップ613からステップ616
では第4気筒について噴射時期か否かを判定し(ステッ
プ613)、噴射時期の場合には燃料の噴射を行い(ス
テップ614)、続いて点火停止時期か否かを判定して
(ステップ615)、点火停止時期の場合のみ点火の停
止(ステップ616)が行われる。以上のような手順に
より、エンジン1の始動直後の空燃比のフィードバック
制御状態で、かつEHC4の通電時期に、ステップ41
0で計算された点火停止気筒から未燃焼成分が排気通路
2に供給される。そして、この未燃焼成分は通電状態に
あるEHC4で触媒反応し、その反応熱で下流側の主触
媒3の床温が上昇する。
【0056】図7は以上説明した制御手順のタイムチャ
ートである。時刻t0でイグニッションスイッチSWI
Gがオンされると、O2 センサ12のヒータに直ちに通
電が行われる。このO2 センサ12への通電は、O2
ンサ12が活性化した状態で直ちに打ち切られる。この
実施例では時刻t1でO2 センサ12が活性化したこと
が分かる。そして、O2 センサ12が活性化すると、直
ちにフィードバック(F/B)信号が発生し、空燃比の
フィードバック制御が実行される。
【0057】一方、エンジンが始動した後、エンジン回
転数Neが上昇して時刻t2において800rpm以上
となると、切換スイッチSW1がON端子側になり、オ
ルタネータ9からEHC4への通電が行われる。このよ
うにして、EHC4に通電が行われた後は、未燃焼成分
を排気通路2に供給するために、時刻t2において気筒
の点火停止期間が開始される。この期間の間は、ステッ
プ410で計算された気筒において点火が停止され、未
燃焼成分が排気通路2に供給される。
【0058】時刻t2から規定時間Aが過ぎた時刻t3
になると、切換スイッチSW1がOFF側に切り換えら
れ、スイッチSW2がONとなる。この結果、オルタネ
ータ9からEHCへの通電がなくなり、バッテリ6から
EHC4に通電が行われるようになる。このバッテリ6
によるEHC4への通電は、時刻t3から規定時間Bだ
け後の時刻t5まで行われる。
【0059】なお、この実施例では、所定気筒の点火停
止期間は、時刻t3と時刻t5の間の時刻t4で終了し
ている。これは、時刻t4において、EHC4で触媒反
応した未燃焼成分の発熱量の積算値が、主触媒3が必要
な暖機熱量に等しくなったからであり、以後は触媒反応
が主触媒3でも起こるので、EHC4に未燃焼成分を供
給する必要がなくなるからである。
【0060】また、主触媒3が必要な暖機熱量が大き
く、時刻t5においてEHCへの通電が終了した後もま
だ、積算発熱量が暖機熱量に達していない場合は、図4
のステップ405からステップ406に進み、ここで主
触媒3の暖機が必要とされてステップ407に戻るの
で、所定気筒の点火停止期間は、一点鎖線で示すよう
に、積算発熱量が暖機熱量に達する時刻t6まで延長さ
れる。
【0061】なお、以上説明した実施例においては、E
HC4への通電をオルタネータ9とバッテリ6の両方か
ら行うようにしているが、バッテリ6のみによってEH
C4に通電を行うようにしても良い。ここで、具体的な
例を用いて、エンジン1の暖機時に点火を停止する気筒
の割合、および点火を止める気筒の制御例について説明
する。
【0062】例えば、エンジン1が4サイクルV型8気
筒であるとし、暖機運転時の回転数が1500rpmで
あるとすると、1秒間の吸入空気量Qは15gである。
この時、エンジン1は式により、1秒間に100気筒
が吸気を吸うことになる。 1500rpm÷60s×8気筒÷2=100 … 従って、1つの気筒の1秒間の吸入吸気量は、15g÷
100気筒=0.15(g/気筒)となる。この時、吸
気の空燃比が理論空燃比の14.5であるとすると、1
つの気筒の1秒間の燃料量Fは式から0.01034
5gとなる。
【0063】 F=0.15÷14.5=0.010345 … この時の発熱量Hは、式から446wになる。 H=0.010345×10300×4.19=446J … エンジン1気筒の排気量は、自動車用であると300c
c〜700ccであるので、1気筒の点火を止めた時の
触媒での反応熱は排気量によって異なるが、このV型8
気筒の例で考えると、触媒の暖機時に1〜5kw程度の
触媒反応熱が必要になる。この場合、点火を止める気筒
数は1秒間に2〜11気筒となり、エンジンの回転数が
1500rpmであれば1秒間に100気筒が吸気を吸
うので、2〜11パーセントの割合で点火を止めれば良
いことになる。
【0064】すなわち、触媒暖機時にエンジンの点火を
止める気筒は多くても10爆発に1回程度にすることが
できるが、エンジンの振動の悪化を考慮して点火を止め
る気筒間隔を長くしてEHC4や主触媒3に必要な発熱
量を確保するようにしても良い。ここで、図8(a) に示
す直列4気筒エンジンにおける点火停止気筒の制御例に
ついて説明する。なお、直列4気筒エンジンの点火順序
は、第n気筒を♯nと表した場合に、♯1→♯3→♯4
→♯2となる。例えば、このエンジンの回転数Nが15
00rpmで、1秒間の吸入空気量Qは7.5gである
とすると、1秒間に吸気を吸う気筒の数は式より50
であり、この時の理論空燃比を14.5とすると、1つ
の気筒の1秒間の吸入吸気量は7.5g÷50気筒=
0.15(g/気筒)であり、1つの気筒の1秒間の燃
料量Fは式から0.010345gとなる。従って、
この時の発熱量Hは、式から446wになり、直列4
気筒エンジンにおいても、触媒の暖機時に1〜5kw程
度の触媒反応熱が必要であるとすると、点火を止める気
筒数は1秒間に2〜11気筒となる。よって、直列4気
筒エンジンの場合も、エンジンの回転数が1500rp
mであれば1秒間に50気筒が吸気を吸うので、4〜2
2パーセントの割合で点火を止めれば良いことになる。
ここでは、説明を分かりやすくするために、10回に1
回の爆発行程において点火を止める場合について説明す
る。
【0065】なお、以後説明する実施例のエンジンは、
図1に示したような各気筒に独立に燃料噴射を行うこと
ができる独立燃料噴射エンジンであることが前提であ
る。しかしながら、燃料の噴射方法は、独立、2グルー
プ、または同時のどの方法でも良い。図9(a) は10回
に1回点火を止める場合の、直列4気筒エンジンの1秒
間の燃料噴射気筒、及び点火停止気筒の状態を示す図で
ある。前述のように、4気筒エンジンにおいて点火を停
止する間隔の気筒数を10とすると、この図から必ず第
3気筒♯3と第2気筒♯2が交互に、5回に1回の割合
で点火が止められることになる。
【0066】この結果、第3気筒♯3と第2気筒♯2は
5回に1回の割合で燃焼がなく冷却されるが、図4のフ
ローチャートと図7のタイムチャートで説明したよう
に、点火停止期間は長くても3分程度のごく短い時間で
あるので、この時間内だけ第3気筒♯3と第2気筒♯2
のみが5回に1回の割合で点火が止められても、燃焼停
止による燃焼室の冷却の影響は小さく、殆ど問題が生じ
ないと思われる。
【0067】しかしながら、始動後の3分程度の間にお
いても点火停止気筒を第1気筒♯1から第4気筒に均等
に分布させることもできる。この場合は、図9(b) に示
すように、10回に1回の割合で、点火停止気筒をその
前後に燃料噴射を行う気筒にずらせば良い。例えば、1
巡目、2巡目では第3、第2気筒の点火を停止させ、3
巡目、4巡目では点線で囲んだ第3、第2気筒の次に燃
料噴射を行う気筒(第4、第1気筒)の点火を停止さ
せ、5巡目、6巡目では元に戻して第3、第2気筒の点
火を停止させ、7巡目、8巡目では二点鎖線で囲んだ第
3、第2気筒の1つ前に燃料噴射を行う気筒(第1、第
4気筒)の点火を停止させれば良い。
【0068】このような燃料噴射停止気筒の制御は、コ
ンピュータによって行わせれば、簡単に実行することが
できる。次に、図8(b) に示すV型6気筒エンジンや図
8(c) に示すV型8気筒エンジン、或いは直列6気筒エ
ンジンのように、排気管が左右や前後で2系統に独立し
ており、それぞれに触媒コンバータが設けられている場
合は、2つのバンクを分けて、前述の直列4気筒エンジ
ンのように両バンクとも均等に点火を停止すれば良い。
【0069】例えば、V型6気筒エンジンでも前述の実
施例と同様に、10回の爆発行程に1回の割合で点火を
停止させる場合について説明する。V型6気筒エンジン
の点火順序は♯1→♯5→♯3→♯6→♯2→♯4であ
るので、10回に1回点火を止める場合の、V型6気筒
エンジンの燃料噴射気筒、及び点火気筒の状態は図10
(a) に示すようになる。また、V型6気筒エンジンにお
いて、各気筒均等に点火の停止が行われるようにした制
御例を図10(b) に示す。
【0070】また、図11は、図8(c) に示すV型8気
筒エンジンにおいて、10回に1回の割合で点火を止め
る場合の点火停止気筒の制御例を示すものである。この
ように、本発明によれば、始動直後に空燃比フィードバ
ック制御を行うエンジンの暖機運転時に、主触媒の暖機
が必要な時はEHC4に通電を行うと共に、所定気筒の
点火を止めて未燃焼成分を排気通路に排出してこの未燃
焼成分をEHC4で触媒反応させ、その反応熱で下流側
の主触媒の暖機を早めることができるので、HC,C
O,NOxの浄化率を高めることができ、エンジン性能
が向上する。
【0071】ところで、O2 センサ12を使用して空燃
比のフィードバック制御を行っている時には、O2 セン
サ12はその特性により空燃比が理論空燃比より濃い
(リッチ)か薄い(リーン)かを判定し、図12に波形
WOで示すように、濃いと高い起電力を、薄いと低い起
電力を発生し、この起電力を示す信号をECU10に送
り込んでいる。ECU10は、この信号をある一定の基
準電圧と比較し、図12に波形WFで示すように、O2
センサ12の起電力が基準電圧よりも高い場合は空燃比
が理論空燃比よりも濃いと判断して燃料噴射量を減少さ
せ、逆にO2 センサ12の起電力が基準電圧よりも低い
場合は空燃比が理論空燃比よりも薄いと判断して燃料噴
射量を増加させている。この結果、空燃比は実際には図
12に波形WFで示すように理論空燃比を中心にして僅
かな幅で時々刻々変化している。
【0072】このような状況のもとで、リッチ側の燃料
を噴射した気筒の点火を止めると、未燃焼成分がEHC
4で反応する時の排気ガス中の酸素が若干不足すること
になる。よって、点火を止める気筒の燃料噴射量を若干
少なくするか、或いは、点火を止める気筒の前後の気筒
で、フィードバック制御時の燃料噴射量が少ない気筒に
合わせて点火を止めるようにすることが望ましい。この
ように、排気ガス中に排出する未燃焼成分と空気の空燃
比を若干リーン側に制御してやると、EHC4に到達す
る排気ガスは少し酸素が過剰な混合気となり、EHC4
における触媒反応が確実になり反応熱を高めることがで
きる。
【0073】図13は点火を止める気筒の燃料噴射量を
若干少なくする場合の点火停止気筒の噴射制御手順を示
すものである。ステップ1301では第1気筒が噴射時
期か否かを判定し、第1気筒が噴射時期の場合はステッ
プ1302に進み、噴射時期でない場合はステップ13
08に進む。第1気筒が噴射時期の時に進むステップ1
302では第1気筒がステップ410で演算した点火停
止時期に当たるか否かを判定し、点火停止時期でない場
合はステップ1303に進み、セットされた燃料噴射量
TAUに相当する燃料量を噴射してこのルーチンを終了
する。一方、ステップ1302で第1気筒が点火停止時
期であると判定した場合はステップ1304に進み、セ
ットされた燃料噴射量TAUが理論空燃比に相当する噴
射量より少ないリーン側の燃料噴射量か否かを判定す
る。
【0074】そして、燃料噴射量TAUが理論空燃比に
相当する噴射量より少ない場合はステップ1306に進
み、セットされた燃料噴射量TAUに相当する燃料量を
噴射した後にステップ1307に進んで点火をカットす
る。一方、燃料噴射量TAUが理論空燃比に相当する噴
射量より多い場合はステップ1305に進み、セットさ
れた燃料噴射量TAUから所定量LAを減算し、燃料噴
射量TAUに相当する燃料量が理論空燃比に相当する変
量量より少なくなるようにして、再度燃料噴射量TAU
をセットし直す。この後、ステップ1306に進み、セ
ットされた燃料噴射量TAUに相当する燃料量を噴射し
た後にステップ1307に進んで点火をカットする。
【0075】以上、第1気筒が噴射時期の場合について
説明したが、第2気筒が噴射時期の場合はステップ13
08において同様の制御が実行され、第3気筒が噴射時
期の場合はステップ1309において同様の制御が実行
され、第4気筒が噴射時期の場合はステップ1310に
おいて同様の制御が実行される。この結果、点火が停止
される気筒からは、必ず空燃比がリーン側になるような
燃料噴射量TAUに相当する未燃焼成分(燃料)が排気
通路内に排出される。
【0076】次に、点火を止める気筒の前後の気筒で、
フィードバック制御時の燃料噴射量が少ない気筒に合わ
せて点火を止める制御について説明する。図14は点火
を止める気筒の空燃比が理論空燃比よりもリッチである
場合に、点火を止める気筒を空燃比が理論空燃比よりも
リーンになる後の気筒に変更する場合の点火停止気筒の
噴射制御手順を示すものである。この制御は、図6で説
明した制御手順の変形例であるので、図6と同じステッ
プには同じステップ番号を付して説明する。
【0077】ステップ601では第1気筒が噴射時期か
否かを判定し、第1気筒が噴射時期の場合はステップ6
02に進み、噴射時期でない場合はステップ1404に
進む。第1気筒が噴射時期の時に進むステップ602で
はセットされた燃料噴射量TAUに相当する燃料量を噴
射する。そして、続くステップ603では第1気筒がス
テップ410で演算した点火停止時期に当たるか否かを
判定し、点火停止時期でない場合はステップ1401に
進み、点火停止時期である場合はステップ1402に進
む。
【0078】ステップ1401では1つ前に燃料噴射を
行った第2気筒からの点火停止気筒の変更指示があるか
否かを判定する。そして、第2気筒からの点火停止気筒
の変更指示がない場合はこのルーチンを終了するが、第
2気筒からの点火停止気筒の変更指示がある場合はステ
ップ1402に進む。ステップ603で第1気筒が点火
停止時期と判定された場合、或いはステップ1401で
第2気筒からの点火停止気筒の変更指示がある場合に進
むステップ1402では、セットされた燃料噴射量TA
Uが理論空燃比に相当する噴射量より少ないリーン側の
燃料噴射量か否かを判定する。
【0079】そして、燃料噴射量TAUが理論空燃比に
相当する噴射量より少ない場合はステップ604に進
み、点火をカットしてこのルーチンを終了する。一方、
燃料噴射量TAUが理論空燃比に相当する噴射量より多
い場合はステップ1403に進み、点火を停止する気筒
を次に燃料噴射が行われる第3気筒に変更してこのルー
チンを終了する。
【0080】以上、第1気筒が噴射時期の場合について
説明したが、第2気筒が噴射時期の場合はステップ14
04において同様の制御が実行され、第3気筒が噴射時
期の場合はステップ1405において同様の制御が実行
され、第4気筒が噴射時期の場合はステップ1406に
おいて同様の制御が実行される。この結果、この実施例
においても点火が停止される気筒からは、必ず空燃比が
リーン側になるような燃料噴射量TAUに相当する未燃
焼成分(燃料)が排気通路内に排出される。
【0081】以上説明した実施例は、排気通路内に電気
加熱式触媒を備え、この電気加熱式触媒の下流側に主触
媒を備え、エンジン始動後に直ちに空燃比フィードバッ
ク制御を行う多気筒エンジンの制御装置に関するもので
ある。一方、本発明は、排気通路内に電気加熱式触媒を
備え、この電気加熱式触媒の下流側に主触媒を備え、エ
ンジン始動後の所定期間は空燃比をリッチにする制御を
行う多気筒エンジンの制御装置にも適用することができ
る。
【0082】この場合は、主触媒の温度を検出する手
段、主触媒の温度が暖機が必要な温度であるか否かを判
定する手段、主触媒の暖機が必要な時に、電気加熱式触
媒に通電を行う通電制御手段、及び、主触媒の暖機が必
要な時に、多気筒エンジンの一部の気筒の点火を停止す
る点火制御手段に加えて、空燃比のフィードバック制御
が実行されていない時に、多気筒エンジンの一部の気筒
の燃料噴射を停止して、排気ガス中の空燃比を理論空燃
比に近づけるように制御する燃料噴射制御手段を、エン
ジン制御装置に設ければ良い。そして、燃料噴射停止気
筒は、多気筒エンジンの気筒数、1気筒からの空気の排
出量、電気加熱式触媒への通電時の混合気の空燃比、及
びエンジン回転数から、排気ガス中の空燃比が理論空燃
比になるように、演算により適宜決定すれば良い。
【0083】このようにすれば、検出された主触媒の温
度により、主触媒の暖機が必要であると判定された時
に、電気加熱式触媒に通電が行われると共に、エンジン
始動後の空燃比がリッチの場合は、燃料噴射制御手段に
より多気筒エンジンの一部の気筒の燃料噴射が停止さ
れ、排気ガス中の空燃比が理論空燃比に近い状態にされ
てから、多気筒エンジンの点火が停止された一部の気筒
からHC,CO等の未燃焼成分が排出され、このHC,
COが電気加熱式触媒で浄化され、この時の反応熱で下
流側の主触媒が加熱される。この結果、電気加熱式触媒
と主触媒の位置がエンジンから離れている場合でも、両
触媒を迅速に活性化させることができると共に、排気ガ
ス中の空燃比を理論空燃比に近づけるための電動エアポ
ンプが不要であり、エンジンのコストアップを抑えるこ
とができる。また、燃料噴射停止気筒を前述のように決
定すれば、排気ガス中の空燃比が理論空燃比になるの
で、両触媒における浄化率が向上する。
【0084】なお、以上説明した実施例が適用されるエ
ンジンは、図1に示したように、燃料噴射弁11が吸気
マニホルド、或いはシリンダヘッドに設けられた吸気ポ
ートに燃料を噴射するタイプのものであったが、近年、
図15に示すように、燃料噴射弁11からの燃料噴射が
各気筒の燃焼室内に行われる、筒内噴射型のエンジン
1′が実用段階にある。図15に示す電気加熱式触媒を
備えたエンジン1′の制御装置の構成は、図1で説明し
た電気加熱式触媒を備えたエンジン1の制御装置の構成
と、燃料噴射弁11の取付位置を除いて全く同じである
ので、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省
略する。
【0085】このような筒内噴射型のエンジン1′にお
いては、主触媒3の暖機時にEHC4において触媒反応
させる未燃焼成分は、所定気筒の排気行程において燃料
噴射弁11からシリンダ内に噴射させれば良いので、圧
縮行程における点火を停止させる必要がない。従って、
筒内噴射型のエンジン1′においては、図6で説明した
通常のエンジン1における点火停止制御に代わって、図
16のような燃料噴射制御を実行すれば良い。なお、筒
内噴射型エンジン1′の場合は、図4のステップ410
における計算は、暖機燃料の噴射量、暖機燃料を噴射す
る気筒、および暖機燃料がEHC4で触媒反応した時の
発熱量のみで良い。
【0086】図16は図15に示した4気筒筒内噴射型
エンジン1′における、主触媒3の暖機燃料の噴射制御
の実施例を示すものである。ステップ1601では第1
気筒が噴射時期か否かを判定し、第1気筒が噴射時期の
場合はステップ1602に進み、噴射時期でない場合は
ステップ1605に進む。第1気筒が噴射時期の時に進
むステップ1602では、ステップ503でセットされ
た燃料噴射量TAUに相当する燃料量を噴射する。続く
ステップ1603では第1気筒がステップ410で演算
した暖機燃料噴射気筒に当たるか、即ち、暖機燃料噴射
時期に当たるか否かを判定し、暖機燃料噴射時期でない
場合はこのルーチンを終了する。一方、ステップ160
3で第1気筒が暖機燃料噴射時期に当たる場合はステッ
プ1604に進み、第1気筒の排気行程で暖機燃料を噴
射する。この時の暖機燃料量は排気ガスを僅かにリーン
にするような燃料量とすれば良い。この結果、第1気筒
からは排気ガスの空燃比を僅かにリーンにするような未
燃焼成分(燃料)が排気通路内に排出される。
【0087】同様にステップ1605からステップ16
08では第2気筒について噴射時期か否かを判定し(ス
テップ1605)、噴射時期の場合には燃料の噴射を行
い(ステップ1606)、続いて暖機燃料噴射時期か否
かを判定して(ステップ1607)、暖機燃料噴射時期
の場合のみその排気行程で暖機燃料の噴射(ステップ1
608)が行われる。
【0088】同様にステップ1609からステップ16
12では第3気筒について噴射時期か否かを判定し(ス
テップ1609)、噴射時期の場合には燃料の噴射を行
い(ステップ1610)、続いて暖機燃料噴射時期か否
かを判定して(ステップ1611)、暖機燃料噴射時期
の場合のみその排気行程で暖機燃料の噴射(ステップ1
612)が行われる。
【0089】同様にステップ1613からステップ16
16では第4気筒について噴射時期か否かを判定し(ス
テップ1613)、噴射時期の場合には燃料の噴射を行
い(ステップ1614)、続いて暖機燃料噴射時期か否
かを判定して(ステップ1615)、暖機燃料噴射時期
の場合のみその排気行程で暖機燃料の噴射(ステップ1
616)が行われる。
【0090】以上のような手順により、エンジン1′の
始動直後の空燃比のフィードバック制御状態で、かつE
HC4の通電時期に、ステップ410で計算された暖機
燃料噴射気筒から未燃焼成分が排気通路2に供給され
る。そして、この未燃焼成分は通電状態にあるEHC4
で触媒反応し、その反応熱で下流側の主触媒3の床温が
上昇する。
【0091】なお、以上説明した電気加熱式触媒を備え
たエンジンの制御装置は、始動直後に直ちに空燃比のフ
ィードバック制御が行われるエンジン1,1′を前提と
しているが、エンジン1,1′の始動直後に直ちに空燃
比のフィードバック制御が行われず、始動直後に燃料の
増量が行われるエンジンの場合は、エンジンの気筒数が
多い場合に、所定気筒の点火を止める制御、或いは排気
行程に暖機燃料を噴射する制御に、別の所定気筒の燃料
噴射を止めて二次空気を供給する制御を加えて、EHC
4における未燃焼成分の触媒反応において不足する酸素
を補うようにしても良い。
【0092】この場合に必要な二次空気の量は、燃料の
増量を行った時の燃料量から理論空燃比での燃料量の差
分を、EHC4において僅かに空燃比がリーンの状態で
触媒反応させるのに必要な量である。このように、空燃
比が濃くなった分を触媒で反応させるのに必要な二次空
気を、エンジン1,1′の一部の気筒の燃料噴射を止め
て供給すれは、本発明は、O2 センサにヒータを内蔵せ
ず、始動直後にリッチな燃料を噴射するようなエンジン
にも適用することができる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の形
態のエンジン制御装置によれば、主触媒の暖機必要時に
電気加熱式触媒に通電が行われると共に所定気筒の点火
が停止され、点火が停止された気筒からは未燃焼成分が
排出され、これが電気加熱式触媒で浄化され、この時の
反応熱で下流側の主触媒が加熱されるので、電気加熱式
触媒と主触媒の位置がエンジンから離れている場合で
も、両触媒を迅速に活性化させることができるという効
果がある。
【0094】本発明の第2の形態のエンジン制御装置に
よれば、第1の形態のエンジンの制御装置において、主
触媒の暖機に必要な暖機熱量に等しい反応熱がエンジン
の運転状態から求められ、この反応熱が得られる未燃焼
成分が点火停止気筒から排出されるので、エンジンの燃
費を悪化させずに両触媒を活性化が図れるという効果が
ある。
【0095】本発明の第3の形態のエンジン制御装置に
よれば、点火停止気筒から排出される未燃焼成分による
排気ガス中の空燃比が僅かにリーン側にずれているの
で、空気過剰率が高く未燃焼成分が十分触媒反応できる
という効果がある。本発明の第4の形態のエンジンの制
御装置によれば、エンジンが筒内燃料噴射型エンジンで
あるので、主触媒の暖機必要時に電気加熱式触媒に通電
が行われると共に、任意の気筒の排気行程において暖機
に必要な燃料が噴射されるので、電気加熱式触媒と主触
媒の位置がエンジンから離れている場合でも、両触媒を
迅速に活性化させることができるという効果がある。
【0096】本発明の第5の形態のエンジンの制御装置
によれば、第4の形態のエンジンの制御装置において、
排気行程における燃料噴射量に応じてその直前の吸気行
程における燃料噴射量が、空燃比がリーン側になるよう
に制御されるので、排気ガス中の空燃比が理論空燃比に
なるので、両触媒における浄化率が向上するという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気加熱式触媒を備えたエンジンの制
御装置を搭載したエンジンの構成を示す図である。
【図2】図1のオルタネータの内部の回路構成、及び電
気加熱式触媒、車両負荷、ECUとバッテリとの具体的
な接続関係を示す回路図である。
【図3】本発明における電気加熱式触媒の通電制御の手
順を示すフローチャートである。
【図4】本発明における点火停止気筒の演算手順を示す
フローチャートである。
【図5】本発明における燃料噴射量演算手順を示すフロ
ーチャートである。
【図6】本発明における点火停止気筒の制御手順を示す
フローチャートである。
【図7】エンジン始動後のO2 センサへの通電と空燃比
フィードバック信号との関係、電気加熱式触媒への通電
時の各スイッチの作動と気筒の点火停止期間との関係を
示すタイムチャートである。
【図8】(a) は直列4気筒エンジンの各気筒の配置と点
火順序を示す説明図、(b) はV型6気筒エンジンの各気
筒の配置と点火順序を示す説明図、(c) はV型8気筒エ
ンジンの各気筒の配置と点火順序を示す説明図である。
【図9】(a) は直列4気筒エンジンの暖機運転時の燃料
噴射気筒と点火停止気筒との制御例を示す図、(b) は直
列4気筒エンジンの暖機運転時の燃料噴射気筒と点火停
止気筒との他の制御例を示す図である。
【図10】(a) はV型6気筒エンジンの暖機運転時の燃
料噴射気筒と点火停止気筒との制御例を示す図、(b) は
V型6気筒エンジンの暖機運転時の燃料噴射気筒と点火
停止気筒との他の制御例を示す図である。
【図11】V型8気筒エンジンの暖機運転時の燃料噴射
気筒と点火停止気筒との制御例を示す図である。
【図12】エンジンの空燃比、O2 センサ起電力、およ
び燃料噴射量の関係を示すタイムチャートである。
【図13】本発明における燃料噴射停止気筒の制御手順
の別の例を示すフローチャートである。
【図14】本発明における燃料噴射停止気筒の制御手順
の更に別の例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の電気加熱式触媒を備えたエンジンの
制御装置を搭載した筒内噴射型のエンジンの構成を示す
図である。
【図16】図15のエンジンにおける暖機燃料の噴射制
御の制御手順を示すフローチャートである。
【図17】エンジンの始動後の時間に対する電気加熱式
触媒の床温の変化を、条件を変えて実験して得られた特
性図である。
【図18】エンジンの始動後の時間に対する主触媒の床
温の変化を、条件を変えて実験して得られた特性図であ
る。
【図19】エンジンの始動後の時間に対するHCの排出
量の変化を、条件を変えて実験して得られた特性図であ
る。
【図20】エンジンの始動後の時間に対するHCの排出
量の積算値の変化を、条件を変えて実験して得られた特
性図である。
【図21】エンジンの始動後の時間に対する排気ガスの
熱、電気加熱式触媒への供給電力と触媒反応熱の積算値
の変化を、条件を変えて実験して得られた特性図であ
る。
【図22】エンジンの始動後の時間に対する触媒浄化の
反応熱の変化を、条件を変えて実験して得られた特性図
である。
【図23】図17から図21の実験結果に使用したエン
ジン、排気通路、電気加熱式触媒、及び主触媒の配置を
説明する構成図である。
【符号の説明】
1…エンジン 2…排気通路 3…主触媒 4…電気加熱式触媒(EHC) 6…バッテリ 9…オルタネータ 10…ECU(エンジン・コントロール・ユニット) 11…燃料噴射弁 12…O2 センサ 13…温度センサ 17…点火プラグ SWIG…イグニッションスイッチ SW1…切換スイッチ SW2…スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 17/02 F02D 17/02 U ZAB ZABN 41/02 330 41/02 330C 41/06 335 41/06 335Z F02P 5/15 F02P 5/15 B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気通路内に電気加熱式触媒を備え、こ
    の電気加熱式触媒の下流側に主触媒を備え、エンジン始
    動後に直ちに空燃比フィードバック制御を行う多気筒エ
    ンジンの制御装置であって、 前記主触媒の温度を検出する手段と、 前記主触媒の温度が暖機が必要な温度であるか否かを判
    定する手段と、 前記主触媒の暖機が必要な時に、前記電気加熱式触媒に
    通電を行う通電制御手段と、 前記主触媒の暖機が必要な時に、前記多気筒エンジンの
    一部の気筒の点火を停止する点火制御手段と、 を備えることを特徴とする電気加熱式触媒を備えたエン
    ジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 前記点火制御手段は、前記主触媒の温度
    からこの主触媒の暖機に必要な暖機熱量を求め、多気筒
    エンジンの気筒数、エンジンの回転数、エンジンの吸入
    空気量、その時の空燃比から1気筒の単位時間当たりの
    燃料量を計算してこの燃料量が触媒反応した時の発熱量
    の積算値が前記暖機熱量になるように、前記多気筒エン
    ジンの一部の気筒の点火を停止することを特徴とする請
    求項1に記載の電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御
    装置。
  3. 【請求項3】 前記点火制御手段は、リッチ側またはリ
    ーン側に外れた空燃比を理論空燃比に戻すように供給燃
    料量を増減する前記空燃比のフィードバック制御におい
    て、前記一部の気筒の点火を停止する際に、空燃比が僅
    かにリーンになるように燃料を少なめに噴射する気筒の
    点火を止めて、未燃焼混合気中の空気過剰率を高めるよ
    うにすることを特徴とする請求項2に記載の電気加熱式
    触媒を備えたエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 排気通路内に電気加熱式触媒を備え、こ
    の電気加熱式触媒の下流側に主触媒を備え、エンジン始
    動後に直ちに空燃比フィードバック制御を行う多気筒筒
    内燃料噴射型エンジンの制御装置であって、 前記主触媒の温度を検出する手段と、 前記主触媒の温度が暖機が必要な温度であるか否かを判
    定する手段と、 前記主触媒の暖機が必要な時に、前記電気加熱式触媒に
    通電を行う通電制御手段と、 前記主触媒の暖機が必要な時に、前記多気筒筒内燃料噴
    射型エンジンの任意の気筒の排気行程において、暖機に
    必要な燃料を噴射する噴射制御手段と、 を備えることを特徴とする電気加熱式触媒を備えたエン
    ジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 前記噴射制御手段は、前記主触媒の温度
    からこの主触媒の暖機に必要な暖機熱量を求め、燃料が
    触媒反応した時の発熱量の積算値が前記暖機熱量になる
    ように、前記多気筒筒内燃料噴射型エンジンの一部の気
    筒の排気行程に燃料を所定値から次第に減少させて噴射
    すると共に、この排気行程における燃料噴射量に応じて
    その直前の吸気行程における燃料噴射量を、空燃比がリ
    ーン側になるように制御して、排気ガス中の空燃比が理
    論空燃比になるようにしたことを特徴とする請求項4に
    記載の電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置。
JP5905197A 1997-03-13 1997-03-13 電気加熱式触媒を備えたエンジンの制御装置 Pending JPH10252453A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2168085A1 (es) * 2000-01-25 2002-05-16 Honda Motor Co Ltd Sistema de control automatico de parada y arranque para motor
EP4102036A1 (de) * 2021-06-10 2022-12-14 Volkswagen Ag Verfahren zur aufheizung eines elektrisch beheizbaren katalysators im leerlauf
KR20230084851A (ko) * 2021-12-06 2023-06-13 주식회사 현대케피코 Ehc 기반 촉매 시스템의 제어 장치
DE102022131318A1 (de) 2022-11-28 2024-05-29 Ford Global Technologies Llc Steuereinheit für ein Motorsystem

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