JPH10251782A - 水素吸蔵合金およびアルカリ二次電池 - Google Patents

水素吸蔵合金およびアルカリ二次電池

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JPH10251782A
JPH10251782A JP9061302A JP6130297A JPH10251782A JP H10251782 A JPH10251782 A JP H10251782A JP 9061302 A JP9061302 A JP 9061302A JP 6130297 A JP6130297 A JP 6130297A JP H10251782 A JPH10251782 A JP H10251782A
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electrons
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storage alloy
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慎司 鶴田
Ryuko Kono
龍興 河野
Motoi Kanda
基 神田
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    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素吸蔵・放出反応性及び活性が向上された
アルカリ土類金属元素を含有する水素吸蔵合金を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 下記一般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) 前記Mbを構成する原子の外殻電子の個数の加重平均を
Vとしたときに前記加重平均Vは下記(1)式を満た
し、 7≦V≦11 …(1) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度は第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とする水素吸蔵合金である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水素吸蔵合金および
アルカリ二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金は自己の体積の数万倍以上
の水素(常温常圧気体として)を安定に吸蔵・貯蔵でき
ると共に、エネルギー源としての水素を安全かつ容易に
貯蔵できる。このため、近年は、前記水素吸蔵合金中に
蓄えられた水素をエネルギー源とするとともに、前記合
金の水素吸蔵・放出反応に対する高い触媒活性を利用し
てこれを電極材料に利用した金属水素化物電池(例えば
ニッケル水素二次電池)への応用・実用化が盛んに行わ
れている。
【0003】水素吸蔵合金の組成は水素と発熱的に反応
する、すなわち水素と安定な化合物を形成し得る金属元
素(白金族元素,Ti,Zr,V,ランタン族元素、ア
ルカリ土類金属元素など)をA、それ以外の金属をBと
して、 (1)AB5 系(例えば、LaNi5 ,CaNi5
ど) (2)AB2 系(例えば、MgZn2 ,ZrNi2
ど) (3)AB系(例えば、TiNi,TiFeなど) (4)A2 B系(例えば、Mg2 Ni,Ca2 Feな
ど) (5)その他(クラスター合金など) に大別できる。
【0004】これらの水素吸蔵合金のうち、(1)のL
aNi5 系合金や、(2)に属するいわゆるラーベス相
合金、(3)に属する合金の一部は、常温常圧付近で水
素と反応でき、また化学的安定性も比較的高いことから
電池・電極材料用合金として広く研究が進められてい
る。また、(4)の合金系は、水素との安定性が高すぎ
るために放出反応が起こりにくいこと、吸蔵・放出反応
が比較的高温でないと起こりにくいこと、など克服すべ
き問題を有するものの、その水素吸蔵能力が体積当たり
で他の合金系と同等以上、重量当たりでは2倍〜数倍と
いう優れた特性を有しており、電池・電極用材料として
の潜在的能力を有している。なお、上記分類の(5)の
系は学術報告には若干の例が見られるものの、実用化あ
るいは実用化を試みる段階に至っているものは現時点で
は皆無に近い。
【0005】これらの合金系でA成分としては上述のよ
うにPd等のいわゆる白金族元素,Ti,Zr,V,ラ
ンタン族元素、アルカリ土類金属元素などの利用が可能
である。現在までに実際に電池用に用いられている合金
としては、ランタン族元素(La,Pr等の純金族もし
くはミッシュメタルと呼ばれる混合体で用いられる)、
Ti,Zr,V等が主流で、白金族元素やアルカリ土類
金属元素の利用例は極めて少ない。
【0006】この理由は白金族元素については主として
価格が高いためである。マグネシウムなどのアルカリ土
類金属元素の場合には、水素との結合力が強すぎるた
め、この元素を含有する合金の水素化物も極めて安定に
なり、吸蔵した水素が放出され難く、つまり、可逆性に
乏しく、二次電池用の電極材料として不適当であると考
えられているためである。
【0007】しかしながら、前述したようにマグネシウ
ム系合金で代表されるA2 B型の合金は水素吸蔵能力が
大きく、この系の合金の可逆性・反応性を高めることが
できれば電極材料としてのみならず水素吸蔵合金として
の一般的な用途に対しても有用である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水素吸蔵・
放出反応性及び活性が向上されたアルカリ土類金属元素
を含有する水素吸蔵合金を提供しようとするものであ
る。
【0009】本発明は、容量及び充放電サイクル寿命が
共に優れたアルカリ二次電池を提供しようとするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によると、下記一
般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
以上からなり、前記Mbを構成する原子の外殻電子の個
数の加重平均をVとしたときに前記加重平均Vは下記
(1)式を満たし、 7≦V≦11 …(1) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度は第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とする水素吸蔵合金が提供される。
【0011】ただし、原子の外殻電子の個数とは典型元
素では最外殻の電子の個数、Pdを除く遷移金属では最
外殻の電子の個数とこれより一つ主量子数の小さい軌道
のd電子の個数の合計とし、Pdでは最外殻のd電子の
個数とする。なお、前記Mbがランタノイド元素及び/
又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Vは前
記ランタノイド元素及び前記アクチノイド元素を除外し
て算出される。
【0012】本発明によると、下記一般式(I)で表さ
れ、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
以上からなり、Maを構成する原子の外殻電子の個数の
加重平均をU、Mbを構成する原子の外殻電子の個数の
加重平均をVとしたときに前記加重平均U及び前記加重
平均Vは下記(2)式及び(3)式をそれぞれ満たし、 1≦U≦4 …(2) 6≦V≦14 …(3) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度は第四ピークの強度の3倍以上であることを特徴と
する水素吸蔵合金が提供される。
【0013】ただし、原子の外殻電子の個数とは典型元
素では最外殻の電子の個数、Pdを除く遷移金属では最
外殻の電子の個数とこれより一つ主量子数の小さい軌道
のd電子の個数の合計とし、Pdでは最外殻のd電子の
個数とする。なお、前記Maがランタノイド元素及び/
又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Uは前
記ランタノイド元素及び前記アクチノイド元素を除外し
て算出される。前記Mbがランタノイド元素及び/又は
アクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Vは前記ラ
ンタノイド元素及び前記アクチノイド元素を除外して算
出される。
【0014】本発明によると、下記一般式(I)で表さ
れ、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
以上からなり、Maを構成する原子の外殻電子の個数の
加重平均をU、Mbを構成する原子の外殻電子の個数の
加重平均をVとしたときに前記加重平均U及び前記加重
平均Vは下記(4)式を満たし、 10≦2×U+V≦18 …(4) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度は第四ピークの強度の3倍以上であることを特徴と
する水素吸蔵合金が提供される。
【0015】ただし、原子の外殻電子の個数とは典型元
素では最外殻の電子の個数、Pdを除く遷移金属では最
外殻の電子の個数とこれより一つ主量子数の小さい軌道
のd電子の個数の合計とし、Pdでは最外殻のd電子の
個数とする。なお、前記Maがランタノイド元素及び/
又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Uは前
記ランタノイド元素及び前記アクチノイド元素を除外し
て算出される。前記Mbがランタノイド元素及び/又は
アクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Vは前記ラ
ンタノイド元素及び前記アクチノイド元素を除外して算
出される。
【0016】本発明によると、Cu−Kα線によるエッ
クス線回折パターンの三強線のうち、二つは2θ=11
〜15°にピークを有するものと2θ=39〜42°に
ピークを有するものから構成されるアルカリ土類金属−
ニッケル系の水素吸蔵合金を含むことを特徴とする水素
吸蔵合金が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明に係わる第1の水素吸蔵合金は、下
記一般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
以上からなり、Mbを構成する原子の外殻電子の個数の
加重平均をVとしたときに前記加重平均Vは下記(1)
式を満たし、 7≦V≦11 …(1) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度が第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とするものである。
【0019】前記一般式(I)のMeを構成するアルカ
リ土類金属元素としては、ベリリウム(Be)、マグネ
シウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム
(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げ
られる。前記Meは、その80モル%以上がマグネシウ
ムであることが好ましい。
【0020】前記一般式(I)のMaのうちの70モル
%以上を構成する3B族元素としては、ホウ素(B)ア
ルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム
(In)、タリウム(Tl)が挙げられる。前記Maの
3B族元素の含有量を70モル%以上としたのは、含有
量が70モル%未満であると、A2 B型の合金として安
定に存在することが難しくなり、容量(吸蔵量)が低下
する。更に、水素化物生成後に可逆的に水素を脱離する
ことができなくなるため、繰り返し性(サイクル寿命)
が著しく低下する。
【0021】前記一般式(I)のMbのうちの70モル
%以上を構成するニッケルを除く第4周期遷移金属元素
としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バ
ナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、
鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Z
n)が挙げられる。前記Mbの前記遷移元素の含有量を
70モル%以上としたのは、含有量が70モル%未満で
あると、合金の反応性が損なわれ、通常の温度・圧力雰
囲気下での実質的な容量(吸蔵量)が低下する。前記M
bは、その50モル%以上が鉄であると良い。
【0022】前記合金は、Maか、Mb、あるいはその
両方がランタノイド元素及びアクチノイド元素のうちの
少なくとも一方の元素を含有していても良い。これらの
元素の総量は合金の式量当たり0.5未満にすると良
い。ランタノイド元素や、アクチノイド元素は他の元素
に比べ原子半径が大きく、大量に置換すると電子的な効
果で特性を議論できないほど結晶構造を歪めてしまう恐
れがあるからである。
【0023】前記一般式(I)のX及びYを前記範囲に
規定するのは次のような理由によるものである。Xが
0.5を越えると、A2 B型合金としての安定性が損な
われるだけでなく、水素との結合強度が大きくなり過
ぎ、吸蔵した水素を放出しにくくなる。また、Yが0.
5を越えると、水素吸脱蔵の速度が低下する。これは合
金表面での水素ガスもしくは水の解離反応・再結合反応
に対する触媒能が低下するためと考えられる。一方、
X、またはY、あるいはX及びYを0.05未満にする
と、Ma、Mbの相乗効果が認められなくなり、本発明
の効果が期待できなくなる。Xのより好ましい範囲は、
0.1〜0.25である。一方、Yのより好ましい範囲
は、0.1〜0.4である。
【0024】前記一般式(I)のZを前記範囲に規定す
るのは次のような理由によるものである。Zを0.7未
満にすると、Me、もしくはMaの分離・偏析が起こり
やすくなり、合金の分離・劣化が促進される。一方、Z
が1.5を越えると、AB2型合金の析出が始まり、合
金特性が低下する。Zのより好ましい範囲は、0.8〜
1.2である。
【0025】前述したMaの置換量XとMbの置換量Y
との差は、0.3以下(より好ましくは、0.2以下)
であることが望ましい。置換量XとYとの差を前記範囲
にすることによって、水素吸蔵合金の反応性及び安定性
(吸蔵・放出時の結晶構造の安定性)を更に向上するこ
とができる。このような水素吸蔵合金をアルカリ二次電
池に適用すると、前記二次電池の放電容量を向上するこ
とができる。
【0026】前記Mbを構成する原子の外殻電子の個数
の加重平均Vは、以下に説明する方法で求められる。前
記原子の種類が2種類以上である場合を説明する。ま
ず、各原子についての外殻電子の個数を算出する。すな
わち、前記原子が典型元素である場合、最外殻の電子の
個数が求める外殻電子の個数である。前記原子がPdを
除く遷移金属である場合、最外殻の電子の個数とこれよ
り一つ主量子数の小さい軌道のd電子の個数の合計が求
める外殻電子の個数である。一方、前記原子がPdであ
る場合、最外殻のd電子の個数が求める外殻電子の個数
である。このようにして得られる外殻電子の個数は、水
素吸蔵合金の非金属結合的な結合(共有結合的、配位結
合的、あるいはイオン結合的な結合)に寄与する電子の
個数に相当する。各原子について、外殻電子の個数にそ
の原子の存在比を掛け合わせたものを下記(i)式より
求め、得られた(i)式の値を合計することによって前
記加重平均Vを算出する。
【0027】N×(Y1 /Y) …(i) ここで、Nは原子の外殻電子の個数を示し、Yは前述し
た一般式(I)におけるMbの置換量、Y1 は前述した
一般式(I)における前記原子の置換量を示す。 Mb
を構成する原子の種類が1種類である場合、その原子の
外殻電子の個数が求める加重平均Vとなる。
【0028】なお、ランタノイド元素およびアクチノイ
ド元素については周期律表上で近接する原子間の特性が
類似しており、外殻電子の個数と合金特性とが必ずしも
対応せず外殻電子数により特徴的な挙動を示さない。こ
のため、前記Mbがランタノイド元素及び/又はアクチ
ノイド元素を含む場合、前記加重平均Vは前記Mbに含
まれるこれらの元素を除外して算出する。
【0029】前記加重平均Vを前記範囲に限定するのは
次のような理由によるものである。前記加重平均Vを7
未満にすると、合金中の(Ni1-Y MbY )サイトの元
素と水素との結合の安定性が損なわれる。一方、前記加
重平均Vが11を越えると、(Ni1-Y MbY )サイト
の元素と結合できる水素の数が減少するため、容量(吸
蔵量)が低下する。特に、加重平均Vを8〜10の範囲
にすると、水素吸蔵・放出反応速度を大幅に改善するこ
とができる。このような水素吸蔵合金を備えたアルカリ
二次電池は、放電容量を大幅に向上することができる。
【0030】前記合金は、Cu−Kα線によるエックス
線回折パターンの最強線の強度が第四ピークの強度の3
倍以上である。最強線(最強ピーク)と第四ピークとの
強度比がこの値よりも小さいときには、前述したように
加重平均Vを規定したことに対応する特性の改善を十分
に顕れない。より好ましい強度比は、4倍以上である。
また、第二ピークの強度も第四ピークの強度の3倍以上
であることが好ましい。
【0031】前記合金は、Cu−Kα線によるエックス
線回折パターンの三強線のうち、二つが2θ=39〜4
2°にピークを有するものと、2θ=11〜15°にピ
ークを有するものとから構成されると良い。このような
合金は、水素吸蔵・放出反応性を向上することができ、
アルカリ二次電池の放電容量を向上することができる。
特に、前記合金は、最強線が2θ=39〜42°にピー
クを有し、かつ第2強線が2θ=11〜15°にピーク
を有すると良い。このような構造の水素吸蔵合金は、水
素吸蔵・放出反応性を大幅に向上することができ、アル
カリ二次電池の放電容量を飛躍的に向上することができ
る。
【0032】前記合金は、前述したような特殊な三強線
を有する場合、マグネシウムを5モル%以上含有し、か
つニッケルを10モル%以上含有していることが好まし
い。
【0033】前記合金は、前述したような特殊な三強線
を有し、かつ結晶の構造が立方晶系もしくは六方晶系で
あることが望ましい。
【0034】本発明に係わる第2の水素吸蔵合金は、下
記一般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
以上からなり、Maを構成する原子が有する外殻電子の
個数の加重平均をU、Mbを構成する原子が有する外殻
電子の個数の加重平均をVとしたとき、前記加重平均U
及び前記加重平均Vは下記(2)式及び(3)式をそれ
ぞれ満たし、 1≦U≦4 …(2) 6≦V≦14 …(3) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度が第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とするものである。
【0035】前記一般式(I)のMe、Ma及びMbと
しては、前述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと同
様なものを挙げることができる。また、Ma及びMbに
おいて特定元素の含有量を前記範囲に限定するのは、前
述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと同様な理由に
よるものである。
【0036】前記合金は、Maか、Mb、あるいはその
両方がランタノイド元素及び/またはアクチノイド元素
を含有していても良い。これらの元素の総量は、前述し
た第1の水素吸蔵合金で説明したのと同様な理由により
合金の式量当たり0.5未満にすると良い。
【0037】前記一般式(I)におけるX、Y及びZを
前記範囲に限定するのは、前述した第1の水素吸蔵合金
で説明したのと同様な理由によるものである。
【0038】前述したMaの置換量XとMbの置換量Y
との差は、前述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと
同様な理由により0.3以下(より好ましくは、0.2
以下)にすることが望ましい。
【0039】前記加重平均Uは、以下に説明する方法で
求められる。前記原子の種類が2種類以上である場合を
説明する。まず、各原子についての外殻電子の個数を前
述した加重平均Vにおいて説明したのと同様な方法によ
り算出する。各原子について、外殻電子の個数にその原
子の存在比を掛け合わせたものを下記(ii)式より求
め、得られた(ii)式の値を合計することによって前記
加重平均Uを算出する。
【0040】N×(X1 /X) …(ii) ここで、Nは原子の外殻電子の個数を示し、Xは前述し
た一般式(I)におけるMaの置換量、X1 は前述した
一般式(I)における前記原子の置換量を示す。 Ma
を構成する原子の種類が1種類である場合、その原子の
外殻電子の個数が求める加重平均Uとなる。
【0041】なお、前記Maがランタノイド元素及び/
又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Uは前
記Maに含まれるこれらの元素を除外して算出される。
【0042】前記加重平均Uを前記範囲に限定するのは
次のような理由によるものである。前記加重平均Uを1
未満にすると、合金自体の安定性が極めて低くなる。一
方、前記加重平均Uが4を越えると、(1)水素吸蔵後
の水素化物の結合が不安定になり、不活性な水素が合金
中に生成する;(2)合金の導電性が低下する;(3)
水溶液中で用いた際に分解しやすくなる;等の現象を引
き起こすことがある。
【0043】前記加重平均Vを前記範囲に限定するのは
次のような理由によるものである。前記加重平均Vを6
未満にすると、Uが4を越えた場合と同様、水素化物中
の元素間結合が不安定になる。一方、前記加重平均Vが
14を越えると、(Ni1-YMbY )サイトの元素と結
合できる水素の量が減少する。
【0044】特に、前記加重平均Uを2〜4の範囲に
し、かつ前記加重平均Vを8〜12の範囲にすると、水
素吸蔵・放出反応性をより向上することができ、アルカ
リ二次電池の高率充電特性を飛躍的に改善することがで
きる。
【0045】前記合金は、Cu−Kα線によるエックス
線回折パターンの最強線の強度が第四ピークの強度の3
倍以上である。最強線(最強ピーク)と第四ピークとの
強度比がこの値よりも小さいときには、前述したように
加重平均V及び加重平均Uを規定したことに対応する特
性の改善を十分に顕れない。強度比の下限値のより好ま
しい値は、前述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと
同様にすると良い。また、第二ピークの強度も第四ピー
クの強度の3倍以上であることが好ましい。
【0046】前記合金は、Cu−Kα線によるエックス
線回折パターンの三強線のうち、二つが2θ=39〜4
2°にピークを有するものと、2θ=11〜15°にピ
ークを有するものとから構成されると良い。このような
合金は、水素吸蔵・放出反応性を向上することができ、
アルカリ二次電池の放電容量を向上することができる。
特に、前記合金は、最強線が2θ=39〜42°にピー
クを有し、かつ第2強線が2θ=11〜15°にピーク
を有すると良い。このような構造の水素吸蔵合金は、水
素吸蔵・放出反応性を大幅に向上することができ、アル
カリ二次電池の放電容量を飛躍的に向上することができ
る。
【0047】前記合金は、前述したような特殊な三強線
を有する場合、マグネシウムを5モル%以上含有し、か
つニッケルを10モル%以上含有していることが好まし
い。
【0048】前記合金は、前述したような特殊な三強線
を有し、かつ結晶の構造が立方晶系もしくは六方晶系で
あることが望ましい。
【0049】本発明に係る第3の水素吸蔵合金は、下記
一般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
以上からなり、Maを構成する原子が有する外殻電子の
個数の加重平均をU、Mbを構成する原子が有する外殻
電子の個数の加重平均をVとしたとき、前記加重平均U
及び前記加重平均Vは下記(4)式を満たし、 10≦2×U+V≦18 …(4) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度が第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とするものである。
【0050】前記一般式(I)のMe、Ma及びMbと
しては、前述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと同
様なものを挙げることができる。また、Ma及びMbに
おいて特定元素の含有量を前記範囲に限定するのは、前
述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと同様な理由に
よるものである。
【0051】前記合金は、Maか、Mb、あるいはその
両方がランタノイド元素、アクチノイド元素を含有して
いても良い。これらの元素の総量は、前述した第1の水
素吸蔵合金で説明したのと同様な理由により合金の式量
当たり0.5未満にすると良い。
【0052】前記一般式(I)におけるX、Y及びZを
前記範囲に限定するのは、前述した第1の水素吸蔵合金
で説明したのと同様な理由によるものである。
【0053】前述したMaの置換量XとMbの置換量Y
との差は、前述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと
同様な理由により0.3以下(より好ましくは、0.2
以下)にすることが望ましい。
【0054】前記加重平均U及び前記加重平均Vは前述
したのと同様な方法により算出される。前述した(4)
式における(2×U+V)の値を前記範囲に限定するの
は次のような理由によるものである。前記(2×U+
V)の値を10未満にすると、合金中の金属結合(共有
結合性;イオン結合性を帯びている場合も含む)に寄与
する電子数が不足するため、金属間化合物として安定に
存在しにくくなる。一方、前記(2×U+V)の値が1
8を越えると、逆に前記電子数が増え過ぎ、やはり金属
間化合物の安定性が低下する。特に、この(2×U+
V)の値を10〜14の範囲にすることによって、水素
吸蔵合金の吸蔵・放出時の結晶構造の安定性をより高め
ることができ、アルカリ二次電池のサイクル寿命を飛躍
的に改善することができる。
【0055】前記合金は、Cu−Kα線によるエックス
線回折パターンの最強線の強度が第四ピークの強度の3
倍以上である。最強線(最強ピーク)と第四ピークとの
強度比がこの値よりも小さいときには、前述したように
加重平均V及び加重平均Uを規定したことに対応する特
性の改善を十分に顕れない。強度比の下限値のより好ま
しい値は、前述した第1の水素吸蔵合金で説明したのと
同様にすると良い。また、第二ピークの強度も第四ピー
クの強度の3倍以上であることが好ましい。
【0056】前記合金は、Cu−Kα線によるエックス
線回折パターンの三強線のうち、二つが2θ=39〜4
2°にピークを有するものと、2θ=11〜15°にピ
ークを有するものとから構成されると良い。このような
合金は、水素吸蔵・放出反応性を向上することができ、
アルカリ二次電池の放電容量を向上することができる。
特に、前記合金は、最強線が2θ=39〜42°にピー
クを有し、かつ第2強線が2θ=11〜15°にピーク
を有すると良い。このような構造の水素吸蔵合金は、水
素吸蔵・放出反応性を大幅に向上することができ、アル
カリ二次電池の放電容量を飛躍的に向上することができ
る。
【0057】前記合金は、前述したような特殊な三強線
を有する場合、マグネシウムを5モル%以上含有し、か
つニッケルを10モル%以上含有していることが好まし
い。
【0058】前記合金は、前述したような特殊な三強線
を有し、かつ結晶の構造が立方晶系もしくは六方晶系で
あることが望ましい。
【0059】本発明に係る第4の水素吸蔵合金は、Cu
−Kα線によるエックス線回折パターンの三強線のう
ち、二つは2θ=11〜15°にピークを有するものと
2θ=39〜42°にピークを有するものであるアルカ
リ土類金属−ニッケル系の水素吸蔵合金を含むことを特
徴とするものである。
【0060】前記合金は、Cu−Kα線によるエックス
線回折パターンの最強線が2θ=39〜42°にピーク
を有し、かつ第2強線が2θ=11〜15°にピークを
有すると良い。このような合金を含むアルカリ二次電池
は、放電容量を大幅に改善することができる。
【0061】前記合金は、マグネシウムを5モル%以上
含有し、かつ、ニッケルを10モル%以上含有すること
が好ましい。特に、前記合金は、このような特定の組成
を有し、かつ前述したような特定の最強線と第2強線を
持つと良い。
【0062】前記合金は、結晶の構造が立方晶系もしく
は六方晶系であることが望ましい。以下、本発明に係わ
るアルカリ二次電池のうちの円筒形ニッケル水素二次電
池の例を図1を参照して説明する。
【0063】図1に示すように有底円筒状の容器1内に
は、正極2とセパレータ3と負極4とを積層してスパイ
ラル状に捲回することにより作製された電極群5が収納
されている。前記負極4は、前記電極群5の最外周に配
置されて前記容器1と電気的に接触している。アルカリ
電解液は、前記容器1内に収容されている。中央に孔6
を有する円形の第1の封口板7は、前記容器1の上部開
口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケット8
は、前記封口板7の周縁と前記容器1の上部開口部内面
の間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシ
メ加工により前記容器1に前記封口板7を前記ガスケッ
ト8を介して気密に固定している。正極リード9は、一
端が前記正極2に接続、他端が前記封口板7の下面に接
続されている。帽子形状をなす正極端子10は、前記封
口板7上に前記孔6を覆うように取り付けられている。
ゴム製の安全弁11は、前記封口板7と前記正極端子1
0で囲まれた空間内に前記孔6を塞ぐように配置されて
いる。中央に穴を有する絶縁材料からなる円形の押え板
12は、前記正極端子10上に前記正極端子10の突起
部がその押え板12の前記穴から突出されるように配置
されている。外装チューブ13は、前記押え板12の周
縁、前記容器1の側面及び前記容器1の底部周縁を被覆
している。
【0064】次に、前記正極2、負極4、セパレータ3
および電解液について説明する。
【0065】1)正極2 この正極2は、例えば、活物質である水酸化ニッケル粉
末に導電材料を添加し、高分子結着剤および水と共に混
練してペーストを調製し、前記ペーストを導電性基板に
充填し、乾燥した後、成形することにより作製される。
【0066】前記導電材料としては、例えばコバルト酸
化物、コバルト水酸化物、金属コバルト、金属ニッケ
ル、炭素等を挙げることができる。
【0067】前記高分子結着剤としては、例えばカルボ
キシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレンを挙げる
ことができる。
【0068】前記導電性基板としては、例えばニッケ
ル、ステンレスまたはニッケルメッキが施された金属か
ら形成された網状、スポンジ状、繊維状、もしくはフェ
ルト状の金属多孔体を挙げることができる。
【0069】2)負極4 この負極4は、水素吸蔵合金の粉末に導電材を添加し、
高分子結着剤および水と共に混練してペーストを調製
し、前記ペーストを導電性基板に充填し、乾燥した後、
成形することにより作製される。
【0070】前記水素吸蔵合金としては、前述した第1
〜第4の水素吸蔵合金のうちのいずれか一つを含むもの
が用いられる。
【0071】前記高分子結着剤としては、前記正極2で
用いたのと同様なものを挙げることができる。
【0072】前記導電材としては、例えば、カーボンブ
ラック等を挙げることができる。
【0073】前記導電性基板としては、例えば、パンチ
ドメタル、エキスパンデッドメタル、穿孔剛板、ニッケ
ルネットなどの二次元基板や、フェルト状金属多孔体
や、スポンジ状金属基板などの三次元基板を挙げること
ができる。
【0074】3)セパレータ3 このセパレータ3は、例えばポリプロピレン不織布、ナ
イロン不織布、ポリプロピレン繊維とナイロン繊維を混
繊した不織布のような高分子不織布からなる。特に、表
面が親水化処理されたポリプロピレン不織布はセパレー
タとして好適である。
【0075】4)アルカリ電解液 このアルカリ電解液としては、例えば、水酸化ナトリウ
ム(NaOH)の水溶液、水酸化リチウム(LiOH)
の水溶液、水酸化カリウム(KOH)の水溶液、NaO
HとLiOHの混合液、KOHとLiOHの混合液、K
OHとLiOHとNaOHの混合液等を用いることがで
きる。
【0076】以上詳述したように本発明に係る第1の水
素吸蔵合金は、前述した一般式(I)で表され、Mbを
構成する原子が有する外殻電子の個数の加重平均をVと
したときに前記加重平均Vが下記(1)式を満たし、 7≦V≦11 …(1) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度が第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とするものである。
【0077】また、本発明に係る第2の水素吸蔵合金
は、前述した一般式(I)で表され、Maを構成する原
子が有する外殻電子の個数の加重平均をU、Mbを構成
する原子が有する外殻電子の個数の加重平均をVとした
とき、前記加重平均U及び前記加重平均Vが下記(2)
式及び(3)式をそれぞれ満たし、 1≦U≦4 …(2) 6≦V≦14 …(3) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度が第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とするものである。
【0078】さらに、本発明に係る第3の水素吸蔵合金
は、前述した一般式(I)で表され、前記加重平均U及
び前記加重平均Vが下記(4)式を満たし、 10≦2×U+V≦18 …(4) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
強度が第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
とを特徴とするものである。
【0079】マグネシウムを初めとするアルカリ土類金
属元素を含有する水素吸蔵合金が希土類系合金やラーベ
ス型合金より反応性が低い理由としては、水素解離触媒
として作用すると言われるNiの含有比率が他の合金系
より低いことや、水素の吸脱蔵に伴って結晶型の変態が
起きることなどが考えられる。また、合金構成元素間の
結合様式が他の合金系と異なっている可能性も考えられ
る。これは、アルカリ土類金属元素の電気陰性度が極め
て低いために合金構成原子間に電気的な分極が生じやす
いことや、特にマグネシウムやカルシウムの場合、他の
合金系を構成する原子のほとんどが遷移金属元素である
のに対して典型金属元素であるこれら元素には自由度の
大きいd電子がないため、いわゆる「固い」元素として
振る舞うこと、等に関係するものと思われる。
【0080】本発明者らは、アルカリ土類金属元素を含
有する水素吸蔵合金において、以上の点を考慮した成分
置換を行うことによって、前述した第1〜第3の水素吸
蔵合金がアルカリ土類金属元素を含有する水素吸蔵合金
の特長である大きい水素吸蔵能力を維持しつつ、電気化
学的な水素吸蔵・放出反応性を向上できることを見出だ
したのである。また、本発明者らは、これらの水素吸蔵
合金がアルカリ二次電池用負極に含まれる水素吸蔵合金
として好適であることを見いだした。
【0081】すなわち、本発明に係るアルカリ二次電池
は、前述した第1の水素吸蔵合金を含む負極を備えるも
のである。このような二次電池は、放電容量、高率充放
電特性及び寿命特性を改善することができる。特に、前
記合金は水素吸蔵・放出反応速度が優れているため、前
記二次電池は放電容量を飛躍的に向上させることができ
る。
【0082】また、本発明に係る別のアルカリ二次電池
は、前述した第2の水素吸蔵合金を含む負極を備える。
このような二次電池は、放電容量、高率充放電特性及び
寿命特性を改善することができ、特に高率充放電特性を
大幅に改善することができる。
【0083】本発明に係るさらに別のアルカリ二次電池
は、前述した第3の水素吸蔵合金を含む負極を備える。
このような二次電池は、放電容量、高率充放電特性及び
寿命特性を改善することができる。特に、前記合金は可
逆性に優れ、かつ吸蔵・放出時の結晶構造の安定性が高
いため、前記二次電池は充放電サイクル寿命を飛躍的に
向上することができる。
【0084】本発明に係る第4の水素吸蔵合金は、Cu
−Kα線によるエックス線回折パターンの三強線のう
ち、二つは2θ=11〜15°にピークを有するものと
2θ=39〜42°にピークを有するものであるアルカ
リ土類金属−ニッケル系の水素吸蔵合金を含むことを特
徴とするものである。このような合金は、高い水素吸蔵
能力を維持しつつ、水素吸蔵・放出反応性を向上するこ
とができる。
【0085】この構造の合金が優れた水素吸蔵・放出特
性を示す理由は明確ではないが、以下のような理由によ
ると考えられる。すなわち、アルカリ土類金属−ニッケ
ル系の水素吸蔵合金では、一般に水素の吸蔵・放出に伴
う格子の膨張収縮もしくは構造変化が起こりやすく、こ
れが水素吸蔵・放出の際の反応阻害要因になっているも
のと考えられる。また、この変形の大きさが水素吸蔵・
放出特性劣化の要因にもなっているものと考えられる。
ところで、前記合金のうち、例えば、最強線が2θ=3
9〜42°にピークを持ち、かつ第2強線が2θ=11
〜15°にピークを持つ合金は、アルカリ土類金属−ニ
ッケル系合金の代表的なものであるMg2 Ni,MgN
2 ,CaNi5 などのいずれとも異なるものである。
また、このピーク位置は原料であるアルカリ土類金属や
ニッケルの単結晶とも異なるものであり、従来知られて
いるものとは異なる新規な合金であると考えられる。
【0086】本発明に係る第4の水素吸蔵合金はこの特
徴的なエックス線回折ピークが示すように、新規な結晶
構造を有しており、この構造が水素吸蔵・放出に伴う構
造変化の小さい合金を形作っているものと思われる。そ
の結果、前記合金は、高い水素吸蔵能力を維持しつつ、
水素吸蔵・放出特性を向上できるものと推測される。
【0087】本発明に係るさらに別のアルカリ二次電池
は、前述した第4の水素吸蔵合金を含む負極を備えるも
のである。このような二次電池は、放電容量、高率充放
電特性及び寿命特性を改善することができる。
【0088】なお、前述した図1では正極2と負極4の
間にセパレータ3を介在して渦巻状に捲回し、有底円筒
状の容器1内に収納したが、本発明のニッケル水素二次
電池はこのような構造に限定されない。例えば、正極と
負極とをその間にセパレータを介在して複数枚積層した
積層物を有底矩形筒状の容器内に収納して角形ニッケル
水素二次電池を構成してもよい。
【0089】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。
【0090】(実施例1〜36及び比較例1〜18)M
2 Niと不足分のMgもしくはNi、および置換元素
を原料とし、アルゴンガス雰囲気下において高周波誘導
溶解法か、もしくは焼結法によって下記表1、4、7及
び10に示す組成を有する54種類の水素吸蔵合金を作
製した。
【0091】高周波誘導溶解法を採用する場合、原料金
属をマグネシア坩堝に入れ、10-5Torrオーダーま
で脱気し、次いでアルゴンガスを0.05MPaまで加
圧導入した雰囲気下で高周波誘導溶解を行い、溶湯が十
分に流動性を持った時点でこれを型に流し入れることに
よって合金インゴットを作製する。一方、焼結法の場
合、0.05〜0.15ミリ程度の粒径を有する原料金
属をニッケルボールと共にニッケル製のポットに入れ、
これを遊星ボールミルにかけて十分に粉砕した後、ペレ
ット状に成形し、管状炉中にいれて10-6Torrオー
ダーまで脱気したのち、対常圧−100〜−200mg
Hgまでアルゴンを導入して融点前後まで加熱し原料金
属を焼結させることによって合金インゴットを作製す
る。
【0092】このようにして得られた合金は必要に応じ
て、前述した焼結法と同様の手法で、かつ前述したのと
加熱条件を変えて熱処理が施された。この熱処理は主と
して合金の均質性と結晶配向を変化させる働きがあり、
同じ組成でもエックス線回折法によるピークパターンが
変化する場合がある。
【0093】得られた54種類の水素吸蔵合金のうち、
実施例1〜11及び比較例1〜7の合金については、M
eを構成する原子の種類及びMe中のMgの含有量(m
ol%)を表1に示す。また、Maを構成する原子の種
類、各原子の外殻電子数、各原子の置換量、Maの置換
量(X)、Maを構成する原子が有する外殻電子の加重
平均(U)、Ma中の3B族元素の含有量(mol
%)、Mbを構成する原子の種類、各原子の外殻電子
数、各原子の置換量、Mbの置換量(Y)、Mbを構成
する原子が有する外殻電子の加重平均(V)、Mb中の
第4周期遷移金属族元素の含有量(mol%)及びMb
中のFeの含有量(mol%)を下記表2に示す。ま
た、置換量Zと、加重平均(2×U+V)と、Cu−K
α線によるX線回折パターンにおける第1強線と第4強
線とのピーク比(第1強線のピーク/第4強線のピー
ク)を表3に示す。実施例12〜23及び比較例8〜9
の合金については、前述したMeの条件を表4に、Ma
及びMbの条件を表5に、置換量Z、加重平均(2×U
+V)及びピーク比を表6に示す。実施例24〜33の
合金については、前述したMeの条件を表7に、Ma及
びMbの条件を表8に、置換量Z、加重平均(2×U+
V)及びピーク比を表9に示す。また、実施例34〜3
6及び比較例10〜18の合金については、前述したM
eの条件を表10に、Ma及びMbの条件を表11に、
置換量Z、加重平均(2×U+V)及びピーク比を表1
2に示す。
【0094】前記54種類の合金インゴットを粉砕し、
各合金の粉末1重量部と銅粉3重量部とを混合・プレス
してペレットを調製し、ニッケルメッシュで挟んで水素
吸蔵合金電極を試作した。得られた水素吸蔵合金電極を
負極とし、焼結式水酸化ニッケル電極を正極とし、8規
定の水酸化カリウム水溶液を電解液として54種類の試
験電池を構成し、充放電試験を行った。
【0095】得られた54種類の実施例1〜36及び比
較例1〜18の試験電池について、合金1g当たり10
0mAの電流で10時間充電したのち、合金1g当たり
20mAhの電流で、水銀/酸化水銀標準電極基準で負
極電位が−500mVになるまで放電した。このときの
放電時間から放電容量を求めた。
【0096】また、実施例1〜36及び比較例1〜18
の試験電池を合金1g当たり100mAの電流で10時
間充電した場合と、合金1g当たり250mAの電流で
4時間充電した場合との放電容量の比(高率充電特性)
から反応速度への寄与を調べた。
【0097】さらに、実施例1〜36及び比較例1〜1
8の試験電池について、合金1g当たり100mAの電
流で10時間充電したのち、合金1g当たり20mAh
の電流で、水銀/酸化水銀標準電極基準で負極電位が−
500mVになるまで放電する充放電サイクルを繰り返
し、3サイクル目の放電容量に対する20サイクル目の
放電容量の比(容量維持率)から寿命を調べた。
【0098】得られた放電容量、高率充電特性及び容量
維持率を実施例1〜11及び比較例1〜7については表
3に、実施例12〜23及び比較例8〜9については表
6に、実施例24〜33については表9に、実施例34
〜36及び比較例10〜18については表12に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】
【表8】
【0107】
【表9】
【0108】
【表10】
【0109】
【表11】
【0110】
【表12】
【0111】表1〜12から明らかなように、条件1
(加重平均Vが7≦V≦11を満たす)を満足する合金
を含む負極を備えた電池、特に、実施例1〜11,16
〜19,21〜29,32,33,35,36の電池
は、百数十mAh/g以上と高い放電容量を有すること
がわかる。条件2(加重平均Uが1≦U≦4を満たし、
かつ加重平均Vが6≦V≦14を満たす)を満足する合
金を含む負極を備えた実施例1〜11、実施例17,1
9,20,21,23の電池は、充電電流を250mA
/gにしても100mA/g充電時の80%以上と高い
放電容量を示しており、高率充電特性が優れていること
がわかる。また、前記条件2及び条件3(加重平均U,
Vが10≦2×U+V≦18)を満たす合金を含む負極
を備えた実施例20,31の電池は、両条件とも満たし
ていない電池に比べ、概ね高率充電特性が優れているこ
とがわかる。さらに、前記条件3を満たしている合金を
含む負極を備えた実施例1〜11,12〜26,28,
30〜32,34の電池は総じて、この条件3を満たし
ていない実施例27,29,33,35,36の電池に
比べ、20サイクル目までの容量低下が少ないことがわ
かる。特に、条件3のみを満足する実施例12〜15の
電池は、20サイクル目の容量維持率が95%以上と著
しく高いことがわかる。
【0112】これに対し、置換を施していない合金を含
む負極を備えた比較例1の電池と、置換量X,Yが当発
明の範囲からはずれている合金を含む負極を備えた比較
例2〜11及び比較例14の電池と、置換量Zが当発明
の範囲をはずれている合金を含む負極を備えた比較例1
2,13の電池は、放電容量が数十mAh/gと小さい
ことがわかる。また、Cu−Kα線によるエックス線回
折パターンの最強線の強度と第四ピークの強度の比が3
より小さい合金を含む負極を備えた比較例15〜18の
電池は、同じ組成を有する合金を含む実施例1,6,1
2,28の電池に比べ、容量もしくは寿命が劣っている
ことがわかる。なお、比較例の電池中には(例えば、比
較例2)、最大容量が小さ過ぎるために容易低下幅が小
さくなり、見かけ上容量維持率が高いものがある。
【0113】(実施例37〜55)Meとしてマグネシ
ウム、Maとしてアルミニウム、Mbとして鉄を用い、
Z=1.0とした上でXおよびYを種々に変え、下記表
14に示す組成の19種類の水素吸蔵合金を作製した。
得られた19種類の合金について、Maを構成するアル
ミニウム原子の外殻電子数、Maの加重平均(U)、M
a中の3B族元素の含有量(mol%)、Mbを構成す
る鉄原子の外殻電子数、Mbの加重平均(V)、Mb中
の第4周期遷移金属族元素の含有量(mol%)、加重
平均(2×U+V)及びCu−Kα線によるX線回折パ
ターンにおける第1強線と第4強線とのピーク比を下記
表13に示す。
【0114】これら19種類の合金を用い、前述したの
と同様にして19種類の試験電池を組み立てた。
【0115】得られた実施例37〜55の電池につい
て、合金1g当たり100mAの電流で10時間充電し
たのち、合金1g当たり20mAhの電流で、水銀/酸
化水銀標準電極基準で負極電位が−500mVになるま
で放電した。このときの放電時間から放電容量を求め、
その結果を表14に示す。
【0116】
【表13】
【0117】
【表14】
【0118】表14から明らかなように、実施例37〜
55の電池は比較的大きな容量を示すことがわかる。特
に、置換量XとYの値の差が0.3以下である合金を含
む負極を備えた実施例37〜48、52、53の電池
は、放電容量が著しく高いことがわかる。また、置換量
XとYの値の差が0である実施例37〜45のうち、置
換量Xが0.1〜0.3の範囲である合金を含む負極を
備えた実施例39〜44の電池は、実施例37、38、
45の電池に比べて放電容量が高いことがわかる。中で
も、置換量Xが0.15〜0.20の範囲である合金を
含む負極を備えた実施例41〜43の電池は、放電容量
を著しく向上できることがわかる。
【0119】前述した実施例37〜55のうち、実施例
39、40、41、42、44及び45の合金につい
て、エックス線回折法による結晶構造回折を行った。測
定条件としては管電圧40kV、管電流30mAで発生
させた銅ターゲットのKα線をもちい、2θ=5〜85
度の範囲を分速2度でスキャンした。その結果を図2に
示す。また、組成がMg2 Niである比較例1の合金及
び組成がMgAlNi0. 5 Fe0.5 で表される参照例1
の合金について、前述したのと同様な条件でエックス線
回折法による結晶構造回折を行い、その結果を図2に併
記する。なお、実施例42のエックス線回折パターンの
拡大図を図3に示す。
【0120】図2から明らかなように、放電容量が高い
実施例39、40、41、42、44の電池は、エック
ス線回折パターンにおいて、三強線のうち二つが2θ=
11〜15°にピークを有するものと2θ=39〜42
°にピークを有するものとから構成されていることがわ
かる。特に、放電容量が著しく高い実施例41、42の
電池は、最強線が2θ=39〜42°にピークを持ち、
かつ第2強線が2θ=11〜15°にピークを持つこと
がわかる。
【0121】このようなエックス線回折パターンを有す
るアルカリ土類金属−ニッケル系の水素吸蔵合金はこれ
まで知られておらず、また、図2に併せて示した無置換
のMg2 Ni(比較例1)や置換量が多すぎて容量が低
下したMgAlNi0.5 Fe0.5 (参照例1)などとは
全く別な、新規な合金系である。特に、図3から明らか
なように、放電容量が最大を示す実施例42の合金、す
なわちMg1.66Al0. 34Ni0.83Fe0.17で表される合
金(置換量Xが0.17である)は、Mg2 NiやMg
AlNi0.5 Fe0.5 などとの中間体的なピークが完全
に消え、立方晶系もしくは六方晶系に帰属される独自の
結晶形態が認められることがわかる。
【0122】(実施例56)組成がMg1.6 Al0.4
0.98Fe0.02で表される水素吸蔵合金を用意した。前
記水素吸蔵合金は、置換量Xが0.2で、Yが0.02
で、Zが1.0であった。Maを構成するAl原子の外
殻電子数は3で、Maの加重平均Uは3.00で、Ma
中の3B族元素の含有量は100.00mol%であっ
た。Mbを構成するFe原子の外殻電子数が8で、Mb
の加重平均Vは8.00で、Mb中の第4周期遷移金属
族元素の含有量は100.00mol%であった。ま
た、加重平均(2×U+V)は、14.00であった。
Cu−Kα線によるX線回折パターンにおける第1強線
と第4強線とのピーク比は、4.5であった。
【0123】この実施例56の合金について、前述した
のと同様な条件でエックス線回折法による結晶構造回折
を行い、その結果を図4に示す。
【0124】図4から明らかなように、実施例56の合
金は、最強線が2θ=39〜42°にピークを持ち、か
つ第2強線が2θ=11〜15°にピークを持つことが
わかる。このことから、実施例56の合金は、前述した
実施例42と同様に立方晶系もしくは六方晶系に帰属さ
れる独自の結晶形態を有することがわかる。また、実施
例56の合金から前述したのと同様にして試験電池を組
み立て、前述したのと同様にして放電容量を測定したと
ころ、放電容量は280mAh/gであった。
【0125】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の水素吸蔵合
金によれば、マグネシウム含有水素吸蔵合金の大きな水
素吸蔵量を電極反応で有効に利用することができ、充放
電反応速度を向上することができ、電池特性の低下を抑
制することができる等の顕著な効果を奏する。また、本
発明に係るアルカリ二次電池は、高い充放電容量と、優
れた高率充放電特性と、長寿命とを同時に満足すること
ができる等の顕著な効果を奏し、産業上有用なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルカリ二次電池(例えば、円筒
形ニッケル水素二次電池)を示す部分分解斜視図。
【図2】本発明に係る実施例39、40、41、42、
44及び45の合金、比較例1の合金及び参照例1の合
金のエックス線回折パターンを示す特性図。
【図3】本発明に係る実施例42の合金のエックス線回
折パターンを示す特性図。
【図4】本発明に係る実施例56の合金のエックス線回
折パターンを示す特性図。
【符号の説明】
1…容器、2…正極、3…セパレータ、4…負極、7…
封口板、8…絶縁ガスケット。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
    05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
    はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
    り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
    くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
    ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
    以上からなり、前記Mbを構成する原子の外殻電子の個
    数の加重平均をVとしたときに前記加重平均Vは下記
    (1)式を満たし、 7≦V≦11 …(1) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
    強度は第四ピークの強度の3倍以上である合金を含むこ
    とを特徴とする水素吸蔵合金。ただし、原子の外殻電子
    の個数とは典型元素では最外殻の電子の個数、Pdを除
    く遷移金属では最外殻の電子の個数とこれより一つ主量
    子数の小さい軌道のd電子の個数の合計とし、Pdでは
    最外殻のd電子の個数とする。なお、前記Mbがランタ
    ノイド元素及び/又はアクチノイド元素を含む場合、前
    記加重平均Vは前記ランタノイド元素及び前記アクチノ
    イド元素を除外して算出される。
  2. 【請求項2】 下記一般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
    05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
    はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
    り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
    くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
    ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
    以上からなり、Maを構成する原子の外殻電子の個数の
    加重平均をU、Mbを構成する原子の外殻電子の個数の
    加重平均をVとしたときに前記加重平均U及び前記加重
    平均Vは下記(2)式及び(3)式をそれぞれ満たし、 1≦U≦4 …(2) 6≦V≦14 …(3) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
    強度は第四ピークの強度の3倍以上であることを特徴と
    する水素吸蔵合金。ただし、原子の外殻電子の個数とは
    典型元素では最外殻の電子の個数、Pdを除く遷移金属
    では最外殻の電子の個数とこれより一つ主量子数の小さ
    い軌道のd電子の個数の合計とし、Pdでは最外殻のd
    電子の個数とする。なお、前記Maがランタノイド元素
    及び/又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均
    Uは前記ランタノイド元素及び前記アクチノイド元素を
    除外して算出される。前記Mbがランタノイド元素及び
    /又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Vは
    前記ランタノイド元素及び前記アクチノイド元素を除外
    して算出される。
  3. 【請求項3】 下記一般式(I)で表され、 (Me1-X MaX 2 (Ni1-Y MbY Z …(I) X、Y及びZはそれぞれ、0.05≦X≦0.5、0.
    05≦Y≦0.5、0.7≦Z≦1.5を満たし、Me
    はアルカリ土類金属元素の1種もしくは2種以上からな
    り、Maはその70モル%以上が3B族元素の1種もし
    くは2種以上からなり、Mbはその70モル%以上がニ
    ッケルを除く第4周期遷移金属元素の1種もしくは2種
    以上からなり、Maを構成する原子の外殻電子の個数の
    加重平均をU、Mbを構成する原子の外殻電子の個数の
    加重平均をVとしたときに前記加重平均U及び前記加重
    平均Vは下記(4)式を満たし、 10≦2×U+V≦18 …(4) Cu−Kα線によるエックス線回折パターンの最強線の
    強度は第四ピークの強度の3倍以上であることを特徴と
    する水素吸蔵合金。ただし、原子の外殻電子の個数とは
    典型元素では最外殻の電子の個数、Pdを除く遷移金属
    では最外殻の電子の個数とこれより一つ主量子数の小さ
    い軌道のd電子の個数の合計とし、Pdでは最外殻のd
    電子の個数とする。なお、前記Maがランタノイド元素
    及び/又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均
    Uは前記ランタノイド元素及び前記アクチノイド元素を
    除外して算出される。前記Mbがランタノイド元素及び
    /又はアクチノイド元素を含む場合、前記加重平均Vは
    前記ランタノイド元素及び前記アクチノイド元素を除外
    して算出される。
  4. 【請求項4】 Cu−Kα線によるエックス線回折パタ
    ーンの三強線のうち、二つは2θ=11〜15°にピー
    クを有するものと2θ=39〜42°にピークを有する
    ものから構成されるアルカリ土類金属−ニッケル系の水
    素吸蔵合金を含むことを特徴とする水素吸蔵合金。
  5. 【請求項5】 前記Meはその80mol%以上がマグ
    ネシウムであることを特徴とする請求項1ないし3いず
    れか1項記載の水素吸蔵合金。
  6. 【請求項6】 前記Mbはその50モル%以上が鉄であ
    ることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載
    の水素吸蔵合金。
  7. 【請求項7】 前記Xと前記Yの差が0.3以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の
    水素吸蔵合金。
  8. 【請求項8】 結晶が立方晶系もしくは六方晶系である
    ことを特徴とする請求項4記載の水素吸蔵合金。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし4いずれか1項記載の水
    素吸蔵合金を含む負極を具備することを特徴とするアル
    カリ二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6248475B1 (en) * 1997-11-28 2001-06-19 Kabushiki Kaisha Toshiba Nickel-hydrogen secondary battery
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JP2001348639A (ja) * 2000-06-07 2001-12-18 Dowa Mining Co Ltd 水素吸蔵合金と当該合金を用いた水素吸蔵・放出システム
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CN100418253C (zh) * 2004-02-10 2008-09-10 三洋电机株式会社 碱蓄电池用贮氢合金、碱蓄电池及碱蓄电池的制造方法

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