JPH10251723A - 還元鉄の製造方法 - Google Patents

還元鉄の製造方法

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JPH10251723A
JPH10251723A JP5953297A JP5953297A JPH10251723A JP H10251723 A JPH10251723 A JP H10251723A JP 5953297 A JP5953297 A JP 5953297A JP 5953297 A JP5953297 A JP 5953297A JP H10251723 A JPH10251723 A JP H10251723A
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JP
Japan
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agglomerate
furnace
iron
reducing agent
reduction
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JP5953297A
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Inventor
Yasuo Kamei
康夫 亀井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21BMANUFACTURE OF IRON OR STEEL
    • C21B13/00Making spongy iron or liquid steel, by direct processes
    • C21B13/10Making spongy iron or liquid steel, by direct processes in hearth-type furnaces
    • C21B13/105Rotary hearth-type furnaces

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Abstract

(57)【要約】 【課題】還元反応を促進して生産効率を高めながら、還
元鉄の再酸化および塊成化物の炉床耐火物との固着を防
止することができる還元鉄の製造方法。 【解決手段】下記からまでの工程を特徴とする酸化
鉄が主成分の粉状鉄原料から高温還元によって還元鉄を
製造する方法。粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを混合
して塊成化し、この塊成化物の表面を粉状固体還元剤で
被覆し、図の(b) に示す塊成化物を作る工程、被覆し
た塊成化物を還元炉内へ装入して、その炉床上に塊成化
物の層を形成する工程、還元炉内へ燃料と酸素含有ガ
スを吹き込み、その吹き込んだ燃料および塊成化物から
発生する可燃性ガスを炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスに
より燃焼させ、炉内温度を1100℃以上に昇温して維持
し、塊成化された粉状鉄原料を還元する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高温還元によっ
て酸化鉄を主成分として含む粉状の原料、即ち、粉状の
鉄鉱石や製鉄所で発生する鉄分を含んだダスト、スラッ
ジ、スケール等(この明細書ではこれらを総称して「粉
状鉄原料」と記す)から還元鉄を効率よく製造する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気炉による鋼材の製造が盛んに
なるにつれて、その原料として用いる鉄源を鉄鉱石の固
体還元によって得る技術が注目されている。その技術の
代表的なものとしては、粉状の鉄鉱石と、同じく粉状の
固体還元剤とを混合して塊成化物、いわゆる「ペレッ
ト」となし、これを高温に加熱することで鉄鉱石中の酸
化鉄を還元して固体状金属鉄とする技術がある(例え
ば、米国特許第3,443,931 号明細書、特開平7-238307
号公報) 。
【0003】上記米国特許第3,443,931 号明細書に開示
されている粉状鉄鉱石の還元プロセスは、概略、次の工
程からなる。
【0004】1)石炭、コークス等の固体還元剤と粉状
の鉄鉱石とを混合して、生ペレットを作る。
【0005】2)この生ペレットを、ぺレツト内から発
生する可燃性揮発成分が発火しない程度の温度域に加熱
して付着水分を除去する。
【0006】3)得られた乾操ペレットを高温還元して
金属化を進める。
【0007】4)金属化したペレットを冷却してから炉
外へ排出する。
【0008】一方、前記の特開平7-238307号公報で提案
されている発明は、上述した米国特許第3,443,931 号明
細書に開示されている方法における還元所要時間の短縮
を意図したものである。その特徴は、ペレツトを炉内に
装入してからしばらくの間は装入ペレット表面へ酸素含
有ガスを供給し、ペレット内から発生する可燃性物質を
積極的に燃焼させ、その燃焼熱によってペレットの表面
温度を速やかに還元適正温度にまで昇温させる、という
点にある。
【0009】しかしながら、上述のような従来の還元鉄
の製造方法には、次のような問題点がある。即ち、前記
米国特許第3,443,931 号明細書に開示されている方法で
は、粉状鉄鉱石と国体還元剤とを混合して得られたペレ
ットを還元炉内で還元する際、炉内の雰囲気調整あるい
はバーナーの燃焼条件によっては、一度還元されて金属
化した還元鉄の表面が、再酸化してしまうことがある。
また、ペレットの乾燥から還元終了までの所要時間が長
く、生産効率が低い。
【0010】塊成化物の還元反応は温度が高いほど速く
進むので、還元反応速度を高めて生産性を向上させるた
めには、塊成化物の昇温速度を大きくし、速やかに所定
の温度まで到達させることが肝要である。そこで、前記
の特開平7-238307 号公報で提案される方法では、ペレ
ットを炉内に装入してからしばらくの間は装入ペレツト
の表面に酸素含有ガスを供給して、ペレット内から発生
する可燃性物質を積極的に燃焼させ、その燃焼熱によっ
てベレットの表面温度を速やかに還元適正温度にまで昇
温させる、としている。
【0011】前記の特開平7-238307 号公報の方法で
は、ペレット表面に酸素含有ガスを供給しても、ペレッ
ト内部から発生する可燃性ガスが優先的に酸素と反応し
て燃焼するため、還元には支障が無いとしているが、実
際にはペレット内部からの可燃性ガスの量が変化し、そ
の変化量の把握が困難なため、酸素含有ガスが過剰とな
ると還元反応が阻害されたり、さらには既に還元された
金属鉄の再酸化を招く。
【0012】即ち、還元剤として主として石炭を使用し
た場合、揮発性可燃成分の発生が終了した後は、このよ
うな塊成化物表面への酸素含有ガスの供給は再酸化をも
たらすため還元速度向上の効果は期待できない。
【0013】更に、塊成化物の還元にあたっては、炉床
の耐火物と塊成化物中の脈石成分等が反応して、塊成化
物が炉床耐火物に固着し、還元鉄の炉外への排出が困常
になるという現象が見られる。このような現象が度重な
ると炉床耐火物が劣化し、耐火物を張り替える必要が生
じ、炉の修理費の増大および稼働率の低下という不利を
招く。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の粉状
鉄原料から還元鉄を製造する方法における前述の欠点の
ない方法の開発を課題としてなされたものである。本発
明の具体的な目的は、還元反応を促進して生産効率を高
めながら、還元鉄の再酸化および塊成化物の炉床耐火物
との固着を防止することができる新しい還元鉄の製造方
法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記から
までの工程を特徴とする酸化鉄が主成分の粉状鉄原料か
ら高温還元によって還元鉄を製造する方法、を要旨とす
る。
【0016】 粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを混合
して塊成化し、この塊成化物の表面を粉状固体還元剤で
被覆する工程、 被覆した塊成化物を還元炉内へ装入して、その炉床
上に塊成化物の層を形成する工程、 還元炉内へ燃料と酸素含有ガスを吹き込み、その吹
き込んだ燃料および塊成化物から発生する可燃性ガスを
炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスにより燃焼させ、炉内温
度を1100℃以上に昇温して塊成化された粉状鉄原料を還
元する工程。 本発明方法の望ましい実施態様として、
下記の方法を単独で、または幾つか組み合わせて採用す
ることができる。
【0017】〔望ましい態様1〕粉状固体還元剤の中
に、脱硫剤を添加する。
【0018】〔望ましい態様2〕粉状鉄原料と粉状固体
還元剤のいずれか一方、または両方に水もしくはバイン
ダーまたはその両者を添加する。
【0019】〔望ましい態様3〕前記の工程におい
て、固体還元剤から可燃性揮発成分が発生している期
間、塊成化物層の表面に酸素含有ガスを供給し、塊成化
物から発生する可燃性揮発成分を塊成化物の表面部で燃
焼させて塊成化物の昇温を促進する。
【0020】〔望ましい態様4〕前記の工程におい
て、塊成化物の表面に固体還元剤の炭素物質が残存して
いる期間、燃料と酸素含有ガスのいずれか一方または両
方を塊成化物層の表面に供給する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、前記のからまでの
一連の工程を特徴とするものであるが、なかでも塊成化
物(ペレット)の表面を粉状固体還元剤で被覆すること
を大きな特徴とする。そうすることによって塊成化物の
昇温速度を上げて還元反応を促進し、しかも還元鉄の再
酸化および炉床耐火物との固着を防止することが可能に
なる。
【0022】以下、本発明方法を、工程順に詳しく説明
する。
【0023】1.の工程について これは「粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを混合して塊成
化し、この塊成化物の表面を粉状固体還元剤で被覆する
工程」である。
【0024】ここで「粉状鉄原料」とは「酸化鉄が主成
分の粉状の鉄原料」であり、具体的には、粉状の鉄鉱
石、前記の製鉄所排出酸化物などである。本発明方法に
おいては、これらを単独で、または2種以上の混合物状
態で使用することができる。なお、この粉状鉄原料は、
200 メッシュ(74μm)以下が約80%程度のものが望まし
い。さらに望ましくは 325メッシュ(44 μm)以下が約80
%程度のものがよい。
【0025】次に「粉状固体還元剤」とは、石炭、木
炭、コークス(石油コークス含む)等の、主に炭素を含
む固体物質の粉末である。これらも単独で、または2種
以上組み合わせて使用することができる。粒度は 200メ
ッシュ(74 μm)以下が約80%程度であることが望まし
い。
【0026】塊成化物の表面の被覆も上記の粉状固体還
元剤を使用して行う。この被覆層の厚さは 0.5mm程度あ
ればよい。
【0027】塊成化物の形状と大きさは、昇温と還元が
効率的に進むように適宜定めればよい。通常のぺレット
と同等の形状でも差し支えはない。なお、塊成化および
塊成化後の表面被覆には、従来から使用されていディス
ク型ペレタイザーのような装置を用いて行えばよい。
【0028】図1は、従来の方法で使用していた塊成化
物 (a)と、本発明方法で使用する塊成化物(b) の断面を
模式的に示す図である。後者は、粉状鉄原料と粉状固体
還元剤の混合物1の表面に粉状固体還元剤の被覆層2を
有する。
【0029】2.の工程について これは、前記の工程で被覆した塊成化物を還元炉内へ
装入して、その炉床上に塊成化物の層を形成させる工
程、である。ここで使用する還元炉の形式には特に制約
はない。ただし、作業性および生産性の面からは回転炉
床形式の炉が推奨される。還元炉の炉床上には、塊成化
物を1〜2層に敷く程度が好ましい。
【0030】塊成化物の装入に先立って、必要があれ
ば、乾燥処理を行う。これによって塊成化物の強度が増
し、ハンドリングが容易になる。
【0031】3.の工程について これは、塊成化された粉状鉄原料を還元する工程であ
る。即ち、上記の「粉状の固体還元剤で被覆された塊成
化物」を還元炉内へ装入して炉床上に層を形成し、これ
を還元することによって、先に述べた従来の方法におけ
る再酸化のおそれなく速やかに還元ができる。のみなら
ず、還元鉄の炉床耐火物への固着も防止することができ
る。
【0032】本発明方法では、塊成化物の表面が粉状の
固体還元剤(炭素質物質)で被覆されているので、塊成
化物周囲の雰囲気中に酸素あるいは二酸化炭素 (CO2)
が存在していても、表面を被覆している炭素がそれらと
優先的に反応するため、従来の方法で問題になっていた
一度還元されて得られた還元鉄の再酸化を効果的に防止
できるのである。
【0033】更に、本発明方法によれば、塊成化物の表
面が耐火物に固着しない炭素質で被覆されており、この
炭素質の被覆層の炉床に接触する部分はガス化しにくい
ために還元終了後も残留する。従って、従来の方法では
還元途中に起きやすかった還元鉄と炉床耐火物との固着
という問題も解消される。
【0034】本発明方法においては、還元炉内温度の上
昇は、炉内へ吹き込んだ燃料および塊成化物から発生す
る可燃性ガスを、吹き込んだ酸素含有ガスによって燃焼
させることによって行う。この「塊成化物から発生する
可燃性ガス」とは、塊成化物に混合した固体還元剤およ
び塊成化物の表面に被覆した固体還元剤から発生する可
燃性揮発成分、ならびに酸化鉄が還元される過程で発生
する一酸化炭素(CO)である。
【0035】炉内へ吹き込む「酸素含有ガス」として
は、空気または「酸素濃度が空気と同等あるいは空気組
成よりも若干富に調整されたガス」を使用するのが良
い。
【0036】高温還元を行うための炉内温度は、1100℃
以上とする。1100℃を下回る温度域(但し、900 ℃以
上)でも還元は進行するが、このような温度域では還元
速度が遅くて工業生産には好ましくない。酸化鉄の還元
中は吸熱反応によって塊成化物の温度が炉内の温度より
も低くなるから、十分に速い還元速度を得るためには炉
内温度を1200〜1400℃程度に維持することが望ましい。
【0037】ただ、この炉内温度は還元の進行状況ある
いは使用する粉状原料や固体還元剤の性状、混合割合な
どにより変化させるべき性質のものである。
【0038】即ち、混合原料の炉内装入後間もない期間
では、塊成化物の温度が低いので炉内温度を高めに保持
して塊成化物の急速な昇温を図るようにした方が還元の
促進には有利である。また、原料鉱石の脈石や石炭中の
灰分の組成によって、それらの融点が変化するので、そ
れに応じて炉内温度を制御し、還元進行中に溶解して流
れ出さないように留意すべきである。但し、塊成化物内
における適度な量の融液の生成は伝熱、反応促進の両面
で良好な結果をもたらすので、むしろ積極的に活用すべ
きである。
【0039】還元に必要な加熱保持時間は、大まかには
実験室規模の試験で想定される還元時間を目安とするこ
とができるが、操業条件により好適時間も異なってくる
ので操業実績を重ねることにより最適な還元所要時間を
把握することが推奨される。
【0040】以上、からまでの工程で所定の金属化
率の還元鉄が製造された時点で、塊成化物を炉外へ排出
する。この排出時における塊成化物の内部温度が1170℃
以上であると、塊成化物内に融液が存在する可態性があ
り、排出作業に支障を来す恐れがあるので、炉外へ排出
する前に塊成化物の内部温度が1170℃を下回るように加
熱を停止しておくことが望ましい。
【0041】なお、短時間で塊成化物の内部温度を1170
℃未満にまで下げる手段としては、常温の還元ガスや窒
素等の不活性ガスを塊成化物表面に吹き付ける方法や塊
成化物表面を水冷板に接触させる方法、等が利用でき
る。
【0042】次に、本発明方法の望ましい実施態様につ
いて説明する。
【0043】〔望ましい態様1〕前述の「固体還元剤」
の中には硫黄が含まれていることが多く、また、粉状鉄
原料の中の鉄鉱石にも若干ながら硫黄が含まれている。
この硫黄が製品の還元鉄中に高濃度で残留すると、製品
の品位を低下させ、その還元鉄を用いて電気炉等で製鋼
する際に、脱硫剤を大量に使用しなければならなくな
る。しかし、還元鉄の中の硫黄が、脱硫剤と結合して存
在するならば、製鋼工程での脱硫剤の使用量は少なくて
すむだけでなく、脱硫反応も促進される。
【0044】上記のような効果を得るために、本発明方
法においては、固体還元剤の中に石灰石、生石灰、焼石
灰、ドロマイト、軽焼ドロマイト等の脱硫剤を添加する
ことが推奨される。これらの脱硫剤は、固体還元剤およ
び鉄鉱石中の硫黄と結合し、最終的には製品還元鉄の中
に残るが、前記のように、後の製鋼工程において効率的
に除去される。なお、この脱硫剤の添加は、還元炉の排
ガス中の硫黄濃度を低げる効果もあり、環境対策の面で
も有利となる。脱硫剤の添加量は、脱硫剤の種類ならび
に固体還元剤および鉄鉱石の硫黄含有量によって決定す
ればよい。
【0045】〔望ましい態様2〕粉状鉄原料と粉状固体
還元剤を混合して塊成化する場合、塊成化を容易にする
目的で、そのいずれか一方または両方に、水または/お
よびバインダーを添加してもよい。バインダーとして
は、ベントナイト、石灰等の無機系のものおよびタール
等の有機系のものの何れをも使用できる。これらのバイ
ンダーの添加量は、その種類に応じて決定される。ただ
し、無機系バインダーが過多になると製品還元鉄中の脈
石量が増えて還元鉄の品位が低下し、また、有機系バイ
ンダーの過剰使用はコスト高になるので、必要最小限に
とどめるべきである。水をバインダーとして添加した場
合は、塊成化物の強度を維持しハンドリング時の崩壊を
防ぐために、塊成化後に乾燥するのが望ましい。
【0046】〔望ましい態様3〕還元炉に装入された塊
成化物中の粉状鉄原料(酸化鉄)の還元時間を短縮する
ためには、塊成化物の内部温度を還元適正温度まで速や
かに昇温することが望ましい。そのためには、塊成化物
の加熱に当たって塊成化物から発生する可燃性ガスを塊
成化物の表面で燃焼させ、その燃焼熱をも利用して加熱
するのが望ましい。
【0047】加熱により石炭等の固体還元剤から可燃性
揮発成分がガス状態で発生し、また、粉状鉄原料(酸化
鉄)が固体還元剤により還元されるときにCOガスも発
生する。これらが炉内の空間に拡散してから燃焼するよ
りも、受熱面である塊成化物の表面で燃焼する方が塊成
化物の加熱には有利である。この塊成化物の表面での燃
焼は、固体還元剤から可燃性揮発成分がガス状で発生し
ている期間中に、空気等の酸素含有ガスを塊成化物の表
面に吹き付けることによって行わせることができる。上
記の期間中に限るのは、この期間を過ぎると可燃性ガス
の発生量が大きく低下するので、還元鉄の再酸化の可能
性が大きくなるからである。
【0048】上記の可燃性ガスの発生量は経時的に変化
する。従って、塊成化物の表面に吹き付ける酸素含有ガ
ス量が過剰になってしまうことによる還元反応の阻害お
よび還元鉄の再酸化が懸念される。しかし、本発明方法
では、塊成化物の表面が粉状還元剤である炭素質の層で
被覆されているので、酸素含有ガス量が過剰になっても
還元の進行の妨げにはならず、また再酸化を来すおそれ
もない。
【0049】上記の塊成化物表面への酸素含有ガスの供
給は、炉床上に塊成化物の層を形成した直後に行うこと
を基本とするが、可燃性ガスの発生を見計らってから供
給しても構わない。なお、塊成化物の昇温速度を向上さ
せるため、可燃性ガスの燃焼に必要な酸素量を確保した
上で酸素含有ガスと燃料を同時に使用しても差し支えは
ない。
【0050】可燃性ガスの発生が終了した後は、炉内温
度が1100℃以上になるように、望ましくは1200〜1400℃
以上になるように、バーナーによって加熱すれば良い。
これにより炉内で酸化鉄の還元が速やかに進行し、還元
鉄が製造される。
【0051】〔望ましい態様4〕前記のように、酸素含
有ガスを塊成化物表面に吹き付けると、還元反応の阻害
および還元された酸化鉄の再酸化が懸念される。これを
防止するために、前掲の特開平7-238307 号に開示され
る方法では、酸素含有ガスを塊成化物表面に吹き付ける
のは、固体還元剤から生じる可燃性揮発成分の発生期間
(還元率が30%に達するまでの期間) に限っている。し
かし、本発明方法では、塊成化物の表面が炭素質で被覆
されているため、そのような再酸化の問題はなく、かつ
塊成化物表面に炭素質が存在している間は再酸化や還元
阻害を来すことなく、塊成化物表面近くでバーナーによ
る燃料燃焼を実施することが可能であり、従来法より速
やかに昇温することが可能である。即ち、本発明方法の
望ましい態様として、「炉内の塊成化物表面に固体還元
剤の炭素物質が残存している期間、炉内に吹き込んだ燃
料と酸素含有ガスのいづれか一方或いは両方を塊成化物
表面へ供給すること」が挙げられる。この方法によっ
て、還元反応が促進され、高い生産性を得ることが可能
となる。
【0052】
【実施例】以下、実施例によって本発明の効果を具体的
に説明する。
【0053】表1および表2に示す組成の粉状鉄原料、
粉状固体還元剤としての粉状石炭を準備した。なお、鉄
鉱石Aおよび鉄鉱石Bの中の酸化鉄の主要な形態はそれ
ぞれヘマタイト(Fe203)とマグネタイト(Fe304)であ
る。表3に鉄原料および石炭の粒度構成を示す。また、
原料配合の種類を表4に示す。表4中に示されるバイン
ダーとしては有機系のバインダーであるタール系バイン
ダーを使用した。
【0054】上記の鉄原料と粉状石炭剤の混合物をパン
型ペレタイザーで直径18mmの生ペレットに成形し、表面
被覆を行うものは別のパン型ペレタイザーに移して同じ
粉状石炭を約 0.5mmの厚さに被覆した。
【0055】その後、115 ℃に加熱して水分を90%以上
除去した乾燥ペレットとして用いた。また、乾操せずに
還元炉で使用するケースについても比較のため検討し
た。なお、この実施例では後述の高温加熱還元試験炉を
使用したため、塊成化物を乾操してから使用したが、例
えば回転炉床炉を使用する場合では、急速加熱による水
分の蒸発による塊成化物の崩壊を防止するため、炉内温
度分布をコントロールすることが可能であり、そのよう
な場合では、塊成化物の乾操は必須ではない。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】図2に実施例で使用した小型の高温加熱還
元試験炉3を示す。 (a)は長手方向の断面概略図であ
り、(b) はそのA−A矢視断面図である。この試験炉を
用いて、炉内平均温度を1300℃とし、表5に示す種々の
条件で還元試験を行った。塊成化物のベッド6の厚さは
塊成化の粒子1個分とした。なお、ここで言う「炉内平
均温度」とは、塊成化物表面への酸素含有ガスの直接吹
き付けを停止して以降の炉内空間部の平均ガス温度であ
る。
【0061】
【表5】
【0062】図2に示す高温加熱還元炉3にはバーナー
が上下2段に設置されている。上段のバーナー5は炉内
の温度を所定温度に維持するための加熱バーナーであ
る。下段のバーナー4は、固体還元剤から可燃性揮発成
分が発生している期間または/および塊成化物表面が炭
素質で被覆されている間に、酸素含有ガス、または酸素
含有ガスと燃料を塊成化物の表面に吹き付けるためのも
のである。表5の試験番号5〜8でこのバーナーを使用
した。なお、この試験では、炉内へ吹き込む「酸素含有
ガス」として「空気」を使用した。
【0063】図2に示す試験炉は固定式であるためバー
ナーを上下2段に設置したが、実操業で使用する回転炉
床炉の場合には、必ずしも2段にする必要はなくて1段
でもよい。即ち、回転炉床炉では、塊成化物表面に酸素
含有ガスや燃料を吹き付けたい区間に設置するバーナー
の角度を調整して、塊成化物のベッド方向に向けておけ
ばよい。また、実操業の場合には、炉内へ吹き込む酸素
含有ガスは排ガスと熱交換して約 500〜600 ℃程度に予
熱してから吹き込むのが有利である。
【0064】さて、この試験では、金属化率の目標値を
92 %と設定し、この目標値を達成できる還元時間を測
定した。その結果を前記表5に併せて示す。
【0065】試験は、まず、「試験番号1」の条件で実
施した。この試験は粉鉄鉱石と粉状固体還元剤とを混合
して塊成化(ぺレット化)し、さらに乾燥して使用する
従来の方法によるものである。即ち、ペレットの断面
は、図1の (a)に示すようなものである。この場合の還
元時間(金属化率が約 92 %に達するまで炉内に置いた
時間)は10分間であった。
【0066】試験番号2から試験番号8までが本発明方
法の実施例である。これらで用いたペレットは、いずれ
も図1の(b) に示すような断面を持つ粉状還元剤で被覆
したものである。
【0067】試験番号2は、本発明方法の基本プロセス
の実施例である。試験番号1の結果と比較すると、還元
所要時間が同じ10分で、金属化率は 93.5 %と高い値が
得られた。これは炉内で一旦還元されて得られた還元鉄
の再酸化を効果的に防止できたためと考えられる。ま
た、還元鉄と炉床耐火物との固着現象は、試験番号1で
は若干観察されたが、試験番号2では全く観察されなか
った。
【0068】試験番号3は、粉状の固体還元剤の中に、
脱硫剤として石灰石を添加した前述の「望ましい態様
1」の例である。
【0069】還元鉄中の硫黄濃度は、試験番号2の0.20
%に対して、試験番号3では0.24%と若干高い値となっ
た。これは、試験番号2では硫黄の一部が揮発して排ガ
ス中に拡散して行ったのに対し、試験番号3ではこの排
ガス中に拡散していく硫黄が脱硫剤に補足されたためで
ある。しかし この還元鉄中の硫黄の存在形態を調査し
た結果、試験番号2では硫黄が鉄原子と結びついている
のに対し、試験番号3では硫黄はカルシウム原子と結び
ついているのが確認された。従って、還元鉄を電気炉な
どで溶解して溶鋼を製造する湯合、試験番号2で製造さ
れた濃元鉄を使用する場合に比較すると、脱硫剤が少な
くて済むことになる。
【0070】試験番号4は、粉状鉄鉱石と粉状石炭との
混合時にバインダーを添加したものであり、前記の「望
ましい態様2」に相当する例である。バインダーを添加
することにより、ペレタイザーを出てから乾燥工程を経
て還元炉へ装入されるまでの粉の発生率は大きく低減
し、バインダー添加の効果が確認できた。また、排ガス
中に含まれるダスト量の、炉内へ装入したペレットの総
量に対する割合(ダストロス割合)は、試験番号3では
0.4%であったのに対し、試験番号4では 0.2%に低減
し、原料の飛散ロスと粉塵発生量の低減に効果があるこ
とが確認された。
【0071】試験番号5は、先に述べた「望ましい態様
3」に相当する例である。即ち、還元炉の炉床上に形成
したペレット層の高温還元に当たり、固体還元剤からの
可燃性揮発成分の発生がほぼ終了するまでは、酸素含有
ガスの供給を上記塊成化物の表面へも行って可燃性ガス
をペレット表面部で燃焼させた。その結果、8分の還元
所要時間で、同10分の試験番号4と同じ金属化率が得ら
れた。即ち、この方法が、ペレットの昇温を早めて還元
所要時間を短縮するのに有利であることが確認された。
【0072】試験番号6は、炉内のペレット表面に被覆
した炭素物質(粉状石炭)が残存している期間、炉内に
吹き込む燃料と酸素含有ガスの両方をペレット表面へ供
給した例で、前述の「望ましい態様4」の例である。こ
の例では、還元所要時間6分と、試験番号5よりもさら
に2分短縮された時間で、同等の金属化率が得られてい
る。
【0073】試験番号7の試験条件は、試験番号6と同
じであるが、粉状鉄原料として表1の鉄鉱石Bを使用し
た試験である。この場合の還元時間は 5.5分間であっ
た。この還元時間は、試験番号6と比較すると若干短
い。その理由は、マグネタイトとへマタイトの金属鉄ま
での還元反応は何れも吸熱反応であるものの、鉄1キロ
モル当たりの反応熱は、マグネタイトの方が約 4760 kc
al少ないために、ペレット内の温度低下が少なくて済
み、その結果、還元反応が促進されたことにあると考え
られる。
【0074】試験番号8は、表1に示した製鉄所ダスト
とミルスケールをブレンドしたものを鉄原料として使用
した例である。この例では、還元時間約5分と、試験番
号7より若干短い時間でほぼ同じ金属化率になってい
る。ダストとミルスケールの混合物はやや粗粒であるの
に還元所要時間が余り変わらないのは、これらの主成分
が FeOであるので、Fe203 に比較すれば、既に約30%は
還元されていることになり、金属鉄までの還元量が少な
くて済むこと、および FeOから金属鉄までの鉄1キロモ
ル当たりの反応吸熱量はヘマタイトに比較して約 20590
kcal 少ないためにペレット内の温度低下が少なくて済
み、その結果として還元反応速度が促進されたこと、に
よるものと考えられる。なお、試験番号8で用いた製鉄
所ダストには亜鉛(Zn)が含まれているが、このときの
脱亜鉛率は92%であり、本発明方法による脱亜鉛効果も
確認できた。
【0075】
【発明の効果】本発明方法によれば、酸化鉄を主成分と
して含有する粉状原料から、還元鉄を効率よく、従っ
て、低コストで製造することができる。具体的には次の
ような大きな効果がある。
【0076】(1)炉内における還元鉄の再酸化を効果
的に防止でき、品質の良い還元鉄を得ることができる。
【0077】(2)再酸化および還元反応阻害を伴うこ
となく、塊成化物を速やかに昇温させ、還元を促進でき
るので、生産性向上が可能である。
【0078】(3)還元鉄の炉床耐火物への固着を防止
でき、安定操業を実現できるので、炉の稼働率を上げる
ことができ、かつ耐火物修理費を節減できる. (4)亜鉛を含むダストを原料に使用した場合には、製
品の還元鉄中に亜鉛が残留して製品価値が低下すること
が懸念されるが、本発明方法では、炉内が高温のため亜
鉛のような低沸点金属は還元蒸発して排ガスと共に炉外
へ排出されるのでこれら低沸点金属の製品中への残留量
を低くすることができ、製品還元鉄の品位を上げること
ができる。更に、集塵設備で捕集されるダストにはこれ
ら低沸点金属が濃縮されるため、これを回収して利用す
ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は従来の還元鉄の製造方法で使用する塊成
化物(ペレット)、(b) は本発明方法で使用する塊成化
物の、それぞれ模式的な断面図である。
【図2】実施例で使用した高温加熱還元試験炉を示す図
で、 (a)は長手方向の断面概略図、(b) はそのA−A矢
視の断面概略図である。
【符号の説明】
1…塊成化物(ペレット)、2…粉状固体還元剤の被覆
層、3…高温加熱還元試験炉、4…下段バーナー、5…
上段バーナー、6…塊成化物の層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記からまでの工程を特徴とする酸化
    鉄が主成分の粉状鉄原料からの還元鉄の製造方法。 粉状固体還元剤と粉状鉄原料とを混合して塊成化
    し、この塊成化物の表面を粉状固体還元剤で被覆する工
    程、 被覆した塊成化物を還元炉内へ装入して、その炉床
    上に塊成化物の層を形成する工程、 還元炉内へ燃料と酸素含有ガスを吹き込み、その吹
    き込んだ燃料および塊成化物から発生する可燃性ガスを
    炉内へ吹き込んだ酸素含有ガスにより燃焼させ、炉内温
    度を1100℃以上に昇温して塊成化された粉状鉄原料を還
    元する工程。
  2. 【請求項2】粉状固体還元剤の中に、脱硫剤を添加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の還元鉄の製造方法。
  3. 【請求項3】粉状鉄原料と粉状固体還元剤のいずれか一
    方、または両方に水もしくはバインダーまたはその両者
    を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の
    還元鉄の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記の工
    程において、固体還元剤から可燃性揮発成分が発生して
    いる期間、塊成化物層の表面に酸素含有ガスを供給し、
    塊成化物から発生する可燃性揮発成分を塊成化物層の表
    面部で燃焼させて塊成化物の昇温を促進することを特徴
    とする請求項1から3までのいずれかに記載の還元鉄の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記の工
    程において、塊成化物の表面に固体還元剤の炭素物質が
    残存している期間、燃料と酸素含有ガスのいずれか一方
    または両方を塊成化物層の表面に供給することを特徴と
    する請求項1から4までのいずれかに記載の還元鉄の製
    造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002064844A1 (en) * 2001-02-14 2002-08-22 Kawasaki Steel Corporation Method for producing sponge iron, and reduced iron powder and method for production thereof
JP2002249813A (ja) * 2001-02-21 2002-09-06 Kobe Steel Ltd 回転炉床式還元炉の操業方法
JP2012017526A (ja) * 2011-09-14 2012-01-26 Kobe Steel Ltd 回転炉床式還元炉の操業方法

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