JPH10251039A - 部品用光ファイバの製造方法 - Google Patents

部品用光ファイバの製造方法

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JPH10251039A
JPH10251039A JP7280497A JP7280497A JPH10251039A JP H10251039 A JPH10251039 A JP H10251039A JP 7280497 A JP7280497 A JP 7280497A JP 7280497 A JP7280497 A JP 7280497A JP H10251039 A JPH10251039 A JP H10251039A
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大一郎 田中
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Koichi Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな曲率を有する部品用光ファイバの簡単
な製造方法を提供する。 【解決手段】 石英ガラス系のファイバ母材を用意し、
この母材の一側面の長さ方向に沿って石英ガラスの粘度
を低下させる元素の化合物の飽和水溶液、例えばNaC
lを塗布し、これを乾燥する。その後、この母材を加熱
炉を用いて一端から溶融線引きしてファイバ化しボビン
に引き取る。ファイバの引取張力は、Naによって粘度
が低下した側と反対側が受けることとなり、それが解放
されたときにはファイバはNaが塗布された側に所定の
曲率をもって曲げられることとなるので、この曲げられ
た側が内側になるようにしてボビンに巻き取り、部品フ
ァイバとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光増幅器などの
いわゆる光部品に用いられる石英系の光ファイバに関す
るものであり、特に、小径に光ファイバを巻いた場合で
も好適なものを提供する。
【0002】
【従来の技術】エルビウムドープファイバや分散補償フ
ァイバ、PANDA型光ファイバなどの光ファイバ型の
部品は小型化のために通常、小径のボビンに巻かれて使
用される。しかしながら、小径にすればするほど巻かれ
た光ファイバの外側表面には大きな引張り方向の機械的
ストレスが加わるために破断しやすく、機械的な信頼性
に乏しかった。また、この断面方向の不均一な歪は光フ
ァイバの構成材料である石英ガラスに異方性をもたら
し、PDL(偏波依存損失)特性を劣化させる原因とな
っていた。ところで、機械的な信頼性を確保する方策と
して、これまでは光ファイバの表面にカーボンをコーテ
ィングすることでn値(光ファイバの疲労係数)を大き
くとり破断に至るまでの寿命を長くする手法が採られる
ことがあった。このほかにも光ファイバの外径を通常の
125μmよりも小さくし歪の低減を図る手法を採るこ
ともあった。また、PDL特性劣化防止のためには、巻
き半径をある程度大きく保つか、光ファイバの外径を通
常の125μmよりも小さくするという手法が採られて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
光ファイバの表面にカーボン膜を形成する手法では、カ
ーボン膜にピンホールが生じていると、その部分のn値
は通常の光ファイバのそれと何等変わらずピンホールの
箇所で機械的破断までの寿命を短くしてしまうというこ
とがあった。また、この手法では石英ガラス内の歪は全
く低減されていないため、PDL特性劣化の観点からは
何等対策となっておらず、小径に巻いた場合にPDL特
性は通常の光ファイバと同様に悪化してしまうというこ
とがあった。さらに、光ファイバの外径を通常の125
μmよりも小さくする手法、例えば80μmにした場
合、断面積は(80/125)2 に減少するので光ファ
イバの引張り強度自体が約6割程低下してしまうという
問題がある。さらにまた、PDL特性劣化防止のために
巻き半径を大きく採ると小型化に限界がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、以上の観点
から、ファイバの製造段階で所定の曲率半径を有するも
のを得、以て、リールに巻いたときの機械的ストレスの
軽減及び光ファイバの断面方向の不均一な歪の発生を小
さくしたもので、その特徴とする請求項1記載の発明
は、石英ガラス系光ファイバ母材を溶融線引きしてファ
イバ化するに際して、線引き直後のファイバの一側面の
温度分布が対向側面のそれと異なるようにして線引きす
ることにある。また、その特徴とする請求項2記載の発
明は、石英ガラス系光ファイバ母材を溶融線引きしてフ
ァイバ化するに際して、前記母材としてその一側部に石
英ガラスの粘度を低下させる添加物を添加したものを用
いることにある。さらにその特徴とする請求項3記載の
発明は、石英ガラス系光ファイバ母材を溶融線引きして
ファイバ化するに際して、前記母材としてその一外側面
に拡散速度が速く石英ガラスの粘度を低下させる元素を
含む化合物を付着させたものを用いることにある。な
お、必要に応じてこれら請求項1〜3の発明の少なくと
も2つを選択し、組み合わせて実施することもできる。
【0005】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の部品用光ファ
イバの製造方法の一例を示したもので、1は石英系光フ
ァイバ母材、2はこれを一端から溶融線引きする加熱
炉、3は溶融線引きされた直後のファイバ、4はこの溶
融線引きされた直後のファイバの一方の側面から送り込
まれる冷却気体で、その温度は5℃程度、気体の種類と
してはヘリウムガス、窒素ガスなどがあげられる。この
冷却気体4を受けたファイバの一側面が他方の側面より
も冷やされるために、この冷やされた側が早く固化して
引取張力をこの部分が受けることとなり、最終的にこの
引取張力が解放された段階でファイバはこれと反対側に
曲げられるので、この曲げられる側が内側になるように
してボビンに巻き取る。曲率半径の程度は線引き速度、
冷却気体の温度、その種類によって異なるが、これらを
適宜調整することで任意の曲率半径を持ったものを得る
ことができる。
【0006】こうして得られた所定の曲率半径を持つフ
ァイバをボビンに巻くことで部品用ファイバとするが、
予め曲げられているのでその曲率半径よりも小さな曲率
半径のボビンに巻いても曲げられる程度が相対的に小さ
くてすむので、ファイバ表面に生じるストレス及び歪を
小さく抑えることができ、機械的な信頼性に優れたもの
となるとともにガラス内の歪も同時に低減できPDL特
性劣化をも同時に抑制できる。なお、用いられる光ファ
イバの外径は典型的には125μmとされるが、それよ
りも小さく、例えば80μm程度とすることもできる。
その場合、断面積が小さいため機械的な強度そのものが
小さいが、曲率半径をそれほど小さくとることをしなけ
れば十分使用に供することができる。具体的な光ファイ
バの曲率半径としては、5〜30cm程度とされ、これ
を曲率半径半径2〜5cm程度のボビンにコイル状態に
巻いて部品用光ファイバとして使用する。コイル状にし
て使用される典型的な部品用光ファイバとしては、エル
ビウムドープファイバ、分散補償ファイバ、PANDA
型光ファイバ等があげられる。
【0007】図2は、この発明の他の例を説明するもの
で、予め母材1に細工をして線引きして、図示の断面構
造の光ファイバを得る方法を示す。すなわち、図2にお
いて、10は例えばGeドープ石英ガラスコア、12は
石英ガラスクラッド、20はクラッド12の一方の側部
に形成された添加部で、石英ガラスの粘度を低下させる
ドーパントが添加されてなるもので、具体的にはP,
B,Geなどがあげられる。ドーパントがPの場合、例
えばGeドープ石英ガラスコアロッドをその軸の周りに
回転させつつ外付け法でクラッドとなるSiO2 スート
層を堆積させ、その最終段階でロッドの回転を停止させ
ておいて、酸水素バーナをその軸方向にトラバースさせ
てバーナ中に供給したSiCl4 とPOCl3 を火炎加
水分解してSiO2 −P2 5 スートとして母材の長さ
方向に帯状に堆積させるといった方法で添加部を形成す
る。この場合、線引きされたファイバは添加部側が溶融
温度が低いので、それとは反対側で引取張力を受け、こ
の張力が解放されたときに添加部側に曲がることとなる
ので、この添加部側が内側になるようにしてボビンに巻
き取る。曲率半径半径の程度は添加するドーパントの種
類、濃度によって異なるが、これを適宜選択することで
任意の曲率半径とすることができる。
【0008】図3は、この発明のさらに他の例を説明す
るもので、図1と同一部分には同一符号を付してある。
図示の断面構造の光ファイバを得る方法を示す。すなわ
ち、図3において、30は母材1の一側面長さ方向に形
成された拡散速度の速い元素を含む化合物の付着部で、
例えば、NaClの飽和水溶液を塗布、乾燥させる等の
方法が採用できる。この方法によると線引き時にNaが
ファイバ中に拡散して当該部分の石英ガラスの粘度を低
下させることとなり、図2により説明した方法の場合と
同様の作用をする。
【0009】
【実験例1】直径6cmの石英系ファイバ母材を、線引
速度600m/min、引取張力100gで溶融線引き
し直径125μmのファイバとする際に、加熱炉のファ
イバ出口付近に一方の方向から5℃に冷却されたヘリウ
ムガスを毎分5リットルの流量で送風したところ、得ら
れたファイバは曲率半径6cmであった。このファイバ
は半径3cmのボビンにコイル状に巻いた場合、その表
面に生じる歪は0.1%となる。この歪は通常のほぼ真
直なファイバを同様に半径3cmのボビンにコイル状に
巻いた場合に生じる歪が約0.21%であることを考え
ると半減されたものである。
【0010】
【実験例2】直径12mmの石英ガラスロッド(Ge+
Erドープ石英ガラスコアの周りにクラッドの一部とな
る石英ガラス層が形成されてなるもの)を用意し、これ
をその軸の周りに回転させつつ、その長さ方向に沿って
酸水素バーナをトラバースさせ、クラッド用の原料ガス
であるSiCl4 を火炎加水分解させて得られるSiO
2 スートをコアロッドの周りに堆積させ、最後にロッド
の回転を停止させてSiCl4 とPOCl3 とを酸水素
バーナに供給しつつバーナを100mm/分の速度で1
回だけトラバースさせてSiO2 −P2 5 スートを帯
状に形成した。なお、このときの酸水素バーナへのSi
Cl4 とPOCl3 の供給量は前者が3リットル/分、
後者が30℃に保ったPOCl3 をArガスで1リット
ル/分でバブリングして得られる供給量とした。
【0011】こうして得られたものを透明ガラス化して
直径6cmの石英系ファイバ母材となし、これを線引速
度600m/min、引取張力100gで溶融線引きし
直径125μmのファイバとしたところ、得られた光フ
ァイバの曲率半径は6cmであった。このファイバを半
径3cmのボビンに巻いて、励起用LDと組合わせて光
ファイバ増幅器を構成した。このファイバの1.55μ
m帯の信号光の増幅特性の偏光依存性は0.01dB以
下であり、通常のほぼ真直なエルビウムドープファイバ
のそれが0.1dB程度であるのに比較して良好であっ
た。
【0012】
【実験例3】実験例1のファイバ母材の一側面長さ方向
にNaClの飽和水溶液を塗布、乾燥させ、これを線引
速度600m/min、引取張力200gで溶融線引き
し直径125μmのファイバとしたところ、得られた光
ファイバの曲率半径は6.2cmであった。このファイ
バは半径3cmのボビンに巻いた場合、その表面に生じ
る歪は0.11%となり、通常、ファイバを同半径のボ
ビンに巻いた際に生じる歪の0.21%に比べ低減され
る。
【0013】
【実験例4】実験例2の母材のPが添加されている側の
表面に実験例3の手段を施して母材とし、これを線引速
度600m/min、引取張力100gで溶融線引きし
直径125μmのファイバとしたところ、得られた光フ
ァイバの曲率半径は5.7cmであった。このファイバ
は半径2cmのボビンに巻いた場合、その表面に生じる
歪は0.20%となり、通常、ファイバを同半径のボビ
ンに巻いた際に生じる歪の0.31%に比べ低減され
る。
【0014】
【発明の効果】この発明方法は、以上のように石英ガラ
ス系光ファイバ母材の一方の側もしくはその線引き直後
のファイバの一方の側に石英ガラスの粘度を低下させる
手段を講じるという極めて簡単な方法によって、所定の
曲率半径を有するファイバを容易に得ることができるも
のであり、以て、このファイバを小さな径のボビンに巻
いても機械的強度をさほど低下させることがなく、か
つ、曲げによってファイバに生じる歪を抑制し得るので
PDL特性の劣化を抑制できるという副次的効果もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法により線引きしている状態の一
実施例の説明図。
【図2】この発明の他の方法により線引きされた光ファ
イバの断面図。
【図3】この発明のさらに他の方法により線引きされた
光ファイバの断面図。
【符号の説明】
1 石英系光ファイバ母材 2 加熱炉 3 ファイバ 4 冷却気体 10 Geドープ石英ガラスコア 12 石英ガラスクラッド 20 添加部 30 付着部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 浩一 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英ガラス系光ファイバ母材を溶融線引
    きしてファイバ化するに際して、線引き直後のファイバ
    の一側面の温度分布が対向側面のそれと異なるようにし
    て線引きすることを特徴とする部品用光ファイバの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 石英ガラス系光ファイバ母材を溶融線引
    きしてファイバ化するに際して、前記母材としてその一
    側部に石英ガラスの粘度を低下させる添加物を添加した
    ものを用いることを特徴とする部品用光ファイバの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 石英ガラス系光ファイバ母材を溶融線引
    きしてファイバ化するに際して、前記母材としてその一
    外側面に拡散速度が速く石英ガラスの粘度を低下させる
    元素を含む化合物を付着させたものを用いることを特徴
    とする部品用光ファイバの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006522366A (ja) * 2003-04-01 2006-09-28 コーニング・インコーポレーテッド 減じられたクラッド径の希土類添加ファイバコイル及びこれを利用した光増幅器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006522366A (ja) * 2003-04-01 2006-09-28 コーニング・インコーポレーテッド 減じられたクラッド径の希土類添加ファイバコイル及びこれを利用した光増幅器

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