JPH10249187A - 液状有機ハロゲン化物の処理方法 - Google Patents

液状有機ハロゲン化物の処理方法

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JPH10249187A
JPH10249187A JP7038797A JP7038797A JPH10249187A JP H10249187 A JPH10249187 A JP H10249187A JP 7038797 A JP7038797 A JP 7038797A JP 7038797 A JP7038797 A JP 7038797A JP H10249187 A JPH10249187 A JP H10249187A
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Yoshitaka Kagawa
川 義 孝 香
Yoshihiro Kagawa
川 義 博 香
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液状有機ハロゲン化物を、低廉な設備を利用で
きる比較的に低い温度条件下で、安全かつ安価に処理で
きる方法の提供。 【解決手段】液状有機ハロゲン化物に、少なくとも活性
アルミナ、生石灰、酸化マグネシウム及び酸化マンガン
を含有する鉱滓粉塵と珪酸塩と水溶性高分子と有機酸金
属塩並びに炭酸カルシウムとからなる固体化処理剤と、
水とを混合して固体化処理物となし、この固体化処理物
中にモンモリロナイト又は/及びバーミキュライトを主
成分として含有する粘土鉱物の粉末を混合し、この混合
物を120℃以上350℃以下の温度条件下で加熱処理
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状有機ハロゲン
化物を比較的に低い加熱温度の条件下で、無害化処理す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビフェニル(以下、「PCB」
という。)、トリクロルベンゼン(以下、「TBC」と
いう。)等及びこれらの混合物の液状有機ハロゲン化物
は、それ自体有害で、しかも非常に安定な化合物である
ことから、一般に、その無害化処理は極めて困難であ
る。
【0003】このため、従来より、この液状有機ハロゲ
ン化物の無害化処理については種々研究されてきたが、
現在のところ、高温下で燃焼処理する方法が一般的であ
る。この従来方法の例としては、特公平6−6177号
公報等に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の方法に
よれば、1000℃以上の高温条件下で燃焼処理する過
程が含まれる。このため、高温処理のための相当の設備
及び高い処理コストが必要となるばかりでなく、場合に
よっては猛毒のダイオキシンが発生するという危険も有
している。またこのことから、処理設備の設置場所を日
本国内に見付けることも困難な状況となっている。そこ
で、本発明は、高価な設備によらず、低廉で簡略化され
た設備によって、比較的に低い温度条件下で液状有機ハ
ロゲン化物を安全かつ安価に処理できる方法を提供する
ことを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、鋭意研究を重ねた結果、本発明では、液状有機ハ
ロゲン化物の処理方法につき、次のように構成した。即
ち、液状有機ハロゲン化物に、少なくとも活性アルミ
ナ、生石灰、酸化マグネシウム及び酸化マンガンを含有
する鉱滓粉塵と珪酸塩と水溶性高分子と有機酸金属塩並
びに炭酸カルシウムとからなる固体化処理剤と、水とを
混合して固体化処理物となし、この固体化処理物中にモ
ンモリロナイト又は/及びバーミキュライトを主成分と
して含有する粘土鉱物の粉末を混合し、この混合物を1
20℃以上350℃以下の温度条件下で加熱処理するこ
とを特徴とする。
【0006】上記した本発明の方法で処理する対象であ
る液状有機ハロゲン化物としては、PCB、TBCのほ
かこれに類するもの、及びこれらの混合物も含まれ、例
えば、かつて、トランスオイルとして使用されたものを
挙げることができる。
【0007】また、固定化処理剤は、前記したように少
なくとも活性アルミナ等を含有する鉱滓粉塵と珪酸塩と
水溶性高分子と有機酸金属塩並びに炭酸カルシウムとか
らなるものであって、特公平6−6177号公報に開示
されているものを用いることができる。つまり、鉱滓粉
塵としては、金属精練所から排出されているものを利用
することができる。この成分としては、活性アルミナ7
〜16%、生石灰38〜55%、酸化マグネシウム4〜
10%、酸化マンガン1〜5%、その他からなるものが
一般的なものである。
【0008】また、珪酸塩としては、珪酸カルシウム、
珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム・ナトリウムなどを
使用できる。また水溶性高分子としては、ポリビニルア
ルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロー
ス、ヒドロキシセルロース、メチルセルロース、エチル
セルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソー
ダ、アルキル酸ソーダ、ゼラチン、カゼインなどを使用
できる。また有機酸金属塩としては、ステアリン酸、カ
プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
リノール酸、リノレン酸、オレイン酸などの高級脂肪
酸、安息香酸、P−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、
ナフトエ酸、タンニン酸等の芳香族カルボン酸等と、ア
ルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニ
ッケル、マンガン、コバルト等の金属との塩などを使用
できる。
【0009】また、この固体化処理剤としての上記した
各成分の配合組成例としては、鉱滓粉塵50〜100重
量部(以下、単に「部」という。)、メタ珪酸マグシウ
ム・カルシウム3〜10部、水溶性高分子1〜5部、有
機酸金属塩3〜10部、炭酸カルシウム3〜10部、酸
化カルシウム3〜15部の範囲とすることが、液状有機
ハロゲン化物を迅速に固体化し得る点で好ましい。な
お、この配合割合の範囲に限定されない。
【0010】次に、液状有機ハロゲン化物の固体化処理
は、液状有機ハロゲン化物と、上記した固体化処理剤と
及び水とを常温下に混合することにより実行することが
できる。この場合、液状有機ハロゲン化物100部に対
し、固体化処理剤50〜200部及び水5〜100部の
範囲で混合するのが好ましい。この量的範囲内での各配
合物の混合であれば、液状有機ハロゲン化物を安定的に
固体化し得るからである。
【0011】上記した各配合物の混合時には、次の作用
が生じる。先ず、鉱滓粉塵中に含まれる生石灰と酸化マ
グネシウムは水とは発熱反応し、その反応系を最高20
0℃にまで上昇させるほどであるが、この際の発熱は、
固体化処理剤中の酸化珪素や酸化マンガンなどの不活性
成分によって抑制され、この混合系を約120〜150
℃の温度状態にまで低下させる。このため、180℃を
超える温度下にあって液状有機ハロゲン化物から生じる
おそれのある有毒ガスの発生はない。
【0012】また、この生石灰や酸化マグネシウムは加
水時にその発熱状態で主に水溶性高分子から水酸基の供
給を受けて、水酸化カルシウムや化マグネシウムの固体
化物に変化する。液状有機ハロゲン化物は、この固形化
物や珪酸塩のポーラスな部分に吸着される。また同時に
珪酸塩は、水和反応時のゲーレナイト反応に伴ってシラ
ンを放出してモノシロキサンを生成する。このモノシロ
キサンでは、シランを放出した一方が有機酸金属塩から
のアルキル基によって置換され、また他方は液状有機ハ
ロゲン化物からのハロゲン原子を取り込んで安定化す
る。
【0013】このモノシロキサンは冷却時に縮合してオ
ルガノハロポリシロキサンとして合成される。このオル
ガノハロポリシロキサンの表面上には前記の水酸化カル
シウムや水酸化マグネシウムがコーティング状態とな
り、さらにこれは、活性アルミナ、酸化マンガン等の非
イオン性泥質との混合時にペースト状の水和物となる。
そして、この水和反応時に珪酸塩成分とカルシウム化合
物との反応によってポゾラン化反応物となる。
【0014】このポゾラン化反応物は粉状固体として得
られ、液状有機ハロゲン化物はこの反応物中に保持され
る。このポゾラン化反応物は、それ自体水に対して不溶
性を示し、また水溶性高分子や非イオン性泥質などによ
って多重にコーティングされた状態にあり、それに保持
された液状有機ハロゲン化物は、水不溶性の状態で安定
的に保持されることになる。
【0015】また、前記した粘土鉱物としては、モンモ
リロナイト若しくはバーミキュライト、又はこれら両者
を主成分として含むものである。このモンモリロナイト
又は/及びバーミキュライトを主成分とする粘土鉱物
は、元素としてアルミニウムのほか鉄を比較的に多く含
み、さらにはマグネシウムほかを含むものである。この
ような粘土鉱物は、粘土岩等として天然に産するものを
そのまま粉砕して適用できるほか、同様の成分のものと
して人工的に得られたものを適用することもできる。な
お、粘土鉱物は純粋なものである場合モンモリロナイト
若しくはバーミキュライト自体であるものもあるが、一
般には不純物成分を含む。
【0016】この粘土鉱物については、前記した固体化
処理物中に十分に均一に混合され、その作用を有効に発
揮させるために前記固体化処理物に含まれる粉粒物以下
の粒径のもに粉砕され、好ましくは50〜150メッシ
ュ、より好ましくは80〜120メッシュの粒径に処理
することである。
【0017】この粘土鉱物の粉末は、前記固体化処理物
中に常温下に混合できる。この混合物中においてこの粘
土鉱物の粉末が均一化され、さらに120℃以上350
℃以下の温度条件下で加熱されるときには、この混合物
中に含有される有機ハロゲン化物は後記するように、か
なり高い割合で無害化処理される。
【0018】このような作用の原因は、十分に把握され
ているわけではないが、この粘土鉱物を組成する元素が
前記固体化処理物との混合状態、さらには上記した加熱
状態にあって、有機ハロゲン化物の塩素原子を取り込む
ような反応をし、このような化学反応に基いて有機ハロ
ゲン化物が分解され、あるいはその分解が助長されるも
のと考えられる。また、この際、粘土鉱物の粉末の水和
乃至溶媒和の作用も、上記した混合物中に含まれる液状
成分に対し誘引、吸着の作用をするこことによって、上
記した有機ハロゲン化物に対する分解作用を有効かつ迅
速なものとするのに寄与していると考えられる。
【0019】また、この粘土鉱物の粉末の前記した混合
物における混合量は、前記した固体化処理物100部に
対し、モンモリロナイト若しくはバーミキュライト又は
これらの混合物として5〜100部、好ましくは20〜
60部の混合量である。この粘土鉱物の粉末の混合量が
5部未満であると、有機ハロゲン化物に対する処理作用
が不十分となり、また100部を超える量となっても処
理作用の向上はあまり望めず、却って処理物の嵩が過大
となってしまうからである。
【0020】また、本発明では、前記した加熱処理に供
する混合物として、前記した固体化処理物に対し前記し
た粘土鉱物粉に加えて、さらに、前記した粘土鉱物の粉
末粒と同粒度に粉砕したイオウ粉末を加えた混合物とす
ることができる。この場合、各混合成分は常温下に混合
でき、またその混合する順序は問わず、また鉱物粉とイ
オウ粉末とを同時に混合することができる。
【0021】このイオウは、前記した加熱処理に際して
有機ハロゲン化物と反応し、有機ハロゲン化物のハロゲ
ン原子がイオウ原子と置換することによって、有機ハロ
ゲン化物は無害なフェニレンーサルフィッド樹脂に変化
するものと考えられる。この結果、有機ハロゲン化物は
無害化処理されるが、これは前記した鉱物による作用と
相乗的な効果として得られる。
【0022】このイオウの混合量は前記固体化処理物1
00部に対し10部以上50部以下であることが好まし
い。このイオウの混合量が10部未満であると、その処
理が不十分となり、また50部を超えると、イオウの溶
解物が混合物表面を覆ってしまい、有機ハロゲン化物の
気化を阻害し、処理が不完全となることがある。従っ
て、イオウに基づく処理効果を確実に発揮させるために
は、イオウの混合量が25部〜35部であることがより
好ましい。
【0023】上述した固体化処理物と粘土鉱物粉との混
合物、及び固体化処理物と粘土鉱物粉と及びイオウ粉と
の混合物のいずれについても、120℃以上350℃以
下の加熱処理を施こすことにより、これらの混合物中に
含まれる有機ハロゲン化物をより効率的に無害化処理で
きる。
【0024】なお、この加熱処理時の温度が120℃未
満であると、その分解率の低下を招き、特にイオウ粉を
含む混合物について、イオウの溶融が不十分となり、そ
の作用を十分に発揮させることができない。また、この
加熱温度が350℃を超えると、有機ハロゲン化物が分
解される前に気化してしまい、それに基因する有毒ガス
の発生のおそれがある。これらの点から、有機ハロゲン
化物に対する処理を安定的にかつ安全に実行するため
に、160℃〜300℃の温度条件下で加熱処理を行な
うことが好ましい。
【0025】また、この加熱処理のための時間は3時間
以上であれば足りる。この3時間以上の加熱処理で前記
した混合物中に含まれる相当量の有機ハロゲン化物に対
する分解作用が有効に発揮されるからである。なお、こ
の時間が15時間を超えても、それ以上の処理効率の向
上はあまり望めない。従って、経済的な処理のために
は、10〜12時間の処理時間であることが好ましい。
【0026】[実施例] (実施例1) (1) 先ず、表1に示した成分からなる金属精練に伴う
鉱滓粉塵を次表2に示す配合割合で表2に示すその他常
温(20℃)下に一時に混入して均一に混合して固体化
処理剤を得た。
【表1】
【表2】
【0027】(2) 次に、次表3に示す組成であるトラ
ンスオイルとしての液状有機ハロゲン化物を次のように
処理した。
【表3】 即ち、前記の固体化処理剤100部を小型ミキサー内に
投入し、これに常温水25部を注加し混合攪拌した。こ
の際、注水後約30秒で反応熱によりこの混合物は約1
40℃の温度状態となったのを確認した。
【0028】次いで、この直後に前記したトランスオイ
ル50部を上記混合物中に混入し、攪拌を継続した。そ
の後約4分後には、その混合物は粉体状を呈するに至っ
た。なお、この時点で、この粉体状混合物の温度は88
℃であった。次いで、この粉体状物をミキサー内から取
り出して、これを風乾して常温にまで放冷し、粉状の固
体化処理物を得た。
【0029】(3) 次いで、この固体化処理物100部
に、天然産の粘土岩を粒度100メッシュ以上に粉砕し
た次表4で試料aとして示す粘土鉱物35部を常温下に
混入し、これを攪拌混合し試料混合物Aを得た。
【表4】
【0030】なお、この粘土鉱物の含有成分の分析結果
は、この粘土鉱物の粉末試料250mgを10mlのHClO4-
HNO3-HCl-HFを用いて200℃で蒸発するまで温浸した
後、10mlに希釈した。この希釈溶液をICP−ES分
析装置(Jerrell Ash Model955)を用いたアルゴンプラ
ズマによる誘導結合型プラズマ発光分析法により分析し
た。
【0031】(4) 次いで、この得られた試料混合物A
を、図1に示したナウタミキサー1内に投入して、所定
温度に加熱する状態で処理した。なお、ナウタミキサー
1は、漏斗状のミキサー容器2内に回転軸4によって回
動される攪拌翼3を備える。また、この回転軸4内には
その軸部内にヒーター5を備えると共に、ミキサー容器
2の周壁に沿ってはヒーター6が周回状に耐熱部材7に
よって固定されている。
【0032】このミキサー容器2内に投入された上記の
試料混合物Xは、攪拌翼3によって攪拌される状態でヒ
ーター5及び6によって加熱される。またこの加熱過程
で生じる試料混合物Xからの気体は、ミキサー容器2の
上部から連通された導管8を介して滞留室9内に及ぶ。
さらに、この気体は導管10を介して次槽の水酸化ナト
リウム水溶液浴11中、またさらに、導管12を介して
次槽の水酸化ナトリウム水溶液浴13中を流通してフロ
リジカルカラム16に通じて外界へ放出される。なお、
滞留室9、浴槽11及び13はいずれも水槽14の水浴
15中にあって冷却されている。 (5) この試料混合物Aについて、所定の加熱温度ごと
及び所定の加熱処理時間ごとに実施した場合のPCBの
残存量及びその減少率を測定した結果を次表5に実施N
o.1〜No.5として示した。なお、実施No.6〜No.8は
比較例であり、同No.6は加熱処理をせずに12時間放
置した場合、また同No.7及びNo.8は加熱処理時間が3
時間未満の場合である。
【表5】 なお、試料A及びその処理物中のPCBの含有量は、そ
れをn−ヘキサンで抽出し、これをクリーンアップして
後、発煙硫酸によって顕在化させたものをガスクロマト
グラフ法によって定量して得た。また、PCBの減少率
は、処理前後のPCB含有量についてその減少量を百分
率で示したものである。
【0033】また、フロリジカルカラム16からの排ガ
スを捕集し、これを環境庁通達「気相PCB測定要領」
(1972年)に準じてPCB量を測定した結果、実施
No.1〜No.5の場合、いずれも0.04μg以下の値で
あった。
【0034】また、表5には、さらに比較例として、前
記(2)で得た固体化処理物を試料Bとし、これを前記
(4)の方法によりこの表5に示す条件でそれぞれ処理し
た場合の実施No.9〜No.13についての結果をも示し
た。
【0035】表5に示した結果から、本発明に係る実施
No.1〜No.5の方法によれば、加熱処理しない場合の実
施No.6及び実施No.13の場合、また粘土鉱物粉を含ま
ない実施No.9〜No.12の場合との対比において、PC
Bに対し高い処理効果を示すことが判る。また、実施N
o.7及び実施No.8の場合との対比において、加熱処理
時間が3時間未満である場合には、PCBに対する処理
が不十分となること、また実施No.1〜No.5の場合の相
互間の対比において、加熱処理時の温度が高いほど、ま
た加熱処理の時間が長くなるほどその処理効率が高くな
るが、実施No.4と実施No.5の場合の対比から、その処
理時間が長くなっても、その処理効率が直線的に向上す
ることはないことも判る。
【0036】(実施例2)前記(2)の固体化処理物10
0部に、前記(3)の粘土鉱物35部及び粒度100メッ
シュ以上に粉砕したイオウ粉末30部を、常温下に混合
して、試料混合物Cを得た。
【0037】この試料混合物Cを前記(4)と同様の方法
により加熱処理し、所定の加熱温度ごと及び所定の加熱
処理時間ごとに実施した場合のPCBの残存量及びその
減少率を測定し、その結果を次表7に実施No.14〜No.
18として示した。なお、実施実施No.19〜No.21の
場合は比較例であり、同No.19の場合は加熱処理をせ
ずに12時間放置した場合、同No.20及びNo.21の場
合は加熱処理時間が3時間未満の場合である。
【表6】 なお、PCBの残存量の測定法、その減少率の計算及び
排ガス中のPCB量の測定法は、前記(5)と同じであ
る。
【0038】また、フロリジカルカラム16からの排ガ
スについて、そのPCB量を前記同様に測定した結果、
実施No.14〜No.18の場合、いずれも0.04μg以
下の値であった。
【0039】表6における本発明に係る実施No.14〜N
o.18の場合の結果から、前記した実施例1における実
施No.1〜No.5の場合との対比において、イオン粉末の
添加が、PCBに対する処理効果をより高めるのに有効
であることが判る。また、このイオン粉末を添加する方
法による場合にも、実施No.19の場合との対比におい
て、加熱処理過程が無害化処理にとって有効であるこ
と、また加熱処理の時間が3時間未満である場合には、
PCBに対する処理が不十分となること、またNo.14
〜No.18の場合の相互間の対比において、加熱処理時
の温度が高いほどまた加熱処理の時間が長くなるほどそ
の処理効率が高くなるが、実施No.17とNo.18の場合
の対比から、その処理時間が長くなってもその処理効率
が直線的に向上することはないことも判る。
【0040】
【発明の効果】上述したように本発明は構成されること
から、次のような効果が発揮される。先ず、本発明の方
法によれば、従来の燃焼処理方法の場合と比較してかな
り低い温度条件下で加熱処理することが可能であること
から、加熱処理のための処理設備について、簡略化した
ものとすることができ、これによって処理コストを大幅
に削減できる。
【0041】また、この場合、処理時間も比較的に短時
間以内で処理できることも処理コストの低減に寄与する
ことになる。
【0042】また、被処理対象である液状有機ハロゲン
化物に混合すべき物質も、金属精練に伴って排出される
鉱滓粉塵や、天然鉱物である一定の粘土鉱物やイオウで
あるから、低コスト材を利用するものであり、経済的な
処理が可能であると共に、廃棄物でもある金属鉱滓につ
いて産業上の利用方法を提供するものである。
【0043】また、本発明の方法では、液状有機ハロゲ
ン化物を100%完全に処理するものではないが、処理
後における液状有機ハロゲン化物の残留分は極く僅かで
あるため、これに対しては、従来設備を利用した高温加
熱による燃焼処理をさらに施こすことも極く容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理方法による実施例での加熱処
理以後の過程を説明するフロー図
【符号の説明】
X 試料混合物 1 ナウタミキサー 5,6 加熱用ヒータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液状有機ハロゲン化物に、少なくとも活性
    アルミナ、生石灰、酸化マグネシウム及び酸化マンガン
    を含有する鉱滓粉塵と珪酸塩と水溶性高分子と有機酸金
    属塩と並びに炭酸カルシウムとからなる固体化処理剤
    と、水とを混合して固体化処理物となし、この固体化処
    理物にモンモリロナイト又は/及びバーミキュライトを
    主成分として含有する粘土鉱物の粉末を混合し、この混
    合物を120℃以上350℃以下の温度条件下で加熱処
    理することを特徴とする液状有機ハロゲン化物の処理方
    法。
  2. 【請求項2】固体化処理物と粘土鉱物との混合物にイオ
    ウの粉末を混合することを特徴とする請求項1の液状有
    機ハロゲン化物の処理方法。
  3. 【請求項3】加熱処理のための時間が3時間以上15時
    間以下であることを特徴とする請求項1又は2の液状有
    機ハロゲン化物の処理方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009240980A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 汚染土壌の浄化方法、及び浄化処理システム

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JP2009240980A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 汚染土壌の浄化方法、及び浄化処理システム

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