JPH10245521A - プライマー組成物及び透明被覆物品 - Google Patents

プライマー組成物及び透明被覆物品

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JPH10245521A
JPH10245521A JP6238697A JP6238697A JPH10245521A JP H10245521 A JPH10245521 A JP H10245521A JP 6238697 A JP6238697 A JP 6238697A JP 6238697 A JP6238697 A JP 6238697A JP H10245521 A JPH10245521 A JP H10245521A
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昌浩 古屋
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (メタ)アクリル系樹脂及びビニル系樹
脂から選ばれる少なくとも1つのバインダー樹脂に、3
20〜400nmの紫外線を吸収する無機化合物を上記
バインダー樹脂に対し0.1〜30重量%配合したこと
を特徴とする有機樹脂基材上に塗布されるケイ素系コー
ティング剤用のプライマー組成物。 【効果】 本発明のプライマー組成物によれば、特にU
VA領域の紫外線吸収能に優れ、透明度の高いプライマ
ー層を形成し得ると共に、基材及びコーティング層との
密着性を損うこともなく、更にこのプライマー組成物を
使用して得られる被覆物品は、従来の表面の耐摩耗性、
耐化学薬品性を維持した状態で、長期間の暴露による紫
外線吸収性化合物自体の分解・劣化が抑制され、特に3
20〜400nmのUVA領域の紫外線吸収能に優れ、
透明性が長期に亘って維持される耐久性に優れたもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
等の有機樹脂基材とケイ素系コーティング剤との付着性
を向上させると共に、基材の耐候性、耐久性を向上させ
ることができるプライマー組成物、及び有機樹脂基材上
に該プライマー組成物によるプライマー層を形成すると
共に、ケイ素系コーティング剤による透明コーティング
層を形成した耐候性、耐久性に優れた透明被覆物品に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、軽量で易加工性、耐衝撃性に優れた有機樹脂基材
は、表面に傷がつき易く、耐摩耗性、硬度、耐薬品性等
に乏しいため、その表面に、アルコキシシランの加水分
解物、コロイダルシリカからなる表面保護層(シリコー
ンハードコート層、以下、ハードコート層という)を形
成する技術が提案されているが、このハードコート層は
有機樹脂基材との付着性に乏しい。そこで、一般的に
は、プライマー層を介在させることが行われる。
【0003】しかしながら、上記プライマー層を介して
ハードコート層を被覆した物品は、屋外に直接暴露され
る構造物等に使用される場合、太陽光から照射される紫
外線により、ハードコート層そのものは劣化しないもの
の、有機樹脂基材及びプライマー層が分解・劣化・剥離
するため、極めて耐久性に乏しいことが知られている。
【0004】そこで、被覆物品の耐久性を向上させるた
めに種々の提案がなされており、代表的には2つの提案
を挙げることができる。その1つは、ハードコート層及
び/又はプライマー層中に紫外線吸収性化合物を含有さ
せる方法、もう1つは、有機樹脂基材のプライマー層被
覆面側に、紫外線吸収性化合物を含浸させる方法で、い
ずれの方法も紫外線吸収性化合物により紫外線をカット
して基材の劣化を防ぐというものである。
【0005】しかしながら、前者の方法は、ハードコー
ト層に紫外線吸収性化合物を含有させる場合、ハードコ
ート層を形成するポリシロキサン溶液中に有機系の紫外
線吸収性化合物、或いはシラン変性した紫外線吸収性化
合物を溶解させ、それを基材に塗布・硬化させることに
よって紫外線吸収能を有するハードコート層を形成する
ものであるが、その含有量には限界があり、基材の有機
樹脂或いはプライマー層の分解・劣化を完全に防止する
のに必要な量の紫外線吸収性化合物をハードコート層に
含有させた場合、ハードコート層の硬度、耐摩耗性は低
下し、ハードコート膜としての性能は不満足なものにな
る。また、ハードコート層に酸化チタン等の無機系紫外
線吸収性化合物を含有させた場合、膜硬度は上昇する傾
向にあるが、30μm以下の薄膜を形成する場合、十分
な紫外線吸収能を付与する量の無機化合物を膜に含有さ
せるには膜の成膜性、可撓性を著しく損う。一方、プラ
イマー層に有機系紫外線吸収性化合物を添加する場合、
基材の劣化を完全に防止するのに必要な量の紫外線吸収
性化合物をプライマー層に含有させようとすると、基材
及びハードコート層との密着性が低下する結果に至る。
【0006】そこで、一般的にはハードコート層、プラ
イマー層の両方に紫外線吸収性化合物を含有させる方法
が採用されている。しかし、それでも劣化を完全に防止
することができる程度に、多量の紫外線吸収性化合物を
含有させた場合、ハードコート層、プライマー層のもつ
特性は確実に低下する。即ち、公知の紫外線吸収性化合
物をプライマー層へ添加する方法では、基材やハードコ
ート層との密着性を著しく害し、長期の暴露によってハ
ードコート層の剥離を完全に防止することはできない。
【0007】一方、有機樹脂基材のプライマー層と接触
している面側に、紫外線吸収性化合物を含浸させる方法
は特公平4−28735号公報に提案されているが、有
機基材の表面状態を著しく変化させるものであり、プラ
イマー層との密着性を低下させるため好ましくない。
【0008】また、上述したそれぞれの方法で使用され
る紫外線吸収性化合物は、全て有機化合物であるため、
主に炭素、水素、酸素、窒素等の元素より構成される。
具体的には、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾー
ル誘導体、トリアジン誘導体及びシアノアクリレート誘
導体等が使用されている。しかしながら、これら有機系
紫外線吸収性化合物は、有機樹脂との相溶性に優れる反
面、長期の屋外暴露により化合物自体が分解・劣化し、
各層の紫外線吸収能力が低下していくという欠点を有す
る上、層形成時、硬化のため80〜120℃程度に加熱
することが必要な場合、熱分解を起こしたり、昇華して
飛散することもあり、期待する紫外線遮蔽効果を発現で
きないことが多い。
【0009】更に、特開平6−82604号、同8−2
48204号公報には、ウレタンエラストマーと酸化チ
タン等の無機微粒子、オルガノアルコキシシランからな
るプライマー層が開示されているが、ウレタンエラスト
マーは耐水性に乏しく、特に耐温水密着性に著しく問題
があると共に、無機微粒子の分散性にも問題があった。
【0010】特開平1−149878号、同3−628
2号公報にはアクリル系樹脂と有機紫外線吸収剤からな
るプライマー組成物が開示されているが、長期の屋外暴
露による分解・劣化や、被膜硬化時の熱による紫外線吸
収剤の昇華等により、紫外線を十分カットできないとい
う問題があった。また、紫外線吸収剤の添加量を多くす
ると接着性の低下や膜の透明性が低下する等の問題も起
きる。
【0011】特開平8−67767号公報は、ポリイソ
シアネートと酸化セリウム微粒子からなるシーリング材
用プライマー組成物が開示されているが、これはシーリ
ング材用のプライマー組成物であり、アクリル系樹脂及
びビニル系樹脂については何ら示唆されていない。
【0012】更に、近年、長波長側のUVA領域と呼ば
れる320〜400nmの紫外線が人体へ悪影響を及ぼ
すことが指摘されており、長期間の屋外暴露において有
機樹脂基材及びそのハードコート層の劣化にも大きな影
響を与えることが懸念されている。それにも拘らず、上
記有機系紫外線吸収性化合物はUVB領域と呼ばれる主
に280〜320nmの紫外線を吸収するものが使用さ
れているだけであって、UVA領域の紫外線遮蔽対策を
講じるための提案は殆んどなされていない。
【0013】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、特に320〜400nmのUVA領域の紫外線吸収
能に優れると共に、有機樹脂基材やハードコート層との
良好な密着性を維持し、屋外での耐久性を飛躍的に向上
させることができるプライマー組成物並びに有機樹脂基
材上に該プライマー組成物によるプライマー層を介して
ケイ素系コーティング剤による透明コーティング層(ハ
ードコート層)を形成した透明被覆物品を提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、(メタ)アクリル系樹脂やビニル系樹脂をバインダ
ー樹脂とするプライマー組成物に320〜400nmの
紫外線を吸収する無機化合物を配合することにより、こ
れをポリカーボネート等の有機樹脂基材上に塗布し、加
熱硬化させるなどの方法によって形成したプライマー層
が、320〜400nmのUVA領域の紫外線を遮断す
る能力に優れ、しかも可視光領域は透明性に優れたもの
であることを見出すと共に、プライマー層としての密着
性を維持し、有機樹脂基材及びケイ素系コーティング剤
による透明コーティング層(ハードコート層)との付着
性、耐候性、耐久性を向上させることができるものであ
ることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0015】即ち、本発明は、(メタ)アクリル系樹脂
及びビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1つのバイン
ダー樹脂に、320〜400nmの紫外線を吸収する無
機化合物を上記バインダー樹脂に対し0.1〜30重量
%配合したことを特徴とする有機樹脂基材上に塗布され
るケイ素系コーティング剤用のプライマー組成物を提供
する。この場合、更に280〜400nmの紫外線を吸
収する有機化合物を上記バインダー樹脂に対し0.1〜
20重量%配合することが好ましい。また、本発明は、
有機樹脂基材上に上記のプライマー組成物によるプライ
マー層を形成すると共に、このプライマー層上にケイ素
系コーティング剤による透明コーティング層を形成して
なる透明被覆物品を提供する。この場合、ケイ素系コー
ティング剤が、下記平均組成式(I) R5 pSi(OR6q(4-p-q)/2 (I) (式中、R5は非置換又は置換一価炭化水素基、R6は水
素原子又は非置換又は置換一価炭化水素基を示し、p,
qは、0.7≦p≦1.6、0≦q≦3.3、0.7≦
p+q<4を満足する数である。)で示されるシロキサ
ン樹脂を主成分とすることが好ましい。
【0016】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のプライマー組成物は、(メタ)アクリル系樹脂
及びビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1つのバイン
ダー樹脂に320〜400nmの紫外線を吸収する無機
化合物を配合したものである。
【0017】ここで、バインダー樹脂としては、(メ
タ)アクリル系樹脂及びビニル系樹脂の1種を単独で又
は2種以上を混合して使用することができる。これらの
樹脂は熱可塑性でも熱硬化性でもよく、例えば有機溶媒
中でメチルメタクリレート(MMA)等の重合性不飽和
基を有するモノマーをラジカル重合して得られるポリマ
ーや乳化重合したエマルジョン等を挙げることができ
る。
【0018】この場合、上記(メタ)アクリル系樹脂を
形成するために使用し得るモノマーとしては、重合性
(メタ)アクリル基を含有するものが使用され、具体的
には下記のものを挙げることができるが、これに限定さ
れるものではない。 CH2=CHCOOCH3 CH2=C(CH3)COOCH3 CH2=CHCOOCH2CH2OH CH2=C(CH3)COOCH2CH2OH CH2=CHCOOCH2CH2CH3 CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH3 CH2=CHCONHCH3 CH2=C(CH3)CONHCH3 CH2=CHCON(CH32 CH2=C(CH3)CON(CH32 CH2=CHCONHCH2OH CH2=C(CH3)CONHCH2OH
【0019】
【化2】 (R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜6の一
価炭化水素基(例えばアルキル基、アルケニル基、フェ
ニル基等)を示し、aは1〜3の整数、bは0又は1で
ある。)
【0020】
【化3】
【0021】また、上記モノマーと共重合可能な不飽和
基を含有するモノマー或いはポリマーも本発明の目的を
損わない範囲において共重合の目的で使用してもよい。
【0022】また、ビニル系樹脂を形成するビニル系モ
ノマーとしては下記式で示されるアルコキシシリル基含
有単量体を挙げることができる。
【0023】
【化4】 (R2は上記と同様の意味を示し、cは0又は1であ
る。)
【0024】上記アルコキシシリル基含有単量体として
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジ
エトキシシランなどを挙げることができる。また、上記
シラン以外にケイ素原子を含まないその他のビニル系単
量体を用いることもできる。
【0025】本発明においては、樹脂成分として、特に
下記に示すようなトリアルコキシシリル基を有するアク
リル樹脂を好適に使用することができ、従って、トリア
ルコキシシリル基を含有する(メタ)アクリルモノマー
を重合或いは共重合させたものを好適に使用することが
でき、これは加熱により硬化し、より緻密な膜を形成す
ると共に、基材やコーティング層との密着性を高めるた
めに有利である。
【0026】
【化5】
【0027】なお、上記トリアルコキシシリル基を含有
する(メタ)アクリルモノマーとして具体的には、メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキ
シシランなどが挙げられる。
【0028】本発明のプライマー組成物は、上記バイン
ダー樹脂に320〜400nmの紫外線を吸収する無機
化合物を配合する。かかる無機化合物としては、320
〜400nmの紫外線を吸収する無機系紫外線吸収性化
合物であれば特に制限されるものではないが、主にバン
ドギャップの比較的小さい金属酸化物微粒子、硫化物、
希土類元素を含む微結晶が好ましい。即ち、特定波長以
下の光が照射されると、価電子帯の電子が伝導帯に励起
され、伝導電子と正孔を生成することのできる化合物が
好適で、光エネルギーを吸収し、有機樹脂を劣化させな
いエネルギーに変換する能力のある化合物の使用が有効
である。これらの化合物として具体的には、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングス
テン、硫化亜鉛、硫化カドミウム等を挙げることができ
るが、分散性等を考慮すると、酸化チタン、酸化亜鉛、
酸化セリウムを好適に使用することができる。
【0029】上記無機化合物は微粒子として用いられ、
これは分散性の面から一次粒径が1000nm以下、好
ましくは300nm以下のものを使用することが推奨さ
れる。一次粒径が1000nmを超えると、分散性が低
下し、無機化合物微粒子が沈降したり、硬化被膜の可視
光透過性が著しく低下する場合がある。
【0030】なお、無機化合物微粒子の分散性は、紫外
線吸収能力や、硬化被膜とした際の透明性に大きく影響
するため、上記無機化合物微粒子に対しては、凝集によ
る二次粒径が大きくなるのを防止する処理を施すことが
好ましく、この場合の処理方法としては、酸化ケイ素、
酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの種々の金属
酸化物による表面処理などを挙げることができる。ま
た、無機化合物微粒子の紫外線吸収能を向上させるため
には、光を吸収して電子と正孔とを生じた励起状態の無
機化合物微粒子を元の状態に速やかに戻すために、鉄等
の他の金属とドープして、複合酸化物とすることで酸化
還元系で補完する方法も有効である。
【0031】本発明においては、上述した320〜40
0nmの紫外線を吸収する無機化合物微粒子を上述した
バインダー樹脂に対し0.1〜30重量%、特に5〜2
5重量%配合するものである。配合量が0.1重量%未
満であると、紫外線遮蔽効果が極めて低くなり、30重
量%を超えると、プライマー組成物を硬化被膜として得
る場合、硬化被膜に十分な強度が得られず、基材やコー
ティング層との密着性が劣化するので適さない。
【0032】本発明のプライマー組成物は、上記バイン
ダー樹脂に上記無機化合物を粉末で、或いは分散媒に分
散させたゾルの状態で混合することができる。
【0033】ここで、ゾルの分散媒としては、公知の溶
媒を挙げることができ、例えば、水、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタ
ノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン類などを使用し得る。な
お、ゾルの分散媒として有機溶媒を用いる場合には、そ
の分散性を高めるため、無機化合物微粒子に対し、公知
のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング
剤等で処理することも有効である。また、無機化合物微
粒子の分散性を向上させる方法として、ゾル中に公知の
分散剤、界面活性剤等を添加することもできる。
【0034】本発明のプライマー組成物は、上記無機化
合物を紫外線吸収性化合物として使用するものであるた
め、紫外線吸収剤としての寿命は半永久的であるから、
長期に亘って使用し得、また紫外線吸収能を維持するこ
とができるものであるが、かかる紫外線吸収能をより一
層強化する目的で、プライマー組成物中に紫外線吸収性
有機化合物を配合することもできる。
【0035】ここで、使用し得る紫外線吸収性有機化合
物としては、特に280〜400nmの紫外線を吸収す
るものを好適に採用し得、その使用量はバインダー樹脂
に対し、0.1〜20重量%、特に1〜18重量%含有
することが好ましい。含有量が20重量%を超えると、
硬化被膜とした際、基材やコーティング層との密着性が
劣化する上、紫外線吸収性有機化合物自体の劣化によ
り、各層の耐候性を維持できなくなるために適さない場
合がある。
【0036】上記紫外線吸収性有機化合物としては、特
に制限されものではないが、本発明においては、入手の
容易さ、コスト面から、下記一般式で示されるベンゾフ
ェノン誘導体(1)、ベンゾトリアゾール誘導体
(2)、トリアジン誘導体(3)を有する化合物又はそ
の誘導体を挙げることができる。
【0037】
【化6】
【0038】ここで、R1〜R4は水素原子又は炭素数1
〜18の有機基を示し、有機基としてはアルキル基等の
非置換又は置換一価炭化水素基が挙げられる。
【0039】上記紫外線吸収性有機化合物として具体的
には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ
−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−(2
−アクリロキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェ
ノンの重合体、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオ
キシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジンなどを
例示することができるが、これらの例に限定されるもの
ではない。
【0040】更に、本発明のプライマー組成物は、上記
必須成分に加えて、公知の添加剤、希釈剤、硬化触媒を
配合することができる。希釈剤としては、水や有機溶剤
が使用でき、有機溶剤としては、アルコール類、ケトン
類、エステル類、エーテル類などを挙げることができ、
具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、イソブタノール等のアルコール類、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチ
ル、酢酸イソブチル等のエステル類、トルエン、キシレ
ン等の芳香族化合物及びこれらの混合溶媒などを挙げる
ことができ、また、硬化触媒としてはアルキルチタネー
ト、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレー
ト、ジブチルズズジオクテート、ジブチルズズジラウレ
ートなどを挙げることができ、その配合量は触媒量であ
り、通常バインダー樹脂100重量部に対して0.00
1〜10重量部である。
【0041】本発明のプライマー組成物は、有機樹脂基
材にケイ素系コーティング剤によるコーティング層(ハ
ードコート層)を形成する場合のプライマー処理に用い
られるものであるが、本発明のプライマー組成物による
プライマー層を有機樹脂基材に形成する場合は、有機樹
脂基材上にプライマー組成物をスプレーコーティング、
ロールコーティング、ディップコーティング、スピンコ
ーティング等の適宜な方法で塗布し、これを室温〜15
0℃、10分〜2時間で加熱し、上記バインダー樹脂を
硬化する方法を好適に採用することができる。この場
合、プライマー層の膜厚は特に制限されないが、0.1
〜30μm、特に1〜20μmとすることが好ましい。
【0042】有機樹脂基材は特に制限されるものではな
いが、透明プラスチック成形体であることが、本発明の
第2発明に係る透明被覆物品を得る点から好適に用いら
れ、具体的にはポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂な
どの有機樹脂基材が好適であるが、特に制限されるもの
ではない。
【0043】また、ケイ素系コーティング剤としては、
下記平均組成式(I) R5 pSi(OR6q(4-p-q)/2 (I) で示されるシロキサン樹脂を主成分とするものが好適に
用いられる。
【0044】ここで、R5は非置換又は置換一価炭化水
素基で、好ましくは炭素数1〜18、特に1〜8のもの
であり、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル等のアルキル
基、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル等のアルケ
ニル基、フェニル等のアリール基、ベンジル、エチルフ
ェニル等のアラルキル基などや、これらの炭素原子結合
水素原子の一部又は全部を塩素、臭素、フッ素等のハロ
ゲン原子、シアノ基、更に炭素数1〜6のアルコキシ
基、γ−グリシドキシアルキル基、3,4−エポキシシ
クロヘキシルアルキル基等のエポキシ基含有一価炭化水
素基、(メタ)アクリロキシアルキル基等の(メタ)ア
クリル基含有一価炭化水素基、アミノアルキル基等のア
ミノ基含有一価炭化水素基、メルカプトアルキル基等の
メルカプト基含有一価炭化水素基などの有機官能基で置
換したものを挙げることができる。
【0045】また、R6は水素原子又は非置換又は置換
一価炭化水素基であり、一価炭化水素基としては、炭素
数1〜8、特に1〜6のものが好ましく、具体的にはア
ルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる
が、とりわけ炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、ま
た、アルコキシ置換アルキル基であってもよい。
【0046】p,qは、0.7≦p≦1.6、0≦q≦
3.3、0.7≦p+q<4を満足する数である。即
ち、pの値は、十分な硬度の膜を得るために1.6以下
で、かつ硬化時にクラックの生じ難い膜を得るためには
0.7以上であることが必要であり、0.7≦p≦1.
6、好ましくは0.8≦p≦1.5を満たす数である。
また、qの値は、架橋点となるアルコキシ基或いはシラ
ノール基の数の和として3.3以下であることが必要で
あり、0≦q≦3.3、好ましくは0.1≦q<3を満
たす数であり、qの値が3.3を超えると硬化時に体積
収縮が大きくなり、塗膜にクラックが生じ易くなる。更
に、0.7≦p+q<4、特に0.8≦p+q<3であ
る。
【0047】なお、qの値は、実際には、シロキサン樹
脂の29SiNMRスペクトルを測定することにより求め
ることができる。
【0048】上記シロキサン樹脂は、公知の方法で得る
ことができ、特に制限されるものではないが、具体的に
は2〜4の官能性シラン化合物を特定の比率で加水分解
・縮合させたものを主成分として製造することができ、
これらは縮合反応し得るシラノール基或いは加水分解性
基を有し、室温或いは加熱処理を施すことにより硬化す
るものである。
【0049】ここで、原料となる加水分解性シランは、
下記式(II) R5 mSi(OR6n (II) (式中、R5,R6は上記と同様であり、0≦m≦2、2
≦n≦4、m+n=4である。)で示されるものを挙げ
ることができ、下記の加水分解性シランを例示すること
ができる。
【0050】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチ
ルトリt−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポ
キシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プ
ロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロ
ポキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デ
シルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキ
シシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエ
トキシシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキ
シヒドロシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロ
ピルトリエトキシシラン及びこれらの部分加水分解物な
どが挙げられる。
【0051】これらの中で、特に原料の入手し易さ、取
り扱い易さを考えると、ジメチルジメトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テ
トラエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ンを好適に使用することができる。
【0052】なお、膜の硬度、平滑性などの塗膜外観や
成膜性を良好に保つために、3官能シランを使用するこ
とが好適で、上述した3官能シランは10mol%以上
含有させることが好ましい。
【0053】上記シロキサン樹脂は、上記加水分解性シ
ランと水とを加水分解性触媒の存在下、混合し、加水分
解させることにより得ることができる。加水分解性触媒
としては、従来公知の触媒を使用できるが、水と接触す
るとpH2〜5の酸性を示すものを用いることが好まし
く、特に酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン
酸、酸性或いは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂等の固
体酸などを挙げることができる。具体的には、フッ化水
素、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸に代表される
有機酸、メチルスルホン酸、表面にスルホン酸基又はカ
ルボン酸基を有するカチオン交換樹脂などを挙げること
ができる。なお、加水分解性触媒の使用量は、ケイ素原
子上の加水分解性基1molに対して、0.001〜5
molとすることが好ましい。
【0054】また、加水分解に使用する水量は、原料と
するシラン、或いはシロキサン樹脂中に含まれる加水分
解性基1molに対して、0.05〜50mol、好ま
しくは0.2〜30molの範囲での使用が推奨され
る。
【0055】なお、上記反応は、アルコール、ケトン、
エステル等の極性溶剤を溶媒として使用してもよい。
【0056】上記コーティング剤には、更にシリカを配
合することができる。シリカとしては、平均粒径が0.
1〜500nm、好ましくは1〜200nmの微細シリ
カを水又はアルコール等の有機溶媒に分散したものが好
適に用いられる。この場合、シリカ分散液のpHはコー
ティング組成物の安定性の点から2〜7であることが好
ましい。このようなシリカ分散液としては、スノーテッ
クス−O、メタノールシリカゾル(日産化学(株)
製)、カトロイド−S,オスカル(触媒化成(株)製)
等を挙げることができる。
【0057】なお、シリカ分散液中の固形分濃度は5〜
40重量%が好ましい。また、シリカ固形分は、上記シ
ロキサン樹脂100重量部に対して1〜200重量部で
あることが好ましく、200重量部を超えると、コーテ
ィング膜の耐クラック性、可撓性が低下する場合が生じ
る。
【0058】更に、コーティング剤中には、紫外線吸収
性化合物を配合することができる。
【0059】紫外線吸収性化合物としては、プライマー
組成物で例示した金属酸化物微粒子等の無機化合物及び
有機化合物と同様のものを使用することができるが、こ
の場合、これら紫外線吸収性化合物固形分の配合量は、
上記したシロキサン樹脂100重量部に対して、1〜3
00重量部であることが好ましい。300重量部を超え
ると、シロキサン樹脂のバインダーとしての役割が不十
分になり、コーティング層としての特性、プライマー層
との密着性が著しく低下するため適さない場合がある。
【0060】ここで、金属酸化物微粒子としては、従来
より公知の高屈折率用の眼鏡レンズに使用されている酸
化チタン微粒子、或いは酸化チタンと他の金属酸化物微
粒子との共核微粒子、他の金属酸化物微粒子による被覆
微粒子などを挙げることができ、これらは紫外線吸収性
を有する無機化合物として用いることができる。具体的
には、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(Ce
2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ジルコニウム(Zr
2)、酸化アンチモン(Sb25)、酸化鉄(Fe2
3)、酸化鉄又は酸化ジルコニウムをドープした酸化チ
タン、希土類酸化物等を挙げることができるが、これら
に限定されるものではない。
【0061】上記コーティング剤には、希釈剤、硬化触
媒等を配合することができる。この場合、組成物を希釈
する希釈剤としては、水、公知の有機溶剤などを使用す
ることができ、有機溶剤としては、アルコール類、ケト
ン類、エステル類、エーテル類を挙げることができ、具
体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、イソブタノール等のアルコール類、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチ
ル、酢酸イソブチル等のエステル類、トルエン、キシレ
ン等の芳香族化合物及びこれらの混合溶媒などを挙げる
ことができる。
【0062】更に、硬化触媒としては、従来より公知の
ものを使用することができ、例えば、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラ
ート、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、ギ酸カリウム、プロピオン酸カリウム、テトラメチ
ルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシドのごとき塩基性化合物類;n−ヘキシルア
ミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、
エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリ
アミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペン
タミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン等のアミン化合物;テ
トライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート
等のチタン化合物;アルミニウムトリイソブトキシド、
アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセ
チルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミ
ニウム等のアルミニウム化合物;スズアセチルアセトナ
ート、ジブチルスズオクチレート等のスズ化合物;コバ
ルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄
アセチルアセトナート等の含金属化合物類;リン酸、硝
酸、フタル酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢
酸等の酸性化合物類などを挙げることができる。
【0063】更に、pHを調節するための緩衝剤となる
酸・塩基性化合物の組み合わせ、例えば酢酸と酢酸ナト
リウム、リン酸水素二ナトリウムとクエン酸等を添加し
てもよい。その他、優れた被膜性能を付与する目的で、
顔料、染料、レベリング剤、保存安定剤などを使用する
こともできる。
【0064】上記コーティング剤によるコーティング層
の形成方法としては、公知の方法を採用することがで
き、具体的にはスプレーコーティング、ロールコーティ
ング、ディップコーティング、スピンコーティング等の
方法で塗布し、空気中に風乾又は室温〜150℃、10
分〜2時間加熱することにより、上記シロキサン樹脂を
硬化する方法を採用することができる。
【0065】なお、上記コーティング剤によるコーティ
ング層の厚さは、特に制限されるものではないが、0.
001〜50μmであることが好ましい。
【0066】上述した有機樹脂基材上に上記プライマー
組成物によるプライマー層を介して上記コーティング剤
による透明コーティング層を形成してなる透明被覆物品
は、基材、プライマー層、及びコーティング層の密着性
に優れたものである。しかも、本発明の被覆物品におい
ては、プライマー層は紫外線吸収能に優れ、紫外線によ
る劣化も可及的に防止され、各層及び基材の劣化や界面
剥離が可及的に防止されたものである上、プライマー層
及びコーティング層は透明性が高く、黄変等の変色が発
生することもなく、長期に亘って使用することができる
もので、例えばプラスチックレンズ等の透明性を必要と
するプラスチック成形品のプライマーとして好適に使用
することができる。
【0067】
【発明の効果】本発明のプライマー組成物によれば、特
にUVA領域の紫外線吸収能に優れ、透明度の高いプラ
イマー層を形成し得ると共に、基材及びコーティング層
との密着性を損うこともなく、更にこのプライマー組成
物を使用して得られる被覆物品は、従来の表面の耐摩耗
性、耐化学薬品性を維持した状態で、長期間の暴露によ
る紫外線吸収性化合物自体の分解・劣化が抑制され、特
に320〜400nmのUVA領域の紫外線吸収能に優
れ、透明性が長期に亘って維持される耐久性に優れたも
のである。
【0068】
【実施例】以下、調整例、実施例及び比較例を示し、本
発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限
されるものではない。なお、下記例中、%は重量%を示
す。
【0069】〔調製例1〕2Lのフラスコに、市販のポ
リメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粉末30g、メ
チルイソブチルケトン570gを加え、80℃で2時間
加熱撹拌することにより完全に溶解させ、アクリル樹脂
溶液A(樹脂濃度5.1%)を得た。
【0070】〔調製例2〕5Lのフラスコに、ジアセト
ンアルコール500gを入れ、窒素雰囲気下、80℃に
加熱した中に、メタクリル酸メチル600g、アクリル
酸エチル100g、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン20g、AIBN2.5gの混合物を滴下
し、100℃以下で重合を行った。
【0071】重合を完結させた後、ジアセトンアルコー
ル400gを加え、室温で1時間撹拌し、固形分濃度4
3.2%の樹脂溶液1568gを得た。
【0072】得られた樹脂溶液50gをジアセトンアル
コール365gで希釈し、固形分濃度5.2%のアクリ
ル樹脂溶液Bを得た。
【0073】〔調製例3〕2Lのフラスコにメチルトリ
エトキシシラン356g(2.0mol)、イソプロピ
ルアルコール100gを入れ、氷冷して系内を10℃以
下にし、この中に0.05N希塩酸水溶液144g
(8.0mol)を20分かけて滴下し、メチルトリエ
トキシシランの加水分解を行った。2時間反応させた
後、室温にて撹拌を続け、15時間撹拌しメチルトリエ
トキシシランの加水分解を完結させてシロキサン樹脂を
得た。
【0074】得られたシロキサン樹脂の構造を29Si核
磁気共鳴スペクトル(29Si NMR)で測定したとこ
ろ、3本のブロードなシグナルを示し、これらの化学シ
フトは(a)δ=−46〜−48ppm、(b)δ=−
54〜−58ppm、(c)δ=−62〜−68ppm
で、それぞれ下記化学式(a),(b),(c)で示さ
れる構造単位のケイ素原子に帰属するものであった。
【0075】
【化7】 (なお、Meはメチル基を示し、上記式中OXは水酸基
又は残存エトキシ基であり、(c)のケイ素原子は全て
シロキシ基に変換されたケイ素原子を表す。それぞれの
シグナル強度比から算出した各構造のモル比は(a):
(b):(c)=21:52:27であった。)
【0076】以上のことから全T単位に対する(a)単
位が21モル%、(b)単位が52モル%、(c)単位
が27モル%であることが認められた。以上の結果よ
り、得られたシロキサン樹脂の平均組成式は下記のもの
と決定された。 (CH31.0Si(OX)0.941.03(X=H、或いは
CH3CH2−) 更に、上記シロキサン溶液に、有機系紫外線吸収剤であ
る2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン7.6g、イソ
ブタノール164g、及びメタノール分散シリカゾル
(メタノールシリカゾル(固形分30%),日産化学
(株)製)191gを添加し、シリカ固形分濃度21.
1%のハードコート液Cを得た。
【0077】〔調製例4〕調製例3と同様にして、シロ
キサン加水分解物を得た後、2,4−ジヒドロキシベン
ゾフェノン7.6g、イソブタノール164g、及びメ
タノール分散シリカゾルの代わりに酸化チタンメタノー
ル分散ゾル191g(固形分30%)を添加することに
より、固形分濃度21.5%のハードコート液Dを得
た。
【0078】〔実施例1、2〕調製例1で得られたアク
リル樹脂溶液A、酸化セリウム微粒子(ニードラールU
−100、多木化学(株)製)、メチルイソブチルケト
ンを表1に示す割合で混合し、80℃で2時間、加熱撹
拌することによりプライマー組成物(P−1,2)を調
製した。
【0079】得られたプライマー組成物を1.0g取
り、テフロンシート上に滴下し、100℃、20分間乾
燥することにより透明被膜を得た。
【0080】得られた被膜をテフロンシートより剥が
し、膜厚を測定した後、分光光度計(日立製作所(株)
製)にて紫外−可視光線の透過率を測定した。結果を表
1及び図1に示す。
【0081】〔比較例1〕調製例1で得られたアクリル
樹脂溶液Aのみを使用した以外は、上記実施例と同様に
してプライマー組成物(Q−1)を調製し、実施例と同
様にして被膜を得、透過率を測定した。結果を表1及び
図1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】〔実施例3〜9、比較例2〜5〕バインダ
ー樹脂として、調製例1、2、3で得られたアクリル樹
脂溶液A、B、無機系紫外線吸収剤として酸化チタン微
粒子のメタノール分散液、酸化セリウム微粒子(ニード
ラールU−100)、酸化亜鉛微粒子(FINEX−7
5、堺化学工業(株)製、平均粒径10nm)、有機系
紫外線吸収剤として2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフ
ェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN328,
チバガイギー製)、希釈溶剤としてメチルイソブチルケ
トン、メタノール、ジアセトンアルコールを表2の比率
で配合し、プライマー組成物(実施例P−3〜9、比較
例Q−2〜5)を得た。
【0084】〔比較例6〕実施例3において酸化チタン
微粒子の代わりに調整例3で用いたシリカを使用した以
外は実施例3と同様にしてプライマー組成物(比較例Q
−6)を得た。
【0085】得られたプライマー組成物について、それ
ぞれ下記基準で試験を行った。結果を表3に示す。分散安定性 プライマー組成物を25℃で1ヶ月保存した後、金属酸
化物微粒子の沈降性を目視により下記基準で評価した。 ○:沈降物なし(分散性良好) ×:沈降物あり(分散性不良)膜透明性 プライマー組成物をガラス板にフローコートし、120
℃、20分間加熱乾燥して被膜を得、得られた被膜の透
明性を目視により下記基準で評価した。 ○:濁りなし(透明性良好) ×:濁りあり(透明性不良)
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】次に、表2の実施例3〜9及び比較例2〜
6で調製したプライマー組成物をポリカーボネート板に
ディップコート法で塗布し、120℃、20分の硬化条
件で膜厚0.5〜2μmのプライマー層を形成した。
【0089】上記プライマー層表面に、調製例3、4で
調製したハートコート液C、Dを表4に示すようにそれ
ぞれディップコート法で塗布し、120℃、1時間で硬
化させ、膜厚4〜8μmのコーティング層を形成し、被
覆物品を得た。
【0090】
【表4】
【0091】得られた被覆物品に対し、サンシャインウ
ェザーメーター(スガ試験機(株)製,WEL−SUN
−HC−B・EM型)を用い、促進暴露試験を100
0、3000、5000時間経過後の外観及び密着性に
ついて下記基準により評価した。結果を表5に示す。外観 目視により基材に対するプライマー層及びコーティング
層の色の変化及び付着状況を目視により検査した。 ◎:変化なし ○:基材がやや黄変 △:基材が黄変 ×:基材が黄変、コーティング層の剥がれあり密着性 JIS K−5400、第6.15項に準じ、被覆層を
ナイフで1mm間隔の碁盤目状に縦、横11本ずつカッ
トし、各升毎にセロテープ(ニチバン社製)を付着させ
て剥離テストを行い、剥離しなかった升目の数を調べ
た。
【0092】
【表5】
【0093】図1の結果から明らかなように、本発明の
プライマー組成物により得られた硬化被膜は、酸化セリ
ウムを含有していないアクリル樹脂膜に比べ、紫外線吸
収能に優れている。
【0094】また、表3から明らかなように、本発明の
プライマー組成物は分散安定性に優れ、1ヶ月保存して
も微粒子の沈降が起こらないものであった。
【0095】更に、表5の結果から明らかなように、本
発明の製造方法にて得られた被覆物品は、金属酸化物微
粒子を含有していない比較例の被覆物品に比べ、プライ
マー層の被膜の透明性及び紫外線吸収性がよいため、ハ
ードコート層(コーティング層)及び基材と良好に密着
しており、ハードコート層の剥離が生じることもなく、
長期使用性及び耐候性に優れていることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例にかかる紫外−可視
光線吸収スペクトルの測定値を示すグラフである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル系樹脂及びビニル系樹
    脂から選ばれる少なくとも1つのバインダー樹脂に、3
    20〜400nmの紫外線を吸収する無機化合物を上記
    バインダー樹脂に対し0.1〜30重量%配合したこと
    を特徴とする有機樹脂基材上に塗布されるケイ素系コー
    ティング剤用のプライマー組成物。
  2. 【請求項2】 無機化合物が酸化チタン、酸化セリウム
    又は酸化亜鉛の微粒子である請求項1記載のプライマー
    組成物。
  3. 【請求項3】 更に280〜400nmの紫外線を吸収
    する有機化合物を上記バインダー樹脂に対し0.1〜2
    0重量%配合した請求項1又は2記載のプライマー組成
    物。
  4. 【請求項4】 280〜400nmの紫外線を吸収する
    有機化合物が下記一般式(1)〜(3)で示される化合
    物もしくはその誘導体から選ばれる紫外線吸収性有機化
    合物である請求項3記載のプライマー組成物。 【化1】 (式中、R1〜R4は水素原子又は炭素数1〜18の有機
    基を示す。)
  5. 【請求項5】 バインダー樹脂がトリアルコキシシリル
    基を有する熱硬化性アクリル樹脂を含有する請求項1乃
    至4のいずれか1項記載のプライマー組成物。
  6. 【請求項6】 有機樹脂基材上に請求項1乃至5のいず
    れか1項記載のプライマー組成物によるプライマー層を
    形成すると共に、このプライマー層上にケイ素系コーテ
    ィング剤による透明コーティング層を形成してなること
    を特徴とする透明被覆物品。
  7. 【請求項7】 ケイ素系コーティング剤が、下記平均組
    成式(I) R5 pSi(OR6q(4-p-q)/2 (I) (式中、R5は非置換又は置換一価炭化水素基、R6は水
    素原子又は非置換又は置換一価炭化水素基を示し、p,
    qは、0.7≦p≦1.6、0≦q≦3.3、0.7≦
    p+q<4を満足する数である。)で示されるシロキサ
    ン樹脂を主成分とするものである請求項6記載の透明被
    覆物品。
  8. 【請求項8】 ケイ素系コーティング剤がシロキサン樹
    脂100重量部に対しシリカを1〜200重量部含有す
    る請求項7記載の透明被覆物品。
  9. 【請求項9】 ケイ素系コーティング剤が280〜40
    0nmの紫外線を吸収する化合物をシロキサン樹脂10
    0重量部に対し0.1〜300重量部含有する請求項7
    又は8記載の透明被覆物品。
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