JP4164693B2 - コーティング剤組成物及び被覆物品 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスに代わる構造材料として建物、車両等の窓用、計器カバー等に最近頻繁に使用されるようになったポリカーボネート樹脂等のプラスチック基材に優れた耐擦傷性、耐候性の保護被膜を形成するコーティング剤及びその被覆を有する物品に関する。
近年、透明板ガラスの代替として、非破砕性又はガラスよりも耐破砕性の大きい透明材料を使用することが広く行われるようになってきた。例えばプラスチック基材、特にポリカーボネート樹脂などは透明性、耐衝撃性、耐熱性等に優れていることからガラスに代わる構造部材として建物や車両等の窓用、計器カバー等種々の用途に現在用いられている。
しかし、ガラスに比べて耐擦傷性、耐候性などの表面特性に劣ることから、ポリカーボネート樹脂成形品の表面特性を改良することが切望されており、最近では、車両の窓、道路用遮音壁では屋外暴露10年以上でも耐えうるものが要望されている。
ポリカーボネート樹脂成形品の耐候性を改良する手段としては、ポリカーボネート樹脂基材の表面に耐候性に優れたアクリル系樹脂フィルムなどをラミネートする方法や共押出等により樹脂表面に紫外線吸収剤を含有した樹脂層を設ける方法が提案されている。
また、ポリカーボネート樹脂成形品の耐擦傷性を改良する方法としては、ポリオルガノシロキサン系、メラミン系などの熱硬化性樹脂をコーティングする方法や多官能性アクリル系の光硬化性樹脂をコーティングする方法が提案されている。
一方、耐候性及び耐擦傷性を併せ持つ透明体を製造する方法としては、特開昭56−92059号公報(特許文献1)及び特開平1−149878号公報(特許文献2)などに多量の紫外線吸収剤を添加したプライマー塗料層を介してコロイダルシリカ含有ポリシロキサン塗料の保護被膜を設けた紫外線吸収透明基板が知られている。
しかしながら、多量の紫外線吸収剤の添加は、基材との密着性を悪くしたり、加熱硬化工程中に、例えば揮発化することによって組成物中から除去されてしまったり、屋外で長期間に亘って使用した場合、徐々に紫外線吸収剤がブリードアウトして白化するといった悪影響がある。更に、コロイダルシリカ含有ポリシロキサンからなる保護被膜には、耐擦傷性の面から紫外線吸収剤を多量に添加できないという問題もあった。
一方、特許第2938458号公報(特許文献3)、特許第2924018号公報(特許文献4)、特開平11−286652号公報(特許文献5)、及び特開平10−324827号公報(特許文献6)などでは、より硬化を促進させる触媒的な役割としてチタンキレート化合物或いはそれの部分加水分解物をコーティング剤に添加し、硬化性を高め、耐候性、耐磨耗性を高めようとしているが、逆に硬化しすぎて耐クラック性が悪くなる欠点がある。更に保存安定性もよくない傾向にあった。
特開昭56−92059号公報 特開平1−149878号公報 特許第2938458号公報 特許第2924018号公報 特開平11−286652号公報 特開平10−324827号公報
そこで、本発明では上記のような欠点がなく、耐擦傷性、耐候性に優れた保護被膜を形成するためのコーティング剤及び被覆物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、コーティング剤組成物を、加水分解性基含有シリル基を有する有機ケイ素化合物に、チタンテトラアルコキシド及びM(OR)n(但し、Mは、Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W,Mgから選ばれる少なくとも1種の金属、nはその金属の原子価、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は水素原子)で表される金属アルコキシドを含有する混合物(b−1)のβ−ジケトンとの反応物の加水分解・縮合物(以下、反応生成物という場合がある)を配合することが有効であることを知見した。
即ち、本発明者らはポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂成形品の耐擦傷性、耐候性を向上させるコーティング剤組成物の改良について種々検討した結果、上記反応混合物、特に(1)チタンテトラアルコキシドを主成分とし、これに金属アルコキシドを混合した混合物(b−1)を溶媒中β−ジケトン類と反応させ、更に加水分解・縮合反応させることにより得られた反応生成物、或いは(2)チタンテトラアルコキシドを主成分とし、これに金属アルコキシドを混合した混合物をβ−ジケトン類を含有する溶媒中で加水分解・縮合反応させることにより得られた反応生成物を添加したところ、非常に良好な経時安定性を示した。これは通常の酸化チタンゾルとは異なり、溶剤に可溶であるため、経時での沈降もなく、混合安定性に優れていた。また、被膜にした時の被膜の透明性も酸化チタンゾルに比べて非常に良好であった。更に、このものは微細な粒子構造を有しかつ表面にβ−ジケトン配位子が残存し、被膜表面に滑性を与え、通常の酸化チタンゾル添加被膜に比べ格段に耐磨耗性が向上した。しかも、架橋触媒的な働きもするためか、緩やかな硬化条件でもフルキュアーに近い架橋を実現し、未架橋部分が殆どなくなり、経時で架橋が徐々に進行して発生する微細なクラックがなくなるため、耐クラック性も向上した。
また、このもの自身が紫外線吸収能を有するため、有機系紫外線吸収剤の配合量の低減化・有機系紫外線吸収剤未添加も可能となり、それ故これらのブリードアウトに伴う弊害が解消されるようなった。更に有機系のような分解による紫外線吸収能の低下がないため、長期に亘って良好な耐候性を実現させることが可能となった。そして、本発明者らは、これらコーティング剤組成物の成分比、添加量等を詳細に検討して本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記コーティング剤組成物を提供する。
[I](A)下記式(1)
3 aSi(R44-a (1)
(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロオキシ基、メルカプト基、アミノ基もしくはシアノ基を有する有機基を表し、R4は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基又はアルコキシアルコキシ基、aは0,1又は2である。)で示されるシラン化合物及び/又はその加水分解物 100重量部、
(B)チタンテトラアルコキシド及びM(OR)n(但し、Mは、Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W,Mgから選ばれる少なくとも1種の金属、nはその金属の原子価、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は水素原子)で表される金属アルコキシドを含有する混合物(b−1)を溶媒中、一般式R 1 COCH 2 COR 2 (但し、R 1 ,R 2 は互いに同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基)で表されるβ−ジケトンと反応させ、更に加水分解・縮合反応させることにより得られた加水分解・縮合物
0.1〜50重量部
を含有することを特徴とするコーティング剤組成物。
II]β−ジケトンの量が、上記混合物(b−1)に対して0.5〜2倍モル等量であることを特徴とする[I]記載のコーティング剤組成物。
III]加水分解・縮合反応に用いる水の量が、上記混合物(b−1)に対して3.1〜15倍モル等量であることを特徴とする[I]又は[II]記載のコーティング剤組成物。
IV]上記混合物(b−1)中のチタンテトラアルコキシドと上記金属アルコキシドとの割合が、チタンテトラアルコキシドのTiO2換算で100重量部に対し、金属アルコキシドの酸化物換算で0.01〜50重量部であることを特徴とする[I]〜[III]のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
](B)成分が、平均粒径100nm以下のβ−ジケトン基を含有する金属酸化物微粒子であることを特徴とする[I]〜[IV]のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
VI](B)成分が、350nm以下の紫外線を吸収するものであることを特徴とする[I]〜[V]のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
VII]更に(C)成分として、セリウム及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種の原子を含有し、波長が400nm以下の光線を吸収する無機酸化物微粒子を(A)成分100重量部に対して0.1〜100重量部含有することを特徴とする[I]〜[VI]のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
VIII]更に(D)成分として、コロイダルシリカを(A)成分100重量部に対して1〜200重量部含有することを特徴とする[I]〜[VII]のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
IX]更に、分子内に1個以上の環状ヒンダードアミン構造を有する光安定剤を(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部含有することを特徴とする[I]〜[VIII]のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
なお、上記のコーティング剤組成物は、主として基材上に直接又はプライマー膜上に形成するトップコート用として好適である。
本発明は、更に上記コーティング剤組成物を被覆してなる耐候性、耐磨耗性に優れた保護被膜を有する物品、及び、下記のコーティング法、このコーティング法により得られた被覆物品を提供する。
](i)アルコキシシリル基を含有するアクリル系及び/又はビニル系単量体と共重合可能な他の単量体との有機共重合体であり、この共重合体中のアルコキシシリル基を含有するアクリル系及び/又はビニル系単量体の比率が0.1〜50重量%である有機共重合体100重量部と、チタンテトラアルコキシド及びM(OR)n(但し、Mは、Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W,Mgから選ばれる少なくとも1種の金属、nはその金属の原子価、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は水素原子)で表される金属アルコキシドを含有する混合物(b−1)のβ−ジケトンとの反応物及び/又は混合物の加水分解・縮合物0.1〜50重量部とを含有するコーティング剤組成物の有機溶剤溶液をプライマーとしてプラスチック基体上に塗布し、
(ii)溶剤を蒸発させて被膜を硬化させ、下塗り層を形成し、
(iii)次いで、この被膜上に上記[I]〜[IX]のいずれかに記載のコーティング剤組成物を塗布し、
(iv)50〜140℃の温度でこの塗布膜を硬化させる
ことを特徴とするプラスチック基体を耐候性、耐磨耗性の被膜で被覆する方法。
XI](i)アルコキシシリル基を含有するアクリル系及び/又はビニル系単量体と共重合可能な他の単量体との有機共重合体であり、この共重合体中のアルコキシシリル基を含有するアクリル系及び/又はビニル系単量体の比率が0.1〜50重量%である有機共重合体100重量部と、チタンテトラアルコキシド及びM(OR)n(但し、Mは、Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W,Mgから選ばれる少なくとも1種の金属、nはその金属の原子価、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は水素原子)で表される金属アルコキシドを含有する混合物(b−1)のβ−ジケトンとの反応物及び/又は混合物の加水分解・縮合物0.1〜50重量部とを含有するコーティング剤組成物の有機溶剤溶液をプラスチック基体上に塗布し、
(ii)溶剤を蒸発させて被膜を硬化させ、下塗り層を形成し、
(iii)次いで、この被膜上に下記一般式(2)
7 eSi(OR84-e (2)
(式中、R7は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロオキシ基、メルカプト基、アミノ基もしくはシアノ基を有する有機基を表し、R8は水素原子又は炭素数1〜10の1価の有機基、eは0,1又は2である。)で示されるアルコキシシランの加水分解物又は共加水分解物にコロイダルシリカを添加してなるコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物を塗布し、
(iv)50〜140℃の温度でこの塗布膜を硬化させる
ことを特徴とするプラスチック基体を耐候性、耐磨耗性の被膜で被覆する方法。
本発明のコーティング剤組成物は、これにより被膜を施されたプラスチック物品、特にポリカーボネート樹脂に優れた透明性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性を付与することが可能なため、車両、飛行機など運送機の窓、風防、建物の窓、道路の遮音壁等屋外で使用される用途に好適なものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係わるコーティング剤は、
(A)加水分解性基含有シリル基を有する有機ケイ素化合物 100重量部、
(B)チタンテトラアルコキシド及びM(OR)n(但し、Mは、Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W,Mgから選ばれる少なくとも1種の金属、nはその金属の原子価、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は水素原子)で表される金属アルコキシドを含有する混合物(b−1)のβ−ジケトンとの反応物の加水分解・縮合物
0.1〜50重量部
を含有する。
ここで、(A)成分の加水分解性基含有シリル基を有する有機ケイ素化合物としては
A−1)下記式(1)
3 aSi(R44-a (1)
(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロオキシ基、メルカプト基、アミノ基もしくはシアノ基を有する有機基を表し、R4は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基又はアルコキシアルコキシ基、aは0,1又は2である。)で示されるシラン化合物及び/又はその加水分解物であるか、又は、
(A−2)アルコキシシリル基を含有するアクリル系及び/又はビニル系単量体と共重合可能な他の単量体との有機共重合体であり、この共重合体中のアルコキシシリル基を含有するアクリル系及び/又はビニル系単量体の比率が0.1〜50重量%である
ものが挙げられるが、本発明においては成分(A−1)を使用する。以下、成分(A−1)、(A−2)につき詳述する。
成分(A−1)
本発明の成分(A−1)は、下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又はその(部分)加水分解物である。
3 aSi(R44-a (1)
ここで、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロオキシ基、メルカプト基、アミノ基もしくはシアノ基を有する有機基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、シクロヘキシル基などのアルキル基、フェニル基、フェネチル基などのアリール基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフロロヘキシル基等のハロゲン化アルキル基、p−クロロフェニル基などのハロゲン化アリール基、ビニル基、アリル基、9−デセニル基、p−ビニルベンジル基などのアルケニル基、3−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、9,10−エポキシデシル基などのエポキシ基含有有機基、γ−メタクリルオキシプロピル基、γ−アクリルオキシ基などの(メタ)アクリルオキシ基含有有機基、γ−メルカプトプロピル基、p−メルカプトメチルフェニルエチル基などのメルカプト基含有有機基、γ−アミノプロピル基、(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などのアミノ基含有有機基、β−シアノエチル基などのシアノ基含有有機基などを例示することができる。
4は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基又はアルコキシアルコキシ基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソプロペノキシ基、メトキシエトキシ基などが例示される。
aは0,1又は2である。本発明に用いるシラン化合物は、接着性のあるバインダーとして作用する。これらの条件を満たすシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリプロポキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシ又はトリアシルオキシシラン類及びジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ(2−メトキシエトキシ)シラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジイソプロペノキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−シアノエチルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン又はジアシルオキシシラン類、テトラアルコキシシラン類の例としてはメチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート及びt−ブチルシリケート等を挙げることができる。これらのシラン化合物の部分或いは完全加水分解したものを使用してもよい。
また、これらのシラン化合物及び/又は加水分解物は1種単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
上記シラン化合物の(部分)加水分解物は、例えば酸触媒存在下、そのシラン化合物の低級アルコール溶液に水を添加して行われる。低級アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が例示される。更にそのアルコールと併用可能な溶媒としてはアセトン、アセチルアセトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類が例示される。
成分(A−2)
分(A−2)は有機共重合体樹脂であり、アルコキシシリル基を含有するアクリル系及び/又はビニル基系単量体とこれら単量体と共重合可能な他の単量体との有機共重合体である。このものはアルコキシシリル基の導入により基材との接着性が向上するし、アルコキシシリル基同士が架橋することにより、耐熱性が向上し、耐久性を付与できる。この場合、このアルコキシシリル基を含有する単量体の含有量は0.1重量%未満では耐熱性、耐久性が改良されず好ましくない。また50重量%を超えると硬くなりすぎて接着性が低下するので好ましくない。従って、0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%、更に好ましくは5〜30重量%の範囲で含有することが好ましい。
このアルコキシシリル基を含有するアクリル系単量体としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシメチルメチルジエトキシシランなどが例示されるが、これらの中で取り扱い性、架橋密度、反応性などから3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。また、このアルコキシシリル基を含有するビニル系単量体としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−ビニロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ビニロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ビニロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−ビニロキシプロピルメチルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシランなどが例示されるが、これらの中で取り扱い性、反応性などからビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−ビニロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
次に、これらのアルコキシシランと共重合可能な他の単量体としては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキルメタクリレート類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート類、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、アクリルニトリル、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、エチレングリコールジメタクリレート、また紫外線吸収剤であるベンゾトリアゾール類にメタクリル基を含有するもの、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなど、また光安定剤であるヒンダードアミン類にメタクリル基を含有するもの、例えば2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−メタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタクリレートが例示される。しかし、アルコキシシリル基と反応し得る、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどは組成物が増粘、ゲル化などの経時変化を起こすことがあるので、水酸基等のアルコキシシリル基と反応し得る基を有さないものが好ましい。
上記有機共重合体は、上記したアルコキシシリル基を含有する単量体とこれと共重合し得る他の単量体との共重合体であり、この共重合はこれら単量体を含有する溶液にジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のパーオキサイド類又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物から選択されるラジカル重合用開始剤を加え、加熱下に反応させることにより容易に得られる。
次に、上記(B)成分の加水分解・縮合物(反応生成物)は、上述したように、チタンテトラアルコキシド及びM(OR)n(但し、Mは、Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W,Mgから選ばれる少なくとも1種の金属、nはその金属の原子価、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は水素原子)で表される金属アルコキシドを含有する混合物(b−1)のβ−ジケトンとの反応物及び/又は混合物の加水分解・縮合物(反応生成物)であり、これは、
(1)上記混合物(b−1)を溶媒中、一般式R1COCH2COR2(但し、R1,R2は互いに同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基)で表されるβ−ジケトンと反応させ、更に加水分解・縮合反応させることにより得られた反応生成物であるか、又は
(2)上記混合物(b−1)を一般式R1COCH2COR2(但し、R1,R2は互いに同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基)で表されるβ−ジケトンを含有する溶媒中で加水分解・縮合反応させることにより得られた反応物である
が、本発明は(1)の反応生成物を使用する。
ここで、チタンアルコキシド及びM(OR)nで表される金属アルコキシドの具体例としては、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム、テトラ−n−ペントキシジルコニウム、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)ジルコニウム、テトラステアリルオキシジルコニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、モノ−sec−ブトキシ−プロポキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリエトキシ鉄(III)、トリ−i−プロポキシ鉄(III)、トリ−i−プロポキシインジウム、ペンタエトキシタングステン、ヘキサエトキシタングステンなどを挙げることができる。また、これらチタンアルコキシドや金属アルコキシドのオリゴマーでもよい。このチタンテトラアルコキシドとM(OR)nの金属アルコキシドとの混合物(b−1)中のチタンと他の金属との含有比率は、チタンテトラアルコキシドのTiO2換算で100重量部に対し、他の金属アルコキシドの酸化物換算で0.01〜50重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜30重量部である。チタン以外の金属酸化物含有量が50重量部を超えるとチタンによる紫外線吸収効果が弱まるおそれがある。また、M(OR)nで表される金属アルコキシドが全く含まれず、チタンテトラアルコキシドのみでは耐候性や耐磨耗性が不十分となる。
一方、β−ジケトン類は下記一般式で表されるものである。
1COCH2COR2
ここで、R1,R2は互いに同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基である。このR1,R2としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。このβ−ジケトン類の具体例としては、アセチルアセトン、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタン−ジオンなどが挙げられる。これらのうち、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン類は1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
本発明において、(B)成分は、(1)上記混合物(b−1)を溶媒中、上記β−ジケトン類と反応させ、更に加水分解・縮合反応させるか、(2)上記混合物(b−1)を、上記β−ジケトン類を含有する溶媒中で加水分解・縮合反応させることにより得ることができる。
この場合、上記混合物(b−1)とβ−ジケトン類の配合比は、混合物(b−1)1モルに対してβ−ジケトン類0.5〜2モルの範囲が好ましい。より好ましくは0.7〜1.0モルの範囲である。このモル比が0.5モル未満となると次の加水分解・縮合時にゲル化又は安定性が悪くなるおそれがある。また2モルを超えて加えると次の加水分解・縮合が起こりずらくなり、本発明の好適なコーティング剤にならなかったり、コスト的に不利となる場合がある。
また、この時使用される溶媒としては、アルコール類又は沸点が120℃以下の低沸点有機溶媒が好ましい。アルコール類としては、例えば1価アルコール又は2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としてはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。また、沸点が120℃以下の低沸点有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。
上記方法(1)では、まず混合物(b−1)とβ−ジケトン類とを反応させる。この場合、反応は20〜120℃の温度で1〜10時間行うことが好ましい。この時得られる反応物は、下記式(b−2)で示されるものの混合物である。
Figure 0004164693
ここで、M1はTi,Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W又はMgであるが、上記混合物はM1がTiであるものを必須成分として含有する。Rは上記と同じである。また、cは平均で2〜3.5、dは平均で0.5〜2であるが、c+d=n(n:金属の原子価)である。
なお、上記式(b−2)の化合物又はその混合物は、市販品があればそれを使用してもよい。また、式(b−2)の化合物の混合物中には、チタンテトラアルコキシドやM(OR)nで示される他の金属アルコキシドが混在しても差し支えない。
上記成分(1)、(2)において、加水分解・縮合反応を行う際は、上記混合物(b−1)に対して3.1〜15倍モル等量の水を加え、加水分解・縮合させることが好ましい。更に好ましくは3.4〜8.0倍モル等量である。この量が3.1倍モル等量未満だと反応生成物が微粒子形状をなさないためか、紫外線吸収能が弱くなるおそれがある。また、15倍モル等量を超えるとゲル化する場合がある。
この加水分解・縮合時の反応は20〜120℃の温度範囲で1〜30時間反応させることが好ましい。より好ましくは60〜90℃で5〜20時間加熱反応を行うのがより好ましい。更にこの時、系内を酸性下或いはアルカリ性下で加水分解・縮合を行わせるとよい。そのために従来公知の酸性触媒或いは塩基性触媒の使用が可能である。酸性触媒としては酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルフォン酸などが好ましい。具体例としては塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸などが挙げられる。また塩基性触媒としてはアミン系のものが好ましい。具体例としてはアンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどが挙げられる。
このようにして得られた(B)成分は、平均粒径が100nm以下のβ−ケトエステル基(β−ジケトン基)を含有する金属酸化物微粒子であり、350nm以下の紫外線を吸収するものであることがよい。
本発明のコーティング剤組成物は、(A)成分の固形分100重量部に対して、(B)成分の加水分解縮合物は固形有効成分で0.1〜50重量部である。特に好ましくは1重量部以上、とりわけ2重量部以上であり、また50重量部以下、とりわけ30重量部以下である。50重量部よりも多いと経済的に不利であり、0.1重量部よりも少ないと所望の耐候性、耐磨耗性が得られない。
本発明のコーティング剤組成物には、更に、任意の構成成分(C)として、有機化合物を分解・劣化させる波長が400nm以下の有害な光線を吸収する能力を有する無機酸化物微粒子(無機系紫外線吸収剤)を併用してもよい。この無機酸化物微粒子(無機系紫外線吸収剤)はセリウムや亜鉛の酸化物であり、これらは波長が400nm以下の光線を吸収する能力があるため、本発明に用いる無機酸化物微粒子(C)中にはこれらの各原子(セリウム、亜鉛)を少なくとも1種含有する必要がある。この無機酸化物微粒子には、粒子の安定化或いは耐候性の更なる向上を目的に、光吸収能を妨げない範囲で、上記以外の金属酸化物を単純に添加する、上記以外の金属酸化物を本無機酸化物微粒子(セリウム、亜鉛の酸化物)の周囲にメカニカルに吸着させる、金属酸化物の薄膜を本無機酸化物微粒子の表面に被覆させる、ゾルゲル法にて混晶化させる、或いは本無機酸化物微粒子中にドープさせ結晶の形態にするなどの方法で加えてもよい。その金属の具体例としては、Si(シリカ)、Al(アルミナ)、Sn(酸化スズ)、Zr(酸化ジルコニウム)、Sb(酸化アンチモン)、Fe(酸化鉄)、希土類金属(希土類酸化物)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中で、特にSi,Al,Sn,Zrなどの酸化物が好ましい。
上記無機酸化物微粒子(C)の粒子径は1〜300nmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは1〜200nmの範囲にあるのがよい。300nmを超えると、光の透過性が悪くなる場合がある。1nm未満のものは、不安定すぎるため製造するのが難しく、適当でない。上記無機酸化物微粒子(C)は、粉体、水分散体、有機溶剤分散体などの形で使用することができる。
この第一任意構成成分である無機酸化物微粒子(C)の配合量は、上記(A)成分の固形分100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましい。特に好ましくは1〜80重量部である。0.1重量部未満の添加ではその効果が十分発揮されず、また(B)成分との併用効果が発揮されない場合が生ずる。また、100重量部よりも多いと被膜強度が弱くなったり、膜の透明性が悪化し、更に経済的に不利になる場合がある。
更に、本発明のコーティング剤組成物は、(D)成分としてコロイダルシリカを配合することが好ましい。コロイダルシリカは(A)成分100重量部に対して1〜200重量部、特に10〜150重量部配合することが好ましい。その配合方法は、(A)成分20〜90重量部と粒径1〜100nmのシリカ微粒子からなるコロイダルシリカの固形分10〜80重量部の合計100重量部をアルコール、水、又は水混和性溶媒を用いて不揮発分が15〜20重量%になるようにし、更に常温で3〜5日間、もしくは40〜60℃で10〜15時間熟成させる方法などが例示される。この際、コロイダルシリカは通常水又はメタノール、エタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコールにシリカ微粒子を分散させたものである。
また、上記加水分解の際にコロイダルシリカを酸触媒と共に添加してもよい。このコロイダルシリカを含有させたコーティング剤組成物には、最適の耐磨耗性が得られるように、緩衝剤及び硬化触媒を添加することが好ましい。
硬化触媒としては、ジメチルアミン、酢酸エタノールアミン、蟻酸ジメチルアニリン、安息香酸、テトラエチルアンモニウム塩、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、酢酸ベンゾイルトリメチルアンモニウム塩、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、亜鉛オクチレート、亜鉛アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズオクチレート、ジブチルスズラウレート等が挙げられる。この硬化触媒の添加量はコロイダルシリカを含有させた保護コーティング剤の固形分100重量部に対して0.4〜0.02重量部の使用が好ましい。
なお、系内のpHをシラノール基が安定に存在し易いpH2〜7、特に好ましくはpH3〜6に制御することが、安定性を確保する観点から好ましい。pHを調製するための緩衝剤となる酸・塩基性化合物の組み合わせ、例えば、酢酸−酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム−クエン酸などを添加してもよい。
また、このコーティング剤組成物の粘度が低すぎて塗工しずらく塗膜が薄くなってしまうような場合、接着性を低下させずに、可撓性を付与する成分としてアクリル系重合体を添加してもよい。アクリル系重合体としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)などのポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)或いはこれらの共重合体が例示される。これらのものは、接着性を低下させることなく、特に成分(A−1)を用いるプライマー用コーティング剤組成物に可撓性を付与させるものである。これを添加する場合、プライマー用コーティング剤組成物に対して30重量%を超えて添加すると、この組成物の熱硬化性が悪化する場合があるので、この添加は30重量%以下が望ましい。
更に、コーティング剤組成物に耐水性の良好な接着性を付与させる目的で、一分子内に窒素原子及びアルコキシシリル基を含有する化合物を添加してもよい。更に詳しくは、このものは一分子内に窒素原子を1個以上及びアルコキシシリル基を2個以上含有するものがより好ましい。
この成分としては、アミノ基含有アルコキシシラン、アミド基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシランとエポキシ基含有アルコキシシラン及びシリル化剤との反応生成物をアミド化したもの、アミノ基含有アルコキシシランと多官能(メタ)アクリル化合物との反応生成物、アミノ基含有アルコキシシランと(メタ)アクリル化合物との反応生成物、アミノ基含有アルコキシシランと(メタ)アクリル基含有アルコキシシランとの反応生成物、ポリアミン化合物と(メタ)アクリル基含有アルコキシシランとの反応生成物、アミノ基含有アルコキシシランと多官能イソシアネート化合物との反応生成物をアミド化したもの、アミノ基含有アルコキシシランとイソシアネート基含有アルコキシシランとの反応生成物をアミド化したもの、チオール基含有アルコキシシランとイソシアネート基含有アルコキシシランとの反応生成物などが好適に使用されるが、より好ましくはアミノ基含有アルコキシシランとエポキシ基含有アルコキシシラン及びシリル化剤との反応生成物をアミド化したものが望ましい。
これらの成分として使用されるものの具体例を下記に例示する。
アミノ基含有アルコキシシランとしては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(トリメトキシシリルプロピル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルプロピル)アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(トリエトキシシリルプロピル)アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが例示される。
アミド基含有アルコキシシランとしては、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、ウレイドプロピルメチルジエトキシシランなどが例示される。アミノ基含有アルコキシシランとエポキシ基含有アルコキシシラン及びシリル化剤との反応生成物をアミド化したものは、下記の方法により製造されるものである。アミノ基含有アルコキシシランとしては上記に示したものが挙げられるが、接着性、操作性の点からN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが好ましい。また、ここで使用されるエポキシ基含有アルコキシシランとしては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランなどが例示される。
これらの中で反応性、操作性の点からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランとすることが好ましい。
なお、ここで使用されるシリル化剤としては、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ホルムアミド、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレアなどが例示されるが、このものはアミノ基含有アルコキシシランとエポキシ基含有アルコキシシランとの反応により、生成するOH基を保護してOH基とアルコキシシリル基との反応を防止してこの反応生成物の経時変化を防止するためのものである。
このアミノ基含有アルコキシシランとエポキシ基含有アルコキシシラン及びシリル化剤との反応はアミノ基含有アルコキシシランとシリル化剤との混合物にエポキシ基含有アルコキシシランを滴下し、加熱反応させればよいが、これはアミノ基含有アルコキシシランとエポキシ基含有アルコキシシランとを反応させ、この反応生成物にシリル化剤を添加して反応させるようにしてもよい。
なお、この反応におけるアミノ基含有アルコキシシランとエポキシ基含有アルコキシシランの配合比は、エポキシ基/アミノ基(=N−H)のモル比が0.3%未満では1分子中の架橋に関与するアルコキシ基の数が少なすぎて硬化性が弱くなるし、分子全体の広がりがなくなり、面接着性が弱くなって接着性が劣るおそれがあり、これが1.2を超えるようになると、後述するアミド化においてアミド化し得る=N−H基が殆どなくなって耐水接着性が悪くなるおそれがあるので、0.3〜1.2の範囲とすることが好ましい。
更に、この成分はこの反応生成物をアミド化したものとされるが、このアミド化は酢酸クロリド、酢酸ブロミド、プロピオン酸クロリド、無水酢酸、酢酸イソプロペニル、ベンゾイルクロリドなどで例示されるカルボン酸の酸ハロゲン化物、酸無水物、酸イソプロペニルエステル化合物と反応させればよい。
なお、本発明のコーティング剤組成物中におけるこの成分の添加量は、上記に示した(A)成分100重量部に対して0.5〜20重量部含有することが好ましい。20重量部超えて添加すると、架橋密度が高くなりすぎて、得られる被膜の硬度が高くなって逆に接着性が不良となる場合がある。
更に、コーティング剤組成物に、分子内に1個以上の環状ヒンダードアミン構造を有する光安定剤を添加することにより、耐候性を向上させることができる。使用される光安定剤としては、コーティング剤組成物に用いた溶剤によく溶解するものが好ましい。添加量は上記(A)成分100重量部に対して2.6〜10重量部がよく、10重量部を超えて添加すると塗膜の密着性が低下する場合がある。
光安定剤の具体例としては、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジノールとトリデカノールとの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、又、光安定剤を固定化させる目的で、特公昭61−56187号公報にあるようなシリル化変性の光安定剤、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルトリメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルメチルジメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルトリエトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルメチルジエトキシシラン、更にこれらの(部分)加水分解物等が挙げられ、これらの光安定剤は2種以上併用してもよい。
上記コーティング剤組成物には弊害を及ぼさない範囲で通常の紫外線吸収剤を加えてもよい。上記の(A)成分と相溶性が良好な有機系紫外線吸収剤が好ましい。特に、主骨格がヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系である化合物誘導体が好ましい。更に側鎖にこれら紫外線吸収剤を含有するビニルポリマーなどの重合体でもよい。具体的には、2,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジエトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジプロポキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−4’−プロポキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−4’−ブトキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−t−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン、4−(2−アクリロキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンの重合体、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの重合体等が例示される。これらの中で、揮散性の点から2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンが好適に使用される。また、これらの有機系紫外線吸収剤は2種以上併用してもよい。
上記コーティング剤組成物は、溶剤により希釈して使用してもよい。この溶剤としては、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエン等が挙げられる
本発明のコーティング剤組成物には、更に必要に応じ、従来のコーティング剤に用いられる公知の添加剤、例えばレベリング剤などを配合しても差し支えない。
本発明のコーティング剤組成物は、各種物品、特にプラスチック物品の表面を保護するため、これら物品基材上にそのコーティング剤組成物による保護被膜を形成する目的で使用することができる。この場合、プラスチック物品基材としては、特にポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、変性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂、含硫黄樹脂等が好適に使用される。これらの中で、透明なプラスチック物品基材に好適で、特にポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。
本発明では、プラスチック基材との密着性を高めるため、上記コーティング被膜と基材との間にプライマー層を設ける方がより好ましい。そのプライマー層を設けるためのプライマー成分としては、上記(A−2)及び成分(B)を構成成分とするもの、成分(B)を含まず、成分(A−2)を構成成分とするもの、また通常プライマーとして使用される従来公知の有機樹脂、例えば熱硬化性アクリル樹脂、湿気硬化性アクリル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、シランやシロキサンで変性したアクリル樹脂、ウレタン樹脂などを含むプライマー用コーティング剤組成物が好ましい。特に好ましくは上記成分(A−2)と成分(B)を含むプライマー用コーティング剤組成物である。
このプライマー用コーティング剤組成物溶液を予め清浄化したプラスチックフィルム、基材の表面に塗布し、上記希釈溶剤を室温或いは加熱下で蒸発させて、厚さ1〜10μm、好ましくは2〜5μmの塗膜を形成させるようにすればよい。なお、この有機溶剤希釈液は粘度が5cS未満では塗膜を厚くすることができず、30cSを超えるものとすると取り扱いや塗布方法が難しくなる場合があるので、5〜30cSの範囲のものとすることが好ましい。更に、塗膜の平滑化をはかるため、フッ素系或いはシリコーン系の界面活性剤を添加してもよい。また、この塗膜の硬化を促進させるために架橋硬化触媒を添加してもよい。
このようにして得られるプライマー用コーティング剤組成物による硬化被膜を設けたプラスチックフィルム、基板などのプラスチック成形品は、初期接着性、耐熱性、耐温水性、耐候性の優れたものであるが、このものはこのプライマー被膜の上に更に本発明のコーティング剤組成物、特に成分(A−1)と(B)を含むコーティング剤組成物や、公知のコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物、例えば、下記一般式(2)
7 eSi(OR84-e (2)
(式中、R7は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロオキシ基、メルカプト基、アミノ基もしくはシアノ基を有する有機基を表し、R8は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基等の1価の有機基、eは0,1又は2である。)
で示されるアルコキシシランの加水分解物又は共加水分解物に1〜100nmのシリカ微粒子を水又はメタノール、エタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコールを分散させたコロイダルシリカを5〜70重量%添加したものなどを塗布し、加熱硬化、好ましくは50〜140℃に加熱硬化させると、このプラスチック成形品はその表面に本発明のプライマー用コーティング剤組成物が塗布されていることから、このプライマー塗膜と本発明のコーティング剤被膜、或いはオルガノポリシロキサンとの相乗作用により接着性、耐磨耗性も良好で、優れた紫外線吸収能のため、耐候性、耐候安定性が優れるという有利性が与えられる。
以下、合成例、及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は重量%、部は重量部を示す。
<成分(1)の合成>
[合成例1]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は63℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液44.6g(水2.38モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが2.79の薄黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は29.2%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例2]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン49.1g(0.49モル)を30分間で滴下した。それにより内温は64℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液44.6g(水2.38モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが3.05の薄黄色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は30.4%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例3]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は63℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液77.9g(水4.2モル)を40分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが1.62の薄黄色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は22.6%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例4]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は63℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液103.9g(水5.6モル)を40分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが1.14であり、平均粒径が60nmの薄黄微濁ゾル溶液を得た。このものの固形分濃度は21.3%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例5]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は63℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液129.9g(水7.0モル)を60分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pH1.02で、平均粒径が80nmの薄黄微濁ゾル溶液を得た。このものの固形分濃度は20.0%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例6]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)及びトリエトキシ鉄(III)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は62℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液44.6g(水2.38モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pH2.81の赤褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は30.1%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例7]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、テトラエトキシシラン37.4g(0.18モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は59℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液49.2g(水2.65モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが2.06の薄黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は32.8%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例8]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は63℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%酢酸水溶液44.6g(水2.38モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが6.89の薄黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は32.5%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例9]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン140g(1.4モル)を45分間で滴下した。それにより内温は68℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、6.9%アンモニア水溶液46.0g(水2.38モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが6.76の薄黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は27.5%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例10]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン140g(1.4モル)を45分間で滴下した。それにより内温は72℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで室温下で6.9%アンモニア水溶液46.0g(水2.38モル)を20分間で滴下した。その後室温下で20時間反応させたところ、黄白色沈殿が生成した。これを濾過、アセトン洗浄後、60℃で3時間減圧乾燥を行い、121gの黄白色粉末物質を得た。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。また、このものの元素分析測定を行ったところ、C:44.9%、H:5.3%という結果が得られ、ほぼ理論値通りアセチルアセトナート基を含有していることを確認した。
[合成例11]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン60g(0.6モル)と2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン18.4g(0.1モル)を35分間で滴下した。それにより内温は62℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液44.6g(水2.38モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが2.80の薄黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は30.5%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例12]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、チタンテトライソプロポキシド199.0g(0.7モル)を仕込み、室温で撹拌しながら滴下ロートによりアセチルアセトン70g(0.7モル)を30分間で滴下した。それにより内温は68℃まで上昇した。そのまま1時間室温で撹拌熟成を行い、黄色透明溶液状の加水分解性金属化合物を得た。次いで70℃まで加熱により内温を上昇させたところに、3%塩酸水溶液19.5g(水1.05モル)を20分間で滴下した。その後70〜80℃で10時間反応させることにより、pHが2.70の褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は28.9%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、300nm以下の波長を吸収するものでしかなかった。
<成分(2)の合成>
[合成例13]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、アセチルアセトン140g(1.4モル)、6.9%塩酸水溶液46.0g(水2.38モル)を仕込み、撹拌しながら70℃に加熱した。そこにチタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)の混合溶液を滴下ロートにより60分間で滴下した。それにより内温は80℃まで上昇した。そのまま10時間撹拌熟成を行い、pH1.35の黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は35.8%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例14]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、アセチルアセトン140g(1.4モル)、6.9%アンモニア水溶液46.0g(水2.38モル)を仕込み、撹拌しながら70℃に加熱した。そこにチタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)の混合溶液を滴下ロートにより60分間で滴下した。それにより内温は82℃まで上昇した。そのまま10時間撹拌熟成を行い、pH7.00の黄褐色微濁の溶液を得た。このものの固形分濃度は27.8%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例15]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、アセチルアセトン70g(0.7モル)、6.9%塩酸水溶液46.0g(水2.38モル)を仕込み、撹拌しながら70℃に加熱した。そこにチタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)の混合溶液を滴下ロートにより60分間で滴下した。それにより内温は79℃まで上昇した。そのまま10時間撹拌熟成を行い、pH1.03の黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は31.2であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例16]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、アセチルアセトン140g(1.4モル)、6.9%塩酸水溶液56.8g(水2.94モル)を仕込み、撹拌しながら70℃に加熱した。そこにチタンテトライソプロポキシド170.6g(0.6モル)、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド38.4g(0.1モル)の混合溶液を滴下ロートにより60分間で滴下した。それにより内温は85℃まで上昇した。そのまま10時間撹拌熟成を行い、pH1.00の黄褐色透明の溶液を得た。このものの固形分濃度は24.9%であった。このものの固形分濃度が0.05g/lになるようにエタノールで希釈した溶液を使用して吸光度分析を行ったところ、350nm以下の波長を吸収するものであった。
[合成例17]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1.0リットルフラスコに、アセチルアセトン70g(0.7モル)、3%塩酸水溶液259.8g(14モル)を仕込み、撹拌しながら70℃に加熱した。そこにチタンテトライソプロポキシド199.0g(0.7モル)を滴下ロートにより60分間で滴下した。それにより内温は80℃まで上昇し、そのまま撹拌熟成を行ったが、30分後にゲル化した。
<アルコキシシリル基含有の有機共重合体の合成>
[合成例18]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20g、メチルメタクリレート60g、エチルアクリレート5g、酢酸ビニル5g、グリシジルメタクリレート10g、エチレングリコールジメタクリレート0.2g及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5g並びに溶剤としてジアセトンアルコール20g、エチレングリコールモノメチルエーテル80gを仕込み、窒素気流下にて80〜90℃で5時間撹拌した。得られたアルコキシシリル基を含有する有機共重合体溶液の粘度は43,600cst、またその共重合体中のアルコキシル基含有量は20%であった。
[合成例19]
合成例18のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20gを10gに、メチルメタクリレート60gを70gに代えた以外は合成例18と同様に合成してアルコキシシリル基を含有する有機共重合体溶液を作製した。得られたアルコキシシリル基を含有する有機共重合体溶液の粘度は40,600cst、またその共重合体中のアルコキシル基含有量は10%であった。
[合成例20]
合成例18のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20gをビニルトリメトキシシラン20gに代えた以外は合成例18と同様に合成してアルコキシシリル基を含有する有機共重合体溶液を作製した。得られたアルコキシシリル基を含有する有機共重合体溶液の粘度は39,700cst、またその共重合体中のアルコキシル基含有量は20%であった。
<分子内に窒素原子とアルコキシシリル基を含有する化合物の合成>
[合成例21]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2.0リットルフラスコにN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン222gとシリル化剤としてのヘキサメチルジシラザン242gを仕込んで窒素気流下に120℃に加熱し、ここにγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン496gを滴下して反応させ、120℃で5時間加熱撹拌したのち、低沸点分を減圧下100℃で除去したところ、粘度1,387cS、屈折率1.4618、比重1.048の粘稠な化合物862gが得られた。
次いで、この反応生成物862gとトルエン862gを撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2.0リットルフラスコに仕込み、窒素気流下に室温でここに無水酢酸141gを滴下して反応させ、110℃で2時間加熱撹拌させたのち、50℃でメタノール141gを滴下し、50℃で1時間加熱撹拌し、次いで減圧下に100℃で低沸分を除去し、高粘稠な化合物を得た。この化合物の赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、3,000cm-1以上の領域にOH基或いはNH基に起因する吸収は認められず、1,650cm-1にアミド基に起因する強い吸収が認められた。
<コロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物の合成>
[合成例22]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1.0リットルフラスコにメチルトリエトキシシラン164g、イソブタノール46gを仕込み、氷冷下に撹拌しながら5℃以下に維持し、ここに5℃以下としたコロイダルシリカ(SiO220%含有品)138gを添加して氷冷下で2時間、更に20〜25℃で8時間撹拌したのち、ジアセトンアルコールを45g、イソブタノールを50g添加した。次いで10%プロピオン酸ナトリウム水溶液を1.5g加え、更に酢酸にてpHを6〜7に調整した。そして、不揮発分(JIS K6833)が17%となるようにイソブタノールで調整し、常温で5日間熟成して得られたコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物の粘度は約5cst、不揮発分の数平均分子量は約1,000であった。
[合成例23]
合成例22においてプロピオン酸ナトリウム水溶液の代わりに、10%テトラメチルアンモニウムベンゾエート水溶液を3.0gとした以外は同様に処理してコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物を得た。
[合成例24]
合成例22において更に2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1.8g(コロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物固形分100重量部に対して2重量部)を添加した以外は同様に処理してコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物を得た。
<シリル化変性光安定剤の合成>
[合成例25]
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.3リットルフラスコに2,2,6,6−テトラメチル−4−アリル−ピペリジン100g(0.5モル)、塩化白金酸のブタノール溶液(H2PtCl6・6H2Oの2重量%溶液)0.13gを仕込み、室温でトリメトキシシラン80.6g(0.66モル)を1時間かけて滴下し、更に90℃で5時間反応させた。
反応終了後、減圧下で蒸留を行い、7mmHgで151〜154℃の溜分126gを得た。ガスクロマトグラフィー測定により97%純度で2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルトリメトキシシランを得た。このものの構造は赤外スペクトル測定、1H−NMR測定により確認した。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例及び比較例に用いた紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、有機共重合体等の略号は以下の通りである。また、部は重量部である。
<成分(1)>
メタノールを使用して固形分濃度を20%に調整後、使用した。
Ti−1:合成例1の反応生成物
Ti−2:合成例2の反応生成物
Ti−3:合成例3の反応生成物
Ti−4:合成例4の反応生成物
Ti−5:合成例5の反応生成物
Ti−6:合成例6の反応生成物
Ti−7:合成例7の反応生成物
Ti−8:合成例8の反応生成物
Ti−9:合成例9の反応生成物
Ti−10:合成例10の反応生成物
Ti−11:合成例11の反応生成物
Ti−12:合成例12の反応生成物
<成分(2)>
メタノールを使用して固形分濃度を20%に調整後、使用した。
Ti−13:合成例13の反応生成物
Ti−14:合成例14の反応生成物
Ti−15:合成例15の反応生成物
Ti−16:合成例16の反応生成物
<有機系紫外線吸収剤>
UVA−1:2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン
UVA−2:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UVA−3:2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UVA−4:2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン
UVA−5:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(30重量%)とメチルメタクリレート(70重量%)の共重合体
UVA−6:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(30重量%)とスチレン(70重量%)の共重合体
<無機酸化物微粒子>
UV−1:酸化セリウムゾル(平均粒径20mμのCeO2、20%メタノール分散液)
UV−2:表面処理された酸化亜鉛ゾル(平均粒径20mμで、15%のシリカで表面処理されたもの、20%メタノール分散液)
UV−3:シリカゾル(平均粒径20mμのSiO220%メタノール分散液)
UV−4:酸化チタンゾル(平均粒径20mμのTiO2、20%メタノール分散液)
UV−5:表面処理された酸化チタンゾル(TiO2を85%含有、表面をSiO2被覆した平均粒径20mμのTiO2の20%メタノール分散液)
UV−6:複合酸化物微粒子ゾル(平均粒径20mμ、平均組成がTiO2/ZrO2/SiO2=70/8/22の混合型の複合酸化チタンの20%メタノール分散液)
<ヒンダードアミン系光安定剤>
HALS−1:N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン
HALS−2:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジノールとトリデカノールとの縮合物
HALS−3:合成例25で合成した2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルトリメトキシシラン
<アルコキシシリル基含有の有機共重合体>
Pol−1:合成例18の反応生成物
Pol−2:合成例19の反応生成物
Pol−3:合成例20の反応生成物
<分子内に窒素原子とアルコキシシリル基を含有する化合物>
NSi−1:ウレイドプロピルトリエトキシラン
NSi−2:合成例21の反応生成物
<コロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物>
HC−1:合成例22のコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物
HC−2:合成例23のコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物
HC−3:合成例24のコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物
<有機金属化合物>
TPT:テトラ−i−プロポキシチタン
TBT:テトラ−n−ブトキシチタン
TBT−P:テトラ−n−ブトキシチタンの5.4量体オリゴマー
また、実施例中の各種物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
(1)耐候性試験:JIS K5400に準拠し、カーボンアーク式サンシャインウェザーメーターにて促進試験を行って、5,000時間後の黄変度と密着性及び膜の透明性を調べ、黄変度7以下で密着性良好なものを合格とした。また光学顕微鏡にてコーティング被膜表面の微細なクラック発生状況等を観察した。
(2)耐擦傷性試験:ASTM1044に準拠し、テーバー磨耗試験機にて磨耗輪CS−10Fを装着し、荷重500g下で1,000回転後の曇価を測定した。テーバー磨耗性(%)は(試験後の曇価)−(試験前の曇価)で示した。
(3)硬化被膜の密着性:JIS K5400に準拠し、サンプルをカミソリの刃で1mm間隔の縦横11本ずつ切り目を入れて100個の碁盤目をつくり、市販セロテープ(登録商標)をよく密着させた後、90度手前方向に急激に剥がした時、被膜が剥離せずに残存したます目数(X)をX/100で表示した。
(4)コーティング液の経時安定性
作製したコーティング剤組成物を室温下で放置し、3ヶ月後の液の状態を観察した。
○:良好
△:やや濁り、沈降物あり
×:増粘、ゲル化
[実施例、比較例]
(1)プライマー用コーティング剤の調製
合成例1〜16で作製した成分(1)及び(2)、平均分子量15万のポリメチルメタクリレート、分子内に窒素原子とアルコキシシリル基を含有する化合物(NSi−1,2)、紫外線吸収剤(UVA−1〜6)、光安定剤(HALS−1〜3)などを混合し、有機共重合体の固形分が10%になるようにジアセトンアルコールとエチレングリコールモノメチルエーテルの比率を20/80とした混合溶液にて調製して、プライマー用コーティング剤組成物a〜zを表1〜3に示したように調製した。
(2)コーティング剤組成物の調製
合成例1〜16で作製した成分(1)及び(2)、合成例22〜24で作製したコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物(HC−1〜3)、紫外線吸収剤(UVA−1〜6)、無機酸化物微粒子(UV−1〜6)を混合し、コーティング剤組成物を調製した。このコーティング剤組成物A〜Zを表4〜6に示す。
(3)表面被覆成形物の作製
プライマー用コーティング剤組成物を塗布する場合は、表面を清浄化した0.5mmポリカーボネート樹脂板に硬化塗膜として2〜5μmになるようにフローコーティング法にて塗布し、約120℃にて約30分硬化させた後、その上に(2)で得られたコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物を塗布し、硬化塗膜として2〜5μmになるようにフローコーティング法にて塗布し、約120℃にて約1時間硬化させる。或いはプライマーを塗布しない場合は、表面を清浄化した0.5mmポリカーボネート樹脂板に硬化塗膜として2〜5μmになるようにフローコーティング法にて塗布し、約120℃にて約1時間硬化させる。このようにして得られた塗膜の物性評価結果を表7に示す。
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Claims (10)

  1. (A)下記式(1)
    3 aSi(R44-a (1)
    (式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、アルケニル基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロオキシ基、メルカプト基、アミノ基もしくはシアノ基を有する有機基を表し、R4は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基又はアルコキシアルコキシ基、aは0,1又は2である。)で示されるシラン化合物及び/又はその加水分解物 100重量部、
    (B)チタンテトラアルコキシド及びM(OR)n(但し、Mは、Zr,Fe,Al,Zn,In,Cu,Sn,W,Mgから選ばれる少なくとも1種の金属、nはその金属の原子価、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は水素原子)で表される金属アルコキシドを含有する混合物(b−1)を溶媒中、一般式R 1 COCH 2 COR 2 (但し、R 1 ,R 2 は互いに同じでも異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基)で表されるβ−ジケトンと反応させ、更に加水分解・縮合反応させることにより得られた加水分解・縮合物
    0.1〜50重量部
    を含有することを特徴とするコーティング剤組成物。
  2. β−ジケトンの量が、上記混合物(b−1)に対して0.5〜2倍モル等量であることを特徴とする請求項記載のコーティング剤組成物。
  3. 加水分解・縮合反応に用いる水の量が、上記混合物(b−1)に対して3.1〜15倍モル等量であることを特徴とする請求項1又は2記載のコーティング剤組成物。
  4. 上記混合物(b−1)中のチタンテトラアルコキシドと上記金属アルコキシドとの割合が、チタンテトラアルコキシドのTiO2換算で100重量部に対し、金属アルコキシドの酸化物換算で0.01〜50重量部であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
  5. (B)成分が、平均粒径100nm以下のβ−ジケトン基を含有する金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
  6. (B)成分が、350nm以下の紫外線を吸収するものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
  7. 更に(C)成分として、セリウム及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種の原子を含有し、波長が400nm以下の光線を吸収する無機酸化物微粒子を(A)成分100重量部に対して0.1〜100重量部含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
  8. 更に(D)成分として、コロイダルシリカを(A)成分100重量部に対して1〜200重量部含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
  9. 更に、分子内に1個以上の環状ヒンダードアミン構造を有する光安定剤を(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のコーティング剤組成物。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項記載のコーティング剤組成物を被覆したことを特徴とする耐候性、耐磨耗性に優れた被膜を有する物品。
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